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K&Kさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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261.  キャスト・アウェイ 《ネタバレ》 
“Cast Away”『(岸に打ち上げられた)漂流者』であり『投げ捨てる・見捨てる』って意味もあります。 それこそ命が掛かっている場面で、チャックは数々の選択を迫られます。飛行機が墜落する間際、救命胴衣とケリーの懐中時計のどちらを取るか?懐中時計を取ったチャックは運良く墜落から生き延びる。救命胴衣を取っていた場合、どうなっていたかは解らないけど、孤独な無人島生活で、ケリーの写真がどれだけチャックの精神を支えた事か。 島から脱出する際、大切な相棒ウィルソンが流されます。ロープを限界まで伸ばし、イカダを取るかウィルソンを助けるか?「すまないウィルソン」とずっと泣き叫ぶチャック。  今後の人生が掛かっている場面でも、チャックの選択は続きます。4年間夢見たケリーとの人生。その4年間にケリーが歩んでいた人生。直進して果てしない道を2人で進んでいくか、右折して10m先のケリーの家に向かうか。 チャックが開けなかった羽の描かれた荷物って、OPから出ていたんだね。ただOPの羽はピンク。妻からの贈り物を受け取った夫のディックはモスクワで浮気してる。チャックが最後まで開けなかった箱の羽は黄色。こちらもきっとモスクワのディック宛の荷物だったんだろう。チャックとともに4年間掛けて戻ってきたんだけど、どうしてチャックはベティーナに届けた(送り返した)のか?ディックが4年後もモスクワに居るとは思えないけど、もしチャックがディックに届ける方を選んでいたら?ここにももしかしたら、どちらかを選ぶ選択があったのかもしれませんね。 もしかしたら、4年前の別れ際にケリーに渡したプレゼント(婚約指輪?)、本来の役目を果たせなかったプレゼントと、届かなかった黄色い羽の荷物が、どこか同じ境遇に思えたのかもしれません。だから、届け先のディックでなく、送り主のベティーナに届けたのかも? 4年前に異国の地で夫を失っていたベティーナとの出会い。これから進む道は4つ。  救命胴衣と懐中時計。イカダとウィルソン。自分が夢見た人生とケリーの人生。ベティーナの家への道とそれ以外の道。どちらかを選ぶということは、どちらかを『捨てる』という事で、人が生きているという事は、それぞれの岐路で別な人生の可能性を捨ててきた結果なのかもしれません。  余談になるけど主人公の名前がチャック・ノーランド(No Land=陸地がない)って遊び心かな。
[ビデオ(字幕)] 7点(2023-05-17 23:22:12)
262.  ボーダーライン: ソルジャーズ・デイ 《ネタバレ》 
“Sicario: Day of the Soldado”『暗殺者:兵士の夜明け』。デイ・オブ・ザ~で“初日”みたいな意味があるので、ミゲル視点のタイトルかなぁ?と想像しました。前作同様、終始緊張感があってピリピリする映画です。スーパーで突然起きる自爆テロの怖さ、日常がひっくり返る怖さ。前作でそういう映画だって解っていても、怖い。 Wiki見たら“スピンオフ”なんですね。たしかに前作の主人公ケイトが出てこない。だけど、いわゆる“常識人の目”はイザベルがやってくれます。  アメリカ市民のミゲル少年と、カルテルのボスの娘イザベル。この2人が出会って助け合って…なんて、そんな甘っちょろいシナリオじゃないことは想像できます。とはいえ物語上、死の危険にさらされるキャラクターが少女となると、『最後助かるんじゃないかな?』という安心感も抱いてしまいました。ミゲルとイザベルの役どころの性別が逆だったら、もっと怖かったかも? もちろんアレハンドロ(そういう名前だったか)が処刑されたところは驚きましたよ。あ~やっぱりシカリオだ。あの映画の続編だ。って。イザベルは最後助かるだろうって、ハリウッド娯楽映画の安心感の糸。アレハンドロが撃たれ、糸が切れた凧状態のイザベルからの、最後そうなるんだ。って流れは、映画としては上手いと思います。アレハンドロのその後は、えぇ~??とは思いましたが…。まぁいくらリアリティに拘るにしても、わざわざお金を払って、後味悪く劇場をあとにはしたくないでしょうからね。2人が再会しないのも良いさじ加減だと思います。  前作も本作も、劇場で公開されてたことさえ知らなかったけど、こういう泥臭い血なまぐさい映画って、あまり宣伝されないですよね。お客さん入んないからでしょうか?少なくとも女性ウケはしない内容だから、デートムービーにはならないし。 でもこういうハードな映画も、一部の映画好き以外にも観てほしいって思ったりします。
[インターネット(字幕)] 7点(2023-05-14 12:50:27)
263.  ビューティフル・マインド 《ネタバレ》 
“A Beautiful Mind”『非の打ち所のない偉人』でしょうか。ナッシュの病状を考えると、何とも皮肉なタイトルです。 劇場で観た時、ハーマンやパーチャーの正体を知った時はそりゃ驚きました。この映画のキモが彼らの正体ではなく、その後のナッシュの葛藤にあるため『そこからが長いな』って感じてしまったのも事実です。  さて今回2回目の鑑賞、オチ(という言い方は相応しく無いと思うけど)を知っているので楽しめるか疑問だったけど、初見で観えてなかったところに目が行きます。ハーマンとのビリヤードで友人が「誰とゲームしてるんだ?」って会話も、初見時は『見たことない奴だけど』って脳内で補完して観てたんでしょう。 可愛いマーシー。公園で鳩の周りを走り回るけど、一羽も飛び立たない画の不気味さ。あんな不自然な画なのに、初見時何とも思わなかったんだな。これって、ナッシュの病状=統合失調症を擬似体感してたんだ。って、2回目の鑑賞でわかりました。 ナッシュはマーシーが「小さいままだ」って気がつく事から治療が始まります。実際どうなんでしょうね?そんなヒントに気が付けるのか、それとも脳内で勝手に補完してズブズブとハマっていってしまうのか?  幻覚だと解ってからの彼らとの付き合い方。病気の最中は3人ともそれぞれ魅力的に、ナッシュに刺激を与えてきたのに、治療が進むごとに徐々に話し掛けなくなっていく3人。彼らのしょんぼりしてるような姿がとても印象深い。アリシアの献身的な愛情、ライバルだったハンセンの利害のない友情がナッシュを支えてきた事も清々しい。そして“尊敬の証のペン”。あれだけ日常生活に浸透していた幻覚と闘い、研究を続けたナッシュ。タイトルの通り偉人と言えるでしょう。
