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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1248
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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341.  リアル鬼ごっこ3 《ネタバレ》 
[2018-08-02再視聴後] シリーズ中で1、2は見ないで3だけ見たが、これは案外まともな映画を作ろうとしたのではという気がした。劇中の国家体制はとても真面目な考察の対象になるものではないが、これはこういうものとしてそのまま受け取ることが要請されている。また殺戮の場面もそれなりに悲惨だがスプラッターにはしておらず、余計なものを削ぎ落してシチュエーションを純化した印象がある。 自分であれば殺される前にせめて1人くらいは相手をぶち殺してやろうと思うだろうが、劇中の高校生はなかなかそんな気にもならないようで、いつまでも鈍器で防戦する程度なのが情けない。しかしそのように反抗的でありながら、体制的に抑えつけられているため決定的な行動をとれないでいるのは現実の学校生活を反映していると思えなくはない。  物語としては、常識外れの状況で多数の人が死んでいく中で、残された者が次第に自分を変えながら生き延びようとする話になっている。親がかりだった主人公に対して、自分自身の力で生きろ、と言うのは親の立場としては当然のことだが、別に孤立して生きろと言っていたわけでもなく、実際はその後の展開の中で、他者と互いに影響し合ったり支え合ったりする関係がありうることを知らされていく。主人公以外にも、例えばライバルが主人公を非難した言葉が、そのまま自分に返ってきていたことに気づかされる場面があったりもした。終盤、ノイジーなメインテーマが鳴り始めてライバルだった男がスタートの合図を出し、そこで主人公が我に返って走り出したのは少し感動的だった。 またこの映画で強い印象を残したのが主人公と一緒にいた女子生徒である(演・山谷花純)。当初は心を閉ざした状態だったようだが、校内社会の枠組みが壊れたことで殻を破ったように主体性を発揮するようになり、土壇場で見せた顔などはけっこうな迫力を出していた。容貌としては目が大きいのと眉がくっきりしているのが野性的な印象で、普通の美少女タレントのようにも見えないので、こういう人を女優の卵というのかと当時思っていた。ちなみにこのとき中三とのことで2歳上の役をやっており、出演者インタビューを見てもしっかりと自分の考えを話す人だった。 そのほか、冒頭で疾走していた女子生徒(演・町田佳代)は必死の形相が可哀想だったが、身が軽そうで若い人は元気があっていいなと思わせるものもあった。この場面は終盤に入ったところで本編ともリンクしている(飛ぶように走っている)。
[DVD(邦画)] 7点(2018-08-17 00:16:25)
342.  ソ満国境 15歳の夏 《ネタバレ》 
「文部科学省選定 少年向き」とのことで大変ご立派な映画らしい。これは平成27年6月に、文部科学省の「教育映像等審査制度」によって「教育上価値が高く、学校教育又は社会教育に広く利用されることが適当と認められるもの」として選定されたという意味であり、「少年向き」とはあるが男女兼用と思っておく(当然だ)。公開は2015年(H27)8月1日だが撮影は2012年11月とのことで、中学生役のうち最年長の金澤美穂さんは満18歳、最年少の清水尋也は満13歳ということになる。ちなみにその清水尋也の実兄の清水尚弥も新京の中学生役で(哀れっぽい感じで)出ている。  まず題名の出来事は同名の原作本(劇中に実物が出ている)に基づくものであり、脚色はあるにしてもこの通りに受け取るべきものと思われる。文部科学省がこれを「選定」したのは懺悔なのか、あるいは陸軍のせいだから関係ないと思っているのか。原作者は主に官僚の無責任体質に批判的だったようで、正すべきところは正していくのは当然である。 また劇中の満州パートでは、昔の素朴な日中友好・熱烈歓迎の時代を懐かしむような雰囲気があり、現地ガイド役の青年の善人顔などはいかにもそれらしい。日本と他国の関係(日中・日朝)に関して両論併記的に語っているところがあったのは、両者の間に立って融和を図る意図だったかも知れない。また民族に関係なく、いいことも悪いことも含めて「人間とはそういうもの」というのは妥当な認識だろうとは思う。  終盤に至るとなぜか原発災害の話題に移行するが、これを満州の出来事と関連付けて語るのには無理を感じる。確かに状況は似ており、当事者の立場として無責任だと言いたくなるのも同じだろうが、さすがに昔の軍隊と同じことを原発事故当時の政府が(今はなき民主党政権だが)意図的にやっていたとまでは思われず、何を問題にすべきかという点でずれがある。また故郷の喪失という点も共通ということらしいが、原発事故がなければよかったというのはその通りとして、戦争に負けなければ満州国も存続して日本人も住んでいられたはずと言いたいのか(または、そのように受け取られてもいいのか)。どうも気分的に言いくるめようとしているだけのようで気に入らない。 まあ文科省選定の教育映画でもあり、今の中学生に自分自身で考えてもらいたいというのが本来の趣旨だろうとは思うが、この映画のどこが変かを考えない限りは単純な「戦争ダメ」「原発ダメ」以上のものは出て来そうになく、要はそういう教育映画なのだろうと思うしかない。さらに最後に出ていた結婚の話はやりすぎで、これでいったい何を考えろというのかわからない。全国の少年少女はともかく当事者の身になれば、せいぜい台詞にあった「今からわかんない」という話にしかならないだろうが、そこをわざわざ指摘してみせるのは、それこそ言うだけ言って終わりの無責任体質に見える。  なお余談として、かつて満州に住んでいた身内にこの映画を見せたところ、“甘っちょろいが中学生向け映画なら仕方ない”とのことだった。実体験もないのに何を偉そうに言うかという気はするが、日頃からこの問題に関心のある人間の率直な感想としてはそうだったということである。あまり見せた甲斐はないようだった。
[DVD(邦画)] 5点(2018-08-15 23:45:58)
343.  恋につきもの 《ネタバレ》 
東京芸大大学院映像研究科の卒業制作とのことで、監督3人が同じ作家のマンガを原作にしたオムニバスになっている。以下[ ]内は点数。  「いばらのばら」 もう少しまともに作ってもらいたい。石はもっとキラキラしていなければならないだろうし紙袋も唐突で、映像に出しておきながら意味不明のまま放置というのは最悪だ。見ている間じゅう原作はどうなっているのか気になって仕方なかった。最後に出たのはサボテンの花か(題名からすると違うだろうが)。[2] 「豆腐の家」 中盤まではかなり怖かったが種明かししてから少し気が抜けた。しかし最後まで少し心に痛みが残る(やはりちゃんと食べた方がいい)。勤め先の対応が良心的なので安心したが、これで本人も若干前に進むことができたと思っていいのかどうか。なお主演女優(谷口蘭)はモデルが本業だそうだがかなりいい雰囲気で、特に泣き声が印象的だった。[6] 「恋につきもの」 心霊ラブストーリー。主演女優(趣里)は水谷豊・伊藤蘭夫妻の娘とのことで個性的な風貌に目を引かれる。この人をずっと見ていたかったが途中であまり顔が出なくなるのは残念だ(男の役者が代わる)。話としては最もストレートで娯楽性が高いが、最後の一言はわざわざ言うほどのことかという感じだった。[6]  以上、最初のだけは呆れたがほかは見られるものになっており、映画独自の雰囲気も出している。(性的な)マイノリティというところが共通のようで、その点で共感できるところはあまりないが、共感できなければ見られないということもない。なお「絶叫学級」(2013)で印象に残る松本花奈という人が出ているが、この映画ではどちらかというと普通に(普通でない)美少女に見える。そのほか最近有名な伊藤沙莉という人も出ているが役として面白くない(前記)。
[DVD(邦画)] 5点(2018-08-11 17:12:38)
344.  恋谷橋 《ネタバレ》 
鳥取県の三朝(みささ)温泉のご当地映画である。島根県の映画は見たことがあるが鳥取県のは初めて見た(というのは間違いで「妖怪大戦争」(2005)は見たことがある)。 題名を見ただけだと「恋空」(2007)とか「君の名は」(1953)とか演歌のカラオケ映像とかを思わせて引いてしまうが、これは現地に実際にある橋だそうで仕方ない。その恋谷橋も映っていなくはないようだが、一番出るのは主人公の実家と温泉本通りの間を結ぶ「三朝橋」で、次が足湯のある「かじか橋」なので題名とはずれがある。 映像的には結構風情があって賑わいもある温泉街のように映っており、ご当地映画らしく見所とか名物も積極的に紹介しているようだが(なぜか「ヌード」が目立つ)、足湯などはいいとして、ちょっとそこまでという感じでいきなり砂丘というのは行きすぎだったかも知れない。なお「山陰KAMIあかり」というのは隣の倉吉市で実際にやっているイベントのようで、劇中でも因州和紙というのが出ていたのでここは因幡でなく伯耆ではないかと思ったが、その点は地元でもあまりこだわりはないらしい。  物語としてはいわゆるメロドラマでもなくさらりとした感じにできており、地方の若い人々に対して一度出てからまた戻れというような、現代の情勢からしてあまり無理のない話になっている(出る気がなくても無理に出していた)。町のためにではなく「自分のために」と言っていたのも人間の行動原理の基本を押さえている。 少し気に入らなかったのは、せっかく若い連中が始めたイベントを喧嘩でぶち壊しにしてしまったことである。その後のストーリー展開につながるのはわかるにしても、見る側としては初回のイベントなので成功してもらいたい/一般のお客を落胆させたくない、という思いがあったわけで、ここは観客の気持ちを無視して制作上の都合を通してしまったように見える(一応のフォローはしていたようだが)。 もう一つ、これは絶対悪いといえるかわからないが、「河原風呂」という周囲から丸見えのような感じの露天風呂で、真昼間に女児と男児が素っ裸で入浴(混浴)している場面があり、子どもとはいえ今どきこんな撮影をしていいのかと動揺してしまって、その場面で出た開湯の由来譚が頭に入らなかった。見ている側が気にしなければそれまでだろうが。 だいたい以上のような感想だが、特に主演女優に思い入れがあるわけでもないので点数はほどほどにしておく。
[DVD(邦画)] 4点(2018-08-11 17:12:36)
345.  チェリーボーイズ 《ネタバレ》 
同名マンガの映画化とのことだが読んだことはない。内容は題名の通りで、中高生ならまだしも25歳というのが共感の条件をかなり外している。 登場人物を見て笑う映画のようだが自分としてはバカな連中の出る映画が嫌いなので可笑しくもなく、何でこんなのを見てしまったかと後悔しながら耐えていた。最初に笑ったのは全体の2/3くらいのところで、パチンコ店女子従業員の表情をあまりにじっくり見せられたのでちょっと吹き出してしまった(こんなに可愛いのにこれまで何もなかったわけがない)。また終盤で見せた池田エライザ嬢の呆れ顔も可笑しかったので、女優の顔を見ている方が面白いのかと思ったが、最後のオチがあまりに馬鹿馬鹿しいのでついに笑わされてしまった。 男はみな一様にバカなのかと思えば実際は三者三様で、うち2人は酒屋の男に最後まで付き合う動機はなかったはずだが、それでもついて行ってやったのは友情の証とでも思うしかない。ラストはわずかな前進を見せて終わったようでもあり、それでよくやった、頑張れと言ってやりたくなったわけでもないが、まあ結果的にはそれなりの物語ができていたようではある。自分としては「映画 みんな!エスパーだよ!」(2015)とどっちがマシかと比べてしまったが、大して変わらなかったということで点数は同じにしておく。主要キャストの役者ぶりには感動した。 ※なお「強制性交等」は犯罪です(刑法第177条)。未遂も罰せられます(同第180条)。劇中の公務員は懲戒免職になります。
[DVD(邦画)] 5点(2018-08-04 13:57:01)
346.  舟を編む 《ネタバレ》 
何となくいい映画のように見えるが不満な点も多い。 基本的には不器用すぎて生きづらい人生になりそうだった主人公が、幸運なめぐり合わせと相応の自己変革を経て、社会生活と私生活で自分の居場所と役割を固めていった話と取れる。まことに都合のいい話で羨ましい。 社会生活の面では、主人公が特に見込まれて自分の特性に合った仕事につくことができ、またその仕事を通じた能力開発が促された上での成功だったようである。何十年も同じ仕事で済むなら幸せだろうが、しかしその仕事がまるで周囲に偏見を持たれるもののように描写されていたのは共感を削ぐところがある。この映画では年代を1995年(Windows95の発売の年?)から2010年までと特定し、その間の情報化の進展を背景にした物語にしていたようだが、それなら最後は主人公が自らデジタル辞書(大辞林web版のような)を提案するくらいの発展性は見せてもらいたかった。それでこそ当初からの「今を生きる辞書」の実現になり、同時に昔ながらの古臭い仕事という印象の払拭にもつながったと思われる。  また私生活の面では、男女の役割や関係の変化を背景に、主人公の特性に合った配偶者が得られたことが語られていたように見えなくもない。しかし前半の展開が都合良すぎなのはまあいいとして、結局最後まで話が深まらなかったようで印象に残らない。そもそも主人公のような変人が宮崎あおい級のカワイイ系女子と一緒になるのなら、女子の方もよほど個性的なところを見せておかなければ釣り合いが取れないわけで、今どき単に板前志望の女性というだけでは弱い。また終盤に至っても、パートナーがわざわざ作ってくれた雑煮を食わないで放置していたというのは最悪だ。互いの仕事を尊重し合う関係はできていたのかも知れないが、最低限の思いやりも返せないのではいつ破綻するかと気が気でなかった。逆に最後を「面白い」で済ませたのが安易に思われる。  なお映画の後に原作も読んだが、それほど妙な改変もなく誠実に映画化しようとしたらしいことはわかる。ただ「迎えにきてくれたんだ」のところは、原作では言われた方がキュンとする感じだったが、映画では印象が弱まっていて残念だった。映画独自のよかった点として、手紙が読めないといって本気で怒っていた様子は好きだ。また辞書編集部OBが書いた「ダサい」の用例が、まさに「今を生きる」表現だったことを如実に示した台詞があったのは面白かった。
[DVD(邦画)] 6点(2018-08-04 13:56:58)
347.  寄生獣 完結編 《ネタバレ》 
前回に続いて普通に面白かったが後半は少しバタバタした感があり、また物語の面でも特に切ないとか愛しいとかいう感情が湧くほどではなかった。しかし唐突な交合場面はけっこう痛々しい印象で、これを見た橋本愛ファンの反応は内心どうだったのかとは思った。ちなみに自分としては、いまだに大森南朋と新井浩文の区別がつかないので同じ映画に出すのはやめてもらいたいと思ったが、同じ映画に出ていることでかえって違いが目立ってわかりやすかったということはある。  以下余談として、前回から気になっていたことのうち、まず前回冒頭のナレーションに対応するものとしては市長の大演説が目立っていたが、環境テロリストの自己正当化の主張などまともに相手にしていられるかという感じで説得力どころでない。こういう糾弾型の主張はいまだに時々やっているが、聞かされる方はたまったものではない(やかましい怒鳴るな)。 また犬の件に関しては、要は共生の観念につながっていたようだが、どうもペットと散歩するとか添い寝する程度のイメージしかないようで正直落胆した。クマとかコモドオオトカゲが相手では寄り添いづらいだろうが、そもそも人類の身体を乗っ取らなければ生存できない生物など、自分のこととして考えれば誰も存在を容認できないはずである(奇特な志願者がいれば別)。 最終的には、人類が他の生物と折り合いをつけながらそれぞれに生きる、という現実的なあり方が一応示されていたと取れなくもないが、やはり通常の野生動物と同列に扱えない架空の生物を使って、人間と自然の共生にまで結び付けるには無理が出ている。原作の方は結構まともな内容だったとすれば、やはり映画では表現できていないことが多いのではないかと想像するが、これを見て何を書くかと一応考える機会にはなったといえなくもない。
[DVD(邦画)] 5点(2018-07-28 17:45:16)
348.  寄生獣 《ネタバレ》 
