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R&Aさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2162
性別 男性
年齢 57歳
自己紹介 実は自分のPC無いので仕事先でこっそりレビューしてます

評価:8点以上は特別な映画で
全て10点付けてもいいくらい
映画を観て損をしたと思ったことはないので
酷評しているものもそれなりに楽しんで観たものです


  *****

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41.  雲ながるる果てに(1953) 《ネタバレ》 
特攻隊員たちが皆人間臭い。そのぶん尊さが募る。軍国主義の世界で養われた思想を持ち、自爆攻撃を誇りにすら思う主人公でさえ、独りになれば子供のように泣く。家族に会いたい。怖い。死にたくない。そしてけして自らが特攻隊として出撃するはずのない上官たちのあまりな態度に、国家の犠牲となる個人という図式を明確にし、反戦のメッセージとしている。隊員たちがとうとう出撃して映画が終わるのではない。たいした戦果をあげられなかったことが報告される。そして上官たちの「なに、特攻隊はまだまだいるよ」という非情なセリフが放たれ、次のカットに子供たちが歌う姿が映し出される。ここは強烈。
[ビデオ(邦画)] 7点(2009-08-07 13:53:59)
42.  ウンベルトD 《ネタバレ》 
50年代のネオレアリズモ映画で描かれた高齢者の孤独、貧困問題、年金問題が古びるどころか普遍性を増し、新しくさえあることに驚かされる。とはいってもけして社会問題を描いた映画ではなく、それらは背景に過ぎないことはネオレアリズモ映画に共通する。主人公の老人はけして弱々しい老人ではない。実に人間らしいずるさも見せる。頑なに弱者とならんとするプライドもある。そこがネオレアリズモであり生々しさの源泉となっている。老人だけでなくアパートで働く若い女もまた社会的弱者として登場するところがまた「現実」の非情さを助長している。「暗い」と言われるネオレアリズモ映画にあって老人の庇護すべき子供のような、それでいて最高の理解者であり友人である雑種犬の健気な仕草が作品全体を和やかな雰囲気にしている。と同時にラストの感動的なシーンを見事に演じている。
[映画館(字幕)] 7点(2009-06-02 14:04:41)
43.  スリ(1959)
才能ある一部の特別な人間は罪を犯してもよいという哲学はまぎれもなくドストエフスキーの「罪と罰」だが、様々なテーマを内包するこの小説とは違いブレッソンはテーマを無視し物語すら端に追いやりひたすら「動き」を映すことに専念する。ただ泥棒が泥棒をして捕まるという筋があってそれらが映されるだけでそこに主人公の罪に対する葛藤のドラマもなければ貧困あるいは不信や不満といった社会背景が描かれるわけでもない。映画は動くものを映すものという原理のみを追求する。それだけでも楽しめるのが映画なのだ。というかこれが映画。スリの場面は手がアップで映される。その動きの美しいこと!物語は消失し画面では堂々と「手」が主役を張っている。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2009-05-19 14:16:52)
44.  宗方姉妹
高峰秀子が全然小津調に馴染まない。他はみんな小津調なのに彼女だけが違う。でもこの異物感はイヤじゃない。古風な考え方の世界の中に現れた新しい考え方。そういう話だった。そうするとこの異物感はむしろ歓迎されるべき。どんな俳優も小津映画では小津のリズムに生きるのに、一人異なるテンポを維持する高峰秀子は素晴らしい。ということになる。静寂に波風たたせるのって楽しい。完成されたものをぶっ壊すのって楽しい。小津は自分のつくった形式を高峰秀子を使ってぶっ壊している。そしてそれを楽しんでいるに違いない。姉と喧嘩してどっちが正しいかお父さんに聞きに行く。小津の化身・笠智衆が言う。お前の好きなようにするがいいと。古いから、新しいから、じゃなく古くても新しくてもいいものはいい。
[DVD(字幕)] 7点(2009-02-10 18:05:09)
