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41.  ドリームプラン 《ネタバレ》 
微妙な邦題とアカデミー賞授賞式の例の件で残念な映画っぽいイメージが拭えなかった本作、見てみれば思いのほか爽やかで気持ちいい物語でした。主人公のリチャードは、言わずと知れたヴィーナス&セリーナ・ウィリアムズ姉妹の父で、すべての観客がこの姉妹のその後の成功を知っているという前提が本作を見るポイントだと思います。リチャードの「プラン」は理にはかなっているけれど、それを守ろうとする頑固さは狂気のレベルに近い。この頑固な親父のせいで、とびきり優秀な2人のテニス選手の将来が潰されてしまう未来もあり得たかもしれない(し、そもそも成功には至らなかった「リチャード&姉妹」はほかに大量にいたかもしれない)わけですが、私たちはこの2人がどうなるかをあらかじめ知っているからこそ、無茶な主張と周囲の衝突を多少は安心しながら楽しむことができる。そして、実際に周りにいたら迷惑・面倒だろうなと思う親父リチャードのどこか憎めないチャームは、ウィル・スミスだからこそ表現できたものでしょう。実際、ポールやリックも姉妹の才能だけでなくリチャードの人柄やウィリアムズ家に惹かれてコーチを引き受けたというのがよくわかりますが、この絶妙なバランスはほかの俳優では難しかったでしょう。『アリ』や『コンカッション』のシリアスな役ではなく、いい役でオスカーを取れたと思います。そうした千載一遇の奇跡に触れることができるのも映画を見る楽しみですね。
[インターネット(字幕)] 8点(2022-11-19 10:02:30)
42.  贅沢な骨
「骨」とか「金魚」とか、やたらとメタファーっぽいものを多用するわりには、セリフまわしなんかが、ありきたりだったのが残念でした。金魚をジューサーで飼い始めてからは、主人公たちの人間関係の緊張感なんかよりも、最後まで金魚たちは無事なのか、スプラッタシーンを見る羽目になるのかと、違った意味でハラハラしてしまいました。でも、主演3人のつくる雰囲気は好きだったんで、7点。
[DVD(邦画)] 6点(2022-10-16 09:25:39)
43.  マトリックス レザレクションズ 《ネタバレ》 
第1作目のころ、「いま生きている世界は偽りの世界だ。覚醒せよ」という話にいまいち乗れなかった。というか90年代映画って某スリラーや某暴力系まで「見えている世界と本当の世界は違う」的なモチーフがあふれてたような気がして、そのなかでは本作はあまりに「中二病」的でダサくみえてしまったのでした。そこから20年あまり経って、正直いまのほうが本作にとっては難しい時代なはず。なぜって、このモチーフはまるまる「陰謀論」の世界観でもあって、それが現実の政治やら生活にも影響を及ぼしている昨今、本作が描く「覚醒」や「革命」も文字通りに感情移入するのは難しくなってしまったから。ただ、そんな難しい時代にあえて本作を問うことに、ラナ・ウォシャウシキー監督自身がどういう意図をもってるのか、軽い興味はあった。  で、見た結論としては、残念な結果に落ち着いてました。それは、物語上は「覚醒」を求めながらも、どこかで「なんちゃって」というメタ視点を留保し続けることで「本気になるなよ、これは作り話だよ」という構造にしてしまったことです。世界観への没頭力やら物語の推進力は大幅に後退し、2時間半を持たせるのはかなり辛かった。序盤のグダグダした展開はコミカルにテンポよくすることができたと思うし、モーフィアスとスミスというオリジナル・キャストの変更は、物語上の理由付けも中途半端で製作上の理由だろうというのが見え見えだった。前作以降のアクション描写、スペクタクル描写の進展についていけておらず、あまりに「進歩」がないのはあえてのレトロ趣味かと思えてしまうほど。いろいろ足りない部分を謎かけっぽい会話でなんとか補っても、物語に没入できないメタ構造がそれを邪魔する・・・。  ただ、それでもある意味、元祖陰謀論のような本作シリーズに自ら落とし前を付けた部分はあったと思うし、そうするしかなかったんじゃないのかな、という風にも思います。決して無意味な商業映画ではなく、トランプやコロナを経験したあとの2020年代という時代を象徴した一作だったのかもしれない、というふうに思います。それが「いい映画」だったかどうかは別として。
[インターネット(字幕)] 5点(2022-10-16 09:05:22)(良:1票)
44.  機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島 《ネタバレ》 
『閃光のハサウェイ』が新世代のガンダム的でとても出来がよかったので、あのTVシリーズの1エピソードをどんなふうに広げて/深めているのか、期待高めで見たけど、それが裏目だったようです。安彦さんの「オリジン」はコミック版を愛読しているので、どちらかといえば連邦軍、ジオン軍、ホワイトベースのそれぞれの思惑が「ククルス・ドアンの島」で交差するような政治劇・サスペンスドラマ部分での掘り下げを期待してしまったのですが、残念ながらそっちはTVシリーズ版からあまり発展は見られず、物語的にはスパイス程度でした。むしろメインは、ドアン、島の子どもたち、アムロの交流。ただ、この点では正直言って定型以上のものは一切なく、予定調和的に流れていくだけでした。一人一人に個性をもたせる子ども描写はハウス名作劇場というよりは『約束のネバーランド』的で、それが映画全体でうまく活かされている感じはしない。終盤にガンダムで敵兵士を踏み潰す描写は、ドアンや子どもたちとの交流を通して、アムロが「兵士」としての覚悟を示す(彼らの世界と決別する)描写にもできたと思うけど、そうゆう雰囲気もあまりない。見所は最新技術で動くファーストガンダムと懐かしいBGM! ただ絵として一番ケレン味があって印象に残ったのが、山羊vsホワイトベースの面々というのがなんとも・・・。
[インターネット(邦画)] 4点(2022-10-08 09:36:41)
45.  コーダ あいのうた 《ネタバレ》 
前評判どおり、気持ちのいい映画でした。予想外にぶち込まれる下ネタの数々もいいスパイスになっています。主人公のエミリア・ジョーンズは、歌唱力的には物足りないと感じる部分もありますが、たいへんな環境のなかでの嫌みにならない健気さは出色の出来でした。オスカー受賞のトロイ・コッツァーはもちろん、実力者マーリー・マトリンもそしてお兄ちゃんもとにかく「家族」の造形と描写が見事で、この人たちのやりとりをずっと見ていたい気持ちになります。北東部地方の漁村の風景も美しい。これだけで映画としては大成功だとは思うのですが、ストーリー、設定、演出の面では違和感も。コンサートの無音シーンはすばらしかったのですが、実はこのときふと「手話しながら歌えばいいんじゃね?」という考えが頭をよぎってしまいました。この思いつきが、この後に尾を引いてしまい、一番感動すべきラストの試験のシーンもやや興ざめに。あと、結局通訳問題は解決してないように見えるのだけれど、どうやって乗り切ったのかわからないところ。たとえば、お母さんがおばちゃんグループに入っていけないところなど、どうやって乗りこえたのか?「障害者(お母さん)の側が心を入れ替えさえすれば、世界は変わる」という話なんだとしたら、障害者の側に困難を乗り越えろと求めているようで、ちょっとそれは違うように思える。バーのお姉ちゃん以外では、筆談すらする気配がない町の人たちにも、心がざわつく。田舎町という設定だから、ということなのかもしれないけど、とにかくいろいろ不自然に見えてしまって、せっかくの物語に入っていけなかった。愛すべき佳作ではありますが、いろいろコンサバな部分も目に付く。それが、オスカー作品賞を導いたのかもしれませんが。
[インターネット(字幕)] 6点(2022-09-25 15:01:25)
46.  リップヴァンウィンクルの花嫁 《ネタバレ》 
