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プロフィール
コメント数 2397
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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1.  ハスラー 《ネタバレ》 
自分は大昔に少しビリヤードをやったことがあったけど、おそろしく下手くそでつくづく才能がないと凹んでしまった記憶があります。この映画では“プール”と“ビリヤード”という二種類の競技が登場しますが、競技自体にはほとんど焦点を合わせない撮り方をしているためにその違いはさっぱり判らない。ハスラーというのはどちらかというと裏街道の世界に属するプロで、日本で言うと雀荘に巣くうプロ雀士やパチンコ世界のパチプロみたいな存在みたいですかね。 60年代のハリウッドは中盤からはニューシネマの時代になるけど、この60年代の幕が開いたところで誕生した本作こそ、ニューシネマの先駆けとなったんじゃないかと自分は思っています。暗いながらも鮮明なモノクロ撮影で音楽もほとんどなしで淡々と進行し、ほとんどカタルシスを与えることのないラスト、50年代にはほとんど存在しなかったパターンの映画ですね。そして同じく60年代の特徴であるアクターズ・スタジオ出身俳優の活躍の掉尾でもあり、ポール・ニューマンも本作から演技派としての名声を高めることになってきます。またこの映画の凄いところは、ニューマン、パイパー・ローリー、ジョージ・C・スコット、ジャッキー・グリーソンという主要キャストが全員オスカー演技賞にノミネートされたということ。ジャッキー・グリーソンなんて本来はコメディアンというか芸人で、映画でのシリアスな演技は本作だけなんですからねえ。個人的にはやはりアクターズ・スタジオ出身のパイパー・ローリーのメンヘラ・アル中気味のヒロインに引き付けられました、彼女は本作以降76年の『キャリー』まで映画出演がなかったってのはほんと勿体なかったです。でもやっぱミネソタ・ファッツは、気が付いてみればほとんどセリフがなかったけど、渋すぎですよ。彼こそは映画史上最高のデブキャラだと確信した次第です。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2022-11-12 23:12:46)
2.  パリで一緒に 《ネタバレ》 
脚本家がストーリー作りに四苦八苦してそのアイデアというか妄想が劇中劇として展開されるというプロットは映画やドラマでときどき見かけますが、元祖は本作だったんですね。と思いきやこの映画はジュリアン・デュヴィヴィエの『アンリエットの巴里祭』のリメイクなんだそうで、始祖はデュヴィヴィエということになりますね。デュヴィヴィエの方は未見ですけど、パリ祭=革命記念日の出来事というのが共通点ですが、二人の男性脚本家が主人公というところからして違っていますね。本作もパリを舞台にしていますが所々で当時映画界を席巻していたヌーヴェル・ヴァーグへの皮肉めいたセリフがあったり、ハリウッドの楽屋オチというか脚本家稼業の自虐ネタで笑わせるというのがコンセプトみたいです。ウィリアム・ホールデンは中年の危機にぶつかって崩れかけていたころでしたが、オードリー・ヘップバーンはその全盛期の真っ只中ですから見惚れてしまいます。ギャグと言えばトニー・カーチスを徹底的にコケにするところが最高で、こんなキャラでも嬉々として(?)演じるカーチスはほんとイイ人なんだなあ(笑)。フランク・シナトラやマレーネ・ディートリッヒの贅沢な無駄遣いはさすがハリウッド映画という感じでしたが、カメオ出演のメル・ファーラーはいくらノン・クレジットとは言ってもあれじゃ誰だか判りませんよ。やろうと思えば徹底的にアヴァンギャルドな方向に持っていけるコンセプトなんだけど、そつなくこじんまりと纏めてしまったのは残念なところ、メル・ブルックスなんかに監督させたら面白かったろうなと妄想してしまいます。 昔読んだ映画の名セリフを集めた本に「『フランケンシュタイン』と『マイ・フェア・レディ』は同じ物語だ、終わり方は逆だけどね」という名言が載っていたんですが、これは本作で使われたものだったんですね。でもヘプバーンもまさか翌年にジュリー・アンドリュースを押しのけて『マイ・フェア・レディ』で主演するとは夢にも思わなかったでしょうね。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2022-09-21 21:56:04)
