1. 僕たちは希望という名の列車に乗った
《ネタバレ》 始まりはたった2分間の黙祷。それだけでクラスが閉鎖されて、生徒たちは家族を捨てて国外逃亡する羽目になる物語。冗談のような本当の話。これが実話だってんだから、恐ろしい。こんなん、居眠りなんてしようものなら、へたすると黙祷したと見なされて退学になっちゃうじゃない(;'∀') なんだか歴史書の1頁を見るかのような映画で、娯楽とは程遠い内容。教科書的な意味以上のものは見いだせなかったかな・・・。 知らない役者さんばかりでしたが、みなさん一様に演技は素晴らしかったです。 口裏を合わせないように一人ずつ呼び出して尋問するところなんて犯罪者扱い。しかも1人1人の弱みにつけこんで脅しをかける徹底ぶり。たった2分黙祷しただけなのに・・・・ 最後は全員エリートコースから外れ、4名を除いて国外逃亡。『希望という名の列車に乗った』は、それはそうなのかもしれませんが、故郷を捨て家族を捨て、とてもめでたしめでたしって内容ではなかったです。 何か意味があるのかと思われたテオとレナの浮気シーン。特に意味がないなら無いほうが良かったかな・・・。なぜ入れたのかわからないくらい不要なエピソード。 エリックは黙祷に反対していたのに、結局一人投獄されることになって、不憫で仕方が無かった [DVD(字幕)] 6点(2023-11-19 21:54:39) |
2. ボディ・ハント
《ネタバレ》 7点か8点かくらいで迷うくらい面白かった。終盤のどんでん返しまでストーリーがよく練られていて面白いです。 ラストは「妹思いの兄が妹と共に死ぬ」、そんな物悲しいホラーを想像していたのですが、全然違いました。 ヤク中でサイコパスな母に育てられた、サイコパスな兄の、サイコパスなサスペンス。 あるシーンで、「あ、妹は終始暴れているわけではないし、鍵を取るような知恵もあるんだぁ~」と思ったら、まったく違いましたね。そもそも妹ですらないし。部屋に入ってきた兄に襲い掛かったのも納得。そういえばライアン以外の人間に襲い掛かるシーンはひとつもない。よくできてるな~。部屋から抜け出すときに包丁を手にしたのも、ライアンを刺すため?じゃあライアンに見つかって口を塞がれたときに、ライアンを刺すことはできなかったんだろうか?う~ん。 あと、視聴者をミスリードさせるためとはいえ、少女のあの走り方はいただけない。逃げようとする人の走り方じゃないでしょ。なんか獲物に襲い掛かるかのような走り方。少女がなにもしゃべらないのも不自然。エリッサの家まで来たなら、「助けて~」の一言くらいあっても良さそう。 とまあ、振り返ればツッコミどころはわんさかあるのですが、観ているときはもちろん気付かないわけで。 エリッサとライアンのハッピーエンドを期待していた身としては、気持ち良いくらいに騙されました。 両親は女装させられたライアンに殺されちゃったのねぇ~。そりゃ両親が悪いわ。 ・・・・・Σ(゚□゚;) なんか見覚えある女優さんだと思ったら・・・・カットニス・エヴァディーン演ってた人だ~ [ブルーレイ(字幕)] 7点(2023-09-24 22:58:24) |
3. 北北西に進路を取れ
《ネタバレ》 ヒッチコック作品のなかでは一番好きかもしれない。ダイヤルⅯも良かったですが、好みで言えばこちらが上。当時の都会の様子なんかがわかるのも楽しい。なんだかんだ言って、やはり潤沢な予算で撮られた映画ってスケールが大きくて良いもんです。これぞ映画って感じです。 オープニングの拉致シーンはあまりに強引でしたが、『ああ、これはコメディなんだ』とわりきって見る良いきっかけになりました。 ロジャー・ソーンヒルが、最初のほうこそオバカさんでしたが、途中からかっこよく見えだして良いキャラでした。 そしてヒロインのイヴ・ケンドール。この人がとっても素敵。『あ、やっぱりバンダムの愛人だったんかい』っていうのは残念ポイントではありますが。それ以外はパーフェクト。人生最大のピンチで味方が誰もいないときに、あんな美女が助けてくれるなんて夢のようです。 