41. 舟を編む
《ネタバレ》 まず、「辞書編纂」をテーマにした作品というだけで興味をそそられました。 そして、その地味ながらも崇高ささえ感じる辞書編纂の作業、そして言葉というものの奥の深さを感じました。 もちろん、映画としても良くできていて、辞書完成までの長い時間の移り変わりを流行やファッション等でうまく表現していたり、辞書だけでなく主人公の成長もはさみ込みながらのストーリー展開といった工夫も効いていました。 [地上波(邦画)] 8点(2015-11-26 00:48:28) |
42. 花とアリス殺人事件
《ネタバレ》 前作から10年経過し、元のキャストでの実写化は厳しい訳ですから、アニメーションという表現手段の選択はありですね。 ただ、前作の実写ならではの幻想的でキラキラとした世界観は再現しきれていません。 しかしながら、脚本の巧さや前作ファンがニヤリとしていまうような仕掛けが目立つ仕上がりになっていて、さすが岩井監督と感服しました。 [映画館(邦画)] 8点(2015-11-03 12:15:17) |
43. アクト・オブ・キリング
《ネタバレ》 「虐殺」の当事者が自ら「虐殺」を演じる・・・まずその発想が驚きで、また、その発想を見事に映画作品としてまとめ上げた監督の力量に感服しました。 どんなに、(加害者側に)大義名分や正当な理由があっても、人の命を奪うという行為は、加害者・被害者関係なく大きな傷を負わされることになることを、この作品は教えてくれます。 湖や滝を背景にした幻想的な映像は、加害者たちが今まで続けていた現実逃避、そして彼らに対する贖罪を象徴しているように感じました。 [DVD(字幕)] 8点(2015-09-30 21:22:22) |
44. アジョシ
《ネタバレ》 ウォンビンが、任侠映画の高倉健のようにランボーを今風に演じたような作品 痛快ではあるのですが、表現のサディスティックなエグさは韓国映画ならではでしたね。 [地上波(字幕)] 8点(2015-09-13 23:05:03) |
45. 無人地帯
《ネタバレ》 3.11直後の福島第一原発付近の状況を記録した貴重な映像です。そして、それだけでは無く原発、放射能の危険性があまりにも喧伝されたがために、見捨てられたものがあったことを冷静に伝えていることは評価したいです。ただ、オーディオコメンタリーで監督が語っていましたが、現地で空き巣被害が相当数あったというような負の部分が、映像の美しさ、被災された人々の力強さに消されてしまっているのがちょっと残念でした。 [DVD(邦画)] 8点(2015-07-25 12:32:55) |
46. レッド・ファミリー
《ネタバレ》 考え方の違いがあっても、喧嘩ばかりでも、結局最後に残るのは「家族」の絆。この「家族」を「民族」と読み替えてこの作品を観ると、キム・ギドクの分断された朝鮮半島情勢への深い思いが伝わってきます。 終盤の、「偽家族」を拘束するために針金を手に貫通させるシーンは、非常に痛々しいですが、その痛みを分かち合い一つに結ばれたことが彼らを本当の家族に昇華させたように感じましたね。そこには、民族を分断している鉄条網を引きちぎって、多少の痛みは伴うかもしれないが互いに強くつながり合おう!というメッセージが込められてるのではないかというのはちょっと考えすぎですかね・・・・。 ラストはやや非現実的ではありますが、同じ民族同士の対立を若い世代(孫世代)まで引きずらないで、もういい加減終わらせましょうよということなんでしょうね。 全体的に粗さがやや目立ちますが、設定が非常に興味深いこともあり、最後まで引き込まれた作品でした。 [DVD(吹替)] 8点(2015-06-08 01:01:19)(良:1票) |
47. ばしゃ馬さんとビッグマウス
