41. ピアニストを撃て
《ネタバレ》 フランソワ・トリュフォー監督作品、23本目の鑑賞。 残るはあと1本。 さて、ストーリーの展開としては、決してつまらなくはない。 トリュフォーがアルフレッド・ヒッチコックに傾倒して、本作を撮るに到ったという話だが、やはりトリュフォーにクライムサスペンスを撮らせると少し苦しい。 トリュフォーには洒脱で悲哀に満ちた青春映画が向いている。 その時分に撮ってみたいジャンルの映画を撮れたという意味では、トリュフォーにとってはさぞかし満足だっただろう。 有名ピアニストが、過去の辛い経験を経て、場末の酒場でピアノを奏でる。 そうした締め方は、それなりの味わいがある。 でも、それはサスペンスとしての味わいというより、トリュフォーが得意とした、人間の悲哀を描いたラストだったからだろう。 [ビデオ(字幕)] 6点(2011-04-18 23:41:06) |
42. 美女と野獣(1946)
寓話は寓話として割切って観たつもりだが、さすがに入り込むことはできなかった。 幼い頃に観ていたら、またその感じ方も大きく異なっていただろう。 まだ純粋な心を忘れていない少年少女たちに、是非観てもらいたい芸術作品の極み。 [ビデオ(字幕)] 5点(2011-03-24 14:29:26) |
43. ピノイ・サンデー
《ネタバレ》 フィリピン・台湾合作映画。 生粋のアジアンテイスト全開! ストーリーは何てことないし、支離滅裂な部分も感じられる。 しかし、アジアの香りが画面いっぱいから感じられるのが良い、いや、それだけで観る価値がある。 中盤のメインとなる、赤いソファーを運ぶ珍道中のエピソードは少し長かったかなぁ。 前半と終盤の人間模様をもっとメインに据えて、ドラマ仕立てにしてくれれば、もっともっと面白いアジアン映画になったかも。 もし逆に、赤いソファーを運ぶくだりをメインに見せたいのなら、最初から最後まで赤いソファーを運ぶことを題材にしたロードムービー色豊かな作品にしてしまうとかもありだったようにも思う。 その辺の完成度とか、構成のゆるい感じが、逆に言えばこのアジア映画の魅力だったりするのかもしれないが。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-03-01 22:53:08) |
44. 陽のあたる坂道(1958)
《ネタバレ》 3時間半に渡る大作だが、それほど長くは感じなかった。 冒頭の石原裕次郎と北原三枝の出会いのシーンからして魅力たっぷり。 映画が始まって、裕次郎が登場して、そしていきなり北原三枝の胸をチクリと触る。 まさに、触りからテンションが上がった。 途中、北原三枝が豪邸の芝生の上で、優雅にバレエダンスを披露するシーンが出てくる。 素人目から見ても、そのダンスたるや、しなやかで実に美しく、魅了されてしまった。 この頃の北原三枝は、エキゾチックな容姿とスタイル抜群のスレンダーな肢体を併せもち、この時代にしてはオバサンパーマではなく現代から見ても普通の髪型であり、また、このバレエダンスの素晴らしさときたら、何でも揃っていて、大スターの裕次郎が嫁に選んだのも頷ける完璧さ。 話としては、大金持ちの一家に渦巻く、複雑な血縁関係や身体的な障害、そしてそれに伴う各人それぞれのコンプレックスを、長い尺を有効に使って丁寧に描いており、3時間半たっぷり楽しめる内容。 裕次郎のキャラが際立って異質で、表面的には怖いくらいに明るく颯爽としているのに、何故だか屈折しているものを内に秘めている。 その何だか得体の知れない、いびつな人間性が実にミステリアスで魅力的あり、最後までひきつけられた。 よくある名家の内幕を描いた作品とは一線を画し、ドロドロとした人間模様を前面に押し出すのではなく、あくまで表面的にはドライなイメージで家族を描いており、その合間に、時折ダークな家族の内情が垣間見えるといった作りで面白い。 青春モノとしても十分に楽しめるし、裕次郎ファンも楽しめるし、北原三枝や芦川いづみといった女優の魅力も堪能できるし、3時間半という長い尺が、実に合点のいく大作である。 限られた登場人物のほとんどが、実は血縁関係にあるという設定には、やや都合の良さを感じるものの、ラストの終わらせ方が実にうまく、未来に希望を持てるすがすがしいラストには、十分満足がいった。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2010-10-11 01:24:17) |
45. PTU
《ネタバレ》 ラム・シューがずっこけて拳銃を失くすところから全てが始まり、最後も同じ場所でずっこけて拳銃を見つけ、丸くおさまる。 この最初と最後のリンクは、さすがジョニー・トー。 ただ全体的には、鼻につくわざとらしい小細工が多く、ややうざったい。 作り手側が、「これやっとけば面白いだろ」みたいな、自己満足的な演出が目立った。 これこそがジョニー・トーの持ち味と言えるが、好きな人は好きだろうけど、特別ジョニー・トー監督に思い入れのない私には、少々クドかった。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2010-07-29 23:03:55) |
46. ビバ!監督人生!!
