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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1248
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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561.  生贄のジレンマ 《ネタバレ》 
よくもこれだけ似たような映画を次々に作るものだと呆れるが、加えてこの映画はとにかく長く、DVD3本の時間表示を単純に加算すると4:37:09にもなる。連続して見る前提でなければまあ退屈せずに見られる内容だが、長さに応じた内容が詰まっているかというとそれほどでもない気がする。 特に問題なのが主人公の行動に全く共感できないことで、死ぬな死ぬなと怒鳴るばかりで自分も死なずに言い訳するとか出来もしないことをやろうとして予定通り失敗するとか俺は何もできないと暴れておいて結局何もしないで終わるとかで本物の馬鹿にしか見えないが、ラストのカミングアウトまで聞けば動機だけはわかる。行動面でうまくいかなくとも、まずは心の指向性(=こころざし)をしっかり持つことが大事だと若年者に訴えるために、あえて逡巡と試行錯誤と愚行の部分を描いてみせたと取れなくもない。これはこれで新しい試みかも知れないが、しかしとにかく見ていて苛立たしい主人公であり、最後はヒロインにまで馬鹿が伝染したように見えるのはやめてもらいたかった。 また終盤で明らかになる真相が後付けで妄想話をでっち上げた印象しかないこと、最後に死人が生き返るのではこの映画自体が人生は簡単にリセット可能というゲーム感覚のように見えること、及びバグだらけのクソゲーというのがこの映画自体の言い訳のように聞こえることを苦情として挙げておく。個人的には最後に残った連中よりも、初回に青木さんの様子を見かねて自分に投票した男に最も共感した。  ところで個性的な若手女優が多数出ているのは大変結構なことで、これが長時間それほど飽きずに見続けるための大きな要因になっていると思われる。ヒロイン役の女優はこれと同時期(少し後)の似たような映画にも出ているが、こっちの方が出演時間がはるかに長いので見ごたえがある。また当初は冷たい感じと思ったミステリアスな少女が、実は弟思いのお姉さんだったというのは心和むものがあった。ほか自分としては2組の保育士志望の生徒(演・佐々木萌詠)の卒業ビデオに泣いた(が生き返った)。 なお余談として、映画部の男2人が「大林」「大森」だったのは微妙な冗談である。また「仮面ライダーW」<TV>(2009)で恋人役だった2人が揃って出ていたが、この映画ではくっつかないのだった。
[DVD(邦画)] 6点(2015-06-21 19:20:20)
562.  麒麟の翼~劇場版・新参者~ 《ネタバレ》 
予想よりもかなり軽い映画だった。最後に誰も幸せにならないのは原作者の他の著作にもあることだが、全体がお手軽なTVドラマにしか見えないために、例えば死んだ男の娘が最後に少し救われたような場面がないことがかえって理不尽に感じられる(あれだけ泣かせておいて放置か)。また死んだ男が日本橋まで歩いて行く動機が全く納得できないため、「メッセージを受け止めるのは生きてる者の義務」という台詞との関係が形だけのものにしか感じられず、中学教員がやらかしたこととの対比も明瞭になっていない。ただし、中学教員に対して言うべきことをはっきり言ってやったのは大変結構なことだった。  以上が映画を見た際の感想だが、その後に原作を読むとかなり忠実に映像化していたことがわかり、どうも原作自体がTVドラマ向きの軽い話だったということらしい。ただし映画では原作にあった最後の場面を省略して映画独自の盛り上げを優先したために、残った少年らがその後にどこに何をしに行ったか不明瞭になっているのは非常に問題である。この少年らの覚悟の程度(と中学教員のその後)をちゃんと示してもらわなければ、死んだ男が浮かばれないだろう。
[DVD(邦画)] 4点(2015-06-21 19:20:16)
563.  100,000年後の安全 《ネタバレ》 
淡々とした映画だが、映像的に美しいのでそれほど退屈しない。余計な人間が映っていないため世界の果てのような印象がある。背景音楽としてシベリウスのValse Triste(劇音楽"Kuolema"(死)の1曲)を流していたのはわざとらしくもあるが、使い方としては効果的だった。 現地は地質的に安定した場所とのことで、この映画でも技術的なことはあまり問題にされておらず、制作者も「地震や火山のない地域」であれば可と考えていたようである。代わりに後世に危険をどう伝えるかの方に重点が置かれた形になっており、この辺は日本人としてはずれを感じるところだが、ナレーションが未来の人間に語りかける形式のため、映像の印象と相まって10万年後の伝説を語るようなファンタジックな感覚がある。ナレーションに出る「君」は英雄志向の若者のようなイメージだが、最後は洞窟の怪物の返り討ちに遭って終わったらしい。 登場人物としては、一緒に出ていたスウェーデン人のオジサンとオバサンが微妙に慣れ合った感じで和む。一方でフィンランド政府の当局者?(肩書きがアドバイザー)は、映像的には黒で悪人イメージながら人物がいかにも頼りなく、これは本物かどうか疑わしいような気もする。  なお公式発表によれば、わが国でも先月下旬の閣議決定で最終処分の基本方針が改定され、これまでは外部の法人に任せていた候補地選定に「国が前面に立って」取り組むこととし、「国が科学的有望地を提示し、調査への協力を自治体に申し入れる」ことまでするらしい。同時に国民の理解を深めるためとして全国でシンポジウムなり説明会を始めているようで、そういう点で時宜にかなった映画とはいえる。
