Menu
 > レビュワー
 > かたゆき さんの口コミ一覧。22ページ目
かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1878
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
評価順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
6162636465666768697071727374757677787980
8182838485868788899091929394
投稿日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
6162636465666768697071727374757677787980
8182838485868788899091929394
変更日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
6162636465666768697071727374757677787980
8182838485868788899091929394
>> カレンダー表示
>> 通常表示
421.  アナイアレイション -全滅領域- 《ネタバレ》 
アメリカの国立公園の海岸沿いに建つ小さな灯台。この何の変哲もない小さな建物にある日突然、不可解な謎の現象が発生する。光輝く空間が灯台を中心に現れ、やがてゆっくりと周りを呑み込み始めたのだ。中で何が起こっているのか、最新の機器を使っても皆目分からなかった。幾つもの調査隊が組まれ、その「シマー」と名付けられた光の中へと送り込まれる。だが、誰一人として帰ってくることはなく、「シマー」はますますその範囲を拡大し続けるのだった――。何の進展もないまま三年もの月日が過ぎたころ、生物学者として大学で教鞭をとっていたレナの元に、海兵隊員で一年前にシマーへと送り込まれたまま音信不通となっていた夫が急に帰宅する。彼は「シマー」の中での記憶を完全に失っていたばかりか、内臓に重度の損傷を負っていてすぐに昏睡状態へと陥ってしまうのだった。動揺を隠せないレナ。新たに調査隊が組まれることを知った彼女は夫の身に何が起こったのか確かめるべく、無謀にも入隊することを決意する。これまでと違い、学者だけでしかも皆が女性という五人の調査隊の一員となったレナは、その光り輝く「シマー」の中へと足を踏み入れるのだったが…。果たしてこの「シマー」には何があるのか?静かに始まった人類の危機へと立ち向かう女性たちの驚愕の体験をスタイリッシュな映像で描くSFスリラー。監督は前作『エクス・マキナ』でスマッシュヒットを飛ばしたアレックス・ガーランド。主演はオスカー俳優でもある人気女優ナタリー・ポートマン。この監督らしい知的センスに溢れた世界観とシャープでスタイリッシュな映像美はなかなか見応えありました。この謎の現象の中心に近づくと全ての生物のDNAがどんどんと掻き乱されてゆき、やがて突然変異した異形の生き物が幾つも現れるというのはベタですけどけっこう面白かった。グロテスクな映像もそこまでショッキングなものにならず、全体的に何処か気品のようなものを感じさせるのもこの監督のセンスがなせる技なんでしょう。ただ、惜しいのはラストの展開。謎を謎のまま終わらせるのはもちろんいいのですが、いまいちテーマの掘り下げが足らない印象。同じような内容のドニ・ヴェルヌ―ヴ監督の重厚なSFドラマ『メッセージ』などと比べるとやはり深みが足らないように思う。だからと言ってエンタメ作品として捉えると、やはり刺激に欠ける。うーん、なんとも中途半端。映像や世界観は非常に良かっただけに、ちょっと物足りない作品でありました。
[DVD(字幕)] 6点(2022-08-19 09:18:23)
422.  THE BATMAN-ザ・バットマン- 《ネタバレ》 
誰もが知る孤高のヒーロー、バットマンの活躍をダーク&ノワールに描いたクライム・サスペンス。何処かコミカルだったティム・バートン版、完全にエンタメに振り切ったジョエル・シューマカー版、そして哲学的な深みさえ感じさせる演出で映画史にその名を刻んだクリストファー・ノーラン版。今回のバットマンはそのどれとも一線を画する、かなり濃厚で陰鬱な内容でございました。例えるなら、サイコサスペンスの名作『セブン』の世界にバットマンが紛れ込んだら?という感じですかね。もはやバットマンは『セブン』のブラッド・ピットみたいな立ち位置で、ゴードン警部とのバディっぷりなんてモーガン・フリーマンとのそれを髣髴させます。ただ、それが意外にもけっこう嵌まってました。正直、あんまり期待せずに観始めたんですけどこの重厚な雰囲気にすっかりやられ、中盤からはどっぷりとこの世界に浸っている自分が居ました。心に闇を抱えるブルース・ウェインを演じたロバート・パティンソンもかなり嵌まっていて、暗い隠れ家で秘書とごそごそ話しているシーンなんてもはやヒーロー側じゃなくて悪の一味なんじゃないかと思うほど(そのうち悪魔でも召喚するんちゃうかって感じでした!笑)。もはや『セブン』ばりに悪の手先をさまざまなグロい手法で制裁してゆくリドラーをはじめ、キャット・ウーマンやペンギン男というお馴染みのキャラクターもそれぞれキャラ立ちしていて大変グッド。ただ、3時間は長い!クライマックス辺りはさすがにダレちゃいました。もう少しコンパクトに纏めてくれたらより楽しめたと思うんですけどね。とはいえ、このダークな雰囲気は嫌いじゃなく、総じて自分は楽しめました。ジョーカーが登場するであろう次作、期待して待ってるよ!
[DVD(字幕)] 7点(2022-08-19 09:04:53)
423.  THE INFORMER 三秒間の死角 《ネタバレ》 
自由と引き換えにFBIの潜入捜査官となった元犯罪者の男が、様々な組織の思惑と陰謀により再び刑務所へと舞い戻ってしまうというお話。全編を覆うひりひりするような緊張感はなかなかのものだったし、ロザムンド・パイクやクライヴ・オーウェンといったベテラン勢の熱演は見応えありました。特に、犯罪組織とFBI双方に嵌められ、刑務所で孤立無援となってしまう主人公の焦燥感は息が詰まるほど。ただ、それに対して脚本がいまいち。話が無駄にややこしいうえに、後半になるにつれどんどんとサスペンスが盛り下がってゆくというのが映画として致命的。主人公が最後にどうしてそんな行動を取ったかもよく分かんないし、なぜ、最後の最後でクライヴ・オーウェンが捕まったのかも意味不明。ストーリーの見せ方をもっと考えてほしかった。残念!