3.  ハマーヘッド 《ネタバレ》 
60年代に山ほど製作された007亜流映画の中の、現在ではほとんど忘れられた一編です。なんでこんな珍品がCSで放映されたのかというと、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』公開記念でタランティーノがチョイスした60年代映画を放送する企画の中の一作だったから。まあタランティーノは「俺はこの映画が好きだ」とは語っているけど、決して「これは隠れた傑作だ」とか「万人うけする」とかは一言も言ってないので、念のためお断りしておきます。 まず題名のハマーヘッドとはこの映画の悪役ボスの名前です。これだけで『ゴールドフィンガー』を思い浮かべてしまいますが、ハマーヘッドを演じるピーター・ヴォーン(60・70年代の英国映画で活躍した名バイ・プレイヤー)からしてゴールドフィンガー=ゲルト・フレーベそっくりの風貌ですから、もう狙っています。対するのはヴィンセント・エドワース演じる諜報員チャールズ・フッドというわけですが、とにかくこの映画はフッドやハマーヘッドの素性についてほとんど説明がないので、まるで上映途中から映画館に入ったような気分にさせられます。初っ端に見せられるいかにも60年代風の前衛アート集団の乱痴気パフォーマンスでフッドと出会った不思議ちゃんとしか言いようがない娘が、その後まるで背後霊みたいにフッドに付きまとうところがこの映画のヘンなテイストになっているんです。舞台がリスボンになってからもフッドとハマーヘッドの間にご都合主義で入り込んでくるし、「そんなに世界が狭いわけないじゃん!」と突っ込みたくなります。この娘ジュディ・ギーソンは最初からウザくて堪りませんが、だんだん愛らしく感じてくるのが、この女優さんの力量なのかもしれません。フッドも大してケンカは強くなく、スパイのくせして銃を撃たないどころか手にすることもなく、おまけにストーリー展開もダラダラしてるので映画館で観ていたらきっと睡魔に負けてしまったでしょう。まあいちばんこの映画でヘンだと言わざるを得ないのは、ハマーヘッドは移動にヘリを使うのですが、そのヘリが決して着陸せずハマーヘッドを衣装ダンスみたいな箱に入れてウィンチで降ろすところでしょう。 タランティーノのB級映画愛は判るけど、ここまで来ると凡人には付いてゆけないなあ…
[CS・衛星(字幕)] 3点(2019-10-16 23:36:34)
4.  バラバ 《ネタバレ》 
「キリストが身代わりに死んでくれた男」盗賊バラバの数奇な運命を描いています。原作はノーベル文学賞を受賞したペール・ラーゲルクヴィストの傑作小説、映画化に挑んだプロデューサーはディノ・デ・ラウレンティスで監督はリチャード・フライシャーだけど実質イタリア映画です。当時のマカロニ映画界では“サンダルもの”とバカにされていた古代ギリシャ・ローマ帝国の歴史スペクタルが一ジャンルを確立していましたが、この映画はそういう駄作・凡作とはとは明らかに一線を画する良作だと思います。これもリチャード・フライシャーの力量がなせる業かもしれませんが、とにかく丁寧に撮られた作品です。 新約聖書に出ているお話しに沿った前半部分は、イエスに命を助けられたのにちっともイエスの教えを理解しようとしないバラバの姿が描かれます。もっとも無宗教の私にもイエスの復活なんて信じられませんし、大部分の人にもバラバの観方はしごく合理的だと思うはずです。