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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1248
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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521.  スマホを落としただけなのに 《ネタバレ》 
個人的にはスマホ依存度の低い暮らしをしているので問題ないかというとそうでもなく、要はネット社会の怖さ全般を語っていたらしい。ちなみに紛失したことはないが落下させたことはある。 最初の方では複数の問題が同時並行していく感じでそれなりに見ていられたが、真犯人が正体を現したところは意外というより唐突で呆れた。また終盤で取ってつけたような真相が明かされて人物イメージの統一性が失われてしまい、これで普通にハッピーエンドというのは素直に受け取れない。最後はスマホのいいところとして「宝箱」というオチを付けたようだったが、そういうお宝をやたらにその辺に置いておけば悪用されるだろうがと当然言いたくなる。 ほかに気付いたこととして、プラネタリウムの中でああいうことをする映画が作られるということは映画館でやってもいいという考え方と思われる。主人公の彼氏は「三田大学」の出身とのことだったが、太陽が爆発してから8分間で何をするとかいう話をしていたのは主人公が(観客が)無知だからと侮っていたのか(因果律に反する)、それとも超光速通信とか何とかで知りえたというようなSFっぽい荒唐無稽な想定か。 そういうことで特に憎しみを覚えるほどのものでもなかったが、「劇場霊」(2015)よりましで「クロユリ団地」(2013)と同程度と思っておく。  なお続編が来年公開されるそうで、貞子はもう出さなくていいが、新米刑事はなかなか愛嬌のある奴だったのでレギュラー化するのも悪くない(が見ない)。それとは別に「スマホ拾っただけなのに」(2019)(主演・冨手麻妙)というのもあるようなのでそれもいいかも知れない。 出演者に関しては、岩井堂聖子・松山愛里の両人は知らない人でもないのでお疲れ様でしたと書いておく。粟田麗さんは最近お母さん役しか見ていなかったが、今回はまた幸薄そうな女性の役で、荒れた表情とともに優しいお母さんの顔も見せていたのでよかった。ほかエンドクレジットに菅野莉央さんの名前が出ていたが、もしかすると彼氏の会社の総務部にいた人だったかも知れない(台詞あり)。
[インターネット(邦画)] 4点(2019-07-20 16:58:27)
522.  いつも月夜に米の飯 《ネタバレ》 
監督の名前は「おんなのこきらい」(2014)で憶えていたが、それが理由で見たわけではなく、竹富聖花(現・春花)という人が脇役で出ているので何をしているか見ようとしただけである。デレっとした感じで食い物をうまそうに食う美女モデルで、主人公の行動に大きな影響を及ぼしてから去ったらしいがいい影響だったかは何ともいえない。 ちなみにどこがPG12なのかが気になっていたが、未成年が飲酒するからという単純な理由か、あるいはカラオケでの婦女暴行が出るからか。その辺のチャラい男とラブホに行っていたあたりはそれほど問題ではないかも知れないが、とにかく地元民でも小学生(だけで)は見てはなりませんということになる。  宣伝によれば「ごはん映画」とのことで、料理または食材を題名にした5章を立て、それらしい食物を映像化しているので料理映画といえなくはないが、それよりはこれから長く続いていく人生の一場面を描いた映画という印象が強い。人が飯を食うという行為が人生そのものを象徴し、誰かと生活をともにする、一生添い遂げるといったことの表現にもつながっていたのでまとまりはなくもない。 最後はハッピーエンド風なのでこれで万事うまくいったと取れるのかも知れないが、しかしエンドロールの後の場面が題名そのままなのは「実際はそうはいかない」(公式ページの解説より)という意味であり、19歳女子(中卒)が40男と一生添い遂げるはずがないという常識そのままのことを示唆していると思うしかない。要は母親似の娘が、母親への対抗心で男を奪い取った一場面の話だったとすればかなり皮肉な映画ということになる。 決して中身のない映画とも思わないが、しかし自分として最大の問題点は共感できる要素が全くないことである。もうどうでもいいから勝手にしてくれという気分で、時間的には104分しかないが非常に長く感じた。  以下雑談として、撮影地は新潟県五泉市とのことだったが、アーケード商店街を見る限り、もとの五泉の中心街ではなく2006年に合併した旧村松町の中心街を映していたらしい。ここは村松藩堀家3万石の城下で、相応の由緒ある町ではあるが、映像的にはそれほど行ってみたくなるように見えてはいなかった。ほかに目立つところでは日本海に面した寺泊(旧寺泊町、2006年以降は長岡市の一部)の店が出ていたようである。
[インターネット(邦画)] 4点(2019-05-03 08:21:03)(良:1票)
523.  銀魂 《ネタバレ》 