一般人だったイヴを都合が良いからとスパイにしたてあげてたわけですが、素人があんなに上手く立ち回れるなんてご都合と言えなくもない。ロジャーも途中からスーパーマン化して、ロッククライミングみたいなことまでやりだしたときにゃあ笑っちゃいました。 本物のタウンゼントはなぜ殺されたのかなど、不明瞭な点が放置されたまま。最近の映画に見慣れていると、決して完成度が高いとは言えないかもしれません。 ただ、ラストに崖のシーンから列車のなかへジャンプするシーンなど、もしかすると今、映画やテレビ業界で当たり前のように使われている手法の先駆者はヒッチコックだったのかも。そー考えると、やっぱ偉大な監督さんですよねー。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2023-08-18 02:43:34)(良:1票) |
4. ボーン・レガシー
《ネタバレ》 ジェイソン・ボーンの遺産ということか。ジェイソン・ボーンが前3部作で好き勝手やったから、ほかの工作員たちが証拠隠滅のために消されちゃうストーリーという認識でまちがってないですか?前3部作を断片的なシーンでしか覚えていないので、ボーンが何やらかしたのか全然覚えていないんですけど・・・。 今作のストーリーは組織の追手をかわしながら、薬、もしくは薬の代わりとなるワクチンを手に入れるというもの。だから逃げの一辺倒。アクションのレベルが高いので、逃げながら戦うスタンスでも、それはそれで面白い。面白い・・・んだけど、やはりそれだけだと物足りないですね。カタルシスに欠けます。 アーロンVS他の工作員、という夢の対決もなし。 さすがに面白味に欠けるので、美人研究員という華でも添えておくか、といった感じ。 それから、個人名がたくさん出てくるだけでも大変なのに、トレッドストーンとか、ブラックブライヤーとか、アウトカムとか・・・もうパニックです。私が前作見たとき、まだこの映画公開されていなかったので、見るのがこんなに遅くなってしまって・・・。もう覚えているわけない・・・。 え?なぜ復習しないのかって? え?いつから映画は復習しておかないといけなくなったの?娯楽なのに? [ブルーレイ(字幕)] 6点(2023-06-21 03:01:58) |
5. ホラー・ストーリーズ
《ネタバレ》 幽霊、殺人鬼、カニバリズム、ゾンビ。 一応、ホラーの王道を並べ、ジャンルに富んでいるように見えますが・・・・。 4作中3作に夢オチありってどうなんでしょ。 ノゾキアナから目をぶすっていう演出、4作中2作に出てくるってどうなんでしょ。(ま、一つは未遂ですが・・・) そもそも、殺人鬼が女子高生をさらって怖い話を強要するわけですが、この殺人鬼がどーにもカニバリズムっぽい。そう、第3話『秘密のレシピ』とかぶっちゃるのです。それってどうなんでしょ。 つまり、演出やネタがかぶりまくっていてい、似たり寄ったり。特に夢オチの多用はうっとうしいのでやめてほしかったです。ただでさえ安っぽいオムニバスものが、更に安っぽくなっちゃうし。 1つ1つの話は、飽きさせない程度に刺激的でグログロで、まあまあ面白かったと思います。 でもオチは雑。どの話もオチは全部いまいち。センスの無さを感じます。 それに第一話は説明不足じゃない?焼身自殺をした姉。その原因となった企業。その企業の役員?に復讐するため子供を狙ったみたいですが・・・。姉弟から一人っ子に変わったのなんで?あれどーゆー意味? そして第4話のゾンビもさ。そこから話がつながって、実は女子高生も感染していたら面白かったのに。で、殺人鬼が襲われちゃうの。でも実際は全然違う結末。もう普通も普通。いや、普通で良いんだけどサ。せっかくラストに『救急車』をもってきたんだったら、その話と現実をリンクさせたら良かったのになぁって思いました。 [DVD(字幕)] 6点(2023-05-31 02:31:48) |
6. ホビット/決戦のゆくえ
