1. 幌馬車(1950)
おなじみフォード監督の顔たる、ジョン・ウェインもヘンリー・フォンダも出てこない。常連の地味な脇役役者さんたちを主人公にしたロードムービー。「騎兵隊三部作」の連作期、リキ入れまくりの大作の合間に肩の力を抜いてこしらえた小品だとは思うが、フォード監督独特のモノクロ画面に捉えた西部の詩情を味わえるという点で他作品を遥かに凌ぐ。具が何も入ってない素うどんって、時たま無性に食べたくなる時があるが、フォード監督の数ある西部劇の中では正にこの作品がそれ。具沢山の豪華な鍋焼きうどんもいいけれど、素材の良さをじっくりと味わって頂きたいウエスタンの逸品。 [DVD(字幕)] 8点(2021-03-01 08:42:19)(良:1票) |
2. 本日休診
先日惜しくも亡くなられましたが、この映画は若き日の三國連太郎さんの怪優っぷりを堪能する映画です。当時のイケメン代表格、鶴田浩二、佐田啓二お二人とも、この三國氏のどうにもこうにも枠に収まらないハチャメチャな悪達者ぶりに、影がまるで薄くなってしまっています。特に良い意味でアクのない端正な二枚目の佐田氏なんぞ、えっ、どこに出てたっけ?ってなくらい、まるで存在感ナシ。上記お二人のみならず、名バイブレイヤーの男優さん含め、居並ぶお綺麗な女優さんの存在までも、あの独特なマスクと濃ゆい演技で映画をかっさらってしまった感があります。いやあ、恐るべき役者さんだったんですねぇ・・・。ちなみに、自分が三國さんを意識したのは、これも先日亡くなられた夏八木勲さんと同じで、角川映画の、健さんを恫喝するシーンが怖い「野性の証明」や、太っちょ=「セーラー服と機関銃」あたりからでした。角川映画って当時ずいぶん叩かれてたけど、良い役者起用してたんだよなあ・・・。自分が小中学生の頃活躍していた役者がホントどんどん亡くなられていくっていうのは・・・やっぱなんか寂しいもんですよね。 [DVD(邦画)] 7点(2013-06-01 19:41:58) |
3. 僕の彼女はどこ?
「若草物語」「ハーヴェイ」「花嫁の父」あたりの、1950年前後に製作された、当時の自信に満ち溢れ、強く正しく何の迷いもない健全なアメリカ映画がお好きな方に特におすすめの映画。何かと自分と相性が合うダグラス・サーク監督ですが、この作品にも古き良きアメリカの雰囲気が心地よいですね。好きだな~。「お金よりもっともっと大切なものがあるんだ!!」っていう、今となってはちょっと気恥ずかしいストレートなテーマを、照れずに堂々と描いているのが良いです。若手カップルがほぼ親のいいなりで、それほど自己主張をしないようにキャラ設定されているのも、当時は当たり前だったのかな?「理由なき反抗」以前の、従順なフツーの若者たちの典型といったらいいか。でもこれはむしろ若手よりも、マリリン・モンロー映画でよく脇役として登場していた、老チャールズ・コバーン氏が主役。 [DVD(字幕)] 7点(2010-03-19 11:13:51) |
4. ボーン・イエスタデイ(1950)
「イヴ」のベティ・ディヴィスと「サンセット」のスワンソンを押しのけ、この年のアカデミー最優秀主演女優賞を獲得したジュディ・ホリデイの代表作という事で、ずっと以前から観たかった作品。この女優さん、自分は「アダム氏とマダム」の脇役でしか他の作品で観た事ないんですが、キャリアが先細りになったのはどうしてなんだろ?舞台が本職だったからか?そもそもが彼女主演の舞台での当たり役の映画化という事で、かなり巧みなコメディエンヌぶり。カン高い声質に非常に特徴がありますね。もしかして映画界ではこの声がネックになって役柄が限定されてしまったのかな?無言でポーカー・フェイスのまんま、トランプをしてるシーン手捌きなんか妙に可笑しくて大爆笑。無学無教養の女性をレディに仕上げていくっていうプロットは、同じジョージ・キューカー監督後年の「マイ・フェア・レディ」を想起させられるものがあります。ちょっと展開がこの監督らしく、上品でおっとりしすぎてるかなあ・・・。メラニー・グリフィス主演のリメイクのがここでの評価高いんですね、今度観てみよ。ホールデンも相手役として申し分ない。この人って単独主演より、ヒロインの魅力をより引き立たせる二枚目の方がやっぱりお似合いです。 [DVD(字幕)] 7点(2008-02-17 10:30:58)(良:2票) |
5. 北北西に進路を取れ
ヒッチコックサスペンスの集大成的秀作!と謳うのはやぶさかではない、が、ラストのラシュモア山での格闘シーン、高さによる恐怖があまり感じられないのは何故だろう?劇場で観てもブラウン管で観てもその印象は変わらず。 9点(2005-01-29 13:49:12) |
6. 慕情(1955)
ジェニファー・ジョーンズって不思議な女優さんですね。野性的な娘(白昼の決闘)ジプシーの女(女狐)一見貞淑なアメリカ人の人妻(終着駅)、そしてこの映画でのイギリス人と中国人とのハーフの女医と、演じる役柄によって受ける印象がこんなに異なる人も珍しいと思う。演技も(特にラブシーンとか)すごく巧い!でも・・・、何故か人気ないんですよね、日本でもアメリカでも。 ラスト、思い出の丘を駆け上がっていくシーンで泣かされるのは彼女の演技力あっての事。ホールデンがこの映画ではデクノボーに見えて仕方なかった。 7点(2004-10-11 16:42:05)(良:1票) |
7. ボディ・スナッチャー/恐怖の街
何が飛び出してくるか解らない、荒れたモノクロ映像が却って恐怖感を倍増させてますよね。発端から一気に畳みかけてくるようなテンポの良さも凄いと思う。 8点(2004-07-18 12:04:59) |
8. 誇り高き男
これね、口笛使った主題曲が超ーーーーカッコイイんですよ!出演者も 西部劇でおなじみのメンツで安定感あるし。それほどの大作でも有名な監督の作品でもないけど、自分にとっては忘れられない映画です。原題のタイトルも良し! 8点(2004-02-22 10:50:57)(良:2票) |