原作は読んでいないが笑える映画ならいいかと思って見たところが大して笑えるわけでもなくかろうじて少し笑いかけてこらえたのは「てへぺろ」のところだけという有様でほかは橋本環奈の体形が気になってしょうがなかったという思い出しか残らず要は原作ファンが盛り上がるための映画だったのかと思いかけたところでネット上の評判を見るとどうもこのシリーズはイケメン揃いなことが売りになっているようでそういえば去年8月頃にうちの部署の女子が2を見に行きたいと言っていたのはそういうことだったのかと初めて得心がいってそれなら最初からムロツヨシも佐藤二朗も安田顕もどうでもよかったわけだと落ち着いた気分になったので大変よかったと思った。2は見ない。
[インターネット(邦画)] 4点(2019-01-19 08:58:25)
524.  三十路女はロマンチックな夢を見るか? 《ネタバレ》 
宣伝写真の印象ではいわゆるギャング映画かと思うが、実際は堅気の主人公が、逃亡中の銀行強盗犯(男1女2)に同行する羽目になった話である。ロードムービー的なところがあり、場所としては房総半島をうろうろしているように見える(撮影は静岡県でもしている)。また最後に「大ドンデン返し」が用意されていることになっているので、見ようとする場合は事前情報を遮断した方が無難である。  その「大ドンデン返し」はそれ自体がけっこう複雑な構成になっているが、その一方で、メインの筋立ても複雑というか納得のいくものではない。 監督によるとテーマは「夢」とのことで、高校時代に一度それまでの夢を捨て去ったはずの主人公が、実際は納得できていないまま20代を過ごしてきたが、たまたま今回の事件をきっかけとして、30代なりにリニューアルした夢を手に入れたという話と解される。ただしその過程で主人公にも迷いがあり、隣部屋のオバサンが言ったような別の選択もあり得たのだろうが、題名への回答でいえば“見たが醒めた”ということだろうと思われる。 しかし、それにしても途中の行動の意味づけが不明瞭または両義的なため、見る側としては最後まですっきりせず、さっきのあれは一体何だったのか??という思いを残したまま終わってしまう。最終的な主人公の選択も唐突に思われたので、途中で表現不足になっていたところがあるのではないか。また、30代なりの夢を具体化したのがラストのイベントだったとすると、あまりに貧弱かつ今後の発展性も期待できないので落胆する。別に異動しなくても、前の部署でやっていたことがそのまま夢の実現につながるくらいの気持ち(この街の平和は私が守る!)が持てなければ、30歳を迎えてランクアップできたと言いがたいのではないか。 そのようなことで、個人的には「大ドンデン返し」だけで絶賛するわけにもいかない映画だった。  なお余談として、主人公の語っていた運動会の件は一般的な競争に関することであり、これを「夢」に関連づける必然性はない。また才能の有無を考えないという話は、結果的に才能のあった人間が後日談として語ることのような気がする。 ほかキャストに関して、武田梨奈さんは撮影当時25歳だったのに約30歳の役をやっており、そのせいか外見的にはさえない印象だった(演技は別として)。アクションはないが回し蹴りのようなのが1回だけある。
[DVD(邦画)] 4点(2019-01-06 18:59:42)(良:1票)
525.  女忍 KUNOICHI 《ネタバレ》 
忍者の映画だが、口で伊賀だ甲賀だというばかりでスケール感が全くなく、登場人物のいる場所以外に世界が広がっている感じが全くしないのは低予算なのだろうから仕方ないと思うしかない。しゃべり方が現代語っぽいので、序盤で登場人物が手に持ったものを見ようとしたときにまさかスマホではないだろうなと思った。 設定としては伊賀国の住民が近江国甲賀郡で女人狩りをしていることになっており、どちらかというと伊賀が悪者だが、甲賀の方も特に善玉ということではないらしい。忍者物であるから史実度外視でどうでもいいのだろうが、三重県伊賀地域と滋賀県甲賀地域の住民の皆さんはこういうのを見てどう思うのかと一応思ったりはする(今も戦っているのか)。なお女人狩りの従事者はあらかじめ去勢されるというのは徹底していて少し感心した。去勢されても家系が代々続くのは主に次三男が従事させられるからだと思われる。まことに非人道的だ。 話の展開としては、単純に主人公が大活躍して男を全員殺せば済むのだろうと思っていたら終盤で意外な展開があったりして、さすが映画であるからには少しひねってあったらしい。最後の大殺戮が映像化されていなかったのは落胆したが、そこは低予算なのだろうから仕方ないと思うしかない。悲しげな青空を見ながら終わりである。  なお自分としては武田梨奈さんがアクションをやっている映画を初めて見た。このとき満19歳で可愛らしくもあるが、宣伝文句にある「哀しみを湛えた瞳で敵を見据え」というあたりの表情は今一つな感じもした。また自分としては別のところで見た藤澤志帆という女優(紫の人)にちょっと注目していたが、劇中人物としては乱暴な扱いをされているので可哀想だった。そのほか冒頭の母親役で鵜飼真帆という人が出ていたようで、慣れない鍬の作業はお疲れ様に見える。どうもアクションに関心がないので女優の顔ばかり見てしまうが、ちなみにエロい場面は特になかった。
[インターネット(邦画)] 4点(2019-01-06 18:59:38)(良:1票)
526.  ママレード・ボーイ(2018) 《ネタバレ》 
