341. 食われる家族
《ネタバレ》 主人公は、妻が目の前で轢き逃げされ死亡してしまったことのショックに加え、犯人が未だ捕まらないことによる苦しみも加わり、極めて精神的に不安定な状況に陥っています。知人の精神科医に受診しているものの、服薬管理もままならず、最早限界といった状況。 そこに突然現れた25年間行方不明になっていた妹を名乗る女性。彼は、遊園地に遊びに行った時に一時的に母親に妹の面倒みるよう託されたものの、うっかり繋いでいた手を離してしまったがために妹が行方不明となったことを常に気に病み続けていたものの、何か違和感を感じてしまい心から受け入れることが出来ません。 ありがちなサスペンスものだと、妹を名乗る偽者の目的は富豪である両親の資産であり、まんまと実家に入り込んだ上に何らかの手段で相続権を独占し、いずれは両親を亡き者としてしまう、みたいな展開かなと思うところです。 がしかし、本作はそこからがまさかの展開。何と偽者は資産目当てではなく姪が目当て。それも新興宗教の信仰の対象として。金欲しさの犯罪ではなく宗教団体の組織犯罪だったということです。 2023年という今の時代にたまたま鑑賞したので、リアルタイムで韓国の宗教団体の問題が取り沙汰されているだけに、あたかも自虐ネタなのか?と思ってしまいそうですが、この作品の製作時である2020年時点は現在とは少し状況が違っていたと思いますので、それは考え過ぎでしょうか? という訳で、詐欺犯罪系のサスペンスかと思いきや、オカルト系サスペンスとでも言うべき本作。主人公が偽の妹とその仲間たちに追い詰められ、警察からは被害者どころか加害者と見做されてしまい、最早これまでという状況から起死回生の脱出劇。終盤は少々強引かなと思えないこともありませんが(主人公の行動を警察が不問にするとも思えず)、見応え十分のサスペンスに7点献上します。 ちなみに、直接的過ぎの感がある原題より、邦題にセンスを感じます。 [インターネット(字幕)] 7点(2023-11-09 15:56:00) |
342. MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない
《ネタバレ》 邦画のタイムループものは珍しいですね。皆さんのご指摘にもあるように、邦画ならではの味付けと言いますかテーマ設定と思います。 大抵の洋画タイムループものは、主人公が独りその置かれた状況に悩んだり苦しんだり悪戦苦闘して脱出する、あるいは最良のタイムパラドクスを導き出すといった展開が多いかと思いますが、状況を理解する人間が少しずつ増え、一丸となって解決を図るというところも如何にも日本的だなと思いました。これも既にご意見が出ていますね。 また、タイムループの原因・発端が極めて個人的、しかも他人の個人的理由であることが明確になっているところも、多くの同種作品が不条理系に留まっているのとは対照的。本作も考えようによっては部長の精神世界に部下たちが吸い込まれてしまったかのように見えなくもなく、そういう意味では不条理系なのですが、このあたりは好みが分かれるところでしょうか。とは言え、矢張り邦画ならではのテイストだと思いますし、その解決によって齎されるエンディングは感動的とさえ思えました。 細かな(細かくないかも)矛盾や疑問点はあるものの、そこは基本的にコメディであるということがオブラートになって気になりませんし、必要以上の説明を削ぎ落した展開なのだと思えば寧ろ潔いとも思え、前評判以上の佳作に7点献上します。 ただ、エンドロールに挿し込まれたカットは必要なのかな?と最後の最後に疑問が残りました。無くて良いのでは? [インターネット(邦画)] 7点(2023-11-08 11:26:44)(良:1票) |
343. 水曜日が消えた