[DVD(字幕)] 4点(2022-08-19 06:15:07)(良:1票)
424.  RUN/ラン 《ネタバレ》 
生まれつき病弱で車椅子が手放せない女子高生、クロエ。毎日様々な種類の薬を服用し、たびたび喘息の発作にも悩まされる彼女は、周りの介助がなければ生活することもままならなかった。そんな彼女を献身的に支えるのは、これまで女手一つで育ててきた母親、ダイアン。クロエは、過剰なまでの愛情で自分を支えるそんな母とずっと郊外の一軒家で暮らしてきた。ところが、大学進学を機に一人暮らしを始めたいというクロエの言葉を境に母親の態度が徐々に変化し始める。次第に不信感を募らせたクロエは、母親の目を盗んで毎日飲まされる薬の正体を探り始めるのだった。そのうちの一つである緑色のカプセル、それはなんと犬用の筋弛緩剤だった――。「お母さんは私をどうしようというの?」。底知れぬ恐怖を感じたクロエは、たった一人で母親の手から逃れようとするのだが……。自らを徹底的に管理しようとする母親とその手を逃れ自由を求めてもがく娘の葛藤を終始不穏に描いたサスペンス・スリラー。とにかく脚本に捻りがなさすぎ!こんな単純で時間も90分に満たない短い作品なのに、途中の引き伸ばし感が半端なく最後まで観るのがかなり苦痛でした。舞台もほぼこの一軒家の中だけ、登場人物もほぼこの親子だけというこの設定で90分持たそうと思うとだいぶ高度な演出力が必要になると思うのですが、正直そんなもの皆無。ひたすら地味で凡庸な展開と地味で凡庸な映像と地味で凡庸なキャラクターのてんこ盛り。脚本にも突っ込みどころ満載です。途中、捕まえた娘を母親が家に監禁するのですが、わざわざそこに娘の出生の秘密が書かれた新聞の切り抜きを保管してるというバカっぷり。いや、何のために自分が不利になるだけのそんなもん残しとくねん!後味が悪いだけでさして面白くもない最後のオチに至ってはもはや怒りすら湧いてきちゃいました。監督は、パソコンのモニター上の映像だけで最後まで展開する『search/サーチ』を撮ったアニーシュ・チャガンティ。前作で見せた、あの技ありなアイデアと練られた脚本の力はいったいどこへいったのでしょう。正直、観るだけ時間の無駄の凡作としか僕には思えませんでした。
[DVD(字幕)] 3点(2022-08-19 06:11:19)
425.  ビーチ・バム まじめに不真面目 《ネタバレ》 
かつて一冊だけ出した詩集が大成功を収め、天才の名をほしいままにした詩人ムーンドッグ。だが、それ以降は酒とドラッグと女に溺れ、新著も出せぬまま無駄に時間だけが過ぎていった。それでも本人は来る日も来る日もパーティー三昧、毎日酒浸りで娼婦たちと面白おかしく暮らし、生活費は資産家の妻に頼りっぱなしという自由気儘な日々を過ごしている。そんなある日、妻が交通事故であっさりと帰らぬ人になるのだった。遺された遺産は、彼が新しく本を出さなければ相続させないという妻の遺言により、彼の手に渡ることはなかった。新作を書かなければ明日にも無一文になってしまう――。窮地に陥ったムーンドッグは、娘の助言もあり、ひとまずアルコール依存症のリハビリ施設に入ることを決意するのだったが……。フロリダののどかな港町を舞台に、社会のルールに捉われず自由に生きる放蕩の詩人の破天荒な日常をコミカルに描いたヒューマン・ドラマ。この作品の評価のポイントとなるのは、主人公であるこの詩人を「社会の既成概念や倫理観に縛られることなく自由に生きることを選んだ反骨の詩人」と捉えるか、それとも「全ての社会的責任から逃げた、どうしようもない社会不適格者」と捉えるかで大きく変わってくるのでしょうね。残念ながら自分は後者でした。もうとにかくこのマシュー・マコノヒー演じる主人公が、身近にいたら絶対関わりたくない人間ナンバー1で、観ていて不快感しか湧いてきません。仕事もせずに朝から晩まで酒浸り、フロリダの港をふらふらと歩き回って、気が向くととにかく女とやりまくり、肝心の生活費は妻に頼りっ切りで結婚を控えた娘のことなど自分には関係ないとばかりに麻薬にふける。これで太宰治のように文学史に残る傑作を書いていれば受け入れられるのですが、こいつ、新作を書く気なんてさらさらなし。いまだ過去の栄光にすがるだけというこの主人公に過剰移入なんて一切できませんって!それにリハビリ施設から逃げ出した後にやってることは、もはや明らかな犯罪です。警察、早く捕まえろっつーの!悲愴感を一切出さず、ほのぼのとした雰囲気を最後まで貫き通したのは新しいといえば新しいですけど、自分はそういったわけでさっぱり楽しめませんでした。編集の仕方や音楽の使い方などにはそこそこセンスを感じたし、マシュー・マコノヒーの肩の力が抜けた演技などは観ていて心地良い部分もあったので、5点。
[DVD(字幕)] 5点(2022-08-19 06:06:35)
426.  サバービコン 仮面を被った街 《ネタバレ》 
