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ユーカラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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341.  ビッグ・アイズ 《ネタバレ》 
ゴースト・ペインターが晴れて陽の目を見るという物語ならば、 もう少し画面の明暗、あるいは光と影を以て語って欲しいところである。  法廷内の入射光、判決後の正面玄関シーンなどは特にそうだ。  逃亡先のハワイの明るさなどにしても、雑多なエピソードにしても 実話をなぞることに拘りすぎている感がある。  絵画の映画は、出来るだけ静止した完成品ではなく 画家が絵筆を動かす様や、変化していく筆跡でもって 見せて欲しいところでもある。
[映画館(字幕なし「原語」)] 4点(2015-04-18 00:08:20)
342.  フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ 《ネタバレ》 
男には実はアブノーマルな性癖が。というお話なのだが、 交際するか、するまいかのレベルで終始するので生温い。  おまけに勿体ぶった契約交渉を絡めるとか、ただただ鬱陶しい。  例えば直近の例として、黒沢清の『贖罪』第一話がサスペンスフルで 情動的なのは、ヒロインがそのような相手との結婚を選択し、 もはや後戻りが出来ない状況に身を置いてしまっているからである。  そうした切羽詰った状況の中でこそ引き立つだろう愛憎と葛藤が こちらにはまるで希薄だ。  高層階シーンや航空シーンと共に無駄に浮き上がり、舞い上がっている ただ甘ったるいだけの作品である。  
[映画館(字幕なし「原語」)] 3点(2015-04-12 23:58:22)
343.  宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟 《ネタバレ》 
宇宙戦艦ヤマトがラストには無事生還する予定調和を前提とした物語であるわけ だから、作劇的にはどうしても緊迫感を欠いてしまうのだが、 序盤で敵側の強力兵器の威力を見せつけ、 また自らの必殺兵器を封印することによって、何とかサスペンスを維持している。  中盤でのライバルとの葛藤―和解という流れにあたっては、 共同生活中の二人の衝突や交流をもっと丁寧に段取って欲しい。  そうしてこそ、クライマックスの共同戦線にさらなるカタルシスが もたらされたはずだが、テーマ曲と共に雲海を抜けていくヤマトの カットそれだけで高揚させてしまうのは、やはりマンネリの偉大さだ。 
[映画館(邦画)] 6点(2015-04-01 07:54:59)
344.  ジョーカー・ゲーム(2015) 《ネタバレ》 
『陸軍中野学校』そのままの適性テストも登場するものの、作品のテイストは大違い。 市川雷蔵の小市民への変装ぶり、ストイシズム、知略的行動といった いかにもな諜報員らしさはこちらの主役には微塵もない。 容貌からしてスパイ丸出しである。  そこは冒頭の荒唐無稽な銃殺シーンからして開き直っているからいい。 嘘のレベルをあらかじめ提示した上で、後はひたすらアクションで押していくので、 あとは『プロジェクトA』的追っかけや 『カリオストロの城』的時計塔アクションや深田恭子の着せ替えを 楽しんで下さいという趣向だ。  時計塔はもっと高度のサスペンスを出して欲しかったが。  
[映画館(邦画)] 5点(2015-03-30 15:34:00)
345.  アゲイン 28年目の甲子園 《ネタバレ》 
中井貴一、柳葉敏郎ら旧友3人が居酒屋で酒を交わしながら楽しげに語り合う 長回しショットなど、地味な部分にアドリブ風のいい味が出ている。  ただ複数家族の感動仕立てのエピソードも細々と丁寧に詰め込んだ風ではありながら、 肝心要な部分である中井親子の葛藤と和解の演出はおざなりだ。 というより、演出放棄に近い。  娘:門脇麦の何らかの晴れ舞台に親が応援に駆けつけるとかならともかく、 自分の試合を見に来てくれというだけで一件落着させようという了見自体 虫が良すぎだろう。  キャッチボールシーンで言葉を交わさせなかった点はまずまずだが、 少なくとも彼女が翻意する契機としての何らかの挿話は欲しかった。  フィルムのザラつき感はドラマへの没入を妨げるレベルで、特に暗部はひどい。  
[映画館(邦画)] 6点(2015-03-29 09:06:07)
346.  味園ユニバース 《ネタバレ》 
主演俳優の歌唱力を誇示する三か所が、どうも歌の力に依存しすぎの感がある。 映画ではなく。 よってその一つ、クライマックスのパフォーマンスも感興が湧かない。  縁側に座っての西瓜の種飛ばしも、既視感が邪魔して乗れない。 