岩井俊二は妄想系雰囲気映像を楽しむべし、という過去作の教えは十分に活かされました。ストーリー自体はなかなか酷い内容ですが、一つ一つの場面の美しさや即興的な楽しさはピカイチ。ただ、ちょっと趣味押し出し過ぎではないか、という場面もちらほら。(物語上は綾野剛さんに操られる)黒木華さんがなんというか、映画全体を通して監督の道具にされているようで、正直なところあまりいい気がしなかった。序盤の残念な黒木華、スーツケース2つで突然世の中に放り出される黒木華、メイド服でCoccoと絡む黒木華、そしてウェディング・ドレス姿、ラストの溌剌とした表情まで。さすがに3時間詰め込まれると、なんだかおかしな趣味に付き合わされているような気分になる。また、Coccoも彼女のパブリックイメージに頼りすぎじゃねーかというキャラ設定。もちろん、のびのびやることは大切ですが、そこにいるのは「真白」ではなく「Cocco」にしか見えない。とくに、歌声聞きたくなるのは当然だけど、やっぱり歌わせるべきじゃなかったように思う。綾野剛さんはうまいよね。いつもの綾野剛でした。というわけで、物語上の人物や心情よりも、黒木華とCoccoと綾野剛を見た、という3時間でした。ただ、その甘ったるいアンサンブルに肉弾で飛び込んできたりりイさんはすごかった。あの笑っていいのか泣いていいのかわからない酒宴のシーンは、本作の白眉でした。
[インターネット(邦画)] 5点(2022-09-16 13:29:24)
47.  シン・ウルトラマン 《ネタバレ》 
ウルトラマンって怖いよね。っていうか、あらゆるヒーローは「異形の存在」であり、その不気味さを見事に映像化した序盤、とくに最初のウルトラマン登場シーンは秀逸でした。さっと延ばされた左腕・・・のへんな姿勢からのスペシウム光線の恐ろしさ。もうこれ見ただけで満足。ただ、そこからは徐々に失速。ザラブやメフィラスとの頭脳戦は面白いが、やっぱりラスト、ウルトラマンがなぜそこまでして地球を守ろうと思ったのか、何を何から「学んだのか」がまったくわからないので、カタルシスもない。美女を巨人化してる暇があったら、そっちをちゃんと描けよって、制作陣もわかっているとは思うし野暮だとも思うが、やっぱり思ってしまう。自分も幼少期に夢中になった1人なので「わかる」ことも多かったけれど、結局のところ、制作陣の「思い入れ」を観客がある意味読み取りながら見なきゃいけないのって、なんだかんだいって苦痛なんですよね。「さすが○○、わかってるー」っていうのにあふれてる現在、そろそろそういうの抜きで楽しめるカイジュー映画も見てみたいかなあ。
[映画館(邦画)] 5点(2022-09-08 14:49:31)(良:4票)
48.  ソウルフル・ワールド 《ネタバレ》 
ピクサー作品だというのに、予備知識もほとんどないし、世間の評判もあまり聞かないまま鑑賞。音楽を映像でみせるのは難しいけど、音楽だけでなく表情や視覚効果も融合した演奏シーンにまず引き込まれる。ところが、人生最大のチャンスと思われた演奏機会の直前に「あっちの世界」に行ってしまった後悔から、なんとか現世に戻ろうと奮闘するあたりは、『インサイド・アウト』のおっさん版の趣きだが、抽象的な映像表現と結構複雑なルールに少し疲れる。物語が一気に動いたのは、主人公ジョーが、問題児22番のメンターになったあたりから。並み居る著名人を蹴散らしてきて22番と、何が何でも現世に戻りたいジョーのやりとりが微笑ましいが、2人を通して描かれるのが「生きる意味」であったことに驚く。個人的には、自分の夢が叶った夜に突然訪れるむなしさ、今度はこれが「日常」になることをうまく受け入れられない感じは、似たような経験があったので、とくにぐっと来た。夢はかなっても日常は続く、という当たり前のことに気づき、「生きる意味」をより深く考え始める主人公。そこからの展開は、予想の範囲を超えるものではないですが、無機質で抽象的な死後・生前の世界との対比で、日々の日常の美しさがとにかくこれまでになく説得的に描かれたアニメーションであり、その描写は涙なしには見られませんでした。物語の設定やバランスに難点がないわけではないのですが、「生きる意味」という難題に果敢に挑み、映像でその答えを示してみせたことで、私にとっては特別な一本になりました。
[インターネット(字幕)] 8点(2022-09-05 18:42:18)
49.  DUNE デューン/砂の惑星(2021) 《ネタバレ》 