ようこそ、心躍る町サバービコンへ――。そこは、アメリカ郊外にある典型的な中産階級の町だ。誰もが同じような家に住み、誰もが同じような生活レベルを維持し、誰もが同じような宗教を信じ、そして誰もが白人だ。そんな平和だが閉鎖的な町にある日、黒人の家族が越してくることに。白人たちの小さなざわめきは瞬く間に町の隅々にまで拡がり、芽生えた悪意はやがて剥き出しの憎悪となって人々の生活を侵食してゆく。そんな折、その黒人家族の隣に住むロッジ家に、二人組の泥棒が入る。一家の大黒柱であるガードナー、一人息子のニッキーと事故で下半身が不自由となった妻、そんな平凡なロッジ家の生活はその日を境に一変してしまうのだった。妻は殺され、犯人は逃亡、遺された家族も心に深い傷を負ってしまった。どこにであるような平凡な悲劇。だが、息子のニッキーだけは気付いてしまう。自分の父親が重大な嘘を吐いていることに…。果たして事件の真相とは?小さな町で起こった平凡な強盗殺人事件、その背後に隠された秘密を巡り、どんどんと追い詰められてゆく一家族の騒動をスラップスティックに描いたブラック・コメディ。監督はハリウッドの人気俳優ジョージ・クルーニー、脚本はこれまたハリウッドを代表する実力派のコーエン兄弟。主演には、マッド・デイモンをはじめ、一流どころが名を連ねております。この布陣が示す通り、抜群の安定度が光るクライム・ドラマの佳品に仕上がっていましたね、これ。社会の不条理を子供の目で風刺する、コーエン兄弟のその目線の鋭さは相変わらず健在。悪意の連鎖がどんどんと拡がり、やがて破滅が破滅を呼ぶさまは観ていて心苦しくもあるのですが、誰もが心に持っているだろう残酷さを良い感じで刺激してくるので、最後まで惹き込まれて観ることが出来ました。特に、邪魔になった保険調査員を殺してしまい、その死体を車で遠くへと捨ててきたマッド・デイモンが血だらけのまま、チャリンコでふらふらと帰るとこは思わず笑っちゃいました。子供が隠れたベッドの上で、犯人と助けに来た伯父さんが揉み合いになるシーンはサスペンスフルで大変いい(蛇の扱い方が巧い!)。人種差別の扱いが本筋といまいち絡まずちょっと中途半端なところは残念でしたが、総じて僕は満足でした。うん、けっこう面白かったです。7点!
[DVD(字幕)] 7点(2022-08-12 10:51:10)
427.  ベイビーティース 《ネタバレ》 
難病を患い過酷な闘病生活を送る16歳の少女と孤独な不良少年の青春の日々を瑞々しく描いたラブストーリー。監督が、長編デビュー作となる本作で幾つもの賞を受賞したということで今回鑑賞してみました。とにかくこの監督のセンスの良さに尽きると思います。ほとんど音楽も使わず映像も終始ブレブレな手持ち撮影、そして登場人物もごく限られているのに最後まで観客の心を捉えて離さないこの品の良いセンスは大変グッド。それぞれのエピソードを小さな章のように見せる演出や等身大の登場人物たちが織りなす繊細な心理描写もなかなかに素晴らしい。ただ、本作の評価の分かれ目となりそうなのが、この余りにもベタすぎる脚本でしょう。これまで何百本と撮られてきた難病ものラブストーリーをなぞっただけで、正直、捻りがなさすぎる。最後もお涙頂戴の悲恋で終わってしまいます。抜群にセンスの良い映像だとか、抒情性溢れる語り口など、この監督の才能は確かだと思うので次作に期待ってところですね。
[DVD(字幕)] 6点(2022-08-11 02:17:37)
428.  クライシス(2021) 《ネタバレ》 
近年アメリカで社会問題となっている、極めて依存性の強い鎮痛剤オピオイドをテーマにした社会派サスペンス。ゲイリー・オールドマンとアーミー・ハマー共演ということで今回鑑賞してみました。物語は、製薬会社からの依頼で臨床試験に臨みつつも新薬の致命的な欠陥を見つけてしまう大学教授と麻薬組織の壊滅を目論む囮捜査官、そして薬によって大切な一人息子を失くしてしまった母親を相互に描いてゆきます。つまりは、群像劇。利益優先の製薬会社から事実を隠蔽するように求められた大学教授の葛藤や、麻薬組織に潜り込んだ捜査官のいつばれるか分からない緊迫感などはそれぞれよく描けていたと思います。ただ、この三つの物語が有機的に絡み合っておらず、最後まで何ともちぐはぐな印象になってしまうのが本作の弱点。麻薬捜査官と息子を失くした母親の物語は一応最後の方でリンクしますが、大学教授の話は最後まで残りの二つと完全に切り離されています。それに大学教授のエピソード以外は、オピオイド関係ないような気がするんですけど……。きっと元はこのインサイダー告発者となる大学教授のお話だけがあって、でもそれだけじゃ地味だということで後になってこの二つのエピソードを足したんでしょうね。それならそれでもっと脚本を練るべきだったのでは。群像劇としても社会派サスペンスとしても何とも中途半端なお話でございました。
[DVD(字幕)] 5点(2022-08-09 05:00:50)
429.  ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結 《ネタバレ》 
