4321. ラスト・プレゼント
《ネタバレ》 単なる闘病系悲恋物ではない、すべての要素が絶妙に絡み合って果てしない感泣をもたらす秀作。まず、詐欺師コンビの動き、ヨンギの両親との絡み、ジョンヨンの過去の秘密など、さりげないサイドストーリーの組み立て方が良い。また、病気が判明した後においても、両方がバレバレの嘘をつき、互いにそれに気づきながら気づかないふりをして、しかも相手に気づかれていることも実は互いに知っているという繊細な心理のやりとりが泣かせる。このような、表面上はまったく表れない相手への気遣いを適切に表現し、しかもそれを高らかに讃美してみせたという点で、この作品は唯一無比だと思う。そして、イ・ヨンエの、すべてのシーンにおいて、目の動き、唇の動きに至るまでパーフェクトな表現をしてみせた演技力は、驚嘆するほかない。こんな意思の強さを持っている奥様に「それは私じゃないのよ」と言い切られたら、黙って引き下がるしかないでしょう。それらを踏まえた上でのラスト30分の怒濤の泣かせ攻撃は、強烈の一言。フィニッシュも、これ以外にはないくらい見事です。蛇足ながら、音楽も素晴らしいと思います。 [映画館(字幕)] 9点(2005-04-24 21:37:20) |
4322. 八月のクリスマス(1998)
《ネタバレ》 ラブシーンすら登場しない、ラブストーリーの秀作。最初に見たときは、あまりにも何も起こらない展開に少々肩すかしをくらった気分だったが、よく見ると、主人公ははじめから死を覚悟しており、そのために決して自分の恋愛感情を発展させないように強靱な意志で押さえつけていたのがよく分かる。周囲に何も悟らせずに、淡々と死を迎えるための準備を行っていた主人公の精神力が素晴らしい。そして、それを表現するために、余計な演出をすべて排して清冽な空気を醸し出してみせた制作者の姿勢にも好感。 [映画館(字幕)] 8点(2005-04-24 21:22:03) |
4323. レインマン
トム・クルーズはよく頑張っているが、やはり、単調さの枠を脱していないと思う。前半は力が入りすぎているし、後半は、変化を表すべきここぞという場面で、妙にあっさりと流れてしまっている。全体的に、演出の方向性が定まらずに綺麗にまとまっているだけという感じで、作品自体の完成度としてはよくできているとは思うが、後にはあまり残らない。 [DVD(字幕)] 6点(2005-04-24 02:11:55) |
4324. コーリャ 愛のプラハ
本題に入るまで30分もかかっているのがマイナスですが、2人の素朴な交流はいい感じでした。あっけないラストも、展開にふさわしくて良かったです。 [地上波(字幕)] 7点(2005-04-12 04:04:10) |
4325. パーフェクト・サークル
この作品の舞台は、どこか遠くの「戦場」などではありません。ごく普通の一般市民の日常生活の中を、平気で銃弾が飛び交っているのです。幾多の軍隊もの戦争映画など、裸足で逃げ出すほどの緊迫感に満ちています。ただし、主人公の死の幻想云々という設定は、不要だったと思います。 [地上波(字幕)] 7点(2005-04-12 04:01:52) |
4326. プライベート・ライアン
この作品によって何が表現したかったのかはよく分からないし(いくつか想像はできるが、そうだとしたら目的と中身が合っていない)、トム・ハンクスはどうみてもミスキャストだし(少しも軍人に見えない)、ラストの雑な締め方は何じゃそりゃという感じだし、突っ込みどころはたくさんあるのだが、どんなに地味に真面目に決めようとしてもどうやってもにじみ出てしまうスピルバーグのエンターテインメント系演出センスによって3時間以上そこそこ退屈せずに見られてしまうという、何ともたちの悪い作品。あと、音響効果は素晴らしいと思う。 [DVD(字幕)] 6点(2005-04-11 02:17:09)(笑:1票) |
4327. アビエイター
特段、集中的な盛り上げ部分もなく、小さなエピソードをつなぐような形で最後まで行ってしまっているので、一歩誤ったら眠くなってしまうところなのだが、意外に最後まで集中して見ることができた。主人公自体が、徹底して、ひねらない・曲げない・計算しない人格として表現されているため、変な盛り上げを入れなかったのはかえって正解だったのかもしれない。ディカプリオの気合の入った熱演ぶりも特筆すべき(ギャング・オブ・ニューヨークでのやる気のなさとはえらい違い)。ブランシェットが後半ほとんど出なかったのと、ラストの中途半端さが残念。 [映画館(字幕)] 6点(2005-04-10 02:26:14) |
4328. 猟奇的な彼女