原作は90年代の少女マンガとのことだが、127分間これを見続けるのはちょっと厳しい。前半は個別のエピソードをただ並べた感じで、後半は長々しいので早く締めろという気分になる。ちなみに主人公女子の「やだやだやだ」というのが気に障って黙れ!と言いたくなった。本当にこういうのは向いてない。 基本設定が荒唐無稽なのは突っ込まないとしても、自分としては特に主人公男女があくまで互いに執着する理由が全くわからない。それより「あとでな」と京言葉で言っていた女子(演・山下永夏?)と親交を深める方がいいのではと思った。また親友のエピソードが主人公のストーリーにどう関係するかも不明だったが、これはたとえ禁断の恋でも一途に貫くようあらかじめ勇気づける趣旨だったのか(案外そうか?)。 自分としては当然antiイケメンなので、こういう場合は幼馴染を応援したくなるわけだがそれが通らないのは普通にしても、この幼馴染が恥ずかしいことをやらかして捨て台詞を残して消えてしまってそのままだったのはみっともない。また元カノも一人で激しく思い込んでいるのを観客に嘲笑されるために出て来た感じだったが、そういう原作ではそれぞれ一定の存在感を持っていたと思われるキャラクターがぞんざいな扱いをされているようなのは気の毒だ。 なお室内も屋外もそれぞれに見栄えのする映像ができていたようには思う。海岸の場面で、犬と一緒に遠方を歩く人物がいたのは芸が細かい。また楽しい旅行がスマホの外枠で表現されるのが時代の反映だとは思った(何で門司だったのかは不明)。  キャストに関しては、優希美青さんが大人っぽくなっていて(「ちはやふる 結び」より)女優としての貫禄も少し見えたのは結構なことだが、年齢が倍近い男とのキスシーンはちょっとショックだ。正直これはマイナス要因だ。また遠藤新菜という人は、少し前に別の変な映画で変な扮装をしてものすごく変な役をやっているのを見たが、今回は少し洋風顔のカワイイ系美少女で安心して見られた。そのほか、わざとかも知れないが題名の男とその父親の身長差を目立たせすぎではないかと思った。
[インターネット(邦画)] 4点(2019-01-01 16:21:51)
527.  予兆 散歩する侵略者 劇場版 《ネタバレ》 
「散歩する侵略者」(2017)のスピンオフとして、全5回で放送したTVドラマの総集編とのことである。演劇臭を感じないのはいいとしても、本編と同じSFまがいの設定自体にそれほど面白味はなく、その上に各場面が変に長いので話が前に進まない気がして、冗長な映画という印象は本編よりも強い。ちなみに劇団名に合わせて生き埋めにされた男もいたが、そういうのを面白がってみせるほど好意的な立場でもない。  物語的な面では、観客に説教しようとするような煩わしさはなく、また終盤で「愛」があっさり否定されたように見えたのも結構なことである。ただし本編と同じ話のスピンオフということは、やはり最後に愛は勝つというおめでたい世界観は共有していることになる。 「愛」より重視されていたのは「死の恐怖」のようだったが、今回はそれを知った宇宙人が死んでしまったため、侵略を止める方向には作用しなかったという結末だったのかも知れない。ただしそこで疑問に思ったのは、死の恐怖自体が根源的な存在だというよりも、まずは生物としての生存の本能というのが根底にあって、そこから死の恐怖と共存への努力の両方が派生するのではないかということである。そういう本能を持たない宇宙人が、死の恐怖からいきなり共存への努力に短絡していたのは唐突で説得力に欠けていたが、しかしホラー映画であるからにはとにかく恐怖が重要だと思ったかも知れない(同じ脚本家の「恐怖」(2009)という映画もあった)のでいいことにしておく。  なお気づいた点として、序盤の父と娘はかなり(気色悪いほど)密着度の高い関係だったようで、ここで切り離されたのがかえって幸いだったのではと思った。また侵略の開始が火球とかではなく、地球温暖化による気候変動を連想させる豪雨だったのは、本編のような安手の映像も不要でかつ今日的な意味もある表現だった。 ほかキャストに関しては、特に序盤で空を見ていて振り返った夏帆がかわいい。というか職場で髪を後にまとめた顔がかわいいということだが、そのほか全般的にこの人の見せる表情が最近好きだ(前から好きだが)。[2019/12/14追記]変な男と付き合わなければよかったが。
[ブルーレイ(邦画)] 4点(2018-12-07 18:52:22)
528.  ラストコップ THE MOVIE 《ネタバレ》 
Huluと日本テレビが製作したドラマの劇場版である。1985年に重傷を負って30年間眠り続けた元刑事が突然よみがえり、もといた神奈川県警に都合よく復職して30年前の感覚で熱血刑事をやるという話で、唐沢寿明と和久井映見の組み合わせは「イン・ザ・ヒーロー」からの流れのようでもある。こういうのは何年か前の団塊向けコンテンツのように、特定世代の懐古趣味のように見られる恐れもあるのではと思ったが、エンドロールのバックに出た視聴者からのイラストを見ていると、それなりに幅広い年齢層に親しまれていたらしい。  本編は見ていないのでわからないが、冒頭の大活劇で早々にドラマのレベルが知れるので、要はこれに合わせて見ていればいいのだなと納得する。しかし本体部分が始まっても、警察は出て来るもののどこが刑事物なのかわからない状態で半分くらい過ぎてしまう。その間ほとんどレギュラー陣によるコメディ調だが、特に今回ゲストの人工知能キャラの挙動は結構可笑しい。 中盤からやっと世界を揺るがす荒唐無稽な大事件が発生するが、結局は神奈川県内というか横浜限定で終わってしまう。横浜めがけて飛んで来る弾道ミサイルのようなものを軽飛行機で迎撃するのはそういうドラマなので問題ないとして、主人公と相棒のやりとりがかなりくどいので大事件自体の緊迫感がまるでなくなってしまう。本編の経過を受けてのことなのだろうが、本編ファンにとってもここは長すぎたのではないか。 自分としては武田玲奈さんが出ているので見ただけだが、この人が劇中何度も茶をぶちまけるのを見て、本編でもこういう感じでやっていたのだなと納得した。また伊藤沙莉という人はとんでもなくオバサンに見えたが、他の若手女子2人と一緒にかわいくアイドル活動をやっていたのでそういう年齢設定だったらしい。
