Menu
 > レビュワー
 > かっぱ堰 さんの口コミ一覧。19ページ目
かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1248
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334
投稿日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334
変更日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334
>> カレンダー表示
>> 通常表示
361.  便利屋エレジー 《ネタバレ》 
便利屋営業の3人が、シングルマザーと家族の間をつなぐ話である。大人同士の関係ではもう動きが取れなくなった状態で、あえて子どもを中心にすることで物語が前に進んでいき、ラストは子どもの笑顔が嬉しいハッピーエンドになっている。柄にもなく子役の表情にキュンとさせられるところがあり、また料理が父子の距離を縮めるというのもいい話だった(ただし作ったものはちゃんと食え)。 やりすぎ、できすぎという面はあるだろうが、そこは架空のお話ということで問題を感じない。社長には過去の体験から、困っていても言い出せないでいる人を助けたいという思いがあり、また年長の社員も父親が原因で心に傷を残していて、それぞれの事情が行動を促す形になっている。結末も絶対ありえないわけではなく、劇中タレントの既成イメージにうまく乗せられれば今後の持って行き方はありそうな気はする。マネージャーの変心だけは少々都合よすぎかと思ったが、これもその前の場面で家族のつながりを見せつけられたからだと解される。 ネット上で観察した限り、日本中でほとんど誰も見なかったかのような印象もある事実上の超マイナー映画だが(著名レビューサイトでも現時点で投稿が1~2件)、見れば意外に泣かされる話だったので少しいい点にしておく。 なお登場人物では、元AKB48の永尾まりやという人が夜の仕事で子育てしているシングルマザーになっている。女の子でもないがくたびれてもおらず、ほどよく華のある母親役だった。
[DVD(邦画)] 7点(2018-06-17 10:08:43)
362.  口裂け女VSカシマさん<OV> 《ネタバレ》 
ひたすら逃げる映画である。最初の出現時には、歩道のフェンスも自転車小屋も乗り越えてひたすらカメラと鎌が迫るのを見て少し期待できるかと思ったが、その後はただ逃げるだけになる。夜になって登場人物がやっと周囲に助けを求め始めたので少しずつ進歩しているのかと思ったが、同じ行動様式を最後まで続けるのでは呆れてしまう。 しかし途中でこれは画期的だと思ったのは、人のいないところばかり狙ったように走っているのを登場人物が自覚していたことである。これは制作上の都合を登場人物に語らせるメタフィクション構造ということか、あるいは観客の心理を代弁させたということなのか。また宣伝に出ていた「渾身の長回し」というのは、地下駐車場で柱の周囲を回る場面がそうだったのかも知れないが(前後含め約5分)、見た結果としての感想は「さっきの、何だったの」「おれもわかんねえよ」という発言の通りで、ここも登場人物と観客の一体感をわずかに出していた。  今回登場の二大キャラクターはそれぞれ独立の存在のはずだが会えば対立するようで、ゴジラのような二足歩行怪獣の脅威が迫ったところに、脇の方から別の怪獣がのそりと這い出して睨み合う、といった昭和怪獣特撮を思わせる場面もあった。ちなみに二大キャラクター以外にヒトコワ系変質者が出たのは唐突で意味不明だったが、ここは何らかの必然性があったのかどうか。 最後に追い詰められた(自分で追い詰まった)場所は、「SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ」(埼玉県川口市上青木3-12-63)の屋上だったようである。ここでの出来事も理解不能だが、あえて解釈すれば都市伝説のキャラクターは人の心の負の感情からできており、破裂して飛び散ったものを浴びた2人がそれぞれの内面をさらけ出してぶつかり合ったことで相互理解に至ったという感じか???? …結局よくわからないが、ちなみにいえば口裂け女の本質が「追いかけても届かない」ことだというのでは恐れられる理由がなくなり、存在意義まで危うくなるので納得できない。ただ最終的にラブストーリーだったらしいのは大変結構なことで、少し前までAKB48所属だった永尾まりやという人のキスシーンもあったりするので軽くは扱えない。 以上、最大限真面目にコメントしようとしたが、褒めるには申し訳ないが能力の限界がある。出演者・制作スタッフには今後の活躍を期待する。
[DVD(邦画)] 2点(2018-06-17 09:57:44)
363.  リアル人狼ゲーム 戦慄のクラッシュ・ルーム 《ネタバレ》 
「リアル人狼ゲーム」(2013)という映画に続く第二作という扱いらしい。「人狼ゲームを題材にした」とされているが、驚くべきことに人狼ゲーム自体は出て来ない。グループの中に殺人者が混じっていて人が次第に殺されていくのを人狼ゲームに見立てたのだろうが、それにしてもよくここまで堂々と開き直るものだと思う。なお自分としては人狼ゲームを見るのが目的ではなかったので別にどうでも構わない。  前作は見たことがないが、今作は(も?)基本的には密室サスペンスといった感じのもので、マンションの一室にたまたま集まった8人が殺されていく展開になる。メインテーマのような曲とか仕掛人の人物像からすると古風なミステリーの雰囲気でも出そうとしたのかと思ったが、そもそも未知の科学力だかオカルトだかわからないネタを使っているわけなので真面目に考えても仕方なく、これで最終的に辻褄が合っていたかも不明である(考える気がない)。また全般的に登場人物の考え方や行動に人として不自然な点が多く、「前作よりも緻密なストーリー展開」とされている割には緩い印象があるわけだが、それより専ら意外性が重視されていた気はしなくもない。発端になった出来事の真相などはありがちな感じだったが、何より人が死んでいく順番が意外だったとはいえる(1人目を除く)。  ちなみにこの映画は当時AKB48所属だった永尾まりやという人の初主演映画ということになっているが、登場人物の中で唯一特殊な立場というだけで、終始大活躍でもなかったのはかえって妥当な扱いかも知れない。また若手女子では花村裕加という人(後の小西キスという人?)も結構目立っていたが、2人とも唇が特徴的なので重複感があるというか何かこだわりがあったということか。もう一人、少し年上で落ち着いた感じの所里沙子さんは、これまで見てきたところでもあまり派手な役がなかったので今後に期待したい。
[DVD(邦画)] 3点(2018-06-17 09:57:41)
364.  ホワイトアウト フローズン・リベンジ 《ネタバレ》 
邦題は気分的なカタカナ言葉を長々と連ねているが、原題の”Прячься”というのは隠す/隠れるという意味の動詞の単数命令形のようで、要は「隠せ」とか「隠れろ」の意味かと思われる。 日本向け宣伝では「クローズド・サークル・サスペンス」とされており、非常に真面目な作りで変な見せ場は全くない(オカルト・SF・ファンタジーなし)。人里離れた測候所で消息を絶った5人と、後日、それを捜査に来た捜査官2人を中心に、何が起こったのかを次第に明らかにしていく物語で、時間差のある出来事が並行して進んでいく形になっている。それで特にわかりにくいわけではないが、最初に時間を遡った場面で、画面の左下にロシア語で「二日前」と表示されていたのを字幕で説明していないのは不親切である。 世間的な評判としては悪くないようだが、自分にとっては申し訳ないがそれほど感慨深い話でもなかった。ただし名探偵の相棒を気取っていた若手捜査官が、最初に自ら進んで残留したのが残念な結果になったのだなとは思う。また昔起こった殺人の理由は不明瞭なまま終わったが、こういう国ではそういうことがよくあった(ある?)のだろうなと思わせる台詞は出ていた。  なお舞台の測候所は高地にあり、それほど厳寒期でもなく地表面も見えるので「ホワイトアウト」の状態に至る場面はなかったが、天候によっては全く視界が効かなくなり、また晴れれば遠くの平地まで視界が広がって開放感が生じるといった変化は出していた。序盤のヘリコプターで空からしか来られない場所ということが印象づけられるので、当方としては字幕に出ていた「ウラルから極東まで」のどこかをイメージしていたわけだが、実際の撮影場所はクリミア半島だったらしいのは意外だった。そういうつもりで見れば、遠方の都市部のように見える場所はクリミアの首都シンフェロポリかという気もするが、そのように思ってしまうとかなり興醒めである(シベリアとかだと思いたかった)。 そのほか登場人物に関して、妻役の女優はハンガリー生まれのロシア人で、NHKの「坂の上の雲」にも出演したマリーナ・アレクサンドロワという人だが、この映画では単なる化粧の濃い美女であって特に可愛く見えるところはない。19歳の男を誘惑する30歳の女(女優の年齢は27~28歳くらい)という役どころで、素っ裸になりそうでいてならないのはちゃんと抑制がかかっている。
[DVD(字幕)] 5点(2018-06-10 19:30:00)
365.  HALLOWEEN NIGHTMARE ハロウィン ナイトメア2 《ネタバレ》 
名前からすると「ハロウィン ナイトメア」(2015)の続編らしい。前作は見ていないが、これ単独で見る限りはストーリーなどどうでもいいように見える。ほとんど空虚な映画だが、そこを何かが起こりそうなこけ脅しと、主演女優の映像で埋めて1時間にした感じである。 こけ脅しに関しては、いかにも何かが起こりそうでいて、何もないまま次の場面に移って束の間の安心感を生じさせるのは、中身のないホラー映画の典型のようでもあるが実はそれほど嫌いでない。また女子高生4人組がメインと見せておいて早々に脱落者を出してしまい、主演女優ばかりが終始目立っていたのも結果的には悪くない。武田玲奈さんの初主演映画らしいが(自慢にもならない感じだが)、この人の顔はもちろんすらりとした体型を含めた全体像を印象づける映画になっており、そっちの方が真の製作目的かとも見える。 また、どこかのショップ(注:原宿に直営店があった輸入コスチューム・ランジェリー販売店)で「かわいい」連発の映像を延々と流すとか、カボチャの投げ合いをまた延々と続けるとかを含めて全体が1時間なわけだが、終盤のパーティ会場の怪しげな空間(注:東武線曳舟駅近くのダイニングバーを借りたらしい)での妙な高揚感も含めてgirlyな色付けがなされており、これがエンディングにも引き継がれて変な余韻を残す映画になっていた。 ほか細かいところでは、女子2人が走って逃げた場面で傘が裏返ったとか、2人目の失踪場面で背後に宅配便のトラックが意味ありげに停まったとか、主人公が友人を探しに出ようとして少し突っかかったとかいうのは意図不明だった。しかし女子2人の後を追ってストーカーが出て行ったところの流れは好きだ。  ちなみに山下洋助監督は、この少し前の「リスナー」(2015)というオムニバス映画で「RADIO GIRLS」というのを見たことがある(女子高生4人の太ももが見どころとのこと)。その時点で東京芸大の院生だったはずだが、当時からこういうことをやっていたらしい。 そのほか余談として、主人公の父親が関わっている月刊誌に「比謝愛未VS狐憑き」という記事があったので“比嘉”愛未ではないのかと思ったが、今野敏という作家の「心霊特捜」という小説に比謝里美(ひじゃさとみ)という登場人物がいて、「狐憑き」というエピソードもあるらしいので読んでみるかという気になった。映画化の素材としてもいいかも知れない。
[DVD(邦画)] 3点(2018-06-09 16:35:54)
366.  バレンタインナイトメア 《ネタバレ》 
