21. フランケンシュタイン(1994)
《ネタバレ》 本当は9点でも10点でも構わない完成度なんだけど、あえて7点です。原作を読んだ事がある人なら、本作が一番オリジナルに近い事を知ってるはず(急ぎすぎのきらいはあるけどね)。でも、映画で採用されたエピソードのチョイス基準が完全にオイラの好みを外してしまってるんです。オイラとしては雪山での対話を頂点にした、アクション満載のアドベンチャー巨編にして欲しかったんだよねー。原作で描かれてるモンスターの身体能力はスパイダーマン並みですから、そこを強調して欲しかったかな(ホント、奴が「ウガー!」なんて唸ってヨタヨタ歩いてるのは最初だけなんよ)。正直、今のCG全盛時代に作って欲しかったなー。あと、映画の《フランケンシュタイン》と言えばまずイメージされるのがあの絶壁頭なんですが、本作ではデ・ニーロの単なる丸刈り頭。あの頭だけはやってほしかったかな…別人の頭蓋骨を無理やり継ぎ合わせた感じがしなくってねー。せっかく「ノーメイクでもフランケン頭」のジョン・クリーズを死体の一部に使ったんだからさー。惜しい。惜しすぎっす! でもロケやセットはコッポラ映画だけあって、本物感バッチリで見応え十分でした。ホエール版の名場面も(マリーとの川遊びのシーンを覗き)全て外さずに再現してあるし、マニアへのサービスは満点。これでクライマックスが《花嫁》のエピソードでさえなきゃなあ…ただの三角関係に終わらせてどーすんだよ、ったく…。まあ、原作ファンとして一番見たかった、「雪山を越えてジュネーブ入りするモンスター」をちゃんと空撮で撮ってくれてるので、帳消しにしといてやるよ(笑)。あと隊長、あんたキャラ立ち過ぎだってば。隊長役はジョン・クリーズの一人二役でキャスティングしてもらえれば、物語にもっと深みが出たように思うです。はい。 [DVD(字幕)] 7点(2005-12-10 18:46:33) |
22. フレンチ・コネクション
たまにカラオケでクリスタル・キングとかドリカムとかを絶叫したくなる時がある。あんな音程出せるわけないのに。でも、声がかすれて裏返っててもホンキの魂があれば拍手をもらえる。歌ってのは技術じゃないんだ、ソウルなんだよ。音程が外れようがリズムが狂おうが関係ない、歌の本質はそこじゃない…というのを映画に置き換えるとそのまんま本作になるワケですな。最小限の情報しか写さないオープニング(しかも黒バックに白字のみ)。夕方の追跡シーンがいつの間にか昼になってる矛盾。音程外れっぱなしで吼え続けるだけのトランペット。よく見ると尾行過程の不明な、ズサンなカットつなぎ。強引に挿入される狙撃シーン。時々メチャクチャに狂ってるフィルムのカラー。オチたんだかどうだかよくわかんないエンディング…『フレンチ・コネクション』を評価する時に、こんな部分で減点する奴はまずいない。全ての画面が「オレの魂を受け取れーッ!」と叫び続けるこのパワーに、どう気の利いたレビューを加えりゃいい? 蛇口が壊れたように溢れ出る男性ホルモンの洪水に、オイラなんか大人しく溺れるだけだよ。「わんぱくでもいい、たくましく育って欲しい」のなれの果てアクション巨編。個人的には続編の方を評価してるんで、この点数で。 [地上波(吹替)] 7点(2005-04-27 22:57:21) |
23. ブルーサンダー
あにやんさんに激しく激しく激しく同感! 公開時のロングバージョン、見れないんですよねーっ! 記憶ではカーチェイスシーンがもっと、こってりとハードだった気がします(主人公の奥さんの暴走ぶりがスゴイ)。全体の伏線もカッチリと決まっていて、映画館で「うーむ」と腕組みしちゃった記憶あり。あと、何かってーと画面いっぱいにどアップになるカシオの腕時計がカッコ良すぎたっ。以来オイラはカシオの時計しか買わなくなりました。俳優陣では(ロイ・シャイダーはもちろんイケてますが)、「嫌な奴を演らせたらJ・T・ウォルシュに肩を並べる」マクドゥエルたんの怪演が恐ろしいくらいハマってますダ。完全版復刻を切に希望!! 点数は、現行の公開バージョンを評価して。 [映画館(字幕)] 7点(2005-04-20 22:52:07) |