逆に一度恩赦を受けたから盗賊稼業に戻ってまた捕まっても死刑にならず、硫黄鉱山に送られて20年奴隷労働をしても生きている、「死にたくても死ねない男」となってしまったバラバの苦悩が浮き彫りとなります。アンソニー・クインが好演しています。物語が大きく動くのはバラバが剣闘士になるべくローマに連れていかれてからです。このローマのシークエンスがカネもかけて大掛かり、この映画の大きな見どころかと思います。特に剣闘士の生活とコロセウムの描写は素晴らしく、これは『スパルタカス』を超えていると思います。それがセットなのか現存する遺跡なのかは判りませんが最上階までエキストラで埋め、「なるほど、ローマ帝国はこうやって民衆にショーを見せていたんだな」と納得できる再現力でした。 まあ間違いなく言えることは、この当時のキリスト教信仰は中世以降そして現代の私たちが知っているキリスト教とは、別物だということでしょう。ペトロの言葉を真に受けてローマに放火してしまうバラバの行動には、これからどんどん血生臭くなってゆくキリスト教の行く末を暗示しているようにも思えました。原作小説のおかげかもしれませんが、思った以上に奥が深い映画だったと思います。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2018-04-03 21:09:56)(良:1票)
5.  ハーロー 《ネタバレ》 
26歳で死んだ伝説の女優、ジーン・ハーローの伝記映画。と言っても事実とはかなり違った脚色になっています。 映画が始まると、撮影所の開門を待つ多数の男女が映されます。始業時間になり撮影所に入ってゆくと、この男女たちは流れ作業のように部屋を巡ってゆき、どんどん衣装を着け女はメイクをして様々なキャラになり、建物から出てきます。ベルトコンベヤーに載せられた素材が加工されて製品になってゆくみたいで、かつてのハリウッド撮影所のシステムの一端を巧みに見せてくれるオープニングです。 登場人物は、ハーロー、彼女を売り出すエージェント、母親とヒモみたいな継父、自殺してしまう夫、の各人までは実名ですが、他の登場人物はモデルになる人はいるんでしょうけどみな架空の人物になっています。ハーローが出演した映画も当然ストーリーテリングの中で触れられるわけですが、これもすべて架空作という徹底ぶりです。私生活もかなり盛っていて、スターになってからピーター・ローフォードが演じる脚本家と結婚するのですが、それが初婚ということになっています。実際には彼女はその前後にも結婚していて短い生涯で三回結婚、初婚は実は16歳だったそうです。こんなハリウッドでは周知のことを脚色して、どういう意味があるんでしょうかね。もっとヘンなのはハーローを伝説の存在に高めた『地獄の天使』とご存知ハワード・ヒューズについて全く触れていないことでしょう。レスリー・ニールセンが演じるキャラがヒューズをモデルにしているのかな、と言えなくもないですけど、映画の中ではハーローの無名時代に一作だけ監督しているので、あまりにかけ離れています。またハーロー役のキャロル・ベイカーも、あんまりハーローの雰囲気が出ていないのも不満でした。 というわけで、冗長な凡作ですとしか言いようがないんですけど、それでも光ったところはあるもんです。まずエージェントのレッド・バトンズ、成功のためなら手段を選ばないけど、ハーローには最後まで誠実に接します。まあ原作者がこのエージェントなので善い人なのは当然でしょうが、バトンズの演技は光っていました。そしてハーローの継父役のラフ・ヴァローネを、私は強く推したいです。もうこの人はハーローの稼ぎしか頭にない単なるヒモ男だと思っていたら、ストーリーが深まるにつれて実は矜持を秘めた男だったと判ってきます。ハーローの臨終の床に佇む彼の表情には、なんかグッとくるものがありました。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2017-08-04 23:14:40)
6.  バニー・レークは行方不明 《ネタバレ》 
