2181. アラベスク
《ネタバレ》 鏡像にこだわりまくったカメラアングルはちょっと変態チックで、あまりのしつこさに辟易させられます。ラリったグレゴリー・ペックが自転車を乗り回すシーンは実にシュールで、なんか見てはいけないものを見てしまった様な気がしました。まるでケン・ラッセルの映画みたいですな。サスペンスの語り口としては奇をてらわず実にオーソドックスなのですが、ちっともストーリーが理解できないのは私の頭が悪いせい?それとも脚本の出来が悪すぎるのかな? [CS・衛星(字幕)] 4点(2010-06-22 21:58:25) |
2182. バターフィールド8
《ネタバレ》 全盛期のE・テイラーを堪能させていただきました。ストーリー自体は『椿姫』みたいな古風なものですが、ヘイズ・コードがまだうるさかった頃で脚本は何度も書き直しさせられたみたいです。テイラーは高級娼婦のはずなのに、冒頭のシーン、一夜のお代を払った男に何で激怒するのか意味不明です。ルージュで『売りものじゃない!』って鏡に書く有名なシーンがありますが、あなた娼婦でしょ。こういうわけが判らない部分に検閲の跡が見られます。そこまでされてこの原作を映画にすることないじゃん、と思うのですがいろいろ大人の事情があったんでしょうね。結局テイラーは本作でオスカー初受賞となるのですが、この映画に対してテイラーが残したコメントはもう凄まじいものです。確かにお世辞にも名作とは言えない出来ですが、自分がオスカー獲った映画をここまでボロクソに貶したのは、後にも先にもE・テイラーだけでしょう。 [DVD(字幕)] 4点(2010-05-19 22:37:56)(笑:1票) |
2183. ミスティック・リバー
《ネタバレ》 私の中で、イーストウッドという映画作家の評価に大疑問符がついてしまった作品です。イーストウッドは基本的には脚本を書かない人なので、まず原作があっての本作なのでしょうが、このいかにもアメリカ的なリンチが正当化される世界観はどうしても受け入れられない。ラストのショーン・ペンとローラ・リニーの会話、「パパは王様、王様はすべきことを行う」「皆、弱いからよ私たち以外は。私たちは決して弱くならない」、これは「パパ」「私たち」を「アメリカ」に言い換えてもしっくりする嫌なフレーズではありませんか。ティム・ロビンスに疑惑を抱いたマーシャ・ゲイ・ハーデンの描き方も、ラストではまるでイエスを売ったユダの様で、ショーン・ペンが犯した大罪を免罪するかの様な印象まで与えるのがはっきり言って不快です。カトリック教徒のコミュニティーが舞台で、ショーン・ペンの背中には十字架のでっかいタトゥーが彫られているなど、イーストウッドよりスコセッシの方が監督にふさわしい題材のような気がします。イーストウッドはスコセッシの様に、宗教的にテーマを掘り下げる感性は持ち合わせていないと感じました。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2010-05-16 00:02:09)(良:3票) |
2184. 海底軍艦
《ネタバレ》 そりゃ轟天号の古風な造形美とドリルマシンとしての完成度の高さは認めますよ、でも敵役であるムー帝国の設定がねえ・・・。 これも関沢新一の悪いところが全部出た脚本のせいであるのは明らかですが、やたらと「日本は平和憲法で戦争放棄した」ということを強調して神宮寺大佐たちを躍起になって否定するのもなんかあざといですね。やはり明治時代に書かれた原作なので、もっと入念に翻案しなければならなかったということです。それにしても、轟天号のメインウェポンである冷凍光線って摩訶不思議ですね、海中でマンダに発射して凍らせるシーンには失笑させられます。物理の法則が無視されてる・・・。 [映画館(邦画)] 4点(2010-05-11 01:03:51) |
2185. もしも昨日が選べたら
結論から入ると、A・サンドラーのコメディはどうも自分には合わないみたいです。この人、眼が全然笑っていないんですよね。だからキレる演技の方に真実味があって、どうも笑えないんですよ、私は。彼はコメディよりシリアスな役柄の方がいいんでないのかな。ストーリー自体は予定調和の典型的なホーム・ドラマですが、やはりK・ベッキンせールが可愛かったですね。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2010-04-16 01:15:17) |
2186. ショック・トリートメント