悪をもって悪を征す!あの死をも恐れぬ〝超極悪部隊〟が帰って来た!様々なヒーローたちによって刑務所にぶち込まれた、イカレ頭の極悪人たちを寄せ集めて作られた、その名も「決死部隊(スーサイド・スクワッド)」。今回彼らが送り込まれたのは、政情不安に揺れる南米の小さな島国。ここで良からぬことを企んでいる反米政権の野望を阻止せよというのが今回の任務だ。娘のために依頼を引き受けた武器のプロフェッショナル、ブラッドスポート。正義のためなら殺人も辞さない孤高のヒーロー、ピースメイカー。凶悪な人喰いサメ人間であるキングシャーク、ナナウエ。世界中のネズミを自由に操ることが出来るラットマスター、クレオ。全身から七色の水玉を発射できるポルカドットマン、アブナー。そして、次に何をするか全く予想が出来ない危険なギャルビッチ、ハーレイ・クイン。数々の困難を乗り越え、島の中枢へと辿り着いた彼らは、あるマッドサイエンティストの危険な研究に巻き込まれてゆく……。映画としてはポンコツだったものの、ハーレイクインという凄まじくキャラ立ちしたクソビッチ(失礼!)なアンチヒロインを生み出したエンタメ映画の続編。さして期待はしていなかったのですが、世間の評判がすこぶる良かったので今回鑑賞。うん、前評判通りめちゃくちゃ面白かったです!!全くもって華のないメンバーが登場する冒頭、「大丈夫かいな…」という不安も束の間、あっさり彼らが全滅するシーンから掴みはバッチリ。特に手足を取り外せるだけが能力のTDKと変なイタチ男が泳げなくて死ぬところはもう爆笑。そこから本家の主人公が登場してからは怒涛の展開。最後まで息つく暇もないほど楽しませてもらいました~。特に槍を持ったハーレイクインが花びらを巻き散らしながら男どもを薙ぎ倒してゆくところは、最近観た映画の中でも屈指の名シーン。『キックアス』のヒットガールに匹敵するほどで、もうこのシーンだけでご飯何杯でもいけます。そんな彼女に他のキャラが負けているかと言えば全くそんなこともなく、誰もが如何なく自らのキャラを発揮させているのも見事!特に出オチかと思われたキングシャークが、最後まで見ると一番かわいく思えてくるから不思議です。ネズミ女も何気に可愛いし、一番地味な水玉男もその妄想世界で楽しませてくれます(オカンいっぱい!笑)。監督は、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』を撮ったジェームズ・ガン。なるほど、この全てのキャラクターへの並々ならぬ拘りは、この監督の特性だったのですね。最後、それぞれの能力を駆使したヒトデ怪獣との闘いは最高にテンション上がっちゃいました。むちゃくちゃやっているように見えて、実は細部まで緻密に計算された演出も素晴らしいとしか言いようがない。うん、もう一度言いますが、サイコーに面白かったです。ホント、あのポンコツな前作はなんだったんだ(笑)。
[DVD(字幕)] 9点(2022-08-08 10:48:41)(良:2票)
430.  海底47m 《ネタバレ》 
メキシコへとバカンスで訪れた若く美しい二人の姉妹。現地で知り合った男たちに誘われるまま、彼女たちは鮫が目の前で見られるというアクティビティを楽しむことに。船で沖合へとやって来た彼女たちは、その強固な檻の中に入り、凶悪な鮫がうじゃうじゃいるという海中へと沈めてもらうのだった。間近にまで迫って来る強大な鮫の姿に興奮を隠せない二人。だが、その直後にあり得ないような悲劇が二人を襲う。船の上で檻を支えていたワイヤーが折れ、彼女たちを閉じ込めていた檻が暗い海の底へと瞬く間に落ちてしまったのだ。辿り着いたのは、海底47メートル――。そこは凶悪な鮫が縦横無尽に暴れ回り、助けてくれる者は誰も居ない、海上の光すら届かない暗黒の世界だった。ボンベの酸素も残り僅か。果たして彼女たちは無事にまた日の光を見ることが出来るのか?海底に取り残された姉妹の究極の恐怖を、ワンアイデア・ワンシュチュエーションで描いたパニック・スリラー。まあいかにも低予算で撮られたであろうそんな本作、これがなかなか演出のキレが良いエンタメ映画の佳品に仕上がっていたと思います。事前の想像通り、お話の7、8割方は海の中で展開されるのですが、このブルーを基調とした映像がキレイ過ぎず汚過ぎないちょうどいい見やすさでした。カメラワークの専門的なことは分かりませんが、この映像技術はなかなかのものなんじゃないですかね。そんなリアルな海の中に取り残される姉妹も、姉は冷静沈着だが臆病、妹は行動的で活発だが少々無計画と各々のキャラがちゃんと立っているのもポイント高い。そしてもちろん最後までナイスな水着姿なのも大変グッドです(笑)。この手の作品に必ず必要な適度なグロ描写も抑制が効いていて良かったと思います。まあシュチュエーションがこれだけなんで、途中で若干ダレてしまうとこはあるものの僕は最後までそこそこ楽しめました。もっと鮫さんたちに活躍してもらってもよかったような気がしなくもないですが、そこは予算の関係なのかな。ただ、ラストの展開には僕は少々否の立場。努力の末、主人公たちは助かった→と思ったら実は主人公の幻覚でした。バッドエンドか→と思ったらやっぱり救出部隊がやってきて……ってちょっとクドいよ!!そこらへんがイマイチでしたけれど、真夏の熱帯夜にビールでも飲みながら観るには最適な映画でありました。
[DVD(字幕)] 6点(2022-08-08 10:36:11)
431.  シドニー・ホールの失踪 《ネタバレ》 