いかにも英国ミステリーらしさがあふれる一篇で、監督はハリウッドの異端児オットー・プレミンジャーだけど英国映画なんです。このプロットの映画は本作の前にも後にも幾つか撮られていて自分も何本か観たことがありますが(たとえば『フライト・プラン』とか)、この映画がやっぱりいちばん面白かったんじゃないかな。まず消えた女の子バニーを事件が起こる前に観客に見せないのが上手い。これが俗に言う「実存的不安」をかき立てる良い効果を出しています。いかにも変態っぽい家主のノエル・カワードや保育園の女主人マーティタ・ハントといった怪しげな登場人物たちがまたいい味出しているんですが、この人たちは伏線なのかと思いきや単なる賑やかし屋だったのはもったいない。でもキャロル・リンレーの不安げで神経症気味な演技は良かったと思います、サディスト監督の異名を持つプレミンジャーのことだから、そうとう彼女を追いつめる演出をしたんだろうな。大ネタばれになるのであまり詳しく書けないけど、終盤の彼女の演技というか脚本構成が実に巧みなのでぜひご覧あれ。 でもバニーの父親は実はあの人じゃないかというモヤモヤがどうしても残るんですけど…
[DVD(字幕)] 8点(2015-09-18 23:37:07)(良:2票)
7.  裸のジャングル 《ネタバレ》 
独特のテイストを持った戦争映画『ビーチレッド戦記』を撮ったコーネル・ワイルドが監督の忘れられた逸品、近年はメル・ギブソンの『アポカリプト』のパクリ元として一部では有名になっています。彼は元オリンピックのフェンシング代表選手からハリウッド入りしたB級映画専門のアクション俳優(経歴からするとジェイソン・ステイサムみたいですね)でしたが、それよりも俳優出身監督としてメル・ギブソンやイーストウッドの先がけ的な存在です。本作のプロットやエピソードは『アポカリプト』がそっくり真似しているそうなのでそっちを参考にして下さい、というわけにはいきませんよね(笑)。 コーネル・ワイルド扮するガイドが仕切る像狩りツアーの一行は、メンバーが侮辱したせいで原住民に捕まってしまいます。白人もポーターの黒人もなぶり殺しにされますが、ワイルドだけは素っ裸で草原に放たれ8人の原住民たちの人間狩りゲームの獲物にされてしまいます。厳密にはジャングルじゃなくてサバンナなんですけど、ワイルドはけっこう逃げ足が速くまず反撃で1人殺してとりあえずサンダル、次に殺した奴からパンツと武器を装備して態勢を整えます。 実はワイルドたちが捕まる開幕10分以降、この映画では英語のセリフは皆無になります。あとは現地人たちが喋るスワヒリ語(?)だけになり観客にコミュニケーション疎外感を味あわせるのが監督の狙いでもあるんですが、何とDVD版には現地人の会話に字幕が付くんですよね。彼らのセリフが判らなくても観てればだいたい判りますし、雰囲気を味わうためにも字幕オフをお奨めします。人間たちの追っかけっこのシーンと交互に野生動物たちの狩りの実写フィルムが挿入されるんですが、これがけっこうエグイんです。アナコンダがオオトカゲを絞め殺すところや大ガエルが小ガエルを共食いするなど、でも観てると人間狩りしている連中も同じ野獣なんだなと納得させられました。途中、アラブ系の奴隷商人軍団が原住民の村を襲って奴隷狩りするところに遭遇し、逃げ遅れた少女をワイルドが助けるエピソードもあります。この少女とのふれあいと別れは良く考えられた脚本で、ジーンとくるものがありました。 ラストはなんか清々しいんですけど、観れば判りますけどそっくり『プレデター2』がパクってます。こうやって考えると、この映画は後世の作品に影響を与えたり丸ごとパクられたりしていて、まさに隠れた傑作と呼ぶに相応しいと思います。
[DVD(字幕)] 9点(2015-09-10 21:41:05)(良:1票)
8.  華岡青洲の妻 《ネタバレ》 