《ネタバレ》 多重人格が心理的な虐待等を伴わない外傷性ショックで発症したり、日替わりで順序正しく発現するという症例があるかどうかは分かりませんが、アイディアとしては面白いと思います。メモや動画で各人格が情報交換したり、最終的には二つの人格にまとまり、短時間で入れ替わりながら記憶の中で会話するというのも、実際にあるのかどうかは分かりませんが面白いと思いました。 ただ、その延長線にある結末としてはどうなんでしょうか?一般的には主人格を残し、他の人格を消していくというのが治療方針というような話は読んだことがありますが、各人格が互いの存在を認識し、尊重し、多重のまま存続することを選択するというのは、「元に戻る」という本来あるべき姿からの現実逃避であって、医療チームがそれを容認するというのもおかしな話のような気がします。 あくまでも娯楽作品として楽しむのであれば、ヒューマンドラマとしてのエッセンスを散りばめ、出演者の確かな演技に支えられた本作は見応えのある佳作と思います。割れたドアミラーに映る鳥の姿で人格の統合と分離を表現したり、人格の入れ替わりを視覚的に表現したりなど、映像的にも印象に残る作品でした。とは言え、少々アイディアに走り過ぎた感があるのも否めず、迷った挙句7点献上します。 [インターネット(邦画)] 7点(2023-11-02 21:33:17) |
344. ザ・デッド インディア
《ネタバレ》 (前作は未見です) 今や、やや古風とさえ思えてしまうオーソドックスなゾンビ作品。それは批判的な印象ではなく、あくまでも好印象です。 ノロノロと歩くゾンビ。初見で何が起きたか把握できない状況にでもない限り、急いで走ればかわせるし逃げ切れる。特殊メイクや効果はリアリティを追求した高度なものというより、生者と死者(感染者?)を明確に区別できる程度。それでも十分グロさは伝わる。グロはあってもサービスカット的なエロは皆無。実に好感が持てます。 そして、出稼ぎ的な米国人ニコラスが現地の女性イシャニと恋に落ち彼女は妊娠。彼女の父親は二人の関係を決して許さない。けれども、過去に類似の状況で躓き傷付いた経験のある彼は、米国に独り逃げ去ることが出来るにも関わらず、命の危険を冒してまで彼女を救いに走る。いいですね~、国籍や人種を超えた人間ドラマが真面目に盛り込まれている。恩人的な位置付けの少年ジャベド(この子役の自然な演技は好きです)との交流も良いです。彼の大切にしていた縫いぐるみエピソードもキッチリ回収してくれていますね。そこでお約束的に母子の感動の再会がないところも良いです。 そしてラストシーン(激しくネタバレですが)、ゾンビから逃れたニコラス、イシャニ、ジャベドの3人が、軍の攻撃によって地下に閉じ込められてしまう。バッドエンドなのか、それともかつてジャベドが教えてくれた伝説の如く、3人は(魂の世界でかも知れませんが)そこを抜けだし幸福になれるのか?単純に悲劇的な終わり方をすることなく纏めたあたりも好感が持てました。 B級ホラーと言えばそうなのかも知れませんが、昨今数多製作されるゾンビ作品の中では良心的な佳作と思われ7点献上します。 [インターネット(字幕)] 7点(2023-10-23 10:05:35) |
345. ルーム・フォー・レント
《ネタバレ》 夫に先立たれ、生活苦から自宅の一室を貸し出して収入を得ることになった独り暮らしの高齢女性が、宿泊客との交流を通して次第に心の平安を得ていく…という物語なら良かったものの、これはそんなハートウォーミングな物語とは全く異なるホラーストーリー。 最初の一組目の展開はまずまず。イラつく夫と心優しい妻。ジョイスの言動や振る舞いが気に入らず翌日には引き払う夫。妻のサラはジョイスに感情移入し一気に親密な関係に。ここまではハートウォーミング的展開を期待させられないこともないのですが、次なる宿泊者のボブを文字通りゲットした後は、激しく方向を変えて急展開。ジョイス、あなたそんな人だったの?やることなすことキモイ。いや、誤解のないように。ジョイスが高齢だからじゃないですよ。若き美女だったら許されるというような行為じゃ全然ありません。(個人的には好みのタイプだったらウェルカムかも知れませんが…)只管キモイ。 いいんです。お化粧したり、可愛い衣服を身に纏ったり。それはジョイスの自由です。でも荷物漁ったり歯ブラシ使ったりバスルームに呼び込んだり…ダメです! 近所の悪ガキにセクハラまがいに苛められるのは、もしかしたら理由があるのでしょう。以前から若い男に目がなかったのかも知れません。いや若くなくても男に異常に執着するタイプだったのかも。それも性的に。図書館で借りる本、彼女の愛読書が明確に物語ります。 そして激しく自己承認欲求が強く、かつ衝動的になってしまうタイプなのでしょう。そう考えると、夫の葬儀での茫然自失ぶりの理由は何だったのでしょう。夫の借金の原因は?夫の遺灰を投げ捨てる際の激高ぶり。相当不仲だったのかも知れませんし、その原因が夫にあったとは限りません。もしかしたら、何らかの手段で夫も彼女が殺したのかも、とさえ思ってしまいます。 隣人を殺し、恋する人を殺し、偶然得た多額の現金で旅をするジョイス。旅を終えた彼女は戻るのか?それとも新たな獲物を求めて彷徨うのか?恐ろしい物語でした。 [インターネット(字幕)] 7点(2023-10-22 15:47:42) |
