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S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2383
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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2021.  熱泥地 [短縮公開版] 《ネタバレ》 
二本立て・三本立て興行を維持するために、末期の新東宝は旧新東宝(大倉貢体制になる前の健全なころ)の作品を尺をぶった切って短縮版にしたうえで改題して再公開するという荒業というか禁じ手を使って配給作品を増やしました。50年代とはいえさすがに監督協会からは抗議されましたが、「脚本の著作権は原作者やオリジナル脚本にあるが、映画としての著作権は資金を出して製作した者、つまり映画会社にある」という強引な主張で押し切っていました。後にお昼の時間帯に東京12チャンネル(今のTV東京)が放映したいわゆる“東京12チャンネルver”の先取りみたいなものですね。『現金と美女と三悪人』という身も蓋もないタイトルに変えられた本作は、オリジナルの尺は100分余りで、つまり三分の一程度がカットされているわけですが、許せないのはこれらの短縮版たちは杜撰な体制だったのでオリジナル・ネガが喪失してしまっていることでしょう。まあどの作品も映画史的に貴重というわけではないのも確かですけどね。 さて本作、三分の一カットされている割にはストーリーは破綻していなくて、まあ編集としては上手いと言えるかもしれません。藤田進が酒浸りの現金強奪犯というキャラを演じているのは珍しい、まだ若いのに既に老け顔の東野英治郎のふてぶてしい悪役ぶりも板についています。唯一の女優である利根はる恵はデビュー直後の出演ですが、とても終戦直後の女性とは思えないそのグラマーな肢体には驚きました。でも細かい描写はほとんどカットされているので、やはりぶつ切り感は否めないかと思います。だいいち、“三悪人”とは誰なのか?という疑問が、二人は判るんですけどねえ。 監督・市川崑、音楽・伊福部昭という組み合わせは珍しいかも、でも伊福部昭の音楽にはすでにゴジラ風味があって笑ってしまいました。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2023-03-13 21:49:58)
2022.  ザ・ロストシティ 《ネタバレ》 
かつておバカコメディ『ウルトラ I LOVE YOU!』で世界を震撼させたサンドラ・ブロックがまたまたやってくれました!この人、コメディエンヌとしても並々ならぬ才能の持ち主なのに、自らがプロデューサーまで務めてこんなおバカ映画をまた世に放つとは、もう確信犯なんじゃないかとすら思えてきます。チャニング・テイタム、ダニエル・ラドクリフ、ブラピといった豪華な男優陣に囲まれて日頃のストレスを思いっきり発散させちゃいましたって感じかな。プロットもかつて撮られた秘宝もの・ラブコメの使い回しの感が濃厚ですが、もうちょっと工夫を凝らした脚本ならばもっと面白くなったと思われるので残念です。ブラピの扱い方もカメオ感がミエミエ、あのままストリートに残っていたら、まあチャニング・テイタムの存在意義がなくなっちゃったでしょうけどね。でもエンドロールに突然復活してきたのはファンサービスのつもりかもしれませんが、どう考えてもセンスが悪い。予告編を観た限りでは凄く面白そうだったけど、見事に騙されましたよ(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2023-03-10 21:55:13)
2023.  レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード 《ネタバレ》 
一作目と二作目は繋がりが無いのでこれをシリーズものと呼んでいいのか微妙ですけど、本作が『デスペラード』の続編あることは確か。愛する妻となったサルマ・ハエックよ娘を将軍に殺されて復讐の鬼となったエル・マリアッチことアントニオ・バンデラス、バジェットがさらに増えたのかメキシコ大統領が狙われるクーデター絡みとお話しのスケールも大きくなっています。ゲスト・スターとしてジョニー・デップとミッキー・ロークそしてウィレム・デフォーを迎えてキャストも一段と豪華、でもこれがロバート・ロドリゲスの素なのか狙っているのか、B級色は一段と濃くなった感じです。相変わらず銃弾を回避する超能力者エル・マリアッチの荒唐無稽なカッコよさは毎度のことですが、コソコソと陰謀を巡らせた挙句に両眼をえぐられて盲目ガンマンになってしまったジョニデのCIAエージェントがこれまた訳の分からないキャラ、そういやジョニデとバンデラスが絡むシーンがありましたっけね?まあこれには大人の事情があったんでしょうけどね。ラストのクーデターが起こってからのドンパチはまるでリアリティなしのB級テイスト、爆発が起こるたびに人が宙を舞います(笑)。ダニー・トレホやチーチ・マリンといったロドリゲス組の常連は無意味な退場をさせられるのはお約束。でもFBIに追われてメキシコに流れてきてウィレム・デフォーにこき使われるミッキー・ロークには、ハリウッドでの彼のリアルな状況を見せられているようで、ちょっと複雑な気分です。 思う存分火薬が使えて、これでロドリゲスは満足できたかな?
