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ミスター・グレイさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 565
性別 男性
自己紹介 三度の飯より映画好きです。どうぞよろしく。
※匿名性ゆえの傲慢さに気を付けながらも、思った事、感じた事を率直に書いていますので、レビューによって矛盾が生じていたり、無知による残念な勘違いや独善的で訳分らん事を書いているかもしれませんが、大きな心でお許し下され。
※管理人様、お世話になっております。
※レビュワーの皆様、楽しく読ませて頂いております。

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201.  地球の静止する日 《ネタバレ》 
異世界からの侵入者としてのクラトゥの浮いた描写が本作のキーになっているのは間違いありません。下宿先のみんながTVを見てるところにヌッと現われ表情が影に隠れて見えないところなど、いかにもですが不気味そのものです。またクラトゥは日本人のように微笑をたたえていますが、これはまったく仮面のようであって、その真意ははかりかねるものであり人間の形でありながらも彼を不可解な存在とすることに成功しています。さらにB級ながらも力学に従うように球形でまとめられた宇宙船やロボットの造型、完全無欠の着グルミなのに惹きつけられてしまうゴートの存在感なども良いです(特にクラトゥを救いに来るシーンなどはとても素晴らしい)。  一つ残念なのは、クラトゥたち宇宙人の力を見せるのに地球中の電力を停止させるという映画的には面白くもない何ともない大技で見事に?乗り切られてしまったことですが、逆転の発想であり平和的解決法と思うとこれまた見事です。 
[DVD(字幕)] 8点(2009-01-14 18:38:19)(良:2票)
202.  廃墟の群盗 《ネタバレ》 
銀行を襲撃する前に酒場のカウンターに強盗一味がずらっと並び、端にいるグレゴリー・ペックがウイスキーグラスを滑らせ回すと、数人は手元を見ずにキャッチします。こういうのがカッコイイですし、彼らの強盗家業の長さがうかがえます。さらに騎兵隊に追われるシーンの迫力や砂漠を越えて行く過酷なシーンがしっかりと続き、始めの方は特に見せ場の連続となっています。しかし最も印象的なのはラストの3人の決闘シーンで、実際に撃ち合う映像はないものの、仕掛ける前の静けさのなかにある緊張感や、銃声、馬のいななき、ペックを心配して駆け込んで来た女が目にする見事な死体の演出などで素晴らしいシーンになっています。・・・ただ惜しむらくは、一貫して小ズルイ感じが良く出ているリチャード・ウィドマークに対して、グレゴリー・ペックは正義漢か無頼漢かよく分からないのはともかくとしても、まったく強そうに見えないのは残念です。
[DVD(字幕)] 8点(2009-01-07 18:20:11)(良:1票)
203.  地球が静止する日 《ネタバレ》 
SFの古典作品を再映画化する目的は何にあるのか?それは過去表現できなかったシーンをCGを駆使してリアルにすることだろうと思っていましたが…どうやらそうじゃないみたいです。宇宙人側にはあまり興味がないようで、その証拠に宇宙人のロボットであるゴートが犯罪的なまでに魅力に欠いています(巨大化すれば良いってもんじゃない)。クラトゥもキアヌ・リーブスの無感情な雰囲気が感じを出していますが、格別に謎めいた存在でもありません。どうも〝愚かながらも愛しい人類〟の側を描きたかったようで、わざわざ中国人のおじいちゃんに人類を説明させた上で、血の繋がりのない白人の母親と黒人の息子の愛をキアヌの目前で見せます。なるほどと得心したキアヌは去って行くわけですが、不思議なのはこの作品には集団というものがほとんど描かれていないことです。冒頭こそ科学者たちが集められるものの、以後はあらゆる場面でほとんど個人の判断で物事がなされます。クラトゥを治療する医師も自白をさせる男も一人、ゴートに攻撃する際や調べる時も一人の軍人や政治家?の指示で行われ、ノーベル賞の博士も厭世感を抱いていそうであり、きわめつけは国防長官で(キャシー・ベイツの超然とした様がいかにも個人主義)地球存亡の危機にほぼ独断で指揮をとり大統領との会談も一対一の電話ですませるのです。