[インターネット(邦画)] 4点(2018-11-29 20:25:39)
529.  東京喰種 トーキョーグール 《ネタバレ》 
原作は人気マンガだそうだが、少し前に見た「寄生獣」の映画版とどこが違うかわからなかった。「寄生獣」の方はまだしも原作段階で当時なりにいろいろ考えていたようだったが、この映画は特に考えもなく上っ面だけ似せたように見える。 キャストに関しては、序盤の蒼井優は黒木華の物真似かと思った。また古畑星夏さんは、自分が見た限り昔から毎回違った顔で出る人で、女優としての固有イメージがないように見えるのはいいのか悪いのかわからない。相田翔子という人は、既にそれなりの年齢のはずだがいまだにかわいく見えるのは大変よいことだ。なお佐々木希はどこに出ていたのかわからなかった…というか薄々気づいたが同定すること自体に意味を感じない。次回は活躍の場があるのかどうか。  ところで、人間同士であればたとえ敵対関係でも妥協の可能性はあるが、人間を食わなければ生きられない生物とは妥協も共存もありえないのであって、人間側が向こうを絶滅させるか、人間側が家畜化されるまでは闘争が終わらないことになる。劇中の哀れっぽい母子は同情を誘うが、自分や身内を食わせてまでこの母子を養う義理は誰にもない。それは生物として当然のことである。 そういう設定にもかかわらず、登場人物が「正義」「倫理」「罪」といった善悪に関わる言葉をやたらに口にするのは理解不能で困った。もともと善悪の観念というのは人間が平和的に共存していくためのツールであって、共存できない生物に善悪を説いても意味がない。向こうの立場でいえば、いたいけな少女が「これ、やっぱりいけないことだよね」と思う必要も全くないのであって、目玉が栄養になるなら食えばいいだろうが、人間側としてはそんなことは許さないというだけのことである。 ちなみに個人的感覚としては、「正義」という言葉を出すからにはその「正義」を相対化して無意味化することで、社会が押し付ける正義を否定する方へ話を持って行きたいのだろうと思うわけだが、そもそも善悪の適用できない問題では何を言ってもどこにもたどり着けそうな気がしない。「この世界は間違ってる」とのことだが間違っているのは基本設定の方ではないのか。 噂によればこの映画では原作の3巻くらいまでしか行っていないそうで、次回はまた違った展開があるのかわからないが、最終的には万人が納得のいく収め方を考えているのだろうと思っておく(特に期待はしない)。
[DVD(邦画)] 4点(2018-10-25 20:42:01)
530.  都市霊伝説 心霊工場 《ネタバレ》 
心霊を製造する工場の話だとすれば斬新なアイデアだと思ったら違った。 大まかにいえば心霊のいる廃工場を訪れた連中が破滅する話で、いわばスタンダードな邦画ホラーである。全体としてそつなくできた印象はあまりなく、個別の台詞や人物の動作が不自然で引っかかる点もなくはない。ドラマとしては編集者同士の確執と姉妹の情愛の二本立てのようだったが、それ自体が大して心に訴えるところもない。こういう場所にわざわざ行く連中は本当に馬鹿だと思うが、哀れとかとか思わなくて済むので気は楽だ。ただ、こんなことでリーダーシップを求められる会長というのもしょうもない役職だとは思った。 ホラーとしても別にどうということはなく、何かに引きずられる、便所に籠るというのは定番である。しかし内部に夫婦者のようなのがいて、暗いところで密談していたあたりは悪くない。また何か良からぬことが起こっているのを音で暗示する場面があり、クラクションとか固定電話とか救急車などはありきたりの部類だが、たまたま近くにいた男が別件で怒鳴り始めたのは日常に紛れた凶兆の表現のようで面白かった。  登場人物としては、姉役の深月ユリアという人が本物の魔女?とのことで存在感を出している。時々説明なしで呪文を言っていたようなのは何語だったのか(ヘブライ語? アイヌ語? ポーランド語?)。また色っぽい編集者役の大塚麻恵という人は他の映画でも見たことがあったが、現在は結婚して別の方面にも活動範囲を広げているらしい。メイキングで大あくびしていた石原あつ美という人が実質的な主役に見えたが、ほか編集部に残っていた男女や便所ペアの扱いなど見ていると、とにかく若い役者に出番を用意しようという意図をもった企画なのかと思った。
[DVD(邦画)] 4点(2018-09-07 22:12:26)
531.  恋谷橋 《ネタバレ》 
