41. プラトーン
《ネタバレ》 映画として本当に良く出来ているのか?と言われればちょっと苦しいところなんだけど、やっぱりキャラクター作りの上手さには脱帽せざるを得ないので。たぶんオリバー・ストーンはこの映画を作りたくて映画界に入ったんだと思うし、後の人生はほとんど余生なわけですよ。ベトナム帰還兵たちが唯一認めるベトナム戦争映画と言われているけど、キレイ事でもお涙頂戴でもなくキチンと正面から、狂って行くというのが実際にどういうことなのかを描いている非常に正しい映画。エリアスは何故殺されなきゃならなかったのか?という問題こそがこの映画の提起する戦争の不条理。戦場で、戦争以外の理由でアメリカ人同士が殺し合ってる姿を見て、この戦争の何がそんなにイケナかったのかよくわからないままに反戦を唱えていたアメリカ人たちは驚いたでしょうね。さすがに最近の戦争映画に比べて戦闘シーンのウソっぽさは否定できないものの、当時としてはそれなりに頑張った作品ではあるでしょう。エリアスの最期は人々の心に永遠に残るでしょう。しかしまあ、いくらなんでも当時、あれだけの美青年だったチャーリー・シーンに自分の役をやらせようとしたオリバー・ストーンってかなりの神経の持ち主だとは思うけど。その図太さに打たれました。ご本人も終盤近くで登場。これはもう、ほとんど遺作のつもりで撮ってますね。バカも一線を越えると天才になるということで。 8点(2003-11-29 23:42:53)(良:1票) |
42. フィールド・オブ・ドリームス
あらゆる意味で男性による、男性のための、オトコのロマンを限りなく美しく描いた作品。オトコにとっては羨ましい限りであろうが、女性の立場で言わせてもらえばハタ迷惑この上ない。後先考えずに思いつきで行動する夫にホイホイつきあっている妻も都合良過ぎ。可愛い奥さんだナ、と感心はするけれど、所詮は男性の理想を具現化しただけのファンタジーの一部にすぎない。映画とは夢を与えるモノ、という考えを決して否定するわけではないが、悪いけどこの映画を観た時の感想は「オトコどもよ。現実を見ろ」である。私が妻ならとにかく病院に連れて行きます。夢ならもうちょっとささやかなのを頼む。 3点(2003-11-29 22:59:45)(笑:1票) |
43. ブルワース
すいません、ちょっと観たことを忘れたい部類に入る映画です。全体的に笑いのセンスがサブイですし、テンポも良くなく観ていて辛く感じました。殺し屋を雇って自分の命を狙わせる、という着想は面白かったのに、ウォーレン・ビーティがもう一つおバカになり切れなくて笑いの方向性がズレてしまった気がします。せっかく面白いシナリオなんだから、コメディが本業の人でちゃんと笑わせた方が良かったかも知れないですね。個人的にどっちつかずな映画ってダメなんです。社会派なのか、おバカ映画なのか、どっちでもいいからちゃんと真剣にやれ、って感じです。どこかで知性を感じさせちゃうプライドが邪魔してますね。コメディのハードルってけっこう高いです。なめるな、と言いたい。 1点(2003-11-29 17:42:04) |
44. ブロードウェイと銃弾
正直、「カメレオンマン」以来初めてウディ・アレン作品を楽しいと思いながら観終わることができた。かつてのクローズドされた私小説的世界から、開かれた作風への突破口ともなった気がする。以前のウディの自虐的な語り口が良い面で花開いた感じ。設定一発モノのシチュエーションコメディだが、右往左往する人々のおバカで人間臭いところが良い。ウディ・アレンからセンチメンタリズムを差し引くと、人間の本性をあっさりさらけ出したおバカなコメディが出来上がる。楽しい映画。 8点(2003-11-29 17:24:58) |
45. プリティ・ウーマン
ジュリア・ロバーツの印象のみが鮮烈に残る作品だが、時代に逆行した徹底的な男尊女卑映画として70年代だったらボコボコにされたんじゃないかと思える前時代的なストーリー。バブル時代を象徴するような映画なんだけど、わざわざ選んで見るほどの映画ではない。こういう時代もあったのね的作品の代表とは言えるかも。 4点(2003-11-29 14:20:44) |
46. フィッシャー・キング
《ネタバレ》 どうもすごく良い話らしい、ということは観ていてわからないでもないのだが、その雰囲気のほとんどが例のグランドセントラル駅のシーンによってのみ支えられている感じがして手放しで褒められない辛さを感じる。ロビン・ウィリアムスにはこの頃すでに飽きていたし。ジェフ・ブリッジスとカート・ラッセルってどちらか1人いれば十分な気もするし。テリー・ギリアムの映画にしてはやけに薄いな、というイメージが。 6点(2003-11-29 03:03:19) |
47. フォレスト・ガンプ/一期一会
好きな映画ではないし、楽しい映画でもない。どちらかと言えば痛い映画だと思うし、アメリカ人らしい愛国心に訴えかけるあざとい映画。もちろんアメリカ人がこれに夢中になるのは納得できるのだが。悔しいことに完成度の高さは否定できない。ロバート・ゼメキスにやりたい放題やらせたらどうなるか、という一つの結論にはなっていると思う。サリー・フィールドが素晴らしかったこと、ゲイリー・シニーズを紹介してくれたことに敬意を表して6点。でもよくよく考えたらサリー・フィールドがこの程度に素晴らしいなんていうのも特に驚くようなことじゃないんだよなあ。辛い。 6点(2003-11-22 23:45:28)(良:1票) |
48. プライベート・ライアン
《ネタバレ》 戦争がいかにムダか、という実にまっとうな意見を教科書通りに伝えた映画が多い中、あえてこういうストーリーで勝負して来たところは評価大。単に「お母さんが可哀相だから」という理由で兄弟中唯一生き残っているライアン二等兵を救うため、何人もの兵士が犬死にして行く。この不条理さはそのまま戦争の無意味さにつながって行くのだが、どう考えても「迫力の戦闘シーン」を前面に押し出しているこの映画が本当に戦争反対を謳っているの?という疑問は残る。ただし戦闘シーンにはたしかに一見の価値はあると思う。これも時代と共に古びて行く宿命なのだろうが。 6点(2003-11-22 20:28:45) |
49. ブリジット・ジョーンズの日記
《ネタバレ》 これはもう、素直に拍手喝采でしょう。レネー・ゼルヴィガーは体当たりの演技で光りまくり。この人は元々、体当たりで頑張るしかないってことを肌身に染みて知ってる人ですね。ダメダメなんだけど突き進んで行くしかない!っていう間抜けでひたむきなブリジット・ジョーンズ役を非常にひたむきに演じていました。ストーリー運びもテンポ良く、どう考えてもワルにしか見えないヒュー・グラントにメロメロになって行く下りなど、手に汗握ってハラハラさせられてしまいました。賞獲り合戦にコメディは弱いですが、これは是非彼女にオスカーを獲ってもらいたかったです。無念です。 9点(2003-11-22 17:18:35)(良:1票) |