[映画館(邦画)] 4点(2015-03-25 14:12:00)
347.  シン・シティ 復讐の女神 《ネタバレ》 
終始、悶々としているばかりのジェシカ・アルバ。  その煩悶をタメてタメて、クライマックスに遂に決起するという 感情の高まり、復讐の劇としての任侠映画的カタルシスが欠けている。  延々とメリハリなく愁嘆にくれ続けた挙句、 単にドラマが終盤にきたから行動した、というだけにすぎない。  ワイヤー感まる出しのアクションも非大胆、非アクロバティックだ。   
[映画館(字幕なし「原語」)] 3点(2015-03-24 14:21:17)
348.  ドラフト・デイ
電話を通しての駆け引きを満遍なく見せるのにはやはりこの方式か。  対話をしながら、仲間達に暗黙の目線と表情でリアクションを 示し、身振りで指示を出すGMら双方の芝居がスプリットスクリーンで展開する。  そのアクション‐リアクションが同時進行する画面が スリリングで飽きさせない。     
[映画館(字幕)] 8点(2015-03-22 00:11:14)
349.  96時間 レクイエム 《ネタバレ》 
宮崎駿のかつての『レイダース』批判ではないが、この作風のレベルで嘘をつくと 設定したならば、そのレベルの嘘は守られるべきだろう。  崖やエレベーターから落下する車から如何に主人公が脱出するか。 女子トイレからどのような経路で抜け出すか。  このシリーズの場合、その危機突破の描写こそ要であり、 そこをアクションとして如何にもっともらしく見せ、 如何に納得性を持たせるかにこそ手技を使うのであり、「冒険活劇を作る人間は 一番気を使わなきゃいけない」(宮崎)はずである。  ようするに名案がなかったわけで、 ご都合主義こそ映画とはいえ、これでは白けるばかりだ。 簡単なトリックは克明に描写しているのだから。  格闘アクションも例によって例のごとく細切れの乱雑編集でつまらない。  
[映画館(字幕なし「原語」)] 5点(2015-03-20 00:49:06)
350.  花とアリス殺人事件
階段を駆け下りる構図までそっくりな「ハッピー・バースデー・トゥーユー」の 合唱が出てきた時点で、次は公園のブランコでも登場させるのだろうと簡単に 予想がついてしまう。 そういう露骨なのは、あまり延々と引っ張らないで欲しい。  ハレーション効果を採り入れた一枚絵の背景美術も、新海誠ら以降の作品としては 物足らない。人物に焦点を当てたアニメーションならばこのあり方が本来的なのかも 知れないが、本作の作風ならば背後の情景にももっと何らかの動きが欲しい。 光の揺れとか、草木の揺れとか、雑踏とか。  実写トレースによって日常的な人物の動きは確かに生々しさを獲得しているものの、 反面で例えば、リレー競争での三人抜きなどにあるべきアクション性も希薄に なってしまった感がある。 欲張りついでに云えば、ラストの走りももっと息せき切らせなければ。   
[映画館(邦画)] 6点(2015-03-17 14:06:16)
351.  幕が上がる
琥珀色の落ち着いたライトの下、ヒロインら2人が駅のベンチに座って語り合う。 『踊る大捜査線』シリーズでもそうだが、本広監督はこうした 「二者が長椅子に座って語る」シーンに冴えを見せる。 2人の向き、距離、所作、目線を丁寧に指導しているはずだ。 直前の観劇シーンでダイナミックな俳優の芝居とアップテンポの編集を見せた後に は抜かりなく「緩」のシーンを入れて波をつくる辺り、計算通りだろう。 本作では2人に寄り添うカメラポジションだが、いいシーンに仕上がっている。  前半のカメラ移動の煩わしさもこの辺りではもう気にならない。  エンディングは『時をかける少女』のインパクトには及ばなかったか。 
[映画館(邦画)] 6点(2015-03-16 14:56:53)
352.  くちびるに歌を 《ネタバレ》 
同監督の『僕らがいた 前編』を、ロケも方言もまるで活かせていないと かつては酷評したが、この変貌ぶりは何だろう。  恒松祐里が自転車で教会までの坂道を駆け下りていく冒頭のモンタージュの爽快さ。 学校の屋上や、緑の美しい小高い丘から碧い入り江を望む 『サウンド・オブ・ミュージック』的壮観がよく映える。  標準語で通していた新垣結衣が、本番直前に発する「あんたは一人じゃなか。」の 真情こもる響きは、やはりお国言葉でなければならないだろう。  樹々や髪を揺らす風、汽笛の響きの反復はモチーフとして勿論だが、 冒頭でフェリーのベンチに 寝そべる新垣の後ろ姿を捉えた水平移動は終盤の出航シーンで対照され、 風の渡る踊り場で見上げる男子の窃視は、見下ろす女子の窃視によって昇華される。  序盤の新入部員勧誘で歌われた「マイバラード」もまた、 二段構えのクライマックスとして会場ロビーの反響の中で反復されるのだが、 その歌声に囲まれる渡辺大知の喜びの表情が何より素晴らしい。  基本的なことだが、 本番時のピアノ演奏で新垣自身の運指をショットとして見せているのも良し。  教会の窓辺の石田ひかり、台所の木村多江ら母親の像を包む外光の演出も さりげなくいい。    
