481. 精神
観察映画というだけあって、とても静かな作品ですが、語られる内容は壮絶です。精神病のことをよく理解していなかったので、とても衝撃を受けました。ドキュメンタリーとしては途轍もないクオリティではないでしょうか。ただ、映画としては盛り上がりに欠けますかね…こういうことを言っちゃいけないのかな?あまりにも眈々としているので、途中で飽きてきてしまうのです。重たい題材を取り上げていながら映画としての盛り上がりもきちんとあるドキュメンタリーはありますので、あまり無礼なことを言っているという認識はありません。おそらく監督は、エンタメ性をあえて捨てているのでしょうが、他の作品を見て確信を得たいと思います。 [DVD(邦画)] 5点(2013-09-16 13:13:48) |
482. 風立ちぬ(2013)
《ネタバレ》 二郎は自己中心的で、美しいものにしか興味のない薄情者。実は二郎は自分の美しさにしか興味はない、ということを手紙の内容で悟った時の菜穂子の表情、彼女の決死の名古屋行き、二郎を支え、死ぬ間際に二郎のもとから去った菜穂子の人生は、僕の心を激しく揺さぶりました。これほど悲しい事はあるでしょうか?思い続けた男がこんな奴だったとは…でも、嫌いになれない気持ち。想像するだけで辛く、涙が出てきます。 一方、超がつくほどの秀才で、自信家で、薄情者で、美しいヒコーキをつくることに全力を注いだ二郎は、挫折の果てに見た夢で、妻・菜穂子に「生きて…」と語らせます。どれだけの苦悩・自殺欲が二郎を苦しめていたのか、想像もつきません。途方も無いものだったと思います。子供の頃から思い描き、人生のすべてを捧げた美しいヒコーキ作りは、多くの命を犠牲にしてしまいました。これまで戦争なんて関係ない、これは自分の夢だから、と無邪気にヒコーキを設計してきた彼に叩きつけられた最悪の現実。これを消化するためには、夢で菜穂子になぐさめてもらう他に、解決策はなかったのでしょう。当然、最後を見とれなかった妻への後悔・懺悔もあって、あのような夢を見たのだと思います。 ようやくヒコーキの呪われた運命と現実を知った二郎は、カプローニに認められ、共にワインを飲みます。この直前に映画はエンドロールに入りますが、二人が飲んだワインはきっと赤ワインだったのではと思います。同じ夢を描き、夢のなかで友情を育んできた二人。アキレスが亀に追いついたのが戦後だなんて、悲しくも美しい話です。 この作品が宮崎駿の引退作になるわけですが、これほど引退作にふさわしい映画はないのではないでしょうか。これまで兵器の美しさをこれでもかというくらいに映し出しながらも戦争反対の姿勢を貫いた宮崎駿が出した結論が、この映画なのですから。僕のオールタイムベスト映画です。 [映画館(邦画)] 10点(2013-09-15 12:43:59)(良:1票) |
483. ねこぢる草
《ネタバレ》 原作はとてつもない不条理漫画でしたので、アニメもきっと内容があるようでないような感じのものになっていると思っていました。 予想は的中したようです。原作のエッセンスを十二分に活かした演出、内容があるようでないような…お話?終盤のカタストロフィ的展開は人間のエゴと破滅を描いているようで、いないようにも見えます。いわゆる描きたいものだけを描いた作品、とも言えるし、深いメッセージが込められているようにも。でも、ねこぢるだしなぁ。どうなんだろう? [DVD(邦画)] 6点(2013-09-14 17:22:57) |
484. アマデウス
《ネタバレ》 ラストシーンが素晴らしいと思いました。牧師への懺悔を終え、凡庸な人間のトップを自称するサリエリが凡庸以下とも言える当時の精神異常者たちの間を車椅子で通り過ぎていきます。神の間から凡庸以下のさらに下に下っていくように見えます。モーツァルトの葬儀が行われなかったことで彼の残酷な計画は失敗に終わったわけですが、彼はそれに気がついていないようでした。それでいて神に向かってあの態度を示すのですから、仕方がありませんね。気持ちは痛いほど理解できますが、軽蔑せざるを得ないのです。観客の軽蔑を煽りつつも、カタルシスを生じさせるラストシーンに敬服します。 [DVD(字幕)] 7点(2013-09-13 18:58:49) |
485. ボーン・アルティメイタム
《ネタバレ》 トリロジーの中で最も洗礼された傑作だと思います。過去2作にノレなかった僕ですが、今作には痺れました。アクションが最も興奮する素晴らしさで、特に屋根から屋根へ飛び回るあたり、素晴らしい。サスペンスも上出来です。アルティメイタムのために過去2作は会ったと言っても過言ではないです。まあ、トリロジーなんだから当然ですが。ただ、終わり方は不満。ニッキーが笑ったところで終わらせたほうが、ボーンシリーズらしいと思うのです。なんにせよ、ジェイソン・ボーンの物語が完結して、何よりだと思いました。ボーンが少しでも幸せな人生を送っていくことを願っています。 [DVD(字幕)] 7点(2013-09-09 23:08:06) |
486. ボーン・スプレマシー
