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461.  尋問
スターリン主義下のポーランドの話。だらしなかった女が尋問で鍛えられて英雄になっていくってのが本筋。「英雄ってのは思想があるもんなんだぞ」ってのに対抗して、「誰をも裏切るまい、嘘はつくまい」ということを足がかりにして、思想のない英雄になっていく。彼女も立派だが、私はこの尋問者のほうが面白かった。社会主義の理想に燃えてるんです。はっきりとは語られてないけど、本人か身内かがナチにひどい目にあわされているらしい。だから本気で西側に負けないような清潔な社会主義国家を建設したいと思ってるんだな。だからこういう自堕落な女が許せないんだ。二人とも卑屈さがないの。それでそのガチンコ衝突が見ものなわけ。同室の眼鏡の女も怖かったなあ。理不尽な理由で入れられてるんだけど、国を建設する厳しい時代には犠牲も必要なんだと割り切ってる共産党員。いそうな気がする。ただこんな厄介な人物はもっとあっさり処分されちゃうんじゃないか、って気もしたが。 監督リシャルト・ブガイスキ。
[映画館(字幕)] 7点(2013-10-25 10:22:02)
462.  シェルタリング・スカイ
10年目の夫婦の物語であり、戦争の熱狂のあとの物語でもある。もう一度ヒリヒリする時間を持ちたい。いつも空に覆われて、保護されてて、何かと剥き出しで対峙したい。そんな前提で、精神的な疲れから肉体的な病気に至る夫婦の旅になる。彼らには、何らかのリフレッシュか決定的な破局かを期待する旅だった。で旦那は腸チフスという決定的な破局以上のものを手に入れてしまうんだけど、それは同時に愛の再確認の場でもあった、って。字幕のない放浪が続き、砂漠ってのは紫禁城と違い歴史のまったくない場所。でもやはり同じ場所に帰ってくるの。ここを撮りたかったのだろうな、と思わせる。夫婦互いのじらし合いが、ずるずると拡大し大袈裟になっていって、浮気になり、別行動になり、そして…、というドラマ。彼らの空虚感を共有できるかどうかが、感動の分かれ目でしょう。
[映画館(字幕)] 7点(2013-10-23 09:52:42)
463.  ミザリー 《ネタバレ》 
設定はこの上なく怖い。助けてもらってるという負い目もあるし。でも彼女のヒステリーは、怒るんじゃなく、メソメソしたほうが怖いんじゃないかな。ここまで尽くしているのに、どうして分かってくれないんですか、って泣いた方が。あくまで作家を祭り上げといて、しかし物理的には閉じ込めてる、って。そこを怒る形相を見せるから、力の暴力で怖い見慣れたサスペンスになってしまったかも(アニーの優しさこそが怖いはず)。地道に貯めていた眠り薬をあっさりこぼされちゃう(ほとんど)ギャグがいい。原稿を焼かれた復讐に、結末の原稿を焼いちゃうてのも、作家と愛読者の関係が出ていて、おかしい。作家にとって心血注いだ原稿が目の前で焼かれるたまらなさは、読者にとって結末間際で本を取り上げられるたまらなさと同じで、どちらも残酷きわまりない仕打ちなの。「思い出のアルバム」を見るとこも、怖くておかしい。全体この「怖くておかしい」の線でいった映画だった。不特定多数相手の仕事してる人って、こういう怖さをいつもひしひしと感じてるんだろう。たしかにK・ベイツは怖いけど、ミザリーになりきってる彼女、かわいくもあるんだよな。
[映画館(字幕)] 7点(2013-10-20 10:04:15)(良:1票)
464.  ゴッドファーザー PART Ⅲ 《ネタバレ》 
パーティで始まる。ファミリーが集まる儀式。三作をワルツがまとめている雰囲気がある。イタリアと言えばカトリックにオペラ。前は教会での祝福と殺戮を並行させたが、これではカトリックが前面に出てきた。法王庁のなかのどうのこうのはもひとつピンと来なかったけど、イタリア人及びイタリア系移民のアメリカ人には、マフィア一家の上昇の果てが納得できるのだろう。ヘリコプターでの幹部殺しあり、祭りのなかでのザザ殺しあり、タリア・シャイアのネットリしたのも怖く、見せどころはオペラだ。『知りすぎていた男』的緊張も加味される。マーロン・ブランドは孫(ファミリー・子孫)のいる農園で死んでいったけど、アル・パチーノは犬がいるだけの赤茶けた何もない庭で一人死んでいくわけ。第一作の年、V・ストラーロはイタリアで『ラストタンゴ・イン・パリ』のM・ブランドを撮っており、コッポラと組むのは『地獄の黙示録』(やはりブランド)からで、コッポラのカメラマンではたぶん本作を含めた三部作だけがゴードン・ウィリス。見てる間は気がつかなかったが、ヘルムート・バーガーが出てたのか。