《ネタバレ》 3作の中では一番面白い。そりゃそうです。きっちり決着をつけたわけですから。 もちろん、言いたいことは山ほどあります。 前作からさんざんひっぱってきたのに、竜スマウグの最期あっけなさすぎない? お化けミミズは穴ほるだけ?サウロンの出番それだけなら出てこなくていーよ。 ラストは最終決戦みたいな感じで始まったのに、気付けばトーリンたちの戦いばっかりだよ。他の人たちの戦いはどーなったの?あれだけいたオークやトロールはやっつけたの?退散したの? 財宝は結局どーなったの?エルフの王は欲しかった宝はもらったの?港町の再建はどーなったの? 助けに来てくれたラダガストや獣の人はほったらかしなの? ドワーフの王国エレボールは結局どーなったの?次の王は誰がなるの? これだけの長尺にも関わらず、そーいった大事なことは何一つ教えてくれない。 気づいたら、ビルボとガンダルフはホビット庄に着いちゃってる。 で、ビルボは死んだことにされてて、家の家具が競売に・・・って、そんなどーでもいいことに尺を使うんだったら、もっと大事なことに・・・まあ、いいや、どーでも。 それにしても闇の軍勢は騎士道精神にあふれていましたねー。 人間とエルフとドワーフが同士討ちするのを待ってから叩けば絶対勝てたのに。わざわざみんなが集まっているところに正面から正々堂々と戦いを挑んで・・・。ドワーフとエルフと人間の諍いを止めたのは他ならぬオークたち。感謝せなあかんで、ほんま・・・ [ブルーレイ(字幕)] 6点(2023-05-18 15:26:32) |
7. ホビット/竜に奪われた王国
《ネタバレ》 おいおい、まじかよ。すげー途中で終わるじゃん。ここまで当然のように途中で切り上げられると、逆にすがすがしいと言えなくもない。 樽に乗っての急流下りバトル。ラストのVSドラゴンバトル。この2か所は見所と言っていいと思います。蜘蛛とのバトルも悪くはなかったですね。 要所要所は面白いんですが、やはり1本の映画としては盛り上がりに欠けます。「ドキドキ」も「ハラハラ」も「ワクワク」もしない。 登場人物たちの感情が見えてこないのも、没入感を阻害している一因かも。 まず、旅に出るのを一番渋っていたビルボに、最も重要で危険な任務をまるなげし、ビルボもそれをすんなり受け入れるっていうのがよくわかりません。 終盤、アーロン石をめぐってトーリンとビルボに確執みたいなものが生まれるシーンがあるんですが、それは放置のまま映画が終わっちゃう。そりゃ竜に襲われていたらそれどころじゃないのかもしれないけどサ。せめてこの映画の中で、その確執に一応の決着はつけましょうよ。こんだけ尺長くとってんだからさ・・・。 ガンダルフは時間守らないし。トーリンはガンダルフとの約束守らないし。 なんか中心人物のトーリンがどーにもいけ好かないやつなのが問題なんだろーなー。 そしてガンダルフ。原作を知らないから仕方ないのかもしれませんが、今回のガンダルフはいったい何がしたかったのかまったくわからなかった。いったい、どーなっていたら正解だったの?おしーえてー、おじいーさんー。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2023-05-16 14:56:14) |
8. ホビット/思いがけない冒険
《ネタバレ》 ホビットの冒険。仲間はドワーフ。というより、ドワーフの冒険。その仲間のホビットでした。 ロード・オブ・ザ・リングのスピンオフ的な作品だろうと期待はしていませんでしたが、この手のジャンルは好きなのでつい手がのびちゃいます。満足できる作品に出合えることはめったにないんですけどね。 ってゆーか、この映画長くない? 最初の30分、まるまる削っちゃっても良いよね?もしくは10分くらいに、コンパクトにまとめてほしいです。 ゴラムとのなぞなぞ合戦もひっぱりすぎ。何回なぞなぞ出し合うのよ。映画なんだから。削れるとこは削ってくださいな。 冒頭30分のドワーフたちの来訪が結構イライラしちゃいました。