[CS・衛星(字幕)] 4点(2023-03-07 22:54:11)
2024.  キリング・ゾーイ 《ネタバレ》 
勘違いされやすいけど、この映画でタランティーノは脚本も書いていないし製作総指揮として名前を貸しただけ。あくまでロジャー・エイヴァリーが書いたストーリーをタランティーノ風味で映像化したわけなのだが、しかしこれがタランティーノ風味かというと微妙ですけどね。ジャンキーのジャン=ユーグ・アングラ―ドが首領の銀行強盗団はヤク中揃いで徹頭徹尾のアホ揃い。彼らが実行する銀行強盗も、人質をバンバン殺す映画史に残るような凄惨な代物。そこにジャン=ユーグの旧友のエリック・ストルツが金庫破りの腕を買われてアメリカから呼び寄せられているわけだが、いくら幼なじみとは言っても10年以上会っていないフランス人とヤバいヤマを踏むというプロット自体が説得力がなさすぎです。もしタランティーノの脚本なら、この二人の友情と他のいかれたジャンキーたちとの関係を上手く表現したんだろうけどね。冷静なプロの金庫破りであるストルツと狂気の世界に半分足を突っ込んでるようなジャン=ユーグとの対比が意図されていたかもしれないが、後半のジャン=ユーグの完全に狂ったとしか思えない暴れっぷりのために、それもどっかにぶっ飛んでしまいます。劇中で「俺はエイズだ」と誰にともなく呟くのですが、これがこのやけっぱちな銀行強盗の動機なのかもしれません。それにしても、目の前で女性が頭をぶち抜かれ終いには自分も撃ち殺されたのに、頑として金庫を開けようとしなかった男性行員、こんな銀行員がいるわけないじゃないですか!どんな金融機関のマニュアルでもこれはNG行為になっているはずです。 ラスト近くでジュリー・デルピーが逆襲に転じますけど、どうせなら中途半端にせずトコトン暴れて欲しかったところでした。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2023-01-31 23:22:39)
2025.  眠れぬ夜のために 《ネタバレ》 
こんな決して大作とは言えない映画に、なんでこれほど大量のカメオ出演者がいるのかが不思議、それもハリウッドの業界人がやたら多い。これはたぶん、『トワイライト・ゾーン』の悲劇的な事故の後で、もう映画を撮れないんじゃないかとまで言われたジョン・ランディスを励まそうとハリウッド人脈が結集した結果かもしれません。とは言っても、デヴィッド・ボウイの無駄使い、あれはないよなぁ… 主人公が不眠症ということでしたが、どう考えてもこの設定が活かされた脚本とは言い難い。この出来事がやっと眠りにつけたジェフ・ゴールドブラムの見た夢でした、っていう最悪の夢オチになるのかなとさえ思いながら観てましたが、終わってみればただの巻き込まれ型アクション映画だったという事実の方が、私にはサプライズでした。人はバンバン殺されるし、イラン人・フランス人・英国諜報員(?)・謎の大富豪とあとからあとから登場するし、なんか理解しにくいストーリーです。唯一コメディ的な要素は、序盤から死体の山(犬まで)を築いてゆくジョン・ランディスも加わったイラン人四人組みたいですが、微妙過ぎてあれじゃクスッともできませんよ。全般的に洒落っ気が不足です。でもミシェル・ファイファーだけは良かったなぁ、チラッと側面からだけどヌードまで見せてくれてます。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2023-01-19 22:43:59)
2026.  シャドウ・イン・クラウド 《ネタバレ》 
そりゃあね、クロエちゃんは御贔屓にしている女優の一人ですよ、私はね。でもいくらクロエちゃんの活躍が堪能できると言っても、いくら何でもこれはやり過ぎでしょ(笑)。B17爆撃機のボール・ターレットといえば小柄な男しか入れないほど狭かったことで有名、そこに小柄な女性を押しこんでしかも機内戻れなくなる密室状態になるという前半のアイデアはかなり秀逸。グレムリンが徘徊する中で機内のクルーたちとインタホンでしかコミュニケーションが取れないうえに、その間の映像はクロエちゃんだけ追っていてクルーたちは“声の出演”で済ますというのも低予算を逆手にとったような良きアイデア、いっそ最後までこのストーリー・テリングで押し通すというのもアリだったんじゃないかな。“秘密の箱”を運搬する密命を受けてB17に便乗してきた彼女の正体はそして箱の中身はなんなのか?せっかくホラー&ミステリーの雰囲気が盛り上がってきていたのに、その箱の中身が明らかになってからはもう荒唐無稽、究極のぶっ飛びムービーと化してしまいます。