[映画館(字幕)] 7点(2023-04-28 20:28:22)
264.  花嫁のパパ(1991) 《ネタバレ》 
“Father of the Bride”邦題まま。 OPで流れるシャンパングラスの泡が観ていて飽きない。'90年代の映画にしてもシンプルな内容で、どこか古典映画っぽい心地良さがあると思ったら、エリザベス・テイラーの『花嫁の父('50)』って映画があったのね。うん、これは是非観てみたい。  結婚の報告をするアニーを見る両親二人の対比が面白い。表情豊かに発せられる言葉に反応するママと、ハナから結論を出して固まっているパパ。パパが「ごめん、なんて言った?」のあと「結婚するの」って言うアニーが子供になってるのが、あぁ、パパには自分の娘が幾つになってもこう見えてるんだな。って納得してしまった。 本気の1on1の本気具合が父娘の仲の良さをヒシヒシ感じさせる。 サボテン・ブラザーズ以来の共演、マーティン・ショートが出てきてからの、濃ゆい笑いも結構好き。  “50年ぶりの寒波襲来”のナレーションに、どれだけハチャメチャな結婚式になるのかと思いきや、結構まとまった綺麗な式に仕上がっていた。パパはてんてこ舞いだったけど。 入場曲のカノンを聞いて、新郎新婦のキスを観て、ライスシャワーを観て、披露宴を観て、ブーケ・トスを観て…結婚式って、良いなぁ…って思った。自分たちの晴れの舞台をみんなに見せる。家族が主演となって新郎新婦を盛り上げる。娘を手放す父親の悲しみを披露宴の盛り上がりで打ち消す。結婚式って、世界共通の大事な家族儀式なんだなぁ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-04-18 21:54:41)
265.  ブルース・ブラザース 《ネタバレ》 
“The Blues Brothers”『ザ』を抜いてます。邦題ではジェイクとエルウッド兄弟を。原題では架空のバンド名を表しているんでしょう。 テレビ番組のバンドが人気になって映画になって…って、ポケビやピコ太郎が映画になったようなイメージだったのかなぁ?この映画以外でザ・ブルース・ブラザーズ・バンドを観る機会って無かったから。でもUSAフォーアフリカでダン・エイクロイドが参加してるのが不思議だったけど、このバンドがあったから。なんだろうなぁ。でもエルウッドでなくダン・エイクロイドだし、格好も黒ずくめでなく普通なのは、飢餓救済の真面目な取り組みだったからかな。  私が映画に興味を持った頃、E.T.なんかと並んでビデオ化されていない人気作品の一つとして知名度が高く、そんな本作がいよいよビデオ化、レンタル化しますよって時は、すごくワクワクしたのを思い出します。 ただテレビで放送していたのを先に観た記憶も有って、確かネオナチのエピソードがばっさりカットされていて、最後の大ジャンプのシーンだけ急にナチが出てきて、???この人達だれ?ってなった思い出もあるから…初見の記憶はちょっと曖昧です。  期待したほど盛り上がれなかった。というのが当時の感想です。ロック、アクションの合間にストーリーって感じの構成。洋楽は好きだったけど、出てくるミュージシャンが私が聞く洋楽より一つふたつ前の世代の大物なので馴染みが薄く、1曲しっかり歌い切る間に飽きてしまったのかも?う~ん。カーアクションは目を見張る物があったし、2人のキャラも面白い。けどお子ちゃまにはウケないのかも?  今回結構久しぶりに観たんだけど、展開知っていると面白かったわ。そしてJベルーシはもちろん、レイ、J・ブラウン、アレサら既に亡くなった方々が、コメディ映画で楽しそうに演じているのを観るのもほっこりする。あぁキャリーもJ・キャンディも出ている。 こんな書き方すると私(よりちょい上)世代にとっては懐古映画としての価値が高いのかもしれないけど、パトカーがガッチャンガッチャン壊れるのも大掛かりだし、エルウッド本人がシートベルト無しで(たぶん)ガチ運転してるところなんか、当時のアクション映画すげーって思えました。
[地上波(吹替)] 7点(2023-04-16 15:41:52)
266.  グリーン・デスティニー 《ネタバレ》 
“臥虎藏龍”『伏せる虎・隠れる龍』=まだ世に出ていない才能の持ち主。みたいな意味のようです。邦題はムーパイの碧名剣を表したんでしょう。まぁ、竹林や野山の緑が目に鮮やかなので、本作の映像を脳内で蘇らせる邦題になっていますね。 私の中では中国の歴史ファンタジー物の先駆けの印象が強いけど、『武俠映画』というカテゴリ分けがあったのは今回初めて知りました。 ジャッキー・チェンがカンフー+スタント映画に傾倒していった一方で、ワイヤーアクションとCGをミックスして、こんな美しい映像を創るなんて!と、当時驚いたものでした。  アクションは見応え充分。もちろん本格カンフー映画じゃないから、役者さんの演武と言うより演舞かな。最後のイェンが空を飛ぶCGを観ての通り、まだあのレベルのCGの時代に、ワイヤーを駆使するなどして、とても綺麗な舞に仕上がっていたと思います。武術家とイェンの食堂の乱戦はテンポも良くてカメラもバッチリ決まっていたし、シューリンとの姉妹対決は色んな武器の特性を活かした闘いが観られて、割と長時間なんだけど飽きさせない。この場面の重たい棍棒が持ち上がらないの、可愛い。続くムーパイとの竹林の舞も、綺麗なんだよな。竹の細い部分にちょこんと乗っかってるのが幻想的。登場人物が空を舞う時に余計な効果音を入れないのも、ファンタジーっぽくって良いですね。  ストーリーは正直良くわかりません。あまりにも良い所で出てくる神出鬼没のムーパイ。名前も容姿も中ボス・クラスなジェイド・フォックス。あとやっぱりイェンの行動がとにかくメチャクチャで…結婚式から家を飛び出して、気が付けばさすらいの剣士みたいになってるのって、急展開過ぎてどこか観飛ばしたのかと思ったわ。まぁでもそういうご都合主義っぽい所も、ファンタジーっぽくて良いですよね。 ストーリーより何より、今考えると中国・香港・台湾・米国の合作ってところが一番ファンタジーかも?
