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R&Aさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2162
性別 男性
年齢 57歳
自己紹介 実は自分のPC無いので仕事先でこっそりレビューしてます

評価:8点以上は特別な映画で
全て10点付けてもいいくらい
映画を観て損をしたと思ったことはないので
酷評しているものもそれなりに楽しんで観たものです


  *****

●今週のレビュー
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261.  片腕マシンガール
映画が始まる前にパンツ1丁の監督によるこの作品の正しい鑑賞方法の説明が映されてそのおバカさに和む。映画冒頭いきなりのド派手なスプラッターアクションもこの和みとのギャップに大いに盛り上がり、和みのおかげで大袈裟な血しぶきもある意味ギャグと割り切れたような気がする。お話は単純で小気味良い。子供向けヒーローものにありがちな展開にギャグすれすれの残酷描写を入れただけで、その部分は全然面白くないのだが(天ぷらにされた腕には笑ったが)主演の八代みなせが見事に激写されていて実に興奮、いや感動した。髪の毛の乱れ具合とか顔の汚れ具合とか苦悶の表情のアップとか怒りの表情のかっこよく映る絶妙な角度とか実に監督のフェチ度が活写されている。体操着姿はアップではなく引いた画でとらえられるのはその場所が体育館であったり背景に校舎が映されていることが重要だから。コダワリに妥協が見えない。そして見えそうで見えないチラリズムの極意とちょっとだけ見せちゃうサービス精神がまた嬉しいではないか。何かを撮ることに長けた人ってのはその何かのオタクでなくちゃいけないのだろうと思った。
[映画館(邦画)] 6点(2008-12-11 15:42:08)(良:2票)
262.  ラッキー・ユー
まずポーカーの極意というか面白さというものがよく描けている。手持ちのカードが弱くても勝てるのがポーカー。運よりも観察力。性格の見極め。読み、裏読み。ポーカーフェイスと演技。プレイヤーの表情や仕草、それらを観察する視線でもってポーカーの醍醐味を見せる。金額がとんでもないのでびっくりするんだけど、その金額相当の緊張感は無い。無いけどもそれはたぶんここでポーカーをする連中の金銭感覚が麻痺しているということであり、一番の目的がお金ではないということの表れなのだろう。ドリュー・バリモアはここでもいい演技をしている。脇にまわれば脇に徹する。ラスベガスの派手な町並みに似合わない、いわゆる華の無い役を完璧にこなし、どこにでもいそう、それでいてけしていない素敵な女性をうまく演じている。屋外シーンも意外に多くてラスベガスそのものも堪能できる。「ベネチアンでゴンドラの船頭してた人が今はルクソールで働いてる」とかデカそうで狭い街であることがさりげなく語られ、いっそうラスベガスのラスベガスらしさが出ている。
[DVD(字幕)] 6点(2008-12-03 13:19:09)(良:1票)
263.  ICHI
綾瀬はるかがめちゃくちゃいい。通常ならごまかし以外の何者でもないスローモーションとカット割で仕上げた殺陣がすこぶるカッコイイのは綾瀬はるかの顔のアップがあるからに他ならない。特に目が美しい。真正面の度アップもいける。正直、二度目三度目の殺陣シーンとなるといいかげんちゃんと撮れよとか思ったが。一方綾瀬と同じくらい主役扱いの大沢たかおがかなりうざい。役どころが。なんだけど、正直、顔までもうざく感じる(他の作品では全く思わないのだが)。マンガチックな強面獅童はまずまず良かったと思う。最後はイマイチ盛り上がらず。綾瀬を見くびったシナリオが悪い。でも満足。スクリーンに映える顔の日本女優を久方ぶりに見ることができたから。
[映画館(字幕)] 6点(2008-11-26 13:05:45)
264.  ブラインドネス 《ネタバレ》 