ターレットから脱出してからの空中サーカスみたいな絶対にあり得ないアクション(もちろんCG)には思わず「お前は女トム・クルーズかよ!」と絶叫してしまいましたが、ついに空中に放り出されたのに零戦の爆発に噴き上げられてまさかのご生還、ほとんどアニメの世界です。零戦が銃撃してくるのは判るけど、なんでグレムリンが出現してくるのかが意味不明なのがこの映画の最大の問題点でしょうね。要は製作者のオタク趣味をぶち込み過ぎたってのが原因なんでしょう。 ラストでクロエちゃんがグレムリンをボコボコにするところも冷静に考えれば?でしたが、まるで成長したヒット・ガールが暴れているような感じでプラス一点とさせていただきます。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2022-10-13 23:02:27)
2027.  救命士 《ネタバレ》 
このサイトに登録されている数あるスコセッシ監督作で、本作が群を抜いての最低点、4点台の評価作は他にありません。いやあ確かにこれが不当な評価でないことは観れば納得できます。考えてみれば、スコセッシ、脚本ポール・シュレイダー、主演ニコラス・ケイジ、という組み合わせは、制御不能な化学反応という感じです。『タクシードライバー』では主演がデ・ニーロというチームでしたが、デ・ニーロとニコジーではやはり映画の神様の贔屓度が違いすぎで、デ・ニーロの方が映画をコントロールしてゆく能力が高く、狂ったストーリーでも自分の演技で傑作に仕立てあげることが出来るわけです。どちらもハリウッドきってのメソッド演技達人なんですけどね。まるで巡回するパトカーか流しているタクシーみたいな救急車、日本とNY の救急システムの違いの大きさを感じてしまいます。その救急車を派遣する病院がまたすごい、もう病院じゃなくて警察署か刑務所としか見えませんでした。けっきょくニコジーは三人の相棒と組んだわけですが、ジョン・グッドマンは良心的な人柄だったのがヴィング・レイムスからなんかおかしくなってきて、三人目のトム・サイズモアになると完全にニコジーを超越したぶっ飛び男です。考えてみれば彼が登場してからがこの映画の暴走が加速してきた感じで、ニコジーとサイズモア、そしてスコセッシまでもがみんなクスリをキメてラリって撮影したかのような状態です。こうなるともう誰にも止められませんね(笑)。メソッド俳優好きなスコセッシですけど、どうもニコジーとは相性が良くなかったとしか言いようがないですね。 「親父はバスの運転手でお袋はナース、俺は両方受け継いだ」というニコジーのセリフがあり、「上手いこと言ううなあ」とちょっと感心しました。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2022-10-07 22:20:56)
2028.  プリズナーズ・オブ・ゴーストランド 《ネタバレ》 
日米映画界のヤバい奴二人、園子温とニコラス・ケイジがタッグを組むという異色の映画。話題になりそうな要素は十分だったのに、園子温が例の騒動を起こしてしまって世間から無視されてしまった感はあります。まあ映画自体の出来からいってもしょうがなかったかもしれませんけどね。 ストーリーの基本はファンタジー。いつの時代かどの国なのかは不明な世界にサムライ・タウンという町があり、そこはテキサスのおっさん風のガバナーと呼ばれる権力者が牛耳っています。まずこの町がまるで田舎の吉原みたいな江戸時代の宿場町風なのがぶっ飛んでいます。住民は江戸時代ぐらいの着物姿で皆キツネやひょっとこ風の能面をつけています、そして住民の半分は遊女です。そんな町にも銀行があって、そこに強盗に押し入って逮捕されるのがニコラス・ケイジ、“バンザイ”と叫びながら突入してくるのが可笑しい。収監されていたニコジーは、ガバナーから失踪した(逃げた)孫娘のバーニス(実は愛人)を自爆装置が付いたスーツを着せられ五日間のうちに連れ帰ることを命令されます。この町の外部はゴーストランドと呼ばれて下層民の一団(プリズナー)が廃墟みたいなところで生活していてバーニスもこの場所にいるわけですが、お話しはここから『マッドマックス』チックな展開となるわけです。 ニコジーの登場シーンからして褌一丁姿、なぜかママチャリを漕いで街から出てゆく、もうこの辺りから訳が判らん世界線です。実はこの映画はサムライ・タウンなどのセットには凝っているというかカネがかかっており、プリズナーの居住区なんかもかなり大掛かりな造りです。実はこの映画は園子温のフィルモグラフィ中でいちばんカネをかけてるんじゃないかと思います。この映画の設定というか世界観はシュールの極みで、好みが分かれるところでしょうが自分は好きです。というわけで好意的に観ていた自分でしたが、後半になってくるとストーリーが破綻というか訳わからなくなってきて、「やはりいつもの園子温映画だな」というのが感想です。この人の映画って、掴みはイイんだけどたいてい途中からグリップが効かなくなって暴走しちゃうんだよな。そういう意味では、やはり本作は典型的な彼の映画だと言えるでしょう。 とは言え園子温に思い通りにやらせるなら、ハリウッド映画の規模の方が彼の異能を活かせるんじゃないかとも思えてきました。ここしばらくは日本映画界での活動は厳しそうだから、いっそのことハリウッドに拠点を移しちゃえばとも思います。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2022-09-30 20:58:02)
2029.  アクト・オブ・キリング 《ネタバレ》 
インドネシアのコイサンマンと言った風情のギャングの親分アンワルと、インドネシアの安岡力也みたいな風貌の側近ヘルマン、この二人のコンビが放つ禍々しさは強烈。彼らは民兵団の一員として、スカルノ大統領失脚の一因となったクーデター未遂事件の後に共産党員やその華僑を一説では100万人以上殺害した事件に参加して殺しまくったわけです。彼らは別に狂信的な国粋主義者というわけじゃなく単なるヤクザかチンピラの類で利益のため愉しんで殺戮を繰り広げたわけですが、その民兵組織が未だに一大勢力として政界に影響力を持っているということにインドネシアという国の闇の深さが窺えます。 この映画に限らずドキュメンタリー映画に付きまとうのは、「どこまでが素でどこが演技か?」という拭い難い疑問です。私が疑問に思ったのは当初はまるで子供のときの悪戯を回想するかのように自身が犯した殺人について笑みを浮かべて語っていたアンワルが、後半になって妙に哲学的ともとれる自省を口にするようになってくるところです。どう見てもこの人は粗野の極致でそんな教養的な思考ができるとは思えないんですけどね。したがって私はここらあたりとラストのゲロ吐きは台本にしたがった演技だと解します。 しょうじき言って私がこの虐殺よりも衝撃だったのは、庶民を含めた現代のインドネシア社会の実情でした。中央の大臣も地方知事も完全にごろつきの集団である民兵組織とズブズブの関係。側近ヘルマンがさらなる利権を獲得すべく選挙に立候補したこと自体がもう冗談かと思いましたが、選挙運動すると住民たちは悪びれもせずにカネを要求してくる。もっと驚かされたのはアンワルたちが公共放送にTV出演して当時の虐殺をまるで武勇伝みたいに自慢げに語るところ、それを女性キャスターが笑いながら聞いている。もっともこの虐殺事件はインドネシアでもタブーとされているそうだし、いくらなんでもTVで取り上げられるというのはあり得ない気もしますので、これはフェイクだったのかもしれません。そうなるとどこまでが“実”でどこからが“虚”なのか悩まされてしまいます。 『ゆきゆきて神軍』ほどではないにしろ、かなり後味の悪い映画であることは確かです。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2022-09-27 22:34:09)
2030.  カンパニー・マン 《ネタバレ》 
みんなヴィンチェンゾ・ナタリの『CUBE』に続く第二作と聞けば、そりゃ期待しちゃうよね。序盤から不条理臭がプンプンの怪しい展開で、だいたいからして、デジコープ社とサンウエイズ社が何を生業としている企業なのかはさっぱり判らん。シェイビング・クリームやらチーズといったありふれたというかしょうもない商品がテーマのカンファレンスのために産業スパイを送り込むところからして、ジョークというかまさに不条理極まりない。カンファレンスの聴衆を『時計じかけのオレンジ』でアレックスに使われたような装置で一斉に洗脳するところなんかは、もうシュールすぎでしょ。デジコープから送り込まれた主人公がサンウエイズに見抜かれて二重スパイみたいな感じになってくると、もう彼がどっちの側として行動しているのか非常に判りにくくなってくるし、そこにルーシー・リューの組織(?)が絡んでくるのでもう“トリプルクロス”状態です。オチについては確かに意外性はあったけど、まさかこのストーリーが『ミッション・インポッシブル』まがいの展開になるとは悪い意味でサプライズでした。 こんだけ世間の期待を集めたのに、全米ではなんと劇場未公開のビデオスルーだったというのは、なんとなく納得できます。『CUBE』以降現在に至るまでヴィンチェンゾ・ナタリの作品は微妙な出来のものばかりでヒットもしない。やっぱこの人も一発屋だったんでしょうかね。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2022-07-29 22:41:23)
2031.  アレキサンダー大王 《ネタバレ》 
項羽やリチャード獅子心王やナポレオンと並ぶ人類史上に於いて理屈抜きに戦に強かった最強の男の筆頭、アレキサンダー大王。オリヴァー・ストーンの『アレキサンダー』と本作しか彼のことを真正面から描いた映画を私は知らないけど、かなりハードルが高い題材なのは確かです。 50年代半ば、強いドルを背景にしてイタリアやスペインでハリウッド大作が撮られていたころの製作です。なぜか監督が『ハスラー』や『オール・ザ・キングスメン』のロバート・ロッセンというのが私には最大の?で、フィルム・ノワールっぽい小品が得意ジャンルの感じの人で、こういう歴史大作を手掛けたというのは意外。案の定この映画の弱点は彼の起用だった感じが濃厚で、いっそのこと後に途中まで『スパルタカス』を撮ったアンソニー・マンなんかの方が適役だったんじゃないかな。主演はリチャード・バートン、アレキサンダー大王を演じるにはちょっと老けてるんじゃないかという気もするし、それっぽく見せるためのアレキサンダー大王トレードマークの髪形がまた似合ってないんだなあ。この映画の最大の失敗は、シェイクスピア劇のような感覚で書かれた脚本でもともとその分野が出身のバートンには合っていたかもしれないが、観客が求めているのはそういう映画じゃなかったと思うんです。父王ピリッポスが暗殺されて後を継ぐまでの尺が一時間強、それまで延々と父子の葛藤を見せられるわけです。肝心のアジア遠征に出征してペルシャのダレイオス王を滅ぼすまでは、駆け足状態。見せ場のイッソスの合戦も思ったより小スケールで、やはりロッセンはアクション・シーンの演出には向いていなかったと思います。美術や衣装にはそれなりに力を入れているのは判るけど、バビロンの宮殿などはいかにも野原に最低限のセットを組みましたという感じで、奥行きが全然ないのは痛い。 オリヴァー・ストーンの『アレキサンダー』では母親オリュンピアスとの関係が縦軸だったけど、本作ではオリュンピアスの存在感は希薄で父王ピリッポスとの確執がメイン・テーマであるところが特徴です。ここら辺には製作時代の違いを感じてしまいます。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2022-07-14 22:12:03)
2032.  ダーティファイター(1978) 《ネタバレ》 
一説では動物と子役はドル箱スターからは敬遠される共演者だそうですが、さすがはイーストウッド、並みの俳優なら嫌がりそうなオランウータンとの共演も飄々とこなしてくれました。でも映画自体がユルユルなだけに完全にクライド君に喰われてしまっているのは残念、まあ彼としてはソンドラ・ロックと共演できれば満足、まあ言ってみれば完全な公私混同映画なわけです。でも当時は後にはイーストウッドを生涯苦しめる女になるソンドラ・ロックとの仲が破局に向かい始めたころで、それを反映してるのか彼女のキャラはとんでもないツンデレ女となっています。ツンデレだけど最後にはイーストウッドとの仲は修復するんだとばかり思って観ていると、なんとイーストウッドが振られてしまうという衝撃の結末、スクリーンで彼が女に振られるというのは初めてなんじゃないでしょうか。イーストウッドが演じるファイロもイマイチ判らんキャラで、プロのストリートファイターかと思っていたら本業は今一つはっきりしないけどトラックの運ちゃんみたい、気が向いた時だけファイトするいわばセミプロというわけです。中盤からはソンドラを追っかけてのロードムービーになるわけですが、どなたかも指摘されているようにこれはたしかに『トラック野郎』のパロディというかパクりかもしれません。コメディなんだからというわけなのかファイロと対決する相手がみんな弱すぎ、ラスボスとして登場するタンク・マードックなるキャラにしてもビール腹を揺らす単なるメタボ親父で、とても無敗のチャンプとは思えませんよ。たしかにイーストウッドとしては珍しい緩いタイプの映画ですけど、同テイストの映画なら『ブロンコ・ビリー』の方が良い出来だし私は好きです。まあ驚異的ともいえるオランウータン・クライド君の演技に敬意を表して、ここは一点プラスしておきます。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2022-06-15 21:41:23)
2033.  勝手にしやがれ!! 英雄計画 《ネタバレ》 