ここには地球に共存する人類に不可欠な〝話し合い〟というものがなされていません。また「宇宙戦争」など襲来ものでは度々見られる群衆のパニックも皆無に近いです。〝人間は一人だと良いが集団になると厄介だ〟と言ったのは「メン・イン・ブラック」のトミー・リー・ジョーンズで、そのとおり怖いのは個人ではなく群集なのです。中国人のおじいちゃんは70年に及ぶ観測の結果、それを知っていたからこそ人類を愛しながらも殲滅を選んだのでしょう。なのに集団を全く描いてないので人類が助かったことについては説得力に欠けているのです。  それと言わずもがなですが、〝地球が静止する日〟ではなく〝アメリカが静止する日〟と言う感じがします。まぁ、実際のところ残念ながらアメリカが静止したら地球が静止したようなもんなんですけどね;。
[映画館(字幕)] 5点(2008-12-29 11:06:23)(良:2票)
204.  天と地と 《ネタバレ》 
制作費52億円らしいですが、確かに合戦のシーンはスケールが大きいです。陣形をとっている大軍の兵士たちを遠巻きから映すのはキューブリックの「スパルタカス」を彷彿させますし、女武者隊が全滅してしまうシーンは馬の脚元を映し続け、いかにも踏みにじられている感じがよく出ています。また、霧の中から謙信の軍勢が〝オンベイシラ~(?)〟と現われる箇所も見所になっていますし、近年のアクション作品に見られるアップの連続で戦闘をごまかすような事をしていないのも好感が持てます。・・・ですが、結局のところ本作はそんなに面白く思えなかったです。それは人間ドラマが皆無に近い事や、添え物のように出てくる女たちのつまらない描写などにあると思いますが、最たる原因は本作が全編を通して躍動していないことにあると思います。例えば、謙信の成長物語であるにもかかわらず、謙信が将たる者の自身を失う、あるいは将たる者の覚悟をもつ大事なシーンにしても全くもってアッサリ処理され激情のようなものが走っていません。〝謀反を起こした配下の妻子を殺さねばならぬ〟という凄惨な場面であっても本作は迫ってこないのです。さらに、桜が散る美しい風景など風光明媚なシーンがけっこうありますが、それはそれだけでしかなく物語に生きているように思えないのです。
[DVD(邦画)] 5点(2008-12-26 18:44:47)
205.  傷だらけの男たち 《ネタバレ》 
こう言っては元も子もないのですが、全体的に平坦で盛り上がりに欠けます。金城武が捜査をしトニー・レオンに迫っていくのですが、近付いていく感じが全く感じられません。また金城演じる探偵は重度の酔っ払いですが、ただ酔っ払っているだけに過ぎず、そこから何にも発展しませんし、時おり挿入される、いかにも現代風なサスペンス演出はスタイリッシュというよりも安っぽさしか感じさせません。…ただ、冒頭の捕縛場面でトニー・レオンが何気なくハンカチを手にすると蝋燭立てを持って犯人を殴打する狂気はゾクゾクさせてくれますし、この男がただの善玉警官ではないと一見にして判明するシーンでなかなか面白いと思います。ですが、この狂気というものが持続していないのです。そして何よりこの映画が致命的なのはトニー・レオンと金城武というカッコイイ男たちが、あまりカッコ良くみえないことです。哀しいトニー・レオンはもっとカッコイイはずです。
[DVD(字幕)] 5点(2008-12-22 18:25:19)(良:1票)
206.  自由を我等に 《ネタバレ》 
機械に仕事をさせ人間たちは悠々自適という素敵なラストでしたが、現実世界では機械生産は雇用問題へと発展し残念な状況になってしまいました…。がしかし、そんなことはどうあれ本作は、〝人間味〟という大事なものを謳っているのです。合理性や利潤ばかりを追い求めていたら人間おかしくなっちゃうよと。それを体現しているのが脱獄し成功者となった男の〝ウィンク〟なのです。大金持ちになった男の前に昔の刑務所仲間が訪ねてきて、追い出そうとするもケガの治療をしてやると昔を思い出し友情を取り戻すシーンで、その合図はウィンクでなされます。これは最初の刑務所のシーンで二人が度々やっていた会話のようなものですが、このウィンクの優しく美しい事と言ったらないのです。これぞ人間味であって世知辛い世の中の救いなわけです。いやぁまさか男の、しかも髭のオッサンのウィンクに感動させられるとは…やられました。  ちなみにチャップリンの「モダン・タイムス」にも影響を与えたといわれる本作はトーキーですが、おそらく台詞が無くとも概ね意味が分かるのでサイレントに近い印象を受けます。でもだからこそ、シッカリした作りになっています。 
