2381. まぼろしの市街戦
昔はTVで吹き替えで見れたのに、「言葉狩り」が厳しくなるにつれて放映されなくなり、すっかり「まぼろしの大傑作」になってしまいました。一部には熱狂的な支持者がいる(かく言う私もそのひとり)カルトムービーの名作です。3年前にDVDが発売されていることを知り狂喜しました。この映画について書きだしたらきりがないのですが、一人でも多くの人に見てもらいたいですね。私のオールタイム・フェバリットワン・ムービーです。 [DVD(字幕)] 10点(2008-12-19 23:45:30) |
2382. イブの三つの顔
《ネタバレ》 この映画は、多重人格を米国で初めて学会で報告した精神科医のノンフィクションが原作です。イブ・ホワイトは小さい娘がいる内気で平凡な主婦でしたが、派手で高価なドレスを買ったり、ひとりでナイトクラブに出かけて男と遊んだりし始めます。夫はそのたびに妻を問い詰めますが、彼女にはその間の記憶が全然ありません。堪りかねた夫は、精神科医の診療を妻に受けさせますが、催眠療法によって彼女とは正反対の享楽的な人格イブ・ブラックが出現します。この映画は、冒頭解説者が登場して「この物語は実話に基づき、劇中の会話も記録どおりです。」と説明する昔よくあった構成で始ります。演出は平板で、サブストーリーもなく、言わばワイドショーの再現ドラマを丁寧に作りこんだような感じです。しかし、イブを演じてアカデミー主演女優賞を獲得したジョアン・ウッドワード(故ポール・ニューマンの奥さん)の演技は鬼気せまるものがあります。特殊メイクもなしにワンカットでイブ・ホワイトからイブ・ブラックに人格が変わりますが、顔つきが変わってとても同一人物が演じているとは思えません。さらにラストでは、ジェーンという第三の人格まで出てくるのですから。女性版ジキルとハイドと言えば解りやすいですね。映画はジェーンが出現してハッピーエンドで終わりますが、「私はイヴ」という自伝を読むと、実際にはこの時点では全然治っておらず、その後20年近く様々な人格が出現したそうです。この本にはこの映画が制作された時の舞台裏も書かれていて興味深かったです。 [DVD(字幕)] 7点(2008-12-19 18:03:08) |
2383. つぐない
《ネタバレ》 脚本が秀逸です。ラストの展開は「やられた!」と唸ってしまいました。セシーリアとロビーの交情をブライオニーの主観で見せ直すなど工夫が感じられます。難点は、ロビーが逮捕される“レイプ(?)”事件の展開です。いくら70年前とはいえ、あんな子供の証言ひとつで有罪になるかよって突っ込みたくなります。連行されるシーンから4年後の戦場シーンへの移り変わりがなんだか唐突感がありました。もともと裁判・有罪というシークエンスがあったが、編集でカットされたのかなと思ったぐらいです。その点が私としては残念です。 [DVD(字幕)] 7点(2008-12-14 12:42:21)(良:1票) |
2384. ビッグ・リボウスキ
登場人物がそろいもそろって奇妙奇天烈!コーエン兄弟はコメディの方が私の好みにあいます。ミュージカル演出“ガーターに落ちて”は最高です。ただ人によっては好き嫌いがはっきり出る作品だと思います。コーエン兄弟のコメディは、B級映画と割り切って何も考えずに彼らのテクニックを楽しむのが正解でしょう。 [DVD(字幕)] 6点(2008-12-14 01:05:27) |
2385. ファニーゲーム
《ネタバレ》 初投稿がまさかミヒャエル・ハネケとは何というめぐりあわせでしょうか。夫役のウルリヒ・ミューエはどこかで観た顔だなと思ったら、「善き人のためのソナタ」のヴィースラー大尉を演じた人なんですね。残念ながら2007年に癌で亡くなっています。ちなみに、妻役のスザンネ・ロタールとは実生活でも夫婦でした。感想は、世間の評判は聞いていましたが、計算された狂気の演出に良い意味で圧倒されました。エロもグロも意図的に抑制されて肩すかしを喰わされるのに、観る者の神経を逆なでさせる様な絶望感を味わせるなんてハネケの才能はすごいですね。観客に語りかける手法は、「アルフィー」のマイケル・ケインを思いだしましたが、この俳優にやらせるところが観る者を不快にさせるのでしょう。例の巻き戻しシーンに至っては、これはハリウッド映画のパロディのつもりかなと感じました。ハネケは舞台を米国に移してこの映画をリメイクしてますが、予告編で観たカット割りがオリジナルとそっくりでびっくりしました。決して人に勧める映画ではありませんが、7点は献上します。ちなみに地元のTUTAYAでは、「人に薦めたくなる名画100」の棚にこの作品がありました(笑)。 [DVD(字幕)] 7点(2008-12-09 01:39:36) |