数々の映画賞を受賞し、2008年上半期台湾の興行収入第1位を獲得した作品だけあって、大いに楽しめた。 内容的には、“台湾版「監督・ばんざい!」”と言われているように、監督自身の人生を重ね合わせた様なもので、人生の悲喜こもごもが詰まっている。 こういったアジアの良作を楽しめる機会は少ないだけに、観ることができただけも嬉しい限りである。 追記。 ラストのインタビューシーンの一番最後に出てくる女のコがあまりに可愛くて、作品自体を忘れそうになりました! [DVD(字幕)] 7点(2010-06-19 00:41:01) |
47. ビリディアナ
《ネタバレ》 カンヌ映画祭パルムドール作品。 生理的に気分の悪いシーンが何度も出てくるが、カンヌが好みそうな濃い演出と負のパワー漲る内容に圧倒された。 ビリディアナを演じたシルヴィア・ピナルという女優さんは、ブロンドが映えとにかく美しく、それとは対照的に下賎の民たちは、色々な意味で恐ろしく醜い。 この対照的な二つの存在が交錯し、やがてはビリディアナを汚染していくという流れに、変態と名高いルイス・ブニュエルの変態たる所以をみた気がする。 終盤の“最後の晩餐”は圧倒的にやかましく不快。 しかし、それを呼び寄せたのは、美しきビリディアナ。 軽はずみな施しが、やがては惨劇を生むという流れは、まさしく「反宗教的」だ。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2010-06-15 01:45:01) |
48. ひかり
初めて観る生粋のアフリカ映画。 アフリカ映画を観るという行為自体が自分にとっては新鮮の限りで、ある意味それだけで、もう満足。 内容は・・・まあ、よく分からないというのが正直なところ(笑)。 宗教がらみの表現が多く、理解は困難。 アフリカの風景・文化・民俗・風習などを観るだけで良いのかもしれないし、私にはそれくらいしか楽しむ術がない。 日本・中国・韓国・台湾・香港・タイ・ベトナム・インドネシア・マレーシア・シンガポール・フィリピン・アメリカ・フランス・イタリア・ドイツ・イギリス・オランダ・ポーランド・スウェーデン・オーストリア・スペイン・スイス・フィンランド・ベルギー・デンマーク・ロシア(ソ連)・ベルギー・モンゴル・インド・ニュージーランド・オーストラリア・ブラジル・メキシコ・キューバetc...そしてアフリカ(マリ、ブルキナファソ)と色々観てきたが、地域的には、ほとんど網羅できた気がする。 次なる未見の地域、国はどこだ?! [ビデオ(字幕)] 5点(2010-06-03 22:02:16) |
49. ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!
これはビートルズファンのための映画であって、決して映画を広く楽しむ人の観るべき代物じゃない。 映画以下の単なるPV。 映画としてみたら駄作以外の何物でもない。 そして、ビートルズの演奏に感涙している少女が何人も映っていたが、異様に腹がたった。 アホか!と正直言いたくなった。 [CS・衛星(字幕)] 0点(2010-05-22 19:13:09)(良:1票) |
50. 人のセックスを笑うな
《ネタバレ》 美術大学を舞台にした男女の織り成す青春ドラマの佳作。 ゼロ年代映画ならではの味わいと雰囲気を感じた。 だが、中途半端な完成度。 これといって穴はなく、それなりに楽しめたが、かといって何か突き抜けるものがないというか、際立った感慨を得られずに終わってしまった。 女流監督臭さが出すぎの感ありで、それは永作博美にまさに投影されていて、どうも観ていて男の私には居心地が悪い。 でも確かに、若い男にとっては永作博美のようなお姉さんは、魅力に感じるだろう。 蒼井優もかわいいけど、なんか刺激が足りないんだろうなぁ。 そういう意味では、主人公の男の気持ちは分かる。 だけど、結婚していると分かった時点で、もう少しドライになれないもんかなぁ。 でも、それが若さってもんか。 この女流監督、映画を撮る巧さ、映画に対する愛みたいなものは感じるが、天才的なセンスは感じられない。 だけど、それが等身大の若者像を撮るのには、丁度適しているのかもしれない。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2010-05-17 22:46:22) |
51. 非情都市
《ネタバレ》 三橋達也が新聞記者で、特ダネの為なら何でもやる。 危険はかえりみない。 新聞社という組織からもはみ出し、単独行動で特ダネ捜し。 これじゃあ、最終的に葬られるわ・・・と思いながら観ていたら、既に題名である程度ネタバレしてるじゃん! 三橋達也は熱演していたが、どうにもゾクゾクするような面白さが足りない。 淡々と、一人の男が泥沼にはまっていくのを見させられている感じ。 そんな中、司葉子が素足にストッキングをたぐりながら履くサービスシーンが登場! やっぱり鈴木英夫監督、本作でもやってくれた! 下から上へ司葉子の脚を舐め回す用に映すという、鈴木英夫監督ならではのツボを心得たカメラワークも健在。 泥沼な内容の中、一服の清涼剤でした。 [映画館(邦画)] 6点(2010-05-05 20:09:06) |