《ネタバレ》 『ロッキー・ホラー・ショー』のキャスト・スタッフが再集結して作った、『ロッキー・ホラー・ショー』のスピン・アウト・ストーリーといったところでしょうか。R・オブライエン、C・グレイ、P・クイン、N・キャンベルが『ロッキー』と同じキャストです。アメリカの田舎町デントンのローカルTV局が舞台の、『トゥルーマン・ショー』や『エドTV』を先取りした様なロック・ミュージカルで、『ロッキー』のブラッド・メイジャース夫妻の後日談になっています。障害者ネタが多いので日本では公開は無理だったのかなと思いますが、当時としては斬新なプロットも諷刺が利いていない演出のためにあまり面白くない作品になっています。オブライエンとクイン姐さんは『ロッキー』に続いて怪しげな兄妹医師を演じて楽しませてくれるのですが、肝心の楽曲がやはり『ロッキー』に比べると見劣りしてしまいます。見どころはJ・ハーパーのパフォーマンスがたっぷり観られることで、いろいろコスプレしながら歌ってくれます。ファンは必見でしょう。それにしても彼女、眉毛が太いなー。 [ビデオ(字幕)] 4点(2010-04-09 02:13:00) |
2187. シャドウ・オブ・ヴァンパイア
《ネタバレ》 発想は良いんですけどね、この作品。その発想をスタッフが消化しきれていないのですよ、これが。ウィレム・デフォーはメイクも演技も文句なしで素晴らしいのですが、途中まで観ていて、この映画は実はホラー・コメディなのかと思うほどノスフェラトゥが滑稽に見えてしまう。いっそのことコメディに徹した方が良かったと思うのですが、ラストはなんか途中で放り出した様な終わり方で、がっくり。突っ込みどころも多いのですが、そもそもサイレント映画の時代に、あの程度の照明設備で夜間撮影が出来るはずがないでしょう。現実の『吸血鬼ノスフェラトゥ』は、私は未見ですが、異様に白っぽい映像だそうで、当時の技術では闇を撮影するのは無理だったみたいです。そういうことを踏まえたうえで脚本を書かないと、いくらフィクションでも説得力がないでしょう。私のセオリーは、「オスカーの演技賞に出演俳優がひとりだけノミネートされている映画に当たりなし」ですが、この作品でも適中しました。 [ビデオ(字幕)] 4点(2010-03-24 01:45:41) |
2188. クロスボー作戦
《ネタバレ》 第二次世界大戦でドイツが実戦に投入した秘密兵器V1号(飛行爆弾)V2号(弾道ミサイル)をめぐって繰り広げられる攻防戦を描いたアクション映画。物語は史実を巧みに取り入れて、前半三十分はドイツ側の視点で秘密兵器開発の過程を詳細に描いています。新兵器に勘付いた英国はジョージ・ペパードら三人のスパイをV2号開発工場に潜入させます。この辺りから創作されたスパイストーリーになるのですが、その工作員たちや周辺の人物が無慈悲な運命に陥るところは、いかに英国製アクションものらしさが出ています。製作はイタリアの大プロデューサーのカルロ・ポンティなのですが、こいつが実はとんでもないはったりをこの映画でかましてくれるのです。タイトル・ロールは彼の奥さんであるソフィア・ローレンなのですが、本編が始まってもなかなか登場しません。40分たってやっと画面に現れるのですが、わずか15分であの世に召されてしまい、ハイ、お疲れ様でした。この映画のS・ローレンは、映画史上で出演時間が最も短いタイトル・ロール俳優としてギネス・ブックに申請したいぐらいです。J・ペパードはいまいち影の薄い俳優ですが、S・ローレンの後にタイトルされてはさすがの彼も怒ったのでは。というわけで、この映画は下手な脚本のせいか登場人物やエピソードのつながりが悪くて、なんか奇妙な印象が残ります。ラストは『ナバロンの要塞』を彷彿させる秘密基地大爆破シーンで、ミニチュア・ワークを駆使した特撮は結構迫力ありますが、なぜか合成シーンがお粗末なのが残念でした。 [ビデオ(字幕)] 4点(2010-03-16 00:30:42) |
2189. ゴーリキー・パーク
《ネタバレ》 原作を良く消化していないミステリー映画の典型的な失敗作。伏線もなければ落ちもなし、サスペンスとしての盛り上がりにも乏しい。たかが10匹程度の黒テンのために人が殺されKGBまで出てくるストーリーに最後まで入り込めませんでした。W・ハートやL・マーヴィンという芸達者が出演しているのだけが取り柄かな。確かに『レッド・ブル』製作に影響を与えたと思いますよ、設定自体は真逆ですがね。主人公の名前も、レンコ→ダンコだし。この映画はヘルシンキをモスクワに見立ててロケしていますが、わずか4年後に撮られた『レッド・ブル』では赤の広場でロケが出来たというのは歴史の激動を感じさせられます。 [DVD(字幕)] 4点(2010-02-06 13:27:38) |
2190. コール
《ネタバレ》 この誘拐計画、巧妙なようで穴だらけなので(大体、誘拐犯が素顔見せてどうする!犯行後被害者は絶対に警察に届けるぞ!) 犯人三人組みのおバカな行動も納得させられちゃいます。ケヴィン・ベーコンの誘拐目的が「あれ」だなんて、ジェニファー・ティリーの『コード』を思い浮かべてしまいました(面白さは雲泥の差ですが)。笑ったのは終盤ベーコンとセロンが乗った車が横転した時ですが、トランクから閉じ込められていた車の持ち主が出てきたことです(ベーコンが駐車場で車を強奪してトランクに押し込んだのですが、観ていてすっかり忘れてました)。他に幾つもほったらかしの伏線があるのに、よりによってこの伏線を回収するとは、実に奇妙な脚本でした。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2010-01-12 01:04:22) |
2191. ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12ヶ月
《ネタバレ》 前作でやめときゃよかったという出来ですね。ストーリーもご都合主義が一段とひどくなって、お約束の噴水でのコリン・ファースとヒュー・グラントの殴り合いぐらいしか笑えるところがないというのは困ったものです。麻薬の密輸エピソードですが、ありゃ女友達は確信犯としか思えない演技だったと思うのですが、あんな落ちで良いのでしょうか… [CS・衛星(字幕)] 4点(2010-01-07 01:20:28) |
2192. コットンクラブ
《ネタバレ》 なんと申しましょうか、これほど登場するキャラのエピソードがバラバラな映画は珍しいのでは。リチャード・ギアとグレゴリー・ハインズのそれぞれのカップルですが、どこに接点があったのかって観終わってもよく判りませんでした。ラストも「なんじゃ、こりゃ」と言いたくなる代物ですし、コッポラはやはり『地獄の黙示録』で才能使い果たしちゃったのだと思わざるを得ません。 [ビデオ(字幕)] 4点(2010-01-06 01:03:58) |
2193. オーシャンズ12
もう突っ込みどころが多すぎて切りがないのですが、シリーズ三作中最低の出来かな。いくらスタイリッシュな映像とカッコ良い音楽で見せられても、全編演技者同士のおふざけと楽屋落ちの連続ではねえ。『ナイト・フォックス』のキャラと行動はまるで安物のアニメに出てくる怪盗そのものですし、そもそも脚本の辻褄がどうも合ってないような気がします。ゼタ・ジョーンズが良かったので、1点プラスです。 [DVD(字幕)] 4点(2010-01-02 11:28:15) |
2194. 百一夜
《ネタバレ》 映画誕生百年を記念した作品ということで確かに映画愛というものは伝わってきますが、それと本作が面白いかというと話は別ですね。途中からムッシュ・シネマのひ孫の偽物というサブ・ストーリーが始まるのですが、まずこのエピソードを挿入する意味が不明ですし話の落ちの付け方もあいまいで良く判らん。全体的にフワフワした出来の悪いヌーベルバーグ風の映画という印象でしょうか。ハリソン・フォードやイーストウッドと言ったハリウッドスターは、出演しているうちに入らないようなニュース映像の断面みたいでちょっと看板に偽りありですね。引用される過去の映画はイタリア・フランス映画が多くて、マルチェロ・マストロヤンニを観ているとフェリーニが無性に観たくなりました。 [ビデオ(字幕)] 4点(2009-12-23 12:57:23) |
2195. イーストウィックの魔女たち
ジャック・ニコルソンの怪演はいつものことでサプライズはないのですが、豪華三大女優の使い方がもったいなさすぎです。この三人が集まれば、もっと面白くなるはずなんですがねえ。カメラも音楽も特撮もきっちりしているのに、なんか全体がちぐはぐでまとまりがない作品でした。 [DVD(字幕)] 4点(2009-12-07 23:39:06) |
2196. バーン・アフター・リーディング
コーエン兄弟の映画は、普通人の日常生活に異物(変人)が突如侵入してくるというプロットの作品は面白いのですが、本作のように主要人物が変人ばかりというパターンはダメですね(他の彼らの作品にも似たようなのがありますが)。あと、初期のコーエン兄弟のコメディはもっと楽しめるおバカ映画だったのに、どうしてこんなに笑えないコメディを撮っちゃったのかなあ。やはり、オスカー受賞したことが影響しているのかもね。ブラピのファン以外は、観ない方が良いでしょう。ブラピの使い方だけは面白かったですね。 [DVD(字幕)] 4点(2009-11-03 11:35:33) |
2197. バルジ大作戦
《ネタバレ》 この映画は、実物の戦車が大量に画面に出てきて迫力はありますが、いろいろ問題の多い作品です。まず時代考証がだめで、「アルデンヌ攻勢」という歴史事実をモチーフにした戦争アドベンチャー映画だと思った方が正解です。ドイツ軍の地下司令部なんて、007のスペクター秘密基地みたいなセットで思わず笑ってしまいます。スペインでロケして撮影されましたが、前半こそちょろちょろ雪が積もっていますが、とてもベルギーの冬には見えないですし、それも後半になるとどんどん雪が少なくなってきます。クライマックスの空撮で撮られた大戦車戦になると雪の全く見えない平原が舞台で、これじゃまるでクルスク大戦車戦じゃないかと突っ込みたくなります。また脚本が子供騙しの出来で、ラストのドラム缶を転がしてドイツ戦車をやっつけるところなど、「インディ・ジョーンズ」シリーズみたいな落ちですね。そもそも史実では、バルジ戦では大規模な戦車戦はありませんでした。名優ヘンリー・フォンダの緊張感のかけらもない演技を観ると悲しくなります。彼は本作以降数々の駄作に出演して晩節を汚してしまいました。なんせあの「テンタクルズ」にまで出ているのですから。 [映画館(字幕)] 4点(2009-09-24 23:01:06) |
2198. 撃滅戦車隊3,000粁
《ネタバレ》 007初期作品を撮ったテレンス・ヤングが監督した戦争映画です。時代は第二次世界大戦で、英国陸軍に入隊し戦車部隊に配属された英国人と米国人のふたりの友情と死がテーマとなっています。1950年製作の映画ですが、この映画には軍隊批判といった視点がなく、まるで戦時中に作られた戦意高揚映画の様な錯覚するほどです。本編がモノクロのうえ記録映像が多用されているのも一因でしょう。前半は訓練シーンが多いのですが、これはなかなか良く撮れています。戦車隊なのにひたすら三週間も行進の練習をさせられるのがおかしいです。見どころは実物のM4シャーマン戦車が走り回るところがふんだんに観られることで、考証も行き届いています。そして1シーンですがドイツのタイガー戦車の実物が登場するのもファンにはうれしいところです。米国人は第二次世界大戦で英国人とともに血を流した、ということがこの作品のテーマなのですが、米国人である主人公のひとりがどうして英国陸軍に入隊できるのかが不思議なところです。 [DVD(字幕)] 4点(2009-09-02 22:45:04) |
2199. 恐竜100万年
《ネタバレ》 「子供たちは恐竜に、お父さんはラクエル・ウェルチに」、これは番組案内文ですが思わず爆笑です。この作品、あのハマープロの製作なのですね。確かにラクエル・ウェルチの肢体にはこの歳でも眼が釘づけでしたが、どうしてどうして、その他大勢のハマー・ガールズもなかなかでしたよ。黒い髪の山の部族が闘争的な気質で、海辺に住む部族は金髪で山の部族より文化が進んでいるという設定は、どこか北欧人種優位の人種感が感じられていやらしいところですが。そうそう恐竜でしたね、これはあまり活躍していませんでした。冒頭いきなり実物トカゲさんが登場でちょっと引きましたが、あいつは大写しで見せられると結構気持ちが悪いものですね。洞窟に住む猿人みたいなのが出てきて仲間を殺して食っちゃたりするところや、翼竜どうしが戦って勝った方が負けた方のヒナを捕食したり、結構ハードな自然の掟の描写もありました。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2009-08-25 19:35:58)(良:1票) |
2200. スフィア
《ネタバレ》 前半、深海で地球外生命体と遭遇かという展開は良く考えられています。だけど後半は「禁断の惑星」を彷彿させるようで、そこらへんからグダグダになってしまいます。球体に入ったか入らなかったのかというやり取りは、緻密に構成した脚本ならばもっと面白くなったでしょうに。しかし、ラストの「超能力を使って忘れよう」は、マジでギャグかと思ってしまいましたよ。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2009-07-22 00:11:30) |