2661. ハウエルズ家のちょっとおかしなお葬式
冒頭、変な人たちが吸い寄せられるように集まってくるシークエンスでは大いに期待させたのですが、その後の発展がありませんでした。これだけ変な人たちが一所でぶつかり合えば、もっといろんなギャップや摩擦やねじれがあって、それが笑いを生じさせるはずなのですが、初期設定そのままで終わってしまっているのです。 [DVD(字幕)] 4点(2014-02-14 02:29:10) |
2662. まぼろしの邪馬台国
《ネタバレ》 とりあえず吉永小百合と竹中直人を出しておけば文句は出ないだろう、という制作者の1日以上先のことを考えていない安直な姿勢が、すべてを象徴している作品。ステレオタイプな登場人物の造型、ト書きをそのまま台詞にしたような杜撰な脚本、その場に来て初めて決めたような適当なカメラと照明など、こんないい加減な出来のものを見せられてどこを見ろというのだろうか。何よりも腹立たしいのは、この素材を対象としていながら、主人公(これもそもそもどっちなのか分からないが)をここまでのめり込ませた邪馬台国や魏志倭人伝というものについて、それがどういったものであるかを伝えようという気が制作側にまったく感じられないこと。 [CS・衛星(邦画)] 0点(2014-02-12 01:26:48) |
2663. 傷だらけのランナー
《ネタバレ》 基本は定番青春スポーツものなのだが、周りの人が足を引っ張るような人たちばかりで、妙に暗い雰囲気が漂っているのが、いかにも90年という時代を感じさせる(普通なら熱血指導コーチが重要な役回りを演じたりするのだが、この作品では指導者関係はほとんど登場しない)。大体、ラストはあれでいいんだろうか。母親との間には変な誤解が残ってたりはしないんだろうか。弟の私生活に重点を置きすぎて、競技方面での成長の過程が曖昧になっているのもマイナス。 [DVD(字幕)] 5点(2014-02-09 23:14:19) |
2664. 恋する惑星
《ネタバレ》 前半と後半が全然つながっていない時点で、何がしたかったのかが分からない。"California Dreamin'"の使い方がしつこすぎるのもマイナス。フェイ・ウォンが合い鍵で忍び込んであれこれやるといったところは新鮮だったので、その辺の観点をうまく使えばもっと面白くもなったと思うのに、そういう方向には行かなかったね。 [映画館(字幕)] 5点(2014-02-09 20:09:12) |
2665. ヘンリー&ジューン/私が愛した男と女
同じ監督の「存在の耐えられない軽さ」同様、ラブストーリーというにはドロドロしすぎている雰囲気の愛憎劇が、さしたる起伏もなく延々と続く作品。夫婦の両方を愛した上に自分の夫とも関係を保つなんて、一言で要約してしまったら荒唐無稽にも聞こえるのであるが、それを何となく成り立たせてしまっているマリア・デ・メディロスのキャラクター作りは称賛に値する。 [DVD(字幕)] 5点(2014-02-09 01:45:42) |
2666. 月夜の宝石
ほのぼのアイドル映画の雰囲気で進行していながら、登場人物ほぼ全員が、やっていることは滅茶苦茶で、論理的一貫性もなければモラルもない。しかも各登場人物が、自分がやっていることに何の疑いもなく堂々と自信満々であるのが凄い。そのうち、アナーキーでパンキッシュな空気すら感じてしまう。さすがフランス。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2014-02-07 00:18:41) |
2667. 日本沈没(2006)
《ネタバレ》 どの角度からどう切っても論外な点が満載なのだが、問題の根本はやはり、テーマが何も存在しないということ。公共側の人間も民間側の人間も、要するに、最初から最後まで右往左往しているだけであって、意思もなければ行動もない。映像面でも、「各地の災害の模様を撮りました」という表面的な絵面があるだけであって、そこに表現は何もない。●一番目についたのは、とくに柴咲コウのレスキュー隊員と大地真央の防災大臣において、能力というものがまったく感じられないこと。ここで活動能力や計画能力、現場対応能力を出しておいてこそ、それでもかなわない災害の容赦なさ、過酷さが表れるはずなのだが、この2人がただ騒いでいるだけなんだから、別に日本が沈没しなくても十分危機になってるじゃん、と思ってしまう。●あと許し難いのは、いざというときに、国宝の仏像などを海外に移転させていること。こういった仏像を含めた神仏は、災害時やパニック時にこそ民衆の安寧を祈念する存在として必要なのに、民を見捨てて我先に海外に逃避する仏像など、その時点で国宝に値しないし、そもそも寺社がそんなことを許可するはずがない。かりに原作でそういう描写があったとしても、そんなものはカットするのが映画制作者の良心であるし、映画に取り入れた時点で制作者の責任は発生する。 [CS・衛星(邦画)] 0点(2014-02-06 21:19:18) |