傍目には良好な関係を築いていたように見えた於継と加恵が、映画が始まって30分近くなってようやく青洲が登場した途端に息が詰まるようなバトルを始めるところがまた強烈。雷蔵・若尾文子・高峰秀子の壮絶な演技合戦は、もうこれは必見としか言いようがありません。高峰秀子がこんなに怖い女を演じてたなんて今まで知りませんでした、ほんと迂闊でした。華岡青洲という人は努力の天才でエゴイスト、そしてマッドサイエンティストだったんだなと言うことが良く判ります。 新藤兼人の脚本に冷徹な増村保造の演出なんだから、そりゃあ凡庸な映画になるわけがありません。麻酔が効き始めて悶え苦しむさまや二度の出産シーンなど、こういう題材でもきちんと若尾文子のエロティシズムを見せてくれるところは増村保造ならではです。そしてマンダラゲの畑の中に若尾がすうっと姿を消してゆくラストカットがまた素晴らしいんです。 昭和の女優の底力を堪能させてくれる一本です。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2014-10-24 22:29:22)
9.  反撥 《ネタバレ》 
カトリーヌ・ドヌーブのフィルモグラフィ中最高のセクシー&露出度(なんせこの人は映画でヌードを見せたことが今まで皆無だし、これからもないでしょう)、そりゃ出演シーンの半分以上はネグリジェ姿ですからね。このネグリジェがまた悩ましくて、陽光に透けると彼女のボディー・ラインが見えちゃうんですよね、直接ハダカを見せられるよりはるかに刺激が強いです。ドヌーブって女優はホントは演技力はけっこうあるのにしゃかりきに演技を見せるタイプないのでどっちかと言うと世間では大根のイメージが強いのですが、本作を観れば若いころから高度な表現力を持っていたことが良く判ります。なにがすごいと言えば彼女の眼で、タイトル・バックの目玉の大写しから始まるぐらいですから最後まで眼の演技で狂気を表現しきってしまいます。 そして何度観ても生理的に拒否感を覚えてしまうのが壁から腕がニョキニョキ生えてくるシーンで、こんなこと考えつくロマン・ポランスキーという人は天才なのかド変態なのか、たぶん後者なんでしょうね。でも姉貴の愛人に抱きかかえられて笑みを漏らすラストのショットを観たら、ウサギやらの色んなメタファーの意味が判って脚本の巧緻さには感心させられました。
[DVD(字幕)] 8点(2013-11-13 22:19:56)
10.  ハロー・ドーリー! 《ネタバレ》 
かつてハリウッドの古き良き時代のミュージカル映画が世界を魅了しましたが、その時代に幕を下ろすには相応しい華やかな一品です。天才J・ケリーがメガホンをとった最後のミュージカルでもあります。振り付けはM・キッドなのでJ・ケリーの様なモダニズムを追求したダンスではありませんが、かえって昔の『ショウ・ボート』みたいな懐かしさに溢れている映画だと思います。それでもあのレストランでのウェイターのダンスには、J・ケリーらしいダイナミズムが感じられました。それにしてもレストラン“ハーモニア・ガーデン”や19世紀末のNYの街並み、美術にはもの凄いカネをかけているのが良く判ります。 W・マッソーはあの歌唱力ではミス・キャストなのでしょうが、B・ストライサンドはもう「さすが」としか言いようがありません。この映画のときは『ファニー・ガール』の翌年でまだ27歳ぐらいですから、すでにここまで完成された歌唱力を持っていたとはこの人怪物ですよ。サッチモ御大とからんでも全然貫禄で負けてないのもまた凄いところです。さすがにダンスは見せませんでしたが、これがS・マクレーンが主役なら踊りまくるところでしょう。
[DVD(字幕)] 8点(2013-08-18 21:12:19)(良:1票)
11.  博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか 《ネタバレ》 