《ネタバレ》 吉田恵輔監督は、「平成の川島雄三」と呼べるところまで来ているかもしれません。軽妙なタッチでありながら、人間観察の鋭さ、シニカルさが冴え渡っており、でも、そこはかとなく漂う温かさ・・・・。今後も注目していきたい監督です。それにしても、見ていて「痛く」なる映画でした・・・・ [DVD(邦画)] 8点(2015-02-22 23:36:52) |
48. フルートベール駅で
《ネタバレ》 差別という人類が抱える闇の深さにいろいろと考えさせられました。 差別の恐ろしいところは、ある種のレッテルを貼ってその人たちを見てしまい、この映画で描かれているような普通の人間としての姿が見えなくなってしまうことです。 恐らく、主人公を射殺した警官も、彼を「何をしてくるかわからない危険な犯罪者」、「彼らは社会を脅かす危険な存在で排除しなければならない」としか見ていなかったのでしょう。 まあ、そういう考えに至らせるような行為を実際にしてしまう輩もいないことはないのでしょうが・・・・・ とても難しい問題です。 [DVD(字幕)] 8点(2015-02-01 23:22:55) |
49. SHAME -シェイム-
《ネタバレ》 本編につながる「もう一つの物語」への想像を喚起させられる映画でした。 ミヒャエル・ファスベンダーとキャリー・マリガン演じる兄妹が抱える強烈なトラウマの要因、それが何なのか・・・・。 作品のところどころに監督からの「ヒントらしきもの」が隠されていますが、そこにそのまま誘導されてしまうと己の下世話な一面、まさに「SHAME」な部分と対峙しなければならなくなる・・・という、ある意味恐ろしい映画です。 [DVD(吹替)] 8点(2015-01-24 11:14:06) |
50. 地獄でなぜ悪い
《ネタバレ》 ジョン・ウォーターズが『セシル・B ザ・シネマ・ウォーズ』でインディーズ魂やカルトムービー愛を炸裂させたが、我が日本にも園子温がいた! 細かいことは抜きにして、ここまでのエネルギーに満ちた、センス溢れる爆発的な映画を作る園子温監督の映画愛には、思わず感服いたしました。 [DVD(邦画)] 8点(2014-08-31 00:41:02) |
51. 奇跡(2011)
《ネタバレ》 子供の持つ「力」の凄さを教えてくれる作品 九州新幹線開通にあたっての企画物映画ではありますが、宣伝色を感じさせないドラマを作りつつ、九州の魅力を映し出しているのはさすが是枝監督という感じです。 [地上波(邦画)] 8点(2014-06-07 00:35:18) |
52. 探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点
《ネタバレ》 昭和のテイストと北海道札幌の風景が見事に調和していて心地良かったです 松田龍平も父親の雰囲気を残していて作品にマッチしていて良いですね。 ストーリー的には1作目よりもいろいろと考えさせられる展開でしたね。人間の負の感情の深さ、「弱い者がさらに弱い者を叩く」という現実のやりきれなさが印象的でした。 [DVD(邦画)] 8点(2014-04-13 23:47:07) |
53. 武士の家計簿
《ネタバレ》 今見ると、堺雅人が「半沢直樹」に見えて仕方ありませんが、藩政に於いて財政運営の重要度が高い時代の武士の姿を描いていて非常に興味深かったです。フィクションの部分も多分にあるのでしょうが、何となく現代に通じる要素もありましたね。 [地上波(邦画)] 8点(2014-01-05 11:26:11) |
54. 天使の分け前
《ネタバレ》 表面的なストーリーはハートフルなんですけど、結局は主人公たちのような労働者階級の人間は、人並み外れた才能と宝くじに当たるくらいの運がなければ「負の連鎖」が渦巻くコミュニティから中々抜け出せないというイギリス社会の問題点が背景に隠されていて、さすがケン・ローチだなと思いましたね。 この作品の本当の主役は、実は主人公のロビーではなく彼を取り巻く人々の方ではないですかね。で、ロビーのサクセスストーリーもどこか違和感を伴うものとなっていて、その違和感が何なのかを我々に考えさせることがケン・ローチ監督がこの作品を作った狙いなんじゃないかと思ってしまいました。 まあ、やり切れないラストよりも一応ハッピーなラストの方が好きですけどね。 [DVD(字幕)] 8点(2013-12-23 23:59:29)(良:1票) |