[地上波(吹替)] 7点(2023-04-12 23:41:10)
267.  クィーン 《ネタバレ》 
“The Queen ”と書いて『エリザベス女王』と言って良いでしょう。本来女性の王を指していますが、エリザベス女王は昨年秋に亡くなり、いまご存命なのはデンマークの女王のみ。ただ今後ヨーロッパ各国の王位継承者である“王女”が“女王”に在位してくるそうな。 ダイアナ元妃が亡くなってから10年後に創られたこの映画。イギリス王室の内部をかなり赤裸々に、人間味ある人物として描いています。エディンバラ公とエリザベス王太后はダイアナを嫌っているし、チャールズ皇太子は自己中。この辺、自虐的とも言える、王室を綺麗に描きすぎないさじ加減が、とても上手いなぁって思いました。  本作公開の前年にロンドン五輪開催が決まり、イギリスが一丸となって盛り上げていきたい時。王室始まって以来の大スキャンダルだったダイアナ元妃の事故死に、映画としてメスを入れる行為。それも主役はダイアナではなく女王とブレア首相(当時は現職)にして。イギリス人がこの映画を観て『キレイゴトじゃん』って思っては、シラケムードになっていたところ。※余談ですが私は『フクシマ50』にそれを感じてしまいました。  伝統に縛られ頑なな王室と、国民感情に沿うように歩み寄らせるブレア。印象的な鹿の最後。自らも鹿狩りに参加する一方で、偶然目にした美しい雄鹿が仕留められたことにショックを受け、お忍びで鹿と対面し、仕留めた客人に“おめでとう”と伝えるように言い残す。そんな“公”の一面しか見ることの出来ない女王にも“私人”としての感情もある事を、改めて国民に観せている。 バッキンガム宮殿の前の、花束の少女とのやり取り。ブレアとキャンベルとのやり取りで、国民の女王に対する気持を見事に一体化してきました。  『裸の銃…』なんかでも笑いのネタ扱いだった女王。国民感情と乖離した古いイギリスの象徴だった女王を、愛すべき国民の女王まで昇格させたキッカケとして、この映画は大成功だったと思います。 国民に愛され、国民を愛する女王像の再構築。その映画的アプローチはまさにこの映画から始まり、ロンドン五輪開会式でのボンドとの共演に繋がっていく。見事です。
[映画館(字幕)] 7点(2023-03-26 14:37:27)
268.  もらとりあむタマ子 《ネタバレ》 
“もらとりあむ”『(社会に出るための)猶予期間』。自分と向き合う期間。普段使わないから知らなかったわ。海外でバックパッカーなんかする人もいれば、タマ子のように寝て食べて食べて…な生活をする人もいるだろう。私もモロにタマ子だったな。 荷解きされていないダンボールとスーツケース。タマ子出戻って来たばかりなんだろう。秋だから卒業してから暫くは1人で就活頑張っていたのか、何も出来ずに時間を食い潰していたのか。  お父さんの作る家庭料理、美味しそう。それをモクモク食べるタマ子。いや食ってばっかでなく手伝えよお前!せめて食器下げろよ!って思ってしまうけど、モラトリアム期間の表現として、そんな事すらしないのが一番伝わってくる。  AKB48の“絶対センター”と言われていた前田敦子。漫画読みながら「トイレ!!」と叫ぶタマ子から、そんなオーラは微塵も感じられない。ロールキャベツを犬食いする姿も、彼女が左利きなのもあって、見事にアイドルオーラを消している。神7でこんな表現出来るの敦ちゃんだけかも。  オーラのない何も積み重ねていないタマ子が、突然根拠もなく芸能人を目指す流れは、可笑しくもあり痛々しくもあり(あ!あまちゃんの影響か?)。その日の夕飯の茶の間の暗さがタマ子の気持ちなんだろう。全部イヤになるタマ子と対象的に笑う父。だらしないタマ子しか見ていない父が、写真の中のヨソ向きの笑顔に笑みがこぼれる。あぁ我が子だなぁ。そして父親だなぁ。 同級生にはついつい敬語使っちゃって、でも親しくなった仁くんには遠慮が無いタマ子。その仁くんがまた、いい空気造ってくれるんだよ。居心地の良いぬるま湯な実家と、変に干渉してこない近所の人達。この居心地の良さがず~っと続いてほしいなぁ~。    曜子さんの報告に驚きもしない母。喫茶店の父と曜子さん。曜子さんはミルクを入れたアイスコーヒー。父もまたミルクを入れたアイスコーヒー。 悲しそうな顔で電車を待つ同級生。手を振りぽつりと出た言葉が『またね』。電車が入る踏切の音。自転車をこぐタマ子の背中。 タマ子の心のモラトリアム期間が終わるとともに、心地よく映画も終わる。
[インターネット(邦画)] 7点(2023-03-13 10:02:07)
269.  招かれざる客(1967) 《ネタバレ》 