このシリーズもついに大団円ですが、妙に弾けていた前作からは想像もつかない幕の閉じ方です。お手本というかネタ元だった『傷だらけの天使』も最終回は予想を超えてましたが、このシリーズもかなりシュールでぶっ飛んだ最後でした、でもこんなぶっ飛び方は好きじゃないよな。ヤクザを町内から追放しようとする寺島進が中心の前半のストーリー展開はたしかにいつものグダグダ系コメディですが、後半からエンディングまではもはやシリアス・ドラマとしか言いようがないです。寺島進の妹キャラがヒロインですけど、いつものように不思議ちゃんではないのからして違和感がありました。バブル時代が終わって大不況になっていった時世を反映して登場キャラたちが離散してゆくんだろうなというのは想像していましたが、まさか哀川翔と前田耕陽のコンビが警官隊に包囲されて銃撃されるようになるとは、予想を大きくはずされました。 “やっぱり腹黒い奴だった”寺島進がけっきょく生き延びたのには何のカタルシスもなかったし、警官隊の待ち受ける中に飛び出してゆく二人の姿は『明日に向かって撃て』のパクりじゃねえかよ!暖簾が風に揺れた瞬間に居眠りしていた洞口依子が目覚めるのがラスト・カット、これは二人が死んだことを暗示していました。ここまで来ると、黒沢清の「最後は俺の好きなように撮らせろ!」という魂の叫びが籠っているような気がします。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2022-06-03 22:25:20)
2034.  ザ・スピリット 《ネタバレ》 
原作はフランク・ミラーじゃないそうですが、出来上がりはいつもの“フランク・ミラー・ワールド”というか“『シン・シティ』ワールド”という感じですかね。まあ言っちゃえば“ハードボイルド・コメディ”というジャンルになるかと思います。主人公がガチガチのヒーローなのに女癖が悪いというのが、アメコミ・ヒーローものとしては珍しいパターンじゃないでしょうか。ストーリーの方は“ヘラクレスの血”やローレライを出してきて雰囲気を盛り上げようとしていますが、正直なにが言いたいのか判りませんでした。たしかに出てくる女性キャラがすべてフランク・ミラー好みのナイスバディ美女ばかりというのは、いいサービスです。とは言っても、そこら辺はすべてサミュエル・L・ジャクソンの怪演に持っていかれてしまった感は否めませんけどね。サミュエルとスカヨハがいきなりナチス・コスプレで登場するシークエンスはほんと理解不能でした。しかし黒人がナチスの制服を着ると、ほんと似合わないものですね。そして爆死して粉々になったスカヨハが回収したサミュエルの体の一パーツは、やっぱりオ〇ンチンですかね、こんなところでベタな下ネタぶっこんでくるなよ! あのラストではどう観ても続編を撮る気満々という感じでしたが、幸か不幸か14年経っても実現していないみたいなのは、まあ当然と言えば当然でしょうね(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2022-04-08 20:45:42)
2035.  野獣死すべし(1980/日本) 《ネタバレ》 
いやはや、本作の松田優作を観るたびに、ほんとに日本映画界は惜しい俳優を若くして失ってしまったな、と痛感させられます。もうあの眼が怖すぎです。役作りで減量して奥歯を四本も抜いたそうで、こりゃ完全にロバート・デ・ニーロかクリスチャン・ベールの域に達しています。頭のおかしいキャラを演じさせたら右に出る者がいないデ・ニーロとの共通点を感じますし、彼はきっと長生きしていたら“日本のデ・ニーロ”と呼ばれる存在になったと思います。リップ・ヴァン・ウィンクルのシークエンスなんかは、演技と判っていても相手役の室田日出男は怖かったんじゃないかな。もっともこのシーンのカメラアングルを見ると、松田優作を正面からとらえる映像では向かい側の座席に座っているはずの室田日出男は映さないし、なんかそこには誰もいなくて松田が一人芝居しているようにも見えます。 しかし原作ものとしては?な部分だらけで、大藪春彦の『野獣死すべし』とはまったく別物だと言い切っても差し支えないでしょう。こりゃ大藪春彦が怒ったというのは当然でしょうけど、彼が怒ったのは脚本を書いた丸山昇一に対してで、当時メディア・ミックス戦略で大藪春彦作品を売りまくってくれた角川春樹にはさすがに何も言えなかったみたいです。監督がまた“カネがかかった映画になればなるほど粗が目立つ”村川透ですから、彼特有の雑な演出のおかげで冗長かつ意味不明なところが多すぎ。たしか泉谷しげるもちょっとだけ出ていたけど、ほとんどエキストラみたいなもんで、なんで彼を引っ張ってきたのか理解不能でした。この人はこういうのがカッコよいと確信しているけど、劇中何ヵ所かで使われている長回しシーンもセンスのなさが感じられ、相米慎二の足元にも及びません。 この映画のラストについては個人的には伊達邦彦の夢オチだったようにも取れる気がして、そりゃ大藪春彦が怒るのはムリもないと思いますよ。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2022-03-25 23:07:56)
2036.  アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ 《ネタバレ》 
上映禁止とまではいかなかったけど、日本ではポルノ映画なみの扱いで公開された伝説のクソ映画『発情アニマル』のリメイク。オリジナル版の監督メイル・ザルチが製作総指揮だけど、30年たって『ソウ』シリーズがヒットして悪趣味なゴア描写に対する世間の寛容度が緩くなってきたので、「現代のエグさでリメイクしたら受けるんじゃね?」とビジネスチャンスを発見したってのが製作経緯だと思う、たぶん。たしかに本作はシリーズ化されたぐらいだからそこそこヒットしたみたいで、ザルチの思惑は見事に的中したみたいですね。 自分は未見ですけど、『発情アニマル』とは逆でレイプ・シーンよりも殺害・拷問シーンの方に比重が明らかに置かれています。というか、やはり『ソウ』シリーズの影響が強いみたいです。極悪非道なシェリフはオリジナルにはいないキャラみたいで、犯人5人の中で唯一の家族持ちで失うものが大きい存在だからストーリーの盛り上げには一役買っていたと思います。そして彼の衝撃の最期、『ソウ』でも滅多に観れないエグさです。シェリフのシークエンス以外はほぼオリジナル通りみたいですけど、一応普通レベルの監督・スタッフが関与しているのでそこそこの水準には達しているかな。と言っても真面目に撮れば撮るほど陰湿なカタルシスしか残らず、これは元ネタがあれだけに致し方ないって感じでしょうか。主演女優に、いろんな面で魅力が乏しかったのも難点でした。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2022-03-16 22:05:52)
2037.  300 <スリーハンドレッド> 《ネタバレ》 
いやぁ~、わずか15年前にはこんなトンデモナイ映画がハリウッドで製作できたんですね。スパルタ人が全員白人なのは当然としても、もう“悪の帝国”感丸出しのペルシャは黒人系を始めとする有色人の俳優ばかり、そして中には「こんな奴、おらんやろー」と叫びたくなるような巨人や腕の先っぽがナタみたいになってる奇形人間まで登場、ペルシャはエイリアンの国かよ!9.11後にアメリカ合衆国vsイスラム教という対決図式が定着したので、こういう煽情的な映画がウケると判断した製作陣、まあ貴方たちの読みは外れてなかったんですけどね。あのトンデモ国家・スパルタが民主主義の原点だという史観は「ちょっと違うだろ」と突っ込みたくなりますし、そのうえ最後にディリオスが伝えるレオニダス王のメッセージは、そのまんま当時のブッシュ大統領の演説なんじゃないかと錯覚させられるようなロジック。ペルシャの末裔でもあるイランがこの映画のペルシャ人の描写に猛抗議したそうですが、ハリウッドは当然のように無視。でも最近のハリウッドは中国政府にはクセルクセスに跪いているようにヘイコラしているのが現状、カネがすべてのハリウッドですけど少しは恥を知れ!と言いたい。 手足がそして首がバッサバッサとちぎれ飛ぶチャンバラの迫力は刺激が強すぎですが、よく考えるとこの映画は演技している俳優以外の背景や画はほとんどCGなんですね。スパルタの男たちはみんな腹筋割れまくりマッチョ、製作陣は否定しているけどあのシックスパックも実はCGなんじゃないの(笑)。兜と盾は持っているけどパンツ一丁に赤いマントを羽織ったまるでプロレスラーみたいな戦闘装束、重装歩兵戦術が最盛期なんだからそんな半裸で戦争したわけないでしょ。あとペルシャ兵が手榴弾みたいな爆発物を投擲するけど、火薬が発明されたのはその千年ぐらいあとなんですけど…と、ツッコミどころは満載です。まあ、あのヤバい奴フランク・ミラーのグラフィック・ノヴェルが原作なので、ケチつけてもしょうがないですけどね。B.L.M 運動なんかが盛んな現在では、ぜったいに製作できない内容であることは確かです、ひょっとしたら将来は上映禁止になったりして…
[CS・衛星(字幕)] 4点(2022-02-07 22:03:15)
2038.  メカニック:ワールドミッション 《ネタバレ》 
どう観ても、今まで散々見せられてきた“無精ひげハゲ”=ジェイソン・ステイサムの単なる肉体アクション映画です。彼の出る映画はけっこう観ているので、最近はどの映画も同じような記憶しか残らないので困ったものです。ゴマ塩頭に濃密な無精ひげと“喋る筋肉”と呼ぶに相応しい肉体、どの映画でも同じキャラの様で、少しは役造りしてくれよ(笑)。 正直言ってこれが『メカニック』の続編だと主張されても、「ああ、そうなんですか」としか返しようがないぐらいです。ストーリーも全然捻りが無いし、“メカニック“と称されるぐらい冷徹な殺し屋だったはずなのに、相手がジェシカ・アルバとはいえあんなに簡単に人助けするならただのイイ人じゃん。観てる方としては、ここでテンションが急降下してしまいました。いくらガードが固い商売敵とはいっても、あれだけ苦労してジェイソンを働かせるのは割があうものなんでしょうかね。さすが有能なジェイソンですけど、ターゲットを教えられてから36時間とか24時間であんな周到な準備ができるもんだろうか。でも二人目のターゲットにはさすがに笑わしていただきました。高層ビルの最上階からせり出していてしかもガラス張りのプール、こんなバカバカしい設定を考えついたスタッフは褒めてあげたいぐらいです。三人目のターゲットがトミー・リー・ジョーンズとなると、その後の展開はもう予想がつくというもんです。トミー・リー、出番は少なかったけどなかなか味のあるキャラでした。 ラスト・カットを見る限りでは今度はトミー・リーを絡めて続編を製作する気は満々という感じでしたが、真剣にアドバイスさせていただきます、ほんと止めた方がイイって!
[CS・衛星(字幕)] 4点(2021-11-25 22:49:36)
2039.  レズビアン・ヴァンパイア・キラーズ 《ネタバレ》 
これはどう観てもエドガー・ライトのパクりというか模倣、この頃はこういう作風が流行っていたのかな。でも主人公の二人のバディがサイモン・ペッグとニック・フロストのコンビのようなキレと魅力がないので、コメディとしてはイマイチなんです。というか、この映画は本気でコメディとして撮るつもりだったのか、ちょっと怪しい感じもします。ジミーの元カノやロッテの友人や牧師の娘など、普通ならコメディ・ロールとして使えそうなキャラを惜しげもなく退場させちゃうのはどう考えても、失敗でしょう。牧師にいたっては「えっ、あの人最期はどうなっちゃたの?」とあっけにとられてしまいます。レズビアン・ヴァンパイアが売りのはずなんですが、エロは全然大したことなく脱ぎすらなし。その割には美術やらCGには凝っているし、力を入れるところを間違っているんじゃないのかな。プロデューサーはロバート・ダウニー・Jrの『シャーロック・ホームズ』を製作する人だけど、コメディとアクションを上手く融合させるセンスには欠けているみたいです。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2021-04-15 22:51:24)
2040.  パッション(2012) 《ネタバレ》 
この映画のプロットは前に観た映画でも似たようなのがあったなと思いましたが、自分は未見ですがリュディヴィーヌ・サニエとクリスティン・スコット・トーマスが出演した2009年の仏映画『ラブ・クライム 偽りの愛に溺れて』のリメイクなんだそうです。まあこれと似たようなストーリーの映画はよくあるってことです。大して話題にもならなかった映画なのに何故か三年でリメイク、監督には『アンタッチャブル』や『ミッション・インポッシブル』など一時期ハリウッドでリメイク職人になりかけたデ・パルマがまたまたリメイクを担当。でもあの二作はTVシリーズの映画化で再構築=リストラクションと呼んだ方が正解でしょうし、デ・パルマにとっては初めてのリメイク作品ってことかな。 デジャブ感が強いだけにお話しの展開と犯人はぼんやり者の自分でもすぐ判りました。デ・パルマ印のスプリット・スクリーンなどは殺人シークエンスが始まるところあたりで使われますが全体におとなしめで、言っちゃあ悪いけど散歩に連れてった犬が電柱にマーキングをしてる程度の効果しかなかったような印象です。映像には凝るけど割と判りやすいストーリーテリングがデ・パルマ風味なんだけど、ラストの夢オチか?と思わせるような判りにくい展開は彼らしくなかった。これは原作の脚本に忠実にリメイクしたってことなのかもしれませんけどね。根本的にノオミ・ラパスという女優が自分の好みじゃないってことも、悪印象を強めたのかもしれません。 コッポラ・ルーカス・スピルバーグたちの兄貴分でハリウッドでは巨匠と呼ばれてもおかしくない存在のデ・パルマ、こんな映画に関わるようなキャリアの人じゃないはずなんだけどなあ…
[CS・衛星(字幕)] 4点(2021-02-09 23:27:04)
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