キューブリックは数少ないフィルモグラフィの中で色んなジャンルの映画をとっているが、彼が撮った唯一のコメディはブラックコメディとしては究極の域に達したと思います。なにがすごいと言ったら、P・セラーズ、G・C・スコット、S・ヘイドン、S・ピケンズ、P・ブルといった主要登場人物が全員で映画史に残る強烈な怪演を繰り広げてくれるところでしょう。良くこの映画ではセラーズの三役が話題にされますが、そんな彼を上回る凄まじい怪演でもっと評価されるべきなのはG・C・スコットのタージドソン将軍ですよね。この将軍のキャラは、当時の空軍司令官のC・ルメイ大将(太平洋戦争でB29による無差別爆撃戦略を実行した張本人)がモデルだそうですが、実は狂人なんじゃないかという説まであったルメイを強烈にカリカチュアしていて見事です。 いきなり空中で交尾しているB52爆撃機を見せてくれるオープニングは洒落てます。このB52が飛ぶシーンのチープな特撮がまた曲者で、完璧主義者のキューブリックですから低予算を逆手にとって狙った映像なのは明白です。地上戦闘のシーンも手持ちカメラで撮ったニュースフィルムみたいで、キューブリックの拘りが伝わってくるところです。そして“We'll Meet Again”をとんでもない映像にかぶせるあまりに有名なエンディング、そのセンスは今の眼で観ても鳥肌が立ちます。 こうして観ると、この映画は筒井康隆の初期の疑似イベントSFに通じるところがありますね(と言うより、筒井康隆の方が影響を受けたのかもしれません)。
[映画館(字幕)] 9点(2013-04-09 23:37:21)(良:1票)
12.  爆弾を抱く女怪盗 《ネタバレ》 
数ある新東宝プログラム・ピクチャーには「ヒーローが菅原文太の映画は地雷である」というある確固たる法則があります。というわけで、またまた地雷を踏んで爆死してしまいました(笑)。 伯爵令嬢の高倉みゆきが何故か怪しい集団のボスになって、戦中に父を殺して財産を横領した沼田曜一に復讐すると言うお話しです。高倉みゆきは新東宝女優の中では珍しく東宝や松竹でも通用する様な気品を持っています(演技力は別の話ですが)。他にも三原葉子や三条魔子も出ていますが、ファンの意表を突くようにお色気シーンはほとんどありません。それどころか、三原葉子は沼田曜一の愛人としていつものファム・ファタールぶりを見せていたのに、なぜか中盤から姿を見せずに映画からフェード・アウトしてしまいました。別に本作に限ったことではないのですが、新東宝は素人が脚本を書いたとしか思えない様な映画が多いのには呆れます(まあそこが楽しみとも言えますけど)。 『爆弾を抱いた女怪盗』という題名の意味はラストまで観てようやく判りましたが、正しくは『爆弾に括りつけられた女怪盗』なんです。でも普通この映画にこんな題名つけるでしょうか、これも新東宝テイストなんです。
[CS・衛星(邦画)] 3点(2012-12-17 23:11:32)
13.  遥か群衆を離れて(1967) 《ネタバレ》 
原作は『テス』で有名な英国の文豪トーマス・ハーディが若いころに執筆した小説。トーマス・ハーディの小説と言うとヒロインがボロボロになる暗いお話しが多いけど、まだ若いころに書いた小説なので『テス』や『日蔭者ジュード』とはだいぶ作風が違います。ジュリー・クリスティが伯母の遺産である農場を相続したヒロインです。彼女と求婚してきた三人の男たちとの波乱万丈の物語というわけで、ひたすらに農場を守ろうとするジュリー・クリスティの姿は『風と共に去りぬ』のスカーレット・オハラに似たところもある。このヒロインが実は大変に困ったちゃんで、男性や恋愛に関する感覚が自己チューすぎるのです。 映画が開幕してわずか5分あまりで振られてしまうアラン・ベイツはしょうがないとしても、お隣の農場主であるピーター・フィンチから求婚されても、なかなか返事をしない。ぐずぐずしてるうちに女癖の悪い騎兵軍曹テレンス・スタンプと出逢ってこいつとあっという間に結婚しちゃう。可哀想なピーター・フィンチはその後も彼女に翻弄され、ついに人生を破滅させられてしまうのです。 ある意味元祖ハーレイ・クイン・ロマンスみたいなお話しですが、英国南部の美しい田園風景が丁寧に映し出されていて、インター・ミッションまである長さも不思議と退屈せずに観れちゃいました。きっとオスカーにノミネートされたリチャード・ロドニー・ベネットの音楽が良かったせいでしょう。 まあ元が大した小説でもないので(失礼)、映画化するにはもっと大胆な脚色が必要だったかもしれません。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-07-06 20:53:08)