2668. 悲しみよさようなら
《ネタバレ》 郷土出身のスターが自分の母親だと思いつくというのはあくまでも出発点であるはずで、そこから誰がどう発展するのかというところが主題になると思っていたのですが・・・そのまま、出発点の周りをぐるぐる回って、最後まで何も変化なしという、逆に潔くてあっけにとられてしまう作品。ウィノナの演技にやる気がないのもよく分かる。メリッサ・エスリッジのテーマ曲の歌唱に3点。 [DVD(字幕)] 3点(2014-02-04 00:42:43) |
2669. サブウェイ・パニック
《ネタバレ》 犯人の作戦全体にも工夫があんまりないし、捜査側もワーワー騒いでいるだけであって、人質を取られながらも知能戦でクリアするという側面もないし、かといってとにかく何とかしようという情熱があるわけでもない。いっそこれだったら、思いっきりコメディチックにした方がよかったのではないかとさえ思います。導入部の犯人組がするする入っていく格好良さ以外には、あまり見るべきところがありませんでした。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2014-02-02 00:31:04) |
2670. 天城越え(1983)
《ネタバレ》 この設定だったら、例えば「伊豆の踊子」程度にはロマンチックな世界と、そしてそれを現代から回想する視点を通じたほろ苦さや虚しさというものを(勝手に)期待するのであるが、全然そうはなっていなかった。何よりも、道中のハナとのやりとりにほとんどウェイトが置かれておらず、ハナは少年をどう感じていたのか、少年はハナのどこにどのように惹かれていったのかが不明確なので、肝心の場面に説得力がない。そもそも、現時点からの主人公の回想で進んでいるはずなのに(そうでなければならないのに)、主人公が見ていない警察の捜査や取調の状況をいくら拡げたところで、視点のブレと混乱を招くだけなんですが。 [DVD(邦画)] 3点(2014-02-01 00:00:20) |
2671. それでもボクはやってない
《ネタバレ》 作品がもたらす問題意識、そのテーマの今日性と普遍性、制作におけるメッセージの強さと揺るぎなさという点においては、間違いなく10点。2時間20分を緩まず見せ切るテクニックも文句なし。しかし、理不尽な評価で本当に申し訳ないのだが、描写があまりにもリアルで生々しくて、この社会に対する絶望がひたひたと押し寄せてきてしまうところから、この点数とさせていただきたい(それでも、最後の主人公の静かな強い意志には、幾分か救われるのだが)。なお、捜査や公判の描写の仕方もいちいち丁寧なのだが、さらに鳥肌が立ったのは、小日向文世演ずる裁判官の、弁護側証人や被告人に対する、口調は丁寧で表情も穏やかながらも、言っていることは物凄い揚げ足取りな尋問の仕方。そして、判決理由においては、「被害者」が若年女性だからというだけでその供述を無条件に全肯定するダブル・スタンダードっぷり。これ、誇張でも何でもなく、「現実に」そうなんです。 [DVD(邦画)] 7点(2014-01-30 01:29:32) |
2672. ダ・ヴィンチ・コード
専門用語の応酬はなかなか心地よいし、別に全部の意味が見ている方に分からなくてもよいと思うのだが、その割に筋立てが単純すぎる。逆に、宗教性をウリにするのであれば、そこをもっと徹底してほしいところでした。その辺が中途半端なので、例えばオドレイ・トトゥの役柄なんてのはまったく生きていません。というか、ハンクスの後をくっついているだけですね。 [DVD(字幕)] 5点(2014-01-26 23:49:36) |
2673. ビフォア・ミッドナイト
《ネタバレ》 前作と前々作を見てきた人ならば、あれから9年後の2人に、しかも実際の9年後に再会できるということだけで、もう感涙してしまうわけです。しかし、これまでの作品の実績によりかかるのではなく、あくまでも過去を崩さずに、しかし着実に過去を発展させた結果を存分に提示してくれます。長回しや延々と続く会話の応酬には「相変わらずだなあ・・・」と嬉しくなりつつも、しかしその中で提示される内容、そしてそこから拡がるジェシーとセリーヌそれぞれの「現在」は、まさに95年とも04年とも違う世界を示しています。クライマックスのホテルの一室での20分間の感情のぶつけ合い、しかしただぶつかり合うだけではなくて、アクセルとブレーキとハンドルを双方が目まぐるしく操作しながら行われるぶつかり合いは、何とスリリングなことか!そして最後には、タイトルの意味も分かり、第1作から通じてのタイトルの意味まで分かってしまうという、何とも味わい深い着地です。お見事。 [映画館(字幕)] 8点(2014-01-26 20:29:10)(良:1票) |