[DVD(字幕)] 7点(2015-06-18 00:58:44)
564.  絶対領域 《ネタバレ》 
劇中のアイドルユニットは歌とダンスに素人感があって微笑ましい("A to Z"のところの振りがキュート)。歌自体もなかなか味があり、フルコーラスで聞いてしまうと忘れられなくなる。 この連中は外見的にも持ち歌を聞いても純真無垢な少女などとは全く思われず、業界自体のいかがわしいイメージもあって裏は当然いろいろあると思うのが普通である。ファンとしては裏の現実を冷たく意識しながら同時に表の虚像を熱烈に崇拝する必要があるわけで、そういういわばDoublethinkのようなものが求められるとすれば、アイドルを愛するというのも結構高度な精神的営みということになる。  しかし、そのことを劇中のキモオタ男がどう捉えていたかはよくわからない。あまりにバカで愚直なために、たまたま虚像の向こうの実在の人物に触れることができたようだが、終盤で紹介されていた手紙の内容を聞くと、どこまで現実を的確に捉えていたのか怪しいものがある。この男自体はバカなので最後まで手紙に書いた通りに信じていたかも知れないが、一方で元アイドルがこの内容に自分が近づけるよう元気づけられたということなら、結果的にはこれが真実になっていく希望もあると取るべきか。虚像を挟んだ両側が、互いに元気をもらえる関係がアイドルの理想ということなのかも知れない。 この男が最後にどうなったのかもよくわからなかったが、元アイドルが一歩を踏み出すための礎になったとすれば本望だろう。自分ならそれでもう思い残すことはなく、エンディングで再度出た歌を心に携えて冥土でも極楽浄土でも行ってやるという気分だった。母親はもう少し複雑だろうが。  なお主演女優はアイドル顔にはあまり見えないが、本人はアイドルではなく役者なのでこれで十分である。劇中では少しキュンとする表情とか、この顔で迫ってきたら思わず引くだろう、と思うようなところも出ていてよかった。 出演者インタビューによると本人は自称アイドルオタク(ドルオタ)とのことで、“世界中の人々がアイドルを好きになれば世界が平和になる”と言っていたのは非常に共感できる(そういうことを言う人を初めて見た)。ただし、それは作られた偶像のイメージに全員が乗ることで初めて個別の利害を超えた場を共有できるのであって、これは宗教対立を乗り越えるのと同じくらい難しいかも知れないと思ったりする。
[DVD(邦画)] 6点(2015-06-02 20:07:16)
565.  地球防衛未亡人 《ネタバレ》 
特に見たいとも思っていたわけでもないが、この監督の「地球防衛少女イコちゃん」(1987)に始まるシリーズの最新作として一応見なければならない気がして見た。前作「地球防衛ガールズP9」(2011)との連続性は特にないが背景音楽を流用しているところがあり、最後の荒川河川敷の場面で流れていたピアノ曲は同作関連曲「虹色のステージ」のアレンジである。 今回は冒頭がくどい映像とともになぜか「祝典行進曲」で始まったので失笑したが、以降もけっこう笑う場面が多い。主演女優が普通に演技しているだけで可笑しいので、これでこの女優が微妙に好きになってしまった。この主人公を未亡人という設定にするためだけに人が死んだのは気の毒なことで、このシリーズで死亡者が表に出たのは初めてと思われる。また新聞社の編集部員役で南郷勇一氏が出ていたがこれは毎度のことである。 自分としてはそれなりに面白かったが、評判があまりよくないようなので対抗して少しいい点を付けておく。  なお大した話ではないが、防衛軍のオペレータは「愛川ワコ」という名前で、これは旧作のイコちゃんの氏名が「カワイイコ」というネーミングだったのと同じ趣向かと思って少し考えた。しかしアイカワワコではどうも意味をなしておらず、これはいわゆる一杯喰わされたということか。この女優は他の比較的まともな(主観的判断)映画にも出ているのでこんなバカ映画に出てはもったいないが、主演女優と並べると十分に初々しいので、あるいはこの人が「地球防衛少女」「地球防衛ガールズ」の正当な継承者だったのかも知れない。
[DVD(邦画)] 6点(2015-06-02 20:07:13)
566.  都市霊伝説 クロイオンナ 《ネタバレ》 
分類としてはホラーだろうが、怖い場面はごく限定的である。あとは意味ありげな構図の取り方とか小道具とか控え目な音楽で一貫した不安感を出しており、その雰囲気だけでも一定の評価をしたくなる映画である。誰かがジーッと見ているのを「ジーッ」という音で表現していたようなのは面白い(微妙なので勘違いかも知れない)。 劇中では心霊現象が外的に起こっているのか、あるいは登場人物の内的な現象なのか区別がつきにくくなっているが、また一方では心霊現象なのかどうかの境界上にあるようなエピソードも見られる。例えば風船割りの夢は病気の予知夢とも取れるが、あるいは尻が痛いという事実がまず先にあって、これを深層心理で合理化しようとした結果が夢になって出たとも取れる。また電池の入っていない目覚まし時計が鳴るのは明らかに異常だが、このとき従業員が「わけわかんね」現象に分類して日常の中に押し込めたように見えたのは非常によかった。自分のことで精一杯で、心霊現象のことなど考える余地が全くないというのは意外に強いのかも知れないと思わされる。 そのほか微妙なことだが、登場人物が車内で話しているすぐ外を自転車に乗った人間の姿が流れて行ったのは一瞬驚かされた。これは別に心霊現象ではないのだろうが、仮にそうだったとすれば、衣服の色が白いことが邪霊でないことを意味していたのかも知れない。  ところでストーリーとしては何がどうなっていたのか丁寧な説明はなかった感じだが、基本的には母親と子の関係が主な話題になっていたらしい。劇中では、関係が破綻したようでも母の愛は確かな事例、母親に拒否されて自棄的ながらも柔軟に生き延びようとしている事例とともに、母親に呪詛されているとしか思えない事例を並べていた。この3番目がどういう経過でこうなったのか不明だが、これはこれで歪んだ愛ということなのか、あるいは母親の自己愛の延長ということなのか。こういう問題の当事者になったことがないのでわからないが、とりあえず母の愛は強かったということだと思っておく。 なお主人公姉妹は二人とも美形だが、顔だけでなく体型的にもきれいな人を揃えたのが印象的である。姉役はともかく、妹役の女優はほとんど映画初出演(多分)ながらこんな役というのも大変なことだった。どうか今後とも頑張っていただきたい。
[DVD(邦画)] 6点(2015-06-02 20:07:10)
567.  体脂肪計タニタの社員食堂 《ネタバレ》 
実在の社名を出して社屋も使っているが、見れば最初から最後まで作り話のコメディとわかるので誤解を生じる恐れはない。 内容としてはダイエットの基本知識を盛り込んだ上で笑って泣けるドラマをきっちり作った感じで、全体としてかなり満足度の高い映画になっている。映像に出る料理が具体的で種類が多いため料理映画としても一定の充実度があり、また登場人物も主要キャストが全員いい味を出していて、特にワンマン社長の怒鳴り声は嫌味がなくて格好いい。 ラストも基本的にみんなしあわせな感じで結構だが、しかし一人だけ悲運に泣く男が残されたようである。現実問題として異性に好かれたいというのは減量の最も強力な動機付けになるはずだが、この映画の立場としては一応“恋に肥満度は関係ない”と言ってみせたのだろうと思われる。  ところでお勉強の面から見ると、食べる順番が重要とかいう話は勤め先がやった健康食講座でも聞かされた覚えがある(忘れていた)が、2カ月後に壁があるなどという話を聞くと、なるほどダイエットの道が険しいということがわかる。重要ポイントとして「ダイエットの極意」というのが出ていたが、これはダイエット以外の人生全般にも言えることのような気がする。 また副社長が言っていたように、自分がやらなくても他の誰かがするはずだ(かつ自分より上手くやるだろう)と思うことは実際多々ある。しかし、たとえ結果的にでも自分が背負ってしまっているものがある限りは自分がやらなければならないのであって、そのことに副社長が気づくところは少し感動的だった。特に、みんなの思いというようなことを言われてしまうと個人的には弱い。  なお劇中の会社は別として、本物のこの会社に肥満の社員がいないのかどうかは気になる。肩身が狭いくらいならまだしも、“タニタにデ×な男は不要だ”と宣告されて処刑されるとかであれば社員としてはつらいものがあるだろう。
[DVD(邦画)] 7点(2015-05-25 19:55:38)
568.  クレヨンしんちゃん バカうまっ!B級グルメサバイバル!! 《ネタバレ》 
このアニメを見るのは初めてなので認識不足だが、とりあえずこの映画は大人の鑑賞に十分耐えるもののようである。もっともほかの大人の皆さんはお子さんと一緒にご覧になったのかも知れないが。 ストーリーとしては、いい加減な覚悟の防衛隊が解散の危機を結果的に乗り越えて、最後に使命を完遂するというのは一応感動的な構成である。各キャラクターはこれで平常通りかどうかわからないが、初見の立場としては犬が賢明で健気なのが印象的で、この犬がフラダンスで敵部隊を蹴散らした場面が個人的にはツボだった。ここは彼にとって面目躍如といったところだったのだろうと想像する。  ところで今回のテーマに関していえば、高級食材を庶民が食って美味とは限らないことを無遠慮に指摘していたのは笑える。食が芸術たりうるという主張自体は否定しないにしても、他の文化的な分野と違って食は生活に直結するところまで裾野が広いので、各家庭での日常的な創造性の発揮もまた食の豊かさを生むことになる。そのことが劇中でさりげなく指摘されていたのは少し感心した。また一日何も食わないとこれほど腹が減るのか、といったことも、食の基本的な重要性を伝える点で食育的な意味を持つといえなくはない。ただ単に笑わせればいいというのでもなく、ちゃんと題名に沿ったそれなりの内容を込めてあるのは真面目な映画に思われる。 そのほかオープニングのクレイアニメーション+KPPは中身を期待させる出来で結構よかった。それをいえばエンディングも悪くない。  なお一部で有名なようだが参考まで書いておくと、パープルのおねいさんが最終決戦に向けて人々に呼びかけている姿形は、ドラクロワの「民衆を導く自由の女神」から取ったと思われる。人物の前面に死屍累々なのも同じである。 もう一つ、イベント出店者のうち「お京」を名乗る人物がなぜか九州方言だったのは、「トラック野郎・御意見無用」(1975)のモナリザお京(渥美マリ主演の映画ではなく)を思わせるものがあったが、それは深読みし過ぎか。