自分ではヴィルヌーヴ監督との相性はいいほうだと思います。代表作『ボーダーライン』『メッセージ』『ブレードランナー2049』はどれも複数回見て、見た年のベストテンにも入ってます。しかし、この作品はダメでした。ダメだった理由ははっきりしていて、一つは「終わらなかった」という点。公開直後から「終わらないらしい」という話は聞いていたのでわかっていたことではありますが、ヴィルヌーヴ監督作品って見てる最中は、退屈というか苦行に感じる部分もあるのですが、物語がきちんと「終わる」ことで、その苦行が昇華するというか、そういう作品がいいのです。『メッセージ』なんか、あのラストで大感動が押し寄せるわけで、それがなければやっぱり退屈な設定勝負のハードSFって感じだったわけで。今作、事件らしい事件も起きない、というか起きてるんだけどアンチクライマックスな作りと終始鳴りっぱなしのハンス・ジマーの音楽が、映画としての抑揚を失わせてしまい、その苦行にたえても最後にカタルシス不足。自分は『ロード・オブ・ザ・リング』は『旅の仲間』が一番好きで、冒険がはじまるぞという高揚感で終わってもぜんぜん楽しめるタイプの人間だと思ってましたが、たいして盛り上がりを見せることなく、ゼンデイヤのあの台詞で興ざめて終わってしまう本作では、さすがの私も頭にきてしまいました。二つ目のダメな理由は私の個人的なものなので点数には反映させていませんが、映画館で見られなかったことです。それなりの大画面テレビ+音響で見たとはいえ、暗い画面が多く、とくかくスローに画が展開する本作はやっぱり映画館で見るためのものでした。全編これは映画で見なきゃいけなかったとひたすら思いながら、2時間半以上を過ごしました。結局のところ、この作品は、「終わらない」とわかっていて、いつものカタルシスを味わえないのに、わざわざ映画館に見に行くのか、という壮大なジレンマを抱えてしまっているというわけです。次作を観に行くかどうか。二部作なら行ってみようかなと思うけど、三部作だったらもういいかな、という気分です。
[インターネット(字幕)] 5点(2022-07-16 10:32:54)
50.  007/ノー・タイム・トゥ・ダイ 《ネタバレ》 
大傑作ドラマ『True Detective』(シーズン1)の監督を務めたキャリー・ジョージ・フクナガ監督が007映画を!というのは、期待半分・不安半分でした。あのドラマで展開された乾いたスタイリッシュな映像、計算されたアクション、複雑な人間ドラマは、サム・メンデス版を引き継ぐにはベストに近い人選とは思いますが、メンデス版に感じていた違和感(あの、楽しい007がいつの間にかシリアスで湿っぽい映画になってしまった・・・)をいっそう加速させるような気がしたからです。そして、満を持しての鑑賞・・・でしたが、やっぱりその予感はあたっていたようです。それもどちらかといえば悪い方に・・・。  よかった点。バキバキした映像の美しさ、冒頭のちょいホラーっぽい演出や長回しなど新鮮なアクション演出、007のバカバカしい世界観(とくに『007は二度死ぬ』的なオリエンタル趣味)を真面目に描いている点、女性も男性もキャラ1人1人がみんなとにかく格好いい。とくにレア・セドゥは素晴らしかった。  残念な点。長い。ラミ・マレク登場あたりからドラマが一変してしまう。中盤の謎かけのような会話が続くのはフクナガ作品っぽさではあるが007では冗長。娘の登場からは完全に別映画になってしまう。これだったらボンド映画である必要はないような・・・とずっと違和感を持ち続けた先のラストシーンで完全に冷めきってしまった。「こんなのはボンドじゃない」以前に、私はもう自己犠牲ラストが本当に好きではないのです。タイタニックからダークナイトからアベンジャーズまで、とにかく主人公が命をかけて守る・・でまとめてしまうのは(それで「感動のラスト」とかいうのも)もっとも安易だと思う。とにかく、最後まで生きようともがいてほしい。そういうのとは無縁だと思っていた007が、その手の「闇落ち」してしまったショックはめちゃめちゃ大きい。  もちろん、永遠のマンネリを終わらせることは勇気のあることで、フクナガ監督はその蛮勇を買って出るだけの力量があるのは間違いない。その難行をきわめて高いクオリティでまとめたこともよくわかる。けれど、ぼくはやっぱりこの映画は「嫌い」です。
[インターネット(字幕)] 4点(2022-07-09 08:28:36)