鳥取県の三朝(みささ)温泉のご当地映画である。島根県の映画は見たことがあるが鳥取県のは初めて見た(というのは間違いで「妖怪大戦争」(2005)は見たことがある)。 題名を見ただけだと「恋空」(2007)とか「君の名は」(1953)とか演歌のカラオケ映像とかを思わせて引いてしまうが、これは現地に実際にある橋だそうで仕方ない。その恋谷橋も映っていなくはないようだが、一番出るのは主人公の実家と温泉本通りの間を結ぶ「三朝橋」で、次が足湯のある「かじか橋」なので題名とはずれがある。 映像的には結構風情があって賑わいもある温泉街のように映っており、ご当地映画らしく見所とか名物も積極的に紹介しているようだが(なぜか「ヌード」が目立つ)、足湯などはいいとして、ちょっとそこまでという感じでいきなり砂丘というのは行きすぎだったかも知れない。なお「山陰KAMIあかり」というのは隣の倉吉市で実際にやっているイベントのようで、劇中でも因州和紙というのが出ていたのでここは因幡でなく伯耆ではないかと思ったが、その点は地元でもあまりこだわりはないらしい。  物語としてはいわゆるメロドラマでもなくさらりとした感じにできており、地方の若い人々に対して一度出てからまた戻れというような、現代の情勢からしてあまり無理のない話になっている(出る気がなくても無理に出していた)。町のためにではなく「自分のために」と言っていたのも人間の行動原理の基本を押さえている。 少し気に入らなかったのは、せっかく若い連中が始めたイベントを喧嘩でぶち壊しにしてしまったことである。その後のストーリー展開につながるのはわかるにしても、見る側としては初回のイベントなので成功してもらいたい/一般のお客を落胆させたくない、という思いがあったわけで、ここは観客の気持ちを無視して制作上の都合を通してしまったように見える(一応のフォローはしていたようだが)。 もう一つ、これは絶対悪いといえるかわからないが、「河原風呂」という周囲から丸見えのような感じの露天風呂で、真昼間に女児と男児が素っ裸で入浴(混浴)している場面があり、子どもとはいえ今どきこんな撮影をしていいのかと動揺してしまって、その場面で出た開湯の由来譚が頭に入らなかった。見ている側が気にしなければそれまでだろうが。 だいたい以上のような感想だが、特に主演女優に思い入れがあるわけでもないので点数はほどほどにしておく。
[DVD(邦画)] 4点(2018-08-11 17:12:36)
532.  バニラボーイ トゥモロー・イズ・アナザー・デイ 《ネタバレ》 
近年、邦画のロケ地として栃木県がのしてきているようで、この映画でも最初から栃木県が前面に出ている。自分が気づいたところでは旧・喜連川町(現・さくら市)と宇都宮のオリオン通りが出ていたが、このまま最後まで栃木県では映像的に地味だろうと思っていたら後半は本物の沖縄に行ったようで、うるま市のゆるキャラ「うるうらら」が狙撃されて倒れたのは気の毒だった。 ストーリーとしてはただの高校生が世界の命運を左右するタイプの大それた話で、終盤などは一応スリリングな展開になっているが、そもそも主要キャスト3人をジャニーズJr.で固めた企画なのでたかが知れるところはある。NERV風の演出とか「宇宙人、未来人…」とか、微妙に既成アニメのパロディに見えるところもあるがだから何だという感じである。基本的にはコメディだが全編にわたって笑えるわけでもなく、寒いギャグが多い中で部分的に可笑しいところもあるという程度だが、個人的には「今日、恋をはじめます」とウィキペディアはツボだった。 なお少し感心したのは、NSAという略語の意味が2つあったということである。また1999年7月生まれの「恐怖の大王」が出て来るので、昭和年代から生きてきた者としては、もうこのネタをこういう風に使える時代になったのかと感慨深いものがあった。  ほか登場人物としては、男を見るためだけの映画かというとそうでもなく、マネージャー名目でついて来ていた女子2人(演・美山加恋、山崎萌香)も可愛く撮られているので、そこを目的にして見るのも変ではない。他の生徒役ではイケメンにデレデレしていた女子(演・北村優衣?)には笑った。またヒロイン役の竹富聖花(当時)さんはこの人に似合いのクールな美少女役だが、今回はアクションもあっての大活躍で、「女の子なのに!」のところはそうだそうだと言ってやりたくなる(反論は認めない)。この人にはどうか今後とも頑張ってもらいたい。
[DVD(邦画)] 4点(2018-05-06 19:58:22)
533.  たたら侍 《ネタバレ》 
公開中はかなりの悪評だったようだがなるべく素直に見るようにした。DVDで見たので編集後のバージョンと思われる。 大まかにいうと、まずは奥出雲で製鉄の技が受け継がれてきたことを紹介し、さらに時代を戦国期に設定することで、「侍」に関する思いをそこに込めたという感じに取れる。しかし結果的には褒める気にならない映画だったので、その理由をなるべく手短に書いておく。  (1)全体構成の問題として、製鉄の伝統が途絶えそうになる危機が発生するわけでもなく、主人公のせいで一時的に混乱しただけで、事件前後で村は何も変わらなかったように見える。それはそれで変わらないこと自体の表現かも知れないが、しかし主人公の人格形成という面でも、結果的に父親や先代と同じ認識に至っただけで、あの頃おれは馬鹿だった、という物語にしかなっていない。あってもなくても同じだった(と観客の立場で思う)出来事を映画にしても、ドラマとしては弱い気がする。 (2)物語の展開に納得できない。主人公に関していえば、若者の純粋な思いと愚行と挫折、といったことが自然に受け取れず、一体この男は何をやっているのか???