[DVD(邦画)] 6点(2015-05-25 19:55:33)
569.  武士の献立 《ネタバレ》 
笑いあり涙ありで特に深刻な破綻もなく、良質の娯楽映画と思われる。不満があったのは、いいタイミングで父親が倒れるなど若干の都合良さがあったことと、ラストに再度土下座が出なかったこと程度だった。そのほかエンディングの曲がどこか無関係なところから持って来たような感じだったが、これは聞かなかったことにすれば済むことである。  ところで、料理人が地場の食材を掘り起こして回るというのは当時からあったことなのか、あるいは現在の加賀料理の中に劇中の大名料理がどの程度受け継がれているかといったことはよくわからない。饗応料理の考証などは別にして、実際のところかなりの創作部分が含まれているのだろうが、ただし舟木家が実在の武家であることは間違いないらしい。 武士というからには武を尊ぶのは当然としても、一方では社会の秩序と安定を維持する責任を負った社会階層という面もある。特に江戸時代ともなれば一人ひとりが“公”の心を持ち、それぞれが己のなすべきことを考える、というのも武士の本質をなしていたのではないかと想像され、その手段は剣術ばかりでないはずだという考えも容易に導かれる。御家騒動の一方の首領が単なる悪役ではなく、やはり藩のあるべき姿を考えていたというのは出来過ぎな気もするが、それでこそ終盤に「武士」と「献立」をちゃんと結びつけた台詞が出て来たわけで、出来過ぎではあるが感動的な場面だった。 続いてラストも舟木家の安泰を見通す形で終わっており(最後の地蔵は子宝祈願と思われる)、大名家も一介の武家も、料理を通じて未来へのつながりを残す形になっていた。これも出来過ぎという気はするが、全体としてまとまりのいいお話になっていたのは間違いない。  なおキャストも豪華で申し分ないが、個人的好みとしてはやはり主演女優の存在が映画全体の価値を上げている。江戸の料理屋の娘ならもっと“おきゃん”(時代劇用語)な場面があってもよかっただろうが、今回は武家の妻らしく健気でしおらしい様子も出ていてよかった。こんな可愛い嫁さんに古狸はないだろう、と劇中の親爺と同じ気分になる。
[DVD(邦画)] 7点(2015-05-25 19:55:29)(良:1票)
570.  神聖ローマ、運命の日 オスマン帝国の進撃 《ネタバレ》 
映像的には現代風だが、特殊効果が安っぽくスケール感もあまりない。また人間ドラマ部分が見事に軽いので心に染みるものが全くなく、登場人物が泣いてもわめいても白々しいばかりである。 ただし実際に起こった事件が題材のため、歴史的背景に関心を持って見れば一応見られる内容になっている。ベネチアの修道士、オスマン帝国大宰相、神聖ローマ皇帝、ポーランド国王といった主要人物は実在の人物であり、映画の展開も実際の歴史からそれほど外れてはいないようである。ストーリー上もオスマン帝国側とキリスト教国側をほとんど対等に扱った感じで、トルコ側の登場人物もちゃんと人間味を出していたのは現代における最低限の良心的な作りといえなくもない。しかし一方でウィーンの皇帝を貶める形にしていたのは、ポーランド国王らを相対的に持ちあげるために叩きやすいところを狙ったような感じもある。  ところで劇中では宗教がらみのことが重要な話題になっていたようだが、何が言いたいのかはよくわからない。話を聞く限りトルコ側が寛容でキリスト教側が偏狭に感じられたが、イタリアとポーランドのカトリック教徒にとってはその方が心地よいということなのか。ドラマ部分では敵味方の区別なく理解しあえる雰囲気を出しておきながら、結局はキリスト教だけが絶対正しいと言い張るのもかえって人が悪い気がする。史実としてはこれがきっかけになってオスマン帝国の領土拡大が阻止されたということのようだが、それをもって結果的にキリスト教の優位が証明されたといわれても必ずしも納得できるわけではなく、それを最大の感動要素として押し売りされて素直に同調できる観客など世界にどれほどいるかという感じだった。葬式仏教徒がいうのも何だが。  なお余談として、途中でオスマン軍に合流したクリミア・タタールの首長役は日本人俳優(Hal Yamanouchi)で、これはクリミア・ハーンの系譜を遡るとモンゴルのチンギス・ハーンに至るという知識あっての配役と思われる。ただし本当にこういう東洋人顔だったかは不明である。
[DVD(字幕)] 4点(2015-05-23 20:44:35)
571.  ドラキュラZERO 《ネタバレ》 