24. 二つの霜
民話を元にしたごくごく短い話だけど、ユーモラスな佳品。霜の精(といいつつ、映像的には往年の『おばけのキャスパー』みたいな奴)が薪を運ぶお爺さんを脅かそうとして…まあ世界的によくある民話です。おそらく人形アニメ+セルアニメ(実は切り紙アニメなんだそうです)という手法を使ってみたかったのでこの話を作ったんだと思う。「アメリカ風のアニメーションもやってみたいなー」というトルンカの探究心が垣間見える、楽しい実験作。 7点(2004-12-19 21:40:54) |
25. ブラインド・フューリー
正直に言うと、昔から今に至るまで座頭市モノを観てません。だからこの作品は勝新と比べずに観る事ができてよかった。ルトガー・ハウアー演じる盲目の主人公は、明るくしなやかで、コミカルなイメージさえ漂うナイス役作り。しかも冒頭の数カットで、それが見る側にまでビシッと伝わってしまったのがお見事でした。この作品の評価も、実は大半がこの冒頭シーンによるものです。後はラストで見せる主人公の表情だけあれば(このシーン、泣く!)、間にどんなストーリーが挟まっててもOKなのかも。暗くジメジメしたベトナム後遺症ヒーロー映画が多い中、明るく乾いた視点…言葉を変えればしなやかで強靭なアンチヒーロー像を持ち込んだ時点で企画の勝ち。 7点(2004-05-23 18:49:42)(良:1票) |
26. プラン9・フロム・アウター・スペース
《ネタバレ》 今見終わった。まいったぜ。ショボいショボいと聞いてたからどんだけショボいのかと思ったら立派な映画じゃないかーっ! これは冤罪だッ(笑)! いま逆の意味で非常に腹を立てているぞっ! 少なくともオイラの愛してやまない『スーパージャイアンツ』と同格(つーかスーパージャイアンツでは円盤の操縦席なんて学習机どころか思いっきり影絵なんですけど)。そしてプラン9は1956年作品、スーパージャイアンツは1957年作品。もしかして宮川一郎と石井輝男、この作品をリアルタイムで見てたの? …と勘ぐりたくなるぐらい各シーンが似てます(第3~4部のカピア人編、第5~6部の黒い衛星編)。いや、彼らは見てたんだ。そうに違いない。石井輝男はその輝かしい経歴の初めに、エド・ウッドの映画魂とパワーを受け継いだんだー! などとバカな事まで考えてしまいました(おい石投げるな)。あと、頻繁に昼夜の入替わる墓地シーンですが、この場面を全て昼に統一したらモロ『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』になりますね。「宇宙からの怪光線で死体がゾンビ化」…ってプロットも一緒だったりして。意外とこの映画、ロメロへの影響がデカいのかも。石井輝男、そしてロメロ。「いかに低予算で撮るか」に心を砕いていた彼ら職人監督にとっては得るものがイッパイあったって事なんすかね。繰り返しますがオイラは本作の史上最低評価は冤罪だと思っとります。映画の奈落はまだまだ深いんだぜ。フッ。 (追記:今ページの上の方見たら1959年作品となってるんだけど…DVDの表記と違うぞ…) 7点(2004-04-19 01:46:02)(良:3票) |
27. フィツカラルド
映画館に4回足を運びました。アギーレが「史実×ウソっぽい絵」のミスマッチの魅力だとしたら、こっちは「ウソっぽい話×ヤラセなしのド迫力映像」のアンバランスの魅力ですね。主人公を描くのに、ヘルツォークらしいスポ根直球勝負ではなしに、ウッディ・アレンの『カメレオン・マン』みたいな手法を使ってれば、山登りシーン以外も面白くなったと思うんですが。天は二物を与えずというか…でも好きですよ。 7点(2004-02-22 17:08:32) |
28. 深く静かに潜航せよ
