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Nbu2さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 344
性別 男性
自己紹介 「昔は良かった」という懐古主義ではなく
「良い映画は時代を超越する」事を伝えたく、
 昔の映画を中心にレビューを書いてます。

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41.  晩菊 《ネタバレ》 
きん(杉村春子)と田部(上原謙)の関係行く末のみを描写した林芙美子の原作(青空文庫で公開されてますよ~)と違い、この成瀬作品ではきんの昔の花柳界仲間(細川ちか子+望月優子+沢村貞子)の侘しい状況も描かれる。結局はそれぞれが愛する者から縁を切られる/薄くなっていくという孤独化まっしぐらな展開になっていくのだが、不思議と悲壮感を感じなかったのは旧作「稲妻(1952年)」と同じ。つまり杉村には(不安はあれども)情を断ち切って一人で立ち向かう「生命力」を感じるし、細川+望月だって失われたものは多かれど彼女らの「友情」は残っているという希望がある(望月のモンロー・ウォークは凄い)。原作ラストの絶望感(原作の田部=唾棄すべき男ですわこりゃ)と比べて好感度アップだし多少甘いがこの点数。加えて役者。もちろん皆様素晴らしいのですが今回は細川ちか子さんの存在感につきますな。気怠さというか倦怠感というか...確実に「陰のある女」として昔は人気だったのだろうという説得力がある。いゃ〜あ、良い映画見たなぁ。【追記】で、このレビュー上で「DVD化希望」と言ってはや5年。この度「あらくれ」「夜の流れ」と合わせてやっとこさ2021年にDVD化ですよ。この調子!
[映画館(邦画)] 9点(2016-04-11 22:54:02)
42.  ながらえば<TVM> 《ネタバレ》 
こんなに素晴らしいラブストーリーだとは思わなかった。突発的に旅立った主人公の当初の目的は単に病床の妻を案じての心配から来る「見舞い」で、自身の本心には向き合っていなかった。(切符の紛失+電車乗り遅れでお金がないまま一晩を知らない場所で過ごす羽目になる=信念の欠如を暗示しているのが上手い)それがたまたま泊まった宿屋で宿の老婦人に不幸があった事・亡くなった妻との想い出を語る宿の老主人(宇野重吉=名演!)等の後押しもあって「愛してるという想いを伝えたい」という真の目的へと変わるその経緯が自然で、胸打たれてしまう。そしてラスト、病床の妻に向かって背中を向け、泣きながらつぶやく「おまえとおりたい」。一般的に「御前様=好々爺的」イメージしか無かった俳優笠智衆の気骨溢れた男っぷり(寝ている老妻にキスしようとしてる!)に改めて名優だ、と実感させられました。65分という短い時間にこれだけの内容を詰め込んだ、この当時の山田太一の作家性、まったくもって素晴らしい。機会があればぜひ。
[地上波(邦画)] 9点(2015-01-02 19:29:07)(良:1票)
43.  緋牡丹博徒 花札勝負 《ネタバレ》 
70年代東映エンターテイメントの中核を担っていた鈴木則文監督。「トラック野郎」シリーズや東映ピンキー・バイオレンスの諸作品は私にとって青(性)春の良き想い出です。ただ脚本家としての技量も優れたものがありその代表作としてこの一本を挙げさせていただきたい。彼の造形した緋牡丹のお竜=矢野竜子(藤純子)シリーズは正直言うと「主役を女性にした東映任侠映画」それだけのことでB級の域を抜け出せないワンパターン物。ところが名匠加藤泰が監督したこの作品に関してはお得意のローアングルとロングショット+時に挿入されるクロースアップの演出術が冴えわたっていることもさることながら、「ニセお竜」が蔓延っている賭場に本物のお竜が流れ着く、という脚本展開は素晴らしいと思います。これによりお竜自身の「博徒であること=女性であることを封印している」寂しさが強調されニセお竜に足を洗い、女性の幸せを求めるシーン(また~いかんとよという博多弁が良いんですね)+好意を持っている高倉健への抑えた視線に物凄い説得力が加わってしまう、今は亡き新宿昭和館のスクリーンで酔っ払いがお竜さ~んと騒ぐのも完全に理解できる情景。これはB級グルメがミシュランの星を取ってしまったような奇跡の一本でしょう。そしてそんな素晴らしい映画世界を教えてくれた鈴木監督のご冥福をお祈りいたします。