15世紀の史実と小説「ドラキュラ」から少しずつ要素を取り入れて、あとは勝手にストーリーを作ったような形である。 ヴラド公の生地は実際にトランシルヴァニア(ルーマニア北部)であり、オスマン帝国に人質に取られたのも事実だが、同地の君主という設定にしたのは小説に合わせたものである。史実としては隣接のワラキア(ルーマニア南部)の君主であって、メフメト2世の大軍を迎え撃ったのもここである。このメフメト2世も歴史上の著名人のため、終盤の対決の場面ではどちらも死ぬはずはないと思っていたらメフメト2世がやられてしまったので驚いた。ここで死んだのだとすれば、これが史実からの最大の逸脱ということになる。またDraculaの意味について、映画の序盤でSon of the Dragon、終盤でSon of the Devilと言っていたのは、実際に両義性のある言葉だったのをストーリー展開に合わせて使い分けたもので、これは少し感心した。 そのほかラストで現代に飛んだ場面はロンドンだったようだが、これは小説の内容がロンドンにドラキュラが来るストーリーだったことによるもので、ここで女性の名前がミナだったのは小説の登場人物と同じである。 長くなったが考証的なコメントは以上である。  それでストーリーに関しては、一応まとまったお話ではあるがダイジェスト感が強く、意味不明な人物や事物が目につくほか特に序盤の展開が急で、あっという間に大軍が攻めて来るので呆れてしまう。ドラマ的にも薄味で、現実問題として息子を人質に出すのが当時としてそれほど過酷だったか疑問なため、悪魔と契約してまでの反抗に至る動機に全く共感できない。ラストは時代を超えて二人の魂が共鳴し合うといったところだろうが、それで特に心が動かされるようなものでもない。 結局は映画の中身自体より、この時代のこの地域の歴史を扱っていることが個人的に興味を引くというだけのものだった(デタラメだが)。ちなみに本物のワラキア公ヴラド3世は、敵兵だけでなく自国民も他国の一般民も必要があると思えば串刺しにする恐ろしい君主であり、庶民感覚で共感できる相手などではなかったろうと思われる。
[DVD(字幕)] 4点(2015-05-23 20:44:30)
572.  近キョリ恋愛(2014) 《ネタバレ》 
原作は読んでいないので映画限りの感想である。 まずオープニング部分の「本気にすんなよ」の辺は普通に可笑しい。これに続けて基本的にはラブコメだろうと思って見ていると実際はあまり笑えないわけだが、お約束の胸キュン場面がわざとらしくちりばめてあるのでまだしもおおらかな気分で見ていられる。 しかし後半に入ると変に真面目なラブストーリーになってしまい、前半では雰囲気で見過ごしにしていたものが常識人として許せなくなる。受験前という大事な時期に、これまでヒロインが頑なに守っていた精神的安定をぶち壊して大混乱に陥れ、将来の夢さえ奪う形で自分のものにしようというのでは人間としての最低条件を満たしていない。ストーリー的にはやむを得ずこうなった経過を作り込んだようではあるが、そもそも大人の男として、また教員として当然に予見すべきことをしないでこうなったのだから言い訳にはならないだろう。さらに最後まで結婚にこだわっていたのはもう頭が変としか思えないが、ただしこれは「耳をすませば」(1995)の聖司君と同じ心境と思えば納得もいく。まるで中学生の役を30前の役者が演じているような映画だったということである。  一方で個別の登場人物に関していえば、主役の男には当然ながら全く関心がない。それはいいとして、ヒロイン役は注目されている女優というのはわかるが、この映画ではあまりに無表情なのが不気味に見えて、キャスティングとして本当にこれでよかったのか怪しい。劇中人物としても、いちいち細かい仕草で心理を表現するのが煩わしく、また妙な理屈をこねてコミュニケーションを拒絶し自分を守ろうとする態度は病的で痛々しいとさえ感じられた。ヒロイン/主演女優の魅力の面でも評価できなかったことは、個人的にはこの映画の致命的欠陥である。 劇中の女子で最も好印象だったのは、キャーキャー騒いでいた3人組(邪悪な勢力でない方)だった。陽気で後腐れのない感じのこの連中なら、その後に歳を取ってから再会した時などに普通に懐かしがってくれそうな気がする。
[DVD(邦画)] 1点(2015-05-06 01:28:40)(良:1票)
573.  ホットロード 《ネタバレ》 
原作者の年代が自分に近いので、このお話に理解を寄せる素地も絶対ないとはいえないはずだと思っていたが、しかしシリアスな少女マンガが原作となるとさすがに素直に共感できないのが少し悔しかったりする。今どき暴走族というのもどうかとは思うわけだが、そこは大して反感を覚えないようできている。 内容としては一応筋の通ったお話になっているが、やはり端折り気味だったり断片化しているところがある感じで、例えば親友の絵里は“主人公の親友になった人”というだけの扱いで存在感が半端である。しかし終盤で語られるナレーションでの総まとめを聞くと、親友を含めてこのストーリーで何が言いたかったのかは非常に明瞭になっており、原作段階でかなり良心的なものだったろうということは想像できる。 自分が見て印象に残ったのは、主人公よりもその母親がちょっと大変な感じの人物だったことである。他人に挑発されて初めて娘は自分のものと宣言したもののその時点ではまだ本能的な反応に過ぎず、終盤に至ってやっとそれなりの見解を示していたがまだ何となく他人事のようで、この先まだまだ母親としては心許ない気がする。しかしそれは再婚の夫が何とかサポートするのだろうし、みんな徐々に大人になっていくのだからまあ長い目で見ましょうということだろう。  ところで主演女優は、役者として中学生を演じているのはわかるが外見的には14~15歳には思われず、それなりの年齢の人間が他人の世話になっておいて礼のひとつも言えないように見えるのはつらいものがある。ほかの人物も、実年齢に近いのは自分の知る限り序盤の同級生(ユッコ)役くらいのもので、それ以外はほとんど設定年齢通りとは思われない。まあ映画とはそういうものだろうし、年齢が高いことでの安定感は確かにあるが、冒頭の「あの子たち」というのが誰のことかわからなくなっているのは困ったことである。 細かい描写で印象的だったのは、彼氏のいるGSに電話が来た場面で、この男が大事に思う相手ができた、ということをさりげなく映像に出していたことだった。また薬を口移しにする瞬間を風景映像に換えていたのは、今どきこんな奥ゆかしい表現が存在しうるとは思っていなかったので少し驚いた。主人公と彼氏は少しの間同居していたはずだが、その間に何もなかったということだろうから、この辺は古風な良心の現れと取れなくはない。