前作よりも地味な印象を受けました。今作のボーンには感情移入の余地があって、サスペンスは良質でした。しかし、好きにはなれないですね。最後までノレないままでした。アクションシーンのカメラが動きすぎて、何をしているのかがよくわからない。制作側はアクションに自信を持っているのでしょうが、ならば観客にきちんと提示してほしいです。ハリウッドの硬質なアクション映画は向いていないのかもしれません。 [DVD(字幕)] 5点(2013-09-09 20:00:08) |
487. ボーン・アイデンティティー
《ネタバレ》 アクション映画を楽しむためには、他の映画以上に主人公に感情移入することが一番だと思っています。はっきり言ってジェイソン・ボーンには感情移入できない。惚れた女と悲惨な別れ方をする時まで冷静さを保ち続けることができるような完璧人間に、感情移入ができるわけがありません。この別れ方のせいでラストが予想出来てしまうために一気に冷めてしまいました。記憶喪失になる理由もくだらないし、あんなにパリをウロウロしていたのにCIAは彼らの足取りを全く掴めない。スナイパーはもったいぶってボーンを殺せない。トレッド・ストーンの内部に護衛がいない。ダメすぎる。これらのダメ要素は他のアクション映画にもありがちですが、僕の好きなアクション映画達はダメ要素をカバーして余るほど見事なアクションを見せてくれます。この映画の後半のアクションは残念な出来でした。余計にあらを探したくなってしまいます。期待して見ただけに、残念。 [DVD(字幕)] 2点(2013-09-09 00:30:14) |
488. 探偵はBARにいる
《ネタバレ》 お話は悪く無いと思うし、アクションも泥臭くてステキです。主人公のキャラクターもきらいじゃないですし、可も無く不可も無くといった感じです。ちなみにですが、この映画の主人公は大泉洋です。そして舞台は北海道。まさに彼のための映画と言っても過言ではないわけです。しかし、真の主役は小雪さんです。あるシーンの彼女は般若にしか見えません。それが深刻なシーンで画面にドーンと出てきてしまうので、困りました。 [映画館(邦画)] 4点(2013-09-05 01:41:25)(良:1票) |
489. の・ようなもの
《ネタバレ》 たまらなく好きな映画です。僕はこの映画の雰囲気が大好きなんです。登場人物は基本的に善意で動いていて、気の抜けたギャグをポロッと言ったりします。たまに訳の分からないキャラクターが出てきて、ギャグのようなものをつぶやく。話をつまらなくしてしまいかねない登場人物たちですが、何故か愛してしまう。脚本の良さと監督の技量がなせる技だと思います。当時素人だった伊藤克信を主役の・ようなものに据えて名作を作り上げてしまった森田芳光に頭が上がりません。監督の最高傑作だと思います。 [DVD(邦画)] 7点(2013-09-05 01:37:52) |
490. エクスペンダブルズ2
《ネタバレ》 内容なんてのは別にどうでもいいんですよ。ここまでのメンツが揃って大アクションを繰り広げているというだけでも、素晴らしい。特にチャック・ノリスの存在感がたまりませんでした。チャック・ノリス・ファクトも一発キメて、いい気分のまま退場したと思ったら結局いいところを持って行きやがって!ニクいね! 残念なところはジェット・リーがあっという間に退場してわけのわからん中国女がエクスペンダブルズ入りしたこと。中国のスポンサー的には香港の大スターよりも邪魔な美人のほうがいいんでしょうかね。最後のバトルでジェット・リーが出てきたらすげーなーと思ってたけど、出てこなかった。信じられん!あと、監督がサイモン・ウェストだというのも不満です。なんでスタローンがやらないんだ!1作目が好きなのは監督がスタローンだったからこそのものなので、嫌な感じです。でも、体力が持たないんだとか、アクションに集中したんだと言われたら、何も言い返せません。3も期待してます。 [DVD(字幕)] 7点(2013-09-05 01:37:06) |
491. 東京物語
《ネタバレ》 壮絶な映画でした。わざわざ田舎から出てきたのに迷惑がられる両親には共感せざるを得ません。家族ではなくても、友人関係や社会との関わりで二人と同じ気持を味わうことはあると思います。その二人に親切に振る舞い続ける唯一の存在である紀子さんには、強い思い入れがどうしても出来てしまいます。その中でのクライマックスには激しく心を揺さぶられました。隠してきた本心を告白する紀子と、それを受け入れた上で彼女の未来を心配し激励する父・周平。やられました。僕のような人生経験の少ない若輩者でもこうなのですから、今後人生経験を積んでいく中で、この映画を見るたびに心に響くところが変わっていくのではないかと思います。これぞ映画。 [DVD(邦画)] 8点(2013-09-05 01:26:39)(良:1票) |
492. 天空の城ラピュタ
子供向けのアニメーションでありながら、大人も存分に楽しむことが出来る映画を作る監督が宮崎駿です。この作品は毎度のことながら、宮崎駿の描きたい風景、憧れた夢が山ほどつまっています。その中でも最も冒険心を煽られるのがラピュタですね。僕も空を飛びたかったし、空から降りてきた美少女と冒険に出たかった。この作品を作りながら、この作品に憧れた宮崎駿が作り上げた怪物のような映画。この映画を死ぬまでに何度見ることになるんだろうか。 [DVD(邦画)] 7点(2013-09-04 12:33:04) |
493. 許されざる者(1992)
リメイク版の試写会に行くことになったので、久々に見ました。以前と変わらず、おもしろいとは思えませんでした。しかし、演出の良さやセリフ回し、短期間で用意された町のセットなどがとても完成度の高いものであったことに気付くことができ、見なおしてよかったな、と思いました。DVDの特典映像がとても充実しているので、そちらも見る価値あり。 [DVD(吹替)] 6点(2013-09-02 23:33:20) |
494. コマンドー
《ネタバレ》 突っ込みどころとシュワちゃんだけでできた大味な映画ですが、退屈しないでみることができる愉快なアクションは評価できますね。黒人女性はもっと面白くて共感できるキャラクターにできたんじゃないかと思いますし、魅力的なキャラクターが好色野郎しかいないことが残念ですが、それがシュワちゃん映画だからと言われれば、そうかもしれません。 これは余談ですが、レンタルしたBlu-ray版には日本語吹き替えが入っていませんでした。更に特典映像は他の映画の予告編だけ。残念すぎます。 [DVD(字幕)] 6点(2013-09-02 09:46:13) |
495. 狼の死刑宣告
《ネタバレ》 復讐劇に欠かせない要素がこれでもかというくらいに詰まっている大傑作だと思います。特筆すべきは決戦前の身支度シーン。髪を剃って、武器のメンテナンス、装備を確認して、いざ出発!鳥肌モノのクライマックスに向けての素晴らしすぎる助走です。ジェームズ・ワンをソウシリーズの一発屋だと舐めてる人はこの映画をぜひ見てくださいよ。 [インターネット(字幕)] 7点(2013-09-02 07:49:58)(良:1票) |
496. カムイの剣
大好きな点はたくさんあるけど、とにかく音楽です。本当に素晴らしい。りんたろう監督作品中最も音楽が素晴らしい映画。これだけでも見る価値があるというものです。真田広之の演技も高評価。 [映画館(邦画)] 8点(2013-09-02 00:01:46) |
497. キャリー(1976)
《ネタバレ》 冒頭のシャワーシーンと罰を受けている生徒たちのシーンでは、キャリーの体の発達が遅いことが示されていて、劣った種族を滅ぼそうとする人間の本能がとても官能的に表現されていました。デ・パルマのスローモーションの使い方が効果的でしたね。発達は遅いけどテレキネシスを使うことができるキャリーという設定は、キリスト教の狂信的な信者である母親から逃れるために魔女になることを選ばざるを得なかったからからなのかな、と思いました。キャリーは2人の同級生の策略にまんまと引っかかり、有名な豚の血を浴びるシーンから大虐殺、そしてラストへと続いていくと。僕がどうも引っかかったのは、スーとトミーの本音がよく見えてこなかったことで、これがまた面白さを引き出しているとも言えるのですが。スーはセリフにもあったようにおそらく善意で動いていたと思うのですが、トミーは自分の意志を持っていないヒモみたいな奴で、キャリーとのプラムデートをしっかりと楽しんでいたように見えましたね。実はトミーが一番悪いやつなんじゃないかと思ってます。 [映画館(字幕)] 7点(2013-09-01 19:26:55) |
498. プッシャー2
闇社会で活躍する父親とそのダメ息子のフクザツな心境がスマートな演出によって表現されています。一作目にはないカタルシスが生じるクライマックス、そしてラストは鳥肌モノです。マッツ・ミケルセンはボンド映画の悪役で有名な俳優ですが、ダメ男の演技も秀逸なことを、今作と、同じくレフン監督のブリーダーで示しています。監督の初期作品によく見られる「赤」を前面に押し出した作品の中でも高クオリティで、トリロジーの中で一番見応えのある作品です。監督に惚れなおしました。 [映画館(字幕)] 7点(2013-08-30 01:39:05) |
499. フルメタル・ジャケット
《ネタバレ》 私も前半10点、後半6点。前半だけでものすごく面白い映画として成立します。場面がベトナムに移ってからはこれぞ戦争映画といった感じで、前半ほどの面白さは感じませんでした。作品内哲学も見て取れるんですが、前半の印象があまりにもすごすぎて、霞んでしまったように思います。あんな調子で悪口を言われ続けたら、そりゃ狂っちゃうよ。 [DVD(字幕)] 8点(2013-08-29 12:55:00) |
500. 最強のふたり
日本でこういうコメディが作れないものだろうか。見ていて心地よいコメディが。 [映画館(字幕)] 6点(2013-08-28 01:22:10) |