[映画館(字幕)] 7点(2013-10-09 09:52:28)
465.  いつか読書する日
リアリズムのようでいて、どこかそうでない方向へ逸れていく。玄関先で待っていて、毎朝牛乳一本を目の前で飲み干すじいさん。カレー小僧の伝説。日常からはみ出していくボケ老人と、養育放棄された子ども。などなどが世界を変な方向に広げている。岸部一徳は劇的な死を遂げた父のせいで「絶対に平凡に生きてやる、必死になってそうしてきた」と言う。必死に平凡たろうとしてきたキャラクター。ついに田中裕子が「カイタ!」と名前で呼びかける瞬間のスリル。あるいは妻の死後訪れて、学生時代のような口ぶりで「ちょっとつきあってくんない」と言うあたり。「死ねと言うなら死にます」も。中年の抑えられていたセリフのいちいちが味わい。メロドラマこそ平凡のなかの必死なんだな。タイガースのメンバー仲間岸部は、撮影の合間にジュリーの妻・田中に「沢田君、元気?」とか挨拶したわけ?
[DVD(邦画)] 7点(2013-10-07 09:51:12)
466.  ある子供
いつものぶっきらぼうな・人物にしか興味を示さないカメラワークは同じで、主人公が盗んだ箱を河に投げりゃ、カメラは箱を追いたくなるだろうに、投げた当人から離れない。箱を追わない。やたらカメラを振り回されるよりは嬉しい。救いようのない奴に救いはあるのか、という話で、ブニュエルの『忘れられた人々』に比べると詰めが甘いようにも思えたが、重いテーマではある。子供を売ったら妻にダメージがいくか、なんて考えっこない人物。弟分とオナラしたとかじゃれ合ってるのが似合いの人物。そいつが冷たい水に漬かって、弱って、逃げないでとか言われて、変化したのか。ワルに毎週金せびられるのに疲れ切ってもいた。分かりやすい理由は与えてくれない。ただぶっきらぼうなカメラが見たものだけを提示される。淡々と警察署へ面会に行くあたり、いい。
[DVD(字幕)] 7点(2013-10-06 09:16:03)
467.  Mr.インクレディブル
小市民となったスーパーヒーロー、巨体を窮屈そうに車に押し込めて生きている。こそこそ人助けをしてガス抜きしてる。ファンの憧れが敵意に変わるというのは、スターの不安でもあろう。アメリカ映画ではけっこうこういった民衆の加害性を描く面があって、あの国民すぐ一体となって興奮しやすい一方、こういう視点も持ち続けているのが偉い。仕種が人間の俳優的なので、急に体が伸びるのが生きる。凍らせる奴がいかにもアニメ的なのといい対照。スーパーヒーローはやっぱりああでなくちゃ、と年寄りが得心しているのがおかしい。マントのギャグはラストの伏線だったのだ。
[DVD(吹替)] 7点(2013-10-04 09:33:47)
468.  無防備都市
悪口を先に言っちゃうと、ファシストの描写。作られた時が時だからある程度仕方なく、この時代はこういう悪役像しか作りようがなかった、という1945年の記録になってるわけでもあるんだけど、やっぱり後世の目で見ると薄っぺらい。いかにも悪女めいた表情してたり。しかし個性を持った人物が出ないシーンになると、がぜん光ってくる。あわてて逃げている男の背後で明けていく朝の空。あるいは兵士が到着し、オートバイが回り込んで止まり、家の周りを包囲していくその臨場感。処刑のシーンのまぶしい白い光。これつまり1945年の錦絵・瓦版みたいなもので、これこれこういうことがあったと多くの人に告げ知らせたいという意識が濃いんじゃないかな。劇映画も否応なくその時代の記録映画となってしまう、ということを確認できた作品。
[映画館(字幕)] 7点(2013-10-01 09:27:33)
469.  王と鳥