という疑問の方が先に立つ。また近江商人がわざわざ奥出雲まで出張って来て姑息な手段で村の支配を目論んでいたようだが、普通に考えれば劇中の発言通り「(織田が)攻め込んで来るはずがなかろう」で終わりであり、これで騙される筋書き自体が不自然である。 (3)「侍」ということに関しては、戦国時代なのに観念論のような武士の心構えなど語られても現実味がなく、またそれで結局何がいいたかったのかも不明である。劇中の村の状況を見ると、一定の制約のもとで自衛力を保持するが戦争はしない、という戦後日本の状況を容認しているとも取れるが、しかし主人公が広い天下の情勢を見てからの企てが失敗したことからすれば、あえて視野を狭めて外は見ないで武器は嫌いだ戦さは嫌だと閉じこもるのが理想だというようでもある。そういういわば社会的メッセージのようなものがありそうでいて、実際あるのかないのか不明瞭なので非常に気持ち悪い状態だった。  なお出演者に関しては、ダンスグループのメンバーには当然関心がないが、石井杏奈という人は顔を見ていると和むので好きだ。今回はダンスでもなく舞いの場面をわざわざ入れていたようである。ほか田畑智子さんも嫌いでないが、今回は何だかよくわからない役で残念だった。
[DVD(邦画)] 4点(2018-04-30 23:58:07)
534.  白魔女学園 オワリトハジマリ 《ネタバレ》 
前作から2年経っての新作ということで、前作がよほど好評だったからかというとそうも思われないが、あるいはその間に「でんぱ組.inc」というグループ自体の存在感が高まったからということかも知れない。 物語としては前作のかなり厳密な続編になっているが、そもそも前作自体がよくわかっていない上に、今回はまた黒魔女学園などというものが出て来て心の整理が追い付かず、さらに貴公子然としたイケメンが頭ポンポンしたりするのでわけがわからなくなる(ちなみに22歳くらいの男が26歳くらいの女性の頭をポンポンしていることになる)。しかし最終的には前回も出ていたように、個別の救済をこえて根本的な変革を求めようとするストーリーであって、それを前回も頓挫した「支配」で実現するのでなく、全く別の方法をもって主人公が達成したということのようである。 映画宣伝によれば「想像を超える神展開」とのことで、終盤に至ると確かにその通りとは思ったが、創世記まで遡るのはエヴァンゲリオン(「セフィロトの樹」も出る)、主人公が最後に断行したことは“まどマギ”のようで、あくまでどこかで見たことのある範囲での壮大な展開である。しかし「普通の女の子」を守りたいという点はちゃんと一貫しており、白魔女6人勢揃いで大活躍する感動のクライマックスを見れば、結果的には魔法少女モノを目指した展開だったことがわかる。また今回はピアノソロのエンディングが静かな余韻を残していた。  登場人物としては、グループ全員を出演させるために一度死んだ人間も引っ張り出す形だが、復活した5人のうちなぜか1人だけが先輩で、この先輩までが小指にピンクのマニキュアをしていたのはさすがに変だ。前回から2年も経っているので、高校生というにはさらに厳しくなっていたはずだが大して変わっていないようでもあり、主人公が黒髪のロングヘアにした顔などは可愛くも見えた。また妹役の山谷花純という人も前回より2年分だけ大人びた感じになって出ている。 当初メンバーのほか新しい登場人物もいて人数がかなり多くなっており、小池里奈という人の出演は歓迎である(が歌を聞きたいとまでは思わない)。女優系(兼声優?)の人物としては市道真央という人の熱演を見るべきだろうが劇中人物としてウザい。ほか特に自分としては「始まりの魔女」があまりに美形で神々しいので見惚れてしまった。本来この人も声優なのか。
[DVD(邦画)] 4点(2018-04-15 19:22:58)
535.  白魔女学園 《ネタバレ》 
「でんぱ組.inc」は昔も今もよく知らないが、以前に国際的な文化交流事業である「東アジア文化都市2014横浜」の広報親善大使になったと聞いて、これが日本を代表するアイドルグループなのかと思ったことはある(が本当にそうなのか知らない)。 監督は仮面ライダーや戦隊シリーズの坂本浩一、脚本は「けいおん!」「映画 聲の形」などの吉田玲子で、監督インタビューによるとこのグループ先行の企画ではなく、監督がこのグループを選んでプロットを作って脚本家に依頼した、という順序のようである。要は特撮(+アクション)・アイドル・学園モノという感じになっており、ほか女子高らしく少女の肢体を狙う視線も多いが、自分が見た限りあまりエロいとは思わなかった(悪い意味で)。 物語的には真面目に見てもよくわからない。みんなで一緒に高みを目指すのかと思ったら、結局は学園バイオレンス風の生き残りゲームになってしまい、結局この学校は何だったのかが不明に終わった気がする(虎の穴?世界征服を企む悪の秘密結社?)。しかし最終的なまとめとしては、世界を変えようなどと考えるのでなく、まずは目の前の人を救うために「居場所」を提供することが大事であって、そのために他人の痛みをあえて受入れようとする“勇気”が必要だ、という感じのことが述べられていたようである(よくわからないが)。  登場人物に関しては、当初はアイドルとしてのキャラクターの延長かという感じの(そうでもないかも知れないが)イタい人物ばかりで茶番のようにも見えた。どうしても山谷花純・小宮有紗といった女優系の人の方に目を引かれてしまうわけだが、しかし後半の修羅場になると、アイドル出演者も真剣な顔で演技する場面が多くなってアクションも結構ハードに見える(スタントの代役が多かったのだろうが)。主演の最上もがという人(この当時24歳くらい)は、このグループの中心人物なのかと思い込んでいたらセンターでもリーダーでもなかったようで意外だったが、少なくともこの中では、容貌や雰囲気の面でこの人以外に主役はありえなかった気はする。終盤で白魔女になった姿は正直格好いいと思った。 ちなみにエンディングテーマは「W.W.D II」という曲で、「やっぱり綺麗事じゃん」「綺麗事でいい」というような行ったり来たりの歌詞がなかなか心に染みた。
