1. ヒューゴの不思議な発明
《ネタバレ》 アメリカン・ニューシネマ黎明期のスコセッシからは考えられない様な愛と希望に満ちた物語。これが個人的には嵌りに嵌ってしまい、後半は終始感動しっぱなしでした。何故、私たちは映画を観るのか。人それぞれ異なる答えがあると思います。ある人は現実を忘れるため、ある人はテレビでは観ることができないものを観るため、ある人は画面内のスターに耽溺するため、その他無数に存在するでしょう。しかしどんな人にも共通する理由の一つに、普段の日常では体験できないことをたった2時間、スクリーンに座っているだけで体験できる点があるのではないでしょうか。映画はイマジネーションによって生み出される芸術作品であり、それは戦争が起きようが何があろうが、人々の記憶に刻まれ後世に引き継がれていく。そしてその時代の感動はどの時代であっても感動的であり、人々の心を動かす力となりうる。だから映画は今も無くならないし、映画ファンはわざわざ映画館まで足を運ぶ。そんな"映画"という媒体への愛に溢れた映画だったと思います。最近は「ヒューゴ」や「CUT」、「アーティスト」など映画への愛を描いた映画が多くて困ってしまう。こんなテーマの映画、映画が好きなら嫌でも感動してしまうじゃないか~。 [映画館(字幕)] 9点(2012-03-10 22:04:53)(良:2票) |
2. ヒミズ
《ネタバレ》 "クズ"の定義を巡る物語。主人公の住田は「俺はお前らクズとは違うんだ!立派な大人になるんだよ!」と吠えるが、父親を殺してしまい、通り魔殺人鬼と自分が同価なのを知り絶望する。そしてタクシードライバーのトラヴィスの様に世直しを始める。茶沢さんの言っていう通り、彼はかつての彼が唾を吐き捨てていたクズそのものになってしまっていた。じゃあクズから立ち直るにはどうすればいいのか?こんなゴミ以下の人生でどうやってクズよりマシな生活を送れるのか?そもそもクズって何だ?生活感の程度か、価値観の程度か、道徳観の程度か?河川敷の人々と、闇金業者達と、茶沢さんと、主人公と、その父親と具体的にどう違うのか?まあ色々なことを考えさせられました。今までの園監督のフィルモグラフィーですと、ここで更に突き離す作品が多かったですが、本作は15歳の少年にクズから立ち直る、再生する気力を取り戻すエンディングでホッとしました。だから東日本大震災の被災風景や、夜野さんの「彼は未来なんだ!」という台詞も心を打つ。上記の様なメッセージ性、緊張感を2時間ずっと持続させるエンターテイメント性、個々の役者の素晴らしい狂気スレスレの名演、全てが渾然一体となっていた。 [映画館(邦画)] 9点(2012-01-29 20:06:02)(良:1票) |
3. ヒックとドラゴン
《ネタバレ》 素晴らしかった。人間とドラゴンの対立から和解へをスマートに描き切っています。何事も相手を打倒する事では無く、相手を知る事から始めるべきだという明確なメッセージは、人類の歴史に於ける普遍的なテーマです。だからこそ子ども向け映画でも真面目に感動できました。ただ私の様な少し穿った見方をする人間は、明らかに知的生命体であるドラゴンをペット呼ばわりする展開に若干の偽善的な部分を感じるかもしれません。ただ子ども向け映画ですし、そこまで目くじらを立てる必要も無いかな……と考えを改めました。映画的にも優れていて、第一にストーリーがとても基本に忠実な事。ダメでヘナヘナの主人公が、冒険を経て一人前のバイキングとなり父親を超える。これだけ単純なストーリーだから子どもも理解し易いでしょう。第二にキャラクターの表情やトゥースに乗っての飛翔シーン等、アニメーションの快楽に溢れていること。特に主人公ヒックの表情が非常に豊かで驚きました。また主人公と対照的に男勝りなアスティの不機嫌そうな表情がイチイチ可愛い。役者でも中々あれだけの表情の変化は出来ないでしょう。昨今のアニメーション技術は本当に凄い。第三に脚本の妙と言いますか、ドラゴンのクセや特徴を丁寧に最後のバトルで回収しているスマートさ。ですから、あれだけ強大な敵を倒せたことにも十分納得できる。そして最後にヒックが片足を失ってしまうというラスト。私はたとえ子ども向け映画でも、大変な困難に立ち向かったにも関わらず、何も失わずにハッピー幸せに暮らしましたっていう展開が大嫌いなので、この展開には心底感動しました。総括して素晴らしい出来の映画であることには、否定の余地が無いと思いました。是非とも劇場で鑑賞したかった。 [DVD(字幕)] 8点(2011-07-10 18:25:08)(良:3票) |
4. 127時間
《ネタバレ》 映画の出だしが、都会の雑踏を早回し+訳の分からないスプリットスクリーンの映像から始まり、「ダニー・ボイルもオシャレ映画監督になっちゃったのか~」と思っていたのですが、これがキチンと伏線になっていて、ラストにはそれに驚きかつ、胸を打たれてしまいました。映画の内容は至極単純。所謂一昔に流行ったワンシチュエーション・スリラーってやつですね。ただそれでも十分に面白かった!主人公は最終的にあの行動に出るのですが、そこまでの過程、つまり彼がどの様な人間であり、どの様に試行錯誤したのかが、綿密に描かれているので、遂にあの行動をした時に非常に大きなカタルシスを感じられました。あの腕は彼が言っていた通り、それまでの自分一人で生きていけると思っていた彼自身だったのでしょう。だから彼は最後にあの腕を写真に収めた。それと贖罪的に決別した時に彼の人生は始まり、変わったのでしょう。 [映画館(字幕)] 8点(2011-06-25 23:24:25)(良:1票) |
5. 標的の村
ドキュメンタリー映画はそれほど好きなジャンルではなかったのですが、この映画は最後まで大変面白く観れました。本作が描いているのは沖縄でのオスプレイ配置問題・普天間基地移設問題とセンシティブな問題ですので、面白かったというのは不謹慎かもしれませんがそう思ったのだから仕方が無い。 普通のドキュメンタリー映画というのは大抵監督の主張が前面に出ちゃっていて、上映開始から十数分も経つと私は「ああ、そういう主張がしたいのね、OKOK」とその後が苦痛になることが多いのですが、本作は終盤に見せ場とも言える普天間基地封鎖、そして沖縄県警によるその強制排除を持ってきており、最後までスクリーンから目が離せませんでした。 映画の内容について言及するとどうしても政治的な話をせざるを得ないので割愛させて頂きます。ただ敢えて二つだけ言うとするならば、死んでも還る(埋葬される)場所すら無い」と言うのは本当に辛いだろうと思ったこと、本作の主張も含めて両サイドの意見を吟味して自分で結論を出さなけれないけないと思ったこと。以上です。 [映画館(邦画)] 7点(2013-11-10 22:09:29) |
6. ピラニア 3D
《ネタバレ》 由緒正しきB級映画。例えるならばアメリカンバーガー。カロリーが高く、とにかく味が濃い。食べている時はとっても美味しいんだけど、だんだん胃にもたれてきて食べ終わったら当分はいらないかなって気になる。そんな作品でした。それにしてもクリストファー・ロイドはもうお爺ちゃんなのに何でこんな映画に出てるんだ(褒め言葉)。 [DVD(字幕)] 7点(2012-02-20 22:38:56) |
7. ピクセル(2015)
《ネタバレ》 ファミリー映画の重鎮、クリス・コロンバスらしいお気楽なアクション映画。なにせ宇宙人によるインベージョン物というのに、宇宙人はレトロゲーのデザインで、結局劇中で一人も死なないというお気楽さ。深刻さなどまるで感じられない展開は家族でポップコーンをつまみながら観るには丁度いい塩梅でしょう。但し、こちらが期待するものを何一つ越えてくれなかったのも事実。劇中に流れるチープトリックの「サレンダー」やクイーンの「ロック・ユー」は実に懐かしくいい感じでした。 [映画館(吹替)] 6点(2015-09-14 21:04:22) |
8. ヒックとドラゴン2
《ネタバレ》 とても頭の良い映画という感じでした。でもこれは褒めるつもりで言っているのではなく、換言するならばお行儀の良い映画とでも言いましょうか。非常に練られている作品であることは間違いないでしょう。一作目を引き継ぎながらも成長した証しがちゃんと分かるキャラクターデザイン、飛行シーンの素晴らしさも一作目通り、更に広がりを見せる世界観の美しさといい、一流のアニメーターが関わった作品であるということに疑いの余地はありません。 但し、お話の部分が全編に渡ってとても飲み込み難いものになっていました。ヒックと生き別れた母親がなぜヒックの元に帰ってやらなかったのか、ヒックは他部族に対して余りにも薄慮に過ぎるのではないか、父親を殺してしまったトゥースをそんなに簡単に許せるのだろうか、等々色んなツッコミポイントが多々あります。それに対してこの映画は一応のアンサーを提示してくれます。それは筋が通ったものではあるのですが、どうにも個人的に飲み込みづらいというか、良い訳に良い訳を重ねられている気がしながら最後まで映画を観ていました。 なんとなくですが、前作に比べ物語の構図を複雑化しすぎてしまったことが原因じゃないかと思いました。本作の主軸は、主人公が集団の長としての自覚を持つ話ではありますが、それに母親の葛藤、父親の葛藤、ドラゴンとの絆、ドラゴンと人間との関わり方の良し悪し、野生動物としての性を持つドラゴン、バイキングという侵略者の悪性、等の要素を描くには余りに窮屈な上映時間です。もう少しすっきりとした話にしていれば良かったんじゃないかなと思いました。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2015-08-27 20:27:47) |
9. 獄に咲く花
《ネタバレ》 問題点は主人公である寅次郎が完全に狂人にしか見えない事、どんな理由であれ男の囚人の中に女の高須が一人混ざっているのに性描写が全く無いのはありえない事。 [映画館(邦画)] 3点(2010-06-10 07:24:19) |