[映画館(邦画)] 9点(2015-03-11 17:08:18)
353.  バンクーバーの朝日 《ネタバレ》 
始めの製材所のシーンから、木材を運び、それを積み重ねる俳優らの労働を 長目のショットで丹念に描写している。 その中で次第にクロースアップされていくのは、彼らが見つめる手だ。  彼らの過酷な境遇は何よりも、じっと己の手を見るショットによって語られる。  それはライバルチームの投手らについても平等である。  モブシーンでも 冒頭の移民たちの顔、試合のギャラリー一人一人の顔をパンフォーカスで 可能な限り映し出そうとするあたり、作り手のFAIRNESSの発露といえる。  高畑充希のスピーチ前半を収めた引きのショットが引き立てる彼女の健気。 夜の日本人街に静かに響く波音のノスタルジア。 それらを邪魔しない、控えめで節度ある音楽用法が好ましい。 艶のあるナイトシーンの多さが、球技シーンの晴れ舞台を引き立てる。  それだけに競技シーンの運動感の欠如はやはり勿体無い。  敏捷性と連携プレーを活かした戦術なのだから相応のカメラワークで 盛り上げて欲しい。 妻夫木聡の初めての出塁・得点シーンにスローでは落胆である。 
[映画館(邦画)] 7点(2014-12-28 20:25:19)
354.  インターステラー 《ネタバレ》 
往々にして、理論だの考証だの物理法則だのに囚われるほど 映画からかけ離れるものである。 それらのルールに忠実に沿いながらも、どこかでそこから飛躍する、その瞬間こそが 映画の醍醐味といえるだろう。 そのような荒唐無稽な瞬間の楽しさはこの映画で云うなら、 例えば時計を介した父娘の交感であったり、兄妹の唐突な抱擁であったりだろう。  本作でもまた「重力」は重要な要素なのだが、では娘が「ユリイカ!」と叫びながら 宙に舞わせる紙のショットはあれがベストなのだろうか。  マット・デイモンがマシュー・マコノヒーを突き落とす地表の高低差の感覚は あの程度で良いのだろうか。 その危機の場面で、地球側で父への不信感を募らせる娘の姿を 幾度かクロスカットさせる手法は効果的なのだろうか。  母船を乗っ取られそうになるシーンで三者の位置関係の提示がまるでないのは サスペンス演出上、どうなのか。 視覚からではなく、理屈でシーンを形成しているのが明白である。  そうした画面のあり方への疑問は数限りない。  
[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2014-12-13 00:48:46)
355.  ゴーン・ガール 《ネタバレ》 
カメラに正対した第一ショットのロザムンド・パイクの妖しい瞳の表情から 一気に引き込まれるのだが、ラストで反復されるその黒い瞳の力は145分の ドラマを経て一層の凄味を増して迫る。 映画を牽引していく彼女のキャラクターが圧巻だ。  携帯カメラで撮られた表情によって印象操作される、 テレビショー出演の反響と印象度を即座にネットでチェックするなどといった、 メディア批評も随所で光る。 スクリーン内スクリーンの中で夫を演じるベン・アフレックの表情に交差する 虚と実が何ともスリリングだ。  そして本作でも、ズリ上げを始めとする音使いの妙が映画のテンポを上げている。 有り金を奪われたロザムンド・パイクが公衆電話で話す声をかき消す トラックの騒音、ドアのロック音・ノック音など、さりげない音を サスペンスにしてしまう演出に唸る。  妻の帰宅シーンにあえて安堵感に満ちたBGMを被せるシニカルな選曲なども堪らない。   
[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2014-12-13 00:44:43)
356.  フューリー(2014) 《ネタバレ》 
つまるところ、ローガン・ラーマンのビルドゥングス・ロマンである。  聖書談義を採り入れ、良心的兵役拒否者や非戦闘員らを点描し、 砲弾や銃弾に弾き飛ばされる人体の即物的な描写へ執拗に拘りながら、 劇伴音楽からしても基調となるのは悲愴美やヒロイズムといったもの であり、ドラマもそこに収斂する。  単に仲が良いというだけではない危うさを秘めたチーム内の 一筋縄ではいかない人物関係描写や、 汚物・曇天・泥濘・血糊といった不浄の描写がこの監督の持ち味なのだろうことは 分かった。  会食シーンでの時計音、見張りシーンでの草木のざわめき、 次第に高まる砲弾の飛来音など、 静かな場面で緊張を演出する音使いはいい。 
[映画館(字幕)] 5点(2014-12-07 11:45:48)
357.  寄生獣 《ネタバレ》 
コミックなら、体質の変化した主人公の眼光に宿る獣性を描線によって描き分けて 表現するだろう。 映画ではそれを照明効果や、芝居の変化・差違によって表現するわけで、 そのための美術部員であることの設定であり、 バスケットボールシーンの軟弱でぎこちない動きや 恐怖に慄く姿の提示があるのだろうが、そこが具体的な描写として弱い。  なので、単に設定や説明台詞に頼っている感が強くなる。 後半、校舎の高層階から飛び降りるアクションなどももっと突出していい。  主人公らに迫る敵方というシーンも、あと何メートル、、何メートル、、 の説明一辺倒では描写となり様がない。単に意味を伝えているだけだ。 足音なり、影なり、カッティングなりをより駆使してサスペンスを 醸成するのが映画だろうに。  同じモーフィングでも、ジェームズ・キャメロンの液体金属のほうがまだ恐怖感がある。  それと終盤の染谷将太のシーンで、見るに耐えないひどい手ブレショットがあるが、 ああいうのは少なくともNGとして欲しい。  良かったのは、息子の窮地を咄嗟に救う母親の右手だ。 中盤で、無意識的に染谷と腕を組もうとする余貴美子の仕草などが 引っかかってくるのだが、 それらの小さな違和感をラストの際でしっかり感動に転化させるあたりはしたたかである。 剣道や弓道などの伏線の10倍は気が利いている。  
[映画館(邦画)] 5点(2014-12-01 20:16:26)
358.  サボタージュ(2014)
『ラストスタンド』のラストにはそれなりに体を張った アクションを見せたシュワルツェネッガーだが、 こちらは芝居もアクションもかなりの省エネモードである。  白髪髭も目立ち、動きの鈍重さもますます顕わになり、 ドラマの哀調には適った形になっている。  荒んだ家屋や汚物の中、グロテスクな屍体の検視に立会い、 血合に塗れながらも 捜査を進めていくオリヴィア・ウィリアムズの健闘ぶりが際立つ。 
[映画館(字幕なし「原語」)] 5点(2014-11-29 00:02:27)
359.  紙の月 《ネタバレ》 
地下鉄駅のホームで、線路を挟み向かい合う宮沢りえと池松壮亮の視線が合う。 列車の到着と発車の中で彼女の姿がかき消される。 発車後のホームに彼女の姿はない。振り返ると、 池松側のホーム階段を降りてく彼女の脚がある。 次は一気にホテルのシーンだ。  ラストも同様、「見えない壁ガラス」を割った彼女は次のシーンではもう 自らの脚で駆け出しており、街路の壁を曲がるところだ。  観客が気付いた時には彼女はすでに足を踏み出している。 画面には交差点や線路、白い会議ルームの壁のラインや窓ガラスなどの境界線が配置されているが、彼女は意を決したらもう躊躇わない。 心理を露呈させることなく、観客の共感など置き去りに突き進んでいる。 その潔さ、唐突さがいい。  儚げでありながら時に不敵な面持ちを見せる宮沢りえが随所で単に美しいだけに 留まらない複雑性を内包した魅力的なヒロイン像を見せる。   
[映画館(邦画)] 7点(2014-11-20 00:02:16)
360.  クローバー(2014) 《ネタバレ》 
本来はホラージャンルに強みを発揮する監督だろう。 睡眠薬を抽斗から取り出した夏菜が浮かべる表情などは絶妙だ。  ところどころで画面に風を吹かせたりもするし、 ヒロインも美しく撮ってはいるのだが、勿論それだけでは彼女は輝かない。 決定的に拙いのが、自堕落なまでの携帯端末の濫用である。  友人の結婚式場での会話中に至っても、そっちのけで端末画面に見入っている。 男も男で、両手で端末を抱えて公衆の中を歩きながら彼女と動画交信する有様だ。 マナーがどうこう以前に、映画の被写体として、「アイドル映画」のメインキャストの動作として間抜けでみっともなく、大いに幻滅させる。  ドラマ的にも、この通信機器によって簡単にコミュニケーションが取れてしまうのだから 遠距離恋愛など障害とはなりようがない。  案の定、男の海外への出発は飛び立つジェット機のショット一つと素っ気なく、 その後も延々とメールだ、動画だと惚気けたやり取りばかりしているのだから、 再会の感動もへったくれもないだろう。  この「小道具」は映画から人物間の距離を奪い、その間に生まれるエモーションを奪い、その距離を狭めようとする人間のアクションを奪う。  クライマックスの告白のなんと淡白で、なんとお行儀良いことか。 携帯機器を出さねば出さないで「リアルでない」と批判されるのを恐れるのなら、 まずは吉田康弘らを見習うがいい。 
[映画館(邦画)] 3点(2014-11-12 07:57:27)
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