52. 秘密の賭博場
メリエスのアイデアの枯渇を感じた。 衰えたり、メリエス?! [インターネット(字幕)] 1点(2010-05-04 06:39:36) |
53. 一人オーケストラ
これは着想の勝利。 マジックと発想とが見事に融合した作品。 [インターネット(字幕)] 3点(2010-05-04 05:10:54) |
54. ピカソ-天才の秘密
ピカソが身近に感じられるという点だけでも、あまりに貴重な作品。 しかも、ピカソ自身が「ひどい、失敗だ」ともらしたりと、人間らしい一面をのぞかせたりするのが面白い。 もう少しピカソのおしゃべりを聞きたかった気もするが、ピカソがどのように画を創り上げていくかが徹底的に描かれていて、それはそれで良かったように思う。 それにしても、ピカソの背景の描き方が鮮烈に印象に残った! さらりと簡潔に背景画を挿入したりするのだが、これが実にシンプルでいて、何を現しているかが分かってしまうところが凄い。 裸で去るラストのピカソはカッコよすぎた。 ところで、終始、裸なのはピカソのこだわりなのだろうか。 裸で描くと、何が変わるのだろうか? 私にはその“秘密”が最後まで分からなかった。 [インターネット(字幕)] 8点(2010-02-21 15:29:21) |
55. 緋牡丹博徒 花札勝負
任侠時代劇の完成されたる様式美を感じるが、逆に言えば、この映画世界と肌が合わないと大変なことになる。 アラカンの完成されたるヘタクソな演技に骨抜きにされ、藤純子の中途半端な美しさに悪酔いした。 [ビデオ(邦画)] 0点(2009-12-04 00:08:15) |
56. ピロスマニ
ピロスマニは実在した画家だったんですねぇ。 巧い画ではないのかもしれないが、グルジアの人々の生活が生々しく伝わってくる生きた画であった。 映画そのものについて言えば、ピロスマニという画家についてあらかじめ知っていた方が断然楽しめるかと思う。 やや暗めの映像がかもし出す雰囲気は、まさに絵画的で、寒々しいグルジアの風景と相まって、異国情緒をたっぷり堪能できる作品である。 [ビデオ(字幕)] 5点(2009-11-28 16:51:25) |
57. 病院で死ぬということ
ターミナルケア(終末期医療)の現場を淡々と描いた作品だが、あまりに無難というか、ステレオタイプな末期ガンの描かれ方に、何ら感動をおぼえなかった。 末期ガンの現実なんてのは、もっと凄まじく「過酷」であり、又、生命が最後の輝きを見せるという面において、これ以上なく「美しい」ものだ。 それがどうだろう、本作はその「過酷さ」と「美しさ」の両面とも描ききれていないではないか。 大体、あんな離れた位置に置かれたカメラでオブラートに包んだ様に撮って見せても、終末期医療の空気感なんて伝わって来ようはずがない。 これからガンに立ち向かうべき人達、これからガンと立ち向かうかもしれない人達がこの映画を観たとして、何のヒントが得られるというのだろうか。 こんな傍観したような映像からは、何の救いも得られないし、なんら魂も伝わってこない。 むしろ見ない方が良いと言えるかもしれない。 同じ末期ガンを描いた作品として、『ヨコハマメリー』が頭に浮かぶが、こちらの方が断然良かった。 『ヨコハマメリー』は、まさしく、末期ガンにおける生々しい残酷な現実や生命の神秘、そして人が死に直面した時、その人のそれまでの人生がどう噴出するかなどについて、ありのままを描いていた。 本作は、あらゆる面で手ぬるい。 人生最後の美しき輝きや、死に向う過酷な時間経過などを、表現しきれていない。 よって、ダメダメな作り物映画である。 いかにも小説である。 しかし、ただ一つだけ本作に共感をおぼえたことがある。 それは、「愛」というものが、人を死の恐怖から救うという結論である。 終末期医療においては、この「愛」というものが存するという事こそが、唯一の救いとなるのである。 [ビデオ(邦画)] 2点(2009-11-05 21:10:41) |
58. ひばり捕物帖 かんざし小判
ひばりの七変化が見所らしいが、そんなの興味ない。 パチンパチンと音がする嘘っぽいチャンバラシーンも、しらけるばかり。 あと、怒鳴ってしゃべる出演陣ばかりで、やかましい。 [ビデオ(邦画)] 1点(2009-10-25 05:17:06) |
59. 冷飯とおさんとちゃん
第一話の『冷飯』が圧倒的に面白い。 この『冷飯』をもう少し長めに作って1本とした方が傑作になったかもしれない。 [ビデオ(邦画)] 7点(2009-10-09 01:00:34) |
60. ひまわり(2000)
うーん・・・ まあまあ、という言葉がピッタリきてしまう映画。 これといって、何もない。 だけど、特につまらないわけでもない。 出演陣も、誰か光っていたわけでもないし。 麻生久美子も、本作ではそれほど輝いてはいなかった。 なんだろう、適当に作ったんかな? いや、そんなわけないだろうけど・・・ [CS・衛星(邦画)] 5点(2009-03-17 22:31:46) |