[DVD(邦画)] 4点(2018-04-15 19:22:56)
536.  her 世界でひとつの彼女 《ネタバレ》 
人が作ったプログラムからいったん本物の人間のように進化して、そこからさらに別の超越的存在になっていく、という段階を踏む発想は、ほかにあったか知らないが個人的にはユニークに思われる。ただしその本物の人間の段階では妙に性欲がらみのことが重視されていたようで、まるでエロがなければ人間の本質に迫れないとでも思っているようなのはあまり納得しない。人類の活動力の根源は性欲だとかいう前提なのかも知れないが、それならOSなどでなく普通に人工知能搭載のラブドールにしておけばいいだろうとしか思えない。 それでも前半はほのぼのした笑いもあって結構いい雰囲気だったが、後に行くほど醒めてしまって終わり方だけを気にする状態になっていく。全編を通じて何らかの人間ドラマが展開されていたようでいて、結局最後まで何が言いたいのかはわからなかった。人類が特定の個体に特別の関係を求めようとすること自体が間違っているという想定だったのなら、ほとんど破滅的な近未来像ということになる。 どうも自分としては乗れない感じの話だったが、しかし主人公が比較的親しみやすいキャラクターだったのは安心できた。また大学時代からの友人も感じのいい人物で、この二人の関係は(非常に微妙だが)これからも大切にした方がいい。  なお余談として、舞台は一応ロサンゼルスということになっていたが(街頭の路線図、元妻の台詞、小包の宛名)、なぜか特定のアジア系住民が目立つのが近未来の姿のようである。劇中ニュースによればインドは併合されるらしいので警戒が必要だ。そのほか素朴な疑問として、いわゆる膝かっくんというのは世界的に分布しているものだったのか??
[DVD(字幕)] 4点(2017-12-31 19:26:01)(良:1票)
537.  僕等がいた 後篇 《ネタバレ》 
前篇で高校生は終わりかと思っていたら、後篇でも1/3くらいまで引続き老け顔の高校生が出るので、釧路編に対する東京編と思うべきものらしい。新登場の比嘉愛未さんも最初は高校生役で、この女優自体は嫌いでないが、大人の女性に高校の制服を着せるのはもうやめてもらいたい。 内容としては前篇より深刻度が増しているので少し真面目に見ることを強いられる。老け顔の男が、かなり厳しい状況になってもグレたり暴れたりせず抑制的な態度なのは感心した。飛行機に乗って釧路へ行く夢など結構泣かせるものがあり、この男関連のドラマは悪くない。 その一方でヒロインの方は、見る側としても早く幸せになってもらいたいと思っているのに、プロポーズの場面ではもう呆れ果ててしまって勝手にしろと見放した。以降は顔を見るのも嫌になったので、最後だけ唐突にハッピーエンドにしてももう遅い。恐らく世間には愛を一途に貫くこと自体に至高の価値を見出す人々がいるのだろうが、その他グループに属する者としては付き合っていられる限度がある。 原作からしてこういう内容だとすれば何を言っても仕方ないが、前後篇で4時間もあることからしても最初から原作準拠志向の企画だったということか。これに比べると、最近見た「先生!…」(2017)がいかに一般向けに手際よくまとめられていたことかと思う。 なお余談として、本仮屋ユイカ嬢は大人になっても可愛いので劇中人物にも幸せになってもらいたいと思っていたが(「ばいばい」が切ない)、最後の姿は従来のイメージをちょっと外した感じで意表をついていた。
[DVD(邦画)] 4点(2017-11-05 17:48:13)
538.  島々清しゃ(しまじまかいしゃ) 《ネタバレ》 
どこか南の島のこぢんまりした静穏な劇中世界ができている。女性の登場人物が多いがあからさまな美女などはおらず、外見よりも内面を見せようとする映画のように思われる。題名の歌をはじめ突然のセッションなど音楽で聴かせるところもあり、この雰囲気に乗ることができれば、映画全体を好ましいものとして受容することができるのかも知れない。  しかし自分としては各所にある微妙な齟齬のようなものが気に障って共感が妨げられる映画だった。 そもそも少女が音を不快に思うのは音感がどうとかいうより音のずれを脳が許容できるかどうかの問題ではないかと思ったが、序盤では発達障害か何かを示唆したように見えながら、最後には単なる気の持ちようで終わった感じなのははぐらかされた気がする。また母娘それぞれの事情~思い~行動の関係とか、サックス奏者がバイオリン奏者に喧嘩を売った経過など、話のつなぎに食違いが生じているようなのは気持ち悪い。 