ガンダルフもこんなに図々しいキャラでしたっけ? ビジュアルも地味。みんなチビだし。ホビットとドワーフなんで仕方が無いことだとは思いますが。 でもいざ冒険が始まってみると、これがなかなか面白い。よくできています。 トロールとの戦い。オークとの戦い。ゴブリンとの戦い。ネクロマンサーなんてのも出てくる。 最初は見わけがつかなかったドワーフたちも、『イケメン』『パチンコ』『弓』と、それぞれの個性を発揮して良い感じ。 RPGのような景観や世界観。アトラクションのようなアクション。そーいったものが好きなら楽しめるでしょう。 個人的には冒険ものに欲しい『ハラハラ』『ドキドキ』『ワクワク』はどれもいまいち感じることができず、あと一歩といったところ。 グリフォン?レイブン?なんにせよ終盤、大きな鳥たちが助けに来てくれるわけですが…ガンダルフ、そんな便利な奥の手があるならもっと早く…とか思うのはこのテの映画ではきっとタブー。 ・・・・ってゆーか、この映画、長くない?(2回目) [ブルーレイ(字幕)] 5点(2023-05-15 02:35:18) |
9. 僕のワンダフル・ジャーニー
《ネタバレ》 前作は1つ1つのエピソードに起承転結をしっかりつけ、スピード感がありました。前作と比較すると、今作は全体的にややスローペースでもったりしていたかも。1エピソードの完成度の高さや見ごたえは前作に軍配が上がるかもしれないですね。 こちらの作品が良かった点としては、『CJの側にいて、CJを守ってやってくれ』、このイーサンの言葉をベイリーが守り抜いたこと。この約束を守るという目的を一貫させたことで、大きな1本のストーリーとしてきれいにまとまった印象です。そのぶん、ベイリーはもちろん、CJやトレントに深く感情移入しながら見ることができました。 また、今作ならではの伏線のはりかた、その回収の仕方も素敵だったと思います。 モリーの章でガンの匂いを嗅ぎ分けるスキルを身に着けたベイリー。マックスに転生してから、トレントのガンを発見する。そのおかげでトレントは命拾いする。CJもマックスがモリーでありベイリーの生まれ変わりであるとの確信を得るきっかけになる。トレントに引き合わせてくれたのもおそらくベイリーだとの結論に至る。それが最後の一押しになるなんてロマンチックじゃないですか~。 イーサン達と違って、多少すれ違いはしたけれど、若いうちに二人が結ばれて子供もできて。前半が胸糞展開だっただけに、このハッピーエンドは本当にうれしい。 ただ、これは個人的なワガママなのですが、最後の犬種は大型犬が良かったなぁ。ラブラドールとか。ハスキーとか。ラフコリーとか。もしくは秋田犬や柴犬なんかの日本犬でもいいなあ。 なんで最後ヨークシャー・テリア?いや、かわいいよ、ダメジャナイヨ。でもなんか違うんだよなぁ。 紅白の大トリで10代のアイドル出てきたら変ですよね?・・・つまり、そんな感じ。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2023-04-16 23:35:28) |
10. 僕のワンダフル・ライフ
《ネタバレ》 犬好きな妻と犬好きな自分。2人で鑑賞。 ファンタジーなゆるいホームドラマを想像していたのですが、思っていたよりシビアな展開に妻は泣きっぱなしでした。 DV気味な父親がなにかしでかすのかと思いきや、まさかのクラスメートの凶行で人生変わっちゃうなんて・・・ イーサンもハンナもかわいそうで見ていられなかったです。 『もうずっと遊んでもらって無いよ。』って、農業学校に行くイーサンを追いかけるベイリー。もう、いったい何回泣かせる気なの・・・。 『生活が全部スローペースに。もう遊ぶ元気もないよ。』もう、いったい何回泣かせる気なの。 次の犬生は警察犬。名前はエリー。このエピソードもかなり良かった。最後は大活躍なんですが、そのせいで帰らぬ犬に・・・もう、いったい何回泣かせる気・・・ 次の犬生はコーギー。ここが一番ほっこりしているかも。 