281. ペンギン夫婦の作りかた
《ネタバレ》 グルメもの映画だが、料理に関心がさほどなくても、沖縄石垣島の海を見ているだけでも心が癒されてくる。島の人たちの温かい大きな心と帰国申請調査官の疑ってかかる心の対比がまた良い。そしてまたまたペンギン夫婦の名前の由来も・・・。心が和む夫婦愛の物語で素直に感動した。よけいなことだが、食事の前に見るのと後ではもしかしたら点数が変わるかも・・・。 [映画館(邦画)] 8点(2013-04-19 13:09:12) |
282. ぼくたちのムッシュ・ラザール
担任の先生が突然自殺しただけでも大変なことだが、教室での首つりとなると事態は重大だ。この大変な事態になぜラザールが志願したのか、彼の身の上が明らかになるにつれわかってくる。また彼の教える教材がなぜ古いフランス語なのかも。映画は教師と子どもの心のふれあいを描いているが、日本の金八先生のような熱血教師とはまったく異なっている。そこに教育の深さを感じるし、「一番大切なことは教科書には書かれてない」という監督のことばが響いてくる良い映画だった。子どもたちはかわいいが、それ以上に自然な演技がすばらしい。 [DVD(字幕)] 8点(2013-04-17 07:59:10) |
283. 秋のソナタ
《ネタバレ》 ショパンの曲に没頭しピアノを弾く母、その母をじっと見つめ続ける娘、最初の方のこのシーンだけで、この映画全体を暗示させてくれる。母と娘の長年の確執、秘められた思い、それが少しずつそして一気に爆発する。映画はさすがに見応えがあり、往年の大スターイングリッド・バーグマン最後の作品にふさわしい。スウェーデン出身で自国の映画界を飛び出し、米国ハリウッド女優の道を歩んだバーグマン、同じスウェーデン映画界の巨匠イングマール・ベルイマンの要請に応えたものだが、何かしら主人公のピアニストとバーグマン自身の人生とが重なってしまう。また娘役のリヴ・ウルマンの白熱の演技もすばらしく、少しもバーグマンに負けていないと思う。 [映画館(字幕)] 8点(2013-04-16 21:46:54) |
284. ラ・マンチャの男
《ネタバレ》 娼婦をお姫様、自分を騎士に見立て、大魔王が変身した風車に突進するなど、狂人としか思えないドン・キホーテ。他にもぼろ布の薄紗や洗面器の金の兜なども出てくる。しかしドン・キホーテは見果てぬ夢を追い、かなわぬ敵にも立ち向かう勇気ある正義の騎士だったのだ。映画を最初見たときは、舞台劇とは思いつつもまさかミュージカルとは思わずびっくりしたことを覚えている。宗教裁判にかけられ捕らえられたセルバンテスの物語の中の、気のふれたキハナ老人の、妄想の中の騎士ドン・キホーテの物語という複雑な構造でとまどうが、改めて見てみるとなかなかおもしろい。ミュージカルのタイトル曲や「ドルシネア」「見果てぬ夢」も良い曲だ。 [映画館(字幕)] 8点(2013-04-16 05:06:41)(良:1票) |
285. 大いなる遺産(1946)
1998年版のカラーの「大いなる遺産」と比べ本国英国の映画だけあって、すっきりくるし白黒の映像美も良い。デ・ニーロやアンバンクロフトなど大物スターはいないが、構成がしっかりしていてリアリスティックで物語的にもおもしろい。若いエステラのジーン・シモンズが少々目立ちすぎだと思うが・・・(少女より大人っぽい) ただ、見てから随分経っているので記憶が曖昧、DVDがほしい。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2013-04-14 00:03:29) |
286. 大いなる遺産(1998)
デヴィッド・リーン監督のモノクロの「大いなる遺産」も良かったけど、米国に舞台を替えたこの映画も大変好きだ。好きなのは主役のイーサン・ホークやグウィネス・パルトローではなく、ロバート・デ・ニーロ。この大物俳優を単なる脱獄囚で処刑されてしまっては話にならない。やはり後半きちんと出てきて彼らしいアクションになるのも良い。この映画を最初見たとき、すべてが彼の差し金とわかってジーンと来た。(何か浦島太郎の亀みたいだったけど) [DVD(字幕)] 8点(2013-04-13 22:56:56) |
287. トト・ザ・ヒーロー
最初はサスペンスかなと思ったけど、明るく楽しげな主題歌が重い空気を吹き飛ばしてくれた。姉のアリスがかわいい、いや魅力的。主人公のトマが何もなかった人生と言っている割にはいろいろあっておもしろかった。ピストルを構えているにしては、ファンタジックで、爽快感がある。 [DVD(字幕)] 8点(2013-04-12 06:36:58) |
288. 恐怖の報酬(1953)
トラックが出発するまではどこがサスペンスだよという展開だったが、その後はヒヤリとすることの連続、こういう恐怖心を駆り立てるのが本来のサスペンスかもしれない。(この映画やスピルバーグの「激突!」を見るまでは、殺人事件が起こるのがサスペンスだという謝った解釈をしていた)そしてまた人間描写が実に良い。トラック出発までの時間も街や人々の様子がリアルでユーモラス、改めて見てみると味わい深いし、トラックを運転する4人の男たちの心理描写も巧みだと思う。 [DVD(字幕)] 8点(2013-04-07 06:45:02) |
289. ハムレット(1996)
さまざまな解釈ができるシェークスピアの戯曲、その中でも最も長大なハムレットの物語をケネス・ブラナーは主役を演じるとともに、19世紀の世界に舞台を移しかえて作り上げた。超豪華なセットとキャスト(贅沢この上なし)は言うに及ばず、舞台劇全部を映画化する完全版。このような大がかりな映画は二度と制作できないだろうとまで言われた。これを単に映画と見れば、何と大仰なと思うだろうし、舞台劇を映像化したと見れば何と楽しめるハムレット(中身は悲劇だが)ということができよう。もちろん見る側の好みにもよるが・・・。 [DVD(字幕)] 8点(2013-04-06 15:12:28)(良:1票) |
290. 曽根崎心中(1978)
宇崎竜童といえばダウン・タウン・ブギウギ・バンド、髪は突っ張りリーゼントにサングラス、正直好きでなかった人物なのだが、この人を映画に起用した増村保造監督はすごい人だと思う。映画も最初はド素人の主役と音楽が気になるなあと思って見ていたのだが、どっこい映画にはまってしまった。それほどすごい映画だ。梶芽衣子さんが多くの賞をとったのはわかるし、脇役陣もうまい。近松門左衛門の心中ものなのだが、愛の深さに感動せざるをえない。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2013-04-03 17:46:00) |
291. 追想(1956)
《ネタバレ》 この映画のイングリッド・バーグマンはアカデミー主演女優賞まちがいなしのできばえで文句の付けようがない。またお相手のユル・ブリンナーも実力俳優らしい演技でこれまた良い。しかし、私が一番好きだったのはあのお婆ちゃん皇太后のヘレン・ヘイズ。どこかで見たお婆ちゃんと思ったら、あの「大空港」のただ乗り婆ちゃんだ。しかしこの映画はそれよりずっと前、このときは婆ちゃんと言ったら、「失礼な、無礼者」と言い返される歳(56)だったのだ。この皇太后、ラストが実に良い。自分は過去に生きる、若い人には未来があるというような粋な計らい。大感激! そして忘れられないのは、あのロシア風な哀愁に満ちたテーマ音楽。 [DVD(字幕)] 8点(2013-04-01 23:41:59)(良:1票) |
292. ハムレット(1990)
ローレンス・オリヴィエのモノクロのハムレットと違ってカラーで色がきれい。反面幽霊が出る場面は明るすぎかも。シェークスピアの原作を踏襲しながら、うまく映画としてなじんでいるように思う。キャストが豪華で、メル・ギブソンだけでなくグレン・クローズやヘレナ・ボナム=カーターなどそれぞれの見せ場があるのが実に良い。 [DVD(字幕)] 8点(2013-03-31 20:18:33) |
293. 火垂るの墓(1988)
涙腺の弱い私にとってこの映画は大変な衝撃だった。もう終盤あたりは正視できないほどボロボロ。そのため二度と見るまいとさえ思ったほどだ。しかし、戦後60年のドラマスペシャル(2005年版)を見て、改めて見直す気になった。そして思ったのは戦争の悲惨さを伝えるアニメ以上の映画だと思う反面、アニメの限界をも感じさせる映画ではないかと・・・。この映画では清太と節子に焦点を当てているため、せつないとかかわいそうという感情は起きても、彼らがどうして浮浪児みたいな生活を送ったのか疑問に思う人も出てくるに違いない。(この点については2005年版のテレビドラマを見てほしい) 戦争を体験した人たちやそういう人に育てられた年代には身に積まさせられるかもしれないが、戦後60年以上経った今では「やらせ」「作られたもの」としか受け取られかねないのが心配である。 [DVD(邦画)] 8点(2013-03-26 18:38:28) |
