281. おくりびと
《ネタバレ》 アカデミー賞なんてプロレスのチャンピオンベルトと同じです。 何の価値もありません。 近年アカデミー受賞作を知ってる人なんて、どれくらいいるのでしょうか? でもそれとは関係なく本作は素晴らしいです。 セリフと演出で納棺師の仕事を魅力的に描き、モックンが成長していく過程は感動的です。 モッくんのフンドシ姿、「シコふんじゃった」の頃と全く変わってませんね。日本を代表する役者です。 峰岸徹さんは死体役で終わっちゃうのかなと思ったのですが、あの一瞬のフラッシュバックで最高の存在に変貌します。あの瞳を開いた表情には胸が締め付けられました。 本作は最高の役者が揃いました。 広末涼子の評判が悪すぎますが、メディアが作り上げたイメージが先行してしまっているのが原因だと思います。芸能人に疎い私でさえ違和感を覚えました。この悪評を覆すには、あと10年はかかるでしょうね。 本作がアメリカで評価されても、日本映画自体は相変わらずレベル低いです。きっと近いうち、似たような葬式映画やドラマが沢山作られていくと思いますよ! [DVD(邦画)] 8点(2009-04-15 13:13:19) |
282. シラノ・ド・ベルジュラック(1990)
これだけ高評価にも関わらず未だDVD化されない、これこそ「掘り出し物」の映画である。完成度はかなり高い。 この作品、女性はやはり現実主義、男性は真のロマンティストであることを証明しているようだ。 仮にテレビに出てくる「汚れ」のリアクション芸人が現実はロマンティストだったとして女性は見方を変えたりするだろうか。所詮女性という生き物は一番可愛いのは自分であり、次に恋愛対象の男性は間違いなく外見、もしくは経済状況で判断する。美しい詩を書くなんてのは、それが原因で有名にでもならない限り、ただの紙くずである。 都合の悪い男がいれば、自分の人生が上手くいかないのは全て男尊女卑が原因だと社会のせいにする。それでも歳を取れば条件も緩やかになり、最後は『男は健康ならそれでいい』というのだから始末に置けない。 手紙の主がシラノだと知って、ロクサーヌに同情できる女性は何人いるだろうか? 「シラノ・ド・ベルジュラック」は、まさに男性のために書かれた恋愛小説であり、無償の愛を与える喜びを描いた理想の物語である。 「シラノ」は「スーパーマン」「スパイダーマン」と形を変えて普遍的なテーマは変えずにこれから先も同じパターンで作られていくだろう。 主演のジェラール・ド・パルデューは安心して見ていられる。 彼が主演の「レ・ミゼラブル(8時間バージョン)」と共に是非本作もDVD化してもらいたいものだ。 [レーザーディスク(字幕)] 8点(2009-03-01 03:00:45)(良:1票) |
283. オセロ(1995)
最近「スルース」をきっかけにマイブームがケネス・ブラナーになり「ヘンリー五世」と続けて鑑賞したのですが、本作は私の性に合っていました。 「オセロ」「リチャード三世」のような、コンプレックス、嫉妬、妬み、裏切り、そして猜疑心を織り交ぜたドロドロしたものは私の人生経験と重なる部分が多く共感が持てます。 特にブラナー演じるイアーゴのような人物には私自身何人も出会っています。こういう裏切り者は本当に見分けるのが難しい。仕事では男の悪魔が多く、恋愛になるとやはり女の悪魔のほうが多い…これは勿論私の持論です。 シェイクスピアは劇場でも鑑賞経験がありますが俳優の実力が判断される場ではないでしょうか。裏を返せばシェイクスピアを演じられる俳優はどんな作品においても信用出来るのではということです。 本作はDVD化もなっていないようだし、これだけ優れた作品を簡単に鑑賞できないのは非常に残念なことです。 個人的に本作は、メル・ギブソン主演の「ハムレット」、アル・パチーノ主演の「ヴェニスの商人」と共に押さえておきたい3大シェイクスピアムーヴィーです。 [レーザーディスク(字幕)] 8点(2009-02-23 05:10:11) |