346. 毒(2023)
《ネタバレ》 コメディタッチで語られるエピソードではありますが、毒蛇が実際に居たのか居なかったのか分らない中で主人公も医師も必死になって男を助けようとする姿と、居るはずの蛇が居ないことを確かめた後の二人の反応の描き方から、人間の思い込みやそれに基づく行動などをシニカルに描いている作品と受け止めました。 勿論ハリーは、ウッズや医師を騙そうとしていたわけではなく本当に毒蛇の恐怖に震えていたのでしょうし、二人もそれは理解していたことでしょう。それだけに、帰って行く医師とそれを見送るウッズの態度や言動が尚更可笑しく感じられます。怒るに怒れず、さりとて笑い飛ばすことも出来ず。 単純に面白可笑しいショートコントと観ても良いのかも知れませんが、いろいろと考えさせてくれる人間観察ドラマの佳作として7点献上します。 [インターネット(字幕)] 7点(2023-10-22 14:14:44) |
347. イン・ザ・トール・グラス 狂気の迷路
《ネタバレ》 評価の分かれる作品と思います。必要以上に謎めいた雰囲気を詰め込み過ぎて、結果「不条理系」としか言いようのない作品になってしまっているようにも思えますし、逆に複雑に絡み合った超感覚的な世界観を映像化すると必然的にこうしかなり得ない、とも思えます。 いずれにしても、草原の中に不気味に佇む黒い岩の存在が一番のポイントであることは間違いないでしょう。触れることによって具体的に何がどうなるのか、触れた人間にどんな変化が訪れるのか、そこは今ひとつ明確には映像化されていないし説明も漠然としています。ロスとナタリー、トービンの言動・行動から推測は出来ますが。 ただ、個人的には脳裏に浮かぶのは「2001年」のモノリス。モノリスとは異なり、人類の知恵と創造の元になるというような壮大で絶対的な存在とは思えませんが、草むらという特殊な環境を支配する神的な存在なのでしょう。不気味な顔面草人間たちは、黒い岩の創造した草むらの中でのみ存在する人類、といったところでしょうか。 草むらの世界を司る黒い岩は、そこに迷い込んだ者の行動や思考を意のままにするとともに、命や時間さえ制御します。一体、どこから来ていつからそこにあるのか、刻まれた文字は誰の意志を示すものか、作品中に明確な答えはありません。 しかしながら、少なくともベッキーとカル、そしてトラビスにはそれぞれのあるべき姿を示してくれたように思えます。そういう意味では、多分に宗教的とも受け取れる作品とも言えるでしょう。特にトービンの在り方を見る限り。 原作は未読。登場人物の設定は違うようですね。映像化された本作に関する限りでは、自分なりに多様に考察できるタイプの作品は好物なので7点献上します。 [インターネット(字幕)] 7点(2023-10-22 12:43:35) |
348. ティル・デス
《ネタバレ》 外界から孤立し暖房もなく、夫の死体と繋がれ自由に行動することもままならない状況にある一人の女性。夫が自殺に使ったリボルバーには弾は残っておらず、電話もスマホも壊され、室内には刃物も工具も何もない。クルマのガソリンまで抜かれている。この絶望的な状況にあって、更に逆恨みの末に彼女の命を奪いに来る残忍な凶悪犯が迫る。 シチュエーションスリラーとしてのお膳立ては徹底しています。絶望の演出に新しさを感じました。そして、その後の展開も二転三転して目が離せない。ラストまで一気に見せてくれる良質なスリラー作品だと思います。 決定的な危機の場面にあって、思いのほかヒロインが自由に行動していたり、殺人者に見つかりそうで見つからなかったり、相手が仲間割れして命拾いしたりと、結構ご都合主義的な展開もありますが、ヒロインありきのフィクションなのですから許容可能レベルの予定調和として受け入れられます。 