1. 鴛鴦歌合戦
ハリウッドで「風と共に去りぬ」や「オズの魔法使い」が作られていた頃、日本でもこういうミュージカルがあったのだと改めて驚く。そもそも時代劇でミュージカル、戦後の美空ひばりは知っていたけど太平洋戦争前の映画だとは・・・。若いディック・ミネにも驚くけど、何と志村喬までが歌っているとは天と地がひっくり返るような驚きだ。またストーリーも結構おもしろいしすばらしい。永遠に残しておきたい貴重なフィルムだと思う。DVDが出たので即購入。 [DVD(邦画)] 10点(2012-12-16 09:13:11)(良:2票) |
2. 人情紙風船
《ネタバレ》 長屋での首つりに始まり心中で終わる「人情紙風船」、昔ビデオで見たときはさほど良さが感じられなかったが、改めてDVDで見ると、これほどまでの名作であったのかと痛烈に感じられずにいられなかった。 この映画は天才と呼ばれた山中貞雄監督の遺作として名高い。わずか28歳にしてこれだけの作品を撮り、封切りを見ることなく戦地に赴き病死したという。映画には一分の隙や無駄がなく(映画の途中は音楽すらない)、90分足らずの映像ですべてを見せてくれる。 その最たるものがラストシーン、水に落ちた紙風船がただ流れて行くだけ・・・、それだけで十分である。映画に元々説明は不要なのだ。 [ビデオ(邦画)] 10点(2011-04-15 10:52:03) |
3. 或る夜の出来事
最高のラブコメ、私の最も好きな監督フランク・キャプラの中でも、一番好きな映画。 たしか、「素晴らしき哉、人生!」のDVDで淀川長治さんがベタホメしていたので、間違いなしと思って見たら、本当に間違いなかった。 「風と共に去りぬ」のレット・バトラーも素晴らしかったけど、クラーク・ゲイブルがこんなコメディも出ていたとは、大変驚いたものです。 アカデミー作品賞はもちろんのこと、主演男優賞、主演女優賞も同時に受賞したことも頷けます。 [DVD(字幕)] 10点(2011-03-14 21:32:46)(良:1票) |
4. 風と共に去りぬ
これぞ、映画の中の映画、歴史に残る名作だと思います。 最初に見たのは、数十年前、まだ字幕の漢字もろくすっぽ読めなかった子どもの頃でしたが、その後も何度となくくり返し再上映される度に見ました。また、高校の時原作の小説を読み、映画にも劣らない強い感動を覚えました。 すべてを失っても、さらにたくましく情熱的に生きようとするスカーレットには、心を打たれます。 [映画館(字幕)] 10点(2011-01-26 19:29:24)(良:1票) |
5. 會議は踊る
「会議は踊る、されど進まず」のウィーン会議、ロシア皇帝を会議に出席させまいとする宰相メッテルニヒと方や替え玉を使って対抗する皇帝、侍従や側近らを交えてのやりとりがおもしろい。これはアメリカのミュージカルでなく、まさしく洒落っ気たっぷりの欧州オペレッタ。昔テレビ?で見た映画だけど、DVDで再鑑賞してあのときの感動が蘇ってきた。 [地上波(字幕)] 9点(2014-10-11 00:34:56) |
6. メリィ・ウィドウ(1934)
喜歌劇「メリー・ウィドウ」は見たことはないが、その中のワルツは「金と銀」とともにレハールの大変有名な曲だ。その有名なワルツの調べに乗せ二人が「唇は語らずとも」を歌いそして踊る。そのシーンが大変すばらしく印象に残るし、未亡人ソニアを演じるジャネット・マクドナルドがとても美しく魅力的なのも良い。その上歌も一級品ときているので文句のつけようがない。物語の展開もおもしく私好み。何としても本物の喜歌劇も見てみたいものだ。 [DVD(字幕)] 9点(2014-06-11 06:36:02) |
7. 河内山宗俊
「人情紙風船」「丹下左膳餘話 百萬兩の壺」と見てきた山中貞雄の映画を完結。この映画もまた天才の名に恥じない名作。最初見たときは、中盤から後半にかけてフィルムが消失して飛んでいるのではと思ったのだが、実はそうではなかった。見事なまでに贅肉をそり落とし、簡潔明瞭に繋がっているのだ。その手法はもはや神の手によるものなのか。原節子のデビュー作としても知られるが、もう一人、もしやと思ったら何と加東大介(健太役)ではないか。 [DVD(邦画)] 9点(2013-06-01 15:19:07) |
8. 丹下左膳餘話 百萬兩の壺
《ネタバレ》 「金輪際送っていかないぞ」と言った次の瞬間には送って行っているし、「竹馬なんて乗るもんじゃありません」の次の瞬間は竹馬に乗っている、というようなすごいスピード感。小さい方の的をねらって大きな方の的にあたるなどのこっけいさ、そして人情味ある丹下左膳、この映画の良さをあげると次から次と浮かんでくる。さすがは天才山中貞雄の人情紙風船とともに歴史的名作だ。 [DVD(邦画)] 9点(2012-10-20 22:53:15) |
9. 舞踏会の手帖
一つ一つのエピソードが変化に富んでいて味わい深く印象に残る映画だった。ジョルジュの母親を含め20年ぶりに再会した相手が個性的で名優の集まりにも思える。Valse Grise(灰色のワルツ)のメロディーがいつまでもこころに残る。 [DVD(字幕)] 8点(2015-06-02 20:57:47) |
10. にんじん(1932)
子どもの頃読んだ小説(絵本?) その時は子どもの目線でしか見ることができなかったが、今見るとどうしてこのような家族になったのかわかるような気がする。外での仕事ばかり一生懸命で家庭に無関心になった父親、思い通りに成長しなかった子どもに愛情を注げなくなった母親、親の顔色を伺って育った子どもたち、それぞれがどこにもあるようなどこの家庭でも起こりうるようなことだと思う。子役がすばらしかったし、幼い少女マチルドが出てきたときは「禁じられた遊び」を思い出してしまった。 [DVD(字幕)] 8点(2015-04-06 21:30:48) |
11. トップ・ハット
「有頂天時代」で知ったアステアとジンジャー・ロジャースのコンビだけど、それよりずっとおもしろく彼らの代表作と言っていいだろう。人違いだとわかわかってしまえばそれまでと思いつつも、わからないまま進行するストーリーが実に良い。地味な存在だけどホレースの付き人ベイツのウィットあるユーモアもまた良かった。 [DVD(字幕)] 8点(2014-06-13 05:27:22) |
12. 廿日鼠と人間(1939)
オリジナルに軍配を上げなければならないのだろうが、私はリメイク版の方を先に見たこともあり迷ってしまう。カーリーの妻や貫禄のあるスリムはもちろんこっちの方が圧倒的だし映画の流れも自然でテンポも良いのだが、主役二人の演技になるとシニーズやマルコヴィッチの方が好きだし・・・。 [DVD(字幕)] 8点(2013-12-03 20:45:19) |
13. 按摩と女
ちょっとしたストーリーに漂う情感、これが「ありがたうさん」の清水宏監督と知ってすごく納得。ある意味おもしろさではこっちが上かもしれない。目が見える者を追い越したり喧嘩にも負けない。特に8人半にはまいった。それでいて目の見えないハンディをユーモアたっぷりに表現する。漫才のような掛け合いで始まった映画が、実にしっとりした印象的シーンで終わる。 [DVD(邦画)] 8点(2013-10-18 09:44:28) |
14. 瀧の白糸(1933)
子どもの頃、講談や浪曲で聴いた「瀧の白糸」、悲恋ものの代表格として知られる。恋する男性に身も心も尽くす女心が何ともいじらしく、涙なくして見ることができない。サイレント映画だが、当時の弁士による語りが目に浮かぶようだ。最初らへんの馬車と人力車の競争は愉快。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2013-10-13 19:08:48) |