[映画館(邦画)] 9点(2014-05-18 09:44:27)(良:1票)
44.  8 1/2 《ネタバレ》 
「観客をおいてきぼりにする様な」意味のわからない作風/映像表現を世界中に巻き起こした、という後世への影響から考えて「去年マリエンバートで(61年)」と並び仲間内ではあまり評判がよろしくないこの一本。そんな時私はいつも抗弁している「これこそ映画的な話でありとても面白い」と。1.現状の色々な重圧から潰されそうになっている自分+2.そんな自分が描いている妄想+3.作品で撮りあげたい映像、これらのコラージュ。そんな雑然とした風景がラスト主人公の述懐=人生って素晴らしい/登場人物たちが輪になって周り巡るあそこでひとつになる、それを見て感動で胸いっぱいになってしまう自分がいるのだ。あとは主演のマストロヤンニ。この作品が成り立っているのはひとえに彼の存在感があってこそであることは間違いない。
[映画館(字幕)] 9点(2013-04-02 02:50:22)(良:1票)
45.  旅芸人の記録 《ネタバレ》 
この映画をスクリーンで観る事ができて本当に良かった。ラストショットで誰もが感じる徒労感の意味がビデオ鑑賞とスクリーンのそれではまるで違うから。観客席で自分は旅芸人一座と一緒になって激動の時代を生き抜いてきた、新しい世代に「命のバトン」を受け継ぐ事ができた、生きてて良かった!という感覚がわき出てきた。最初と最後のシチュエーションは同じだが、ラストの彼らは疲労困憊(これは映画館の観客もまたしかり)ではあるが明日への希望が見えた素晴らしい名場面ではないか。ギリシャ神話とその歴史に詳しければなお一層良さがわかったのに、と後悔の念を持ちつつこの点数にする。追記/監督アンゲロプロスはこの映画デビュー作から一貫して国家や宗教、人種を越えた人間の存在意義やそういった人々の真の拠り所が何なのか探求し続けた映像作家であったと思う。そんな彼の作品をもうスクリーンで観る事ができないのが残念だ。ご冥福をお祈りします。
[映画館(字幕)] 9点(2012-02-05 15:23:57)
46.  有りがたうさん 《ネタバレ》 
いつまでもこの作品世界に浸っていたいと思いながらこの映画を観ていた。それは上原やその他の出演者が醸し出す温かい人柄だけではなく、短いショットとフェードの繰り返しによって観客に心地よいテンポを感じさせてくれる監督清水の技量によるものではないか。もう一度述べさせていただきたい。時代によって今の観客にはわかりづらい点・録音映像の見辛さは多々あれどこれこそ元祖「癒し系」ムービー、ゆったりと浸っていたい。ほっこり。
[映画館(邦画)] 9点(2012-01-03 10:47:28)
47.  カイロの紫のバラ 《ネタバレ》 
W・アレンの映画によくある『グッド・オールドファッションド(かっこつけてカタカナにしました)』感覚に古くささを感じてしまう自分だけど、これは狡いくらいに映画ファンの心を鷲づかみにしちゃう一本だと思う。現実とスクリーンに映る夢は違うものと認識させられたヒロインと自分達観客。だけど最後に映る「トップ・ハット(Heaven~♪I'm in Heaven~♪)」で希望を与えられる、というラスト、はっきり言って卑怯だろう。でもいいんだ。そういった雰囲気作りのうまさ(役者ファローの全盛期!)にうならされる一本。 
[映画館(字幕)] 9点(2011-03-27 21:11:47)(良:1票)
48.  イノセント 《ネタバレ》 