ラストの引き締まりで何とか作品として成立しているが、それまでの間、余計な部分での盛り上げが多すぎ。前半ラストのヒロインの演説などまったく不要だと思うし、あのラストなら、タイムカプセルの部分も要らないと思う。それと、チョン・ジヒョンって、撮る角度によって、すごく可愛いときと、すごく不細工なときがあるんですよね。 [DVD(字幕)] 5点(2005-04-02 15:59:11)(良:1票) |
4329. アメリ
アメリ自体が全然可愛くない(見た目も中身も)のが大きな難点。各場面も、思いつきでつなげたような感じで、一貫性がないので、見ていて退屈。 [ビデオ(字幕)] 4点(2005-03-31 02:56:00) |
4330. ガーゴイル(2001)
台詞を極力落とした趣向は面白かったが(全部について必然性があるかどうかは疑問ではあるが)、肝心の内容が何をやっているのかさっぱり理解できなかった。 2点(2005-03-29 01:34:32) |
4331. 女優フランシス
志は高い作品だとは思うが、エピソードを前後の脈絡なく並べただけであって、山場やポイントというものがないので、異様に長く感じる。期待していたジェシカ・ラングも、演技は何となく一本調子だったと思う(絶頂期でも苦境期でも、表情がそれほど変わっていない。ついでに、衣装やメイクの担当者の責任も大きい)。 6点(2005-03-24 02:24:53) |
4332. ウィロー
前半の説明部分は少々かったるかったが、中盤以降の行け行けの盛り上がりはなかなかだった。ところどころに挿入されるコメディチックな部分も面白かった。しかし、ヴァル・キルマーの演技がまともに見えてしまうほどの主演の彼の大根ぶりは、何とかならなかったのか。 5点(2005-03-24 02:09:04) |
4333. 理想の結婚
興味を引く設定ではあるのに、登場人物の人格造形が全然できていないので、見ていて非常につまらない。ジュリアン・ムーアの不細工メイクにもがっかり。ケイト・ブランシェットの麗しきお姿についてのみ、見た意味があった。 3点(2005-03-21 01:55:23) |
4334. ウインドトーカーズ
自らの侵略・虐殺の対象だったナバホ族に対して、日本人という第三者の敵を持ち出して仲間意識をでっち上げ、そのどさくさに紛れて過去の歴史はうやむやにしてしまうという、WASPの自己中心性を凝縮して象徴したかのような作品。戦闘シーンも、ダラダラ続くだけで緊張感がない上に両方の兵とも弱すぎて、見所が皆無。 0点(2005-03-21 01:49:41) |
4335. アドベンチャー・ファミリー
山奥に引っ越した家族が動物たちと戯れていますというだけの内容で、話としては全然面白くないが、動物たちに(単なる動作ではなく)きちんと「演技」をさせている点だけは評価したい。なお、子供2人がぎゃーぎゃーうるさいだけで、少しも可愛くないのが難点。 4点(2005-03-19 04:29:41) |
4336. 夢の降る街
最後まで、何が言いたい話なのか、さっぱり分かりませんでした。 3点(2005-03-16 04:09:23) |
4337. ハマーアウト
わざわざ少年の目を通す必要はなかったと思うが・・・そのせいで、不倫の関係がいつの間にか生じてしまったり、着地部分も尻すぼみになったりしてしまって、主題がぼけてしまった。 3点(2005-03-16 04:08:40) |
4338. シビル・アクション
法廷での派手なやりとりを避けて堅実な描写をしているのは好感が持てるが、実際に主人公がやっていることは滅茶苦茶だし、勝手に和解を蹴ってくる(恐らく、依頼者への意思確認もしていないと思う)なんて、懲戒処分ものです。最後の大事な部分があっさりナレーションですまされているのも、消化不良。 4点(2005-03-15 02:18:52) |
4339. 聖なる嘘つき/その名はジェイコブ
何か、登場人物全員が自分で自分の首を絞めているようにしか見えないんですが。そもそも、この話によって何を表現したかったのかも分からない。ロビン・ウィリアムスも、生々しい生活感がなさすぎて(本来、それが彼の長所なのだが)、この種の話には合っていない。ゲットーの中でボケやオチを期待させてどうする。 2点(2005-03-13 01:58:32) |
4340. ダブルベッド
登場人物がそろって無意味に退廃的かつ享楽的なのは印象的だったが、だからといってこの話で何が表現したかったのかはよく分からない。しかし、石田えり+高橋ひとみの混浴背中流しシーンはびっくりした(笑)。 5点(2005-03-09 02:27:00) |