飼い主さんは、ベイリーがキューピッドになって結婚まですることになるし。生まれた子供と遊ぶコーギーが最高にかわいい。こーゆー幸せなエピソードをこのタイミングで差しはさんでくれるのは気が利いています。 そしてラストエピソード。とんでもない飼い主たちに拾われたかと思いきや、まさかの展開。 ラスト2つのエピソードが幸せなオチで本当に良かった。 まあ、失われた時間が戻ってこないことを考えると、多少複雑ではありますが・・・ ゴールデン、シェパード、コーギー、セントバーナード? 犬はどれも最高にかわいかったです。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2023-04-05 01:26:39)(良:1票) |
11. ポール・ヴァーホーヴェン/トリック
《ネタバレ》 メレルが最高。いろんな意味で。 冒頭30分がメイキングという斬新な構成。本編50分も、一般公募の脚本を4分ずつつなぎ合わせたというのだからこれも驚き。 とは言え、集まってきた脚本の中から、良いプロット、良い台詞、良いアイデアを抜き出してプロが編集しているみたいです。だから本編は思っていたよりきれいにまとまった普通のドラマに仕上がっています。 普通のドラマと言いましたが、かなり面白いです。 次が次がと気になる展開。メレルはもちろん、登場人物たちはみな個性があって良い感じ。 会社はどうなっちゃうのか。家庭はどうなっちゃうのか。どちらも気になります。 結果、主人公レムコの元愛人ナジャと組んでレムコに会社を売却させようとしたウィムには天罰が。 そして女癖の悪いレムコも、メレルから捨てられ妻からは手痛い一撃をくらうラスト。 裏でコソコソ悪いことしていたレムコやウィムが痛い目みるのがなんかよい。 会社も手放さずにすんで良かったです。 メイキングに興味のない方は冒頭30分はとばしても良いかもしれませんね。 [DVD(字幕)] 7点(2023-04-02 18:53:53)(良:1票) |
12. ポテチ
《ネタバレ》 この作品はオチが途中で読めてしまうかどうかで評価に多少差が出るかもしれません。映画をよく見る、あるいは小説をよく読む人ならオチはわりと早めに想像がつくかもしれないですね。 だとしても、ポテチの塩とコンソメのくだりで濱田岳が涙するシーンはぐっとくるものがあります。 ちょっとサスペンス臭漂う入り方で映画が始まりますが、中身はヒューマンドラマに終始したことが良かったように思えます。 濱田岳演じる今村忠司が、自分のことより自分の母親の心配をするのが良かったです。球場で尾崎が代打で出場したときに、母親に本当の息子の姿を見せてあげようと一生懸命なのはなかなかの名シーンです。 で、そうなってくると主人公の空き巣設定がなんか邪魔になってきます。 オープニングで親分・・・いや、専務か。専務が『自分たちは義賊だ』みたいなことを言っていますが、やっていることは立派な犯罪です。どーもそれが感情移入のジャマになって仕方が無い。 木村文乃さん演じる若葉さん、凄く良かったです。何も知らない母親も、ザ・母親って感じで良い味出ていました。 できることなら主人公には空き巣などせず真っ当な仕事に就いてもらって、若葉さんと結婚し、3人で末永く幸せに暮らしてほしいものです。って思っている時点で、しっかり感情移入しているじゃないか、自分。 [DVD(邦画)] 6点(2022-07-20 07:34:23)(良:1票) |
13. ホット・ゾーン