“Guess Who's Coming to Dinner”『夕食には誰が来るか、当ててごらん』。公開当時、人種の違うもの同士の結婚という、近い将来あっちこっちで起こるであろう出来事を、とてもわかり易くシミュレートした映画です。 映画の尺も長くないし、映画の中でもその日の夜中までに結論を出さなければいけないとあって、とても無駄のない構成になっていると思います。  前提としてドレイトン夫婦が、娘の選択に対しとても理解のある両親であり、きっと白人の男を連れてきたなら二つ返事で了承したであろうこと。そのため夫婦が悩むのは、娘の連れてきた彼氏が黒人な事の一点。ジョーイがそんな娘に育ったのは「僕の影響ではなく、あなたの教育の成果です。」なんて素敵な青年だろうか。ジョンを世界を飛び回る医師という非の打ち所のない人物にしているのも、問題点を黒人の一点に絞る意味で素晴らしい。  ジョーイの両親の出した結論も、しっかり考えた末の理想的な結論。まさに模範解答だったんじゃないでしょうか? 当時の白人たちはこの映画を“もしも自分の子供が…”と考えながら観たことでしょう。アタマの中では近所のガラの悪い黒人だったり、犯罪ニュースで見る黒人を、先入観丸出しでイメージしながら、“たとえ黒人でも、ジョンのような文句なしの青年であれば…”なんて思いつつ“こんな結論を出せる立派な親になれていれば、いいなぁ”とか、思ったりしたんじゃないでしょうか? 冒頭の、割と長く映るジャンボジェット。ジョンの両親がロスからサンフランシスコまで650kmを40分で来る時代。今朝ハワイから来たジョンは、4時間後にはニューヨークへ、そこからジュネーブに飛ぶ。その日のうちに州や国境の壁を越えられる時代。人種間の壁は、どのように越えるのか?を考えさせらた事でしょう。  上で“無駄のない構成”って書いたけど、ドロシーとアイス屋(ちょくちょく出てくるウェイトレス)のシーンの必要性は謎だった。2人ともとても美人で、何か当時の“売出中の美人ワク”とかだろうか? ドロシーはバーバラ・ランドルフってソウル歌手。ウェイトレスはアレキサンドラ・ヘイって、デビューしたての女優さんだったわ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-03-12 19:57:31)
270.  ヘルレイザー2 《ネタバレ》 
“HELLBOUND”『地獄行き(が決まっているもの)』カースティのその後。って考えると納得なタイトルです。その後もその後で、前作の直後から始まります。前編、後編みたく綺麗に繋がってますね。 セノバイトとカースティ引き継ぎの、新しいキャストでの物語かと思いきや、まさかのジュリアがヒール側の主役。凡人だったらフランクおじさんの方をメインに選ぶところだろうに。 そして相変わらず出番の少いセノバイト。今回こそは大活躍かと思ったのに。ピンヘッドの過去がちょっと解り、その流れでチャナード医師もセノバイト化、あいつらの仲間入りするのかと思いきや、まさかの対立。 そして、やっぱ弱い。なんかもう、可愛いセノバイト。やられたあとのビジュアルも衝撃的。チャタラーお前…  ストーリーが面白いか?と言われると相変わらず微妙なんだけど、この作品が目指したところが“Mtvの映画版”なのかもしれない。 グロくてキモい映像、サブリミナル効果が出てそうな細かいカット割りから、何となくニック・カーショウの“The Riddle”やイエスの“Owner Of A Lonely Heart”のオフィシャルビデオ映像を思い浮かべました。本作の映像だけ流して、BGMに好きな曲流したら、環境映像としてカッコいいなって。  トニー・ランデル。あの伝説の『北斗の拳』実写版の監督。予算内でキッチリ仕事をする職人監督だと思っています。私評価してます。 ウィリアム・ホープ(髪の毛あり)が出てるのと、無口な少女(…でもないか)ティファニーを助けるトコ、なんか太い管で繋がってるチャナード先生のビジュアルがエイリアン2を連想させますね。 『前作同様グロいホラーで、この前ヒットしたエイリアン2っぽくて、それでいてMtvっぽいセンスも出せ』なんて無茶な要求を、ランデル監督は高次元(&低予算&短時間)で、満たしてるんじゃないでしょうか?  なんかね、観終わったあと『'80年代のホラーを観たなぁ~~』って満足感がたっぷりでした。面白いとかつまらないとかでなく、観ちゃいけないものを観てる背徳感というのかな、良い週末の夜って感じを味わえました。 前作と合わせて194分の超大作ホラー。合わせて平均6点になるように、この点数で。
[インターネット(字幕)] 7点(2023-02-12 16:20:45)
271.  未知との遭遇/ファイナル・カット版 《ネタバレ》 
今回DVDで視聴。えぇと、再生時間137分なのでFC版だね。宇宙船内部があるか無いかくらいで、他の違いが良く解らない。 UFOを光るメカにしたのは、当時の特撮技術を考えると正しい選択だったと思う。単なる光る物体だとリアリティがなくて、政府の用意した基地とのマッチングが悪くなるし、変に観え過ぎるとアラが目立って興ざめする。光と影で絶妙に観えにくい小型の宇宙人たちも、良く見ると被りもの人形っぽさが…まぁそこを上手く隠して、リアルに観せられる技術で組み立てた結果の映画だと思う。  小さい頃は友好的な宇宙人と思っていたけど、考えたらパイロットや船乗りたちを何十年も誘拐してるんだよな。なんかジリアンの子がすぐに還されたから、悪い印象がもみ消されてたけど、何十年も年取ってないし、普通に怖いぞ。 面白いのは、宇宙人はアメリカ政府への技術的な接触アプローチだけでなく、ロイやジリアンといった個々人へのアプローチも同時にしているところに、したたかさを感じさせるところ。 お揃いの赤いツナギにサングラスのクルーは、人類と宇宙人側が、宇宙船に搭乗させる共通認識で手配したメンバーだろうに、それ以外の市井の人間にも接触し、デビルズタワーに導いている。いいのか?  宇宙人からの“電波”を強く受信してしまったロイ。家族よりも接触を優先してしまい、粘土細工に没頭。ポテトのシーンで子供が涙を流すシーンが痛々しい。 それでも接触を棄てられず、家を住めなくし、遂にはジリアンと変な関係になってしまった。あのキスシーンは驚いた。なんかマザーシップのスケールのデカさから、悪い印象がもみ消されてたけど、あれは電波を受けた者同士の不思議な絆が、そうさせたんだろうか。ロイが残ってたら、あの後どうなったんだろうか?あと、赤いツナギの人達って、ちゃんと宇宙船に乗れたのかな?  グレイみたいな小型宇宙人ばかりが印象にあったから、最初に出てくる蜘蛛みたいな手足の細い宇宙人が怖い。アレは何だったのか?ワラワラと出てくるリトルグレイ(被りもの風)と最後に残るグレイ(笑顔も出来て、なんかシュッとしてる)は、同じ種族? 多くの謎を残すこの作風も、嫌いじゃないです。
[DVD(字幕)] 7点(2023-02-04 20:17:41)
272.  未知との遭遇 《ネタバレ》 
“Close Encounters of the Third Kind”『第三種接近遭遇』。J.A.ハイネック博士が定義した空飛ぶ円盤と遭遇した際の分類。 第一種は“円盤を至近距離で見る”で、第二種は“円盤が周囲に影響を与える”で、第三種が“円盤の乗組員と接触する”ことなんだって。へぇぇ~、ロボット三原則みたい。だけどコレだと意味がわからないから、『未知との遭遇』で正解なんだろう。  子供の頃テレビで観たのは“特別編”だったっけ。UFOというと、ふよん・ふよんと空に浮かぶ円盤状の物体だったのが、この映画で細かくてきらびやかな物体へとイメージが進化したんだよな。大都市の夜景のようなキラキラした宇宙船“マザーシップ”の美しさに目を奪われたわ。そして宇宙人と言えば銀色のピチピチしたスーツを着ているイメージだったのが、頭の大きい子供体型の宇宙人のイメージに。 何よりもウルトラマンに慣れ親しんだ私達には、宇宙人=“地球に侵略に来る者”、もしくは“侵略から守る目的の者”だったのに、“単に友好接触してくるだけの者”は斬新だった。  矢追純一のUFO特番とかで、グレイという宇宙人を知ったのは、この映画の後。当時のSF映画とマッチする、リアリティある宇宙人だなって思えたわ。 そして何より、デビルズタワーが実在しているのが一番驚いた。アメリカ人や地理に詳しい人がどう思ったか知らないけど、あんな奇妙な山が実在するなら、UFOや宇宙人が地球に来ていてもおかしくないよな。って思えたわ。 このような映画を観ていると、アメリカは本当に宇宙人と秘密裏に遭遇していて、そのうち一般に公開された時に、ビックリしないように、この手の映画が創られている。って説も頷けるところ。  そしてこの『未知との遭遇』は、友好的な宇宙人とのファースト・コンタクトものの元祖として、リアルとファンタジーの混ぜ方がとても上手い作品だったと思う。怪現象の一つバミューダ・トライアングルは取り入れ、ビッグフットには失笑を。ミステリーすべてを包括するのではなく、宇宙人をリアルに見せる味付けに使う。さじ加減が上手い。 インドで録音した歌が手話と合わさり(当時としては)未来的な楽器シンセサイザーを介して、宇宙人と最初のコミュニケーションを取る。人類が発展・進化していく中で、宇宙人とのコミュニケーション方法に気がついていく過程としているのが面白い。 子供の頃は、人間に媚を売った可愛い宇宙人の出て来ない、大人な味付けのこの映画が、かなりお気に入りだったわ。
[地上波(吹替)] 7点(2023-02-04 20:17:27)
273.  釣りバカ日誌 《ネタバレ》 
有名な長寿シリーズで、釣りとは無縁の私には守備範囲外だったので観ていなかった。けど、面白かった。 釣りバカと言うから釣りばっかかと思ったら、釣りのシーンは3回。“初めて釣りをするスーさんがハマる”って事が伝わればそれで良し。ってくらいで、特に釣りマニアが喜ぶような構成にはなっていないと思う。  師匠と弟子の関係が、実は社員と社長の関係だったことが、いつ、どのようにバレるのか、もしくはバラすのかが本作のメイン。だから、ハマちゃんがスーさん=社長だったって知った瞬間、どんな顔するんだろう?って事に興味が湧いたけど、その瞬間を描かないのは意外。 そして夜になってもまだ怒ってるみち子さんとは対象的に、事実を受け入れてるハマちゃんの表情がね、なんか良かった。 高松から間違って本社に来て、最後再び高松へ帰るハマちゃんの構図。この一作で見事に完結していて、更にその後の物語も気になり、『面白かったなぁ、この続きが見てみたいな』って気にさせる。ただやはりスーさんの正体はこの物語のクライマックスに相応しいし、それ以降の『続き』は蛇足でしか無いんじゃないか?って気持ちもある。…1話がクライマックスで、残り22作が蛇足ってのも、すごい話だわ。(いやあくまで勝手な想像ね。まだ観てないですから。)  そして石田えりが理想の奥さん過ぎる。男にとっての理想かな。ハマちゃんにペッタリくっついてくるみち子さんが可愛く、パジャマ姿でイチャイチャするシーンは、エピソードの区切りの“オタノシミ”として機能していたように思う。というかみち子さんの存在がこのシリーズの牽引力になっていたのかも。 世のお父さん方は国民的映画の石田えりの“服を着てても溢れ出る日常的なエロス”を観て、ひとときの“幸せ”に浸れたんじゃないだろうか? この勝手な思い込みの是非を検証するため、2も観てみようと思う。
[インターネット(邦画)] 7点(2023-01-28 22:34:35)
274.  モンスターズ・インク 《ネタバレ》 
“Monsters, Inc.”Inc.=インコーポレイテッドは“法人組織”なんだって。ふぅ~ん。お化けには学校も試験も何にもないのに大変だモンスター。ディズニーのCGアニメなんて、どうせ子供向けだろう。って観ないでいたけど、当時ついつい出来心で観に行って、そしてとっても驚いて、DVDまで買ってたんだな。 CGのオモチャ、CGの虫と来て、ついにCGの人間をメインキャラにしたのって、本作が初めてだったと思う。ファイナルファンタジー(未見)はいろいろ酷かったらしいけど、さぁコッチはどうだ?って思ったら、普通に可愛く動いてる。目がクリクリ動いて、アニメのキャラと変わらない、体温を感じさせるキャラになってた。凄いなディズニー。ってかピクサー。  ストーリーはドタバタと追いかけっこなんだけど、子供に振り回される大人が主役だから、完全に子供向けではなく、大人の視聴に耐えられるかの実験要素も入っていたのかな?日本のアニメで子供だけでなく大人も楽しめるとなると、どうしてもノスタルジックな演出になってしまうところ、会社や出世やデートを入れてくる辺り、新鮮に思えたわ。さすがハリウッド。  トイ・ストーリーがやや怖めだったので、モンスターが主役だけど怖さは控えめ。ブーが潰されたんじゃないか?ってシーンも、最初に“ブーは無事だよ”って観せておいて、子供が怖がらないようショッキングな要素は減らしてる。 エンディングについては、最後ドアの木片に微笑んで仕事を頑張るサリーで、大人は大満足だったろう。そこから先の再会は大人にしてみれば蛇足なんだけど、子供はそっちのほうが喜ぶものね。正しい選択です。 エンディングのNG集は驚いた。自分たちで構築した世界観壊すんだ。でもドラマや映画の悪役が、実生活でも苦労してるって話もある業界だから、ランドールみたいな悪役も“そういう役なんだよ”って認識させるエンディングは、アリと言えばアリか。 子供向けアニメも真面目に創れば、大人の鑑賞にも耐えうる物になるお手本のような作品かな。
[映画館(字幕)] 7点(2023-01-22 15:30:51)
275.  最強のふたり 《ネタバレ》 
“Intouchables”『触れ合わない人たち』かもしれない。“Untouchable”のフランス語です。 翼くんと岬くんなんかを連想しそうな邦題は、『2人の間の不可侵な友情』を表しているんだと思います。ただもしかしたら、『接点が無く会う筈のない2人が出会った結果、こんな事になるんだよ』って意味のタイトルかもしれません。 疾走する高級車とパトカーのチェイス。命の危機って感じの深刻なOPから、もうすっかり騙されてしまった。  全身麻痺の大金持ち相手に、どう付き合うかを考えたら、やっぱり私も辞めていく側の介護士みたくなるだろうな。フィリップはもともと障害を持っている人じゃないから、その部分に対する必要以上な気遣いとか、もう沢山って感じだったんだろう。かといって何かが出来る身体でもないので、不満を持ちつつその生き方を受け入れていた。障害者になってから、自分の行動を自分で決められないイラつきを介護士にぶつけていたところ、ドリスが現れて、立場お構いなしにメチャクチャいじられて、ズケズケと物を言われる。 健常者の頃は当たり前だった他人との距離が、ドリスの登場で取り戻せたんだろう。足に熱湯掛けたり、マリファナ薦めたり、オペラで爆笑したり、髭剃る時ヒットラーにしたり、笑っちゃいけないことに笑ってしまう。  エレノアに障害を隠した写真を送ったフィリップに感じる人間臭さ。あれだけの大金持ちならフラれる可能性こそ少なく思うけど。『彼女は車いすの自分を見て同情するんじゃないか?』という不安が湧いたんだろう、もともと障害を持っている人じゃないフィリップらしい不安。この恋の行方がハッピーな方に進んだのも良かった。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-01-10 23:20:49)
276.  アバター:ウェイ・オブ・ウォーター 《ネタバレ》 
“The Way of Water”『水の(世界で生きる)習わし』。前作が森を舞台にしたのに対し、海を前面に押し出してきた本作。 体験型アトラクションとしてとても解り易い住み分けですね。ストーリーより映像美重視な作品とはいえ、前作より30分も長い3時間超えの上映時間を飽きさせない手腕はさすが。 前作から10年以上、“あれからジェイクたちに何があったか?”を駆け足で伝えていく中で、ネイティリとの実の子と養子養女。5人も出てくる。もし序盤のまま森が舞台だと、みんな青くて細くて、じっくり観ないとどれが誰だか??ってなりそうだけど、外観上違いのあるメトカイナ族の中にサリー一家を放り込むことで、きちんと(かろうじて?)区別は出来るようになっている。 ただ顔と名前が一致するまでちょっと大変なのと、パンドラ世界の固有名詞がポンポン出てくるので、直前に前作を観ておくと理解はスムーズだったと後悔。  ストーリーは、南北戦争の映画を観ていると既視感多いかもしれません。戦争に巻き込まれた大家族の宿命も。 本作は最初から続編を考えての作品の為か、全力を出し切った感が薄いです。キャメロンはターミネーターにしてもT2にしても、一つの作品に全力を出し切る姿勢が大好きでした。過去のどの作品も“彼らの戦いは今後も続くけど、映画で描くのはここまでおしまい”って感じがしっかりしていたのに、本作は“まだ続きますよ”感がありありで、こう観せられると『続編作りの神様でも、普通な終わり方するんだな』って思ってしまいました。  本作のヒロイン・キリが、まさかのシガニー・ウィーバーってことに最後のクレジットまで気が付かなくて。動く城の映画で感じた声の違和感が全く無かったのが、さすがのクオリティ。キリがシガニー本人なら、彼女の出生の秘密や不思議な力の理由も、モヤモヤっと解る気がしてきたぞ?そんな事より、この映画のモーションは、演者自身の動きから取り込んでいるんだろうか?だとしたら凄いなシガニー。 ひと作品の中で、同じような“捕まって逃げて”を何回も繰り返すから、さすがに『また捕まるのかい』って思った。そう言えばキャメロン映画の多くに“捕まって逃げて”が出てくるっけな。でも本作ほど何回も似たような展開がってのは、初めてだった。 『息子には息子』サリー一家の中で唯一純血のナヴィ・ネイティリの、スパイダーへの行いが、私の中でも未消化。あれで終わったのか、今後掘り下げるのか?う~ん、交われない存在って事なのかなぁ。  アトラクション映画として、今回4DXの字幕版で視聴。SWのEP9以上に映像と座席の動きに一体感が感じられました。浮遊感が素晴らしく、大佐のビデオメッセージのシーンでは宇宙酔いしそうに(※長時間じゃないので心配無用)。さすが家庭ではなく劇場で観るために作られた映画らしいなって思いました。 登場人物がナヴィばかりなのに英語のセリフが多いのは、字幕に気を取られるのを防ぐためだろう。そう考えると吹替版が一番適してるのかも? 映像に合わせて背中を叩かれるような衝撃が伝わるんだけど、3時間超えとなると首がじんわりと痛い。水しぶき同様、衝撃OFF機能が欲しかった。肩こり持ちの人はIMAX版のほうが良いのかな? そうそう、直前までIMAX版と迷ったせいで、うっかりREALD・3Dメガネをまた買ってしまった。これで5本になりました。欲しい人居れば…
[3D(字幕)] 7点(2023-01-02 11:38:17)
277.  ヒッチャー(1985) 《ネタバレ》 
“The Hitcher”『監視者』…何だと?いや確かに“Hitchhiker”じゃあないんだよなぁ。でもあの登場する時のタイミングの良さとか、先々を呼んでの行動とか、監視者と言えば、そうかもなぁ?なんて思うところ。 ま、Hitci(引っ掛ける)のスラングからの“ヒッチハイクする人”で落ち着きそう。 はじめて観たのは昼のロードショーだったと思うけど、まぁ~ま怖いこと怖いこと。最初のワーゲンの犠牲者にせよ、次の子連れの家族にせよ、直接的な殺害シーンは見せないし、死体も出ない(滴る血だけ)。それなのに怖い。 ホントに死んでたのか?嘘だろ?なんて疑いつつ、このジョン・ライダーという男なら犠牲者をサクッと殺しただろうな。って思わせる説得力。ルトガー・ハウアーの醸し出す空気なんだろう。ルトガーってバラエティ番組とか出なさそうだもん。  この映画で多くの人にトラウマ級のショックを与えたのがナッシュの最後でしょう。田舎町の平凡なウェイトレス。バスでの偶然の再会。警官に殺されかけたジムを助ける。当時の映画ヒロインの王道展開とも言えます。 それなのに、あんな残酷な最後を迎えるところに、この映画の狂気を感じます。映画の常識が通じない狂気。  ナッシュの死でこの映画はバッドエンディングを迎えます。ライダーを殺すチャンスを活かせず、万に一つかもだけどナッシュを救うチャンスも活かせず。 ゲームならあのシーンで終了だけど、映画は続きます。その後のジムの積極的な復讐劇を観ても、今さら感が付きまといます。それはジム自身の胸中にもずっと、つきまとうんでしょう。あのザラザラした後味の悪さが、この映画の一番の魅力かもしれません。
[地上波(吹替)] 7点(2022-12-27 23:29:03)(良:1票)
278.  あいつと私(1961) 《ネタバレ》 
ヤー!!ヒッップ ヒッップ ヒップラー♪初めて観たときは、あのオープニング曲にズッコケそうになったけど、2回め観ると意外と癖になるね。歌はともかくイントロの高揚感は今の時代に聞いても素晴らしい。 '60年辺りの大学生のドラマなんだけど、まるでアメリカの学園コメディのようなノリ。会話のテンポの良さが、どことなくシン・ウルトラマンの会話に近い感じがした。そういや、けい子の一人語りはまるでエヴァの赤木リツコみたい。 セックス、赤線、ザーメンと、オブラートに包むことなく日常会話で出てくる性表現にビックリする。当時の若者、こんなだったのかな?『処女と童貞のままで 九月にまたこの丘の上であいましょう』…ってなにそれ。温泉マークがラブホテルの意味だったなんて、勉強になりました。 そしてパワフル。友達の結婚式に出て、安保闘争に参加して、レイプされた女友達を介抱して、次の日はデーゲーム野球観戦。早朝に3人並んで瓶牛乳ガブガブ飲むとこ大好き。軽井沢の別荘からママに呼ばれての食事も、みんな食べる食べる。日本が裕福になった時代なんだな。  この映画の主役は芦川いづみ。彼女と裕次郎の、嵐の中のキスシーンはとても綺麗。ここのシーン、三郎の過去を聞いてけい子が飛び出してズブ濡れになるんだけど、ここ三郎をプールに突き落としてズブ濡れにしたのと対になってるんだろう。お互いの家の食事も。けい子が三郎宅に泊まる時の、モトコ・桜井のものと思われるブカブカのネグリジェ姿が可愛い。これも三郎がけい子の父のブカブカの服を借りたのの対になってる。ついでに三郎は女装したんだから、けい子の男装も観たかった。  思春期の三郎に性の相手を与えたのはママ。そのせいで恋愛感情が歪んでも、ママを恨むどころかママが好きな三郎。 そんな三郎を不潔と言い、強引にキスされても、翌朝には車と別荘があるから友達を続けるというけい子。 家にまで愛人を呼び込むモトコ・桜井。嫌気が差して荷物まとめて出て行こうとするけど、結局出ていかないパパ。 彼らと、安保反対と叫びつつ、朝鮮特需の恩恵を受けて平和で贅沢な暮らしはしっかり謳歌する、当時の日本の大学生が重なってしまう。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2022-12-10 00:06:50)
279.  哀愁 《ネタバレ》 
- Waterloo Bridge - “ウォータールー橋”ナポレオンの『ワーテルローの戦い』から名付けられた橋なんだそうな。なるほど。 印象的な白いビリケンさんのお守り。1908年辺りに特許が~とあるから、マイラも流行りものとして一つ持ってたのかも。  ロイを好きにならなかったら、彼女はバレリーナとして、花形にはなれなくとも、淡々と生きていたかもしれない。 劇団を解雇され、娼婦に身を落としながらも懸命に生きてきたマイラ。ロイとの再会が無ければ、死を選ぶこともなかっただろう。 幸せを掴もうとしたが為の悲劇。マイラがあまりに純粋だからこその悲劇。彼女に人並みのしたたかさがあれば。  マイラに一目惚れし、大佐との食事を断ってまでバレエ劇場に足を運んだロイ。 戦地への赴任延期の日を、マイラとの結婚に使う、ある意味強引で、自分の感情に真っ直ぐな性格なんだろう。 家柄の良さからか、戦時中に職を失った女性がどのように生きていたのか想像もしない辺り、ロイもまた純粋だった。  キティ。純粋な2人を結びつけたいと、マイラと一緒に(というかトバッチリに近いカタチで)劇団を解雇され、彼女を見捨てること無く、黙って娼婦に身を落としたキティが素晴らしすぎる。 ある意味虫が良すぎるマイラ提案の玉の輿作戦。見方によってはキティを蔑ろにする行為なのに、快く送り出す優しさも素晴らしすぎる。 ロイがマイラを探して訪ねてきた時も、ストレートな物言いをせずに黙々と案内するところも素晴らしすぎる。 キティとマイラが初登場する時、「空襲警報だわ」って、マイラの前にグイッと割って入って言うところ含め、この映画の影の主役は二人を結びつけるために活躍したキティ。白いビリケンさんをロイに渡して以降、白いキティが常にマイラを守ってた。あまりに素晴らしすぎるキティ。
[DVD(字幕)] 7点(2022-12-04 18:51:07)(良:1票)
280.  誰も知らない(2004) 《ネタバレ》 
実話ベースの事件映画に、スッと観やすいものと、ヨシ、観るか!と観るのに気を張るものがある。この映画は後者。 終始事件の被害者目線で描かれるから、観た後にどっと疲れる。それにも増して、被害者が自活能力のない子供目線なのが辛く、娯楽としてみるのは難しい。 事件ものとして観ると、この場合加害者と言って良いのか、一番に救いの手を差し伸べなければいけない母親が、この時この瞬間、何をしているのかが観えてこないのが腹立たしい。ただ家庭で子供に接する様子は、母親というより、まるで一番年長の子供のよう。母親の肩を持つ気は全く無いけど、子供を産んできちんと育てる環境が無いのもまた悲劇なのかもしれない。  彼らの生活を一番に支えたのがコンビニ。最初のキッカケは、ゆきがお願いしたアポロチョコで、スーパーには無くてたまたまコンビニで買う。万引きを疑われた時も、スーパーで買ってコンビニには立ち読みと公共料金の支払いに来てただけ。お年玉のぽち袋をコンビニで買うのは、名前を書いてもらう目的もあったけど。一人暮らしの学生が『コンビニでタバコ買う時しか人と会話してない』なんて言うけど、明にはコンビニが唯一に近い『大人と話せる場』だったんだろう。母親の決めたルールを破って兄弟を外で遊ばせる。その後コンビニで爆買い。明くらい生活能力がある子なら、スーパーのほうが安いことは気が付いていただろうに。明に廃棄弁当を渡す顔なじみのコンビニ店員。深読みして良いのか悩むけど、店長は知ってて見逃してるんだろうな。何も動かない母親とアパートの大家に対し、彼らに最低限のライフラインを繋いでくれるのが、他人が経営するコンビニ。 公共事業(電気ガス水道)は無情にも機械的に停められる。郵便局から送られる母親からの仕送り、無機質な現金書留とかんぽのメモ。  最初は周りに見付からないようコソコソと生活をしていた子供たち。だけど外に出ても、身なりがボロボロでも誰もが無関心の恐ろしさ。通園バスの児童置き去りが問題になっている昨今、子供たちの現状に誰も気が付かないことが恐ろしい。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2022-11-20 13:54:58)
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