「ハロウィンナイトメア2」(2015)に続くシリーズのようなものらしい。前作もちょっとどうかという感じだったがこの映画に関しては、予算面のほかにも例えば(素人がいうのも何だが)よほど時間がなかったとか、あるいは3時間くらいに作ってしまって無理に短縮したとかいうような、何かの事情があったのではという気がした(真面目に作ったという前提でいえば)。特に“フランケンシュタインの怪物”の件が唐突で、何がいいたいのかは薄々わかるとしても、それが今回の事件全体とどう関わっているのかがわからない。 ちなみに大事なところでオーケストラ付きの歌曲(リヒャルト・ワーグナーとのこと)が流れるのは別に好きではないが嫌いでもない。が、エンディングで出ていた邦訳で、自称が基本的に「僕」だったのに一か所だけ「私」だったのは、仮に何か意図があったとしても変である。この歌詞とストーリーとの関係もあまり明瞭でない気がした(要はあの場で死んだということか?)。  また最も不満に思ったのは、主演女優の魅力がほとんど出ていないことである。役柄との関係なのか演出なのかその他の理由かわからないが、他の映画で見た時の(2回だけだが)強力なオーラのようなものが感じられず、単なる普通の女子のように見えている。かえって死者役の芋生悠という人が、特殊メイクなしだといい感じに見えた。また他の映画では名もない端役に甘んじていることもある佐々木萌詠さんが、今回は目立つ役だったのは個人的に嬉しい(また悪役だ)。もう一人、加納美香役の藤井衣瑠花という人が頑張って演技していたのは目についた(少し笑ってしまうところもあったが)。 ちなみに監督の今野恭成という人物は、この少し前の「リスナー」(2015)というオムニバス映画でも名前を見たことがある。今回は監督・脚本・撮影・編集を一人でしていたようでご苦労様だった。
[DVD(邦画)] 2点(2018-05-24 18:58:26)
367.  かぐや姫の物語 《ネタバレ》 
一般論としては“生きるために生まれてきた”というのが重要なように見える。映画を見ていると、なんで登場人物がそんな大事なことを都合よく忘れるのか?と思うわけだが、しかしそれを忘れて生まれるのは姫だけでなく人間全部が同じと思えば、少なくとも若年者に対しては劇中世界を超えた普遍的なメッセージになっている。 姫の犯した罪と罰というのは意味がわからなかったが、生きる苦痛から逃れようとしてこの世を去らねばならなくなり、親を泣かせた上に自分がしたいこと、すべきこともできなくなったのが罰なのだろうとは思う。それにしても逃げに走ったのが一瞬だけだったのに、いきなり召還というのは酷な気もしたが、それは罰というより父親が早く実家に呼び戻そうと待ち構えていた感じだったのではと思ったりする。  ところで最後の迎えが阿弥陀来迎図なら、西方極楽浄土(いわゆる極楽)が月にあるような設定ということになる。現代では天国とか極楽とかいったものがディストピア風に扱われることが多い気がするが、しかし昔は生きること自体が本当に過酷だったからこそ、輪廻を離れて永遠の安穏が保証された世界を願ったという面もあったのではないか。それを安易な逃げとして簡単に否定してしまう今の日本はよほど恵まれた時代なのかも知れない。また歴史的に見れば、実際に平安末期から大流行した浄土信仰を否定して終わったようなのが時代に逆行した感じで変な気もする。 自分としては残念ながらあまり心に染みるものはなかったが、しかしここのレビューを見ていると結構さまざまな見解があってなるほどと思わされる。そのように見た人それぞれの反応を引き出せる深みを持っているのは、この映画が優れた創作物であることの一つの証明かも知れない。  ほか余談としては姫の屋敷がそれらしい感じの寝殿造りで、東に中門があって西に釣殿があり、実在した「東三条殿」を模したような構造だったのが興味深い。こういう建物が出て来るからには劇中年代は平安時代ということになる。また富士山から煙が上がっていたのは芸が細かい。 登場人物では「車持皇子」の一人芝居に笑った(これはやりすぎだ)。「御門」の顎はハプスブルク家の真似ではないか。また、ひときわ雑な顔をしている「女童」は、最初は不気味に思ったが、結構愛嬌があって可笑しいキャラクターなので和んだ。これはこれで有能な人物なのだろうが何歳の想定なのか。なんで田畑智子さんがこんな役をやっているのかもわからない。
[DVD(邦画)] 7点(2018-05-19 00:00:09)(良:1票)
368.  聯合艦隊司令長官 山本五十六―太平洋戦争70年目の真実― 《ネタバレ》 
[2018-05-12文章修正、主旨は同じ] 原作を読まないで行ったが、平和平和と連呼する映画ではなかったので安心した。テーマとしては受け入れやすい内容で、単なる過去の解釈ではなく、現代に向けたメッセージとして受け取れる。いまだに固定観念にとらわれたり広告宣伝に左右されがちなところもある中で、特に若い世代や無党派層に向けた映画のつもりかも知れない。序盤でいきなり新聞社の主幹が皮肉を言われる場面は痛快だった。 ただし評判のいい山口少将(や小沢治三郎中将)などを持ち上げておいて、南雲中将などを悪役にしているのはわかりやすいとしても、都合の悪い点はみな悪者のせいにしてしまっているようで本当なのかという気にはなる。原作がそうなっているのかも知れないが、史実としては割り引いて見ておくのが無難かも知れない。これを見て山本五十六を英雄のように崇めるのでは、それこそ映画のテーマに反するように思う。  映像面は、特にこだわりのない一般人としては満足がいくものになっている。昭和のミニチュア特撮を見慣れた人間としては、いわゆる特撮補正をかけなくとも本当らしく見える艦艇が出るだけで感動する。 またテーマにもかかわる若い新聞記者とのやり取りや、前線の視察を言い出したあたりの泣かせどころもあり、娯楽映画としては合格と思われる。ただ少し不満だったのはエンディングの歌であって(ピアノの音も不要)、オーケストラだけのしんみりした曲でよかったと思うが、まあ全体としてはわざわざ見に行く価値はあったものと思う。 なおNHKの「坂の上の雲」とキャストが一部かぶっており、最終回を見たばかりだったので変な気がした。  [2018-05-12追記] 久しぶりに見た。没後75年になったが、今でも大義を振りかざして我を張るとか、綺麗事の観念論に酔って現実を見ない人間が多数いる限り、日本は何度でも負けるという気がした。
[映画館(邦画)] 6点(2018-05-12 10:56:08)(良:1票)
369.  ポエトリーエンジェル 《ネタバレ》 
田辺・弁慶映画祭第10回記念映画とのことで、撮影の多くが和歌山県田辺市で行われている(他に栃木県)。田辺市は全国を代表する梅干しの産地らしく、主人公を梅農家の息子という設定にしたことで、あまりくどくない適度なご当地映画になっている。 「詩のボクシング」というのは実在の競技で、表現手段としては狭く「詩」限定ではなく散文でも詩吟でも何でもありということらしい。劇中で出場者が「詩」とはとても思えない好き勝手な表現をしていたのも、それ自体は咎めだてするようなことではないようである。  監督によれば「誠実に作ったつもり」とのことで最終的にそうなっていたのは当然として、しかし序盤はかなりふざけた映画という印象が強い。特に最初の練習試合では、こんな出鱈目な連中を部活で真面目にやっている生徒と対戦させるのは無礼ではないかとも思われた。メンバーは変人ばかりだが、特にサークルの指導者が怪しすぎるのとやかましすぎるのと適当すぎるのとバカすぎるのが極めて不快で、こんなのを記念映画にしてしまっていいのかという気分だった。 ただその間も主人公男女のまともなドラマが展開していき、後半の試合では発表内容も少しましになる。それまで停滞していた主人公のアイデアも、やっと父親に聞かせるだけの実のある内容に発展したようだった。また、ずっと攻撃的防御の姿勢で固まっていた少女が、劇中初めて皆の前で率直な思いを一生懸命告げたのは当然ながら少し泣かされた(これで負けたというのが信じられない)。ラストの笑顔にもまた和まされ(こういうのに弱い)、結果的にはいい印象を残す映画になっていた。 なお試合の場面は競技かるたなどと比べて緊迫感はなく、個々の発表内容もそれほど感心はしなかったが、高校生は真面目なのが比較的多いのでよかった。自分としては最初の対戦での「詩吟の板屋」の発表がシンプルで好きだ。  キャストに関しては、主人公男女のうち男の方は前から知っていたが、少女役の若手女優は今回初めて存在をしっかり認識した(正確には直前に見た「咲-Saki-」(2017)から)。同じ監督の短編映画「チキンズダイナマイト」(2014)に続いてのキャスティングとのことで、当初の取り付く島のなさそうな固い表情と、殻を外した状態でのかよわい素直な表情の対比が印象的だった。また富田望生という人にも注目していたが、今回は可愛く押し倒される役だった。
[DVD(邦画)] 6点(2018-05-06 19:58:26)
370.  バニラボーイ トゥモロー・イズ・アナザー・デイ 《ネタバレ》 
近年、邦画のロケ地として栃木県がのしてきているようで、この映画でも最初から栃木県が前面に出ている。自分が気づいたところでは旧・喜連川町(現・さくら市)と宇都宮のオリオン通りが出ていたが、このまま最後まで栃木県では映像的に地味だろうと思っていたら後半は本物の沖縄に行ったようで、うるま市のゆるキャラ「うるうらら」が狙撃されて倒れたのは気の毒だった。 ストーリーとしてはただの高校生が世界の命運を左右するタイプの大それた話で、終盤などは一応スリリングな展開になっているが、そもそも主要キャスト3人をジャニーズJr.で固めた企画なのでたかが知れるところはある。NERV風の演出とか「宇宙人、未来人…」とか、微妙に既成アニメのパロディに見えるところもあるがだから何だという感じである。基本的にはコメディだが全編にわたって笑えるわけでもなく、寒いギャグが多い中で部分的に可笑しいところもあるという程度だが、個人的には「今日、恋をはじめます」とウィキペディアはツボだった。 なお少し感心したのは、NSAという略語の意味が2つあったということである。また1999年7月生まれの「恐怖の大王」が出て来るので、昭和年代から生きてきた者としては、もうこのネタをこういう風に使える時代になったのかと感慨深いものがあった。  ほか登場人物としては、男を見るためだけの映画かというとそうでもなく、マネージャー名目でついて来ていた女子2人(演・美山加恋、山崎萌香)も可愛く撮られているので、そこを目的にして見るのも変ではない。他の生徒役ではイケメンにデレデレしていた女子(演・北村優衣?)には笑った。またヒロイン役の竹富聖花(当時)さんはこの人に似合いのクールな美少女役だが、今回はアクションもあっての大活躍で、「女の子なのに!」のところはそうだそうだと言ってやりたくなる(反論は認めない)。この人にはどうか今後とも頑張ってもらいたい。
[DVD(邦画)] 4点(2018-05-06 19:58:22)
371.  氷菓 《ネタバレ》 
原作もアニメも抜きで映画から見た。公開中から大爆死とかいう評判だったが、これだけ見れば別に悪い映画には思われないので、人気のある原作やアニメ(特にアニメ?)に便乗しようとする企画姿勢が反感を買ったのだろうと思っておく。映画の最後はまだまだ先がありそうな雰囲気で終わっていたが、以後の映画化はなさそうで寂しい気もする。  内容としては、ミステリーにふさわしく彩度を落とした暗めの映像だが陰気でもなく、特に最初は結構ユーモラスな展開で、「ラッキーアイテム」のところの人物の動きとか顔のイラストなどには笑わされた。しかしそれで羽目を外すわけでもなく、学園もののイメージを保ちながらテンションを抑えた劇中世界を作っている。メインキャスト4人は高校1年生というには無理のある役者ばかりだが、それは他の映画でもよくあることで、この映画ではかえって落ち着いた雰囲気につながっている。 登場人物としては、個人的にはヒロインの「私、気になります」の顔がかなり好きだ。温和でおしとやかに見えても有無を言わさない迫力があり、自分も腕を掴まれて謎解きを強要されてみたくなる。もう一人の女子は高校生ながら可愛いとも断言できない微妙な役だが悪くない。また問題の人物は、高校時代の面構えがなかなかよかったが、失踪直前の物悲しい表情も心に染みる。 ストーリー的に変だと思ったのは昔の事件で、問題の人物が生贄にされた経過が不自然だったことである。しかしそのような理不尽に対してこそ団結して斗争すべきところ、全員が保身を図って沈黙したというのがリアルかどうかは別として、この頃の騒動などその程度のものだった、と見切ったような筋書きだったのは面白い。ちなみに江戸時代の民衆運動なら、代表者は本当に生命を失う覚悟が必要だったわけである(岐阜県内の例では郡上一揆)。  なお映画の後で原作(小説)を読むと、付加と省略はあったがかなり忠実に映画化されていたようである。映画にあった「千反田が納得することだ」という台詞は原作にはなかったと思うが、真に必要なことを端的に言い表しているという意味では悪くない。また問題の人物が今いる場所を推定してみせる場面が原作にはなく、これは「納得」の具体例として映画で付加したものかも知れないが、それ以前の場面であらかじめ失踪場所への言及がなかったため、主人公の発言が若干唐突に感じられたのは惜しい。
[DVD(邦画)] 7点(2018-04-30 23:58:10)
372.  たたら侍 《ネタバレ》 
公開中はかなりの悪評だったようだがなるべく素直に見るようにした。DVDで見たので編集後のバージョンと思われる。 大まかにいうと、まずは奥出雲で製鉄の技が受け継がれてきたことを紹介し、さらに時代を戦国期に設定することで、「侍」に関する思いをそこに込めたという感じに取れる。しかし結果的には褒める気にならない映画だったので、その理由をなるべく手短に書いておく。  (1)全体構成の問題として、製鉄の伝統が途絶えそうになる危機が発生するわけでもなく、主人公のせいで一時的に混乱しただけで、事件前後で村は何も変わらなかったように見える。それはそれで変わらないこと自体の表現かも知れないが、しかし主人公の人格形成という面でも、結果的に父親や先代と同じ認識に至っただけで、あの頃おれは馬鹿だった、という物語にしかなっていない。あってもなくても同じだった(と観客の立場で思う)出来事を映画にしても、ドラマとしては弱い気がする。 (2)物語の展開に納得できない。主人公に関していえば、若者の純粋な思いと愚行と挫折、といったことが自然に受け取れず、一体この男は何をやっているのか???という疑問の方が先に立つ。また近江商人がわざわざ奥出雲まで出張って来て姑息な手段で村の支配を目論んでいたようだが、普通に考えれば劇中の発言通り「(織田が)攻め込んで来るはずがなかろう」で終わりであり、これで騙される筋書き自体が不自然である。 (3)「侍」ということに関しては、戦国時代なのに観念論のような武士の心構えなど語られても現実味がなく、またそれで結局何がいいたかったのかも不明である。劇中の村の状況を見ると、一定の制約のもとで自衛力を保持するが戦争はしない、という戦後日本の状況を容認しているとも取れるが、しかし主人公が広い天下の情勢を見てからの企てが失敗したことからすれば、あえて視野を狭めて外は見ないで武器は嫌いだ戦さは嫌だと閉じこもるのが理想だというようでもある。そういういわば社会的メッセージのようなものがありそうでいて、実際あるのかないのか不明瞭なので非常に気持ち悪い状態だった。  なお出演者に関しては、ダンスグループのメンバーには当然関心がないが、石井杏奈という人は顔を見ていると和むので好きだ。今回はダンスでもなく舞いの場面をわざわざ入れていたようである。ほか田畑智子さんも嫌いでないが、今回は何だかよくわからない役で残念だった。
[DVD(邦画)] 4点(2018-04-30 23:58:07)
373.  恋と嘘 《ネタバレ》 
原作とアニメは見ていない。もともと少年マンガか少女マンガか判断がつきにくいものらしいが、少なくともこの映画はまるきり少女マンガ原作風で、見るのにかなりの忍耐を強いられる。主な対象層の人々はどう思うかわからないが、個人的には主人公の言動がいちいち気に障り、嘘を表現するわかりやすいサインとか、同性の級友が登場するタイミングまでもが苛立たしく見える。 主演の森川葵という人は本来何でもありの役者と思っていたが、この映画に関しては単に役をこなしているだけのようで面白味が全くない(可愛くも見えない)。いくら演技派若手女優でも、さすがに合う/合わないということはあるのではという気がして来た。脇役だった「先生!…」(2017)の方がよほどこの女優を生かしていた気がする。  かろうじて出発ロビーの場面だけは少し心に訴えるものがあり、ここではヒロインもおバカな女子高生という縛りを外して普通に恋する女性になったように見える。そこから外国のような場所に飛んで、あとはどうなったのかわからないがとりあえず幸せだったというのなら、もう突っ込む余地もなく、それなりのハッピーエンドとして受け取れたところである。 しかしエンドロール後の追加部分がまたよくわからない。選ぶのが下手なヒロインにここで改めて選択を迫ることで、観客にも同じ問いを投げかけようとする意図かも知れないが、それにしても結局2人とも食べちゃいました、という方向へ持っていきそうな感じで釈然としない。誰を喜ばせるための映画か不明だが、とりあえず男は見なくていいとはいえそうである。  ちなみに全くどうでもいいことだが余談として、宣伝上は「恋愛禁止の世界」と書いてあるにもかかわらず、実際は強制ではなく実質的な不利益を被るだけであるから割と現実味のある制度であり、少女マンガ原作風映画にふさわしいソフトな設定といえる。劇中で厚生労働省の役人が責任逃れしていたのを聞くと、一応は当人同士の意思が優先する建前なのがわかる。 高校生の年齢で早目に結婚させるのは、生涯に産む子どもの数を増やす目的だと思われるが、それが経済的な活力の低下に結びつくことはないのかというのが率直な疑問である。しかし社会的な貢献度の高そうな男とそうでない女を組み合わせて、どうせろくに働かないであろう女にはできるだけ多くの子どもを作らせるという意図なら、なかなか考えた制度なのかも知れない。
