1. ラースと、その彼女
《ネタバレ》 ラースが意気揚々とビアンカを兄夫婦に紹介した時はこれはヤバい、とわたしも夫妻同様大いに焦ったのですが、ストーリーはほとんどファンタジーのような優しさと親切で展開しました。 街の人たちがほぼ皆ビアンカを「そういうこと」として受け入れ、助けてくれる。まあ、ラースが迫害される(こっちの方が現実的)のを見るよりはこちらも心が安らぐのでやや現実離れした話でもアリかな。 甘々な話ではあるけれど、兄夫婦のショックや戸惑いといった感情描写なんかはとてもリアル。特に優しい義姉が唯一爆発したシーンは心に残ります。「皆気を使っているのに。だってビアンカは大人なんだから」ここ、よく「人形」と言わずにこらえましたねえ。お義姉さん、エライ。 ちょっと注文をつけるとするなら、ラースが人々にこうも受け入れられるほどの‶善良なやつ”として好かれているという描写が前段のうちにもっと欲しかったです。ぱっと見陰気なコミュ障、で切り捨てられかねないキャラクターですから。あと、人形を搬送するのに難を示さない救急車てのもなんかびっくりするなあ。そこそこ大きめな街だったように思ったのですが。もっと小さい村単位の話なら、隅々までビアンカの話が行き渡っていても無理はないかなと思いますけども。いや、些末なコトですね・・。 ライアン・ゴズリングには驚きました。これまで彼の役は「イケてる自信家」的な仕事しか観ていなかったので。彼の器用なことには目からウロコです。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2020-10-12 22:56:03) |
2. ラッキーナンバー7
《ネタバレ》 サスペンスが好き、でも勘は悪いという(つまり私だが)タイプはとても楽しめると思います。いやーわかんなかったな。前半までのJ・ハートネットの善良ぽさにまんまと騙された、とも言えるし L・リューが彼女らしくない普通の女子を演ってるのが違和感だったのでスパイかも、と思ったり あげくB・ウィリスの不思議な佇まいに人外の存在かもしれない(彼の別作品が影響した)とお門違いに勘ぐったりで、それら全部外しても楽しかったな。 伏線に嘘や無理やり感がないんですよね。筋としては極めてシンプルだから。言われてみれば大して込み入ってない話なんだけど逆再生のように組み立てたことで謎がいっぱいあるように見える。よくある作りではあるけど、目まぐるしく挿入されてきた過去映像もとりこぼさず説明してくれる丁寧さは観客に親切だし、ずらーっと並ぶ重鎮演者の顔ぶれはいやでも重厚感漂わすし、良かったですよこれ。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2019-05-16 23:35:59)(良:1票) |
3. ラスト、コーション
ちょっと・・、ノレなかったんですよ。何人かの方も言ってるけど、私もヒロインの造作が難ありだった。素朴が勝ちすぎて、色恋沙汰を濃い目にこなすのは厳しい顔立ち。劇団仲間の、もう一人の彼女、あっちの方がヒロインに良かったんじゃないですかね。私個人の好みか。 「想い」を描くのに定評のある監督の手腕はいかんなく発揮されているとは思うんですよ。トニー・レオンのラストシーンでの脱兎ぶりも涙目顔も良かったし。ああだから別の女優だったらなあ、この話もっと気持ち入ったのにな。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2018-02-13 01:03:17) |
4. ラブリーボーン
《ネタバレ》 いろいろと釈然としない映画。不運によって命を奪われた死者に語らせること(しかも生者の想像で)は、死に対して不敬な感じがする。ましてやこの話は女の子に「私は14才で殺された」と言わせる。こんな胸糞悪い思いをさせる以上、この娘の魂が安寧に休まる軌跡を描くべく、制作は全力を注入すべきなのだ。 しかしね、これが「全力で」女の子の死を扱った出来栄えだろうか。そもそも何故成仏(という言葉を使わせてください)しないのか。どんな想いを置き残してきたのか。パパが心配なのか、初デートが果たせなかったことが心残りなのか、少女の想いはどれもうっすらぼんやりと描かれるのはどうして。ここ肝でしょ。 しかもこの子の死後の想いだけでなく、崩壊した家族とその再生ドラマ、さらに殺人犯をいかに挙げるかというサスペンス要素まで盛り込んであるので当然尺が足りない。結果描写は浅くなる。お陰でS・サランドンは奮闘虚しく話から浮いているし、R・ワイズは自分の悲しみを優先して家族を放擲する自己中母さんになっている。ついでながら「天国」の画もありがちなテカテカにキレイなCGで好きではない。 こうも不満が溜まった折りも折、犯人は天罰が当たったようで。これもまあ、あんなぬるいことを、とやんなっちゃった。 あいつはね、レクター博士にでもとっつかまって、ゆっくり食われてゆくぐらいの「天罰」じゃないととてもやり切れないよ私は。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2017-07-10 00:03:57) |
5. ラブ・アクチュアリー
《ネタバレ》 クリスマスに向けて愛を叶える人あり、叶わぬ人もあり。ずいぶん沢山のパートで構成されてるけど、それぞれのお話がどれもちゃんと厚みをもって着地してるのが凄い。全体を通して、人を見守る視線の温かさがこの映画を成功させてるんだと思うな。辛いことばかりだと人生耐え難いですもんね。病気の家族が恋愛の障害になっちゃう彼女には家族の繋がりを、友人の嫁に惚れた彼には新しく歩む第一歩を、この映画はちゃんと与えてる。優しいです。関係ないですがA・リックマンが話すたびにスネイプ先生が頭をよぎってしまう。特徴ある声も良し悪しですな。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-02-03 17:50:58)(良:2票) |