かんじんのやぶにらみの暴君は、けっこう最初のほうでいなくなってしまう。いろんな象徴がありましょう。扇動者としての鳥も、クリアな善のイメージだけではない。時報を告げる犀ってのは、どこから来るイメージなんだろう。もしかしてフランス語なりフランスの諺なりだけで分かるシャレかなんかなのか。アニメっていうと最近はとかくスピード感を出せるのを得意とする世界となっているが、これはゆったり動いてて、いい。落とし穴を避けようとピョンピョンするあたりのスピード感がそれで生きる。巨人の胸で奏される結婚行進曲のグロテスクなアレンジ。下層市街の冥府のような感じ。解放される猛獣たち、人の解放の喜びはそれほど強調されない。
[DVD(字幕)] 7点(2013-09-27 09:25:15)
470.  M:i:III
これの興味はフィリップ・シーモア・ホフマンの悪役だった。コンプレックスの裏打ちのある人をやらせると絶妙な役者で、何か新鮮な悪役像を生んでいるのではないかと期待したが、ごくフツーの悪漢だった。昔の007映画のように、さしたる必要性もないのに世界中を回っていて、それは嬉しかった。ベルリン・バチカン・アメリカの海上ハイウェイ・上海と、質感の違う風景を並べていくのが楽しい。交通法規を無視しずいぶん巻き添えの事故死者を出してしまっただろうなあ、といった小市民感情からしばし自由になるのがこういう映画の味わいなので、積極的に無視しぶっ飛ばしてるつもりになる。でも悪漢の方だって、ジェット戦闘機持ってるのに人質の警備が粗雑だったり、きっと根は小市民なんだぜ。
[DVD(字幕)] 7点(2013-09-22 09:46:11)(笑:1票)
471.  チ・ン・ピ・ラ(1984)
ラストの白服の船長さんの嘘っぽさ・いかにも取ってつけた感じが柴田君の幻影のようでもあって、それほどキズとは思えない(寺山修司の映画によく出てくる海軍軍人を連想したので、より幻想っぽく思ったのか)。三十男の焦りという中心テーマの侘しさがいい。じゃれ合うチンピラのままでいたいけど、やくざの成熟社会(親分子分のキッチリした関係)に追い詰められてもいるわけで、ヤーさんの“制服”への嫌悪感もある。で、すぐデパートの屋上へ行ってしまう。アマチュアなんだな、もうしばらくアマチュアで居続けたい。親分と一緒にメロンに手が伸びちゃうなんてスケッチもよかったな。サインペンで刺青に色を入れる、これがラストで生きてくるんだ。
[映画館(邦画)] 7点(2013-09-05 13:29:18)
472.  伽倻子のために
グイグイ横向きに力が加わる作品ではなく、静かにゆっくり沈澱していく下向きの力がかかった映画。物語を語るというより、主人公の記憶があちこちから湧いてくる感じ。さして重要ではないかもしれない幼稚園のバザーのシーンも、記憶を通過した懐かしさがあるのでキラリと光る。地べたに置かれたものの影、不意に鳴り響くオルガン。そして水漏れ調査のシーン。静けさと響きと。ずっと向こうの道が左手に折れてるあたりの板塀がテラッと光ってる。行く末は明るいなんて象徴じゃなく、どちらかと言うと侘しさがあって、暗闇に置かれた金屏風のよう。あれが利いてて、なんとも切ない。全体に白くなろう白くなろうという意志が感じられ、タイトルからそうだった。記憶がなかった時間を懐かしんでいるのか、憧れているのか。白い霧、白い朝鮮服。この白の反対がドローンとした夕陽。別に朝鮮と日本じゃないけど。
[映画館(邦画)] 7点(2013-09-01 09:18:23)
473.  スティング
敵討ちの物語で、それも人種を超えて仇を討つ話になっているところが、60年代末から続く70年代初頭の社会的気分だったのだろう。映画の中は30年代で、屋内シーンでも窓の外で30年代をやっている。ベトナム戦争からアメリカが手を引くころで、同時代にウンザリしていたアメリカ人は、理想郷をそこに見たようだ。偽のノミ屋を設営するあたりが眼目、そこらへんの楽しさは映画のメイキングを見ている楽しさと似ている。ホンモノのようなセットが組み立てられて、エキストラの人選が行なわれ、スタートの掛け声でニセモノがホンモノっぽく動き出す。映画の楽しさとは「騙されること」なのだな、と改めて思う。役者ではR・ショウとP・ニューマンがよく、彼は酔い潰れて登場することが多いな。見事なカードさばきを見せた最後にクショクショとしくじるあたりが彼の味。本筋の話はスマートなのだが、映画としてはいささか枝毛が乱れているようなところがあり(たとえば殺し屋との絡み)、もうちょっと刈り込めたのではないか。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-08-31 09:59:11)