[DVD(字幕)] 8点(2008-12-09 18:25:47)
207.  テキサスの四人 《ネタバレ》 
ディーン・マーティンはフランク・シナトラから銃を取りあげる時、帽子の中まで確認する…用心深い男なのかと思ったら自分自身が帽子の中に拳銃を隠し持っているからでした。しかしだからこそ敵の帽子も確認するのが当然であって、そんな見逃してしまうような些細な事をわざわざやってみせる芸の細かさが本作の面白いところなのです。ギャグにしても面白いかどうかは…別にして…重ねに重ねていますし、言葉で笑わせるのではなく、とても視覚的です。さらに女優さんたちの華やかさが凄まじい。衣装の派手さに見劣りしない圧倒的な肉感とでもいいましょうか、いやはや何とも雅なのです。ネグリジェ姿のマックスの後ろから光があたり体のラインがくっきり見えるというシーンは、エロティックでありながら下品になり過ぎてはおらずその加減が巧妙なのです。こうみんなが洒落こんでいますと野暮な悪党はサッサと退場するのが至極当然なのですが、ただせっかくチャールズ・ブロンソンを配役しているのですから、その扱いのぞんざいさは残念です。
[DVD(字幕)] 7点(2008-12-03 18:08:54)
208.  レッドクリフ Part I
私は「三国志」大好きで、演義・正史問わず小説、マンガ、ゲーム、人形劇…と見境なく何でも見るのですが、結局のところ何に惹かれているのかと言いますと、その人物たちの魅力、〝漢〟たちの格好良さなのです。その観点からすると本作はやっぱり面白いです。キャラクターの特徴がそれぞれ端的にとらえられていて、劉備は庶民派全開でワラジを編み、中国で神格化されている関羽は当然のように光の中から登場し、張飛は怒声をあげ超人的なパワーを発揮し、超雲は不言実行で主君に尽くし、孔明は聡明で物腰は柔らかありながら掴みどころがなく、悪役として描かれる曹操も重い空気を纏いながら微笑みをたたえ懐が深そうな感じが良く出ているのです。しかしながら本作では、何と言ってもトニー・レオン演じる周瑜が格好良くって、その殺陣は一番アクロバティックに決まっていますし、時折、孔明すら見失うようにスッと姿を消すその存在は特別な者として描かれています。  さらに軍旗が印象的に使われていて、関羽は馬に踏みつけられている劉備の軍旗を取り戻しハタめかせ忠義を表明し、周瑜は曹操の軍旗をたたみ敵を屈服させようとします。この他にも各々の一騎当千ぶりを見せる殺陣がなかなかユニークで面白いのです。  そしてまた、男たちだけではなく女たちも格好良いのです。パンチをかます男勝りの孫尚香は魅力的ですし、絶世の美女・小喬が凄く官能的で惚れてしまいます。それも決してラブシーンが良いのではなくて、負傷した夫の体に自分の体を巻きつけるように包帯を巻くシーンの扇情的なことといったらないのです。こういうのをロマンティックというのでしょう。こりゃパート2も見ずにはいられなくなりました。 
[映画館(字幕)] 8点(2008-12-03 18:05:15)(良:2票)
209.  1408号室
この作品は〝音〟に気を遣っていると思います。例えば特に序盤では、グラスの触れる音やペンを走らせる音…そういった細かい音がちゃんと拾われているのです。こういう音というのは生々しくて神経を鋭くさせ恐怖を体感し易くする効果を促しています。さらに登場は少ないながらもホテルの支配人を演じるサミュエル・L・ジャクソンの怪しさも存分に生かされていますし、あの何の変哲も無いはずの1408号室の孤立した雰囲気も良く出ています。そしてドンドン主人公に迫ってくる危機を演出するCGもまた効果的だったのですが・・・、個人的には最初の方の〝いつのまにかチョコが!?〟や〝不気味な部屋に親父がポツンと座っている〟というシーンの方がずっと怖かったですし、水に襲われるシーンはもっとしっかり見せて欲しかったですし、途中の自殺してゆく幽霊?のCGは、本当に〝ホーンテッドマンション〟かってぐらいのもので本作とマッチしておらず興ざめでした。それでもテンポは良いですし、あの煙草スパッーはやっぱり決まってますね。
[映画館(字幕)] 7点(2008-11-28 18:44:40)(良:2票)
210.  スケアクロウ 《ネタバレ》 
ケンカ騒ぎを起こして逮捕される酒場のシーンなど、途中ところどころであまり巧い具合にいってないと思われる場面があるのですが、本作は冒頭と最後のシーンが素晴らしいのです。まず何も無い荒野に湧いたようにジーン・ハックマンが不器用に登場する。遠巻きから様子をとらえた映像で見せ、今度はそこに待っていたようにアル・パチーノが登場する。道を挟んで遠かった二人の距離が一本のマッチで縮まる…。空から降ってきたようにポツンと現われる二人にはどこか寓意的な感じが漂っていて、これから始まる二人の道中に何らかの意義が存在するように思わせる作りになっています。さらにこの友情形成において人間不信のハックマンがパチーノを信頼した理由が〝最後のマッチをくれたから〟というのが完璧です。そして、ここで終りなの?!と衝撃を受けたあのラスト。なけなしの金まで使ってしまう遣る瀬無い結末も、往復切符を買い、靴をバンバンたたく響きが心に染み入り強烈な印象を残すのです。二人のあまりに厳し過ぎる船出を思うと〝カカシ男〟たちに幸あれと祈りたくなります。
[ビデオ(字幕)] 7点(2008-11-19 18:49:02)(良:2票)
211.  地獄の英雄(1951) 《ネタバレ》 
何にも無い田舎町に車が一台やってきて、それを皮切りにあっという間にワンさと人が押し寄せ楽団や遊園地まで開かれお祭り騒ぎになり、事件が終結すれば蜘蛛の子を散らすようにまたまたあっという間に消えて行く野次馬の演出が見事です。最初にやって来た一組の野次馬以外の顔を見せないことで、この不特定多数の群衆が事件の当事者と無関係な人々であるいうことも強調されています。また、騒ぎを煽った張本人カーク・ダグラスが突如として良心に目覚めるところはキャラクターが違うのでは?と思いますが、改心したあたりから走り出す異様に暗く重々しい雰囲気が辛辣で、メディアや権威といったものを痛烈に皮肉っています。カーク・ダグラスがバッタリ倒れて〝The End〟の文字が出てくるラストも衝撃的です。
[DVD(字幕)] 8点(2008-11-11 18:32:40)
212.  ガンヒルの決斗 《ネタバレ》 
最初にちょこっとしか出てきませんがカーク・ダグラスの町と比べ、アンソニー・クインの仕切る町の張り詰めた空気はどうでしょう。見事なまでに緊張感に満ちておりカーク・ダグラスの孤立無援さが良く出ていますし、それによりカークの凄む、殴るなどのちょっとしたアクションも正義漢の潔癖的強さとして際立っているのです。それは辺りが暗くなってくるとさらに素晴らしくなり、アンソニーがカークの立て籠るホテルに話し合いに行くシーンなどは本作の最大の見せ場だと思います。欲を言えば最後に待っているだろうなと思っていた大銃撃戦が無かったのが残念ですが、ラスト〝漢〟二人の決闘から三人の別れのシーンも実に良いです。
[DVD(字幕)] 8点(2008-11-04 18:10:14)
213.  荒野の1ドル銀貨 《ネタバレ》 
テンポ良くサクサク進んでいきますし、なかなか面白いところもありますし、銀貨や銃身の切られた拳銃などの道具の使い方も巧みで、これは意外に及第点はクリアしているなぁなどとエラそうに見ていましたら、最後にとっても素晴らしいシーンが待っていました。夜の暗闇でランタンを提げてずんずんマッコイに近づいていくゲイリー。マッコイはゲイリーを撃ちまくるですが、全くきかず寄って来たランタンの灯りで例の銃身の切られた拳銃だと明らかになり、さらに浮かび上がったゲイリーの顔が、その影で冒頭の頃のヒゲ面を思い出させマッコイにこの南軍兵は一体誰なのかを分からせるのです。これは面白いシーンですし、ゲイリーの弟の敵を討とうとする執念や、死んだはずである彼のまるで本物の亡霊のような姿に対するマッコイの恐怖がよくよく表れている場面だと思います。
[DVD(字幕)] 7点(2008-10-23 18:12:14)
214.  東京物語 《ネタバレ》 
最初にこれを見た時は、正直に言いまして度肝ぬかれてしまいました。カメラは移動することなく固定され、話す人物をほぼ正面でとらえているのですが、こんなんで映画が成り立ってしまうのかと思っていましたら、成り立つどころか凄まじい出来栄えなのですから。例えば、バカみたいに細かい性格描写などしなくとも家族関係を明確に見せてしまったり、あるいは老夫婦が並んでウチワをあおいだりと度々シンクロするような姿を映し出す事によって、母親が亡くなってしまった瞬間から父親が一人になってしまったことが強調され、年老い、死に、孤独になってゆく寂寥感をより一層感じさせたりするのです。そして特筆すべきは原節子さんでしょう。杉村春子さん演じる長女などはキャラクターこそ強烈なれど、後々〝段々あんなふうになっていく〟と会話にあるようにあまり不自然には見えないのです。ところがどっこい原節子さんの演じる未亡人の義理の娘は優しい笑顔を常に浮かべているのですが、これがある種、亡霊のような怖さを感じさせるのです。しかしだからこそ最後の最後で〝ずるいんです〟と告白するシーンが圧巻なのであって、血の繋がりがない義理の親子が実に理想的な親子像だったりするあの場面に寂しくも温かい気持ちになるのです。
[ビデオ(邦画)] 10点(2008-10-17 18:25:39)(良:4票)
215.  七月のクリスマス
このコメディは言葉によるところの方が大きいと思いますが、例えば主人公たちのアパートに品物を取り返しに来た時のドタバタシーンなどはとてもパワフルだと思います。あの狭さを感じさせる空間に詰めこまれたような住人たちの元気さ、それに仲の良さに何とも言えない温かさを感じます。しかし、何より忘れてはならないのは勘違いコメディが始まる前の冒頭の屋上シーンです。若い貧乏カップルが街の光が輝く屋上で語り合いケンカし、帰り際、階下の住人が〝うるさい〟と言えば植木鉢を落すお決まりのギャグをかまし、〝おやすみ、おやすみ〟言いながら二人の距離が近付き、ウサギ小屋のショットをはさんで二人が仲直りのキスをする…ちょっと甘過ぎるくらいですが、こんなにも愛らしく美しいシーンは他にはそうないと思います。この場面を見るだけでも価値ありと言いますか、この場面が全てと言っても過言ではないくらいのシーンなのです。
[DVD(字幕)] 8点(2008-10-15 18:18:15)
216.  オーソン・ウェルズINストレンジャー 《ネタバレ》 
ウェルズが死体を見つけた奥さんの飼い犬を殺す場面で、異変を感じたように飛び起きるエドワード・G・ロビンソンに切り返されるのですが、この手法というのは今では2時間ドラマでも当たり前で、むしろ下手をすれば安っぽさすら感じさせるのですが、ウェルズがやれば全くもって効果的で強い緊張感を生み出しています。一見のところ良き教師でありながら実はナチであるという人物像も、ウェルズの巨体と神経質そうな雰囲気が説得力を持たせておりサスペンスとして一級の出来栄えなのです。・・・ただ、一つ気になるのは善玉の方を演じたロビンソンで、これは私に「犯罪王リコ」での彼のイメージが強烈に残っているせいかもしれませんが、ロビンソンのアクの強さというものはただの善人にしてはどうも気に障る不自然さがあるのです。例えば父親に娘の危機を伝えながらも冷静に状況を分析し、それを利用しつつも余裕しゃくしゃくの行動でドッカリとした感じを受けるその物腰は、何とも図々しい感じが出過ぎているように思えます。家政婦さんなどは心労でぶっ倒れてしまうのですから、その平然たる態度は鼻についてしまうほどなのです。
[DVD(字幕)] 7点(2008-10-01 18:18:24)
217.  Gメン 《ネタバレ》 
映画の中で〝Gメンの研修用フィルム〟として本作を鑑賞するかたちで始まるのは、いかにも映画を見る感じがして面白いです。内容に関しては裏切り行為なので本来ならもっとドロドロするはずなのですが、引退するマッケイ親分の完全無欠の気の抜けようとジェームズ・ギャグニーのコメディに通じる動きによりどこかさっぱりした作りになっています。特に良いと思いますのは個々の役者さんたちの顔で、裏世界とつながりのあったGマンのギャグニーの顔は一見ギャングっぽくありながらも、イタズラ小僧のように愛想があるので丁度その二重の感じが表われていますし、次第に打ち解けていく上司や殉職する同僚もまさに善玉の面持ちです。さらにクチナシを常に胸元にさすレゲットのニヒルな表情も素晴らしく、Gメンたちにしてもギャングたちにしても実にそれらしいです。そしてそれにもまして華を添える二人の女優さんがとっても綺麗なのです。殊にギャグニーがかつての恋人とお別れのキスをするシーンが感動的で、キスをし終わってギャグニーの顔が上がるとそこにはすでに事切れた彼女の表情が映るのですが、その顔がとても美しい。