この映画はただ単純に「まわりにいる全ての人間から視力を奪ったらどうなるか」だけを見せる。その原因を追究もしないしそこに至る恐怖も描かない。あまりに非人道的な収容所(病気の研究も何もなされないし、防護服の介護者もいない)が現実離れしていてついていけない所もあるんだけど、これも「人間から視力を奪ったらどうなるか」を分りやすく見せるための道具立てにすぎない。この徹底振りがいい。「見えない」というより「見られない」世界の凄まじきこと。そんな中でメッセージめいたものが散見される。収容所内のキングを名乗る男の食糧配給のルールはまさしく資本主義を劣悪にしたものだ。奪取する者とされる者という構図をもって資本主義批判をしている。またこの男をイメージだけで黒人呼ばわりしながら黒人を白人と勘違いしている男の描写は、目で見て判断することがいかにいいかげんなものかを語っているようでもある。たまたま聴いたラジオでのこの映画の案内で「登場人物に名前が無い」とあったが(たしかに無かった)、名前には人種やら出生のなんやかやが込められている場合があるので、「見えない」=「本質を見る」という構図を作り上げるには名前は邪魔だったのだろう。まあ、このメッセージのためのドラマを限られた尺の中で見せるには強引に感じるところもあるんだけど。一人を除いて皆聴力を頼りにしているせいかやたら音がガチャガチャと目立っていた。ついつい私も劇中、目を閉じてみようとしてしまったが、映画で目をつぶるのはおかしいということに辛うじて気付いてやめた。それほど音が印象付けられていた。
[映画館(字幕)] 6点(2008-11-25 12:12:27)(良:3票)
265.  子猫をお願い 《ネタバレ》 
今どきの若者たちのコミュニケーションの手段として必須アイテムである携帯電話が映画でも重要な役回りを持っている。ケイタイは5人の女の子それぞれがそれぞれに連絡を取る手段として頻繁に登場するが、5人の繋がりを強固にするものではなく、むしろ繋がりを希薄にするものとして登場している。いつでも連絡が取れるという便利さに甘える一方で、無いと繋がりを持続できないという不安を生むケイタイ。かかってきた相手によって電話に出る出ないを決めることができ、コミュニケーションというにはほど遠い独りよがりなものとなる。目の前に友人がいても誰かからの電話に邪魔される。そこに実際に会わなければ渡せない「子猫」を介すことで正常なコミュニケーションを模索しているのかもしれないと思った。5人組の中の3人の物語なんだけど残りの二人、つまり双子が異質な存在感を噴出しているのだが、この双子がいなければ作品の仕上がりが暗くて重いものになっていたと思う。そのうえ双子は単なる「お笑い」担当ではなく、実は深いところで重要な役回りを演じていたのかもしれない。中国系であるとか、家庭の事情の複雑さとか、そのせいで5人の中でこの双子だけが家庭から独立した存在でいることとか、最後に猫を回収し解き放ってやる役回りであることとか、なんか意味があるんだろうな。
[DVD(字幕)] 6点(2008-10-30 13:18:49)
266.  こま撮りえいが こまねこ 《ネタバレ》 
こま撮りとは思えないスムースな動きに驚いた。映画内映画がはっきりとこま撮りなので余計にそう感じたのかもしれない。光も室内と屋外の差はもちろんのこと、朝と昼にも差がちゃんとあるし、光の当て方でこまちゃんをより立体的にも見せている。こまちゃんのおじいさんはどうやら映画監督だったらしくおうちには猫型オスカー像がありました。映画ポスターも貼ってあったんだけど、じっくり見たいなあ。物足りない点はマジメに子供向けなのはいいんですが、ちょっと毒がなさすぎってところ。こまちゃん、純粋すぎ。その中でラジ坊とカラスの対決に見るラジ坊の良い子を装った策略の毒気がなかなか良い。子供はこうじゃなくっちゃ。
[映画館(邦画)] 6点(2008-10-28 13:12:27)(良:1票)
267.  ダークナイト(2008) 《ネタバレ》 
冒頭の銀行強盗シーンで一気に引きつけられた。まるで『ヒート』の冒頭部のようにこれ以上ない「つかみ」にやられた。前作はバットマンに現実味を帯びさせたゆえのつまらなさがあったのに、この作品はなぜかかっこいい。前作のレビューにバットマンのプロットを借りた別の物語だと思えばそれなりに云々と書いたが、今作はまぎれもなくバットマンのプロットを借りた犯罪映画だ。だから面白いのだ。アクションシーンは前作同様に何がなんだかなのだが、アクションシーン自体が少ないのでそれほど気にならない。それでも前作が最初から最後まで「正義とは」を語るだけだったように、今作もまた「正義とは」が語られ、バットマンの対称としてジョーカーを位置づけることでそもそも「正義」の必要性への疑問まで持ち出してくる。犯罪が蔓延った世界に均衡をもたらすために犯罪者に恐怖をもたらすバットマンがいる。バットマンがいる世界に均衡をもたらすためにジョーカーがいる。そして均衡を得るために少しずつ歪んでいった世界に真の均衡をもたらすのがカタチとして存在しない希望の光。という話。結局、終始説明の映画であることに段々と苛立ってはくる。ここにこの映画に対するイヤな、それでいて大きなしこりのようなものを感じる。あーだこーだ言ってないで犯罪映画を楽しませろよと思うのだ。このあーだこーだはおそらく次回作に引き継がれるのだろう。
[映画館(字幕)] 6点(2008-10-15 14:51:57)(良:2票)
268.  ブラディ・サンデー
テレビの世界で社会派ドキュメンタリーでならしたポール・グリーングラスの集大成でありハリウッドへの布石となる渾身の作。この作品の手ブレは臨場感を出すための手段として意識的に使われている。それは単に事件をそのまま再現したいというだけで使われた手段なのかもしれないが、もしこの作品が事件をそのまま再現したものに過ぎないのならば映画としての価値を見出すことはなかっただろう。でもこの作品は単なる「再現」を超えていると思う。それはブレどころを押さえているからだと思う。ブレないカメラが行進する市民、敵対心を露にする若者、英軍のそれぞれの立場のそれぞれの行為をわかりやすく映し出す。冷静で冷酷で、なおかつ結束力のあるところを一瞬で解からせるIRAメンバーの描写もいい。そこに暴動の激しさを表すブレる映像がここぞとばかりに挿入されるから効果も絶大である。主人公とまではいかないがそれに近い存在の青年がいるのだが、この青年の行動にもっと添ったかたちの作品にしてくれれば、個人的にはより良かったように思う。エンディングテーマでさらにそう思った。U2の「ブラディ・サンデー」はかっこよくて好きなのだが、この作品とは合わない。映画よりも存在感がある。おそらく音楽がかもす虚構性が映画よりも強いのだ。真実っぽく語るよりも虚構に富んだほうが胸に染み本質に迫れるといういい例だと思った。だからこそ一人の虚構の主人公を物語の軸にしてほしかった。
[DVD(字幕)] 6点(2008-10-01 14:14:47)(良:1票)
269.  キャビン・フィーバー(2002) 《ネタバレ》 
あらすじだけ見るとよくあるB級学園ホラーなんだけど、で、実際そんなアホっぽいノリで始まるんだけど、謎の伝染病が発生してからのノリが凄くいい。仲間内の騙し合いとかありふれた展開が繰り広げられるのかと思ったら、あるにはあるんだけど意外とそこには力が入ってない。変な心情描写とか無くって、かといって今どきのホラーにありがちなむやみに観客を驚かせたり予想できない急転直下な展開にしてみせたりといったこともしない。古風なまでに王道。なんだけど全然飽きさせないのは、往年のホラー映画のいろんなところを頂戴しまくっているというのもそうなんだろうけど、それ以上に細やかな点でのヘンテコリンな配慮が抜群に面白い味付けになっているところにあると思う。最初の感染者のもういやがらせとしか思えないように血を吐きまくるとか、汚された車の掃除とか、セックスの後に男の大事なところに殺菌クリームかなんかを塗ってたりとか、みなさんのおっしゃるパンケーキ少年もそう。これで怖かったら言うことないんですけど・・。あと、エンディングが凄かった。ゾーッとするようなことが展開されてるんだけど、めちゃくちゃのどかに見せちゃってる。ハッピーエンドのノリで。ということで限りなく7点に近い6点。 
[DVD(字幕)] 6点(2008-09-12 14:16:26)(良:1票)
270.  エリ・エリ・レマ・サバクタニ
冒頭の無造作に死体が転がるどこだかわからない異国感溢れる風景にとんでもなく引きつけられるのだが、そんな終末ワールドとは不似合いなペンションに場を移すと岡田茉莉子が岡田茉莉子としてそこにいるとしか思えないぐらい、ペンション同様にこの映画の世界に溶け込まない存在感を発揮しながらしゃべりかけてくる。コメディか?と思う間もなくコメディでしかあり得ないようなキザな格好をした探偵が現れ、とあるバーにて『ガルシアの首』だったか、聞き込みをしていると女が色仕掛けで寄ってきたかと思うといきなり殴り倒すというシーンをそのまま真似して見せ、やっぱりコメディなのか?と思ってると筒井康隆がなんだか腰を低くしてしゃべり続ける様がどう見てもコメディでしかないと確信を持たせてくれるのだが、こちらがやっとコメディの心構えができ、黒沢清とは全く違う終末ワールドのそのゆるーい感じに浸っているとフラッシュバックで浅野の元カノのビデオ撮影とか自殺とかが映され、せっかくのゆるーい感じを遮断してしまう。いったいなんなんだ。正直、面白くない。のだが、ついていけないから面白くないのだろうから、それじゃ悔しいので、その後、日を置いて2回、つごう3回鑑賞してみたのだがやっぱりよくわからん。ただ、初見時の不快感にも似たイライラはなくなって、むしろこの映画、べつにイヤじゃないって思うようになった。またいずれ見る機会がくるような気がする。というか、見たいかもしれん。
[DVD(字幕)] 6点(2008-09-11 12:26:30)
271.  スイミング・プール 《ネタバレ》 
ラストカットで答えだしてるようなもんだから、解釈であれこれ語り合うほど自由度は無いように思ってたんですが・・。愛人に邪険にされた中年女の妄想の中での復讐といったところでしょ(?)。で、もちろんシャーロット・ランプリング=リュディヴィーヌ・サニエ。主人公が別荘に着くまで、そして着いてから部屋に落ち着くまでの異様な長さと特別必要とも思えないシーンの数々が伏線めいていて、序盤から映画への好奇心を煽りまくる。それら伏線めいたシーンの数々の中にはたしかに伏線だったものもあれば、伏線なのかもしれないけど私には解からなかったものも多々あって、でもたぶん全ての意味無さそうなシーンが全てなんらかの意味を持ってそうな雰囲気だけは充満していて、その雰囲気だけでこの映画はじゅうぶん見応えのあるものになっている。それでも意味ありげなシーンの放置状態が長引きながらも新たな意味ありげなシーンが次から次へと投げ込まれてゆくことで徐々に観続けることが面倒くさくなってくるというデメリットも。それでもサニエの若々しく眩しい裸体が画面から目をそらすことを許さない。
[DVD(字幕)] 6点(2008-08-07 12:16:50)
272.  ボーン・アルティメイタム 《ネタバレ》 
「1」も面白かったし「2」はさらに楽しめたので「3」への期待はそこそこに膨らんでいたのですが、大枠では期待は裏切られませんでした。とくにボーンは常に姿を現さず(見せず)に、しかし全てを見ているという、世界各国の背景を活かしながらのロングショットがこの「3」でも健在で(駅のシーン)見ている間にも期待値はどんどん上がってゆく。シリーズ通して多用される「何かを見る目を一瞬映しすぐあとに見られるターゲットなり次の行動なりを映すという短いカットの応酬もキマリまくり。ただ、カーアクションや格闘シーンの短いカットの応酬と揺れる画像もまた「2」よりも数段パワーアップしており、これはちょっとやり過ぎに感じた。ぶっちゃけ怒涛のアクションシーンなのに見てる途中から飽きてきた始末。それでもそんなマイナスを吹っ飛ばしてくれたのがエンディングのかっこよさ。海に浮かぶ体の影。テレビで伝えられる行方不明。それを聞いて笑顔になる女の顔。そして浮かぶ影が・・。もうわかってるんです。どうなるかは。わかりきったシーンをじっと待ってるこちらをじゅうぶんにじらせてそのシーンに持っていくその長すぎず短すぎない完璧な間の使い方が最高。拍手しそうになりました。
[映画館(字幕)] 6点(2008-07-03 13:04:34)
273.  ブラック・スネーク・モーン
筋骨隆々の黒人に鎖で繋がれる白人女。しかもアメリカ南部で。なんともエロくもあり意味深でもある。みなさんがおっしゃるようにけしてエッチな方向へは行かないのだが、画づらがインパクトあり。白人女の鎖が取り払われても彼女には簡単には払えぬ過去の呪縛がある。その目に見えぬ鎖は彼女を救おうとする黒人男にも彼女と共に生きようとする白人男にも存在する。奴隷としてアメリカにやってきたアフリカ系黒人たちが生み出したブルースがその見えない鎖を断ち切るのではなく、見えない鎖への怒りを表明する。なにも問題は解決しない。でも怒りを表明することで鎖の存在(現実)を認め、前を見る自分たち、立ち向かう自分たち、人生を捨てない自分たちを鼓舞するのだ。さまざまな問題が多岐にわたってありすぎる気もするし、黒人男の抱える問題のぼかしかたも消化不良感が残るけど、クリスティーナ・リッチの下品でナイスなボディが拝めるのでまあ良し。それにしてもリッチ嬢、ポチャポチャだったのに、いつのまにあんな体に!ダイエットとか鍛えたとかとはレベルが違うというか、別人の体になってる。
[DVD(字幕)] 6点(2008-06-13 10:55:48)
274.  ブレイブ ワン 《ネタバレ》 
どう撮っても絵になるニューヨークだが、ここで描かれるニューヨークは他では滅多に見ることのできない独特の美しさを持っている。ニューヨークじゃないようなニューヨーク。ヨーロッパの風が吹くニューヨーク。そこにハリウッドを代表するジョディ・フォスターの顔が映える。なぜか映える。ニール・ジョーダンの力なのか、ジョディの力なのか。お話は『狼よさらば』である。法が裁かないなら俺(私)がやる!『狼よさらば』は主人公をヒーローとして描くことが許された。荒唐無稽とは言い切れないまでもハードボイルドな世界観が虚構性を強調していたから。しかし『ブレイブ ワン』は主人公が恐怖から銃を持ち、自らを守るために人を殺し、徐々に殺人に慣れてゆくという段階を丁寧に描くことで「復讐」を生々しく描いてゆくから、『狼よさらば』と同じようなエンディングは不可能のはずなのだ。なのにやってしまった。主人公は罰を受けるだろうと思って観るから「復讐」をも肯定して観続けることができたのにだ。こんな終わり方ってどうよ。でも、そう思わせたかったのかも。こんな終わり方ってどうなのよって。なぜなら主人公の去ってゆく姿はかっこよくなかった。むしろ悲しそうだったから。9.11後の報復としかとらえようのないイラク戦争を実行するアメリカ。復讐を許容する国の「正義」を「正義」として描く。それが本当の正義かどうかは我々が判断するのだ。映画はけして「復讐」を肯定していないと思う。
[映画館(字幕)] 6点(2008-05-26 19:12:59)
275.  17歳の風景 少年は何を見たのか
少年はなぜ母親を殺したのか。延々と自転車を走らせる少年。どこまでも続く道。時折道から逸れてみる。波打ち際の砂浜はかなり走りにくそうだ。しかし道の無い場所はすぐなくなる。海岸沿いの自然の岩々の間を抜けるための人工の道の強烈な違和感。だだっ広い草原の山を見渡す人工の道の気持ち悪さ。どんな過酷な場所も風景として見渡せるように先に誰かが作った道があり、少年はその道を歩いてゆく。歩かざるを得ない。少年は何を見たのか。それはこの便利で窮屈な世の中だ。旅すがらに出会う人たちの言葉(戦争の傷や漁業の衰退といった時代やお国の政策に翻弄される、あるいはされた人たちの話)は常に反体制派にいる若松監督の声だろうか。この部分はちょっとくどさを感じた。最後のどこか悲しげで痛々しい叫びは心に響く。
[DVD(邦画)] 6点(2008-05-20 16:19:25)
276.  ブロウ
どこまでが事実でどこまでが脚色されたものなのか知らないけど、うまくまとまってるというか、全てに意味がありすぎるというか。例えば、ギャングでもなんでもない男が麻薬王へとのし上がってゆき、落ちてゆくお話なのに、少年時代から入ってゆくあたりは正直勘弁してくれよと、前フリはいいよと、思ってたんだけどそこで映された貧乏な家庭環境が麻薬王への足がかりになっているというシーンにもなり、「幸せ=金」という概念を持つ母という図式が将来の自分の家庭に繋がったり、あるいは自分に対する父の想いが将来の娘を想う気持ちに繋がってたり、麻薬王になっても人を裏切らない真っ直ぐな性格が父譲りであり、それでも派手な生活へと突き進んでしまう様が母譲りであることの説明にもなっているという恐ろしく効率的な描写になっている。全編でそんな感じ。ただ「麻薬王の波乱万丈伝」では終わらずに「父と息子の物語」にしてみせたいかにもニック・カサヴェテスな脚本は物語としてはうまいと思うものの、映画としてはもっと削いでやったほうが面白かったと思う。無駄なものは無いが、何もかもが詰め込まれすぎている。
[DVD(字幕)] 6点(2008-05-15 15:10:41)
277.  ヴァンダの部屋
ペドロ・コスタ初体験。のせいもあるかもしれないけど、こんな映画観たことない。根底の部分において今まで観た映画とは別次元にある。作品の舞台となるスラム街が何故取り壊されるのかはどうでもいいとして(開発の過程で壊されてるんだろうけど)、ギリギリまで立ち退かず、また立ち退いても行く当てのない人たちの日常を切り取っている作品の中で、「何を言いたい」ではなく、ただひたすら切り取ったものを見せているという感じ。こんなにも何も語らないドキュメンタリーを観たことがない。多くは家々が壊される映像と音、ヴァンダという名の女性をメインにとらえた会話、そしてヴァンダも含めた住民のドラッグまみれの日常の描写が占める。朝、昼、晩と順繰りに映される日常に家々が徐々に壊されるという変化以外何も起こらない。たしかに美しい画が時折飛び込んでくる。部屋の光の当たらない片隅は「影」というより「闇」と言ったほうが正しく、そのうち全てのものを被ってしまうのではないかと錯覚するくらいに「闇」自身が自己主張しているかのようだ。その恐るべき「闇」があるから明るい場所がなんとも言えない美しさを勝ち得ている。でも、観ているうちに不安になる。この映画、いつ終わるの?と。なぜならいっこうに終わる気配が無いから。結局のところ、唐突に(映画の)終わりは来て安堵したのだが、いったいなんだったんだろう、、、と。何かを「観た」という手応えだけがあって、何を見たのかさっぱり解からない。私はいったい何を観て、何故手応えを感じたのか、、それを理解するにはもっと映画を観なければならないのだろう。
[映画館(字幕)] 6点(2008-05-12 15:48:40)
278.  マリッジリング
物語に必要のない描写を電車の画を有効に使いどんどん省略してゆく。原作未読なのだが、一昨日レビューした不倫映画の代表『恋におちて』と、郊外と都会を行き来しながら不倫を描いてゆくという点で一致しているのは偶然なのだろうか。ただしこちらはいかにも渡辺淳一らしい(?)エロチックな作品となっている。エロチックといっても、主演の小橋めぐみが醸す、どちらかというと清純なイメージの女のごく普通の性欲の見せ方だとか、服を脱ぐことの恥じらいと大胆さが生々しく表現されているといった心理的というか、より内面的なエロチック。もちろん「ヌード」という外観上のエロもある。ベッドシーンは日常をことごとく省略したのとは打って変わってじっくりねっとりと服を脱がせるところから映し続ける。セックスシーンよりもこの服を脱ぎ脱がされる描写を重要視する。それはその行為(セックス)よりもその関係こそが物語を語るうえで重要だからであると同時にそのほうがエロいから。なぜエロいかは、その脱ぎ脱がされる瞬間にこそ女優・小橋めぐみの恥じらいと大胆さが表出されるからである。そしてカメラはその生々しい女の性をしっかりと捉えている。
[映画館(邦画)] 6点(2008-04-09 12:57:18)
279.  花様年華
映像がいちいちキザ。バラード調のジャズなんかのミュージッククリップにちょうどいい感じ。アクションでも決定的シーンでもないのにスローモーションがきまるきまる。過剰に感じるところもままあるんですが、室内シーンの雰囲気ある光の使い方とか色彩が意外とイヤミがない。構図のせいだろうか。監督ウォン・カーウァイと撮影クリストファー・ドイルと美術ウィリアム・チャンの三者のコラボレートが独特の虚構の世界を作り出している。そのなかでトニー・レオンとマギー・チャンの歩く姿がひたすらセクシー。
[ビデオ(字幕)] 6点(2008-04-03 16:14:47)
280.  マイ・ブルーベリー・ナイツ
夜の街を電車が駆け抜けてゆく。ウォン・カーウァイの作品によくあるこの風景がものすごく好きなんだけど、やっぱりありました、この作品にも。これでもかってくらいに(笑)。出ている人間がアジアンから欧米人になっても、お洒落に装飾された映像と恋に敗れた女が涙してといういつものカーウァイ作品で、ローレンス・ブロックが脚本に加わったところでアルコール依存を克服するための禁酒の会のくだりがそれっぽいくらいで、やっぱり相変わらずのカーウァイ作品であった。でもナタリー・ポートマンとジャガーに乗ってラスベガスに行くあたりからこれまでのカーウァイ作品にはなかったアメリカ的なカラッとした陽気さが漂いはじめ、『ブエノスアイレス』とは全然違う「旅」の映画、つまりロードムービーをほんの少し見せてくれる。出発点でもあり帰る場所でもあるニューヨークのシーンのいじりまくった映像が鼻につくっちゃあつくんだが、キスをしたくなる唇の描写はさすがである。
[映画館(字幕)] 6点(2008-03-31 16:38:04)
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