《ネタバレ》 潜水艦映画としては不朽の名作ですが、点数ちょい低めです。日本軍なんか頭良すぎ! いくらブンゴスイドーを死守するためとはいえ、海軍があんな作戦立案しないと思うんですよ。「そんな姑息な策で戦うのはけしからん!」とか幕僚本部怒りまくりそう(そんで巨大戦艦主義に奔走して負けちゃうわけだ)。これが謀略戦・情報戦のためなら何でもやったチャーチルや蒋介石の軍なら、すっごい説得力があるんだけどねえ。むしろクラーク・ゲーブル艦の方が、日本的な戦法をやってるような気がします。日本の歴史を知るが故に、この過大評価はちょっと背中がむずがゆい。そういや今、巨艦巨砲バンザイな映画が大ヒット中ですなあ。コッチと見比べてみると戦略の違いが見えてくるかもしれないっすねー。 [DVD(字幕)] 6点(2005-12-30 13:06:36) |
29. ブレーキ・ダウン
《ネタバレ》 漢+『激突』+『悪魔のいけにえ』-毒。一番怖かったのは肉体的な恐怖よりも、預金もないのに銀行まで金を降ろしに行かされるシーン。エド・ゲインな潤色の多い田舎サイコサスペンスが溢れ返る中、まっとうな南部犯罪者を描いていて、質の違った恐怖が味わえる。ただ、カート《スネーク》ラッセルが場違いに見えるというのは同感。これは多分ブルース・ウィリスがピッタリの役どころだよなあ(見慣れすぎてて不安感憶えないかもしれないけどね)。最後のカーチェイスがもっと華々しければ8点は行ったかもしれない。惜しい。 6点(2004-05-30 04:13:58)(良:1票) |
30. フレディVSジェイソン
去年、世間がマトリックス完結編に大騒ぎだった頃、一人で「この秋の最大の話題作はコレだね!」と本作に多大な期待を寄せていたバカでございます。結局どっちも観れずに秋は過ぎて行きましたが…。で、DVDが出たので早速購入。噂通りのバカっぷりにニヤニヤしながら観終わりました。オイラは基本的にフレディ派なんで、エルム街っぽさが基本になった展開は嬉しい限りっす。『リアル・ナイトメア』で映画の製作スタッフや役者までも襲いまくる、メタフィクションの方向に足を踏み出したフレディすから、ジェイソンと戦う展開はもう『エルム街の悪夢』の正当な後継と言っていいね。次作へのハードルはメチャクチャ高くなったと思うけど…まあ出ても10年後だろうから、期待せずに待ってますわい。 6点(2004-04-03 21:44:36)(笑:1票) |
31. プライベート・ライアン
《ネタバレ》 ここの諸レビューを久々に読んで、やはり変だと実感したので、ちょっと追記。 何でこの映画でみんな笑えない…? (詳細はブログにて)[映画館(字幕)] 6点(2004-02-27 01:45:24)(笑:1票) (良:1票) |
32. ブルースチール(1990)
ロードムービーでないエリック・レッド脚本作品は大して面白くないな。彼のシナリオは、助けの来ない無人の荒野で戦うからいいのだ。とはいえ、夫キャメロンとの愛憎劇をバネにこの作品を監督したビグローの「執念」が、脚本の甘さを補っていると思える。でも、それ以上のモンではなかった。もしこれが「父を凶弾に奪われ、テネシーの田舎町で保安官助手になった女」の話だったら、どれほど震えた事か。製作・監督ともにエリック・レッドのシナリオの使い方がわかってなかったと見た。 5点(2004-03-15 01:54:18) |
33. ブラック・ムーン
超多彩監督ルイ・マルの中では最左翼に位置する作品(反対側には『地下鉄のザジ』が陣取ってますな)。冒頭のヤマアラシのシーン、何度見てもどうやって撮ったかわかりません…いったいどのタイミングで車へキューを出したんだろう。カメラの外ではスタッフ達が、ヤマアラシに向かって「ホラホラこっちだよー」と手を叩いてたんだろうか…見れば見るほど謎は深まります。タルコフスキーの『鏡』と共に、映像魔術の殿堂に捧げたい気分です。でもストーリー性に欠けてるので点数は低めで。 5点(2004-02-22 00:07:40)(良:1票) |
34. PLANET OF THE APES/猿の惑星
《ネタバレ》 あー、すげー簡単に反応してしまうオイラ(笑)。ここはオールネタバレで。「サルたちのモデルが日本人」だったのは原作での話で、旧作『猿の惑星』はその構図を全人類に広げ、普遍的な「支配とヒューマニズム」という土俵に持ってきたところが評価されたわけです。で、こっちの新作はってえと奴隷制度と南北戦争、つまり一度広がったテーマをアメリカの内側の問題に押し込めてしまった形です。だからこそ、エンディングのリンカーン像が衝撃的なんでしょう…アメリカ人にはね。全体の流れから言えば『猿の惑星』を原作にしたってよりか『動物農場』から説教臭さを抜いてコッテコテのアクションムービーにしたような感じだなあ。それはそれとしてバートンの再婚騒動の原因となった本作、別の意味でもっと罪深いような…。 4点(2004-08-22 18:44:07)(良:2票) |
35. ブレア・ウィッチ・プロジェクト
ソニーのグラストロンを買った時、友達から「グラストロンで観るなら絶対この映画だ!」と断言されました。で、恐る恐るDVDを買ってきて…あまりの生理的苦痛で、30分おきに鑑賞を止めて休んでました(←でも最後までメガネで見たバカ)。あのカメラのブレ方や常軌を逸したカットタイミングは、何やら新たな境地を切り開いたかに見えますな。 4点(2004-03-12 03:54:43)(笑:1票) |
36. フランケンシュタインの花嫁
《ネタバレ》 いまとある映画サイトを見ていて知ったんですが、冒頭に出る原作者メアリ・シェリーの役者さんって、花嫁と二役なんだそうですよ~! ちょっとビックリっていうか、自分的映画史が書き変わるくらい頭の中が急回転っていうか、いろんな意味でシャレになってないと思うんですが…何考えてんだよ…。 [ビデオ(字幕)] 3点(2004-12-30 12:53:26) |
37. フルメタル・ジャケット
『突撃』『博士の異常な愛情』を撮った彼が、今さらなぜこの作品を…今でも疑問。ただ、「戦場」「戦争」「軍隊」という似て非なるものをキッチリ区別した点は流石、かな? 主人公が「殺人」を犯してから、あと30分くらい欲しかったような気がします。狂気の外観と入口までは見えたけど、我々観客に「これ以上は見るモンじゃないよ」とピシャリと扉を閉められてしまった感じ。キューブリックもこの時には老いてしまってたんだろうか…残念でならない作品です。 3点(2004-03-07 23:34:25) |
38. ブレージングサドル
各所のギャグはいいんだけど…下品なとこも含めて…黒人に特別な感情がないからピンと来ないのかな? 役者の演技は上質だと思います。 3点(2004-02-23 03:37:40) |
39. フラットワールド
最初に断っておくが、いいアニメである。意欲的なアニメでもある。だがオイラは評価しない。「紙に書いたアニメキャラを人形アニメ同様の手法で動かす」という斬新な手法を用いていながら、そのために80万ポンドもの制作費を使っていながら、この作品は何も成し遂げていない。CG全盛の昨今、この技法がメジャーになれるわけがないのだ。この技法の居場所は、(カトゥーン・アニメではなく)あくまで実験アニメの分野のはずなのだ。その世界でこそ、この手法は光り輝いたと思う。子供向けを作るにしたってこんな中途半端な一本ものではなく、『ピングー』のような3分作品の連作、という方が作りやすかったはずだ(だいたいピングーのパイロット版は2分もないしね)。制作したBBCには、そのあたりの嗅覚が働かなかったのか? この作品は、もっと開花するべき素晴らしい才能を潰したんじゃないのか。そう思えて仕方がない。そう思わせるほどに刺激的で、およそ信じ難い部分まで手が込んでいるのも確かなのだが…。誰か、この悔しさを共有してくれ~っ! [DVD(字幕)] 2点(2005-05-17 23:28:53) |
40. ブレードランナー
世間での評価は知ってるけど、この映画については全面却下。公開時、ハッキリ言って途中で寝ようと思った。オイラ的に怒りを覚えるほどつまらんかった映画は、コレと『マトリックス』くらいかな。見る前に期待していたシーンが「ゼロ」だったのも辛い。最低限のクリアラインとしてやって欲しかった事は、「イジドアのバターおすそ分けシーン」「蜘蛛の足をブチブチ千切って興奮するレプリカントたち」の2つ。ウドンなんか食ってる場合じゃねーよ、ちゃんとヒキガエル拾って帰れって。ちなみに『ブレードランナー2』を書いたジーターはオイラと同じキモチだったようで、イジドア君が美味しい役になって出てきますナ。 0点(2004-03-07 01:00:45) |