Menu
 > レビュワー
 > ドラえもん さんの口コミ一覧。11ページ目
ドラえもんさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 903
性別
自己紹介

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
評価順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
414243444546
投稿日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
414243444546
変更日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
414243444546
>> カレンダー表示
>> 通常表示
201.  暴走パニック 大激突
深作欣二といえども、秀作ばかりを連発するという訳にはいかない。大きな話題ともなったS・ペキンパーの「ゲッタウェイ」にヒントを得たような単なる思いつきの、いわゆる東映のお仕着せ企画に、ここではむしろ深作自身があまり乗り切れていない印象を持った作品。女の前ではやたらカッコをつけてはいるが、所詮優柔不断な軟弱男に対し、邪険にされても尚すがり付くような薄幸の女といった、主人公たちの大時代的な設定の図式に安直さを感じるし、脇役たちのハチャメチャぶりも悪ノリの域を一歩も出ない。確か「日本映画としては良く出来ている!」との声もあったカーアクションだが、郊外の埋立地を壊れてもいいような中古車が走り回っているという程度のレベル。それでも面白いと言ってくれる映画ファンがいるという事は実に有難いものだ。
5点(2003-08-18 00:19:22)
202.  自由の幻想
公開当時“映像の尻取り遊び”と表現されたL・ブニュエル監督晩年の傑作の一つ。いわゆるオムニバス形式の変種と言ってもいいユニークさで、ひとつのエピソードが終わると、それまで脇を努めていた人物が、次なるエピソードの中心人物となっていくという、幾つかのエピソードがそれぞれ微妙な接点を持ちながら場面転換していく構成となっている。要するに最初から最後まで出ずっぱりの登場人物などいないということでもあるのだけれど、こればっかりはいくら説明しても、実際に映画を観てみないと、良く呑み込めないのではないかと思う。で、内容そのものはと言うと、“もし、こういう世界であったなら・・・”といった、まさしくタイトル通り“自由というものに対する幻想”を描いたもので、真の自由とは何か、世の中で今まかり通っている秩序が本当に正しいものなのか・・と言った問いかけをしながら、戯画化されたブルジョワ社会を皮肉まじりに批判していく。いかにも鬼才ブニュエル作品らしく、逆転の発想のユニークさやそのイメージの奇抜さ奔放さには圧倒されてしまう。
9点(2003-08-15 00:35:06)
203.  ブルジョワジーの秘かな愉しみ
巨匠L・ブニュエルが、6人の男女の遭遇する奇妙な日常を寓話的に描くことで、ブルジョア社会を痛烈に皮肉るという怪作。ここでは晩餐会(もしくはパーティ)というブルジョアジーの典型例をモチーフとして描かれていくが、なにやらボタンの掛け違えのような様々なエピソードを挟みながら、何故か終始食事にありつけない彼等の人間本来の姿が炙り出されていく。愛欲も食欲も普通の人間そのものだが、彼等はあくまでも見かけに拘る。体裁に構う。表層的なもので身を覆う。そしてその事により悪夢にうなされ続けるのである。繰り返し挿入される、着飾った正装姿でなぜか車にも乗らずに田園の一本道を歩く彼等。しかし何処へ行こうというのか、定かではない。あたかも夢の堂々巡りを象徴するかのようなエンディングに、ブルジョアジーの傲慢さと退廃の臭いを感じさせる。素人の批評など挟み込む余地の無いほど、ブニュエルの偏屈ぶりとイメージの奔放さは、本作でも独特のブラックな作品世界を築き上げ、異彩を放っている。
8点(2003-08-14 00:27:25)(良:2票)
204.  ネメシス/S.T.X
この“スタトレ”シリーズも時折拝見するが、マニアックな人にしか理解不能な宇宙用語(もしくはスタトレ用語)の濫用と、ストーリーの煩雑さで、“宇宙冒険活劇”でありながら、これほどカタルシスを味わえないシリーズも珍しいのではないだろうか。今回も個々のキャラクターは魅力たっぷりなのだが、垢抜けしないのは相変わらずだし、SFXも驚くような仕掛けや目新しさも感じられない。そして何よりも暗黒の宇宙を舞台にしている事が作品をより単調にしてしまっている。エンターテインメントでありながら、SF映画の命ともいえる視覚的変化が乏しいと、ストーリー以前の問題で、斯くも面白みのない作品が出来上がるという見本。要は工夫とサービス精神が足りないということだが、製作サイドとしては万人受けとしては意識していないのかも。
5点(2003-08-03 16:56:56)
205.  旅立ちの汽笛
これは珍しいキルギスから届けられたホロ苦い青春ドラマ。一人の少年が兵役に就くまでのひと時のエピソードが切々と綴られた、詩的で叙情的な佳作。いつの時代にもそしてどこの国にでもいる、ごく普通の思春期の少年が抱く夢や希望そして苦悩や挫折というものは普遍的であり、我々に懐かしい日々をよみがえらせてくれる。個々のエピソードが総花的で、やや散漫な印象は拭えないが、小さな山間の村から様々な青春の想い出を胸に列車に乗って、まさに大人へと旅立つ少年の初々しい姿には、熱いものが込み上げる。美しく雄大な自然を捉えたカメラが秀逸。
7点(2003-08-03 16:13:29)
206.  ぼくんち
二十一世紀という現代をまったく感じさせない、それは子供が子供らしくあった、いかにも昭和三十年代のレトロ感覚を意識したような作品世界。本作の舞台であるうらぶれた島の人々は極貧に喘ぎ、日々生きていくことに精一杯で、願わくは島を離れての自立を目指している。しかしここに登場する大人たちは勿論、子供たちもマトモには描かれてはいない。その風変わりさが原作の持ち味という事なのだろうが、その点を阪本順治監督は十分にこなし切れていないように思う。とくに主役の子供たちと観月ありさとの絡みの演技に微妙なズレがあり、重要なシーンにもかかわらず間延びした印象を受けてしまう。これは監督の意図的な演出なのかも知れないが、だとしたら狙いは何なのか、聞いてみたいところ。歯切れのいい面白いシーンも少なくないが、全体的に見るとなんともテンポの悪い作品だと言える。
6点(2003-08-03 15:17:31)
207.  WATARIDORI
時折挿入されるナレーション以外、鳥たちがひたすら飛んでいるシーンで占められるというユニークな作品。俳優でありこの作品の監督でもあるJ・ペランは「決してドキュメンタリーではない」と言い切る。懸命に羽を動かして飛翔する鳥たち。その“被写体”に接写し“彼ら”と並列しての撮影技術の素晴らしさにより、我々人間が抱く空を飛ぶという感覚を存分に味あわせてくれる。決して大空高くというのでなく、海面すれすれ、あるいは木立の間を縫うようにして飛べるということが素敵なのだ。この作品を作るにあたって、あらかじめ沢山の鳥を調教・訓練し、膨大なカメラテストを経て撮影に臨んだとか。そういう意味においてもドキュメンタリー作品ではなさそうだが、労作である事には違いない。金と時間をかけて作る映画にも、こういうジャンルもあるのだという事を知りえただけでも、観た価値があろうというもの。
8点(2003-07-26 23:31:02)
208.  バティニョールおじさん
舞台は第2次大戦中のドイツ占領下にあるパリ。愛や希望を失ってしまった不幸な時代にあってなお、それらに押し流されまいと人々は必死に生きようとしていた。そんな中でも、ユダヤ人を強制収容所送りにする為ナチスに密告するといった、人間の最も醜い姿がある一方で、彼等を匿ったり逃がしてやったりと、正義感を伴った人間本来の美しい姿がある。本作はこういったまさに庶民レベルでの両者の戦いの物語とも採れる。主人公を冴えない中年の肉屋の親父(=バティニョール)にしたことで、この悲劇的なテーマがユーモラスで人間味溢れる作品になり得たのだが、このあたり自作自演のJ・ジュニョは、その風体からしてまさにハマリ役。ひょんな事から匿っていた子供たちをスイスへ脱出させるという、コミカルさからスリリングさへと場面展開していくが、その筋運びには些かの誇張もないだけに、十分に説得力があり面白い。結局、人間の尊さや人間の良心への問いかけをすると共に、この愚かしい大人たちの現実世界から、未来を子供たちに託すという、祈りにも似た気持ちを感じさせる作品だと言える。陽光と緑に包まれたエンディングも実に爽やかである。
8点(2003-07-26 00:19:01)(良:1票)
209.  メルシィ!人生
リストラを回避する為に“ゲイ”を偽装した主人公の顛末や如何に!彼の勤めているのがコンドームの会社というのがミソで、噂が噂を呼んで社内中が大騒ぎにはなるものの、話の進展は意外な方向へ・・・。うだつの上がらぬ主人公の人生巻き返し物語といった、至ってありきたりなテーマではあるが、F・ヴェヴェール監督が描く独特のエスプリの効いた本作は、少々大袈裟に言えば、我々観客に生きていく希望と勇気を与えてくれる。差別問題をも孕んで重くなりそうな展開を、からっと明るく、いかにもフランス映画らしいウイットに富んだ笑いに包み、さらに極めて鋭いその人間観察により、見事な人生賛歌となっている。
8点(2003-07-24 23:45:01)
210.  凶気の桜
ひと昔前の東映仁侠映画のアナログっぽさがぷんぷん匂う画作りが印象的な作品だが、それはあくまでも表層的なもので、作り手側の趣味の範疇を超えてはいない。白装束を身に纏った窪塚扮する(一見)ネオ国粋主義者的青年たちの無軌道ぶりには、そこいらの不良たちよりもよほど始末が悪く、暴力を振るうことでストレスを発散させているようにしか映らず、共感するまでには至らない。結局、彼等は何を遣りたかったのだろうか。本物のヤクザにも国粋主義者にもなれず、単に“ごっこ”だけで命を散らした若者たちの姿は無残だが、その無念さまでは伝わってはこなかった。凝りに凝った画面と独特の雰囲気を有した映画だが、製作者側の意図がよく解からず、意気込みだけが空回りした作品だったように思う。
6点(2003-07-24 11:49:27)
211.  一票のラブレター
舞台はキシュ島。長く続く白い砂浜と大部分が砂漠で占められた小さな小さな島。物語は、おそらく何の変化も無い毎日を湾岸警備に従事する青年兵士の前に、ある日1艘の船に乗って一人の娘がやって来るところから始まる。彼女はいわゆる選挙管理委員として投票箱片手に、数少ない島民になんとか投票させようと、選挙の重要性を説いて回る役目を担っていた。限られた時間の為、運転手として兵士が娘と島中を奔走するハメになる。この理想に燃える娘と現実的な兵士との珍妙な遣り取りがなんとも微笑ましく、(砂漠の真中に何故かある信号機に従うような愚直な兵士だが、彼女の直向きさにやがて好意を寄せ始める。しかし彼女はそんな空気が読めないというもどかしさ!)宗教と古い因習の根強い島の人々とのギャップともども、心を伝えるというコミュニケーションの難しさと、民主主義への矛盾や疑問というものを痛切に考えさせられる。声が大きく多弁さが圧する現代において、時が止まったかのような風景の中、この囁くような作品は貴重だ。終盤、帰路に間に合わなかった彼女にドラマチックな味付けが施されるという憎い演出もあり、また彼女の去った後の兵士の寂寞感漂う後姿に、言い知れぬ余韻を残しつつ終わるという、幕切れも実に鮮やかなものである。
9点(2003-07-24 00:50:14)(良:1票)
212.  ソラリス
オリジナル版を観ている人にとっては、やはりある種の物足りなさを感じるところだが、決して不出来な作品ではない。S・ソダバーグ監督のジャンルを問わない“何でも屋”精神は大いに買いたいところ。ただ、ラブストーリーに絞って描くのであれば、何も“ソラリス”である必要はないのではないか。つまり、記憶を具現化させるソラリスと人間との拘わりというものが、本作の最も欠落している部分であることから、物語としてはもうひとつ魅力がなく、興味も湧かないのである。独特の音響効果によるCGで表現されたソラリスは陶酔感溢れる美しさだし、宇宙船内部のセットデザインも見事なもの・・・といった、視覚・聴覚的に強く印象に残った作品だったと言える。
6点(2003-07-22 00:12:20)
213.  完全犯罪クラブ
繊細で誰よりも傷つきやすい感受性豊かな知性派と、反社会的な行為もいたってクールな行動派といった二人の学生知能犯と、ある暴力でトラウマとなっている反面、それに強く惹きつけられ、敢えて危険を顧みない行動に出る女捜査官との、ある殺人を巡ってのまさに知恵比べ・根競べ的作品。完全犯罪を狙っても、やはりそこは人間がする事。定石通りの裏切り行為により事件は呆気なく解決するが、女だからといって大人をナメては行けないという、これは子供への教訓なのかも知れない。
6点(2003-07-21 16:22:59)
214.  the EYE 【アイ】
この作品への自信を覗かせるような、点字と触覚を意識した白地のタイトルバックが、まず巧い。眼の見えなかった女性が、手術により、本来見えないものまで見えてしまうという恐怖を描いた本作、例のエレベーターのシーンやショッカーなど、その怖がらせ方に熟知した演出力には只ならぬものを感じる。まさに纏わりつくような恐怖といったところだろうか。ただ、後半の謎解きあたりからクライマックスにかけては、いかにも強引で作り話っぽくて残念だが、近年では出色のホラー映画だと言える。
8点(2003-07-21 15:43:43)(良:1票)
215.  ボンベイ
インドの巨匠マニ・ラトナム監督が描く極上のエンターテインメント。イスラム教徒の娘とヒンズー教徒の青年との甘美な恋を軸に、ミュージカル仕立てとして展開していくこの作品は、やがて両派に分かれた彼らの家族の反目と和解といったホームドラマに。しかし急転直下、実際にあった「アヨディア事件」に巻き込まれる人々の、幸福な日常を奪い去る国家の狂気と矛盾を鋭く衝くという社会派的側面も併せもつと言う、描かれる世界は多岐に渡り、しかも波乱万丈。いかにもインド映画らしい欲張った企画だともいえる。しかしこの内容の濃い作品も、流れるようなテンポの良い演出と編集の見事さで、長尺でありながら些かもダレることがなく、実に見応えのある作品となっている。特筆すべきは、やはりミュージカルシーンのそのスケールの大きさとボリューム感。まさしく万華鏡を見るかのような、その歌と踊りの華麗さ豪華さはやはりこの国だからこその感がある。
9点(2003-07-21 15:12:44)
216.  ザ・コア
昨今流行の“地球を救う的SF映画”には、核の平和的利用あるいは核万能を謳った作品が目立つが、本作も核が全てを解決してくれるという基本的なパターンは同じで、まさに“核には核を”なんて洒落のような設定に、企画の安直さが漂う。だいたい地球の中心部に核を爆発させたら、もっと他に大変な事態が生じるのではないかと、素人は考えるのだが・・・。まぁそれはそれとして、この作品、視覚的にどのような見せ場を作ってくれるのかと大いに期待していたのだが、結果的には実に残念な作品だったと言える。目的地がまったく変化の乏しい地球の中心部という事もあって、視覚的には単調にならざるを得ないのは当然で、それを頼みのCGで再現してみても、その地底世界はまるでアニメのような実に重量感の無い薄っぺらなものとしてしか映像化しきれていない。地上での様々なパニックがリアルで出来が良いだけに、肝心の核の部分での表現の貧困さが余計に際立ってしまったという、実に皮肉な結果となった。
6点(2003-07-07 00:37:43)
217.  いつかギラギラする日
まるで時代劇の御用提灯に取り囲まれた鼠小僧といったイメージで展開される、クライマックスの数十台のパトカーからの逃走劇はまさに圧巻で、邦画・洋画を問わず、近年では無類の痛快さを誇る。黒澤亡きあと、これほどスケール感を伴ったパワフルなバイオレンス・アクションを撮れるのは、やはり深作以外にないと、この当時感じたものだったが、その思いは今も変わる事はない。映画の何たるかに精通し、CGなどに頼ることなど勿論無く、あくまでもライブ・アクションにこだわってきた彼の活動屋精神が遺憾なく発揮された、実にしたたかで、まさしくギラギラしたイメージの名作だ。
8点(2003-06-15 18:13:52)
218.  アウトランド
一見、SF映画の形を借りてはいるが、これは明らかに西部劇を意識した作品。保安官然としたS・コネリーに歩調を合わせるかの如く、SFXもすこぶる渋くて実にリアル。宇宙船での孤立無援の戦いを強いられる主人公だが、さすがにP・ハイアムズ監督だけあって、アクションの冴えは地球を飛び出しても健在で、船内を所狭しとカメラが追いかけ回すスピード感溢れる“定番映像”も、すこぶる快調。作品傾向がある種の軽快さを身上としている人だけに、全体的に少々重厚になり過ぎたきらいはあるが、アクション映画としては水準以上の出来で、まずは楽しめる一篇。
7点(2003-06-15 17:15:15)
219.  ウンタマギルー
沖縄の古くから伝えられる神話「運玉義留」と、本土復帰直前の沖縄をクロスさせた、一種のパラレル・ワールドをファンタジックに描く。オープニング、頭に槍が刺さったまま彷徨する強きをくじき弱きを助ける義賊・ギルー(=小林薫)が、空中浮遊などの超能力を駆使して大活躍したり、本土復帰か米軍統治支持かあるいは琉球独立かで、各派入り乱れての一大バトルのクライマックスまで、ファンタジーと現実との区別がつかない(否、つけない)ことが、この摩訶不思議な作品の最大の魅力となっている。登場人物たちも個性的な役柄のため、かなりクセのある俳優(例えば戸川純)を起用しているが、中でもコメディ・リリーフ的に登場する、沖縄歌謡一座の散髪屋・照屋林助(林賢のお父さん!)の個性は鮮烈で、肝心の小林薫が翳んでしまうほどだ。方言としての沖縄のコトバに字幕が付けられていた事などは、実に細やかな配慮だったと思う。
8点(2003-06-15 15:31:58)
220.  マーフィの戦い
P・オトゥールといえば「アラビアのロレンス」がベストだとは思うが、もうひとつ忘れてはいけないのが本作のマーフィ役。冒頭、いきなり英海軍の戦艦が独軍のUボートの攻撃で撃沈されてしまい、たった一人生き残ったマーフィが、単身、弔い合戦を決行しようとする。いたって単純明快なストーリーながら、どうやって彼が仲間の復讐を果たすのかに焦点を絞ったP・イエーツ監督の職人芸ともいえる演出力で、見事な娯楽作に仕上げられている。マーフィが整備士という設定がミソで、あの手この手でポンコツの機械から武器を作り出すというプロセスが、なんともユーモラスに描かれていく。この復讐の鬼と化したマーフィを演ずるオトゥールの、何かに取り憑かれたような表情は、まさに彼の独壇場で、この孤独で執念の塊のような男を好演している。海に囲まれた島を舞台にした事と、共演者にF・ノワレを配したこともあって、緊迫感や殺伐感が中和されたかのように、ゆったり・のんびりといった印象を受けるが、それらの事がマーフィの人間性をより強烈に印象付けるには、実に効果的ではなかったろうか。本作は豊かな娯楽性と同時に、一人対潜水艦という刺し違え覚悟の無謀な戦いが、戦争終結となっても止むことなく、彼個人のレベルで展開されるという、まさに戦争がもたらす人間性の崩壊をも鋭く突いたことで、名作たり得たのではないだろうか。
8点(2003-06-12 01:12:17)
000.00%
100.00%
240.44%
320.22%
4131.44%
5283.10%
610511.63%
719521.59%
832636.10%
916017.72%
10707.75%

全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS