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onomichiさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 404
性別 男性
ホームページ http://onomichi.exblog.jp/
年齢 55歳
自己紹介 作品を観ることは個人的な体験ですが、それをレビューし、文章にすることには普遍さを求めようと思っています。但し、作品を悪し様にすることはしません。作品に対しては、その恣意性の中から多様性を汲み取るようにし、常に中立であり、素直でありたいと思っています。

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21.  イマジン/ジョン・レノン
ジョンレノンに100%共感できる人というのは、もはやいないのではないかな。実際、彼のファナティックとも思える行動にそれほど惹かれるものはないし、「イマジン」で歌われる理想に心底ジョインする気分にもなれない。にもかかわらず、ジョンレノンという、そのすべてを否定できないのはなぜだろう。それは多分、僕が「イマジン」よりも「ジョンの魂」の方が好きだということに関係するのかもしれない。ジョンとヨーコが初めて出会った有名なシーン。ヨーコの個展を訪れたジョンが備え付けの虫眼鏡の中で見た小さな「Yes」の文字。自らの赤裸々な想いを小さな「Yes」に乗せて歌う「Mother」や「God」。大きな「Yes」でも小さな「No」でもないもの。この映画に垣間見える、彼が本当に追い求め、そして得たもの、語られない彼の密やかな情念、映画「イマジン」の映像や音楽が確かな形をもって伝えてくるものがある。死ぬ前の一枚の写真。彼の真摯な視線の先に見ていたもの。ラストの死のニュースには自然な哀しみを覚えた。
[ビデオ(字幕)] 10点(2003-09-06 14:09:19)(良:1票)
22.  ラウンド・ミッドナイト 《ネタバレ》 
世界は何故丸裸なのかな? 心と魂は人間の中にある。 魚は水の中。  だが世界は周りに何もない。 いいことか、悪いことか、 覚えておこう。  『ラウンド・ミッドナイト』 -デクスター・ゴードン/海辺の語り-  デクスターゴードンのナチュラルな演技(アドリブ)に魅了される。 その息遣い。失われた熱情をなぞりながらもジャズへの愛情を深く感じる映画。 そう、これは映画である。ジャズ・ライクな映画。  ジャズに生きた男がその魂を語る言葉。声。そして音楽。 それが彼の世界であり、この映画の魂。 レディ・フランソワが受け止めたように、 それは、僕らの心と魂に伝わる。 失われたものを想起させる。  素晴らしい映画。珠玉の作品。 ハービー・ハンコック、ウェイン・ショーター、ロン・カーター、トニー・ウィリアムス。 演奏シーンも痺れる。 
[ビデオ(字幕)] 10点(2003-07-27 16:00:45)
23.  黒い瞳
恋愛というのは基本的に一方的な感情です。また、恋愛は、その成就に障壁があればあるほど、それを乗り越えることが恋愛そのものと錯覚され、時にそれは破滅を導きます。その昔、『ひまわり』でソフィアローレンを振りまわした男、マストロヤンニが『黒い瞳』では、いい年をして恋愛に振りまわされ、破滅の手前まで行きながら、結局、踏み止まります。それは、恋愛に伴う悲哀そのものを体現しているでしょう。そこに恋愛の限界を見た、というのは間違いで、恋愛も含めて、様々なエロスの綱の引き合いこそが人生そのものなんだなぁって。その誠実さに只々共感するのみです。チェーホフの原作の持ち味を嫌厭味なく忠実に表現した恋愛映画の佳作だと思います。
10点(2003-05-03 01:30:17)
24.  Aサインデイズ
崔洋一といえば、やっぱりこれでしょう。オキナワンロックの魅力がたっぷりと味わえるし、石橋凌が水を得た魚のようで、とにかく最高です。
10点(2002-12-31 01:45:59)
25.  ベティ・ブルー/愛と激情の日々
僕はこの「ベティブルー」の世界に否応なく惹きつけられる。言うまでもないが、これはゾーグの物語である。そしてこれは、「恋」と「愛」という感情と世界をめぐるリアルな物語なのである。「恋」は受難である。僕らはそれを受け入れた途端に、あの輝かしいキラキラとした、それでいて息苦しいほどに高揚した感情が単なる受難に変わるのを知っている。それは、恋という感情にとって、彼女が世界そのものだからである。それから、彼は恋の感情を追憶しているだけの自身に気がつくかどうか。気がついたら、終わりだし、気がつかなくてもそれはまた同じことなのだ。ベティは誘う女として登場し、ゾーグは彼女に恋をする。一緒に暮らし始めた頃から、彼女は、ひたすら一途な感情をゾーグにぶつけてくるようになる。時にそれは、ゾーグの理解を超えた激しさを見せ、彼を戸惑わせる。僕は、それをゾーグ自身の心の揺れそのもの、そのリアルな反映だと思っている。自らを傷つけるベティ、それもまさにゾーグ自身なのだ。この映画が奏でる優しいメロディに潜む恐ろしいほどにリアルな物語。それは、ゾーグという意識の物語でもあり、それはまた、ベティそのものでもあるのだ。
10点(2002-11-12 01:19:59)(良:1票)
26.  普通の人々
学生の頃に観て、非常に心揺さぶられた作品です。若さというのは、整理されないいろんな感情の中で刹那的であやういものだということを「普通」の感覚として受け止めました。この絶対的な「信」を失った世界でいかに「誠実」に「真っ当」な道を生きていくことができるか? 普通の人々が「普通」に生きていくことが難しい時代になったことを予見した作品でした。でも、20年以上経った今、「普通」に生きることの難しささえも無感覚に受け入れられている時代になり、この映画に心揺さぶられること自体が、ある意味ではもう既に時代遅れの感覚になってしまったとも言えるでしょうね。
10点(2002-06-02 00:34:01)
27.  ニュー・シネマ・パラダイス
兵士はなぜ99日待ちつづけて100日目に現れなかったか?それは100日目には王女様が現れてしまうことが約束されていたからではないでしょうか。99日目までに王女が現れることへの期待と待つことによって募っていく憧れそのものが彼にとっての恋愛だったと僕は思います。可能性としての恋愛。憧れ。叶わない、手の届かないことの中に可能性としての恋愛がある。それは、挫折を恐れるナイーブな感性をもつアルフレドの人生観そのものじゃないかな。あの兵士はアルフレドそのものでしょう。逸話の中の王女とスクリーンの中の女優たち。アルフレドの憧れとトトの挫折。この映画の忘れられないラストシーンもそう考えるとよりいっそう印象深いものになるんじゃないかな。
10点(2002-04-11 23:48:29)(良:1票)
28.  永遠の1/2
僕も当時の日本映画ではピカイチだったと思います。原作者の佐藤正午は僕の好きな作家で彼の作品はほとんど全部読んでいるんだけど、映画の方を先に観たのも正解でした。<映画と原作本ってそういうもんだよね>ちなみに佐藤正午は短編がわりと良くって「人参倶楽部」とか「夏の情婦」なんてお薦めです。<このレビューとは関係ないけど。。。>まぁこの根岸吉太郎監督作品も小説とは違った意味で雰囲気のあるいい作品でした。大竹しのぶがわりと役にはまっていて、彼女の独白シーンはとてもリアルな感じでよかったですよ。
10点(2002-03-24 20:22:50)
29.  ブルーベルベット
リンチの映画には独特の違和があります。「ブルーベルベット」では、非日常的で妖しい、暴力的な世界を主人公が覗き見ますよね。僕らは主人公の覗き見を通して映画を見るわけで、主人公が覗き見ることによって惹かれてしまう世界に僕らも惹かれる。僕ら自身の心に揺蕩(たゆた)う異様さへの希求と恐怖感の微妙な捩れ。そのことに気づかされるリンチの映画は、はっきり言って、とても「快感」なのであーる。ちょっと自分自身が怖くなるなぁ。リンチ映画の観すぎ注意!
10点(2002-03-10 10:39:44)
30.  ライトスタッフ
ナンバーワンはやっぱりサムシェパードだけど、デニスクエイドとフレッドウォードのコンビもいい。あと、エドハリスも精悍だし、スコットグレンもいい味だしていたなぁ。とにかく役者もライトスタッフたちでした。もちろんバーバラハーシーも可愛かったぞ。
10点(2002-03-01 01:45:02)
31.  男はつらいよ ぼくの伯父さん 《ネタバレ》 
マドンナは壇ふみ(なのかな?)  『男はつらいよ』もいよいよ満男と泉を中心にしたいわゆるゴクミシリーズに突入。満男もいつの間にか高校卒業。成長したなぁと言っても、この作品もう20年以上前なのね。(当時『男はつらいよ』は中高年向けの正月映画だと思って全く観る気もしなかったなぁと感慨しきり。。) 満男は僕と同世代。この作品の頃、僕は大学生で、彼と同じように無様な青春を謳歌しておりました。愚かだったなぁ。全くもって愚か。思い起こせば恥ずかしきことの数々。そんな自身の歴史を反省しつつ、満男に感情移入しておりました。ただ、満男と博の場面で、どちらかというと博の方に気持ちが寄り添うのは、僕自身が今や高校生の子供を持つ父親だからだろうな。  寅さんも昔みたいな元気はないけど、まだまだ気持ちは若い。老成しつつ、少年のような清い心を持ちつづけているところが寅さんの魅力。その言葉はひたすら誠実なのです。会うは別れの始めか。。。時代はバブルだけど、とらやにそんな雰囲気はないなぁ。
[DVD(邦画)] 9点(2012-04-30 23:30:48)
32.  男はつらいよ 寅次郎物語 《ネタバレ》 
マドンナは秋吉久美子。  前作に続き、後期の傑作。このころになると、寅さんというのは作品の主人公というよりも、ひとつの「舞台装置」と言ってもいい存在となる。その舞台で、秋吉久美子や五月みどりの息子たち登場人物が何か心暖かいものを得て、人として快復していくのである。  最後の満男と寅さんの会話。満男「おじさん、人間ってさ」 寅さん「人間?人間どうした?」 満男「人間は何のために生きているのかな?」 寅さん「うん、まぁ、難しいこと聞くなぁ。えー、何ていうかな、ほら、あぁ生まれてきてよかったなぁって思うことが何べんかあるじゃない。ね、その為に人間生きているんじゃないのか?」 満男「ふ~ん」(納得したようなしていないような微妙な表情) 寅さん「そのうちお前にもそういう時が来るよ。うん?まぁ、がんばれ、な!」(と満男の肩をポンと叩き、一人駅に向かう悠然とした後姿) その後のシーンで寅さんが「人間は何のために生きているのか」と仲間の一人に尤もらしく問うという、いつもの受け売りパターンがあり、ついに満男からもパクるのかと。でも、いいシーンだなぁ。
[DVD(邦画)] 9点(2012-04-29 23:38:20)
33.  男はつらいよ 知床慕情 《ネタバレ》 
マドンナは2回目の竹下景子。  そして彼女の父親役に三船敏郎。本作は三船の晩年の傑作と言っていいだろう。やもめの獣医役。いかにも「男は黙ってサッポロビール」って感じの役柄なのだが、最後に勇気の告白をやらせちゃう。そうきたか。山田さん。その相手が淡路恵子というのは黒澤へのオマージュなのだろう。
[DVD(邦画)] 9点(2012-04-29 23:38:18)
34.  男はつらいよ 寅次郎真実一路 《ネタバレ》 
マドンナは2回目の大原麗子。  彼女には不幸な役がよく似合う。(『居酒屋兆治』しかり) 今回もエリート証券マンの夫が仕事と家族を捨てて失踪してしまう。(前回は離婚直後の女性でした) エリートサラリーマンの失踪と言えば、管理社会からの逃避を扱った名作『寅次郎相合い傘』の船越英二と同じパターンだが、今回は残された側からの視点というところが違う。  寅さん曰く、「毎晩必ず残業だ。早くて10時、遅くて家に帰るのが真夜中の12時から1時だ。ひと言も口をきかず、ずーっと風呂に入る。ごろんと寝る」 タコ社長「厳しいねぇ」 寅さん「あー、もったいない」 博「何でですか?」 寅さん「鈍いやつだな。あんな綺麗な奥さんがいながら、旦那はろくにその顔を見る時間がないということなんだぞ」 その後、寅さんが髪結いの亭主のごとく、綺麗な奥さんを眺めて暮らすという男の理想をのたまうのであるが、それは全員に否定されてしまう。綺麗なものを愛でて暮らす。それは確かに理想であり、夢ではあるけれども、結局は経済を度外視した夢想家の発想である。それが寅さんの口から出るところがミソなのだな。  今回のラストシーンは久々に泣けた。名作である。
[DVD(邦画)] 9点(2012-04-29 23:33:02)(良:1票)
35.  男はつらいよ 花も嵐も寅次郎 《ネタバレ》 
マドンナは田中裕子。  但し、お相手は沢田研二で、寅さんは彼のご指南役。田中裕子への仄かな恋心を持ちつつ、2人の仲を見守る役回りである。寅さんが沢田研二演じる口下手な二枚目の三郎青年に恋愛指南をするのだけど、例えば「言葉ではなく、目で伝えるのだ」と教えたりするものだから、田中裕子演じる蛍子ちゃんから「三郎さんは何を考えているのか分からない」と言われてしまう。蛍子ちゃんに結婚を申し込む三郎青年。自分の気持ちをうまく表現できず、最後には蛍子ちゃんから「口で言って」と迫られる。実は、恋愛下手なのは知ったかぶりの恋愛指南役である寅さん自身なのだ。そりゃそうだ。本当に好きな人の前で何も言えなくなる。前作『あじさいの恋』の寅さんが思い浮かぶ。  「あいつがしゃべれないってのは、あんたに惚れているからなんだよ。今度あの子に会ったらこんな話をしよう、あんな話もしよう。そう思ってね、家を出るんだ。いざ、その子の前に座ると全部忘れちゃうんだね。で、馬鹿みたいに黙りこくってんだよ。そんな手前の姿が情けなくって、こう涙がこぼれそうになるんだよ。な、女に惚れてる男の気持ちってそういうもんなんだぞ」 寅さんが蛍子ちゃんに言うセリフは正しく自分のこと。痛いほど分かるなぁ。それにしても、田中裕子の声って甘く儚げで男心をくすぐるよ。
[DVD(邦画)] 9点(2012-04-29 23:26:08)(良:1票)
36.  男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎 《ネタバレ》 
マドンナは松坂慶子。  本作は、とにかく彼女の美しさに尽きる。全編を通して登場する為、その容貌や所作だけでも見応えが十分あった。松坂慶子演じる大阪の芸者ふみが幼くして別れた弟の死を知り、彼の彼女と対面する場面は泣いた。(このシリーズ泣いてばかりいるなぁ) 弟の死と寅さんとの出会いがきっかけとなり、彼女は芸者をやめて対馬での新たな人生に踏み出すことになるのだけど、その結婚相手が美術の田中先生(『仙八先生』)とは。。。ちょっと拍子抜け。  この回から満男役が吉岡秀隆に交代する。いよいよ満男もとらや一家の一員として存在感を発揮していくのである。(まだまだ大人しいけど) あと、今回は寅さんと芦屋雁之助とのからみがなかなか楽しかった。
[DVD(邦画)] 9点(2012-04-29 23:18:36)
37.  スプラッシュ 《ネタバレ》 
久々に観てみれば、なかなか面白い。 トム・ハンクスは若くて精悍だし、ダリル・ハンナはキュートでピュアでセクシーで、人魚役にぴったり。ジョン・キャンディは、途中までハンクスの兄とは気が付かなかったけど、とにかく笑わせてくれるし、最後はいい味を出していた。海洋学者役のユージン・レヴィもいい人で良かった。 この4人の配役だけで、この映画にはストーリー以上のサムシング・エルスがあったと思う。ストーリーにも密やかな奥行(なぜ6日間なのかとか、なぜ一緒になったらもう地上の生活に戻れないのかとか)があって、僕は想像力を掻き立てられてけっこう楽しめた。  そうそう、最後にトム・ハンクスが海に飛び込むシーン。愛のために、ダリル・ハンナのために、全てをなげうって、人魚に手を引かれて竜宮城へ。なんとも80年代らしい無茶苦茶で無責任な展開だけど、実はそれがこの映画に一番惹かれるところなのかもしれない。
[DVD(字幕)] 9点(2011-01-17 22:11:13)(良:1票)
38.  ブルックリン最終出口 《ネタバレ》 