この作品は監督ビスコンティ自身の人生の投影ではなかったか。原作では生き長らえる男を作品中「自殺」に追い込ませたのは滅び行く貴族社会=監督自身の人生の終止符、これは「遺言」ですよね。しかし嫉妬深い身勝手な男の虚無感といったらもう。ジャンニー二にとっての最高傑作であると同時に、ラウラ・アントネッリにとっても単なるポルノ映画女優ではない役者としての器の大きさ(役柄が「貞操な妻」なんて、ありえんだろ。だからこそジャンニーニとの情事のシーンはそのギャップに凄みすら感じる)を示した一本。
[映画館(字幕)] 9点(2010-09-11 17:48:51)
49.  不射之射 《ネタバレ》 
川本映画の魅力はもちろん人形造形と動作(ストップモーションの映像にしては物凄くなめらかで細かい!)だけではなく、ライティングやカット割りの工夫で無表情の人形に命を吹き込んでしまう映像作家としての彼の技量。そこに自分は安心感を持っているのである。弓の道を究めんとした男が最後にたどり着いた境地、それは作家川本の「愚直にまで自分の進んできた人形アニメ映画に取り組み全うする」事に結びつくのでは無いか。これはもうアニメ映画を越えた「芸術」。年に一度は見てため息ついてます。
[DVD(邦画)] 9点(2010-08-22 22:29:04)
50.  エル・スール 《ネタバレ》 
夜が明ける。愛犬の鳴き声が聞こえる。静かな始まりだがスクリーンには何とも言いようのない緊張感が走る。母親の叫び声が聞こえる。枕元にあった父の形見。少女が父の過去を探ることで得た真実と悲劇。そして希望に溢れた「南」への旅立ち。エリセの映画は観客に対して想像力を想起させる点で本当に良くできていると思う。例えば父親の過去の愛人だった映画女優(「ミツバチのささやき」のフランケンシュタイン、といいこの人映画好きなんだなぁと感じる)や壁に書かれたいたずら書き、自転車に乗った少女が少々大人びて戻ってくるカットはまさに映画。スクリーンで見た時は本当に感激した。ラストもエリセが望まなかった、中途半端な終わり方かもしれないが、この映画を観た観客はもうわかっている。彼女はこの先どんな困難にあっても乗り越えてゆける、少女から立派な大人への段階を経たのだ、と。俳優。やはり80年代最高の男優はデニーロやホフマンではなかった。アントヌッテイその人である。限りなくこれは10点に近い9点。今日、私は南へゆくのです…。
[映画館(字幕)] 9点(2010-01-11 23:41:53)(良:1票)
51.  道成寺(1976) 《ネタバレ》 
これはアニメーションと人形浄瑠璃の幸福な組み合わせであり、作家川本の最高傑作だと考えている。安珍・清姫伝説の話のポイントである「情念」をここまで的確に捉えられた映像はないだろう。これは超一流のホラーでありまた、「叶わぬ想い」が伝わらなかった女性の悲劇であるとも言える。人形中心で進められた前半よりも清姫が蛇身に変化した後半部分、大蛇の造形に迫力が無いため話がパワーダウンしてしまったのは仕方が無いか。日本のアニメーションはジブリやガンダム、エヴァだけじゃないよ。
[映画館(邦画)] 9点(2009-08-16 20:13:15)(良:1票)
52.  ガルシアの首 《ネタバレ》 
初めてみた大学生の時はその良さがまったくわからなかった、という事を素直に告白しておく。が年を経て少しは人生経験を積むにつれ、このピアノ弾きの行動に痛いほど気持ちを込めてしまうのだ。一攫千金を求め何とかこの機会に這い上がりたいという想いや、どうしようも無い情婦=彼女であるけれど、支え合ってこれからの人生を築き上げたい、と考えた小さな夢とその破綻に対する悲しみ。彼女を守れなかった悔しさ。同じ女を愛していた賞金首への贖罪の気持ち。これら感情を一身に背負い演技するオーツ、最高。全(男性)映画ファンにとっての「漢の映画・必修科目」の一本。
[映画館(字幕)] 9点(2009-04-19 23:10:12)(良:2票)
53.  マルメロの陽光 《ネタバレ》 