14.  8 1/2
本作は70年代ぐらいまでは「映画史上オールタイムベスト1」に選ばれていたぐらいでしたのに、最近はだんだん評価が下がってきちゃいましたね。製作された時代はお隣のフランスではヌーベル・バーグの嵐が吹きまくっていたころですが、不思議とイタリア映画界には影響が少なかった様に思います。そんな中でフェリーニのゴダールやトリュフォーの挑戦に対する答えが本作なのです。 映画作家の夢や妄想をそのまま映画にしちゃったのは当時としては前代未聞の快挙で、この手法は後年さまざまな映画監督が自分の『8 1/2』を撮っていることでも本作のずば抜けた偉大さが判ります。フェリーニはユング心理学の信奉者だったそうですが、自分の実際に見た夢をこれだけ壮麗な映像に再現できるとは、いやはやさすがマエストロですね。 「難解だ」と言う感想が多いですが、D・リンチのようなときとして観客を無視する様な「訳のわからなさ」と比べれば、フェリーニには人間味が濃厚ですから、これほど判りやすい監督はいないのではと思いますけど。 「歳をとってから観て良かった」というのが自分のいちばんの感想ですね。あの有名なラストシーンには、不覚にも涙がこぼれてしまいました。
[DVD(字幕)] 10点(2010-08-24 20:54:21)(良:1票)
15.  裸のキッス 《ネタバレ》 
もう冒頭からコンスタンス・タワーズのスキンヘッドに強烈なパンチを喰らいます。しかしタイトルバックにもなっている彼女のカツラが吹っ飛ぶショットは、良く観るとバックにカツラをもぎ取るスタッフの腕が一瞬映るのですよ。いかにもサミュエル・フラーらしい粗っぽさなのですが、そんなこと気にならないほどのインパクトを持ったオープニングです。 B級ノワールや西部劇でしかお姿を拝めないタワーズですが、本作では「こんなにいい女優がいたんだ」と感嘆するほど魅力にあふれています。またフラーは劇中で登場人物に歌わせるのが上手くて、病院で子供たちがタワーズに歌ってみせるシーンは、思わず涙が出るほど素晴らしい名場面です。幼児に対する性犯罪を正面から題材にしたのは本作が初めてだったそうですが、もちろんこの時代では非常に象徴的な表現にとどまっています。逆にそのあいまいな描写が、スタンリー・コルテスのコントラストが強いモノクロ映像が描くちょっと不気味な田舎町の人間模様と相まって、独特の幻想的な雰囲気になっていて効果をあげています。 やはり本作がフラーの最高傑作だと思います。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2010-08-22 13:34:09)
16.  パーティ 《ネタバレ》 
B・エドワースとP・セラーズのコンビはそりゃ『ピンクパンサー』シリーズの方が有名ですが、『ピンクパンサー』の作風をドリフのコントとすると、本作のセラーズの芸はさしずめ初期のビートたけしがやってたコントの味わいが感じられます。前半はとくにセリフが極端に少なく、セラーズの体を張ったパントマイム風演技はなかなかの見ものです。顔を多少黒く塗っただけで妙にインド人っぽくなっちゃうセラーズの芸は大したものです。そう言えばプロットや展開は、J・タチの『ぼくの伯父さん』や『ぼくの伯父さんの休暇』に似てますねー。B・エドワースがタチに捧げたオマージュなのかな。 H・マンシーニの音楽が意外とはじけていないのがちょっと残念でした。
[DVD(字幕)] 6点(2010-08-16 21:58:10)
17.  バーバレラ