[DVD(邦画)] 5点(2015-05-06 01:28:35)
574.  はなればなれに(2012) 《ネタバレ》 
2012年の東京国際映画祭などに出品されたのは86分版であり、ほかに今年は100分版というのが劇場公開された(されている)とのことだが、自分が見たのはDVD収録の86分版だけである。映画のほかにノベライズ本があり、読むと少し細かい背景事情や登場人物の心理も記されているが、この映画ではなかったものとして扱うしかない。ちなみに同じ邦題のフランス映画は見たことがない。  そのような前提で思いついたことを適当に書くと、まず主演女優に関しては完全に騙されたという印象があった。この人が出るからには、ほんわかして心癒される笑顔が見られるはずだと思っていたらそれはラストの一瞬だけで、実際は仏頂面が大半だったのは全く意外だったが、まあ当方が勝手に思い込んでいただけのことで怒っても仕方ない。小型で軽快なウシ科動物(通俗表現でいうカモシカのような)を思わせるスタイルの良さだが、劇中ではその運動能力を使い余したような怠惰な雰囲気を出していた。 個別の場面としては、まずは海の見える屋上の絵画的な美しさが目立つ。また3人で腰かけていた火山島の岩場海岸は箱庭的な印象があり、個人的には「春の祭典」第1部背景画を思わせるものもあったが、あるいは皆で銭湯に出かけたようにも見えた(水鉄砲で襲撃されたのはそういう意味だろう)。ダンスやテニスの場面では、一人ひとりの即興的な動きが大きく発展しまた収束していく様子が、人間の理性で仕切れない世界の偶発性とか刹那性の表現に思えなくもなかった。 全体構成に関していえば、ばらばらだった3人がたまたま一定時間だけ居場所を共有し、またそれぞれの動きに返っていったということだろうが、それで以前と何がどう変わったのかはわからない。吸殻入れを常備することにしたとかいう変化はあったようだが、そもそも世界の出来事など全てが偶発的で因果関係を確定できるものでないとすれば、細かく詮索しても仕方ない気がする。 以上、特に映画愛好者でもない一般人の感想としてはこの程度である。正直よくわからない映画だった。  なお映画と関係ない話だが、ノベライズ本にある子どもの写真のエピソードは、人間という存在への根源的な敬意の念を呼び起こすものになっていて感動的だった。これを映像化しても意味不明になりそうな気はするが。
[DVD(邦画)] 5点(2015-05-06 01:28:29)
575.  ライフ・イズ・デッド 《ネタバレ》 
原作との関係では良心的で良質な映画になっている。ストーリーは原作にかなり準拠した形だが、時間に余裕があったのか登場人物がかえって多くなっており、映画化に当たって内容が拡充された感じである。 劇中世界は原作のように緩い雰囲気ながらも人間関係はけっこう殺伐としている。主人公に対して好意的な人物に見えても、実は自分の思惑で動いているだけで「いい人」というのは誰もおらず、また多少納得していなくてもとりあえずカネだけはもらっておく(主人公の妹も)というような利己主義が基本の世界になっている。その中で恋人への献身は個人的利害を超えていたようだったが、これはたまたま結果的にそうなっただけで、愛が何者にも負けないなどということが示されたとは思われない。間違いないのは主人公一家の絆だけだったようだが(少し波乱もあったが)、これも含めて現実の人間社会の姿が淡々と、多少戯画的に描かれた映画というように感じられる。 ただしコメディというほど可笑しくもない。マンガの映画化ではあるが、冒頭の場面からしてシビアな状況だったのにコメディ風味を残しているのはかえって半端な印象もあり、やはり絵柄がものを言うマンガを実写化するのは難しいのだろうと思われる。 またホラー映画としての怖さもないので、せめてもう少し娯楽要素があった方がいいのではと思うわけだが、そこを補っているのが妹役の女優ということかも知れない。超絶美形というわけではなく、可愛く見える場面も可愛くなく見える場面もあるがいろんな表情が出ていて面白い。沖縄でCMに出ていた時に評判だったらしい変顔も披露してみせており、この人を見られたのは得した気分だった。
[DVD(邦画)] 5点(2015-04-25 19:59:20)
576.  四十九日のレシピ 《ネタバレ》 
主演女優はいつまでたってもきれいで可愛らしい。子役には申し訳ないが大人状態の方がずっと愛らしく見えており、劇中の人物像としても聡明で健気なのが愛おしく感じられる。また出番は多くないが、独身時代の義母(演・荻野友里)も何気にいい感じで泣かせる顔をしてみせている。それから何といっても泣かせるのがレシピのビジュアルで、素朴でユーモラスな図柄や文字は見ているだけで泣けて来る。   ところで、これを見てから原作を読んで確認したが、劇中で心を動かす要素の多くは当然ながら原作由来であり、一方で映画化の際の問題点が目につく。 まず映画では主人公の伯母が、これはもう早々に世を去ってもらうよう願うしかない、という類の人物に見えていたが、それが終盤で突然“ほんとはいい人”に大変身する展開には呆れ果ててしまった。原作ではそれほど変に思われないので、これは映画の方の演出や、細かな人物描写の省略が原因と想像する(入水を止めただけでは説得力なし)。加えてハワイアンも意味不明のため、この場面が続けば続くほど違和感が拡大して、映画全体の価値が低落していく結果になっていた。 また「テイクオフボード」の考え方自体は結構だが、こういうのはある程度の年月をかけて、現状の追認を含めて得心していく性質のものである。そのため映画のラストで、主人公がいきなり具体的な解決方法を導き出したように見えるのはかなり不自然だった。ストーリー中でもこれに向けた伏線を準備していたようだが、こういう安易な結末を導くためだったかと思うと落胆する。当事者の心情などお構いなく、手っ取り早く形だけ整えて決着を付けたようなのは反感さえ覚える。 そのほか現在の父親の人物造形に問題があり(結婚当時の方がまだ自然)、またローマ字の裏返しをこんな風に半端に扱うくらいなら全削除の方がまだましだ、といった不満が多数ある。いい原作を採用し、いい役者を揃えたようではあるが、いい映画とはいえない出来だったのは残念なことだった。   ちなみに原作は、感涙どころでない爆涙小説である。読む人の年代にもよるだろうが、自分としてはかなり手ひどくやられてしまった。
[DVD(邦画)] 4点(2015-04-10 21:53:14)
577.  心霊写真部 弐限目<OV> 《ネタバレ》 
とにかく主人公がかわいすぎる。しーちゃんかわいいかわいいかわいいかわいいで頭が一杯になって冷静に見ていられない。基本的には女優がかわいいわけだが、劇中人物としても、休日に同級生男子と池袋に出かけたのをデートだろうと先輩にからかわれて「違うのに!」と反論するのがかわいい。 またストーリーとしては前作と同様、心霊関係の世界でありがちな話を解説付きで取り上げているので堅実ともいえる。この弐限目では5話と6話が少しシビアな感じで、うち5話の竹中美歩役は熱演ごくろうさまだった。また6話の桂川ナオ役も、完璧美少女でもないが実年齢より大人びた感じで、役どころとの関係でもかなりいい雰囲気を出している。 このあとに予定されていた参限目と四限目は制作されず、結局この弐限目で中断した形になっているが、ここまでの範囲でいえば、かわいい主人公が出る一話完結の楽しいシリーズであり、毎度の心霊ネタやゲスト女優も見どころになっている。それだけならわざわざ映画にする意味がないということになるだろうが、個人的にはこれで満足である。  なお現在、幻の参限目と四限目で想定していた内容を含む新作がすでに完成しており、まもなく公開されるとのことで期待したいところだが、主演女優が別人なのはやはり残念なことである。結構な年数が経っているため高校生役はさすがに無理なのはわかるが、しーちゃんが出なければ個人的には価値が半減するわけで、この面でも旧作に負けないものになっていればいいがと思っている。
[DVD(邦画)] 6点(2015-03-31 00:23:57)
578.  心霊写真部 壱限目<OV> 《ネタバレ》 
別のDVDでたまたまこれの予告編を見たところ、主人公があまりに可愛いので本編も見ないわけにはいかなくなった。こんなに可愛いのは反則というしかなく、ニコ生ホラー投票1位とかいうのもほとんどこの人のおかげだろうという気がする。高校入学直後という劇中の設定年齢と、女優の実年齢には実はかなりの差があるが、とにかく可愛いので無問題である。ちなみにこの女優が本当に高校生の年齢だった頃の姿は「幸福のスイッチ」(2006)で見られる。  それで内容としては、ホラーとして見ればそれほどユニークでもなく、アイデア自体はどこかで見たような話も多いが、しかし現実に心霊関係で語られがちな事象を取り上げているのでわざとらしいところはあまりない。特に第1話など、一つのエピソードに複数の原因が関連づけられているのはストーリーとして整理されていない印象もあるが、実際にこういう場所では類が友を呼んで様々なモノが共鳴するといったような、いわば常識を踏まえたものとして見ればかえって真実味が感じられる。ホラーというより心霊現象好きとか、実話系怪談のファンが好む内容かも知れない。 また主人公の圧倒的な可愛さもあってエンターテインメントとしても悪くない。主人公がおののく顔がたまらなく可愛らしいが、ほかにもこの壱限目ではカラオケとかプリクラといったものが出るので女子中高生が多く賑やかで、うち特に第3話の瑞希役は熱演ごくろうさまだった。またどうでもいいことだが、第1話の題名で肝試しをひらがなで「きもだめし」と書いていたのが低年齢向けのようで微笑ましく、全般的に結構いい印象を残すお話だった。  なお、こんなC級ホラーでも書こうとしたらあらかじめちゃんと作品登録されていたのはありがたいことだった。常に周囲の皆様への感謝を忘れずに生きていかなければならないという教訓である。
[DVD(邦画)] 6点(2015-03-31 00:23:46)