既存の価値観を真っ向から否定するような挑戦的な内容で、全米ベストセラーとなった青春小説『郊外の悲劇』。デビュー作にして一躍時代の寵児となった作者であるシドニー・ホールは、プレッシャーからかなかなか二作目が書き出せずにいた。そんな折、この小説に影響された青年が自らその命を絶ち、全米中で賛否両論含めた議論が巻き起こるのだった。精神的に追い詰められたシドニーはある日、着の身着のままの姿で失踪してしまう――。以来シドニー・ホールの消息は誰にも分からず次第に人々は彼のことを忘れていった。だが、七年もの月日が過ぎたころ、いくつかの図書館で彼の著作が燃やされるという事件が多発する。老犬を連れ、ふらりと現れた犯人こそが彼なのではないか。疑問を抱いたある人物が彼の調査を開始する。浮かび上がってきたのは、シドニー・ホールという男の深い哀しみに満ちた人生だった……。失踪したベストセラー作家のミステリアスな半生を、三つの時間を行き交いながら綴るヒューマン・ミステリー。描かれるのは作家シドニー・ホールのまだ無名だったハイスクール時代と、やがてベストセラー作家となった彼の栄光とプレッシャーの日々、そして一匹の老犬だけを相棒に全米を放浪する空白の時期という人生のターニング・ポイントとなった三つの時代のエピソード。この三つの時間軸を複雑に行き交いながら同時並行で描くという難しい手法を使っているのですが、ちゃんとそれがいつの時代の話なのか観客に分かるように描き分けているのは巧いと思います。どの時代のお話にもちゃんとそれぞれに明確なテーマと謎が存在し、全体としてある一人の男の人生を重層的に浮かび上がらせることに成功しています。そして、それら三つの時代に様々な姿で立ち現れる美しい女性メロディの存在も煌びやかで大変いい。彼女を演じたエル・ファニングがとてもキュートで、まさに嵌まり役。ただ、物語の終盤、それぞれのエピソードに隠された謎が全て明らかにされるのですが、それらが一本の映画としてうまく纏まっていないのが本作の弱いところ。青春期の初恋と友情、デビュー後の挫折と喪失、失踪後の絶望と再生、これらの要素が有機的に巧く絡み合っていません。なんだか別々の映画を一本に編集しなおしたような印象を受けてしまいました。きちんと整理されたストーリーテリングが抜群に巧かっただけになんとも惜しい。
[DVD(字幕)] 6点(2022-08-04 12:06:02)
432.  チャイルド・オブ・ゴッド 《ネタバレ》 
彼もまた“神の子”だ。あなたと同じように――。アメリカ北部の寂れた田舎町に住む孤独な男、レスラー・バラード。十歳にして父親を自殺で失い母親にも捨てられた彼は、以来天涯孤独な人生を送ってきた。精神的に深刻な問題を抱えた彼は周りの人間とうまくコミュニケーションを取ることが出来ず、自分を守ってくれる古びたライフルだけを片手に、打ち捨てられた山小屋でその日暮らしの孤独な生活を何年も続けている。もちろん村人からは厄介者扱い、保安官からも常に目を付けられていた。そんなある日、山道を歩いていた彼は事故を起こし立ち往生している車を発見する。覗いてみると、車内には一組の男女の死体が横たわっていた。触れてみるとまだ微かに温もりが残っている。初めて感じた女の温もり。思わずレスラーは、その女の死体と性行為をしてしまうのだった。そのことに味をしめた彼は以来、次々と女を殺しその死体を犯し始めるようになる……。長年の孤独な生活から精神に異常をきたしてしまった男、彼が犯すことになる数々の許されざる罪を乾いた空気の中に描くバイオレンス・スリラー。原作は現代アメリカ文学の重鎮、コーマック・マッカーシー。監督は俳優としても活躍するジェームズ・フランコ。『ノー・カントリー』『ザ・ロード』『悪の法則』といった作品で名高いマッカーシーが原作だけあって、この血と暴力に満ちた物語はいかにも彼らしい閉塞感に満ちた重厚なものだった。「倫理観や道徳といったものが完全に壊れてしまい、世にも恐ろしい罪を躊躇なく犯してしまう彼を同じ人間と言っていいのか」といった重々しいテーマを、無駄を削ぎ落したシンプルなストーリーの中に描き出す意図は充分伝わってくる。果たして神は居るのだろうか――。このイカレタ男の視点で最後まで物語を進行させ、観る者の倫理観を激しく揺さぶって来るところなどその踏み越えた姿勢は高く評価されていいだろう。ただ、この原作を映画化するのであれば、もう少しこのテーマに深みを与えても良かったのかもしれない。最後まで、この罪深き“神の子”になんの罰も赦しも与えないところなど、きっと意図してのことなのだろうがどうしても物足りなさが残る。内容が内容だけに決して観ていて気分のいい作品ではないが、人間の生存欲求の根源性や神の不在などを考えるきっかけとして観る価値は充分にある。
[DVD(字幕)] 6点(2022-08-04 11:52:23)
433.  REVENGE リベンジ(2017) 《ネタバレ》 
