2741. アリス(1988)
もしルイス・キャロルの不思議の国のアリスを、ディズニーの不思議の国のアリスをただそのまんま映像化してもあんまり面白いものにはならないと思う。この世界観にシュワンクマイエルの独特な残酷さが加味されると、なんとも印象深く、忘りがたい一本になった。アリスとうさぎのすさまじい戦いが、頭の中にこびりついて離れない。シュワンクマイエルにしか出来ない、他の人にはできないこの面白さ。言葉で伝えるのは限界なので、とりあえず観て下さい。 7点(2004-09-04 02:59:11) |
2742. キングコング(1976)
申し訳ありません。僕は33年制作のやつよりこっちの方が好きなんですよ(笑)。霧の中に前人未到の島がある、ていう始まりだけでロマン心をぎゅっと掴まれます。小さい頃に観た記憶では、キングコングが巨大な砦を破壊するシーンにすごくどきどきした覚えがあります。そしてラストはやっぱり切ない。天空の城ラピュタの一場面を思い出しましたね。 7点(2004-09-04 02:39:31) |
2743. エンジェル・スノー
静かで、淡々とした控えめな進行に好感が持てる。ただ、どうも上辺だけというか、雰囲気だけで泣かせようとしている感が否めない。 6点(2004-09-03 00:20:17) |
2744. コレクター(1997)
作りは正統派だけど、このゲイリー・フレダーという監督、どうも独創性がない。これもどこかで観たような話。 4点(2004-09-02 23:58:28) |
2745. ナコイカッツィ
カッツィシリーズ3部作の最後の作品。前2作と大きく違うところは、今作は新しくデジタル・テクノロジーを駆使して作られた能動的映像であるということ。この作品には一貫して「テクノロジー」というテーマがあり、その表現としてこの新しい技術が存分に使われている。イメージのモチーフがあって、そのイメージに沿って様々な映像がエフェクトで一体化されて一貫性を持つ。そのイメージのモチーフが複数つながって、さらに大きなモチーフになる。台詞がない分、その構成は実に音楽的である。フィリップ・グラスの音楽と合致して、このシリーズ独特の世界観を作り出している。ミクロコスモスとマクロコスモスを行き来する、人類の総体的視点。唯一無二の視覚的体験に7点。 7点(2004-08-29 22:59:27) |
2746. RETURNER リターナー
この監督さんの前の作品もそうだけど、とにかく米製SF、アクション映画のいろんなものをよせ集めて作った感があり、オリジナルさが見受けられない。もし今度作る時があれば、もっと独創的なものを期待したい。CGの出来はそれなりにいいとは思うけど。 4点(2004-08-29 03:04:43) |
2747. プロヴァンスの恋
全裸のジュリエットを必死にさすって体を温めるシーンがすごくエロかった。 5点(2004-08-29 02:58:43) |
2748. ピーター・パン(2003)
それがいい映画か悪い映画かを考える時には、まず、それが誰にとっていい映画なのか悪い映画なのかを考える必要がある。このような子供向けの映画は、これが子供にとっていい映画かどうか、を考えなければならない。僕はもう子供ではない。だから子供心を無くしてしまった。そんな自分に子供向けの映画のよさがわかるだろうか。たぶん無理だ。子供の頃の考えに戻って推測するぐらいのことしか出来ないのである。さてどうだろう。たぶん、子供に印象づけさせるだけのツボはしっかりおさえていて、合格点なんだと思う。少なくとも「フック」よりは遥かにいい出来だろう。 CGの進歩のおかげで、ファンタスティックな映像も安々とつくれるようになった。今の子供は幸せである。 6点(2004-08-28 04:16:23) |
2749. バトルフィールド・アース
ラジー賞を総なめにした作品。主役のジョン・トラボルタもラジー賞主演男優賞に選ばれているが、たぶん彼は後悔していないだろう。なんせこのSF映画の裏には深い宗教のつながりが隠されているのだから。原作はSF作家のL・ロン・ハバードで、サイエントロジー教会の創始者である。トム・クルーズ、、そしてジョン・トラボルタが有名人の信者として名を連ねている。そういう事を知りながら観ると、この作品の見方がまた違ってくる。そしてそのサイエントロジーの教義を多少なり知ってこの作品を観ると、また見方が違ってくる。勿論、純粋に映画作品として見た場合、駄作であることに変わりはないのだが。 3点(2004-08-28 04:11:47) |
2750. JFK
今だミステリーな部分の多いケネディ暗殺事件。1963年、11月22日、テキサス州ダラスでそれは起きた。犯人はオズワルドとされたが、彼も殺され事件解明は闇の中に。左翼系映画作家オリバー・ストーンがこんなにもスキャンダラスな事件を取り上げないわけにはいかない。この映画で彼は彼なりの事実を提示する。それはそれでとてもショッキングだ。米国の言論と思想の自由そのものがぐらついてしまうのだから。まあその真相のさだかは脇に置いておくとして、いずれにしろこの事件に関する調査委員会の資料が2029年まで公開されないというのは、やはり異常だ。このような重大な事件の資料は普通、公開するべきものなのに、である。その事実だけを見ても、やはり裏にものすごい権力が働いてると考えて、当然なのである。 7点(2004-08-27 00:09:04) |
2751. ダンス・ウィズ・ウルブズ
まったく知らない民族、人種。相手の事など何もしらないから、そういう時は、「あいつらはいい奴らだ」という風にはならない。何も知らないんだからエイリアンと同じに思える。そして自分たちの方が高等なのだと考えるようになる。もし、違う民族同士、仲良く共存しようと思ったら、ただ一つ「相互理解」なくしてあり得ない。この作品はその「相互理解」の重要性、その表現につきる。少しずつ互いを知って理解していく様子は、見ていてとても心動かされる。 9点(2004-08-26 23:54:29) |
2752. 夏物語(1996)
さすがフランスの若者。とても恋愛に多感ですねぇ。でもちょっと罪ですよ。こんなにフラフラしちゃって。 6点(2004-08-26 03:12:57) |
2753. サンタ・サングレ/聖なる血
そう、彼の作品の中では一番普通のストーリーラインで、みやすいとは思う。だけど、そのせいで彼のそれまでのとにかくわけのわからない凄みみたいなのがなくなっちゃって、こじんまりしちゃってると思う。だからちょっと点数は低めにさせてもらいます。 5点(2004-08-26 02:01:35) |
2754. ホーリー・マウンテン
僕はホドロフスキー作品の中ではこれが一番好きなんです。なんたって見てて面白い!別に無理に裏を読もうとかしなくていいんです、単に何も考えずに見ればそれでいい。ホドロフスキーさんはチリ出身のロシア系ユダヤ人映画監督なんですけど、彼の映画は必ず複数の文化の混合ですよね。それでまったく独特な、リゾームな世界 を作り出してる。その世界がまたとても美しい。 8点(2004-08-26 01:55:27) |
2755. エル・トポ
複数混合のホドロフスキー独特の世界と、究極的なものを描いた精神世界。それはそれは鮮烈です。ラストは、胸が詰まる思いと同時に、何かを考えさせられました。 7点(2004-08-26 01:47:26) |
2756. 氷海の伝説
イヌイットのドラマ映画って初めて観ましたね。一面の氷の世界がとても美しい。すごくシンプルな環境で、その大地の上でごく少数の人間の営みがある。裏切りとか嫉妬とか反感とか恋愛とか笑いとか悲しみとか、ピュアな人間のドラマが繰り広げられる。その人間ドラマを見つめる視点が、都会的な視点とはまた違う、落ち着いた悠久の見方っていう感じがする。 7点(2004-08-25 03:40:37) |
2757. 怪物團
最初に、このような映画は今後作られることはないだろう、みたいな事が文字で出てきたと思うんですけど、まさにその通りですね。70年以上経ってるのに未だにこのような映画は作られていないし、そもそも作れないでしょう。当時は相当物議をかもして、失神者も出たそうですけど、それはもうまさに爆弾みたいな映画だったんですね。時代は変わって社会も変わっても、今でもこの爆弾のコアの部分は新鮮味を保ってるんじゃないかな。ラストの、降りしきる雨の中で馬車が転倒して、女が逃げようとするんだけど、それをじりじりと追いつめていくフリークス達の凄さといったら、あの映像はなんというか万国共通の力強さを持ってますよ。異色の傑作映画の宝。8点を捧げます。 8点(2004-08-25 02:20:16)(良:1票) |
2758. シシリアン(1987)
あー、、、マイケル・チミノさんがどんどん枯れていく様を実感します。原作がマリオ・プーゾですよ、あのゴットファーザーの。そんなわけでまたゴッドファーザーの呪縛ですよ。マフィア映画を全部あれ中心に考えちゃうんです(笑)。この作品もなんだかんだ言って主人公が破滅していっちゃう。マフィア映画ってみんなそういうところがあるけど、その悲愴さが一番出てるのがゴッドファーザーだと思う。だからあれ中心に考えちゃう。そうするとこれは5点くらいがだいたい適当かなと思う。 5点(2004-08-25 02:06:53) |
2759. 華氏911
いやぁ、素晴らしいエンターテイメント型プロパガンダ映画でしたね!ムーアさんは実に洗練されたエンターテナーです。これ観てたら世界一の権力者が本当に悪魔みたいに見えてきますもんね!(笑)。「ボウリング~」同様、皮肉り方がとてもうまい。荒野の七人でしょ、あれ(笑)。ブッシュ再選阻止を目的として作られたから、当然立場は一方的です。だからいろいろと観てるこっちもいいたくなる。例えば、本当にブッシュ一族とラディン一族が仲良しなんだったら、なぜ同時多発テロを計画したのかがわからない。そういう説明まるっきりなしですからね(笑)。それに、映画として客観的に見たら、前半のブッシュ批判もとにかく詰め込み過ぎだし、後半の一連のグロシーンもちっと露骨だと思う。なんでこんなに一方的なのか。その真の意図はやっぱり、ジャーナリズムの公平さを訴えたいからでしょう。アメリカのマスコミは、ずっと政府に都合の悪い映像や写真は極力出さないようにして、政府よりの立場を取ってきた。ムーアさんの真の狙いは、その偏向を正すところにある。国の安定を保つために、右と左のちょうどいいバランスっていうのがあるんですね。それでちょっと右に偏ってたんで、ちょっと左をあげてやった。要するにちょっと手荒な軌道修正みたいなもんですよ。ムーアさんはまるで非愛国的なことをしているように見えるけど、実は彼は誰よりもアメリカを愛してるんですね。だからこの映画でアメリカの懐の深さを表現し、国の安定を図った!いやぁ、アメリカって、ほんっとにいい国ですねぇー、それではまた。 7点(2004-08-25 01:46:18)(良:1票) |
2760. さよならモンペール
いやぁ、あの娘ときたら、いきなり凄い水着になって出てくるんだもんなぁ、びっくりですよ(笑)。彼女の魅力でもってるようなもんですこの作品は。嘘を貫き通そうとする。嘘をつく気持ちもわかりますが、あんな大胆な嘘はいずれバレるもんです。そんな体験を通して彼女は大人になっていく、、、、。ラストのストップモーションが、父親としてのなんともいえない切なさを表しているようでよかったです。 6点(2004-08-25 00:52:46) |