579.  地球防衛ガールズ P9 《ネタバレ》 
旧作の「地球防衛少女イコちゃん」より隊員数が増えていて豪華だが、人数が多いため全員の顔を憶えられないのは現代アイドルの実態そのままである。昭和的な清楚さといったことは全く重視されておらず、年齢差も大きいため「少女」というより「ガールズ」というしかない雰囲気になっていた。 そのせいもあって、旧作における美少女の“お願いパワー”などという発想も通用しそうにない。そのため劇中では昔の隊員を引っ張り出してきて“みんなで祈れば願いはかなう”というような昭和的な知恵を授けていたようだが、最後には敵が滅びるわけでもなく潜伏しただけであり、その効果のほどは不明だったというしかない。 今作で最大の危機をもたらしたのは内部崩壊を狙った工作であり、これは昭和特撮の古典的な戦争観からの脱却のように見える。また侵略者だか何だかよくわからない連中が市中に出没するようになっており、もはや単純な敵味方の観念が通用しない時代の反映のようでもある。しかし抑止力としての武装が重要性を失っていないのも国際社会の実態であり、劇中でも実力を保持したまま戦わないで済む防衛軍が復活していたのは幸いだった。  ところで今作で北朝子を名乗っていた人物は、最後に月に帰るのかと思ったら災害に苦しむ人々のもとへ赴くとのことだった。この映画の撮影は2011年の夏だろうと思うが、劇中発言にあった内部崩壊も“宇宙人”も当時の時事ネタと考えれば、この人物が人間(日本)など見放したように言っていたその感覚を同時期の自分もまた共有していたことを思い出す。そうしてみるとこの人物の最後の言葉には、意外に真面目に震災後の日本を元気にしようという意図が込められていたのかも知れない。 以上のように、さまざまな面で21世紀進化型ver.にふさわしい映画になっているといえなくもない。実際どこまで真面目に考えて作ったのかは不明だが、一定の解釈のようなものが可能であるからには、必ずしも純粋なバカ映画として制作されたわけでもないようである。  なお劇中で特に印象的だったのは「ハセトンって何?」であり、ここで壁のサインに通電しているからには広告の意志があるはずなのに意味不明、という不条理さがこの場の異界感を際立たせていた。また「バナナはお菓子じゃないのよ」という台詞には、大昔に忘れ去ったはずのものを突然指摘されて虚を衝かれたような心理的衝撃があった。
[DVD(邦画)] 5点(2015-03-28 20:51:13)
580.  人狼ゲーム 《ネタバレ》 
[2017-10-29再視聴による改訂] 現時点で6作まで続いているシリーズの第1作である。改めて見ると特徴が見える気もする。 そもそもこういうゲームを小説化なり映画化して本物の人間が死ぬ物語を作ったからには、良識人が眉を顰めるタイプの創作物になっているのは間違いない。台詞にあった「アリとクモを戦わせて遊んでる」ガキ向けのような企画だが、しかしそういう枠組みを逆用して、見事にヒューマニスティックなドラマを作ったのは大人の仕事である。  主人公は最初の事件のせいもあって現実に適応できないままで経過するが、後半に入って親友の幻影を見たことでやっと覚悟が決まったらしい。このこと自体は前進ではあるが、ただ本人の話を聞くと理屈先行で少し行き過ぎたところがあったようで、そこを補正して妥当な見解に落ち着かせたのが新しい友人(恋人)の男だったように見える。これまでずっと主人公を助けてくれていたという親友の役割を、この男が引き継いだというのは台詞にもあったとおりである。 誰も殺さない+自分も死にたくない、というのが許されない状況で、自己保全のための利己主義が正当化されるのは当然だろうが、しかし自分のことしか考えないのが当然ということにもならない。この物語では、利己主義を超えたところにある人間の情(姉妹愛と恋愛感情?)が計2人を生き延びさせたのであり、逆にこの2人が死者の思いを背負う形で、これから生き抜いていく務めを課せられたのだと思われる。男が最後に人としての矜持を見せたのもよかった。 ちなみに映画を見ていて主人公を腹立たしく思った観客も、本当にこの状況になれば主人公と同じになる可能性があり、それは劇中出ていた戦争の話のとおりと思われる。そういうレベルから初めることで、普通人がこの手の話に感じる心理的抵抗に一定の整理をつけたことにより、以降の続編を見るための基盤が整備されたという意義づけもできなくはない。まあ純粋にこのゲームの愛好者とか、単純に人殺しの映画を好む向きには満足できないだろうが。  なおこのシリーズは現在も若手役者の熱演で知られているが、この第1作では後に残る役ほど感情の爆発を強いられる構造だったようである。井上姉妹のこのみちゃんが主人公を殴り返す場面は毎度少し驚く。 また藤木毅役の入江甚儀という役者は、自分としては最初にこの映画で見たのが原因で今も悪人イメージが残っているが(この男が「ヤクザ」扱いされていたのは笑った)、しかし改めて見たところ、粗暴なように見えてちゃんと思慮もあり人情もあることがわかってこの人物を見直した。後のシリーズに出る一部の連中よりよほどまともである。 ほか細かいことだが誕生日という趣向は悪くない(少し切ない)。月を映して人物を見せないのは奥ゆかしい。
[DVD(邦画)] 8点(2015-02-16 23:23:24)
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