《ネタバレ》 愛すべきザ・B級映画。低予算。田舎町。見たことのない出演者たち。でもそれが良いんです。 ストーリーも演出も、どれも使い古されたものばかり。でもそれが良いんです。 チャチな演出ばかりですが、パニックものとしてはきれいにまとまっているほうじゃないでしょうか。住民の不満をきちんと描く丁寧さは大事。脱出しようとして軍に始末される住人のエピソードも大事。蛇も怖いが暴走した権力も怖い。 あ、それからこの映画では蛇がそれなりに怖く描けている気がします。蛇がたくさんいるときの気持ち悪さは言わずもがなですが、どこに潜んでいるかわからない恐怖、そこから生み出されるドキドキ感はなかなか良かったとおもいます。 予算をかければもっと壮大なスケールで派手な演出盛り沢山のスペクタクルなパニックムービーとなっていたかもしれません。 でもこのこじんまりとした感じ。これに何とも言えぬ味わいを感じてしまいます。 [DVD(字幕)] 6点(2021-07-08 05:24:17) |
14. ボーイズ・オン・ザ・ラン
《ネタバレ》 原作未読。こーゆー『頑張っても報われない』系の需要って何なんでしょう。少なくとも私は映画を見ているときくらい不愉快な気持ちにはなりたくない。いや、その過程において不愉快な気持ちや憤りやもどかしさを感じることはあっても良い。最後にカタルシスが得られるのであれば問題はない。最後まで仕事も恋愛も何一つ上手くいかない人生を見せれられても気が滅入るだけです。 ちはるは良かったのは最初だけで、その本性はクソ女でバカ女。だから恋愛は成就しなくても良い。でもせめて青山には勝ってほしかった。もしくは青山になんらかのペナルティを劇中で科してほしかった。青山のような人間が良い思いだけして終わる物語なんて不愉快極まりないです。 マンモスの社員達の常に人を見下したようなスタンスも気に入らない。おもちゃ屋のクソ生意気な店長を何も見返してやれないのも気に入らない。それがリアルだと言われればそーかもしんないけど、映画にそーゆー胸糞悪いリアルは求めていないんですよね。 振り返ってみれば、前半が一番面白かったかも。不器用ながらもちはるを慕い、少しずつ距離が縮まっていく二人の様子は若かりし頃の自分と重なり合って幸せな気分に浸れました。 ラストでちはるを電車の中に押しやったときの田西には共感できます。もはやちはるに未練があったわけじゃないんですよね。自分という人間の価値を見出しに行っただけなのです。 もう全編通して痛々しすぎる物語。そして性生活に関する生々しすぎるトークの数々。これを見るときは誰もいないことを確認して、 ヘッドホンをつけて鑑賞する必要があります。 [DVD(邦画)] 5点(2020-12-24 13:36:47) |
15. 僕と世界の方程式
《ネタバレ》 自閉症って言ってもいろんなタイプがあるんですね。 ルークみたいにどこに行っても疎まれるタイプもいれば、ネイサンのように人によっては受け入れられるタイプもいる。劇中ではルークに救いの手が差し伸べられなかったのが辛いのですが、これが世界の真実なのかもしれません。 映画としては『天才型』あるいは『サクセスストーリー』のようなものを期待していたのですが、実際は『自閉症』とその家族、友人をとりまく人間ドラマ。スカッと爽快感のある映画ではありませんでした。いや、自閉症スペクトラムのネイサンが、2人の女の子から好意を寄せられている時点で、ある意味リア充的サクセスストーリーなのか。 数学オンリー、自分オンリーだったネイサンが、他者との関わりを通し、少しずつ他人のことを考え始める。母親が本当に大変そうで、かつ不憫で、いたたまれない気持ちでいっぱいだったのですが、最後はネイサンと心を通わせることができて本当に良かったです。 ルークと違い、ネイサンは周りの人には恵まれていたと思います。 個人的にはネイサンが数学オリンピックで活躍する姿を見てみたかったです。 劇中そういったシーンはほとんどなく、唯一と言っていいのは合宿中のワンシーン。先生に指名されたネイサンがみんなの前で問題の解説を行う。ここは少し盛り上がるシーン。今まで他者から疎まれ、イジメに近い扱いを受けていたネイサンが、みんなから拍手をもらう瞬間。気分が高揚します。ですがこれ以降、類似シーンはまるでなく、ネイサンが数学よりもっと大切なものを遂に見つけるという流れで幕を閉じます。できれば、ネイサンが周りの人たちから頼りにされるような、そんな人物になる姿を見てみたかったものです。 [DVD(字幕)] 7点(2020-12-01 10:30:06) |