原作が有名なのは知っていたが読んだことはない。この映画を見る限り普通に面白い話にはなっている。 映像面でいえば、以前に「海賊とよばれた男」(2016)というのを見た時は(三丁目は見ていない)、かつて実在していたものを現に存在しているように見せられたので驚いたが、この映画ではマンガを立体化して実写映像と違和感なくすり合わせした感じなので、それ自体で感動というほどでもない。 また出演者に関して、個人的には深津絵里、橋本愛といった女優を好きだと思ったことがないので主要キャストに関しては不満足である。主人公の同級生役で出ていた山谷花純という人は前から知っていたので注目していたが、最後に二つになってしまったのは残念だ(原作では死なないはずではなかったのか)。ほかどうでもいいことだが、東出昌大という役者は身長が高すぎだ。  以下余談として、原作は1988年からの発表とのことだが、この映画でも冒頭からしていかにも20世紀の青臭い環境論が鼻につく。それほど人類による環境負荷を嫌うのなら、半分とか1/100とか言わず絶滅させてしまえばいいだろうがと思うわけで、何をどうしようという観念もなく声高にアピール(自己主張)して終わりの昭和臭さを感じる。何なら先進国が温室効果ガスを削減する代わりに途上国には人口を削減してもらうかといった皮肉も言いたくなる。 また犬に関することでは、生きた犬も死んだ犬も同じく尊重すべきと思うのは構わないが、そういうことをいえばヘビもカラスもカマドウマもコウガイビルも全部同じように扱わなくていいのかと言いたい。愛護動物を前面に出した方が一般にはわかりやすいとしても、地球環境問題を尖った形で取り上げる割に、生物多様性という面では大して考えていない状態のように見えた。 まあ続編があることがわかっているのでここで突っ込んでも仕方ない。
[DVD(邦画)] 5点(2018-07-28 17:28:14)
349.  女子の事件は大抵、トイレで起こるのだ。 後編:出る! 《ネタバレ》 
前編に続けて気楽に見た(DVDが1枚なわけだが)。 今回も主人公は相変わらずだが、本職がドラマーの人が何でこんな映画にキャスティングされているのかという疑問がますます膨らんでいく。オバサン(ババアとも言われていた)にしても自分などよりはるかに若いわけだが、劇中中学生がダンスに馴染んでいることへの感慨を述べていたあたりは自分としても同感で、こういう点は当時20代後半の人々でも世代ギャップを感じているということか(劇中人物は26、脚本家は25、ちなみに演者は29)。生徒も一通り紹介が終わっているので馴染みが出て来て、一応みなさん個性的なので顔もだいたい憶える。 今回は前編の導入部を受けて、これまで少しずつ名前を出して来ていた文化祭への動きが加速する。便所アーティストが発案したライブペインティングを軸にして雑多な登場人物が一つの流れにまとまり、その中で、中学時代の記憶に縛られた主人公が中学生のおかげで解放されるというドラマが展開する(それほど感動したわけでもない)。今回も結構笑う場面が多く、特に便所アートを毀損した犯人が隠れていたのは爆笑した。またその首謀者が次第に形勢不利になり、孤立無援で追い詰められて最後は開き直っていたのは柔軟でしたたかで微妙に感心した。  そのほか前編でも最後に一つ出ていたが、別室で撮ったスピンオフのような小エピソードが入っていたのは結構好きだ。冒頭のパンの話は、時間の流れが本編と全く違う世界で何が始まったのかと思わされる。3秒ルールというのは当然知っているだろうから、それをこの場で適用するかどうか判断する即応力が問われているのだと思われる。また中盤の原宿訪問練習のエピソードも、ラストの一言に失笑を催すので嫌いでない。
[DVD(邦画)] 6点(2018-07-20 19:59:14)
350.  女子の事件は大抵、トイレで起こるのだ。 前編:入る? 《ネタバレ》 
あまり真剣に見るものでもないだろうから気楽に見た。 出演者については知らない人ばかりだが、主人公を自称するオバサンは、風貌の見せ方はともかくナレーションなどは結構かわいい声なので和む。また生徒の方は人数が多いが、絵に描いたような美少女ばかりでないのが現実に寄せた感じもある。当初は若さだけで圧倒的な優位に立っていたように見えた連中も、まつげの件とかメイクとかで次第にボロが出るので相対化されていく。 この前編ではキャラクター紹介のようなエピソードが連続し、笑うところも多いので結構面白く見ていられる。個別エピソードでは第1話で“キセル”に誘う場面が、よく言われる“ぶぶ漬け”の話を思わせるものがあったが、古都と違ってドライで開けっ広げなのが誠実ともいえるので嫌いでない。こういうのが中学生女子の実態かというと自分は知らないが、予告編のキャプションに出ていた「あるあ……ねーよwww」というあたりが妥当な見解なのだろうとは思う。 各エピソードに笑わされながらも少しずつラストにつながるネタが出て来るので、後編への期待が一応高まらなくもない。  なおこの前編で感心したのは、第2話に出た「桃山新聞」の中身がかなり濃いことだった。ストーリーに直接関わる記事のほかにも、東京駅丸の内駅舎の保存・復原工事にまつわる陰謀論が紹介されており、地下要塞の話までは現実にも語られているようだが、( ) 付きで「お菓子倉庫」と書かれていたのはこの映画らしいアレンジか。またトップ記事の「中央線沿線の魅力」は個人的に好みの内容なので本気になって読んだが、これを本当に中学生が書いたとすれば非常に優秀で有能な人物で、この学校の教育水準や生徒についても評価を改めなければならなくなる(DQNネームのサンリオペアも含め)。
[DVD(邦画)] 6点(2018-07-20 19:59:11)
351.  劇場版 私立バカレア高校 《ネタバレ》 
まりやぎという人が出ているので見たが、そもそもAKBというものに全く関心がなかったので(1回だけ総選挙でチーム8の人に投票したことがあるが)、ヒロイン役を含めてほとんど誰の顔も知らない。かろうじてみおりんという人は外見が特徴的(小顔)なのでわかったのと、見ているうちに高身長なのが光宗薫という人だというのも薄々わかって来た(同年の「女子カメラ」というのを見たことがある)。 しかし今になってみると、ここに出ているAKBのメンバーは既にほとんど卒業してしまっているようで、世の変転は激しいともいえるがそれでもAKB自体は不滅だともいえる。そういう面で一定の感慨を覚える映画ではあった。 ちなみに石井杏奈という人の顔も見えたがこれが映画初出演とのことで、その後はE-girlsに所属して各種映画にも出ているので知らない人でもない。  中身に関しては、意外にもというか当然だろうがストーリーはちゃんとできており、男連中の話の方が主軸になって、そこに女子の物語がからんで来る感じに見えた。男女それぞれのファンが見に行く前提だったはずだが、どうせ数的には女子中高生が多いのだろうから、男の友情とかアクション(暴力沙汰)でとにかく盛り上げるように作ったのかも知れない。女子の方はお嬢様というだけでなく知能程度も高かったようで、ヒロインに関していえば、こういうしょうもないお話からも一定の人生訓を学び取る賢明さを備えた人物のようだった。最後の「自分でみつける」というあたりはうまく感動的にまとめてある。 TVシリーズは見ていなかったが(当然だが)それでも劇中の回想場面から、それなりの積み重ねがあった上に今があることがわかり、また「大嫌い」というのがいわば(2人限定の?)キーワードだったらしいのも知られる。この手の企画を毛嫌いせず、大らかに受け入れようとする気にさえなれば、娯楽として見る分には支障がない映画だった。 ちなみにヒロイン役の人は、周囲が全員アイドルであるのにその中でちゃんと特別の美少女として目立っていたのに感心したので、そのうち「劇場霊」(2015)でも見るかという気にはなった(特に期待はしない)。
[DVD(邦画)] 5点(2018-07-20 19:59:09)
352.  写真甲子園 0.5秒の夏 《ネタバレ》 
2014年夏の「東川町国際写真フェスティバル」の時期に現地に行ったことがあり(皆さんお世話になりました)、その際に映画化の話も聞いて来た。その後にふるさと納税(株主制度)のお勧めがあったので喜んで「写真甲子園映画化事業」に協力したが、いざ公開されてみると自分の住所地から半径100km以内では上映していなかった。まあそれはだいたい予想していたことなのでDVD化を心待ちにしていたわけである。見覚えのある場所とか花火大会とかが見られるのは嬉しい。 東川町は2014年に「写真文化首都」を宣言しているが、そういうアピールの仕方は個人的に好きだ。ちなみに環境分野では「環境首都」というのもあるが、何にせよ何から何まで東京が一番でなければならないことはないはずなので、うちはこの分野では全国代表だ、という気概を持ってやっているところは応援したい(気持ちだけだが)。 この映画でも無理に町民を主人公にはしていないが、実際の写真甲子園で本当に活躍するのは全国の高校生であり、地元としては仕組みを作って場を提供することで写真文化を盛り立てる立場になっている。文化での町興しは無理との意見もあったそうだが、その正否はすでに実証済ということである。  褒めてばかりでも何なので映画に関していうと、まず予選を勝ち上がる過程を大胆に省略したのは時間の節約としても、全国大会の出場者にしてはあまりに素人っぽいとか緊張感のなさすぎな連中で大会の権威に関わるのではと思ったが、それはまあ審査の厳しさを強調するための下準備と解される。その審査の講評には台本がなかったとのことだが、「できるでしょう」「できます」というやり取りがあったのもアドリブだったということか。審査委員長の人となりは知らないが芸術家にしては意外に優しい物言いで、厳しい単語は使っていても若い人を伸ばそうとする意図は明らかであり、「未来しかない」「開き直る」といった励ましの言葉には正直感銘を受けた。ここには本物の感動がある。 その後の椅子工房は話を作り過ぎだったが、今しかできないことを今しなければ、という意味ならわかる。また終盤でひたすら走る女子の情けない顔に少し泣かされるところもあった。結末も意味不明瞭だった気はするが、今回の体験が当然、出場者それぞれの未来につながっていくはずだと思っておく。彼らの後に続く人々は、写真を含む芸術文化の創造性が人間の力になるということを、例えば極端に古風な(ステレオタイプな)言動の校長に見せつけてやってもらいたい。 その他個別事項として、必要な告知事項などをCGか何かで映像中に紛れ込ませていたのはスマートな説明の仕方だったかも知れない。また撮る側のマナーにかなり気を使っているのが目についた。
[DVD(邦画)] 8点(2018-07-15 09:29:09)(良:1票)
353.  想影 《ネタバレ》 
若い監督(加藤慶吾)の短編映画で、芸術志向で難解というわけでもなくどちらかというと素直でほのぼの系の映画である。 若い男女の中学(~高校)時代と、大人になってからの出来事を対比させながら進める形になっており、中学時代の方は純粋でいじらしい恋物語である。大人になると青春のキラキラ感もなくなって暗く寂しくなるが、ここでヒロインの鬱屈した思いをどうするのかと思っていると、最後の最後に一定の解決が図られて相応の感動がある(気恥ずかしいがけっこう泣かせる)。それで幸せになれるかというと何も保証はないわけだが、何かは変わるはずと思いたくなるものはある。  主要キャストは男女2人で2つの時代で4人だが、この登場人物/出演者も全体の好印象につながっている。ヒロインの相手の男は、中学時代の姿を見るとあからさまなイケメンのため自分としては拒否感の方が先に立つが、大人になってみると25歳にしては枯れた感じで嫌味なところがなく、相手の言葉をちゃんと受け止める率直さと悪気のなさがこの男のいいところなのかとは思った。 またキャスト中で唯一自分の知っていたのがヒロインの中学時代をやっていた松原菜野花という人である。撮影はこの人が大学に入った年の秋なので、かなり年代を遡った役をやっていたことになるが(それをいえば相手の男もだが)、実際見ればかなり美少女寄りで見事に愛らしい思春期の少女になっている。これまで自分としては外見的に微妙な役をやっているのしか見たことがなかったので、今回初めて普通に美少女役を見られたのは感動的だった。 このヒロインが大人になると変にもっさりした感じになってしまったのは残念だが、この役をやっていた三瓶美菜という人は、キャストインタビューを見ていると非常に愛嬌のある(よくしゃべる、頭の回転の早い)人だったらしい。大人役の2人は中学生役の映像を見てから撮影に臨んだとのことで、2人ともちゃんと連続性を感じる人物像ができていた。
[DVD(邦画)] 7点(2018-07-15 09:29:06)
354.  バトル・オン・ザ・ボーダー ノルディック 極寒の攻防 《ネタバレ》 
原題のGränsenは国境を意味するらしい。内容としては、第二次大戦で中立だったはずのスウェーデンの軍人が国境を越えてドイツ占領下のノルウェー領内に侵入する話であるから、邦題のカタカナ英語よりは英題の“Beyond the Border”の方が実態に合っている。 真面目に見れば、大戦中で極度に緊迫したヨーロッパ世界と、それを知っていながらどこか他人事のような人々の住む中立国の間には簡単に越えられる架空の境界線しかなく、軽率にもそれを越えてしまったことで起きた悲劇と解される。スウェーデン王国では戦前戦後を通じて徴兵制があったようだが実戦経験があるわけでもなく、劇中兵士を見る限りは一般市民も同然で、無惨な死体を見ただけで腰を抜かす連中ばかりのようだったが、これは実際そんなものかと思わなくもない。  ただ見ていて非常に抵抗感があったのは、スウェーデン側の行動に全く正当性がないことである。事件の原因を作ったのは主人公の弟、その後に事態が際限なく拡大したのは主人公のせいであって、死んだ連中はほとんどこの兄弟のために殺されたようなものである。主人公(恐らく職業軍人)が弟のことになると常軌を逸した行動に出るのが異常で全く共感できない。 またそういう納得のいかない展開に、何だかんだと理由をつけて無理やり戦争活劇に仕立てたのは最悪である。暗殺者に狙われたことで被害者意識を出しておき、さらにドイツ側に無駄に残虐な将校がいて拷問していたとかスウェーデンに侵攻する作戦があるとかいう話を出してきた上に、ノルウェー人の個人的復讐心まで加えて補強して、最後はもうどれだけドイツ兵を殺してしてもいいことになっていたが、しかしこれではただの大量殺人でしかない。他人を悪者にすれば自分が何をやってもいいということにはならないだろうが。死んだドイツ兵にも家族がいたはずだとかいうことを考えてみろ。 日本人なら、こういう普通の人間を狂わせてしまう戦争というものが許せないとか結論づければ簡単だろうが、しかし戦争がどうこういう以前に製作姿勢が問題であって、最後の立ち小便など見ると作り手の品性までが疑われる。点数は、まず銃を置けと諭しただけで殺された気の毒なドイツ兵に入れておく。  ちなみに余談として、森の中で直線的に木が伐られていた場所が出たのは国境の表現と思われる。実際に、Googleマップの衛星写真で現地(ヴェルムランド地方のTorsby付近)の国境を見るとこうなっている。
[DVD(字幕)] 2点(2018-07-08 18:58:37)
355.  ×ゲーム(バツゲーム)(2010) 《ネタバレ》 
この原作者の著作は読む気にならないが、今回は原作がどうなっていたのか気になったので読んだ。 原作でも根本原因はいじめだが、起こったことは単なる性格異常者の猟奇犯罪という印象が強い。それだけでは不足と思ったのか、映画では組織的な復讐ということにして社会性を持たせているが、そのためにかえって荒唐無稽の度合いが増してしまっている。また話を大きくした割に、最後に糾弾すべき相手が特定されずに拡散してしまったのは、いわば社会派崩れの腰砕けという印象もあった。 いじめる側や黙認した教員の悪質さを強調して観客の憎悪を煽るのは、映画の見せ場である残虐行為を心理的に肯定させるためだろうが、劇中の大学教員の発言によれば、こういう映画ができるのも世間がそれを望んでいるからだと言い訳していたようで、結局は一般大衆の嗜好に媚びた形になっていたようである。登場人物のうち金持ちの同級生は行き過ぎた復讐という意味合いを出すための存在だったのだろうが、結果的にはあまり印象に残らず、この男が語った心の傷の説明も取ってつけたように思われた。  また原作では性格異常者の極端な執着としか思えないものを、映画では悲しく痛々しい愛情という印象に変え、破滅的なラブストーリーとして一定の共感が得られるよう再構成したと見える。これはアイドル映画としての性質からも十分理解できる。 それと同時に主人公の男の境遇にも憐憫とやるせなさを感じなければならないのだろうが、しかしこの男は最初から態度が極めて苛立たしく(本物のバカ)、自分としては真っ先に死んで当然だと決めつけていたら主人公だったというのが意外な展開で、最後までこの男には同情する気に全くならなかったのは作り手の意図に沿っていなかっただろうと思われる。  そのほか映像化という面では悪い印象はなく、主役の人物も苛立たしい(バカな)人間像を好演している。刑の執行時のおふざけ感などはいいとして、残酷描写はそれほど徹底しておらず(尻に穴がない)、真に迫っているのは登場人物の顔芸だけだったようだが、それも残虐なだけの映画ではないという作り手の意図を反映していると解することはできる。 ただ現実問題として、自分としては見ていて最初から最後まで不快感しかなかったというのが実態だったので、それをそのまま反映した点数にしておく。関係者の皆さんはご苦労様でした。