[DVD(邦画)] 3点(2018-04-21 21:01:29)
374.  2085年、恋愛消滅。 《ネタバレ》 
冒頭から出る文字のフォントとか、全編にわたる視覚効果や各種小道具によってレトロでファンタジックかつ作り物感とチープ感のある世界像を作っている。非常に安っぽく見える映画だが、あえて狙ってやっているのだと言われればそれまでである。時々出るモニターの出現の仕方などはけっこう気に入ってしまった。 基本設定に関しては、2014から連載されて2017年に映画化もされた「恋と嘘」の影響を受けている可能性もある。劇中世界の状況に関する解説を聞いてもそれほど現実味がある気はしなかったが、最大の問題が少子化であって、男女雇用機会均等法をその発端に位置づける感覚自体は理解できる。劇中の国の政策は、現実に地方の公的機関などもやっている婚活イベントを国家プロジェクトとしてやるようなものと思えばいいらしい。 運営側のスタッフは実はみな90歳以上とのことで、恋愛に消極的な若者にハッパをかける年長者という位置づけになっているが、2085年で仮に90歳とすれば1995年生まれで出演者と同世代ということになる。この映画の対象層も同じくらいだとすれば、こういう未来を回避するために、今の若者に奮起を促そうとする映画というつもりかも知れない。  お話の方は「恋愛合宿」とのことで基本的にはラブコメ調だが、全国最高レベルの超奥手集団という設定のため、ひたすら素朴な失笑ラブストーリーになっている。また主人公の妹が可愛らしいので和む。 国の意向に従わなければ処罰というような、国家による圧迫を示唆するディストピア風の設定もあるが、「国の思惑なんかには負けたくない」というヒロインの台詞からすれば、社会は社会として自分は自分という主体性はきっちり確保されていたようである。「R地区」「P地区」の設定を悲劇的に使うのかと思っていたが、人生の多様な充実感を表現する方向につながっていたようで安心した。 なお点数としては、普通に映画として見ればいい点はつけられないが、個人的に話の内容が嫌いでないのと、ヒロイン役の溝口恵という人のカラッとした感じが好きなので少し上げておく。
[DVD(邦画)] 5点(2018-04-21 21:00:06)
375.  先生! 、、、好きになってもいいですか? 《ネタバレ》 
チケットカウンターで名前をどう言えばいいかと考えていたらいつの間にか自動発券機に変わっていたので言わなくて済んだ。 教え子と結婚した高校教員といえば自分の担任の例を知っているが、そのほか部活顧問の教員が部員の女子生徒に長年にわたり取替え引替え手を出していたのを放置し続けたのもうちの高校である。これは卒業生として許しがたいことで、その間の歴代校長は全員腹を切れと言いたいところである(実際に陰で言っている)。  それはそれとしてこの映画に関しては、原作20巻には何が描いてあるのかと逆に思うほど2時間ですっきりまとめた形になっている。結末はありきたりで通俗的ではあるが、本来の対象層(劇中ではヒロインの友人2人)の期待を裏切らず、現実社会の秩序にも配慮した理性的な作りになっている。 また実は劇中教員の一度の過ちも、純粋な情の問題としてはわからなくはない。自分でさえそう思えるだけの説得力があり、そもそも教員の行動様式が自分に似たところがあるので突き放して見られない。自分のような年齢性別の人間に見せようとした映画とも思われないが、原作の読者だった人々も恐らくもう30代くらいにはなっているはずで、中高生限定というより広く一般の共感を得られるようにまとめ直した映画ということかも知れない。  ところで自分がこんなものをわざわざ公開初日に映画館まで見に行ったのは森川葵という女優が出ていたからだが、いかにもこの人に期待されそうな役が振られているので意外性がない。一方で比嘉愛未という人が、ちょっと惚れてしまいそうな感じの顔で出ていたのは好きだ。そのほか特に、ひたすら純真で一途なヒロインの姿が非常に印象的で、今さらかも知れないが今回はこの女優の役者ぶりに少し感動した。  [2018-04-21追記] 映画は映画館で見た方がいいと思うのが普通だろうが、逆に他人のいる場所では最初から感情を抑制してかかるので素直に見られないという面もある。DVDが出たので自宅で見たところ、特に前半ではヒロインの純粋さが愛おしく思われて非常に切ない。この女優がやっている劇中人物をこれほど可愛いと思った映画は今のところ他にないので、この機会に点数を+1としておく。 ちなみに後半では、個人的には大人の立場で「魔が差した」の場面がよかった。やはり自分としてはヒロインの友人2人には同調できないので、北高の藤岡君に頑張ってもらえないかと思ったりした。
[映画館(邦画)] 7点(2018-04-21 14:28:18)
376.  君の膵臓をたべたい(2017) 《ネタバレ》 
原作は読んでいない。事前の印象としては、奇抜な名前で人目を引いておいてからベタに泣かせようという魂胆が見えるようでまるでライトノベルかと思ったが、実際見ても「膵臓をたべたい」という言葉が物語から自然に導かれたようには思われず、やはりタイトルが先で理屈を後付けした感じになっている。 その一方ではとにかくヒロインの笑顔の魅力が絶大で、どうせラノベ並みの通俗映画だろうと突き放そうとしても抵抗不可能である。というより実はもともとこの人が目当てで見たわけなので、最初に図書館で幻影が現れたところですでに感動してしまった(あまりにも可愛い)。この人なら多少の都合のよさも許容して行動人格全部を素直に受け入れてしまうので、これはキャスティングの大成功と思うしかない。スイパラでのやりとりは脱力するほど可笑しく、またお泊り旅行での楽しげな様子も嬉しくなるが、最初から病気とわかっているので笑いながらも心は痛む。 また全体的にも結構悪くないと思ったのは、主人公男女が互いに「膵臓をたべたい」と思うのがわからなくはなかったからである。特に男の方には個人的に共感してしまうところがあり、「お門違い」という表現を自分はしないが気持ちはわかるので、そんな奴でもちゃんと見ていてくれる相手がいるなら嬉しいだろうと思う。見た目から入るのではなく人として心を通わせるのが先、というのもいい話だが、ただしこの映画ではヒロインが超カワイイ系美少女で男もイケメンのため、外見優先でないという本来のコンセプトから外れてしまっているのが最大の問題点かも知れない。 何にせよ万人が自分のこととして見るような映画ではないだろうが、しかし12年後の図書委員と森下さん(笑顔がかわいい)の関係は一般人に少し近い雰囲気を出している。この2人にはぜひ仲良しになってもらいたいが、ただしそれならそれでちゃんと生きていてもらわなければ困るわけである。  [2018-04-17追記] 原作を読んだ。若年者向けの小説だが、だからこそ人の心を無遠慮に突き刺す(今さら言われたくない)言葉が盛りだくさんのように思われる。個人的には原作で主人公の母親が「私は嬉しい」と言ったところは映画にも入れてもらいたかった。 そのほか原作との比較で残念なのは、省略のせいでいろいろ半端になっていることと、やはり映画で付加した12年後の部分に不自然な点が多く、観客に突っ込みを入れられても仕方ない状態になっていることである(自分は寛容な性格なので見ないふりしたが)。そもそも12年も待たずにすぐ心を入れ替えてもらいたかったものだが、しかし12年後の図書委員と森下さん(演・三上紗弥)にだけは否定的になれない。この2人はかなりいい感じである。 ほか題名の意味に関しては、原作だと誰でも知っている慣用句で端的に言い表せるので誤解のしようがないが、映画では変に深読みを誘うよう改変されているのが好ましく思えない。ただし自分としては、映画を見た段階でも原作と同様に受け取った(その方が解釈として簡明なため)ので、制作側の小細工は自分に対しては無効だったということである。
[ブルーレイ(邦画)] 7点(2018-04-17 22:29:31)
377.  白魔女学園 オワリトハジマリ 《ネタバレ》 
前作から2年経っての新作ということで、前作がよほど好評だったからかというとそうも思われないが、あるいはその間に「でんぱ組.inc」というグループ自体の存在感が高まったからということかも知れない。 物語としては前作のかなり厳密な続編になっているが、そもそも前作自体がよくわかっていない上に、今回はまた黒魔女学園などというものが出て来て心の整理が追い付かず、さらに貴公子然としたイケメンが頭ポンポンしたりするのでわけがわからなくなる(ちなみに22歳くらいの男が26歳くらいの女性の頭をポンポンしていることになる)。しかし最終的には前回も出ていたように、個別の救済をこえて根本的な変革を求めようとするストーリーであって、それを前回も頓挫した「支配」で実現するのでなく、全く別の方法をもって主人公が達成したということのようである。 映画宣伝によれば「想像を超える神展開」とのことで、終盤に至ると確かにその通りとは思ったが、創世記まで遡るのはエヴァンゲリオン(「セフィロトの樹」も出る)、主人公が最後に断行したことは“まどマギ”のようで、あくまでどこかで見たことのある範囲での壮大な展開である。しかし「普通の女の子」を守りたいという点はちゃんと一貫しており、白魔女6人勢揃いで大活躍する感動のクライマックスを見れば、結果的には魔法少女モノを目指した展開だったことがわかる。また今回はピアノソロのエンディングが静かな余韻を残していた。  登場人物としては、グループ全員を出演させるために一度死んだ人間も引っ張り出す形だが、復活した5人のうちなぜか1人だけが先輩で、この先輩までが小指にピンクのマニキュアをしていたのはさすがに変だ。前回から2年も経っているので、高校生というにはさらに厳しくなっていたはずだが大して変わっていないようでもあり、主人公が黒髪のロングヘアにした顔などは可愛くも見えた。また妹役の山谷花純という人も前回より2年分だけ大人びた感じになって出ている。 当初メンバーのほか新しい登場人物もいて人数がかなり多くなっており、小池里奈という人の出演は歓迎である(が歌を聞きたいとまでは思わない)。女優系(兼声優?)の人物としては市道真央という人の熱演を見るべきだろうが劇中人物としてウザい。ほか特に自分としては「始まりの魔女」があまりに美形で神々しいので見惚れてしまった。本来この人も声優なのか。
[DVD(邦画)] 4点(2018-04-15 19:37:40)
378.  白魔女学園 《ネタバレ》 
「でんぱ組.inc」は昔も今もよく知らないが、以前に国際的な文化交流事業である「東アジア文化都市2014横浜」の広報親善大使になったと聞いて、これが日本を代表するアイドルグループなのかと思ったことはある(が本当にそうなのか知らない)。 監督は仮面ライダーや戦隊シリーズの坂本浩一、脚本は「けいおん!」「映画 聲の形」などの吉田玲子で、監督インタビューによるとこのグループ先行の企画ではなく、監督がこのグループを選んでプロットを作って脚本家に依頼した、という順序のようである。要は特撮(+アクション)・アイドル・学園モノという感じになっており、ほか女子高らしく少女の肢体を狙う視線も多いが、自分が見た限りあまりエロいとは思わなかった(悪い意味で)。 物語的には真面目に見てもよくわからない。みんなで一緒に高みを目指すのかと思ったら、結局は学園バイオレンス風の生き残りゲームになってしまい、結局この学校は何だったのかが不明に終わった気がする(虎の穴?世界征服を企む悪の秘密結社?)。しかし最終的なまとめとしては、世界を変えようなどと考えるのでなく、まずは目の前の人を救うために「居場所」を提供することが大事であって、そのために他人の痛みをあえて受入れようとする“勇気”が必要だ、という感じのことが述べられていたようである(よくわからないが)。  登場人物に関しては、当初はアイドルとしてのキャラクターの延長かという感じの(そうでもないかも知れないが)イタい人物ばかりで茶番のようにも見えた。どうしても山谷花純・小宮有紗といった女優系の人の方に目を引かれてしまうわけだが、しかし後半の修羅場になると、アイドル出演者も真剣な顔で演技する場面が多くなってアクションも結構ハードに見える(スタントの代役が多かったのだろうが)。主演の最上もがという人(この当時24歳くらい)は、このグループの中心人物なのかと思い込んでいたらセンターでもリーダーでもなかったようで意外だったが、少なくともこの中では、容貌や雰囲気の面でこの人以外に主役はありえなかった気はする。終盤で白魔女になった姿は正直格好いいと思った。 ちなみにエンディングテーマは「W.W.D II」という曲で、「やっぱり綺麗事じゃん」「綺麗事でいい」というような行ったり来たりの歌詞がなかなか心に染みた。
[DVD(邦画)] 4点(2018-04-15 19:37:37)
379.  宇宙刑事シャイダー NEXT GENERATION<OV> 《ネタバレ》 
昭和の東映TV特撮「宇宙刑事シャイダー」(1984-85)から30年ぶりの映像化ということになる。今回だけでも一応まとまった話ではあるが、前作の「宇宙刑事シャリバン NEXT GENERATION」(2014)の続きという意味もあるようで、ラストは前作を含めた二部作の総まとめとして、全てを動かしていた真の悪が姿を現す意外な展開になっている。 TV放送当時に本編をじっくり見た覚えはないが、最初から女宇宙刑事の蹴りが豪快だったりするのはもともとそういう番組だったのだろうとは思う。ただ主人公とヒロインがラブラブというまではいいとして、主人公が浮気性だったりキスシーンがあったり登場人物の衣服をはぎ取って肌を露わにするのは子ども向けとも思えないが、これはこの映画の対象層がこの当時で40代くらい?の人々だからということか。結果的に大人向けなのか何なのかよくわからない微妙な話になっているが、しかし昔も今も対象年齢から若干外れた世代の立場でも、それほど退屈せずに面白く見ることはできたので問題ない。終盤で「行こう、おしおきにな」と言ったところの宇宙刑事3人は最高に格好よかった。 そのほか出演者としてはヒロイン役女優のアクションが本格的なので驚く。また銀河連邦警察長官の娘で(つまり宇宙人だが)外人名前で日本風女子高生というわけのわからない重要人物役は山谷花純という人だが(後のモモニンジャー)、この人が敵に引っ張り回されて困った顔をするだけの役かと思ったら、終盤でちゃんと演技をする場があったので安心した。またついでに書くと今回登場の「不思議獣ピタピタ」というのがデザインとしても造形的にも良好だった。  ところで当時の本編を見た覚えはなくとも番組のテーマ曲は記憶に残っており、特にエンディングテーマの「おもしろいことが大好きで 悪いことは許せない」は印象的だが、今になってみるとこれが人の本来あるべき姿を端的に表現しているようで心に染みる。 あえて理屈をいえば、「おもしろいこと…」は個人の存立に関わるもので、自分という存在を自ら支えるための基盤をなすものである。また「悪いこと…」は見た通り、個人の社会への関わり方を示している。今回の物語中で、この二つはセットでなければならないことを端的に示した場面があったのは少し感動的だった。こういうところをしっかり押さえるのは子ども向けにも大人向けにも大事なことと思われる。
[DVD(邦画)] 5点(2018-04-15 19:29:07)
380.  ちはやふる 結び 《ネタバレ》 
原作とアニメは見ていない。主演女優が好きで見たわけではないが、今回は優希美青さんが出ているから見たという面はある。 このシリーズは毎回そうだがどうも前半部分が見づらい。冒頭部分では流れるコメントとか志賀廣太郎氏が目障りだが、続いて今回もまた部活の勧誘風景があってイケメン探しの新入生とかが学園ラブコメの雰囲気を出している。恋する少女の企みが大変な結果につながったなどという少女マンガ的展開を好んで見ているわけではない(朝からわざわざ映画館まで行って)と言いたくなるが、それでもこれをクリアしなければ感動の後半部分を見られないので我慢するしかない。 前半部分のごたごたのせいで肝心の試合も危うい展開で、「ちは」を全員が取られるといった思いがけない場面もあるが、それでも最後は勝つという都合のよさも毎度のことに思われる。しかし、やはり試合場面での緊張感と躍動感、登場人物の言葉や行動には心を動かされるものがあり、最後は爆発的な喜びの感情がもたらされるという点が、このシリーズ最大の価値になっているように思われる。  ところで今回も終了直前までまた続編があるのではという気がしていたが、ラストでは一応の決着がついていたので安心した。よくわからないことが多いままで終わった印象だったが、原作自体がまだ連載中とのことで、これが妥当な締め方なのだろうとは思う。要は主人公が競技かるた部を創設する時点で言っていたことが実現するということで、観客としても納得できる未来が見えた感じだった。 結果的には映画三部作で見る限り、登場人物の恋愛感情(三角関係)が本筋というよりも、何かに一生懸命取り組むことが人生でどういう意味を持つのか、それを前提としていまこの時点で何をしなければならないのかを問う、非常にまともな青春物語になっている。かつ「上」「下」ではふらふらしているだけに見えた主人公の物語としてもちゃんと完結していたようである。  ちなみに大江奏さん(かなちゃん)は今回あまり目立った活躍がなく、最後はリタイアしてしまったのは残念だったが、恋するあまり大変なことをしでかした少女への対応など見ていると、この人の優しさと心の広さが表現されていたようで嬉しい。原作では巨乳という設定だったとのことだが、そうでなくても全然構わないので、この人にはずっとこの人でいてもらいたい。
[映画館(邦画)] 7点(2018-03-17 18:49:28)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS