21. 羅生門(1950)
ファーストシーンのあの雨!凄い雨だ!これぞ日本の雨だ。カメラワークが圧巻。影の主役は鏡。その鏡を使った光と影の絶妙。眠ってる多襄丸の顔に木の葉の影が映っている。その影がユラユラと揺れる。たったそれだけで風が吹いてきたのがわかる、その巧み。封切り当初から「わけがわからない」「難解」と酷評された。確かに黒澤作品中かなり前衛的な作品ではある。しかし、何ら難しくはない。一つの殺人をめぐって目撃者の証言が食い違う。人間は、いつも自分に都合のいい理屈を持ってきて人を責め自分を正当化する。そのエゴを抉って見せた映画。ラストで樵が捨てられてた赤ん坊を「一人育てるのも二人育てるのも同じ苦労だ」と抱いて帰ることを「甘い」と断じた批判は当時からあった。ここにもそういうコメントが見られるが、それに対しては黒澤監督が、まっこうから反論している。当時の日本の映画ジャーナリズムも、同じことを言って、この映画を酷評したがベネチアで賞を獲った途端、手の平返して誉めそやした。ラストに希望=甘いという子供っぽい視点は、いまだに変わってないのだと実感。僕はラストはあれでいい、いやああでなくてはいけないと断じて言う。僕の好みの黒澤映画ではないが名作であるのは間違いない。ところで、森田義光の「模倣犯」のラストって、「羅生門」のラストの真似じゃないの? 8点(2003-11-07 22:33:16)(良:1票) |
22. どん底(1957)
ラストの台詞が強烈。このためにあったような映画。落語の「らくだ」を思わせる部分もある。 [DVD(邦画)] 8点(2003-11-06 22:45:47) |
23. ベン・ハー(1959)
何も覚えてません。死んだ親父と超満員の今はもうない梅田グランドで見たのですが、とんでもないスケールの映画を見たという印象は強烈に残ってます。戦車競争の場面は何度か客がどよめいてました。 8点(2003-11-04 22:37:30) |
24. 北北西に進路を取れ
ヒッチは、脚本ではなく映像で辻褄を合わせてしまうのがよくわかる作品。面白いです。あの摩訶不思議なラストの真似を、ある日、たまたま横目で見ていた市川雷蔵の時代劇で見てビックリしました。まさか、こんなところで真似されているとは。 8点(2003-10-22 21:16:29) |
25. 裏窓(1954)
冒頭、主人公のジェイムススチュアートが何故足にギブスして安楽椅子に座ってるか、そのプロセスと季節もろもろをカメラをパンさせるだけで、全部描ききってしまうヒッチはやはり天才。 8点(2003-10-22 21:12:09) |
26. 隠し砦の三悪人
評論家どもの間では、評価が低いらしいが。「面白い!!!」それで充分である。文句あるか。 8点(2003-10-20 21:11:11) |
27. チャップリンのニューヨークの王様
アメリカを追放されたチャップリン。そのヒステリーから作ったような作品。それが、映画のあっちこっちに出てしまっている。ただ、その時その時の自分にこれほど正直な彼には感服する。とにかく正直だ。傑作ではないが、68歳で、全く枯れていない、このエネルギッシュさにも脱帽する。 7点(2004-03-16 21:48:54) |