51.  先生、私の隣に座っていただけませんか? 《ネタバレ》 
これはなかなかの掘り出しものでした。序盤からどこかずれている夫婦のコミュニケーション、あの原稿を見てしまってからの夫の狼狽ぶり。その後は、コメディとしてもホラーとしても楽しめるし、虚実入り交じったサスペンスとしても面白く、平凡な素材でもまだまだ面白くできる、ということを実感できました。不倫ものだけどジメッとした「三角関係」に持って行かなかったのは、柄本佑さんのダメ男ぶりに加えて、カラっとした奈緒さんの好演が大きい(ただ、若干物語的に都合が良すぎるようにも見えてしまうけど)。ラストの復讐劇ですが、俊夫はただ単に佐和子に「捨てられた」のではなく、「救われた」のだと思っています。少なくとも佐和子と千佳の2人にとっては、俊夫は「才能あふれる漫画家」だったわけで、やっと「筆」を再び取る決意を導いたのは、間違いなく佐和子です(→そこで、はじめてこのタイトルの意味がわかる構造もすごい)。だから、これは夫の「自立」の物語でもあり、その結果、妻もまた「自立」への道を歩んだラストだろうと思います。車の免許は、妻の自立を象徴する要素だし、だからラスト、私は、妻は1人だったという解釈です。「新谷先生」は最初から最後まで虚構のなかの存在であり、あの人のよさそうな青年は本当にただの教習所教官だったのでしょう。夫婦それぞれが「成長」した先に「別れ」があるという、たいへんよくできた夫婦もの映画であったと思います。
[インターネット(邦画)] 7点(2022-06-27 10:01:34)
52.  トップガン マーヴェリック 《ネタバレ》 
デンジャーゾーンで始まるのであれば、マイティ・ウィングスで終わってほしかった・・・(ラスト・クレジットであのイントロがいつ来るかと身構えたけど、ガガとアンセムだけだった)。空中戦シーンの「リアル」さには感服するしかないのですが、1980年代の映画の続編を2020年代に作ることの意味ってなんだろう、ということも考えてしまったのでした。  60間近になってもやりたいことっていうのが、kawasakiで疾走、若造たちに格の違いを見せつけるドッグファイト、半裸でビーチ・フットボール、美魔女とのラブシーン・・・という1980年代の発想からほとんど抜けていないことにはむしろ驚いてしまいます。匿名性をやたら高めた「敵」の描き方なんて、前作でも批判されていたはずなのに、今作では何の工夫のなく同じことを繰り返すばかりか、アメリカ側の一方的都合による先制攻撃作戦をメインに置くという点では、前作以上に問題がある。そんなことをいうのは野暮だとわかっているけど、もう2020年代なんだし、そのあいだにアメリカが関わった酷い戦争が何度も起きてるわけだし、観客だって大人になってるどころか人生1周しちゃってるわけだし、少なくとも自分としては前作と同じようには喜べないだろ、それ、としか言いようがない。  「アクション・スター」として「挑戦」を続けるトム・クルーズに、そんな歳相応・時代相応を求めるのは大いなる筋違いだとは思う。でも、そう思ってしまった観客もいるよということは記録として残しておこうと思います。
[映画館(字幕)] 6点(2022-06-19 08:32:27)(良:2票)
53.  佐々木、イン、マイマイン 《ネタバレ》 
序盤は、主人公の悠二の類型的っぽい、いじけキャラがうっとうしかったのと、高校時代の「佐々木」の全裸踊りみたいなノリについて行けなかった(自分はあれを教室の隅でうるさいなあと思いながら見ているタイプだった)のもあって「え、これが青春時代の美しい思い出なの?」「評判高かったけど失敗したかなあ」と思っていたくらいでしたが、むしろ僕のような観客が先入観から見ようとしなかった、青春時代のひとつの姿をみせてくれたという点で、とても優れた作品だと思います。悠二の何事も決められない状態も、佐々木のいつまでも変わらない哀しさも、そして、ちゃっかり人生を前に進めている同級生「木村」の存在も、すべてが青春時代から大人への過渡期の真実の姿であり、どの生き方にも心当たりと共感を抱かずにはいられず、終幕のころには自分もまるで彼らの「友達」の1人になった気分で見てました。ただなあ、ラストの唖然とするシーン、佐々木の象徴はやっぱり「全裸踊り」と「佐々木コール」なんですよね。そのノスタルジーに「帰る」のではなく、そこから前に進んだところをラストでは見せてほしかったかなあと思いました。
[インターネット(邦画)] 7点(2022-05-23 13:52:59)
54.  ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償 《ネタバレ》 
シカゴの歴史博物館にいったとき、フレッド・ハンプトン事件についての展示をみた記憶がある。FBIによる強制捜査で暗殺されたという経緯も今の感覚ではにわかには信じがたいけれど、50年前のアメリカで実際に起きた出来事。本作は、この事件をブラック・パンサー党のメンバーで「裏切り者」ビル・オニールの視点から描いたもの。社会運動の現場を臨場感たっぷりで描きつつ、潜入もののサスペンスも加味されることで、事件の背景に詳しくなくても話にはついていけると思う。ハンプトンのアジテーション演説も力強く、ダニエル・カルーヤはオスカー受賞に値する好演でした。ただ、このドラマとサスペンスにあふれた設定を映画としてどこまで昇華できたかは、少し疑問でもある。ビルとメンバーとの会話、FBIとの隠れたやりとりなどはどうも演出が平板で緊迫感に欠けている。その分、突然の逮捕劇、銃撃戦、FBIの襲撃シーンとの落差が大きくてショッキングにはなっているのだけれど、全体を通してみると、裏切り者の苦悩を描きたいのか、カリスマ的なリーダーとしてのハンプトンを描きたいのか、潜入もののサスペンスを描きたいのかはっきりしない印象になってしまっている。せっかくの題材ではあるけれど、脚本・演出の面では物足りなさが残念な一作となりました。
[インターネット(字幕)] 5点(2022-05-01 19:11:15)
55.  スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム 《ネタバレ》 
もしかしたら自分世代(40代)だと、熱狂的なファンでもなくても公開されるとなんとなく見てきた映画シリーズの筆頭が『スパイダーマン』なのかも。『スターウォーズ』はたぶん思い入れあり過ぎるし、MCUは逆に仕事やら家庭やらで忙しくてフォローする余裕がない。そんな絶妙な距離感でつきあってきたシリーズも、まさかの過去作主人公&ヴィラン勢揃いとなれば、それはそれで懐かしくもあり、気分もあがって楽しい時間でした。とくに、打ち切りによってあまりに中途半端なままだった『アメイジング・スパイダーマン』のピーターにちゃんと「救済」のチャンスを与えていたのにはウルッと来たし、ヴィランそれぞれにピーターらしい結末を用意したのも、ほかでもない「心優しい」本シリーズらしさを感じました。一方で、あまりに苦い結末は、いよいよトム・ホランド版ピーターも、親友や初恋の人と違う人生を歩みはじめ、「子ども」から「大人」への階段を上ったのだと思えば、丁寧に彼の成長を追ってきた本シリーズらしい納得のまとめ方だったと思います。それぞれの登場人物たちにちゃんとそれぞれの結末を用意し、映画会社の都合で作られてきた3つのシリーズをまとめてしまうという力技には、ただただ感心しました。一つだけ、2代目グリーン・ゴブリン(ハリー・オズボーン)をどういうふうに絡ませるのかな、というのが気になっていたのですが、ピーターの台詞で触れるだけで終わってしまったのは、ちょっと物足りなく感じました。もしかしたら問題続きのジェームズ・フランコを起用できない事情もあったのかなーなどと邪推をしてしまって若干物語に集中できなかったのは少し残念。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2022-04-29 20:02:47)
56.  ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結 《ネタバレ》 