474.  メトロポリス(1984)
群衆への不信が根強くある監督で、そっちのほうが資本家対労働者の図式より奥にある。偽のマリアに興奮させられていくくだりなど、おっかない。ロボットが資本家の言いなりになって、なんとなく話の輪郭が掴めた気分になったところで、ロボットが言うことをきかなくなり、破壊そのものの楽しさへ走っていく。それまでのところはナチズムを予見したというレベルだが、こうなると、兵器が人間の理性の範囲を超えてズンズン進化していってしまっている現代(1985年3月にロードショーで見た)の恐怖そのものに迫っている。1920年代に、もうここまで予見していた我々人類を自慢していいのか、それを知っていながら愚行を重ねた20世紀史にションボリすべきなのか。ロック音楽をかぶせたバージョンで、労働者たちが首うなだれて行進してるとこなんか、独自の効果があった。ソ連映画じゃないので労働者がすべて前向きなわけではなく、使いの役を忘れてヨシワラに行っちゃったりするのも、苦くてよろしい。
[映画館(字幕)] 7点(2013-08-26 09:33:53)
475.  男はつらいよ 噂の寅次郎
細かいギャグは忘れても、マドンナが誰だったのかさえ忘れても、大滝秀治の坊さんに「女難の相が出てる」と告げられるやつ、として記憶に残る作品。もう少し若いころの寅だったら、オロオロうろたえるリアクションになってたかもしれないが、いいのは「分かっております」と淡々と受け入れているところ。「分かっている」んだ。女難に至る女性関係を持てない、という女難もあるのか。啖呵売では女房持ちと偽って商売をしているし、旅先ではさばけた大人の態度で女性(泉ピン子)と対せるのに、とらやではコワバってしまう。大原麗子が別居していると知って、子どものように店先で前後にステップしてる軽さが本性。夢の石仏から抹香臭さがあり、社長自殺か? のエピソードから救急車、「こんにゃく物語」の挿話と、暗い影がけっこう作品を覆っていた。ラスト近くの北風吹き込むとらやも電灯つけずに暗い。女難どころか妻帯にも至れない寅は、離婚したばかりのマドンナにどう対応していいのか分からない。その無力を寅も自覚している。妻帯し一家を構えることの重さが寅にはたぶん耐えられない。柴又駅のホームでさくら・嫁と志村喬・舅が交わす会話のいい感じは一生味わえない男だろう。旅先の人間関係の稀薄なところでのみ闊達な寅なのだ。本人が言っていたように「暗い男」なのである。働きに来た大原麗子におばちゃんが「赤坂の虎屋とは関係ないんですよ」と念を押すのがおかしい。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2013-08-24 09:39:44)
476.  ハンガリアン
無表情の長回しで、じっくりじっくり進行する。ちょっと気分が「俺は何でこの人たちに付きあってるんだろう」と離れそうになってきたあたりで、ロシアの捕虜を殺せなかった兵士が草の中で射殺される場面になり、のめりこんじゃった。カメラが行きつ戻りつして、じかに現場に立ち会ってるようなあっけなさ。リアルだった。あるいはひと夏のよき日、上等なタバコを吸って草笛吹いてのスケッチ。自転車を買う海への旅もいい。みなが適度に散らばって海へ歩いていく厳粛さ(ハンガリーは海がない。忘れないうちに書いとくと、これ戦時下のドイツへ出稼ぎに来たハンガリー農民たちの話)。雨が降ってきて自転車を濡らさぬように小屋に逃げ込めば死体があり、そういう時代なの。ドイツの人々の描写もよく、地主が息子のおもかげを農民に見るあたり実に優しい。「ドイツもハンガリーなんかと組まなけりゃ良かったのに」なんて農民がぼやく。自虐的ってわけでもない。淡々と感想を呟くだけ。音のみによる空襲シーンも良かった。露出過剰による夢のシーン、さかんに“マジャール”とか言ってて「ハンガリーとは何ぞや」についての結論的エピソードらしかったが、白地に白の字幕でまったく読めなかった。かえって言葉によるマトメがなくてよかったかも。
[映画館(字幕)] 7点(2013-08-21 09:25:09)