15. 汚れた顔の天使
私はマフィアやギャング映画が大嫌いだし、まして銃をぶっ放す映画などは・・・。ところがこの映画は違った。どことなく引きつけるものがある。そして大詰めに来て評価がぐんと上がり、忘れることのできない感動のシーンとなる。ほんのちょっと違い(足の速さ)が大きな運命の違いになること、友情とは、真の勇気とはなどいろいろ考えさせてくれる映画だった。 [DVD(字幕)] 8点(2013-07-20 03:55:31) |
16. 有りがたうさん
「ありがとう」「ありがとう」「ありがとうさん」たくさんのありがとうが飛び交う心地よい映画だ。台詞もBGM音楽も、バスも乗っている人も歩いている人も、のんびりのどかですばらしい。感謝する心など現代の私たちが忘れてしまったものがそこにある。だがよくよく見てみると、売られていく娘や在日朝鮮人の人たちなど、時代を反映する悲しい面もある。「道路は造るがその造った道を歩いたことがない」ということばにどきっとした。 [地上波(邦画)] 8点(2013-02-21 14:53:37) |
17. オズの魔法使
何度も見た心に残る映画でなつかしい。「風と共に去りぬ」と同年の作で、戦後ようやく総天然色映画として登場した日本と違って、カラー映画の技術の差も感じる。映画のすばらしさはいうことないが、初めて見た頃の感動はなかなか思い出せない。(初めて見たときに感想を書くべき)しかし最初見た頃はかかしやブリキ男、ライオン、魔女が現実の人物と同じ人たちだとは気づいていなかった。そしてテレビもカラーではなかったような・・・ (白黒テレビ) [地上波(字幕)] 8点(2013-01-06 10:23:41) |
18. 雨
一瞬、モームの小説とラストが違うのかと思ったが、そうではなかった。出発の前の晩とその当日の対比がすばらしい。短編らしく多くは語られていないが、何がどうなったのかを見事に表現していると思う。 雨の描写、主役の二人の演技、これが映画だ。淀川さんの名解説も心に残る。 [地上波(字幕)] 8点(2012-04-07 06:47:56) |
19. オーケストラの少女
《ネタバレ》 冒頭からストコフスキーが登場し、5分余りの堂々たる演奏(チャイコフスキーの交響曲第5番)、これだけでもクラシックファンの私には十分に引きつけられる。 映画は強引すぎるほどに都合の良い展開だけど、決して悪い話ではないし大変わかりやすい。1930年代というのは世界大恐慌で米国には失業者があふれていたことも背景になっている。また一方では楽団を支援したり、大金をかけて遊ぶ金持ちもいたということか。きっかけも金持ち同士のいたずらだし、お団子のようなビリヤードの玉や変な双眼鏡など笑える。 ジュディ・ガーランドより歌がうまかったというディアナ・ダービンの歌はさすが、彼女の歌と楽団設立の偉業により点数もおまけ。 [DVD(字幕)] 8点(2011-12-22 20:42:37) |
20. チップス先生さようなら(1939)
《ネタバレ》 内気で堅物だったチップス先生が、長年の積み重ねにより、ユーモアのある親しまれる先生へと変化していく様子が実によい。ロバート・ドーナットの演じるチップス先生は、青年時代と老年時代とではまったく別の役者さんであるかのような変わり方だ。 老チップス先生は、その姿を見るだけで暖かく深い愛情で包まれていることが一目でわかる。このような先生になれたのも、ひとえに奥さんのおかげだと思う。早死にしたのは実に残念だが、チップス先生の最後の言葉は胸にしみる。 [DVD(字幕)] 8点(2011-10-22 23:13:39) |