284. ミツバチのささやき
《ネタバレ》 私にとっては高評価ですが、観る人を選ぶ作品です。 純粋無垢の少女がいろいろな物を感じとって形に見えない新しい何かを発見するという、詩的情緒溢れる作品です。 冒頭は「フランケンシュタイン」のフィルム鑑賞から始まりますが、少女アナにとっては映画も毒キノコも姉のいたずらも逃亡者も同じレベルの衝撃です。 小さい頃、私もチャップリンの映画を観て夢中になった記憶がありますが、今もう一度鑑賞して同じ気持ちを味わうことができません。 「監督はこの子に何をさせたかったのか?」なんて疑問に思ってはいけません。 生も死も関係ないのです。 私たちにも記憶の奥底にあるはずです。それは特にパソコンもテレビゲームもなかった世代ほど共感できるのではないかと思います。 目に見えない何か…それを描き出すのは自分自身で作り出したイメージだけ。 子供部屋の窓はまるでミツバチの巣の様だが、その子供のシーンに重なる父親のミツバチの解説は全くマッチしていない。ラストはフェイドアウトまでしてしまう。 子供が映るのシーンと大人の映るシーンが水と油のように混ざってないのは、子供には子供にしかわからない世界があるということだと思います。 少女アナの前に現れたフランケンシュタインがそれを証明しています。 アナはこれらの経験を通して「死」が何であるのかなんて考えているはずありません。 むしろ新しい何かを発見して感動を見つけたのでしょう。 補足。レーザーディスクの字幕は縦書きの上、字が汚くて読みづらい。 [レーザーディスク(字幕)] 8点(2009-02-16 17:02:40) |
285. 4ヶ月、3週と2日
完全予備知識0(ゼロ)で観たせいか、なんだか銀河鉄道999で、どこかよその星に行ったような気分になった。 この映画を日本へ持ってきた配給会社は凄い賭けをしたと思う。 全編主人公追っかけの雰囲気は、どことなく「バッファロー66」に似ているが、本作は限りなくリアリティを追求している。DVDに吹き替えを入れなかった理由が分かる。 親友じゃなければ絶対に成り立たない会話のやりとりは、国、時代を越えて、今の日本のどこかでも聞こえてくるような気がする。 でもタイトルの「4ヶ月、3週と2日」って……やっぱりズルいよ、嘘ばっかついて! もうじき5ヵ月じゃん?!(←半分冗談) [DVD(字幕)] 8点(2009-02-07 12:06:07) |
286. ブラックブック
ハリウッドの制約を受けずに作ったバーホーベン監督、「ショーガール」や「インビジブル」は、よほど制約を受けていたのだろう…。 世界で成功した外国人(日本人は特に…)は、自国に帰ってくると必ずといっていいほど自分だけの世界に浸っていく傾向にあるが、本作を見る限り、バーホーベンはしっかりと観客のことを考えているのがわかる。 話しは淡々と進んでいくが、2分に1度は必ず何かが起こる。長々と続く俳優のセリフなんか全くない。どこから観たとしてもスリルとサスペンスが描かれている。 日本の映画は、この映画を教科書にして本物の映画を作ってほしい。 しかし、この辺の国で作られる映画って、半分以上がナチス物に思えてしまうのは、私の偏見だろうか…? (笑) [DVD(吹替)] 8点(2009-02-03 03:38:23)(良:1票) |
287. マネキン
80年代の代表的な作品。DVDが入手困難なのが不思議なくらい。 キム・キャトラルが最高に可愛かった。彼女にとっても宝物のような作品でしょう。 それからお馴染みの警備員のおじさん、今、何やってんだろう…。 この時代のハリウッド映画は何でも面白かった。「ビッグ」「マネーピット」「ショート・サーキット」…知らない子供がいたら、どんどん教えてあげましょう。 [レーザーディスク(字幕)] 8点(2009-01-31 12:50:16) |
288. こわれゆく女
妻役のジーナ・ローランズが、朝食シーンから、いつブッ壊れるか、ドキドキハラハラしながら観ていました。 小道具や伏線も特にないまま、役者たちの繊細な演技で心理を押し出していく世界は、観ている側も気を引き締めないと受け入れられないかもしれません。 147分という長時間でありながら、シンプルな「序・波・急」の三部構成。アッという間に終わってしまいました。 因みにキャストの順番がバラバラです。 主役がジーナ・ローランズです。 [レーザーディスク(字幕)] 8点(2009-01-30 14:55:14) |
289. ビッグ・フィッシュ
有名な俳優が名を連ねているが、私にはユアン・マクレガーばかり目立つように感じた。久しぶりに見たアルバート・フィニーは変わりすぎ。凄くいいパパだけど、見た目はただのオッサン。フィニーだということは鑑賞後に気ついた。それでこそ名優ってことか…。 冒頭から「フォレスト・ガンプ」のようなノリで楽しかった。かなり笑えたし。 次第にパパのエピソードと現実が繋がっていくのだろうと思ったが、個人的には意外とアッサリ終わってしまい…でも、これでいいのかな。十分満足。 しかし、パパの話は面白いけど、さすがに何千回と聞かされたら嫌になるでしょうね(笑)。 [DVD(吹替)] 8点(2009-01-27 20:07:53) |
290. ザ・ドライバー
その昔、水野晴朗のロードショーで頻繁に放送された傑作。 アクションシーンは、ブリットとマッドマックスの中間のカメラワークをしていると思う。 夜のロサンゼルス、対向車線を疾走するカーチェイスは迫力満点である。 ライアンオニールとイザベルアジャーニの黒の衣装が格好よく、古臭さを全く感じさせない。 二人の一番美しかった姿が、この映画で堪能できる。 ドライバー、謎の女、刑事……登場人物に呼び合う名前はない。全員が終始ポーカーフェイスのまま極めてシンプルな会話だけで進んでいくのだが、それだけで各々がどんなバックボーンを持っているのか、十分観客に伝わってくる。独特な哀愁を感じる。 最後に誰が勝ち、誰が負けるのか。これだけシンプルな人物設定と構成だからこそ、観終わった後に爽快な気分になるのだと思う。 [レーザーディスク(字幕)] 8点(2009-01-16 11:08:35)(良:1票) |
291. 飛べ、バージル/プロジェクトX
近所の中古CD屋で、この映画のレーザーディスクを300円で買いました。思わぬ掘り出し物です。 最近、レンタルショップに並んでいる動物映画は、犬とペンギンばかり…と溜息ついてるのは私だけでしょうか? 登場人物(?)の半分がチンパンジー、それも顔で演じているから凄い。ここまでくると役者ですね。アカデミー主演動物賞なんてのがあったら、是非差し上げたいです。 話はクライマックスに向って進んでいくうちに、観ている私たちの胸を熱くさせてくれます。 その昔、ゴールデン洋画劇場で放送された時、家族全員で、猿のバージルを応援した記憶があります。 未だDVD化されていませんし、ビデオもかなり入手困難です。 お昼のロードショーで放送された時は是非チェックしてみてください。 お勧め! 若かりし頃のヘレン・ハントが超可愛い。 因みに邦題が逆です。「プロジェクトX/飛べバージル」です。 [レーザーディスク(字幕)] 8点(2009-01-14 16:47:50) |
292. 探偵マイク・ハマー/俺が掟だ!
タランティーノの10倍、いや100倍面白い、超かっこいいアクション映画! 音楽、キャラクター、トリック、ストーリー展開、全てが最高。ヌードシーンも上品でありながら洋物ポルノ以上にエロスを感じる。 どうして今、これだけ面白い映画を作ることができないのか疑問だ。 後に作られた「リーサルウェポン」では、この映画に影響受けたようなシーンがいくつかある。 因みに未だDVD化されていないが、ビデオよりレーザーディスクのほうが映像が数段綺麗である。 絶対おすすめ! [レーザーディスク(字幕)] 8点(2009-01-13 22:06:45) |
293. エディット・ピアフ~愛の讃歌~
《ネタバレ》 以前DVDで観た時はランダムに変わる時間経過に少し疲労を感じたが、テレビ放送されたものを改めて観ると何故かスンナリ入り込むことができた。長い映画だが、セリフも含めて全て覚えていた。 ボクサーのマルセル・セルダンの死を知らされて「愛の讃歌」が流れてくるシーンはちょっと残酷。何回観てもこのシーンだけは胸が痛くなる。ベタかもしれないけど「愛の讃歌」はエンディングで使って壮大な終わり方にしたほうがいいのではと思った。この終わり方はちょっと淋しい。でも上品で最高のセリフと演出、ピアフ本人も満足してくれるでしょう。 [地上波(吹替)] 8点(2009-01-04 16:01:16) |
294. 雨月物語
溝口健二監督の入門書と考えてもいいだろう。面白い作品の3大要素、「愛」「欲望」「裏切り」が子供でも理解できる範囲で描かれている。 このサイトでの8点は「出来としてはよい」という意味になるらしいが、上から目線で評価しているようで、もう1点つけようかなと考えてしまったりもする(苦笑)。 [DVD(邦画)] 8点(2009-01-02 01:51:53) |
295. ベッカムに恋して
《ネタバレ》 ありきたりのストーリーだが、セリフのやり取りが逸品で飽きない。 この主人公の女の子、高校生の設定だが、実年齢は27歳なんですね。 日本で女子高生役を演じられる27歳の女優なんているかな? それにしてもこのサッカーチームの監督は女の体をベタベタ触って誤解されるようなことばかりして……先日、女子生徒にマッサージと称してわいせつ行為を繰り返していた大阪の中学教師と何ら変わらないような気もする。 [DVD(吹替)] 8点(2008-12-31 01:03:15) |
296. 近松物語
つまらない映画ばかり続いたときは、古典映画に切り替えるに限る! いつの時代も悪人ばかりがはびこる世の中。自分の衝動を抑えることができなくなった主人公に観客としてストレスを感じるが、結局はその結末に共感せざるおえない。そんな作品を数多く作り続けた近松門左衛門は改めて凄い劇作家だと思う。この人、世界的にはどれだけ知られた存在なんだろう? [映画館(邦画)] 8点(2008-12-26 08:00:28) |
297. スルース(2007)
観る前に<ネタバレ>を読むと面白さが半減するので要注意! 伏線と会話で引き込んでいくストーリーが好きなら、「時間を無駄にした」と後悔することはない。お勧め! [DVD(吹替)] 8点(2008-12-12 05:57:03) |
298. 山の郵便配達
《ネタバレ》 自分ももうすぐリタイアする年齢になって、そんな時に見た作品だから、父親にとても感情移入してしまいます。 「あんなに辛い仕事なのに」と言う母親に、 「信用できるのは息子しかいない」と、後を継がせる父親の言葉。 このオチは見ていて辛くなってしまいました。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2021-09-10 18:37:49) |
299. ボウリング・フォー・コロンバイン
20年前の映画なのに未だに本作が世間に通用するということは、状況は全くと言っていいほど改善されていないということなのかもしれません。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2021-08-16 04:32:31) |
300. 我等の生涯の最良の年
《ネタバレ》 戦争終わって1年後に、こんな映画作っちゃうアメリカは凄いです。 見終わって本作についてウィキペディアなどで調べてしまいました。 出演者のクレジットの順番。 義手の人。 綺麗なブロンド美女の悪妻を演じた女優さん。 制作の経緯。 オスカーetc… 特に義手の役者さんは本作が終わった後も両手が義手のまま生活を続けなければならないんですよね。 手先が器用だけど、お尻とかどうやって拭くんだろうかと真剣に考えてしまいました。 今の日本には忘れられてしまっている本作ですが、終戦記念日に見る価値のある作品だと思います。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2021-08-15 08:56:43) |