477.  羊たちの沈黙 《ネタバレ》 
太った女の人をさらって、3日間食事を与えないで皮膚がたるんできたところで殺して、それでドレスを作ろうとしている変質者。一心にミシンをかけてるとこがけな気。変質者映画は好きだし、それが二人も出てきてくれるってのは嬉しいんだけど、かえって焦点が散ってしまった気もする。その乱暴に組み合わせたところに凄味を感じるべきだったんだろうか。林を駆けていくJ・フォスター、てっきり可憐な被害者と思わせてFBIに入っていく、ってな冒頭の「外し」がずっと繰り返され、警官隊と犯人を交互に描いて、実は別のとこだったり、なんて演出上の仕掛けが優先される。なんかスリラーとしては物足りない。ヒッチコックは変質者扱ってもユーモアは入れるのに、そういう親切はなく、「人間の気持ち悪さ」そのものが好きみたい。「精神の深遠」を探るなんてんじゃなく、純粋な「猟奇趣味」。それを素直に楽しんでいる純朴さは感じられます。でもミシンを懸命に掛けてたほうの変質者、博士の陰に隠れちゃって、どうにも気の毒。
[映画館(字幕)] 7点(2013-08-18 09:01:52)
478.  恋のエチュード
典雅です。ジョセフ・ロージーの『恋』もこのころだったか。フィルムの色が褪せてきてたのが、また味わいが出てよかった。ジェスチャーごっこ、海近くでのテニス、女性三人による何気ない合唱など、いい。けっきょく愛の執着の話なんだけど、その主観の熱風から離れて描く涼しさがある。池のほとりでの忍びあいの長回しが、まことに美しい。全体俯瞰が多かったが、「運命」って感じかな。姉妹が手相を見てもらうシーンがあったっけ。全体の典雅なトーンに、愛の執着が対立してるよう。老人となったクロードが英語をしゃべる女の子たちのなかから彼女の子どもを探そうとするまさに執着のラストなんだが、作者はそういう生々しさから離れた立場を求めて客観視しようしようとしてるのがいい。やたらナレーションを入れて説明するのも、当事者のことは当事者に任せちゃってるという感じか。
[映画館(字幕)] 7点(2013-08-16 10:18:52)
479.  ピアニストを撃て
必死な洒落っ気、そんなものを感じた。脂っこいものを抜くの。これはもうシャンソンの世界。微笑む以外にないような哀しさ。白と黒を対照させるのを、象徴ととったら野暮になる、洒落っ気として捉えたい。白と黒をきれいに片づけたでしょ、と親しい友人にちょっと照れながら自分の部屋を見せてる感じ。ちょうどピアノの白鍵と黒鍵のように。その洒落っ気に必死な感じがある。脂っこい人生の現場に耐えられない弱さを、繊細さと捉えるか、単なる逃避と捉えるか、ってこともあるが、この監督が忌避したその真剣さは、ある種の強さに裏打ちされている。それを「必死な洒落っ気」と呼びたいわけ。二人組の悪漢がおかしい。主人公が試験を受けに行くとこ、前の受験者のバイオリニストの女性を軸に描く。彼の部屋に差し込むネオンの変化。そして何よりも彼の弾くピアノがよろしい。
[映画館(字幕)] 7点(2013-08-13 09:37:42)
480.  蝿の王 《ネタバレ》 
原作は「権力とは何ぞや」に迫る小説だが、これはただ「二年間の休暇(十五少年漂流記)」を引っくり返しただけにも思える。20世紀は文明が文明そのもので野蛮になった時代で、文明が非文明に退化して野蛮になったわけじゃない。人間の集団の根源を見せてくれる原作。19世紀の「二年間の休暇」の時代は、権力機構がちゃんと機能すれば秩序正しい2年が送れるという人間の組織性に対する素朴な信頼があったが、20世紀は人間の集団こそが人類の敵だとはっきり分かってきた時代。まるでレジャーを楽しむような青空、青い海。象徴性を持たされた子どもたち。それでも彼らは儀式を必要としだす。「春の祭典」に近い音楽で盛り上げていく。サイモン殺しも怖いけど、ピギー殺しの戯れのような雰囲気が怖い。ラストで兵士が「いったい君たちは何をしてるんだ」と言う。その理性的な言葉を兵士(20世紀の野蛮の代表)が言う皮肉。演出での面白味はあまり感じられなかったが、「手堅い」ってことかもしれない。
[映画館(字幕)] 7点(2013-08-11 09:33:33)
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