ジェニファー・ジェイソン・リーが発散する空虚さ、その美しさと悲しさがとても痛かった。それでも最後に僕も一筋の光を見た思いがする。彼女にもスト解除と共に開いた最終出口があったと信じる。「無知の涙」という言葉(というか小説の題名)があるが、彼女は最後に無知である自分を涙し、他人の愛情を感じることによって救いを得ている。この映画の舞台は1950年代であり、同名小説も1960年代前半に書かれたもので、僕らのイメージとして多分に牧歌的な時代だと思っていた当時のアメリカ社会における下層の暗黒部が淡々と描かれている。当時も今もそれでしか生きられない、生きることができない人がいる。そういう人達は知ることによって救われる可能性があるのだろうか。悔恨の涙を流すことができるだろうか。しかし、知っていながらそこへ落ち込んでしまう、最も可能性が閉ざされた、出口の全く見えないそういう現実があるのではないか。最後の光を見ながらそういう暗澹がチラッと頭を掠め、少し背筋がゾッとした。
[DVD(字幕)] 9点(2006-05-28 09:59:59)
39.  最後の誘惑 《ネタバレ》 
十字架から逃れたイエスがマグダラのマリアと交わり、ラザロの妹マリアやマルタと生活を共にして多くの子供をもうける。人間的な生活に幸福を見出すイエス。イエスを神と崇めるパウロの演説を罵倒する人間イエス。老いたイエス。さすがに『タクシー・ドライバー』や『キング・オブ・コメディ』の監督はすごいことをしてくれる。それらの映画の過激さに痺れていた僕が新しいイエス像に喝采したのも当然な話だ。しかし、最終的に人間イエスは裏切りを装ったイスカリオテのユダによって逆に裏切り者扱いされ、彼を十字架の上から生活という土壌に導いたと思われた天使は悪魔に変わり、イエスが必死に父たる神に許しを請うシーンに至る。長い長い妄想は「最後の誘惑」という悪魔的思念として閉じられ、彼はそれに打ち克つことにより旧来の聖書、そのイエス像は守られるのである。生活という、日常という悪魔。それは結局のところ否定され、作品は閉じられる。このラストシーンに至り、当時の僕は落胆した。この映画は結局のところ、イエスを神の子として担保する以外の何物でもない、そこに大胆な「イエスの生涯」に対する現代的解釈、よりリアルで厳しい宗教感覚というものはなかったのである。しかし、最近になって『最後の誘惑』という作品もまた別の角度から観ることができるようになった。スコシージ監督が描きたかった新しいイエス像というものは正にあの妄想としての「最後の誘惑」の物語にこそあったのではないかと。確かに最後にそれは否定されるのであるが、やはり彼らが最も描きたかったのは神の子イエスを批判する人間イエスの物語であって、宗教というものが必ず躓かざるを得ない生活というもの、その悪魔を生み出す欲望への飽くなき信、それが人間として肯定すべき現実である以上に、人間を人間足らしめるココロそのものである、そういうことではなかったか。 『最後の誘惑』から15年以上が過ぎ、『ダ・ヴィンチ・コード』が全世界の4000万人に読まれる現代になって初めて、この作品の本当の意義が眩い朝の光のようにベールの隙間からこぼれ出ているような気がする。マグダラのマリアがイエスの子供を宿しながら、神によって死へと召される、あの短いシーンの中にこの作品を別の解釈へ導く象徴的な意図が隠されていたのかもしれない。
[ビデオ(字幕)] 9点(2006-05-28 02:59:29)
40.  ブルース・ブラザース
この映画は最高に面白い。でも敢えて言うと、ミュージカル部分はまあそれなりに。。。ブルース・ブラザースの演奏は、僕にとって、それほどぐっとくるということもなく、一応、サントラと「ブルースは絆」をCDで持っているけど、最近殆んど聴いてない。聴くんだったらやっぱりアレサのオリジナルやオーティス、エルビスのライブを選んでしまう。。。それは仕方がないことかな。<でもスペンサーの「ギム・サム・ラヴィン」は、わりとハマってたね。> ブルース・ブラザースの時代って、70年代後半、いわゆるディスコやニューウェイブ全盛の頃だから、彼らの音楽にもその影響が見受けられる。それは良くも悪くも時代の流行なのだ。それでも、、、そんな時代にR&Bの古典を堂々と聴かせてくれるのだから、まぁそれなりの目新しさはあったのだろう。ある意味で功績も。。。 映画としてみれば、2人のクールな掛け合いやハチャメチャな展開は最高に楽しい。あれだけ車をぶっ潰したり、ショッピングモールをめちゃめちゃにしておきながら、誰一人として死なない。怪我もしない。<あのナチス野郎も死んでない??> それが、素敵じゃないか! 
9点(2005-01-29 10:23:54)
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