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S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2400
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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201.  その男ゾルバ 《ネタバレ》 
遠く離れたアジアの我々にはギリシャ人のイメージは曖昧なものしかなく、せいぜい「陽気な人たち(南国だから)」ぐらいしか頭に浮かばないでしょう。実はあのバルカン半島の民でもあるギリシャ人の民族性はけっこう気が荒く、周辺の国とはしょっちゅう諍いをおこしてきた歴史があります。ゾルバも「戦争に行ったときは、捕虜を殺して女を犯した」と普通のことのように語っているぐらいですが、本作の舞台になったクレタ島というところはゾルバの様なギリシャ本土の人間でもビビるぐらい荒っぽい土地だそうです。イレーネ・パパスを村人総出で殺しリラ・ケドロヴァが死ぬやいなや身ぐるみ剥いでしまうといった蛮行は普通の感覚では嫌悪感がこみ上げてくるだけです。マイケル・ベイツが演じる英国人は半分ギリシャ人だと言うのにギリシャのことは何も知らずに島にやって来て、中途半端なインテリぶりで恋人を殺されるは鉱山開発にも失敗してしまい、結局この映画を通してなにも成就できないで島を去るわけです。ゾルバという男はインテリ作家のベイツと凶暴な島民たちの両者を仲介する使命があったのに、結局単なるピエロで終わってしまったなという印象ですね。ラストのベイツが踊るシーンは、やることなすこと全部ドツボになってしまい、「もうこうなりゃ踊るっきゃないよ!」という開き直りの儀式みたいなもので、人間は誰しもそういう心境になった経験があるんじゃないでしょうか。この映画、どうしてもゾルバのキャラに目が行ってしまうのですが、物語自体もけっこう奥が深い様な気がします。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-05-04 00:26:49)
202.  トプカピ 《ネタバレ》 
『ミッション・インポッシブル』のトム・クルーズがデータ室に侵入するシークエンスは、本作の引用というか再映像化だったんですね。「偉大なオリジナル」は後年になって観ると既視感を持ってしまうのはつきものですが、どうしてどうして、オリジナルの侵入シーンもとても60年代の映画とは思えない緊迫感に溢れていますよ。ロープにぶら下がる「声が出せないイタリア人」というキャラも、ソダーバーグが『オーシャンズ』シリーズで「英語は理解しているのに中国語しか喋らない中国人軽業師」としてパロっていますね。メルナ・メルクーリはいつも通りの陽気で豪快な女傑ぶりでさすがにちょっとあのダミ声には引いてしまいますが、せこい小悪党を演じたらピカイチのピーター・ユスティノフには楽しませていただきました。こういう懲りない連中を観ていると、生きる希望が湧いてきますね(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-05-01 22:51:34)
203.  卒業(1967) 《ネタバレ》 
ダスティン・ホフマンがあたりまえだけど若い! これが実質映画デビューで、すでに30歳だったとは思えない新鮮な演技です(この人『マラソンマン』でもほとんど40歳でまだ大学生が演じてるから凄い)。今の若い人にはなかなか理解できないベンとエレインの行動だけど、あの時代のカルチャーというか若者のパワーに心を揺さぶられる人もいるはずです。ニューシネマ全盛期ですが、この映画はそのまま絵になる様なショットが多くて、マイク・ニコルズの才気には感服です。そしてキャサリン・ロス、この瑞々しさは永遠にフィルムの上に刻まれていくでしょう。 しかし数ある恋愛映画の中でも、このカップルほど長続きしそうもないと感じられるキャラは他にないのでは(笑)
[映画館(字幕)] 7点(2011-04-13 01:04:05)
204.  特攻大作戦 《ネタバレ》 
ご存知『イングロリアル・バスターズ』の元ネタの一本。普通これだけ男を集めた映画ならひとりぐらい女性ファン用に二枚目俳優が混ざるものですが、まあ見事なまでにいかつい悪人面を集めたものです。そして「七人もの」の定番なのは集まった男たちが何か特技を持っているところですが、12人がただ凶悪犯であるということしか特徴がないというのもある意味いさぎよいところです。その12人とリー・マーヴィンをキリストと使徒たちになぞらえるシーンまであり、ちょっと悪乗りし過ぎです。中でも私のお気に入りはウォーデン将軍役のアーネスト・ボーグナインで、この人その後に三作作られた続編に全部ウォーデン将軍で出演しているんですね。それだけこのキャラは観客に受けたってことなんでしょう。前半の訓練パートはアルドリッチらしいごついユーモアに満ちて楽しめて、いざ敵地降下してからは計画は狂いっぱなしで結局12人のうちチャールズ・ブロンソンしか生き残らなかったのですが、不思議と悲壮感が全然ないところも私は好きです。ブロンソンがラストに言う、「将軍殺しが病みつきになりそう」は名セリフです。
[映画館(字幕)] 7点(2011-04-04 20:40:35)
205.  野のユリ
たぶん超低予算で撮られたと思うのですが、アイデアと語り口が映画には大事な要素なんだねと納得させてくれました。シドニー・ポワチエが演じる黒人青年は、あくまでアメリカの当時の白人が心に描いていた理想の黒人像であることは確かですが、あたかも神の使いの様な登場と退場するエンドシーンにしたことで、黒人の未来は今よりきっと良くなるぞ、というメッセージが感じられました。リリア・スカラと四人の修道女たちが面白いキャラで、観ているうちにだんだん可愛らしく感じられてきました。もしリメイクするのなら、ミュージカルとして撮ったら面白いんじゃないかな。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-03-03 21:58:48)
206.  ある殺し屋 《ネタバレ》 
『必殺仕事人』の中村主水のキャラ造形に影響を与えたと言われますが、殺し屋雷蔵は普通ぶりでは藤田まことのはるか上を行ってます。仮の姿は小料理屋の主人、そして本業になれば殺し屋としてターゲットを料理する、いやーカッコ良すぎです。ところが脚本はけっこう粗くて、クールなくせして怪しげな成田三樹夫が持ってくる麻薬強奪案件にホイホイと乗ってしまう。凄腕殺し屋はたいがい仕事にはセオリーやこだわりがあるものですが、この仕事は殺しではなく単なる強盗じゃないですか。野川由美子に付きまとわれるのも「自分しか信じない」一流殺し屋とは思えない甘さです。この野川由美子のキャラがまた増村保造ワールド全開のあばずれで(増村保造は脚本を書いてます)、雷蔵のキャラと野川のキャラが両極端で二人が組む(というか雷蔵が野川を追い出さない)必然性がないのが苦しい。ところがそこに怪しいヤクザ成田三樹夫が絡むので、三人の不思議なアンサンブルが成立しちゃうのが面白いところです。本作の成田三樹夫はなんか光輝いていて、実にいい味出してるんですよ。そして耳に残る主題曲、これだけ単純なコードを使ってここまで印象的なメロディになるとは驚きました。まあいろいろ突っ込みはしましたが、必見の価値ある愛すべき一篇です。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-11-18 00:01:09)
207.  36時間(1965) 《ネタバレ》 
数ある「ノルマンディー上陸作戦もの」映画の中でもひときわ異彩を放つ一本です。Dデイ3日前、米軍の情報参謀がリスボンで一服盛られて意識を失う。眼が覚めるとそこは山中の病院で、新聞を見るとなんと6年後の1950年になっているではないか! ね、どうです、面白そうなプロットでしょ。別にこれはタイムスリップしたわけでは無くて、連合軍が上陸するのはどこなのかを知るためにドイツ軍が仕組んだ謀略なのです。その病院は占領中のドイツにある米軍病院と言う設定で、軍医や看護婦そして入院患者も皆アメリカ人で英語を話し、ラジオをつければ偽アナウンサーが別室から架空のニュースを流すという徹底振りです。戦争はヒトラーが暗殺されて終わり、ゲーリングやヒムラーは処刑されたことになっていて、親衛隊員も全員処刑されたとロッド・テイラーがSSのスパイがいる前でガーナーに話すところは傑作です。情報参謀ジェームズ・ガーナーは6年間眠りっぱなしだったわけではなく、発作のように記憶喪失になる障害を負って、リスボンまでの記憶は回復したが再度発作を起こして戦後の記憶が無くなってしまったという、けっこう芸が細かい設定には感心しました。その6年間の人生も巧みにでっち上げられていて、いわば『トルゥーマンショー』の第二次世界大戦版というところです。普通これなら絶対騙されるよな、と観てて思わず唸ってしまいました。当然策略は上手くゆきドイツ側はいとも簡単に上陸地点がノルマンディーだとつかむのですが、皮肉なことに上層部は信じようとしません。ガーナーが策略を見破るきっかけも、上手に伏線が張ってあって納得です。この映画ドイツ側の視点で進行するのですが、ネタ明かしをしないで目覚めたガーナーがだんだん状況に疑惑を感じてゆくというヒッチコック風サスペンスの脚本にするこのも一興かも、でもそれにはジェームズ・ガーナーとロッド・テイラーでは緊張感ある芝居を展開するには力不足だったでしょうね。 どうせ埋もれてしまったのだから、こういう佳作をリメイクしてくれると楽しめるのですが。
[ビデオ(字幕)] 7点(2010-11-08 20:52:15)
208.  シベールの日曜日
さすが本作は「ロリコンのイコン」と称されるだけあって、パトリシア・ゴッジの魅力はその手の嗜好がある人にはたまらないでしょうね。キューブリックの『ロリータ』なぞ足元にも及ばない、史上最強のロリコン映画じゃないでしょうか。『ロリータ』と違って本作がいまだにリメイクされないのは、そりゃこれだけ完成度が高ければ納得です。「禁リメイク」映画リストがあるとしたら、上位にランクしておかなければいけません。 それにしても、ネットで調べてみてパトリシア・ゴッジの人気がいまだ高いのには驚かされます。出演作は他に『かもめの城(1965)』(ジョン・ギラーミン監督)があるだけだそうで、ほんと「まぼろしの美少女」と呼ぶにふさわしいですね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2010-09-08 23:20:43)
209.  未知空間の恐怖 光る眼
低予算ながらこの映画は「つかみ」の展開は超一流で、前半の緊迫した展開は並みのSF映画のレベルを超越した出来です。「なぜ、誰が、怪奇現象を仕掛けたのか」と言う説明的な要素をばっさり省いていることがかえって本作の質を高めています。 「光る眼」を持った子供たちについては色々な解釈がされていますが、60年代後半に世界中で大暴れするベビー・ブーマー世代(日本では団塊世代)に対する大人たちの“怯え”が、あの子供たちに表象されているのではと私は感じました。まあとにかく、色んな観方ができる作品ですね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2010-08-22 23:16:28)(良:1票)
210.  夕陽に立つ保安官 《ネタバレ》 
J・ガーナーの代表作と言うと世間的にはTVシリーズ『ロックフォードの事件メモ』になっちゃうのですが、私はB・ケネディのおバカ西部劇である本作と『地平線から来た男』をぜひお勧めしたい。 飄々としたコメディ演技にかけては60年代では彼の右に出る役者はいないのではと思います。そして本作ではJ・イーラムの怪演が見ものです。あんなごつい顔で軽妙なコメディロールをこなしてしまうなんて、ハリウッド演技陣の層が厚いことを思い知らされました。 『リオ・ブラボー』や『真昼の決闘』の上手なパロディになっていますが、とにかく頭カラッポにして楽しむのがイチバンです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2010-08-19 22:14:40)
211.  モスキート爆撃隊 《ネタバレ》 
『633爆撃隊』がヒットしたので、二匹目のドジョウを狙って製作された映画みたいですね。出演者もデヴィッド・マッカラム以外は地味な俳優が多くて、飛行可能なモスキート爆撃機の活躍を期待するしかないかなと思って観始めました。 冒頭から『クロスボー作戦』の映像が使われていて「こりゃ、ダメだ」とあきらめかけましたが、意外とドラマシーンは良い脚本で予想以上に観られる内容です。戦闘シーンはかなりクオリティが落ちる特撮なのですが、これは低予算だからしょうがないところでしょう。 物語はV2号(?)を製作しているフランスのシャトーを破壊するミッションに挑むというモスキート爆撃機にはお約束のプロットで、設定自体はフィクションですが大戦中にモスキート爆撃機が実際に成功させた作戦(刑務所をピンポイント爆撃して捕虜のレジスタンスを解放した)を巧みに織り込んだ内容になっています。上映時間も手ごろなのでテンポも良く、個人的には『633爆撃隊』より高評価です。さすが職人監督ボリス・セーガル、そつがない仕事をしますね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2010-08-11 00:27:21)
212.  殺人者はライフルを持っている! 《ネタバレ》 
B級映画の帝王ロジャー・コーマンは配下の若造に次のような話を持ちかけました。「ボリス・カーロフの契約が二日残っている。カーロフが出演している俺が監督した『古城の亡霊』のフィルムを有効利用して彼が主演の映画を一本撮ってみないか?」 その若造こそ、まだ映画監督したことがなかったピーター・ボクダノヴィッチだったのです。パワハラ上司の無理難題ですが、監督デビューをするには引き受けるしかありません。かくして必死で脚本を書いたボクダノヴィッチは持てる才能を発揮して本作を完成させたのでした。 というのがウソみたいなホントのお話しだそうですが、ヴェラ・ルゴシを使って映画を撮ったエド・ウッドとかぶってしまいます。ボクダノヴィッチはスチュアート・ホイットマンの『テキサスタワー乱射事件』をモチーフにして、カーロフが演じる怪奇映画の老スターが事件の狂言回しになる実に奇抜な脚本を書き上げました。エド・ウッドと違って才能あふれる監督だと、同じような悪条件でもこうも出来が違うのかと感心させられます。 本作の中では20分近く『古城の亡霊』の映像が使われていて、今ではなかなか観ることができない『古城の亡霊』の雰囲気が判ります。ホイットマンの実際の行動を基にしたライフル魔の描写がけっこうドキュメンタリーっぽくなっていて、銃や弾薬を準備する描写など実にハードボイルドなのです。この犯人が、『古城の亡霊』を上映しているドライブイン・シアターに潜入してスクリーンの背後からライフルを乱射するというのがまた素晴らしいアイデアです。ラストでは老カーロフが犯人逮捕に活躍するのがご愛敬です。このカーロフの役柄は、ボクダノヴィッチの大先輩に対するリスペクトが感じられて微笑ましく感じました。日本では未公開、アメリカでもほとんどお蔵入り状態で現在ではカルト映画と化してしまった本作ですが、一度観る価値は十分にあると思いますよ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2010-07-18 20:06:32)
213.  ピアニストを撃て
有名な作品ですけど、これってトリュフォー長編二作目なんですね。とてもそんな若造が撮ったとは思えない技巧を見せてくれますが、ストーリーテリングには若さゆえの荒削りなところも目立ちます。でも私、このオフビートな雰囲気は好きですね。登場人物たちのちょっとピントが合わない会話も、タランティーノの得意技みたいで今観ても斬新です。それにしても同時期に盟友ゴダールが撮った『勝手にしやがれ』と比べると、ゴダールのレベルの高さには驚かされます。
[DVD(字幕)] 7点(2010-06-16 00:53:06)
214.  ナバロンの要塞
さすがに製作後50年ですからスリルの盛り上げ方など古めかしいところはありますが、特攻作戦ものとしては元祖でありジェットコースタームービーとしても現代に通じるものがあります。マロリー大尉やスタブロ大佐など登場キャラがよく作り込まれていますし、「ウソも方便」ではありませんが架空のナバロン島をめぐる英独両軍の動きもディティールが良くできていますね。冒険映画の古典としての風格すら感じさせられます。
[映画館(字幕)] 7点(2010-05-09 23:07:42)
215.  レマゲン鉄橋 《ネタバレ》 
名手スタンリー・コルテスのカメラが存分に堪能できます。特に冒頭、疾走するM24戦車とドイツ軍守備隊がライン河を挟んで撃ち合い、通りがかった列車を戦車が吹き飛ばすオープニングは屈指の名シーンです。チェコにあった廃棄予定の街を丸ごとつぶしちゃったという破壊シーンは、さすがに息をのむ迫力です。避難民が渡っている橋を爆撃したり、傷病兵を運ぶ列車を攻撃したりと米軍が結構ダーティなところをきっちり見せてくれるところは好感が持てます。ドイツ人が英語を喋るのには困ったものですが、R・ヴォーン始めドイツ側の役者はみな良い演技しています。反面米軍のJ・シーガルはどうも演技がわざとらしく大袈裟で白けてしまいます。B・ギャザラは存在感ある演技で盛り上げているのにね。戦争というものは、末端の兵士たちにとっては勝ってもくたびれるものだと言うことでしょう。
[映画館(字幕)] 7点(2010-03-17 21:31:19)
216.  尼僧ヨアンナ 《ネタバレ》 
この映画の題材は17世紀にフランスでおきた『ルーダンの悪魔憑き』事件で、中世ポーランドに時代を置き換えています。ほとんどのシーンが荒野に建つ修道院内で展開されますが、確かに悪魔払いを務める神父が自ら悪魔をとり込みわが身を犠牲にするところなど、映画『エクソシスト』に強く影響を与えている気がします。モノクロ画面はあくまで静謐感にあふれ、荒れ果てた修道院周辺の風景が強いインパクトを与えてくれます。そして悪魔に取り付かれた修道院長を演じるルチーナ・ウィンニッカが見せる異様な狂気の演技、おぞましさを通り越して美しさを感じてしまうほどです。自分なりの解釈ですが、この映画は歴史事実を隠れ蓑にしていますが、共産政権への痛烈な批判がメッセージとして隠されているのではと思います。修道院は自由が極端に抑圧された社会の暗喩となっている気がします。そんな社会で人間性を取り戻すには、『悪魔』に取り付かれるしか逃げ道がないのではとも考えてしまいます。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2010-01-19 20:58:18)
217.  女は女である 《ネタバレ》 
ゴダール初のカラー作品ですが、赤の使い方が鮮やかで印象的。この映画は、『初恋のきた道』がチャン・ツィイーのプロモーション・ビデオみたいに言われるのと同じで、ゴダールが撮ったアンナ・カリーナのプライベート・ムーヴィーではないでしょうか。さすがのゴダールも、惚れた女には甘いというわけでもなかろうが、アンナの魅力的な肢体と表情が実に鮮やかに画面に映し出されます。ゴダール映画は登場人物が次のカットで何をしゃべりだすか判らないという一種の緊張感が観る者を疲れさせるのですが、本作では男女の恋愛の機微を表現する手法として成功しているのでは。それは音楽の使い方にも反映していて、カットの切り替わりに応じて突然中断するというのはゴダールらしい斬新な手法ですね。ゴダール入門には最適の一本かも(えっ、入門なんかしたくない?それもそうですね)。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2010-01-17 01:37:04)
218.  リオの男 《ネタバレ》 
この映画、監督は狙っていたのでしょうが、はっきり言ってちょっと変です。連続した場面なのに夜がいきなり昼になったり(エド・ウッドか!)、千キロ距離があるリオとブラジリアをオンボロ車で一昼夜で走破したり、『そんなあほな!』と突っ込みたくなるシーンの連続ですが、そのいい加減さが妙にいい味出しているのも確かです。結構危険そうなシーンも軽々こなしている足が長いベルモンドを観ていると、そう、ルパン三世を思い出しますね。そして観たらご理解いただけますが、なんと本作は『レイダース』の元ネタだったのです。ラスト20分は『レイダース』で使われたネタのオンパレードです。ヒロインのフランソワーズ・ドルレアックがわがまま放題のまた変な娘で、笑わせてくれます。フレンチコメディ独特のあくの強い作風なので好き嫌いが別れそうですが、後のアニメやアクション映画に少なからぬ影響を与えた異色作として再評価されても良いのではと思います。
[ビデオ(字幕)] 7点(2009-12-27 13:09:01)
219.  国際諜報局 《ネタバレ》 
60年代にレン・デイトンのスパイもの小説「ハリー・パーマー」シリーズは三作映画化されましたが、本作はその第一作目です。ハリー・パーマーは英国陸軍の軍曹ですが物資横流しで有罪となり刑務所へ。英国軍情報部MI5のロス大佐は情報部員になることを条件に彼を釈放させ、ハリー・パーマーのサラリーマン・スパイ生活が始まります。邦題は「国際諜報局」となっていますが大ウソで、そもそもMI5は007の所属するMI6とは異なる国内を対象とする防諜機関なのでハリー・パーマーのスパイ活動も容疑者の監視や盗撮といった私立探偵みたいな地味なものです。オフィスに戻ればすぐ日報と報告書を上司に提出しなければいけないなど、まるでどこかの会社の営業マンみたいな仕事ですが、きっと現実のスパイもこんな生活を送っているのでしょう。上司ロス大佐はシリーズ三作に登場するキャラですが、上流階級のオックスブリッジ出身という雰囲気が良く出ていて労働者階級のパーマーとの対比が面白いです。マイケル・ケインの演技がまた絶妙で、反抗的ながら自分の信念を曲げない冷静な男を軽妙に演じていて、パーマーは彼の生涯のはまり役と言えるでしょう。ロス大佐とパーマーのやり取りが洒脱で楽しませてくれます。ストーリーは国家機密を握る科学者の誘拐に端を発したスパイ同士の暗闘といったところですが、本作はとにかくハリー・パーマーの世界を楽しむのが正しい観方でしょう。このシリーズ三作は、三作とも監督やテーマ音楽が違い、それぞれ味がある映画になっているのが特徴です。
[ビデオ(字幕)] 7点(2009-10-06 18:24:50)
220.  大列車強盗団 《ネタバレ》 
ギネス・ブックにも載った1963年に起きた伝説の列車強盗事件の映画化です。このとき強奪された金額は263万ポンドにもなるそうで、現在の貨幣価値に換算すると100億円に相当する額だそうです。この作品は強奪が計画される過程から犯行後に犯人一味が逮捕されるまでを、ドキュメンタリー調に描いています。冒頭スピード感あふれるカーチェイスシーンが展開されますが、このシーンを見たスティーブ・マックイーンがいたく気に入り、ピーター・イエーツを「ブリット」の監督に引っ張ったそうです。ピーター・イエーツは「動くもの」を撮らせたらピカイチの監督ですが、夜の闇の中を郵便列車が疾走するシーンがまた迫力があります。実話ものだけに主犯のロナルド・ビックスは仮名でスタンリー・ベーカーが演じていますが、ちょっとクールすぎるキャラになっていて格好良すぎかな。余計な描写は極力省いて、ひたすら強奪までのプロセスを追うストーリー展開が公開当時は斬新だったと思います。主犯のスタンリー・ベーカーだけが警察の追跡を逃れアメリカに入国するところでこの映画は終るのですが、当時ロナルド・ビックスは逃亡中で、“THE ? END”というエンドマークが出るのがシャレています。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2009-09-29 22:08:46)
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