これは予想以上のおバカ映画です。まずジェーン・フォンダが無重力状態でストリップをやってくれるタイトル・バックがいいですね~(モーリス・バインダー御大の傑作です)。60年代らしいキッチュな色遣いの映像と、チープな合成と特撮には懐かしさを感じてしまいます。観ているうちに気がついてくるのですが、この映画『フラッシュ・ゴードン』に登場キャラやメカが似ているのですよ。そういや『フラッシュ・ゴードン』のプロデューサーもラウレンティスでしたね。全体に漂う雰囲気もどこかアメコミ風ですしね。 そしてB級テイストを一段と際立たせてくれるのが出てくる俳優たちの学芸会なみのゆる~い演技で、これはヴァディムが笑いを狙ってたのか単にヘボなのか悩むところです。地下革命軍の首領デビッド・ヘミングスが出てくるシークエンスは、あまりに意味不明でくだらないギャグの連続であきれ返ってしまいました。まあこれは、ヴァディムとラウレンティスの自己満足に満ちた映画史に残る珍作であることは確かですね。
[DVD(字幕)] 5点(2010-07-07 00:17:56)
18.  バージニア・ウルフなんかこわくない 《ネタバレ》 
言葉には暴力性があることは承知していますが、同じフレーズでも「文字にして紙に書く」のと「言葉を音声として発する」のではコミュニケーションの手法としていかに性格が違うのかと考えさせられました。テイラーとバートンの血が出るような罵り合いは、まさに「セリフのボクシング」と呼べるのでは。たった四人しか登場人物がいないのに、四人ともオスカーにノミネートされて二人が受賞って、ちょっとすごくないですか? 四人の中でもテイラー・バートンの毒気にあてられて、冒頭とラストでは同じ人格とは思えないほどボロボロになっちゃうS・デニスの演技の上手さには感心させられました。ちなみに本作はハリウッド映画で初めて“Fuck”というセリフが使われた記念すべき作品だそうです。実際のところどこで使われたか気がつかないほどですが、まさか40年後には“Fuck”だらけの映画が量産されるとは、当時の観客は想像もしなかったでしょうね。
[DVD(字幕)] 9点(2010-05-20 20:56:42)
19.  バターフィールド8 《ネタバレ》 
全盛期のE・テイラーを堪能させていただきました。ストーリー自体は『椿姫』みたいな古風なものですが、ヘイズ・コードがまだうるさかった頃で脚本は何度も書き直しさせられたみたいです。テイラーは高級娼婦のはずなのに、冒頭のシーン、一夜のお代を払った男に何で激怒するのか意味不明です。ルージュで『売りものじゃない!』って鏡に書く有名なシーンがありますが、あなた娼婦でしょ。こういうわけが判らない部分に検閲の跡が見られます。そこまでされてこの原作を映画にすることないじゃん、と思うのですがいろいろ大人の事情があったんでしょうね。結局テイラーは本作でオスカー初受賞となるのですが、この映画に対してテイラーが残したコメントはもう凄まじいものです。確かにお世辞にも名作とは言えない出来ですが、自分がオスカー獲った映画をここまでボロクソに貶したのは、後にも先にもE・テイラーだけでしょう。
[DVD(字幕)] 4点(2010-05-19 22:37:56)(笑:1票)
20.  パリは燃えているか 《ネタバレ》 
パリ解放は実は非常に政治的な出来事で、この映画でも前半のレジスタンス勢力の動向は予備知識がないと判りにくいと思います。要はドゴール将軍の勢力と共産党の主導権争いで、戦後のフランスを誰が支配するかという争いでもあったのです。登場するレジスタンス側の人物はみな政界の実力者になった人たちで(アラン・ドロンが演じたシャバンデルマは首相にまで登りつめました)、彼らに対する配慮がこの大作を薄味にしてしまったのではないでしょうか。史実に沿ってはいますがどこか綺麗ごとが目立ち、ヒトラー以外はみんなパリを救うために体を張った善人だったというのはちょっと苦しいですね。確かにそうそうたるスターが観れますが、ルネ・クレマンの演出に緊張感が乏しく、戦闘シーンにも緊迫感がないですね。ラストだけカラーでパリの街が映しだされるところは良かったです。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2010-01-27 01:54:10)
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