294. やじきた道中 てれすこ
時代劇が好きだろうと嫌いだろうと、古典落語を知っていても知らなくても、年配の方から若い人まで楽しめるコメディだと思う。主役の三人は一見アンバランスな組み合わせだけど、うまくはまっていた。 [DVD(邦画)] 8点(2013-03-24 16:34:23) |
295. 先生のつうしんぼ
この映画の主人公は渡辺篤史ではない。彼が演ずる古谷先生の4年1組の子供たち、中でも吾郎君ら男子3人と転校生玲子ら女子3人、6班のメンバーが主人公なのだ。そしてその子供たちが明るくのびのびしていて実に気持ちが良い。蚕を育てる教育映画としても勉強になるし、子供たちと先生の心のふれあいがすてきだ。「四年三組のはた」と並ぶ日活児童映画室の代表作で、海外でも高く評価された映画だ。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2013-03-15 22:12:05) |
296. お日柄もよく ご愁傷さま
結婚式にお葬式、出産から浮気、おまけに転職とそういうものが同時に起こることだって不思議じゃない。かくいう私だって結婚式からお葬式へ直行した経験だってあるのだ。この悲喜こもごもの世界が実に鮮やかで、実にほのぼのとかつ人情深く描かれる。時におかしくなって笑ったり、時には胸が熱くなったり、映画っていいな、さすがは山田監督が選んだだけはある。 [地上波(邦画)] 8点(2013-03-14 20:41:10) |
297. 有りがたうさん
「ありがとう」「ありがとう」「ありがとうさん」たくさんのありがとうが飛び交う心地よい映画だ。台詞もBGM音楽も、バスも乗っている人も歩いている人も、のんびりのどかですばらしい。感謝する心など現代の私たちが忘れてしまったものがそこにある。だがよくよく見てみると、売られていく娘や在日朝鮮人の人たちなど、時代を反映する悲しい面もある。「道路は造るがその造った道を歩いたことがない」ということばにどきっとした。 [地上波(邦画)] 8点(2013-02-21 14:53:37) |
298. なつかしい風来坊
「男純情の~♪」灰田勝彦が歌っていた「燦(きら)めく星座」なつかしい! その歌がぴったり?するような映画。ハナ肇をメインにした山田監督の映画はどれも好きだし、この映画は特に私のお気に入りだ。コメディとしては控えめだが、それでも愛ちゃんが笑ったときは私も笑ったし、ラストシーンは遥かなる山の呼び声とまではいかなくても感動的。そしてお役所つとめの切なさを漂わせる有島一郎のつつがむし演技はまさに絶品。 [映画館(邦画)] 8点(2013-02-19 23:20:30) |
299. 恋人はゴースト
こういうゴーストものって昔も似たようなのをいくつか見たけれど、それらよりもずっとロマンティックで良かった。ストーリーはオーソドックスで、愛する者の口づけで目を覚ます(生き返る)というのは、「眠り姫」とまったく同じで目新しくはないのだけど、ウィザースプーンとラファロの仲がとても良く、最後は結ばれると信じていた。ラブコメでファンタジックなもの大好き。 [DVD(字幕)] 8点(2013-02-12 23:43:14) |
300. 恋人よ帰れ!わが胸に
何とか金をふんだくろうとする側と、そうはさせじと盗聴マイクや監視カメラでしっぽを捕まえようとする側のやりとりが大変おもしろい。欲に目がくらんだ悪徳弁護士や元妻でさえ、ワイルダーの元では憎めない存在になっている。正直でやさしい偽患者と親切な黒人アメフト選手だから映画の結末は容易に予想できるものの、それでもおもしろいのがやはりワイルダー。タイトルがやや気障なものだから見るのが遅くなったが、大好きな監督の映画だと知っていたらいの一番で見てただろうに。 [DVD(字幕)] 8点(2013-02-12 07:03:36) |