そのほか個別の台詞や行動などにも何かと違和感のあるところが多いが、そういうことが気になって素直に映画を見られないのは、少女と同じく特殊な性質のために生きづらい人生を運命づけられた人間と思うべきか、あるいは少女と同じく心を開けば共感できるはずだということなのか。よくわからないがグルーヴの問題か。 物語的にも最後に何がどうなったのか正直わからず困惑するばかりの映画だったので、点数は4点が限界である。ちなみに、序盤のステージ上で音楽家同士が揉め始めたのと、落ち込んでいる少年にバイオリン奏者がちょっかいを出していたのは面白かった。  付記:エンドクレジットの「撮影協力」に「環境庁慶良間自然保護官事務所」とあったので、これは一体いつの時代に撮ったのかと思ったが、出演者の顔ぶれ(特に伊東蒼さん)からすると今の映画としか思われない。単純な誤記ではないかと思うが、こういうものの事務的なチェック体制などはないということなのか。
[DVD(邦画)] 4点(2017-10-12 23:53:11)
539.  今日、恋をはじめます 《ネタバレ》 
いうまでもなく原作は読んでいない。映画としてはちゃんとまとまって見えるので、これでいいという人にはいいのだろうが、自分にとっては役に立つところ(笑うとか泣くとか勉強になるとか)が全くないのは困った。とりあえず気づいたことだけ書いておく。  (1) 劇中人物の年齢と見た目が一致しない。主人公(前半のみ)と妹だけはそれらしく見えたが、それ以外は全て演者の年齢そのままに見える。主人公の彼氏とその元彼女は23~24歳、主人公も二度目のクリスマスイブの場面で満16歳にはとても見えず、その他の人物はばらばらである。少女マンガ原作で人気俳優を使う場合にはこういうのはもうどうでもいいということになっているのか。ちなみに主人公の友人ミホ(浴衣を着せられた)役の山谷花純という人がちょうど劇中年齢ぐらいと思われる。また彼氏の元彼女はオトナすぎる。 (2) 原作段階からのことかも知れないが、主人公の彼氏の父親が「許せないってことは、愛してるってこと」だと悟ったように語っていたのは、こういう人物というより好悪の感情だけがあって正邪の観念がない人間の発想ではないか。正当な理由があって憎悪しているのに「ほんとはあたしを愛してる」と脳内変換されるのではたまらない。この映画の本来の対象層はともかく、まともな大人がこういうのを真に受けてはならない。 (3) もう一つ書くかと思ったが嫌味になるのでやめる。  なお一ついいと思ったのは、主人公が本気で取り組んでいる仕事を彼氏が邪魔しなかったことで(職場から無理に連れ出して走るなど)、色恋沙汰に振り回されるだけでなく、主人公が主体性を確立していく話になっていたのはまともである。これも原作由来だろうとは思うが。 以上、いろいろと思うところはあるが、これはこれで原作ファンその他この映画の対象層に支持されるよう詳細にわたる検討の上で製作されたものと思われるので、投下された労力なり専門知識・技術に対する一定の敬意を点数に表しておく。
[DVD(邦画)] 4点(2017-09-18 23:27:09)
540.  シンデレラゲーム 《ネタバレ》 
山谷花純さんの初主演映画ということで見た。大きな目が特徴的で怖い顔を見せることもある人だが、個人的には困惑したような表情が好きだったりする。またこの映画では京都出身の人(演・吉田明加/Chu-Zオレンジ担当ミク)もなかなかいいキャラクターになっている。 スタッフとしては、監督は違うが企画・製作その他に「人狼ゲーム」シリーズの関係者が関わっているようで、中身も要はそういう感じの映画だが、登場人物がアイドルばかりのため人間一般というより芸能人の人間模様になっている。残虐場面を面白がるタイプの映画ではないが、劇中の売れないアイドルを貶めて笑って観客が相対的な優越感に浸る効果はあるのかも知れない。  テーマ的には結局何が言いたいのかわからなかったが、メイキングで主演女優が、自分の本当に大切なものは何かを考えるきっかけにしてもらいたい、と言ったのを聞いて、えっそういう映画だったんですかと言いたくなった。主人公役の本物の芸能人がそのように言うからには、肉親を死に追いやってでも任期1年再任なしのトップアイドルの座に生命を賭けるのが本当に大切だ、というかのようで、これはもう一般人にはとてもついて行けない世界になっている。 それではさすがに変なのでやむなく原作を読むと(結構厚い本だ)、原作通りであれば確かに主演女優の発言も理解できなくはない。要は基本路線が原作と同じで内容は表現し切れなかったということだろうが、特に個人的には、映画の主人公が否応なしに変節を強いられて終わったように見えたのが不快だった。最後に主人公の真の主体性が求められる形であればよかったがと思う。  そういうことで不満足感のある映画だったが、点数としては前記の両人と、見覚えのある佐々木萌詠さん(リーダー/涼夏さん)を含めた3人に大盛り気味にポイントを入れておく。役に立たないだろうがファンからの応援のようなものということで。 ちなみに劇中の桃園りん【りりぱっと★学園】の演者もメイキングに出ていたが、自身のイメージ低下を恐れもせずにこういう役をやっておいて悪びれることもないというのでは、本当にこの業界ではこれが当たり前のようで空恐ろしい(他人事だが)。
[DVD(邦画)] 4点(2017-08-04 18:57:55)
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