お世辞にもできがよいとはいえなかったデヴィッド・エアー版に対して、テンポのよさと切れ味鋭い「騙し」で見事に序盤で観客の心をつかみ、ディズニー映画では絶対にできない悪趣味描写を連発させるジェームズ・ガン監督のエンタメ真骨頂を堪能できます。冒頭、監督の盟友マイケル・ルーカーや『サタデーナイト・ライブ』でおなじみコメディアンのピート・デヴィッドソンまで登場しての上陸作戦、まさかの「かませ犬」描写にはもう大笑い。巨大ヒトデによる都市破壊は、『ゴーストバスターズ』のマシュマロマンを思わせるシュールさでした。同作では「真の悪役」ポジションともいえるウォラーが案外あっさりとしていたり、ヒトデ襲撃でみんな死んじゃったはずの町をそれでも助けようとするスーサイド・スクワットの面々の決意の理由が微妙にわかりにくいなど、気になる点もあるとはいえるし、個人的には「残虐描写」は苦手なので、途中までは若干顔をしかめながら見ていたのですが、本作のラスト「もっとも底辺で忌み嫌われている者たちの逆襲」シーンのころには大号泣。自分が大量のネズミ襲撃描写に「泣く」日が来るなんて、夢にも思いませんでした。大作映画がパッとしなかった2021年で、笑って泣けるエンタメのスマッシュヒット。見る人を選ぶのはわかるけど、メッセージは思った以上に普遍的でストレートです。
[インターネット(字幕)] 8点(2021-12-28 18:19:37)
57.  騙し絵の牙 《ネタバレ》 
吉田大八監督×原作塩田武士×主演大泉洋なんて、そりゃ期待するなというのが無理な話で、映画館で観たかったけれどかなわなかったものが配信開始されたので、さっそく拝見しました。面白かった、のだけれど、期待が大きすぎたかもしれない。物語の終盤まで、敵味方というよりも登場人物の目的がよくわからず、宙ぶらりんな状態で進んでいくサスペンスは出色だったと思う。ネタについても、完全に隠し切ってラストにドカンではなく、(とくにイケメン作家をめぐるアレコレなどは)あえてネタばらしを小出しにしながら、物語への居心地を悪くするあたりは、とても巧いなあと感じた。  ただ、そこに絡んでくるオールスターなキャストが自分的にはマイナス。佐藤浩市、佐野史郎、木村佳乃、中村倫也、斎藤工あたりの皆さんは、それぞれワンパターンに得意そうなキャラクターを演じてるだけで、ぜんぜん「面白くない!」のだ。そして、「あて書き」だからしょうがないのかも知れないが、もはや日本映画の救世主と個人的には思ってる大泉洋すら、物語の中盤くらいには「もう、大泉洋成分にお腹いっぱい」になっていた。劇中の台詞にもあるように、類型的なキャラへの批評的な視線が欲しかった。とくに、佐藤浩市さんは物語上も重要な役だっただけに、「ザ・佐藤浩市」に批評的に突っ込むような演出や展開があったらよかったなあと感じます。まあ、このあたりは、吉田監督自身が「桐島」の時代とは違って、日本映画を代表する「次作を待望される」監督になってしまったがゆえに、作品づくりのうえで調整しなきゃいけないことが増えた結果だろうなあと余計な推測までしてしまいます。とはいえ、小気味よい展開と松岡茉優さんのキャラに感情移入させるつくりに、吉田大八監督らしい良品感を楽しむことはできました。そして、主題歌なしの音楽とか、TRINITY編集部の面々のアンサンブルとか、スター抜きでも(抜きだからこそ)楽しめる要素もあって、オールスター映画ゆえの食傷気味な感覚がもったいないなあ、と感じた次第です。
[インターネット(邦画)] 6点(2021-11-28 17:44:46)
58.  ファーザー 《ネタバレ》 
2021年のオスカー。逝ってしまったチャドウィック・ボーズマンの文字どおり「命を賭けた熱演」に男優賞をと思っていた自分は、アンソニー・ホプキンスの受賞にがっかりしたものでしたが、この作品を見れば・・・これは納得せざるをえない。昨年のローマ法王役もすごかったが、これは別格というか、「上手い」を通り越して「怖い」の領域に達している。人間が人間らしさを失う過程というのは、いくらでもデフォルメできるものであるけれども、これだけ「正常」とシームレスに「異常」が姿をあらわす過程を描いた作品は、ほかにはなかったのではないか。そして、ついヒューマンドラマとして描いてしまいそうな題材を、サスペンス風味たっぷりに緊張感溢れる脚本と演出で仕上げた監督の手腕にも脱帽。しかもこの監督が自分よりも年下だなんて、その「人間」に対する深い洞察には唸るばかり。「認知症を主観的に描く」という実験的な試みは見事に成功していると思います。100分に満たず、舞台もほぼアパートの部屋、登場人物も数名のミニマムな設定で、人間が(肉体的な意味というよりも精神的な意味で)その人生の終盤を迎えることを描ききった傑作です。いやあ、素晴らしかった。