[DVD(邦画)] 1点(2018-06-30 21:00:33)
356.  携帯彼女<OV> 《ネタバレ》 
[2016-10-09更新] 携帯サイト「魔法のiらんど」で公開されたケータイ小説を原作とした映画で、同じく映画化された「携帯彼氏」(2009)の続編に相当する。少し間が空いているが前作で予告された正規の続編であり、劇中で再現映像も使われている。 内容的には前作よりも陰気な印象になっており、また後半に入ってからの物語がちょっと詰め込み過ぎのように感じられる。悪の根源が誰かに関して二転三転していたようだが、通り一遍の説明があっただけで心に刺さるものがなく、また見ている側の感情面がついて行かないまま転々とするのでかえって意外感がない。衝撃のはずのラストも何となく聞き流してしまう程度のものにしかなっていないが、これはナレーションのせいもあるだろう。 また前半は主人公が当然メインだが、後半に入ると主人公がラストのオチ以外はストーリーと密接な関係がなく、この人以外の人間関係が濃密すぎることもあって、そもそも不要な人物だったのではないかという印象が拭えない。アイドルの出演が前提の企画だったのだろうが、残念ながら半端な感じに終わっていた。 ちなみに興味本位で原作も読んだところ(上記サイトで無料で読める)、映画と同様に真相が転々としていたが詰め込み過ぎの印象はなく、また何より主人公男女の存在感がしっかりしているので(当然だが)安心して読んでいられる内容だった。原作のラストがけっこう感動的なのに対して映画の方は、原作のあとがきの言葉を借りれば「救いのないつまらない作品」になったように感じる。 なお映画の主演のアイドルは、世間的には有名かも知れないが自分としては知らない人であり、かえって邪悪なエリカ役で出ていた女優の方が別の映画で見て印象に残っていた。ほか若手の役者が相対的にしっかりした感じに見える映画であって、邪悪なエリカの兄役(馬場徹)が一途な若者という感じで格好よかった。
[DVD(邦画)] 2点(2018-06-30 20:29:34)
357.  イースターナイトメア 死のイースターバニー 《ネタバレ》 
ハロウィン・ハロウィン2・バレンタインに続く「ナイトメアシリーズ第4弾」とのことで、他の3つを見てしまったのでなりゆきで見た。今回は「日本初のイースターホラー」だそうで、復活祭というもの自体はまともなキリスト教の行事だろうが(そもそも知らないが)、それよりも本体に付随するイースターバニーなるものの胡散臭さに着目した企画ということか。ちなみに原作ゲームはこの映画を見る上でそれほど参考にはならないとの噂である。  内容としては全般的に低調で、映像的な見せ場がないことからすれば物語に重点が置かれているのかも知れないが、結局何がいいたいのかはわからない。真面目に語るのも野暮だが一つ書いておくと、もしかすると最後に裁判官の役を務めたのは主人公だったのかも知れないが、よほどこの主人公が清純で清廉な印象をあらかじめ出しておくのでなければ意外性も何もなく、そもそもキャスティングに無理があったように思われる。 もう一つ低レベルの指摘として、日本語として適切なのは「あなたを呼びます」か「あなたに呼びかけます」のどちらかであって、「あなたを呼びかけます」という言い方はありえない。これを書いた人物はよほど国語が不得意だったか外国人と思われる。  登場人物に関しては、まず劇中にバニーガールの扮装をする人は出ない。やるとすれば主演の人だったかも知れないが、バストの大きさが強調される服装が多いという程度で抑えている。この人のほかに男っぽい同級生役(女子)や、いたいけなウサギ役の人は別のところで出ていたのを知っているので自分にとっては無名の人々でもない。最も普通に愛らしく見える同級生役は知らない人だったが、現在は女子プロレスの道に進んでいるとのことで、何が起こるかわからない世の中である。
[DVD(邦画)] 2点(2018-06-30 20:23:07)
358.  HALLOWEEN NIGHTMARE ハロウィン ナイトメア 《ネタバレ》 
「ハロウィン ナイトメア2」(2015)の方は前に見たが、この映画の主演が「かぐや姫の物語」(2013)の主演声優だったとのことでこれも見た。「かぐや姫」の方はあまり可愛げのないキャラクターだったが今回は当然顔出しで、自然体で活動的な編集者の役がなかなかいい印象である。ちなみに劇中の編集長には美少女の娘がいることが次作で明らかになる。  基本的な性質としては低予算ホラーだが、監督と脚本家が「口裂け女2」(2008)と同じのため一応期待が高まらなくもない。短い映画ながら主人公をオカルト雑誌の編集者という設定にして、10年前から続く不気味な事件の謎を解明していく形にしている。日本でハロウィンのホラーというのは無理やりだが一応の説明は付けてあり、変な外来種を持ち込んだために、国内で被害が拡大していく結果を生んだ関係者は罪深いと思わせる。 また不自然さ(制作側にとっての都合よさ)をそれほど感じさせない作りになっており、登場人物の微妙にユーモラスな掛け合いや皮肉な物言いが気の利いた印象を出している。最初の事件が小平市といった地味目の地名だったことや、職場でフォトショップが使える、フェイスブックも効果がある(ない)といった具体的な事物が劇中世界と現実との距離を縮めていた。それにしても登場人物が何で「甲府事件」(1975)なるもの(ストーリーと直接無関係)を重視していたのかはわからない。スタッフの中にこの手のマニアでもいたということか。 視覚的には黒い霧などは安っぽいが、全体的には絞った形でスリリングな場面を設定している。最後の12分間を視覚化するための場所選定も(多少無理はあったが)効果的で、エンディングにつながるところも心地いい。主人公はよく頑張ったと言ってやりたい。  なお雑談として、主人公の友人が真昼間に襲われた場所は千代田区とされていたが、撮影場所は川崎市の武蔵小杉(中原区小杉町)にあるカフェだったらしい。いかにもただの古い住宅を改装した作りで、同種のものが「ハロウィン ナイトメア2」でも使われていたが、近年こういうのが好まれるようになっているということか。現地は「シン・ゴジラ」(2016)にも出たタワーマンションが林立する地区に接しており、長期的な土地利用でもないだろうが、空き家のとりあえずの活用方法としてはよさそうな感じである。