45.  恐怖の報酬(1953)
ずっとずっと前にリメイク版のレビューに書いたのだが、私にとっての『恐怖の報酬』は何度もテレビで観たリメイク版の方です。それでもオリジナルを初めて観たときは唸りました。同じようにハラハラドキドキはするんだけど、恐怖の質が違う。緊張の度合いが違う。何人かの方が書いておられるように前半のくだりが後に効いてきます。いくら報酬が破天荒な額であっても死んだら元も子もないわけだが、そうせざるを得ない状況の説明、いわゆる物語の辻褄合わせがされているわけだが、ただの辻褄合わせだったら要らない。ここで描かれる主要人物の人となりが、ニトロ運搬の過程でそれぞれの行動に納得、また意表をつかせながら濃厚なドラマを形成し、同時にサスペンスを盛り上げることにも一役買い、尋常ならざる緊張感も持続させる。いろんなことが次から次に起こる展開はサービス精神が旺盛にすぎるような気もするが、詰め込み感は然程ない。月並みな言い方になるが、やっぱり本家本元は違うねえ。
[ビデオ(字幕)] 7点(2008-10-07 14:41:38)
46.  夏の夜は三たび微笑む 《ネタバレ》 
映画会社からの要望に沿って意に反するものを作っては興行的に失敗することを繰り返し、崖っぷちで作らされたのが本作。喜劇であることを条件につきつけられたベルイマンがやけっぱちで作ったとか。それでも男と女の間に生まれる複雑な感情と、その感情ゆえの行動と感情に反した行動とが描かれるという「神の沈黙」以上のベルイマンの終生のテーマがはっきりくっきり描かれているんだから、これもまたいかにもなベルイマン映画だともいえる。私の大好きな『愛のレッスン』同様に愛の交錯が面白おかしく語られてゆくうえに主演女優も同じなんだけど、一組の夫婦がベースとしてあった『愛のレッスン』に対しこちらはベースのカップルが途中から入れ替わっちゃうせいで若干シニカルさを含んでしまっている。それもまた一癖あっていいのだが。関係だけがやたらこんがらがっていて、展開はお気楽そのもの。あまりにお気楽すぎてかえって皮肉めいて見えるのはベルイマンだからだろうか。スウェーデンの夏の夜(白夜)は一度目の微笑で若いカップルを旅立たせ、二度目の微笑で4人の男女の本意を目覚めさせ、三度目の微笑で恋愛とは縁のなかったメイドと運転手を結ばせて終わる。洒落ている。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2008-07-22 18:32:13)
47.  花咲ける騎士道(1952)
もっともっとナンセンスなものを想像してはいたんだけど、コメディとしての筋がしっかりしているのでじゅうぶん楽しめました。主人公に死刑を宣告したルイ15世に刑の失効を嘆願する女。それは出来ぬと却下されてしまうコメディらしからぬ展開から二転三転するシナリオの巧さが目を見張る。とくに後半のテンポの良さは素晴らしい。大筋でも冒頭の占いがたんなる騒動の切欠に終わらず、ラストシーンにうまく繋げている。王をひっぱたいてしまい、それを聞いたポンパドール夫人が喜ぶってのも楽しい。駅馬車シーンは他のシーンから浮くくらい見応えあり。その前の修道院でのチャンバラもなかなかのもの。大団円はお決まりとは言え、えらい強引です。が、かえってこの作品の痛快さを際立たせているようにも思います。
[ビデオ(字幕)] 7点(2008-07-10 18:30:17)
48.  ゴジラ(1954)
その後人気者になるとは到底考えられないほどゴジラは「怪獣」であり、核の化身であった。この映画は原爆を唯一落とされた国の悲痛なまでの叫びそのものだ。人が死に、街が破壊される描写をもって「反戦映画」とするなんて子供っぽい発想で終わらない。この映画は原爆を作った科学者たちをも許さぬと言っている。特撮もゴジラの造形もゴジラの鳴き声も、そしてゴジラのテーマもとんでもなく素晴らしいから「ゴジラ」がその後一人歩きしてゆくのだが、この第一作は作り手のメッセージというにはあまりに痛切な想いが詰まっていて、たぶんその強烈な思念が画面に漂っていて作品に風格をもたらしている。この異質ともいえる風格は、今後どんなに素晴らしいゴジラ映画が生まれてもけして真似のできない代物である。
[DVD(邦画)] 7点(2008-04-28 19:08:01)(良:1票)
49.  赤線地帯
女5人それぞれの全く異なるキャラクターを描き分け、5人ともがそれぞれのカタチで社会に翻弄されてゆく姿を見せてゆく。赤線が舞台というなかで、最も肌を露にする京マチ子にも人気ナンバー1の若尾文子にも艶っぽさは見当たらない。ところが病気の夫と赤子を抱えて疲れきった表情をして生活臭がプンプンのうえにあえてメガネをかけさせて艶っぽさを排除したかのような木暮実千代が妙に艶っぽい。『祇園囃子』のような艶っぽさじゃなくてもっと生々しい艶っぽさ。結婚を決意して赤線から逃げ出そうとする女に対し、木暮実千代の夫が「こんなところに帰ってくるなよ」と送り出すのはいいが「こんなところ」「最低の場所」といった言葉が執拗に繰り出される。自らの病気のためにその最低の場所に女房を働かせに行かせておいて。病気とはいえ、なんとも身勝手で情けない男。ラーメン屋のシーンでも二人の立場が象徴的に描かれている。5人ともに降りかかるそれぞれのドラマがきっちりと描かれ、その一つ一つが当時の社会と女性の立場を露にしているのだが、溝口監督はその中でも木暮実千代のシーンを重要視して撮っているような気がしてならない。それほどに木暮実千代は誰よりも不幸なドラマを持たずして誰よりも不幸な境遇にあり、誰よりも現実に生き、誰よりも強く描かれている。だから艶っぽくて美しいのだと思う。溝口健二の遺作。溝口の現代劇をもっと見たかった。
[映画館(邦画)] 7点(2008-03-05 12:57:30)(良:1票)
50.  愛と希望の街(1959) 《ネタバレ》 
へったくそな演技に辟易しながら観ていたのだが、採用試験に落ち、母が鳩を売らせたことを泣きながら謝ったときに「また鳩を売ろう」と少年が言う、その哀しい展開に惹き込まれてしまった。ラスト数分は壮絶ともいえる画が連なる。タイトルにある「愛と希望」をすっかり消し去る少年の確固たる目が印象的で、その後、鳩を撃つシーン、工場で働く少年の背中という具合に強烈に印象に残る画が押し寄せる。けして間違ってはいない富裕層の倫理観が貧困層を無視した倫理観でしかない社会の実像を炙り出す。女子高生の兄と教師の会話は、格差社会の問題点をわかりやすく説明しており、その説明過多な会話には残念至極なのだが、問題の根底をさらけ出したいゆえの説明は大島らしいともいえる。そしてやっぱりラスト数分が凄すぎる。
[映画館(邦画)] 7点(2007-10-01 13:55:57)
51.  お遊さま 《ネタバレ》 
ロケーションが素晴らしい。そしてその素晴らしいロケーションの中に人物が溶け込む。冒頭の新緑の中を歩く女たちといい、中盤の3人での旅行のこれまた新緑と小川を背景とした立ち姿といい、とにかく美しい。溝口×宮川が魅せる美。田中絹代はたしかに年齢的にもビジュアル的にもミスキャスト感を拭えませんが、この格調高い美への貢献は田中絹代にしか出せぬもののような気がする。そしてこの格調高さの中でその格調高さをけして濁さずに女二人と男一人のイビツな関係を描ききる。自らの意志を持ち得ない時代の中で明確に意志を見せる女を描いてきた溝口と谷崎文学の融合はそれが必然であったかのように違和感を感じさせない。キャラの設定上、存在感の薄い若き乙羽信子がまたいい感じで存在を希薄にしていて薄倖さを醸す。ちなみに新藤兼人の監督デビュー作『愛妻物語』で乙羽の最期のシーンが同じく乙羽で再現されております。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2007-08-27 13:52:25)
52.  キッスで殺せ! 《ネタバレ》 
リンチの『マルホランド・ドライブ』は間違いなくこの映画の冒頭シーンを引用してますね。探偵マイク・ハマーが活躍するハードボイルドものなのですが、40年代に代表されるハードボイルド探偵ものとの差異は暴力描写でしょうか。強烈なインパクトをもって登場する女との出会いから映画は始まるが、その鮮烈な印象が消える間もなく女は殺されてしまう。尋常ではない金の匂いと好奇心から、真相に迫ろうとする主人公とそのまわりの人間に容赦ない暴力が降り注ぐ。そしてその暴力の頂点ともいえる「マンハッタン計画」「ロスアラモス」「三位一体」から連想されるものを前にして、なんと主人公は真相追及を放棄する。探偵映画なのに探偵が事件を解決せずに逃げるのである。斬新であるとともに、人間の力の及ばないものが存在するという衝撃がそこにある。そして暴力を超えた暴力によってこの映画は終わらされる。より緊張感のあるハードボイルドにバイオレンスとポリティカル・アクションとSFを混ぜ合わせたら、とんでもないフィルム・ノワールが出来上がってしまった。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2007-08-10 16:32:20)
53.  暗黒街の美女
1956年デビューの鈴木清順(当時は清太郎)がこの58年製作の『暗黒街の美女』でなんと7作目。この頃のプログラムピクチャーってのはものすごい勢いで作られていたんですね。56年に作られた『悪魔の街』がキューブリックの『非情の罠』と『現金に体を張れ』を合わせたようなノワールだと思ったのだが、この作品でもマネキンが重要な小道具として登場するあたり、やっぱり見てるなと。それとも原作者のアイディアなのかな?ストーリーは、まあ無難な出来という印象だけどなかなかアイディアが効いてて楽しめる。裸をうまく隠すカメラワークやクライマックスで石炭をひたすら掻き出すシーンのカット割りが見事なリズムを作り出しているところなんか、見ていて楽しい。ただ『暗黒街の美女』というタイトルはおかしい。ぜんぜん暗黒街の美女ではなかった。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2007-07-10 12:48:57)
54.  お茶漬の味 《ネタバレ》 
夫婦の倦怠をコミカルに描いてはいるけども(小津作品独特の短い言葉の応酬が実に作風にマッチしている)、中身はかなりシビア。鈍感だと思われた夫は実は何もかも知っていてあえて何も言わない。心が広いと感じる方が多いだろうけど、諍いが面倒くさいだけ。無関心に近い。妻にとっては鈍感なほうがまだ救われる。もうどうにもならないところまでいったかと思ったら、あることをきっかけに仲直り。「夫婦はお茶漬の味」という夫にとっての理想が傍目には実現した瞬間。妻が「ごめんなさい」。夫が「わかればいいんだよ」。妻が一方的に歩み寄ったにすぎない。この時代、離婚による損害は女のほうが大きいのだ。かといってそれだけで仲直りをしたと言っているわけではない。離れて気づくことがあったのかもしれないし、仲良くしたほうが楽だと思ったのかもしれないし、とにかくこんなことの繰り返しが夫婦なのだ。とこの映画は言っている。見合いを否定し恋愛結婚まっしぐらの様相を見せる姪っ子もまた同じようなゴタゴタを見せてくれる、そんな未来像を予感させるシーンで締めているのも巧い。
[DVD(邦画)] 7点(2007-06-20 14:25:05)(良:2票)
55.  オルフェ
詩人が集うカフェという現実感漂う世界に突如現れる異世界の女。女の屋敷での不可思議な出来事。この現実世界の中に非現実世界を見せる独特の世界観。子供の頃大好きだった「ウルトラセブン」の世界観にそっくりだと思った。黒いライダーを代表とする全く人格の無い死の世界の住人たちと感情を露にする人間たちの対照的な描き方が、後に人間に恋をする死の国の女を誰よりも人間らしく見せてゆく。映画を映画以外の視点から見る事が出来たからなのだろうか、まるで映画の魅力と限界を知り尽くしたかのように前衛手法が冴え渡る逸品。
[ビデオ(字幕)] 7点(2007-05-01 14:57:57)
56.  陽のあたる場所
物語は金で目がくらみ人間らしさを見失ってしまったための悲劇、つまり資本主義を糾弾したものがベースにあるのですが、カメラはメロドラマを捉える。その背景には撮影時の赤狩りに対処したという事実があるらしいのですが、まちがいなくエリザベス・テイラーの美貌がメロドラマへの欲求を加速させています。そして訪れる、肩越しから超どアップで捉えたチュー!!映画史上に残る美しいキスシーン。リズの美貌があのシーンを可能にし、あのシーンがリズのその後の活躍を確約したといっても過言ではないと思う。そして物語はこのシーンへ向けて進み、このシーンが余韻としてその後のシーンに影響を与えている。
[DVD(字幕)] 7点(2007-03-23 13:28:55)(良:1票)
57.  アンネの日記(1959) 《ネタバレ》 
150分のやや長尺の作品ながら、そしてそのほとんどが隠し部屋という限定された空間が占めるにもかかわらず、全く退屈感を抱かせずに見せきったのは、原作の持つ真摯なメッセージよりも脚本と演出の力によるところが大きいと思う。ユダヤ人迫害の悲惨さよりもあくまで多感な時期の少女の多感さゆえの不安や喜び、家族との確執や恋愛を映し続けることで、画面にはけして映らない悲惨な状況がよりズシンと響く。モノクロ映画なのに最後の屋根裏部屋での陽光を浴びた二人のせつないキスシーンはカラーで記憶されています。
[DVD(字幕)] 7点(2007-03-20 13:23:48)
58.  リオ・ブラボー
『真昼の決闘』を西部劇ではない!と断じたホークスとウェインの正真正銘の西部劇。たしかに『真昼の決闘』は社会派映画としての隠喩が色濃く、西部劇が娯楽の王道であるならば、かなり逸脱していると言えよう。それはそれで面白いと思うのだが、強い保安官(もちろん女には弱い)に強い絆で結ばれた助っ人たちが手強い状況に屈することなく、そして観客にもこいつらならやってのけるという期待をどんな窮地にも抱かせながら、その期待にちゃんと応えてくれるこの映画は王道の中の王道としていつまでも色あせることなく楽しめるのだ。『真昼の決闘』のプロットを使うのはちょっとずるい気もするが、何かを伝えるために映画を作るのではなく、ただ観客に愛される映画を作るという気概だけで、こんなにも楽しい映画が出来てしまう。どんな映画にもこれが根底にあればちゃんと誰かが認めてくれる。またそういうのは画面に透けて見えてくる。
[DVD(字幕)] 7点(2007-03-09 18:38:01)(良:1票)
59.  モンキー・ビジネス
中年夫婦のラブラブぶりがなんとも微笑ましく、とくにジンジャー・ロジャースの良妻ぶりに羨ましさを感じる。そんな良妻の壊れっぷり弾けっぷりの凄いこと!若返ってるというよりもおバカになっちゃってるのですが、あまりの弾けっぷりにそんなことどうでもよくなって大いに笑わせてもらった。マリリン・モンローはさして重要な役でもなく、出番も少ないわりにその存在感だけが妙に突出していてかえって浮いていたような気もしますが、モンローの美貌がおまけで付いてくるコメディだと思えば得した気分。だからといってけしてモンロー目当てで見る作品ではないのでご注意を。いやーそれにしても「気持ちは若くありたい」なんてよく聞くけど、中身だけ若返るってのは、はっきり言って気持ち悪いってのがわかった。年とともに得るものってけっこう素敵なものなんだ。
[DVD(字幕)] 7点(2007-03-08 13:45:55)
60.  二十四時間の情事 《ネタバレ》 
「ヒロシマ・モナムール」といえば「アルカトラス」の名曲を思い出してしまう世代なのですが(誰も知らんて?)本家本元はもちろんこの映画。反戦ものとしても恋愛ものとしても異色で、ストーリーらしいストーリーがなく、かといってレネお得意のドキュメンタリーでもなく、全編が「詩」のような映画。それは男女の繰り返される言葉がそう感じさせるのかもしれない。被爆地ヒロシマが戦後復興の中で人々の記憶から薄れゆこうとしている。平和公園や原爆ドームや記録映像や博物館が戦争の悲劇を語り継ぐために存在するが当事者の苦悩の大きさは伝えきれない。その中でけして消えない戦争の傷を背負った男女が苦悩する。風化させてはいけないが風化してゆく戦争の傷と忘れなければ前に進めないのに忘れることができない当事者それぞれに残る戦争の傷を同時に描くことでひとりの人間に多大なる影響を及ぼす戦争への批判を色濃くしてゆく。女にとってヒロシマは故郷ヌベール。ヌベールは彼女にとっての戦争の傷そのもの。二人の情事は終わらなければいけない。そして忘れなければいけない。そしてやっと前を向けられる。ヒロシマのように再生する。
[ビデオ(字幕)] 7点(2006-09-26 14:51:11)(良:1票)
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