砂漠の真ん中にある一軒の豪華な別荘。見渡す限りの荒野に囲まれたこの館に、ヘリコプターに乗ってとある男女がやってくる。女の方の名は、ジェニファー。どうやらこの別荘の持ち主である裕福なこの男と不倫の関係にあるらしい。誰も居ない砂漠の別荘で、彼女は男とともに優雅なバカンスを楽しむためにやって来たのだ。だが、その次の日、男の知り合いである二人の中年男も合流してくる。あからさまに嫌らしい目つきで自分を見つめてくる二人に、戸惑いを隠せないジェニファー。すると、その中年男は突然隙を突いて彼女をレイプするのだった――。当然彼氏に被害を訴えるも彼はジェニファーの訴えに聞く耳を持たないばかりか、なんと全てを水に流せと言ってくるのだった。「こいつら、きっとグルだ!」。男たちの隙を突き、別荘から逃げ出したジェニファー。だがすぐに捕まり、彼氏に崖下へと突き落とされてしまう。瀕死の重傷を負いながらかろうじて生き延びた彼女は、卑劣な男どもに復讐を誓うのだった……。美しき復讐者と化した若い女と男の嫌らしさの権化のような三人の男ども、彼らの命を懸けた闘いが今、幕をあげる。いかにも低予算で撮られたそんなシンプルな本作なのですが、これが映像が凝りに凝っていて絵的に充分楽しませていただきました。レイプしようと彼女にすり寄って来る男の嫌らしさを存分に強調した映像は、もうぞくぞくするほどエキゾチック(あのお菓子をねちょねちょ食べる男の口元アップ映像は鳥肌もんでした!)。崖下に生えた木に突き落とされ串刺しとなったジェニファーの血が、地面を這う小さな蟻に降りかかるとこを大写しで撮るところなんかも、なかなかいいセンスしてます。まあ完全に死んだと思われた彼女が、その後、何故か奇跡の復活を遂げるという設定の無茶苦茶ぶりはご愛敬(笑)。お腹の傷を塞ぐために熱した空き缶を押し付けたらその鷹のマークがタトゥーみたいになっちゃうとこなんて、バカバカしいけどかっこいい!復讐の鬼と化した彼女と嫌らしい男どもの闘いも、どれもエッジが効いていて大変グッド。最後の別荘での闘い、男、取り敢えずパンツ穿けよ(笑)。ただ、あまりにもストーリーがシンプル過ぎるのが本作の弱点かな。もうひとひねりあればなお良かったけど、それでも今から次作が楽しみな才能に出会えました。監督はこれが長編デビュー作となる、フランスの新進気鋭の女性監督コラリー・ファルジャ。うん、覚えとこ。
[DVD(字幕)] 7点(2022-08-01 11:01:49)
434.  レミニセンス 《ネタバレ》 
地球温暖化の影響により、陸地の大半が水没してしまった未来社会。繁華街に事務所を構えるニックは、人の記憶を再現できるという特殊な機材を駆使し、様々な依頼をこなす記憶潜入のプロフェッショナルだ。今回彼が引き受けたのは、場末の酒場で歌手として働く謎めいた女性メイから失くした鍵を捜してほしいというもの。簡単に終わるようなありふれた依頼。だが、彼女の謎めいた魅力にすっかり魅せられたニックは、依頼が解決した後もメイが働く酒場へと足を運んでしまう。次第に惹かれ合い、やがて一線を越えてしまう2人。ニックは、彼女とともに生きていこうと決意するのだった――。そんなある日、検察から瀕死の重傷を負った麻薬組織の幹部の記憶に潜入して欲しいという依頼が舞い込む。そして、その記憶の中でニックはメイがその幹部と深い関りがあることを知ってしまうのだった。その日を境にメイは彼の前から姿を消してしまう。果たして彼女は何者なのか?人の記憶に潜入することが出来る記憶探偵が失われた女性を巡り、深い陰謀に巻き込まれてゆく姿を濃厚に描いたSFサスペンス。制作に名を連ねているのが名匠クリストファー・ノーランの弟、ジョナサン・ノーランということもあり、同ジャンルの名作『インセプション』を髣髴とさせる内容なのかなと今回鑑賞してみました。うん、天才の弟ってだけで才能が必ずしも同等というわけじゃない典型的な例でしたね、これ。正直、さっぱり面白くありません。細部の詰めが甘いせいで全く頭に入ってこないストーリー、水没都市や記憶潜入という魅力的なアイテムを一切活かしきれていない設定、後味が悪いだけで驚きも感動も何もないオチ……。面白くない映画の要素がことごとく揃ってます。まあダークな世界観はそこそこ作り込まれていたし、映像もそれなりにキレイだったですけど、それだけです。率直に言って、『インセプション』から面白い部分を全て抜き取った、搾りかすのような映画でありました。
[DVD(字幕)] 4点(2022-08-01 10:28:04)
435.  インヘリタンス 《ネタバレ》 
長女は将来有望な地方検事として頭角を現し、長男は新進気鋭の政治家として世間の注目を集め、そして自身は政財界に多大な影響力を持つ銀行家として名声を欲しいままにした資産家アーチャー・モンロー。彼がある日突然、心臓発作で死亡する。葬儀や遺産相続、マスコミへの対応に追われる長女ローレンは、長年父の元で働いていた弁護士からとある秘密の遺産を受け取ることに。それは、「真実は掘り起こすな」というメッセージとともに遺された一本の鍵。広大な屋敷の裏庭にある誰もその存在を知らない地下室の鍵だと知ったローレンは、不安を感じながらもその地下室へと足を踏み入れる。そこにいたのは、鎖に繋がれた謎の男だった――。「俺はお前の親父に30年もの間、この地下室に閉じ込められていたんだ!」と、にわかには信じがたい話を語り始める男。彼が名乗ったモーガンという名前を頼りに父の過去を調べ始めたローレンはやがて、驚愕の真実を知るのだった……。