それにしても、湖畔の豪華な別荘で徹底的に妻を絶望に追いやった上で死を与えるという状況を用意するとは。夫は一体どれだけ妻を憎んでいたのか?極めて偏執的。逆恨みの凶悪犯より凶悪のようにも思えます。悪事が露見しキャリアも何も全てを失うことが決定的になったからと言って、妻が部下と不倫していたからと言って、単純に無理心中を図るのではなくここまで苦しめようとするには何かしらもうひと味必要かも知れません。新進気鋭の監督さんということで、更なる緻密さを次作に期待したいと思います。 ちなみに、個人的にはこのヒロインはもう少しか弱さや優しさを感じさせる雰囲気の女優さんの方が良かったかなと思ったりして。ミーガン・フォックスさんだと最初っから強そうに思え、悪党との真向勝負が自然に思えてしまうので。 [インターネット(字幕)] 7点(2023-10-14 23:19:04) |
349. 壁女(2015)
《ネタバレ》 本邦の古の怪談話や妖怪譚に登場しそうな(実際類似の物語は読んだことがあるような?)、不気味ではありながらどこか愛おしくなるような物語。 幼い頃からの思い込みで自らの才能を過信する男にとって、壁の女は理想のパートナー。もしかしたら全てが妄想かも知れない。しかし、逃れられない彼女の魅力、そして夢にまで見た芸術家としての成功。更には成功によって齎される新たな誘惑と絶望。 ラスト。彼に降りかかった惨劇がどのように解決して、彼がどうして自由の身なのかは全く説明もなく気になるところですが、それ以上に何故空き部屋に戻って来たのか?何故今や何も語らなくなった壁の穴を飾り付けたのか?結局壁の女は息絶えたのか?それとも彼の魂と融合しひとつになったのか?そもそも彼女は彼だったのか? 謎めいた結末ながらそこに魅力を感じ7点献上します。もしかしたら、自分にとっての壁女が欲しいのかも。あぁアブナイ。 [インターネット(字幕)] 7点(2023-10-14 23:05:17) |
350. イコライザー THE FINAL
《ネタバレ》 第一弾は衝撃的に面白かった。第二弾は前作を踏まえたがために少々トーンダウンした。では、邦題では副題に「THE FINAL」と冠する本作は如何に?期待感十分に公開初日の1回目にて鑑賞しました。 舞台はイタリア。冒頭から容赦ないイコライザーぶりを発揮するも、その優しさがアダとなって重傷を負ってしまうマッコール。絶対的無敵ぶりを発揮し、戦闘不能になることなどなかった過去作とは大いに異なる展開。そして、傷が癒えるまでの戦えない時間が彼の生き方を変えて行く。今までも安らかな時間に充たされることはあったものの、それは決して長く続くものではなかったが、イタリアのその小さな町は、彼に永遠とも思えるような平穏な時間と場所、そして何よりそこに住む人々との心の交流を与えてくれる。そして、やがて始まるその町とそこに暮らす善良な人々を守るための最後の戦い。その勝利が彼に本当の平穏な日々を与えてくれる。 目の前の悪は滅ぼせても、摘んでも摘んでも悪の芽が絶えることはなく(実際「4」に繋がるような布石はないことはないです)、再び彼が戦いの場に戻らなければならない時が来るかも知れませんが、3部作完結編として見応えのある1本でした。 それにしてもダコタさん、あなたあの人たちの娘さんだったのですね。うん、だったら中途半端な登場のような?4作目を期待してやみません。 究極のお節介にして究極のお人好し。賛否両論は当然ですし、必ずしも賛同出来ない点も多々ありますが、個人的にはこのぐらいの勧善懲悪が大好きなので7点献上します。 [映画館(字幕)] 7点(2023-10-14 22:36:17) |
351. A-X-L /アクセル