16. ボックス!(2010)
《ネタバレ》 ピンポンがボクシングに変わっただけで、プロットがほぼいっしょ。 天才型。凡人だけど努力家。2人は幼馴染。カブちゃんを追いかけていたはずのユウちゃんは、いつの間にかカブちゃんを追い越してしまう。でもやっぱり最後はカブちゃんが、ユウちゃんでも倒せなかった天才を倒して幕を閉じる。 途中でカブちゃんがふてくされてボクシングをやめてしまうのはお約束。共通のライバルがいるのもお約束。ユウちゃんのほうが一目置かれてしまうのもお約束。応援してくれるマネージャーや先生やコーチがいるのもお約束。 お約束ばかりの青春サクセスストーリー。ですがそれが良いんではないですか。 へんに斜に構えられたり、やたら悲劇にされたりするよりかはよほど良いと思いますね。 中盤、あまりに子供じみたカブちゃんにイライラさせられるシーンがないこともないんですが、すぐに後半盛り返すので気になりません。 個人的にはマネージャーの死は要らない。そんな安直なお涙頂戴エピソード、この映画には相応しくない気がします。それだったら、ラストに2人がハワイでいっしょにお好み焼き屋を経営している姿を見せてくれたほうが、余程幸せな余韻が残ると思います。 2人ともボクシングから遠ざかってしまった後日談は寂しい限り。 もし『青春の一ページ』を強調したかったのだとしたら、それこそそんな後日談はバッサリカットしてしまっても良かったのではないでしょうか。 [DVD(邦画)] 7点(2020-11-07 13:02:24) |
17. ボルト
《ネタバレ》 これは『犬版トゥルーマンショー』ですね。 好みでいくと、正直そんな好きなタイプではないです。勘違い系って、見ている間ずっともやもやしちゃうんですよね。 個人的にはこの作品のピークはプロローグ。予備知識なしで見たので、ボルトが本当にスーパードッグって思ってました。『実は違います』って言われたときの落胆。もしかするとボルトの気持ちに一番共感できたのは私かもしれない。 むしろ、スーパードッグっていう設定で、SFアクションまっしぐらのほうが面白かったんじゃないかと思えるほど、プロローグが素晴らしすぎましたね。現実世界に投げ出されたボルトがヒートビジョンやスーパーボイスを使おうとするたびに、なんか痛々しくて見ていられませんでした。 トイ・ストーリーのバズも勘違い系ではありましたが、あちらは楽しく見られたんですよね。この違いはいったい何でしょう。 ネコのミトンズは良いキャラクター。一番好きかも。最初のジャイアンみたいな登場の仕方がいただけません。あれのせいで、『弱者を虐げ、強いものに媚びる』というヤなイメージが途中まで抜けなかったのです。 ミトンズが自分の過去を告白。ボルトと自分の寝床を作り、暗に一緒に暮らそうと示唆するシーン。このけなげさと切なさは何気にぐっと来ます。この辺りから感情移入しまくっちゃって・・・そこからラストまでは素直に面白かったです。 ペニーのために火の中に飛び込むボルト。最後の力を振り絞ったボルトの遠吠え。あれはまぎれもなくスーパーボイスでした。ボルトを最後にホントのスーパードッグ、スーパーヒーローにするディズニー。こーゆー王道の演出をさせたらディズニーの右に出るものはいませんね。 [ブルーレイ(吹替)] 6点(2020-03-16 00:55:16)(良:1票) |
18. ボディ・スナッチャーズ
《ネタバレ》 この作品は、『街』が凄く似合うシリーズだと思うんですよね。 『日常』がすり替わる恐怖。『隣人』が『隣人』でなくなり、『家族』が『家族』でなくなる恐怖。それがこの映画のミソ。舞台が『街』から『軍事施設』に変わっちゃえば、その恐怖感ってどうしても薄れちゃいます。 また、この映画ではすり替わられる前の描き方がちょっと足りないです。父や弟や女友達はまあいいでしょう。でもそれ以外の人たちは、会ったときからすでに変。そうじゃないんですよねー。どうもこの作品はこのシリーズの良さってのをちゃんと理解できていない気がする。 マジョリティからマイノリティになってしまう恐怖というものをもっと描けていたならば、ガブリエル・アンウォーに頼らなくとも、もっと高い評価を受けていたかもしれません。『SF/ボディ・スナッチャー』や『インベージョン』に比べると、あらゆる面でワンランク劣ります。3作品の中では『インベージョン』が一番面白いかな。 [DVD(字幕)] 5点(2019-09-23 00:22:21) |
19. ホームランが聞こえた夏
《ネタバレ》 正統派スポーツドラマ。凄く良かったです。 まず、主演のチョン・ジェヨンが良い。『選手を叱咤激励するシーン』『他校の選手を叱るシーン』『学校の経営陣に啖呵をきるシーン』どれも凄い迫力で、胸があつくなります。日本の俳優さんで、この人くらいアツい演技をする人が、今どれくらいいるでしょうか。 プロ野球の花形ピッチャー。でも素行不良で問題児。警察沙汰で謹慎処分。社会貢献の一環で聾学校の野球部のコーチに。最初は渋々。やる気なし。そこから徐々に子供たちといっしょになって、真剣に野球のコーチをやりはじめる。まあいたってシンプルでよくあるシチュエーション。ただその見せ方がとても自然ですごく上手い。トレーニングの様子を丁寧に、かつテンポよく見せてくれたことに監督さんや脚本家さんのセンスの良さを感じます。ラストの試合の決着も、ちょっと虚をつかれたけれど個人的にはアリ。これといって非の打ち所の無い作品で、よく出来ています。 ただ、こーゆー映画を見ると過去に見た野球マンガの数々とどうしても比較しちゃいがち。野球マンガに必ずある、『無名の高校が周りをあっといわせる展開』が、やはりこの映画にもありません。野球マンガってその辺の盛り上げ方が凄くうまくて、比較しちゃうと物足りなさを感じる部分はあります。ついでに言うと、女教師との恋エピソードもイマイチ。あの程度の味付けで済ますなら無いほうが良いでしょう。 [DVD(字幕)] 8点(2019-09-09 13:09:44) |
20. 包帯クラブ
《ネタバレ》 『なんか思っていたより暗い映画借りちゃったなー。こりゃ失敗したかなー。』と思って見ていたら、包帯クラブ発足あたりから次第に面白くなり始めました。 『部活』や『サークル』といったノリで、『心の傷』を治療するというプロット。ささやかで、単純だからこその良さがあります。ワラやテンポが、『ばかばかしい』『何の意味があんの』と最初から賛同するわけではないのが良い。包帯クラブのメンバーが、それぞれ心に傷を抱えていて、活動を通して少しずつ自分たちの心の傷を軽くしていくのがまた良い。 心の傷は千差万別。『失恋』『オウンゴール』『逆上がり』『カットの失敗』のように、他人から見れば些細なこと。『レイプ』『性的虐待』『友人同士の刺傷事件』など重いもの。当事者にとっては程度の差は関係ありません。どの心の傷も平等に癒していくメンバーたち。そしてその活動の楽しそうなこと。誰かのために行動するっていうのは、かくも楽しく喜ばしいことなんだと、理屈ではなく感覚で共感させてくれるのが嬉しい。 ディノ、ワラ、ギモ、リスキー、それぞれが抱える『心の傷』が明らかにされるタイミングが絶妙。その順番も良い。ひとつひとつのエピソードは短め。ですが短いながらも、過去のシーンを必ず挿入し、丁寧に描写してくれたのが凄く良かった。個人的には『レイプ』の『お葬式』による供養がかなりぐっときました。自分自身辛い過去があるので、みんなが炎の前で祈ってくれている姿に涙がでました。そしてディノのエピソード。彼の秘密と彼が抱える『心の傷』に、ワラが寄り添ってあげたのが、ちょっとクサかったけど泣けました。 軽すぎず重すぎず。ちょっとドラマチック。ちょっと笑えてちょっと泣ける。後味爽やかな青春ムービー。 ※石原さとみがかわいすぎるので、2割増しくらいで高評価。『ドンマイ』。 [DVD(邦画)] 8点(2019-05-30 12:23:12)(良:2票) |