[DVD(字幕)] 8点(2008-09-26 18:27:35)(良:1票)
218.  コッポラの胡蝶の夢
一風変わった感じのする幻想的な世界が投影されており、その辺りはいかにも〝映画〟なのですが、コッポラ監督が一体何を言いたいのかいまいち良く分からなかったですし(夢幻世界の時点でもはやそこに明確なメッセージ性など存在しないのかもしれませんが)、また夢の世界では天地を逆転させていることなども面白い事とは思えません。例えば、ティム・ロスが夜道でナチス軍の研究医?に襲われるシーンなどはフィルム・ノワールを彷彿させるような雰囲気がある上に、青白い光が不気味ながらに美しく神秘的でなかなか良いのですが…そもそもお話自体が妙に哲学的で退屈であり、幻想譚の映像美が全体的にはいささか面白味に欠けているように思えます。ただ、最近のハリウッド映画などの作風とは明らかに一線を画しており何となく後に残る感じはします。特に印象的なのは、異世界のように鏡を使ったティム・ロスの分裂と彼の吸う限りなく短いタバコの煙が幻のような感じをさせるシーンと、ナチスの女との情事、それにやたら美しく見えたヴェロニカです。特に彼女の初登場の時、ティムにかけた声の鮮烈さは素晴らしく夢見心地のボンヤリ感から目覚めさせてくれます。
[映画館(字幕)] 7点(2008-09-20 17:48:02)(良:1票)
219.  殺しの烙印 《ネタバレ》 
主人公が壁に寄りかかり謎の美女が階段の中腹あたりにいて、離れた場所でそれぞれ独りごちるように話すのにしっかり会話ができていたりと、現実世界よりも美的構図を優先したシーンが全編に渡って見られます。そういった意味では実験的な感じがするのですが、これがとても美しいのです。水と虫が象徴的な謎めいた美女のイメージは裸で駆けずり回る主人公の女房よりもずっと魅力的でエロティックで幻想的ですし、かと思えば飯の匂いをクンクン嗅ぎ興奮を覚える主人公は生活感に満ちていますし、そこに乗り込んでくるナンバー・ワンの殺し屋は、殺し道の極みだとばかりに目を開けたまま寝てズボンはいたまま小便垂れても、なおクールで強烈な存在感があります。車の下に隠れて前進していく埠頭での銃撃戦などとても工夫されていますし、ラストのナンバー・ワンとの決闘のシーンは暗い中に存在する四角いリングがとても印象的です。殺し屋に美女と巧みな演出、これだけで映画は十分に面白いのです。冒頭と最後に流れる殺し屋の歌も良い。
[DVD(邦画)] 8点(2008-09-05 18:06:42)
220.  街の野獣(1950) 《ネタバレ》 
俯瞰で街の様子をとらえる始まりと終りの逃走劇は同監督作の「裸の町」と似ていますが、本作の方がドラマティックですし、あらゆる面で勝っているように思います。モノクロの画面が生み出す光と影の世界が素晴らしく、構図も良く練られています。数多く登場する人物の造型やその使い方も見事で誰一人、何一つ無駄がありませんし、野心に溢れるハリーをはじめ恰幅の良いキャバレー経営者、力強くて優しい伝説のレスラー、鋭くも哀しい視線のギャングな顔役等々それぞれの役者さんも良い味を出しています。追われる者ハリーの絶えず動き回っているイメージや、レスリングシーンの迫力、テンポも感傷的な場面も一人一人の表情も全て良いです。〝窓をしめてくれ〟の親子の死別シーンなどは涙もんです。ただ一点、惜しむらくは夜のシーンがいまいち美しくないのです。原題が〝night and city〟にもかかわらず…。決して悪くはないのですが、他が完璧に近いだけに逆にそれが目に付いてしまいます。
[DVD(字幕)] 9点(2008-08-28 18:18:25)
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