55. 穏やかな暮らし
《ネタバレ》 最初から最後まで緊張感溢れるサスペンス映画でした。裏社会の掟から逃れるために何もかも捨てた男に襲い掛かる悲劇はやるせないとしか言いようがありませんでした。 主人公役を演じたトニ・セルヴィッロの熱演が印象に残りました。 [映画館(字幕)] 8点(2013-11-09 08:15:30) |
56. サブマリン(2010)
《ネタバレ》 一昔前のイギリス映画の雰囲気が懐かしさを感じさせ、ところどころに散りばめられたセンスの良さとユーモアが非常に心地よい作品でした。なんと言うか、主人公とほぼ育った時代が同じなので、自分の15歳の頃の考えとか行動と相通じるものもあってとても共感できる内容でしたね。あの80年代の胡散臭い部分も映し出されているのも良かったです。 [映画館(字幕)] 8点(2013-11-02 09:22:09) |
57. 311
《ネタバレ》 遺体の撮影、原発周辺取材の頓挫等々お粗末な面も不謹慎な面も確かありましたが、そんな粗さを吹き飛ばすほどの圧倒的な映像でした。確かに配慮は必要かもしれませんが、やはり事実を事実として伝えることは誰かがやらねばならないことだと思います。 しかし、大川小学校の取材シーンで地震後津波が迫ってきているのにも関わらず、児童たちの点呼が終わるまで迎えに来た親を待たせていたという事実は身震いがしましたね・・・・・。 [DVD(邦画)] 8点(2013-09-28 10:01:18) |
58. オレンジと太陽
《ネタバレ》 非常に衝撃的な内容でした。国家の施策によって弱き者が利用され放置された現実、そしてその事実を隠蔽し過ちを認めることを渋り、逆にその事実の追求を妨害する(もしくは妨害させるような流れを作る)権力の姿を淡々としたタッチで、しかし力強く描き出しています。 「児童移民」が最後に行われたのが70年代という事実に衝撃を受けましたね。主人公の熱意と勇気に感服しました。 [DVD(字幕)] 8点(2013-07-06 08:45:28) |
59. ル・アーヴルの靴みがき
《ネタバレ》 なんというか、昭和の日本の人情喜劇映画を思わせるような作品で、人情味あふれる街の人々の姿やラストの桜の花等非常に日本人の心の琴線に触れる要素が満載でしたね。 しかしながら、移民問題という現代社会が抱えている非常に難しいテーマに対して、カウリスマキがこのようなアプローチで作品を作った意味として、先進国(だけではないですが)各国で不寛容で内向きな考え方が蔓延してきている厳しい現状に対する問題提起も含まれているのかなと感じる部分もあって、いろいろ考えさせられますね。 まあ、オープニングからいろいろな仕掛けが満載で、カウリスマキファンとしてはストーリー以外の面でも楽しめる作品となっています。 [DVD(吹替)] 8点(2013-06-24 00:42:25) |
60. 最強のふたり
《ネタバレ》 お互いを尊重し、受け入れられるものは受け入れる、多少の過ちも反省の心があれば許してあげる・・・というような「寛容と受容」という理想がおとぎ話ではなく現実に起こっているという事実こそが、この映画の最大の魅力であると思います。 ただ、この2人の物語に多くの人が心を動かされたということは、逆に現実では中々起こりえないということでもあります。この作品の中でも、ところどころに移民問題が深刻な社会問題となっているフランスの実情も描かれています。 しかしながら、そういった状況の中でも共生は決して不可能ではないのだということを、ユーモアを交えながら伝えてくれるこの映画を私は評価したいです。 [DVD(吹替)] 8点(2013-06-08 00:23:56) |