カリン(マルメロ)の樹を20年かけても描ききることの出来ない画家ロペス。彼にとってマルメロの果実=実が生り熟し朽ち果てるその姿は「人生」そのものだったのではないか。対象はあまりにも大きく、キャンバスに描くことは困難な代物なのかもしれない。ただ人間の美を愛する心・夢を描き出すことはまさに自由なのだと若輩者の大学生であった私にとって胸を打った一本。昔の映画ファンは名監督達の作品をリアルタイムで観ることが出来た点、羨ましいとも思うが我々にはまだ「エリセの新作を観ることが出来る」特典があるのだ。なんて幸福な事なのだろう。〔追記:2013年4月末~6月中旬まで東京でアントニオ・ロペス展(その後長崎→岩手と移動予定)が行われ、未完のマルメロの絵も見ることができた。この人の絵に他の作家とは異なる、より「暖かさ」を感じたのは自分だけだろうか。てかさ、こんなタイミングでソフト再発・再映の機会もないとは…無常なり~。〕
[映画館(字幕)] 9点(2009-01-11 14:11:45)
54.  飢餓海峡 《ネタバレ》 
巨匠内田叶夢による邦画史上屈指の「大作」である。この映画を観て私が感じるのは芥川「蜘蛛の糸」。犬飼多吉にとって津軽海峡の暗い波頭はまさに地獄の血の池であったのだろう。そして娼婦八重はまさにそんな糸を紡ぎ出す蜘蛛であったろうし、八重にとっても犬飼は一時でも娼館を抜け出せるきっかけを作ってくれた、まさに「同じ地獄の境遇」から生還できた同士であったに違いない。だが時が経ち篤志家となった彼にとって彼女の存在は過去の罪を思い起こさせてくれるだけの邪魔者=地獄からの使者に感じられた、という悲しさ。ラスト犬飼が飛び込んだ海。それは「地獄へ墜ちていく」事の意思表示であり愛を捧げてくれた薄幸な娼婦への贖罪であったに違いない。役者は皆好演だがやはりこの映画は人間の持つ清濁性を存分に発揮した役者三国の代表作として挙げておきたい。といって私アジャパーだけではない役者伴淳三郎も、左幸子も凄いと思うんですよね。左演じる八重の犬飼への感情のほとばしり(切った爪を抱きしめ悶えるあのシーン!)、または皆様仰る犬飼との再開(「いぬが~いざ~ん!」)。刑事弓坂が犬飼に指し示す「砂」のシーン。まさに名演のオンパレード。点数は前半の凄まじい展開から後半に進むにつれ観賞疲れを感じてしまう処を考慮して。ここでは健さん、たんなるおまけだな。
[映画館(邦画)] 9点(2008-12-30 14:08:38)
55.  少年(1969) 《ネタバレ》 
国家社会への対抗心やアングラ芸術への傾倒、またはエロチシズムでの表現といった様々な形で邦画界に名を残すオーシマだけど彼の作品の根底にあるものは「全体主義の中の孤独」。鬱屈を抱えて生きている人の疎外感や屈辱、労苦を取りあげそんな者を生み出す社会への告発・そして影に隠れて生きている者への掬い上げ(例えば横尾忠則やフォーククルーセーダース、荒木一郎やビートたけし、ま阿部定もそうかもしれん)が作品のテーマと思うが何せ主義主張の多い彼の作品は、正直疲れてしまう。ただ実在した当たり屋一家の事件を題材にした、「当たり屋役」で一家を支えている少年のロードムービーである本作は淡々とその道行きを撮しているだけでそういった強烈なインパクトは無く普通。ところがこれが過酷。掬い上げすらない。大人の自我を持たないままの「少年」が親のいいなりになって犯す犯罪だけが家族を繋ぐ「絆」という苦しみ。雪だるまを相手に「宇宙人が素敵な未来へ弟と共に連れ去ってくれる」という想像の発露。そして義理母が与えてくれた愛情の印=時計が招いた少女の事故死と家族の崩壊。胸がつまる。そしてラスト、護送される車内の中で涙する少年のショットは映画監督オーシマの力量を感じる。個人的には「愛のコリーダ」と並ぶ彼の名作。
[映画館(邦画)] 9点(2008-09-21 16:31:47)
56.  本日休診 《ネタバレ》 
今を去ること十数年前、仕事で行った中国農村部の連中はメチャクチャだった。持って行ったカセットウォークマンに驚愕され、風邪を引いたというので手持ちの薬をあげたら次の日から何十人という者が俺のところに来た。冷蔵庫にあった自分のジュースや飲み物を勝手に開けられ帰宅してみたらいつの間にか宴会が始まっていた。自分の部屋はみんなの立ち寄り所と化し、20代前半の自分が何故か老若男女の人生相談(仕事から恋愛まで)まで聞く羽目になった。もう行きたくない、だけど離れる時は寂しくてしかたなかったし皆オイオイ泣いてくれた。そんな個人的な話から入って大変恐縮なのだが、この映画に出てくる人々が皆自分、Nbu2の体験した「純粋で素朴な」あの農村のみんなと重なってしかたがないんだ。指を詰めてもらいたいチンピラ・生きる事に必死なおばさん・そして戦争の疵により心を失っている青年、皆温もりを求めてさまよっている。仕事は休診でも心へ温もりを与える事には休みはない。ちょっと加味してこの点数。主演柳永二郎もいいが、確かにこの映画は女性陣の方が印象に残ります。今もあの農村のみんなは、同じ空・飛ぶ鳥を見上げているのかな。
[映画館(邦画)] 9点(2008-08-15 13:30:42)(良:2票)
57.  ニッポン無責任時代 《ネタバレ》 
日本の喜劇/ミュージカル映画史にその名を残す、役者植木の魅力が爆発の一本。普通ミュージカル映画の演者というのは観客に「突然唄い踊る」恥ずかしさを感じさせてはいけないし、「奥ゆかしさ」も美点となる邦画俳優には難しいものなのだ。ところが彼の演技は「彼はそんな人、無責任なんだ」という強烈な説得力で観客に有無を言わせない凄さがあった。特に冒頭、社長の家に乗り込み披露する「ドント節」(きたぁも~んだぁ!)は日本ミュージカル映画のベストパフォーマンスだと思う。ただこの後続く「無責任」シリーズの本質を突いていたのは次の「無責任野郎」までであって、後は下り坂になっていく。つまり当時の日本の高度成長期に溢れていた「国民総生産倍増的気概・滅私奉公・団結心」的感覚に対して真っ向から反抗する、人間の善意や団結心をトコトン無視するまさに「悪漢」(を植木のコミカルな演技で包む)がトップに登りつめる皮肉がこのシリーズのポイントである、と私は思うし、名作たる由縁だったのだが後の彼は単に「極端な個人主義を持つお調子者」(それはそれで面白いのだが)と化してしまっていた。という訳で私的シリーズの最高傑作はそんな無茶ぶりが溢れた「無責任野郎」なんだけど、歴史的意味を考慮してこの点数。
[映画館(邦画)] 9点(2008-05-11 13:40:23)(良:1票)
58.  ゾンビ/ダリオ・アルジェント監修版 《ネタバレ》 
初めて見た時はひたすら怖かった。二度目に見たときは妙に悲しかった。でこの前見たときは可笑しくて仕方がない(ヘリコプターは反則でしょ)、1本の映画にこんな多々な感情を覚えるのは珍しい。後の文化に凄いインパクトを与えたホラー映画の金字塔であるばかりか、映画そのものも消費文化へのアイロニー(物に囲まれ不自由のないはずなのに、「物を活用することのわからない」者達が蠢いている現実)を見せていて印象に残る。
[映画館(字幕)] 9点(2008-04-13 20:14:45)
59.  太陽がいっぱい 《ネタバレ》 
P・ハイスミスの原作のテーマが「自己の喪失」であるのでどちらかといえばリメイク版の「リプリー」の方が原作に近いしマット・デイモンの方が「才人トム・リプレイ」なのだろうと思う。だが作品を流れるそこはかとない哀愁(ニーノ・ロータのメロディ!)そして主演のドロンの名演によってこの作品はサスペンス映画のエバーグリーンとなった。はっきり言ってドロンは好きな俳優ではないのだがここではその「下種な」雰囲気が見事に「背伸びをした成り上がり感」をかもし出していて絶品。ここではヒロイン、マリー・ラフォレはおまけ。モーリス・ロネの方がよっぽど不思議な色気を出している。ヌーヴェル・バーグの若手監督達にさんざん虚仮にされたルネ・クレマンの怒りの一本!
[映画館(字幕)] 9点(2008-01-27 21:26:36)
60.  黄金の馬車
日本初公開の時にスクリーンで見てから何年かぶりに再見。一人の女性としての幸せを求めていたカミーラにとって「黄金の馬車」はそんな夢をかなえてくれた象徴だったのでしょう。だが夢は潰え、彼女は女優として舞台の幕下へと下がっていく。余韻の残る、素晴らしいラストシーンです。この映画もルノワールの「包み込むような」世界を堪能できる一本。
[映画館(字幕)] 9点(2008-01-27 19:54:02)
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