《ネタバレ》 この作品が鑑賞の対象にしているのは誰なのか?お子様向けなのでしょうね。大真面目にSFとして観てしまうとツッコミどころは満載です。A-X-Lとの絡みでは「んなわけねーだろ!」の連発です。 何で父親の手伝い程度の技術しかない若者が、装甲板だけならともかく最新鋭のロボットの電気系統や駆動パーツを手持ちの工具で直せるの?ラスト近くでは研究施設みたいな装備を備えたガレージでAIまで修理してるし。肝心のA-X-Lの方は、最新・最強な殺人兵器のはずなのに、戦闘能力は低そうだし焼かれただけで壊れちゃうし、燃料はガソリン? まぁ全編通じて誰一人死亡しませんし、主人公とガールフレンドのラブラブカットもキスまででストップ。エンディングではA-X-L再構成中?バラバラになった部品が集まるとか?別のマシンにAIの魂が宿るとか?少々強引ですがA-X-Lも死んでいないということでハッピーエンドですね。やはりお子様向けでしょう。 いや決して否定的レビューではありません。お子様向けと思って鑑賞する限り、実に楽しく安心して観ることが出来ました。A-X-Lの造形も無機質なのに可愛らしいし、SFXもまずまず自然です。夢のある物語として7点献上します。 [インターネット(字幕)] 7点(2023-10-10 11:11:13) |
352. アンチャーテッド
《ネタバレ》 シンプルに楽しめる荒唐無稽なアドベンチャー作品。それもそのはず、ゲームが原作なんですね?とうの昔にゲームは引退した身なので、途中までそんな大切なことも知らずに鑑賞していました。でも、元ネタの詳細を知ることなくても十分に楽しめます。 ストーリー的には極めてオーソドックス。オリジナリティ豊かというのとは少々異なり、既視感溢れる中にあっても、適度にスリリング、適度にコミカル、飽きることなく楽しめました。 娯楽作品としての要素を十二分に備えた本作。何も考えず楽しむのが一番。夢のような世界を楽しみましょう。 ちなみに、そうは言ってもアントニオ・バンデラスさんの使い方はどうなんでしょう?勿体なっ! [インターネット(字幕)] 7点(2023-10-04 23:13:48) |
353. 白鳥(2023)
《ネタバレ》 原作は未読。人間の心に潜む狂気に対し、強く正しく生きることを説いた作品でありながら、決して説教臭くならずファンタジックな味わいに仕上げられていて好感が持てます。 今の時代背景においては反戦的な作品と理解しても良いのではないかと思います。許されざる攻撃に対し決して無益な反撃を試みることなく自らのあるべき姿を求め続けるべき、というような。ある意味、理想論に過ぎないのかも知れませんが。 ラスト、母のもとに還り着いたのは、肉体は滅んでも決して滅びることのなかった魂だったのでしょうか?それとも奇跡が起きたのでしょうか? 本作を含め、ネットフリックスからロアルド・ダール作品が4作配信されるということです。あとの3作も楽しみです。 [インターネット(字幕)] 7点(2023-10-04 22:21:01) |
354. ヴァスト・オブ・ナイト
《ネタバレ》 良い意味を込めて、極めてオーソドックスな宇宙人襲来モノですね。古き良き時代のアメリカを舞台に、エリア51等で知られる政府の陰謀説やエイリアン・アブダクションといった定番のエッセンスが盛り込まれ、昔懐かしいSF小説やSF映画へのリスペクト感に溢れています。 フェイの好奇心旺盛で如何にも当時のイケてない女子高生風キャラと、エベレットの多弁で如何にも自己中心的でオレ様感漲るキャラに最初は少々引いてしまいましたが、話が進み二人の感情や行動が次第に変化していく中で、いつの間にか感情移入していました。 UFOとかエイリアンについての情報や知識が現在とは大いに異なっていたであろうあの時代、誰もがと言う訳ではないでしょうけれど、こんな状況に置かれた人は、同様の行動に走ってしまったとしても不思議ではないと思うところです。 超シンプルで幾度となく耳にして来たエピソードであり恐らくはバッドエンドではありますが、観終えてみれば思いのほか温かみを感じるような印象深い1本でした。 [インターネット(字幕)] 7点(2023-10-02 11:15:32) |
355. 21ブリッジ
《ネタバレ》 物語的には特に目新しさや意外性はないものの、全編通じて緊迫感が途切れることはなく、仮令筋書きが先読み容易であっても十分に楽しめる作品でした。 とは言え、タイトルにまでなっている「21ブリッジ」の封鎖の困難さや市民の混乱が前面に押し出される訳でもなく、タイムリミットが迫り来る中、捜査の難航により主人公が悩み苦しむ姿が描かれることもありませんでした。サラっと流れ過ぎているという感は否めません。 クライムサスペンスとしては掴みが大雑把であり、ヒューマンドラマとしての掘り下げ方も今ひとつ、なんとなく中途半端に終わってしまった作品。勿体ないな、というのが正直な印象です。 行き場のない感情に苦しむ刑事を演じ切った今は亡きチャドウィック・ボーズマンさんに+1点の7点献上します。 [インターネット(字幕)] 7点(2023-10-01 21:30:20) |
356. MEG ザ・モンスター
《ネタバレ》 理屈抜きに楽しめる海洋スペクタクル作品。敢えてサメ映画とは言いません。ジェイソン主演の殆ど全てにおいて荒唐無稽なSF海洋パニックスペクタクル作品です。 冒頭の原子力潜水艦での緊迫した救助活動シーンに惹き込まれ、ちょっぴりSF的考察を交えた序盤の調査活動シーンにワクワクし、出たな!とばかりの巨大生物の登場に拍手喝采。そして、それらを全て繋ぐジェイソンの魅力に降参。 流石予算が潤沢な作品は、サメやイカ、クジラの出来が良いですね。愛すべきB~Z級映画に分けて欲しいぐらいです。あ、いや、ダメです。それではB~Z級映画の魅力が消えてしまう。やはり、大作には大作の良さ、B~Z級にはB~Z級の良さがある訳で、本作は大作としての見所が大いにあります。 が、沢山登場シーンがある割にはサメの迫力は今ひとつです。ガブガブするばかり。ホントに船3隻一気に破壊したり出来るの?原潜破壊したの?みたいな感じ。そして、既に多くの方がご指摘のとおり、海水浴客がごった返す浅瀬?!を悠然と泳いで下から品定めしておきながら殆ど食わない。低空飛行のヘリを食わない。サイズ感も登場シーンごとに微妙に違うような? これは個人的には「サメ映画」ではありません。「サメの出るジェイソン映画」です。そういう意味で、今回も超人的活躍(結局最後は生身で闘うのかよ!)を魅せてくれたジェイソンに免じて7点献上します。今回もカッコ良かった! ちなみに、サメの卵胎生って口から稚魚が出るんでしたっけ?完全に「2」の準備ですね。あ、今「2」やってるんですね。観なきゃ! [CS・衛星(吹替)] 7点(2023-09-28 23:45:10) |
357. ピース・オブ・マインド
《ネタバレ》 パックスの見ている、語りかけられている亡霊たちは本当に所謂幽霊なのでしょうか? 幽霊など存在しない!という人からすれば精神疾患故の幻覚・幻聴ということになるでしょう。あくまでも彼自身の心が作り出しているもの。自殺を求める亡霊の言動は彼自身の自殺願望でしょうし、一緒に居たいと求め続ける元カノの亡霊は、彼女の自殺を悔いて止まないパックス自身の願望。概ね説明がつくように思えます。 ただ、歌手志望の若い女性については、パックスはその死を知らないのではないかとも思われ、亡霊の登場によって死亡した事実を知ったようにも見受けられます。だとすれば、彼の周囲の亡霊たちは亡霊に違いないのでしょう。しかし、省略されているだけで彼は彼女の死亡(自殺だったかどうかは不明)の事実を知っていたのかも知れません。 要は、亡霊たちは幻覚と見ることも亡霊と見ることも出来るわけです。ですから、そのこと自体は本作の核心ではないということだと思います。 病んでしまった、或いはとり憑かれてしまった彼の魂が如何に救われるか?方針を転換し、彼の全てを受け入れるようになった主治医による治療効果なのか?はたまた、純粋な彼の精神を只管に受け入れようとするモリーの愛なのか?これもまた、どちらも成立するように思えます。 どのように受け止めるか、作り手は観る者に託しているようにも思えました。 主演のローグ・ジョンストンという俳優さんは初見ですが、自然な演技に好感が持てた点に+1点の7点献上します。 [インターネット(字幕)] 7点(2023-09-26 17:51:14) |
358. シャークネード5 ワールド・タイフーン<TVM>
《ネタバレ》 今回は「インディジョーンズ」で始まり「バックトゥザフューチャー」で終わる。オープニングのアニメも相変わらず良いですね。 それにしても、低予算低予算と言われながらも随分と予算も潤沢になってきたようで、見た限りでは決して使い回しではない各国の映像も使われているような。エンドロールでも国別のユニットが出て来ますし。(ホントかな?) 肝心のお話の方は、大いに風呂敷を拡げまくって、シャークネードが世界中で同時多発するばかりか、そもそも太古の昔に人類はシャークネードと戦い、そして勝利した!なんていう時空を超えた次元にまで展開していきます。 と、説明はもう要りませんね。ここまで来たら最終話まで観るっきゃない!って言うか、エンディングに「to be continued」とある訳でして、5と6は「バックトゥザフューチャー」ばりに続編的に作られているので、TV放映上分けただけという感じですね。あれ?公開時期は丁度1年違うのですね?? ま、3時間の大作にしたら余計に観る人を選ぶということもあるのでしょう。 最早サメ映画の領域から離脱しかけていますが、今回も大いに楽しませていただきました。7点献上します。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2023-09-19 14:18:30) |
359. シャークネード4<TVM>
《ネタバレ》 スターウォーズと見紛うオープニング。原題のサブタイトルの「The 4th Awakens」が本家の「The Force Awakens」から来ていることは言わずもなが。 で、肝心のサメ話は、良く言えばマンネリ化しないように工夫に工夫を凝らした斬新なネタの連発。悪く言えば前作以上の悪ノリの連発。作り手が楽しけりゃいいってなぐらいの軽いノリ。いずれにしても、面白いの作ったから楽しめる人だけ観てね。って言うか、これ観て楽しくないって信じられない!みたいな声が聞こえて来るようです。 荒唐無稽な竜巻理論、気象理論、サイボーグと化したヒロインの超科学的能力、主な登場人物は絶対死なない安心の展開、そして〆はマッコウクジラ仕立てのサメマトリョーシカからの脱出。いや~飽きません。 極端に観る人を選ぶ本作。否、本シリーズ。好きなので今回も甘めに7点献上します。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2023-09-16 20:31:16) |
360. ドント・ブリーズ2
《ネタバレ》 あの「ドント・ブリーズ」の続編。主役は前作と同じく盲目の退役軍人。という予備知識のみで観始めたので正直混乱しました。フェニックスって誰?8歳ぐらい?もしかして前作で生き延びたロッキーの娘?一緒に街を出た妹じゃないし。あれ?逃げた時にはロッキー妊娠してた?この時点で頭の中は想像と妄想で一杯に。 更に、え?薬物密造所の火災から逃げ出した少女?本当の母親と父親?もしかして、これって「ドント・ブリーズ3」で「2」は見逃してる?話が進んでも混乱は収まらず、かえって錯乱してしまいました。 そして、改めてじっくりと考えて漸く理解。続編と言いつつもノーマン以外は全く別モノだったのですね。ん?彼の愛犬シャドー?前作では犬の名前は出なかったと思いますので犬種が同じだったとしても定かではありません。前作とは殆ど関係ない。けれども明らかに続編として成立。主人公のみが共通するシリーズものとも解し難い。異色の続編ですね。前作で大金掴んで逃げおおせたロッキーを、ノーマンが追いかけて行って復讐しようとするストーリーだと勝手に思い込んでた訳です。 で、肝心のレビューはと言うと、一言で言えば面白かったです。主人公が実は極悪人ということを忘れさせてくれる爽快感さえありました。敵側がいきなり罪のない女性を殺害する所からとんでもない極悪人ぶり発揮で、少女を取り返す目的に至っては前代未聞のクソ野郎ぶりを見せてくれたから尚更ですね。それを皆殺しにするノーマンは最早ヒーローです。過去のあるヒーロー。ダークヒーローですね。無敵じゃないところもいいです。そこそこ酷く負傷してますし。 ただ、前作はノーマン(作中では名前は出てなかったような?)が盲目であるが故の仕掛けが様々あり、ある程度彼の超人ぶりにも説得力がありました。が、本作では観ている者に予め彼の超人的な能力が刷り込まれていると言うか前提になってしまっている感があって、前作未見の方には視覚障害故の弱みみたいなものが感じにくかったと思います。 そんなこともあって、あくまでも前作を観てから鑑賞という条件付で7点献上します。個人的には、前作程ではないにしても大いに楽しめました。 [インターネット(字幕)] 7点(2023-09-12 22:23:23) |