121. 春の目ざめ(1947)
《ネタバレ》 ソフト化されておらず、貴重極まりない成瀬巳喜男監督作品の一つ。 題名の通り、題材は思春期に関するもので、特に思春期を迎えた男女が遭遇する“性”の問題を扱っている。 時代を実によく反映した作品で、現代の感覚からすると、“性”というものに関する取り組み方や意識の持ち方に、あまりのズレを感じ、古臭さは否めない。 だが、そういった古臭い題材を扱っているにも関わらず、そこはさすがの成瀬監督作品だけあって、無難に楽しめてしまうところがまた凄い。 主演は久我美子で、純情可憐を画に描いた様な少女役を演じている。 違和感なく自然に演じており、まさに適役といえよう。 ラストに久我美子がショックからいきなり立ち上がるところは、唐突さを感じた。 戦後間もなく作られたという時代背景を考えると、これ以上“性”という題材に関して深く切り込むのは不可能だったのではないだろうか。 そこら辺りの事情が、本作の終わらせ方、そして作品全般に歯がゆさと不自然さをもたらしている気がした。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2010-02-27 00:36:51) |
122. 初恋の想い出
《ネタバレ》 ラストシーン。 二人は記念撮影を行う。 この時の、ヴィッキー・チャオの涙顔は、さすが女優!と言わざるを得ない素晴らしさ。 その後の微笑みも、また格別。 寂しげな表情でカメラに向う二人のシーンは、ラストに相応しい余韻を残す。 ただ、親同士のしがらみによって、その子供同士の恋愛が成就しないという筋は、理解し難いものがある。 父親が末期ガンになって、ようやく娘のことを思い、二人を結びつけようとするが、それもいささか無理を感じた。 死に際にいきなり信念を曲げるというのも、私の人生観に合わない。 それなら、最初から娘のために結婚を容認すればよかっただろうに・・・ 脚本もまどろっこしく、時間が長く感じた。 ラストシーンは素晴らしかったが、それまでのほとんどが凡庸なだけに、満足とは言い難い。 [DVD(字幕)] 4点(2010-02-16 17:58:32) |
123. 爆裂都市 BURST CITY (1982)
ひたすら騒がしい。 泉谷しげるが企画と美術に関わっていて、この頃の石井聰亙監督作品。 だとすれば容易に予想がついた内容だが、120分近い尺でこの手の作品を観るのは、私には少々辛すぎた。 [DVD(邦画)] 1点(2010-02-07 18:17:47) |
124. 果てぬ想い
《ネタバレ》 シルヴィア・チャンが脚本を書いている時点で、ラストの展開は読めてしまうんだけど、その予定調和がまた香港恋愛映画っぽくって、安心感があったりもする。 コン・リーは、本作の時点ではまだ若いが、どうも垢抜けていない。 歳を重ねるにつれ、美しさが増していく女優だ。 返還前の香港を舞台にしていて、北京語(マンダリン)と広東語との意志の疎通をうまく題材として使っている。 いかに北京語と広東語が別の言語であるかが分かる内容となっていて、香港や中国本土を旅したことのある私にとっては、興味深い内容だった。 香港のラブ・ストーリーとして、先に『ラヴソング』を観てしまったせいか、“偶然の再会”で幕を閉じるラストには新鮮味がなかったのがいささか残念ではある。 [DVD(字幕)] 6点(2009-12-14 01:28:49) |
125. 巴里の屋根の下
平和なフランスの、古き良き時代の雰囲気が感じられて、幸せになれる良い作品だが、なんでか知らないが異常に眠かった。 良い作品なんだけど、何故だか眠い。 いや、退屈。 それが私とルネ・クレール監督の相性か。 『巴里祭』も同様の感じだった。 [ビデオ(字幕)] 3点(2009-11-21 15:16:50) |
126. パサジェルカ
アンジェイ・ムンク監督の未完の遺作。 アウシュビッツ収容所における、女性看守と女性囚人との個人的関係を深く丁寧に描いている。 女性看守は、女性囚人に対して、基本的には同情の念を持っているが、それをすんなり受け入れない女性囚人に対して、時に辛く当たったりする。 まるで片想いの異性に対する接し方の様だ。 一方的な他人に対する関心は、恋愛感情に限らず、得てしてこうなりがちで、そういった人間関係の機微を感じ取ることができた。 そういう意味で、アンジェイ・ムンクの魂が込められた作品に仕上がっている。 それだけに未完で中途半端な出来具合というのが残念でならない。 [ビデオ(字幕)] 5点(2009-11-01 18:39:44) |
127. 張込み(1958)
シャープなモノクロ映像に、夏の暑苦しさがリアルに伝わってくる描写はなかなかのものだが、いかんせん、大木実と宮口精二という二枚看板が地味すぎる! [DVD(邦画)] 5点(2009-10-23 23:29:50) |
128. 白昼の通り魔
《ネタバレ》 大島渚監督の代表作の一つ。 連続通り魔となった男が、どうして通り魔になるに到ったのか。 その過程を詳細に描いていて面白かった。 気を失った女の体を、衝動的に弄んだら、あら大変、女を犯す味をおぼえてしまったという心理。 そういう性犯罪者の心理を知る上ではこの上なく良くできた映画だ。 そしてモノクロの映像も、その怪しさを引き立てている。 ただし、後半の数十分は蛇足。 退屈した。 ゲロシーンも不要。 連続通り魔犯が捕まった所でアッサリ終わっていたら、もっと鮮烈な印象を残したに違いない。 [DVD(邦画)] 6点(2009-10-04 17:31:44) |
129. バウンス ko GALS
《ネタバレ》 コギャルという生態を色物的に描いた前半から、まともな青春モノとなる後半まで、実にアンバランスな一品。 はっきり言って、賞味期限切れな作品なのだが、今となってみると一つの時代を描いた作品として貴重とも言える内容となっている。 残念なのは、作品としての全体的な印象が、どこにでもありそうな適当な邦画のように感じられるところだ。 こういう軽いノリの作品なら、最後はあそこまでマトモにしめることなく、最初から最後まで軽いノリでいってほしかった。 もしくは、最初から最後まで社会派的な作風にして、重厚にまとめ上げるとか。 ただし、この作品の素晴らしいところは、コギャルや援助交際といった、当時社会的問題となったネタを、余すところ無くストレートに映像に残しているところだろう。 そういう点では、その時代を映した他にはない貴重な作品として、後世に残る可能性も秘めた作品である。 [DVD(邦画)] 4点(2009-08-29 03:03:28) |
130. 箱根山
ラピュタ阿佐ヶ谷にて鑑賞。 この日は、“川島雄三ハシゴ”という贅沢で、この後、「シネマート六本木」で『あした来る人』を観たわけで、まことに川島雄三三昧な一日だった。 さて本作だが、これはとっても楽しむことができた。 全編にわたって、川島雄三ならではの独特のユーモアが充満していて、それはそれは心地よい。 しかも、現代においても色褪せないユーモア感。 これはさすが川島雄三監督!のひとことだ。 東野英治郎と西村晃の古今水戸黄門対決は個人的にツボ。 それと、加山雄三は頭のきれる好青年を演じていて、嫉妬してしまうほどの男っぷり。 そして対する星由里子もとっても可愛らしい。 森繁久彌も抜群の存在感。 キャストに魅力あり、又、川島雄三のユーモアのキレ、箱根山についてのウンチクなど、見所盛りだくさんの喜劇で、観た後の満足感、いや満腹感はかなりのものだった。 [映画館(邦画)] 7点(2009-08-08 23:18:33) |
131. パンと植木鉢
《ネタバレ》 イラン映画で評判が良い作品と聞き鑑賞してみた。 今までに観たことのない独創的な演出と展開。 しかし、同時に解りづらい部分もあり、のめりこめるようなのめりこめないような複雑な心境のままラストカットへ。 パンと植木鉢が唐突に差し出されるラストカットは、理屈抜きの素晴らしさ。 だけど、なんだかモヤモヤすっきりしないものがあるのも事実。 理屈っぽいけど、理屈で観ようとすると楽しめない不思議なテイストの作品。 [ビデオ(字幕)] 6点(2009-07-28 23:29:33) |
132. 初恋のきた道
チャン・ツィイーが可憐で美しく映っていることは勿論だが、中国の農村風景がとにかく美しくカメラに収められている。 ほんと、ため息が出るほどの美しさ。 それと、やはりチャン・イーモウ監督は赤系の色の撮り方が徹底的に巧い。 チャン・ツィイーが身に纏っていた服の色も印象的だ。 チャン・ツィイーの恋人役の男優がいい味を出しており、いいスパイスになっていた気がする(笑)。 ただし、チャン・ツィイー自体は非常に美しいが、少々ミスキャストではないだろうか。 農村に住む純朴な少女にしては、表情が女優すぎる。 自然な美しさというより、職人芸的な美しさなのだ。 それとチャン・イーモウ監督の必死さが伝わってこないのもマイナス点。 元々綺麗なチャン・ツィイーを、持ち前の慣れた監督手腕で撮りあげ、器用に作品として仕上げた感があって、どうも物足りないのだ。 [DVD(字幕)] 7点(2009-07-26 03:33:36) |
133. パリの灯は遠く
《ネタバレ》 淡々と進む展開は、いかにもフランス映画って感じでそれはいいんだけど、話があまりにつまらない。 アラン・ドロン演じる主人公のフランス人をどんどん追い詰めていく内容で、その狙いは分かるのだが、スリリングさもないし、謎かけもないし、工夫がない。 それでもアラン・ドロンの魅力でなんとか魅せるが、それ以外に見所がないのが、どうにも救い難い。 [ビデオ(字幕)] 3点(2009-06-27 00:31:37) |
134. 番場の忠太郎 瞼の母
はっきり言って、話の内容は古過ぎて面白くはない。 きっとこれは、無声映画独特の雰囲気を味わうべき作品であろう。 [ビデオ(邦画)] 4点(2009-04-19 00:17:52) |
135. 八月のクリスマス(1998)
《ネタバレ》 美しく、そして厳粛たるドラマ。 人は死に直面して、どういう選択肢を取るか。 愛する人を悲しませないために、一人で死んでいくのか。 それとも、死ぬその最期の瞬間までそばに居てもらうか。 普通なら後者を選ぶだろうが、この作品における男は違った。 結婚していたならば、また話は違ってくるであろうが、結婚もしていない女性を悲しみのどん底に落としたくない、そういった気持ちがこの作品から強く伝わってくる。 自分が死にふれて孤独だから寂しいから、愛する女性に最期までそばに居てもらいたい。 そういう気持ちはエゴである。 だから、この男は一人で死んでいく選択肢を取ったのだ。 そこに悲壮感がないかと言えば嘘になるであろうが、相手を愛すればこその選択としては、あながち間違えていないのではないだろうか。 だけど、自分がこの男の立場に立たされたら、こんな選択はできないに違いない。 余生を、愛する女性と一緒にいたいと、ただそう単純に思うだろう。 結果として、相手の女性を悲しませてしまうに違いない。 死んでいく自分はそれでいいだろうが、残された女性はどうだろうか。 そこまで深い考察をして、この男は一人死んでいく選択をとったような気がする。 そういう風に考えてみたりすると、この作品は、とめどもなく深く、そして悲しいドラマなのだ。 韓国映画にしか出せない趣きが、この作品には感じられた。 これがもしアメリカ映画だったなら、こうは仕上がらないだろう。 韓国映画の底力、特に、ラブストーリーにおける懐の広さみたいなものを見せ付けられた気がするのである。 それにしても、愛しい女性を窓越しに手でさするシーン。 この作品を象徴するかのような、切なく、そして美しいシーンだった。 [DVD(字幕)] 7点(2009-04-08 22:07:07) |
136. パリ、ジュテーム
トム・ティクヴァ監督の作品とクリストファー・ドイルの作品が良かった。 後は流し見した感じ、というか、流し見にならざるを得ない感じ。 何しろ、一篇につき5分というのは、短すぎる。 『10ミニッツ・オールダー』では、10分だったが、その作品において、10分あれば十分堪能できるのが映画だと感じた。 しかし、5分だと厳しかった。 その点、トム・ティクヴァの作品は早送りの様なスタイルを採っており、威力を発揮していた。 アイデアの勝利だろう。 全体としてみた時、ジーナ・ローランズは、ずば抜けて存在感を発揮していた。 さすがの一言に尽きる。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-03-02 21:13:27) |
137. ハンニバル(2001)
頭を切り開いていくシーンの緻密さに脱帽。 リアルな髄膜が凄かった! [DVD(字幕)] 6点(2009-01-21 23:52:27) |
138. バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3
はっきりとは覚えていませんが、1や2に比べて理解しにくかった様な・・・ [ビデオ(字幕)] 5点(2009-01-21 23:49:16) |
139. バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2
前作同様、うまくできています。 今観たら、楽しめるかどうかは疑問ですが。 [ビデオ(字幕)] 6点(2009-01-21 23:48:50) |
140. バック・トゥ・ザ・フューチャー
平均9点オーバーですか・・・ そこまで楽しいとは思えませんでしたが、いい映画だとは思います。 [ビデオ(字幕)] 6点(2009-01-21 23:48:09) |