[DVD(邦画)] 5点(2018-06-30 20:23:04)
359.  ももへの手紙 《ネタバレ》 
監督の名字が「瀬戸内の民俗誌」の著者と同じだったため、この地方にはこういう名前の人が多いのかと思ったら実の甥とのことだった。学者の親戚ということで“妖怪は神の零落したもの”といったそれらしい知識は出ているが、劇中の主要妖怪は姿形を江戸の黄表紙本から取っているので土着性はないことになる。   ストーリーの方は、意外にもごく普通の出来事が淡々と起こっただけのように見える。夫を亡くしたことで母親が気負っていたのはありがちなことであり、また父親の残した言葉も娘には謎だったというだけで、本人をよく知る人物にかかれば誰にも納得できる解釈が容易に出て来る。いずれも自分の立場を離れてみれば簡単なことだが、子どもの目からは妖怪は見えても人間が見えてなかったということかも知れない。友人関係に関しても、劇中では妖怪が去ったことを契機にしてやっと子どもらの中に飛び込む決心がついていたようだが、実際は少年も妹も最初から主人公を仲間に入れたがっていたのであり、本人がその気持ちをいつ受け取る気になるかという程度のことだっただろう。 また今治へ集団で押しかけていたのも、本当にその結果として母親が救われたことを示す場面はなく、単に関係者の気持ちの問題ではなかったのかという気さえする。劇中の妖怪連中は結局、主人公にとって何ら決定的な役割を果たしていなかったように見えるが、しかしそれは前記のように、その存在が今日では人間社会にとって必須ではないという妖怪自体の性質を反映しているのだろうし、あるいはストーリー的に安易な神頼みをあえて排する意図があったのかとも考えられる。文字通り見守っただけというわけだが、ただし出来事の大事なところを補強し、あるいは強調してはっきり見せたことで、今回のことを主人公の心にしっかり刻み付ける役には立っていたかと思われる。   以上、結果的に悪い話ではないが、内容があまりに普通すぎて大感動作ということにもなっていない。しかし主人公の少女が変にリアルに可愛らしい(おしりを叩かれて「痛ぁーいっ!」と叫ぶのが生々しい)ので、やはり少しいい点にはしておきたくなる。友人の少年も実直そうな感じで悪い奴ではないようだ。また映像美が大きな魅力になっているのも間違いないことと思われる。
[DVD(邦画)] 7点(2018-06-24 13:09:56)
360.  きみの声をとどけたい 《ネタバレ》 
言霊を扱った映画は「学校の怪談 呪いの言霊」(2014)以来である(中身は全く違う)。 個人的には最後の展開が意外だった。まさかこうなるとは思わなかった。年少者向けアニメとはいえ一応は現実世界のこと(紫玉は主人公の主観的な現象という前提)として話が進んでいくので、キセキという名目で絶対あり得ないこと(皆が見ているところで紫玉が大量発生)を起こすとまでは予想していなかったわけだが、まあこれは初めからこういうものだったと割り切るしかない。意識障害からの回復は絶対あり得なくはないので、そういうことなら普通に奇跡として受け入れられる。 中心テーマのコトダマに関しては、悪口を言うと本人に返るというのは現実的な教訓だが、願いを言葉にすれば必ずかなうとも思われない。口に出すのが実現のための第一歩というならそうかも知れないが、それは努力家のお嬢様にこそふさわしい行動様式である。そこまでご立派でなかった主人公も、自分の言ったことを自分で受け取った結果として生きる姿勢を改めて、それがその後の就職につながった…と思えばいいのかも知れないが、どうも派手なキセキに気を取られて、まともな成長ドラマの部分が見えない気がする。  一方、音楽著作権には厳しい割に、その他社会通念は無視というのはこの手のアニメに必須だとでもいうことなのか。特に、いくら高校生の趣味的活動でも、商店街の協力者やリスナーを巻き込んだ時点でそれなりの責任が発生するのであって、病院の母親とさえ直接関係のない個人レベルの事情で放送を使うのには反感を覚える。いろいろ気に障ることは多いながらも、“これはほのぼの系アニメだから”と自ら宥めながら見ることを強いられて、それが最後に全部帳消しになるほどの大感動はない感じだった。 ちなみに劇中の女子高生が外見的にみな可愛いのはアニメなので当然として、人格的に最も魅力がないのは主人公だった(一般代表を兼ねているからか)。人間以外ではカエルの位置付けが半端である(仏様の化身?)。  なお余談として、「長寿の鐘 お題目を唱えてからおつき下さい。」と書いてあるのに主人公が完全無視していたのは自分が咎めることではないとして(この宗派に特に義理はない)、その方面では有名と思われる「龍ノ口法難」というのがこの辺のことだったというのは今回初めて知った。この宗派でも言霊は重要なのか。
[DVD(邦画)] 5点(2018-06-24 12:59:11)
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