21. 名もなく貧しく美しく
《ネタバレ》 ここのレビュー数は多くないけれど、傑作という部類に入る映画だと思います。 日本が最も貧しかった時代に、聾唖者というハンディを負って生きた人たちのお話です。もちろんバリアフリーなんて意識はなく、周囲には差別が蔓延し、不幸や災難が続きます。主人公の夫婦はその苦しい生活の中でも、小さな喜びをかみしめ、一歩ずつ心を充足させ、それを糧に生きて行きます。生きることの意味、幸せの意味を強烈に問いかけられます。 感覚機能が欠損していることは、確かにコミュニケーション能力を低下させる。だけど、この夫婦と周囲の人たちの繋がりはかえって強まっているように思えました。それは、外からの情報が制限された内的世界で、意識を拡散させずに相手のことを一途に想い続けた結果なのだと思います。健常者には真似ができないレベルの必死さや思いやりが産んだ特別な力と言ってもいい。コミュニケーションの本質とは相互理解の行為以前に、相手のことを強く想う姿勢であると諭された気分です。 自分が負ったハンディには負けなかった高峰秀子も交通事故であっけなくこの世を去りました。子育てが一段落して、これからという時だっただけに、残念でなりません。 [CS・衛星(邦画)] 9点(2009-10-30 20:00:08) |
22. ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛
《ネタバレ》 ストーリーは相変わらずですね。そういう映画ってことです。兄妹たちには身体的な成長が伺えたけど、相変わらず魅力ないねぇ。末娘のルーシーは、あと10年もすれば悪役が似合う面構えになるんじゃないかと心配してしまった。彼らに比べると「ハリポタ」のメインキャストでさえ、もの凄く魅力的に見える。そんなこと言ったらハグリッドに失礼か。カスピアンにも苛立った。先制をかけるために忍び込んだお城で何やってんだよ。ストーリーには何も期待していないが、不要なストレスはもっと期待していないぞ。それと、前作に比べてライオンのアスランが決定的な戦力を持っていることに違和感があった。彼も長い時間の流れの中で、レベルアップしていたってことなのかな。特に悪口を言うつもりは無かったんだが、文字面はかなり辛口になってますな。いや、良いファンタジーだと思います。最初から何も考えずに観ようと思い、最後までほとんど考えずに済む映画は貴重です。自分は楽しんで観ましたよ。ホント。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-08-25 21:20:39) |
23. 夏の妹
《ネタバレ》 これは不思議な映画だった。カメラワークも台詞まわしも学生の自主制作映画レベルで、途中までとてもプロの手を経ているものに見えなかった。後半になり、関係者が集まってきて模擬裁判のようなカタチで会話劇が始まるあたりから様相が変わる。下半身ネタをズバズバと台詞にして変なテンションの高まりを見せ、どこに行き着くか皆目見えないストーリーが、それゆえの緊張感を孕んだ。だけど、結局なにが言いたいのかは、分からなかった。舞台は返還直後の沖縄で、売春行為に関わる放送禁止用語が頻出していたようだけど、それがストーリーに関係しているとも思えない。当時15歳の栗田ひろみがとても懐かしかったが、結局それだけかよという印象。彼女のミニスカートにプラス1点。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2009-08-09 17:31:54) |
24. ナビィの恋
《ネタバレ》 西田尚美のワイルドな魅力とおじい役の登川誠仁のすっとぼけた魅力が両輪でストーリーを引っ張りますが、沖縄という舞台でこそ映えるキャラクター設定ですね。80歳近い年齢で駆け落ちするサンラーとナビィにしても、あの土地柄だから許せるということじゃないでしょうか。画面からはアスファルトやコンクリートで固められた都会には無いおおらかさを感じます。この映画は、そんな風土にマッチしたキャラとストーリーだからこそ、強く心に沁みたのだと思います。西田尚美が魚をくわえて走っても、幼なじみの尻をけっ飛ばしても、どうしようもなく歌が下手でも、おまけに寝相が悪くても、とっても魅力的に見えるのは、やはり風土にマッチしているからだと思います。さて、ひとり残されたおじいですが、私は大丈夫だと思います。島の占い師の預言で強引に引き裂かれた二人の過去をおじいは知っていて、そのおかげで自分は憧れのナビィと60年近く一緒に暮らせた。おじいはその60年で納得していたと思います。勿論、ナビィが残ってくれるに越したことはないけれど、乗り越えられますよ。かわいい孫も帰ってきたことだし。「おじいはどうするの~?」「若いからだいじょ~ぶ~」。その通り。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2009-06-25 16:33:39) |
25. 奈緒子
《ネタバレ》 こりゃ、酷くないか? 過去に競技で走っていた経験がある身にとっては、舐めているとしか思えん内容だ。 事故で死んだ親父のことで、幼少の頃は奈緒子を責めた勇介君も「誰も恨んでいない」って言ってるのに、なんでマネージャーをやりに行ったのかが分からない。いや、鶴瓶監督が呼んだんだけど、呼ぶ理由も、行きたいという理由も分からない。下手すりゃお互いに不幸になる。最後は奈緒子の応援で雄介君は速く走ったようだけど、彼女じゃないといけない必然はどこにあったのか…? やっぱり分からない。 周りの奴らが勇介を妬むのもステレオタイプ。陸上競技なんて基本的に個人競技なので、チームメイトに速い奴がいるたびに妬んでたんじゃやってられませんよ。 それが本番になると一転して、一区走者からほぼ全員が、雄介・雄介・雄介と他人を頼る。君たちは何のために練習したんだと聞きたくなった。 もうひとつ。ゴールした後に寝転びすぎ。箱根駅伝の中継を見ていると、走り終えたランナーは倒れて同僚に介抱されることを義務付けられているように見えるが、そんなルールはない。もの凄く見苦しい。これを観たこれからのランナーがあれをカッコイイなんて思わないことを願う。 [CS・衛星(邦画)] 2点(2009-04-15 03:14:23) |
26. NOTHING ナッシング
《ネタバレ》 あの白い世界は二人の願望が形になった世界だけど、その時点で現実からの逃避ですね。そして、意味の無いことを喚いている感じです。物質も記憶も消してしまえるなら、確かにその世界では王様かもしれない。それを何らかの方向への向かう契機として展開するならまだ分かるけど、まったく進歩せずに悪ふざけとガキのケンカだけで終わった。かなり不快。映画の意味がNOTHING。 [CS・衛星(字幕)] 2点(2009-02-15 13:50:01) |
27. 夏服のイヴ
「結婚前の松田聖子」は間違いなく「アイドル」というジャンルの到達点だった。だけど映画はいい加減だったよね~。「野菊の墓」はしっかりと観れる内容だったんだから、演技自体はちゃんとやれたはず。もう少し作品と監督と共演者(笑)を選べばよかったのにね…。 [映画館(邦画)] 2点(2009-01-29 21:12:06) |
28. 茄子 スーツケースの渡り鳥<OVA>
前作よりサラッと仕上がってます。良質の作品であることは確かだと思います。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2008-11-25 22:56:49) |
29. ナンバー23
《ネタバレ》 数字が持っている自然科学的な意味での不思議さに絡めたサスペンスかホラーを期待したが、23はこじつけ以上の意味を持たなくてガッカリ。それを延々とやるものだから、もういいでしょうって言いたくなった。記憶喪失って何かと都合が良い病気なんだけど、設定ではなくオチに使われると都合が良すぎて萎みます。こういう映画って、主人公がとかく孤独になって行くパターンが多いけど、家族が最後まで見放さなかったことには少し感心した。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2008-09-23 11:10:30) |
30. NANA2
原作が持ってる面白さって、大崎ナナの「男前」なところだと思っているんだけど、映画で上手く演出するのは難しいのね…。ノブ役の役者が頑張っていたと思います。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2008-09-18 17:09:13) |
31. 南極物語(1983)
《ネタバレ》 腹がたって仕方なかった。 人間の都合を美談に仕立てる自分勝手さや、取り残された犬たちの冒険のでっち上げ。撮影のために何度も氷の浮いた海に突き落とされたであろう犬たちに痛く同情し、いい映画を作ったという顔をしていた製作者たちを憎みました。 公開当時は確か邦画の興行収入を塗り替えた映画でしたが、こんなものを有難がって感動しているニッポン人たちにも幻滅してました。 [映画館(邦画)] 0点(2008-09-16 01:30:43)(良:2票) |