大富豪の父が遺したそんな負の遺産を巡り、窮地へとの追い込まれるエリート女性を描いたサスペンス・スリラー。個性派俳優サイモン・ペッグと人気若手女優リリー・コリンズ共演ということで今回鑑賞。まあ荒唐無稽で突っ込みどころ満載の設定なのですが、不穏で重苦しいこの雰囲気は嫌いじゃなく、自分はそこそこ楽しんで観ることが出来ました。何より怪演と言ってもいいサイモン・ペッグの存在感!この人の尋常ならざる佇まいがこの荒唐無稽なお話をピリリと引き締めている。誰も知らない古い地下室の中で繰り広げられるこの二人の不穏な会話劇は見応え充分でした。まあ同分野の名作『羊たちの沈黙』にだいぶ引っ張られている感は否めないですけど。それまでの薄汚れた身なりから男が小ぎれいになってゆくにつれ、次第に二人の立場が逆転してゆくというのもベタながらアリ。ただ、最後に明かされる事の真相はかなり無理やりですんごく強引。「いやいや普通に殺しときゃ良かったやん」とか「30年も生きたまま監禁し続けるってコスパ悪すぎ」とか「しかもそれを何で娘に託すねん!」という数々の疑問を最後に吹っ飛ばすオチが、実は男は主人公の〇〇でしたというのは……。うん、さすがに突っ込みどころが満載過ぎます(笑)。まあそこらへんを大らかな目で見てあげれば、この重苦しい雰囲気や最後の二転三転するストーリーなどはそこそこ楽しめるんじゃないでしょうか。
[DVD(字幕)] 6点(2022-08-01 04:05:57)
436.  プラットフォーム 《ネタバレ》 
ここは何処までも限りなくそそり立つビルの48階層。何処にも出口のないその小さな部屋の中央には、食卓がすっぽり入りそうな大きな穴があいている。その穴から上を見上げれば、ここと同じような部屋が何処までも続き、下を見れば同じような部屋が何処までも続いている。そして各階層には、男女も年齢もバラバラな二人の人間。彼らは皆、その“とき”を心待ちにしていた。一日に一度、豪華な食事が並んだ食卓が上の階層から順に下へ下へと降りてくるのだ。当然、下の階層になればなるほど、食卓は食べ残しばかりとなり、100層を越えた辺りになればそこに食事が残っていることはほとんどなかった――。48階層で目覚めたゴレンは、同居人のトリマガシと名乗る怪しい中年男とともにここで暮らし始める。一か月ごとにそれぞれ住む階層が変わるというこの施設。上の階層の食べ残しをいただきながら、ゴレンはやがてここへ来て一か月が過ぎようとしていることを知るのだった。そしてある日、彼とトリマガシは違和感を抱きながら目を覚ます。気が付くと、彼らはなんと171階層に移動させられていたのだ。もはやここまで来ると食べ残しはほとんど残っていない。飢えと不安感から二人はやがて、底知れぬ狂気へと囚われ始めるのだった……。理屈では到底説明できない不条理な事態に陥ってしまった人々の極限状況を禍々しく描き出すシチュエーション・スリラー。まあ同分野の名作『キューブ』がヒットして以来、散々作られてきたアイデア一発勝負の低予算スリラーなんですけど、目の付け所が良かったのか、けっこう面白かったですね、これ。上の階層からの食べ残しをひたすら待ち続けるというこの設定だけで90分持たせたのは凄い。最初は豪華で美味しそうだったであろう食事が、どの階層でも全く美味しそうに見えない、そればかりかほぼ残飯と変わらないと言う描写が悪趣味すぎて大変グッド(笑)。下の階層の人々が極限の飢餓状態からカニバリズムに走るというのもベタながらアリ。また、死んだ同居人たちが主人公の幻覚として現れるシーンもけっこうセンスを感じました。ただ、本作の惜しい点は、肝心のメタファーが分かりやすすぎるところ。先進国と発展途上国、そして最貧国のそれぞれの経済格差からくる搾取構造を描いてるんでしょうけど、それが単純すぎて自分は物足りないものを感じてしまいました。いつだって犠牲になるのは弱い立場にいる子供たちだ、先進国はこの現実から目を逸らすなという最後のメッセージは、余りに説教臭くて好きじゃないです。とは言え、映像的には抜群にセンスが良く、アイデア一発勝負ながらストーリーの見せ方も巧く、映画としての完成度は普通に高い。この監督の次作に期待!
[DVD(字幕)] 7点(2022-08-01 04:00:13)(良:2票)
437.  ダンボ(2019) 《ネタバレ》 
最新のCG技術を駆使し、過去の名作アニメを実写化するという今や定番とも言えるディズニーの人気シリーズ。今回のテーマは空飛ぶゾウとしてお馴染みの人気キャラクター、ダンボ。僕の大好きなティム・バートン監督作ということで今回鑑賞してみました。結果は…、うーん、さすがに今回はあきませんでしたね、これ。やはりティム・バートンのアクの強いセンスと、この誰からも愛される元祖ゆるキャラみたいなダンボとの相性は全く合っていませんでしたわ。例えるなら、子供に大人気のハンバーグをこってり濃厚なもつ鍋にぶっこんだ感じ?違うか(笑)。んでも、サーカスの個性豊かなメンバーたちにはいかにも彼らしいセンスを感じたし、マイケル・キートンやダニー・デヴィート、エヴァ・グリーンといったバートン作品でお馴染みの人たちの新旧共演はなかなか楽しかったので、5点!