[インターネット(字幕)] 9点(2021-11-27 09:56:18)(良:4票)
59.  あの頃。 《ネタバレ》 
これは難しい題材だなあ。個人的に期待していたのは、ハロプロオタクたちの常識を突き抜けた「向こう側の世界」から浮かび上がる青春の普遍性、みたいなものだったのだけれど、結果的には「あの頃俺たちバカやってたよね」っていう比較的普通の青春映画におさまってしまった。登場人物たちのあまり褒められたことのない言動だったり、ちょっと理解に苦しむ友情のあり方、みたいなのはあったように思うのだけれど、突き抜け不足というか、いまひとつ「ハロプロでなければいけないもの」が見えなかったか。とくに、主人公たちが一時期の「祭り」状態から醒めていく過程にこそ、この物語の軸はあったように思うのだけれど(少しタイプは違うけど『花束みたいな恋をした』はそこをきちんと描いていたからこそエモーションにぐっと来たと思うのだ)、そこを主人公のナレーションでさらっと流してしまった時点で、「あ、これは自分が期待してたやつとは違ったらしい」と思ってしまい、一気に冷めてしまった。とはいえ、主人公を取り巻くオタク仲間たちのキャラはみんなすばらしい。実質的な主役の仲野大賀さんの芸達者ぶりはもちろん、ロビさんとナカウチさんの外見も含めた存在感とか、美青年なのにぜんぜんイケてない若葉竜也さんなど、みんな説得力があった。松坂桃李さんも「主演俳優」ながら見事な「受け」の演技で、「恋愛研究会。」のアンサンブルはとても楽しく、たしかにいつまでもこの人たちのやりとりを見ていたくなりました。そうだっただけに、もう少しオタク部分の「沼」をがっつり描き、その「祭りのあと」感を丁寧に描くことができれば、終盤の展開はもっともっと切なくなったのに・・・というのが残念でした。
[インターネット(邦画)] 5点(2021-09-23 16:33:02)(良:1票)
60.  ザ・ハント(2020) 《ネタバレ》 
あんまり褒めたくないけど、よくできてる不思議な映画。鑑賞中の感想はずっっと「感じ悪い〜」だった。登場人物ではなく、この映画の製作者に対して。脚本のデイモン・リンデロフは、最近だとHBOドラマ版『ウォッチメン』で人種問題を大胆に取り入れたことで知った人。しかし、白人至上主義を叩いた『ウォッチメン』とは対象的に、この映画でカリカチュア化されるのは、リベラルのエリートたち。その人間的なクソっぷりは冒頭から炸裂し、トランプ支持者っぽい登場人物をユーモラスでグロい方法で殺戮する序盤は、もう何をどう考えればいいのやら、という感じだった。この映画の「イヤ〜」な感じの正体は、たぶん、リベラルっぽい人たちもトランプ支持者っぽい人たちも、その描き方が、メディア(とくに敵対する陣営)が描く相手のステレオタイプ的なイメージそのものであることだ。それぞれの「典型的なイメージ」を実体化して見せ、その人たちが殺し合う様を「コメディ」として見せてること自体が、たいへん気持ち悪く、感じ悪い。そのなかで一人超然とした立場にある主人公は、くだらない殺し合いを安全地帯から眺めている「私たち」とも重なる。それは、昨年の大統領選挙の前後、面白おかしくアメリカの政治混乱を眺めていた「私たち」にも重なる。  ただ、その構図の気持ち悪さに耐えられなくなってきたとき、ラスボスであるヒラリー・スワンクが語る「真相」にはちょっと唸った。なるほど、これは単なる感じ悪いメディア・イメージの戦争であるだけでなく、そのメディア・イメージがいかに現実を作ってしまうのかを描いた一作だったのだ。見終わった後、誰かと語りたくなるものの、語る内容によってはその人との関係にも影響がありそうな点も含めて「劇薬注意」という作品でした。
[インターネット(字幕)] 7点(2021-09-16 14:33:05)
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