2674. レジェンド・オブ・ゾロ
《ネタバレ》 勧善懲悪ヒーローものとしては無難な出来。コメディチックな夫婦喧嘩の挿入も面白い。だけど、単に善が悪をやっつけるというだけなので、当然のことながら、話の深みは前作より落ちるかな・・・。見ているときは楽しいけど、後にはあまり残らない。 [DVD(字幕)] 5点(2014-01-23 00:15:14) |
2675. バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3
《ネタバレ》 面白いことは面白いんだけど、その面白いところの大半って、1や2からのネタの使い回しなんですよね。もし、1のテンションそのままに作っていたら、例えばマーティの先祖やその妻なんかは、もっと上手く使っていたことでしょう(キャストからしてわざわざ流用しているわけですし)。あと、クララも実はタイムトラベラーだった、とかだったら面白かったのですが。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2014-01-21 02:19:43) |
2676. バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2
《ネタバレ》 1では、いろんなトラブルや危機が発生しつつも、それを手際よくさばいていくテンポが爽快だったわけなのだが(脚本という意味でも、キャラクターという意味でも)、この作品では、何かにつけてマーティとドクがもたもたしていて、自分からピンチを拡げているような気がする。ビフが「悪ガキ」から「モノホンの悪」になってしまったとか、未来の方でせっかく二役を駆使していながら今ひとつ活用されてないとか、細かいところが雑あるいは安直なのも残念でした。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2014-01-21 01:21:15) |
2677. あなたに恋のリフレイン
《ネタバレ》 キム・ベイシンガーのステージアクションは間違いなく頑張っているのに、作品としては何であまり面白くないんだろうなあ。やっぱり、制作側が筋を追うだけで手一杯になっており、それ以上の演出や人格造型に至っていないのが問題なんだろう。主人公の友人なんかはあんなに数はいらなかったし、ギャングのボスとか元の婚約者およびその父とか、もっと使いようのあったキャラもいたと思うんだけど。 [DVD(字幕)] 5点(2014-01-20 01:22:14) |
2678. 落葉樹
《ネタバレ》 母親との想い出はいろいろあるのだろうが、ここでの場面選択根拠は、おそらく「主人公が想い出した順」。したがって、各場面に関して、何があったからこうなったとか、どこを受けてこれがあるとかいう関係が希薄であり、全体がほぼ並列である。なので、映画というよりも、再現フィルムを見ているような感じ。 [DVD(邦画)] 5点(2014-01-19 00:28:39) |
2679. バック・トゥ・ザ・フューチャー
素材自体は極めて古典的で、むしろ一歩誤ったら陳腐にすらなりうるものであるが、ここまで面白い作品になった原因は、脚本の面白さに尽きる。1つ1つの場面設定、台詞に対する気遣いが十分であり、また至るところに小ネタが挿入されていて、観客を飽きさせない。また、速すぎず遅すぎず、ごく自然に盛り上がりながら終幕に至れるテンポも絶妙。エンターテインメント以外には要素のない作品ではあるが、ここまできっちりとやられたら、お見事です。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2014-01-17 02:34:22)(良:1票) |
2680. 太陽の雫
《ネタバレ》 3時間の長編なんだけど、実質は1時間の話×3といった趣なので、そんなにダラダラした印象は受けない。やたらとテンポが早くて突っ込みは浅いんだけど、ほとんど出ずっぱりのレイフ・ファインズのスタミナは見事だし、ハンガリーという国家そのものに向き合った制作者の姿勢も讃えたい。とはいえ、これだけの話だったら、年月の経過とか、そこに絡みつく血の系譜といったものをもっと見たかったのも事実。何となく、どこも同じトーンの同じ時代に描いているように見えてしまう。 [DVD(字幕)] 6点(2014-01-16 00:03:05) |