[DVD(字幕)] 5点(2022-07-27 12:04:22)
438.  マグダラのマリア 《ネタバレ》 
あの世界でもっとも有名な物語の古典、新約聖書の世界をマグダラのマリア目線で映像化した歴史ドラマ。まあ観る前から大方の予想はついていましたが、最初から最後までもうとにかく眠たくなるほどオーソドックスな宗教ドラマでしたね、これ。ただ、マグダラのマリア役を今を時めく人気女優ルーニー・マーラが演じているということ、その一点のみで今回鑑賞してみました。確かにマリア役を演じた彼女の清楚な佇まいはまさに嵌まり役で、見ていてほれぼれするほどキレイでした。でも、本作の見どころと言えばそれぐらいかな。きっと熱心なキリスト教徒の方なら楽しめるんでしょうけど、僕のようなそうじゃない人間にとってはさすがにこれは退屈で退屈で仕方なかったです。新しい部分と言えば、これまで娼婦とも言われ罪深き女などとも称されたマグダラのマリアを、最もキリストのことを考えていた普通の人として描いているところぐらい。まあそれも僕にとっては、「へー、そうなんですか」くらいの感想しか残りませんでした。また、肝心のイエス・キリスト役をあのいまもっとも勢いのあるホアキン・フェニックスが演じているのですが、これがミスキャストもいいところ。でっぷりと貫禄ありまくりで、正直まったくキリストに見えないんですけど!だから語られる言葉もさっぱり心に響いてきませんし、あのキリストが取り乱して感情的になるシーンなんて見ていて違和感しか感じませんでした。予想だけど、これってキリスト教徒の人たちにも評判悪いんじゃないですかね?キリストの最期を知りたければ、メル・ギブソンの『パッション』の方が100倍くらい出来はいいんで、そちらを観ることをお勧めいたします。
[DVD(字幕)] 4点(2022-07-27 11:57:15)
439.  ルイスと不思議の時計 《ネタバレ》 
愛する両親を事故で亡くし、天涯孤独となってしまった少年ルイス。途方に暮れる彼の元に、長年疎遠となっていた叔父のジョナサンから手紙が届けられる。内容は、君さえよければ一緒に暮らさないかというものだった。選択の余地などないルイスは、さっそく荷造りをし、トレードマークのゴーグルと重い百科事典だけを手に叔父さんの館へとやって来る。そこは、とてつもなく広い古びた館だった。そして何故か館内には、たくさんの大小さまざまな時計が溢れ返っていた――。ジョナサン叔父と一緒に暮らす謎めいたツィマーマン夫人とともにここで生活することになったルイス。だが、彼は次第にこの館の不穏な秘密に気付き始める。話し掛けてくる絵画に密かに動く家具、夜な夜な蠢きだす謎の生き物…、そうジョナサンとツィマーマン夫人は魔法使いだったのだ!彼らの弟子となって魔法を習い始めたルイスは、やがてこの館に隠された呪われた真実と向き合うことになる……。魔法使いの弟子となった少年が世界を救うために大活躍する姿を描いた冒険ファンタジー。監督は僕の苦手とするイーライ・ロスだったのですが、ケイト・ブランシェットが出ているということで今回鑑賞してみました。冒頭からルイス少年が迷い込むことになる、この広い洋館の不穏な空気に満ちたおどろおどろしい雰囲気はなかなかのもんでした。彼を迎え入れることになる二人の魔法使いも怪しさ爆発で、特にブランシェット演じる夫人の気品に満ちた佇まいは華があって大変グッド。子供が見たら泣くんちゃうかってくらい不気味な自動人形たちの造形も、ティム・バートンファンの僕にとってはけっこう好物でした。ただ、この監督の個性でもある後半の下品&グロ描写のやり過ぎ感を許容できるかどうかが本作の評価の分かれ目。僕は当然受け入れられませんでした。かぼちゃお化けの吐く大量のゲロなんてホント汚らしいし、ジャック・ブラックが髭面のまま赤ちゃんになるトコなんてマジ気持ち悪すぎ!!この監督って、どうしてもこういうことしないと気が済まない人なんでしょうね。ただ、そういうのを抜きにしても、全体的に演出が雑なところが大きなマイナスポイントでした。特にルイス少年が通うことになる学校の描写が適当すぎて、意図がさっぱり分かりません。と、僕の好みからは大きく外れる本作ですが、それでも独自の世界観はあるので嵌まる人には嵌まるかもですね。
[DVD(字幕)] 5点(2022-07-14 10:18:34)
440.  デス・ウィッシュ 《ネタバレ》 
彼の名は、ポール・カージー。優秀な外科医として総合病院に勤務する彼は、愛する家族とともに幸せな生活を送っていた。だがある日突然、家へと押し入ってきた強盗団によって妻を殺され、一人娘も瀕死の重傷を負わされてしまう。巧妙な犯人たちはほとんど証拠も残さず、金庫の中身を持ってまんまと逃走。すぐに捜査は開始されたものの、警察は続発する凶悪事件に忙殺され犯人は一向に捕まらない。哀しみに暮れるカージーはやがてある一つの決断を下すのだった――。「法律など何の役にも立たない!ならば、俺の手で世に蔓延る悪を裁いてやる!!」。目深にフードを被り、慣れない銃を手にしたポール・カージー。夜の街へと繰り出した彼は、野蛮な犯罪者どもを次々と血祭りにあげていくのだった。そんな彼のことを撮影した動画がSNSを中心に拡がってゆき、やがて彼は街のヒーローとして人気を得ていく。そんな折、再び手術室へと戻った彼の元に、なんと亡き妻の時計をしたチンピラが運び込まれてきて…。愛する家族を奪われた外科医の血に塗れた復讐劇をハードに描いたバイオレンス・リベンジ・アクション。復讐に燃える主人公を演じるのは人気俳優ブルース・ウィリス、監督はどぎついバイオレンス&グロ描写で独自の地位を築いた鬼才イーライ・ロス。ハリウッド資本の影響だろうけど、この監督の良くも悪くも持ち味であるそのあくの強い演出は今回は控え目でした。なので、僕はそこそこ楽しめたかな。まあ、ベタっちゃあベタですけど、分かりやすいストーリーテリングやキレのいいアクションなどはぼちぼちのクオリティ。ブルース・ウィリスが全く外科医に見えないのはご愛敬ですけどね。ただ、新しい部分は一切ないので、三日も経てばほとんど内容を忘れてしまうだろうことは自信を持って言えます(笑)。結論。ヒマつぶしで観る分にはそこそこ楽しめるんじゃないでしょうか。
[DVD(字幕)] 6点(2022-07-14 09:39:09)
010.05%
190.48%
2492.61%
31266.71%
424813.21%
532917.52%
648525.83%
733117.63%
821511.45%
9713.78%
10140.75%

全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS