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41.  エリン・ブロコビッチ 《ネタバレ》 
自分勝手で子供を抱えつつバツ2のダメな女性が、ひょんなことから弁護士事務所で働き始め、巨大企業相手に公害の賠償金を勝ち取るまでを描くサクセスストーリー。気軽に安心して見ていられるタイプの映画。  ■シングルマザーの子育ての問題と、公害訴訟の問題、二つを抱えて奔走していた姿は分かるが、全体が広く浅くなってしまっている印象。恐らく最も力を入れたのは「住民との親密なコミュニケーションにより、信頼を勝ち取ること」の部分なんだろうから、そこ(特に困難)をもっと描いた方がよかったように思う。  ■ラストも、もともとこの訴訟で重要だったのは「500万ドル」という金額じゃなくて、企業に非を認めさせてきっちりと責任を取らせることだったはずなんだから、あの終わり方は何かしっくりこない。  ■でものんびり見る分には楽しめると思います。ジュリア・ロバーツが鼻につく人もいるかもしれませんが・・・
[DVD(吹替)] 8点(2012-10-04 23:12:23)(良:1票)
42.  ザ・ペスト 《ネタバレ》 
これはすごい。いかにもチープなタイトルだがここでの高評価を信じて鑑賞。期待を裏切らない高密度な内容で、3時間全く飽きなかった。  ■謎の伝染病による患者が運び込まれる。調べてみると、過去の病気だと思われていたペストである可能性が強まる。信じがたいが、二件目の患者が発生する。だがパニックや都市機能低下を恐れて政治の側では大胆な封鎖措置に踏み切れない。そうこうしているうちに感染は一気に広がる。  ■しかしやはりケルンの街が隔離政策によって死に絶えていく描写が一番すさまじい。逃げ出す人々は平然と軍隊が撃ち殺す。主要登場人物も容赦なくペストにかかって死んでいく。  ■劇的なドラマがあるという感じではない。淡々と病気が広がっていく。しかしそれはかなりリアルな感じであり、そこに強い緊迫感が生まれているのだろう。傑作
[DVD(字幕)] 10点(2012-07-01 00:36:38)
43.  ナイト・ウルフ 武装襲撃 《ネタバレ》 
超マイナーな作品だがなかなかどうして拾いもの。適当なハリウッド映画なんかよりもよほどリアルでよくできている。  ■チェチェンのテロリストがテレビ局を占拠する、というありがちなテロリストものだが、ヒーローがいるというわけでもなく、警察の対応は後手後手で終始裏目に出る。でも実際の事件はこんななんだろうな、とは思うけど。  ■後半は怒涛の展開で、徹底して先回りしていく犯人、そしてどんでん返しに銃撃戦と急展開する。ものすごくコンパクトな映画。  ■しかしタイトルやパッケージの売り文句は全然違うよねえと思う。あれに惑わされないように
[DVD(字幕)] 9点(2012-06-27 22:39:42)
44.  ディア・ドクター 《ネタバレ》 
「その嘘は、罪ですか。」が内容を言い表している。過疎地の無医村における偽医者、その嘘を皆で真実にしつつ、土壇場になったら手のひらを返す村人たち。偽物であり、自分とは関わりのないことだと言い張りつつも、全否定はせずにどこかでその意義を皆が認めている。そうしたギリギリの難しい問題をこの映画ではまさに投げかける。  ■なぜ釣瓶が偽医者になろうと思ったか。当人は「撃たれたから返し、を繰り返していただけ」と瑛太に語り、香川照之はわざと倒れそうになって警官が手を差し伸べたところに「なぜあなたは手を差し伸べたのか。自分を愛しているからではないですよね。それと同じだ」という。最初の動機は楽な金もうけも多少はあったのかもしれないが、来てみると全く違ったのであろう。そこは最終的には観る者に投げられたままだ。  ■八千代薫、井川遥母子の関係は非常にうまい。全体として皆素晴らしい中でこの二人の演技は際立っている。井川が泣くのをこらえるシーンは名演。
[DVD(邦画)] 9点(2012-05-05 00:49:14)
45.  ニューオーリンズ・トライアル 《ネタバレ》 
最後まで金のためだと思っていた・・・陪審をテーマにした映画は多いが、陪審員と弁護士の駆け引きというのは珍しい。弁護士がじわじわと陪審員を追い詰めていく感じはまさに鬼のよう。トイレでのジーン・ハックマンとダスティン・ホフマンの議論シーンは圧巻。
[DVD(字幕)] 9点(2012-03-13 00:28:46)
46.  殺人の追憶 《ネタバレ》 
犯人が捕まらないことが分かっていながらこの面白さ! 個人的には、ラストのDNA鑑定より、証人が電車に轢かれるシーンの方が印象深いです。取り返しのつかなさとかそういう点で。ただ、どちらにしろ顔写真を突きつけて「コイツか?」では証拠としてはダメだと思いますが。
[DVD(吹替)] 9点(2012-03-13 00:27:44)
47.  法王の銀行家 《ネタバレ》 
扱っているテーマはなかなか重たい上に反対も多く起きそうなものでいいセンスしてるのだが、しかし「夜よ、こんにちは」でも感じたように実話ベースのイタリア映画ってラストに事件を持ってくるからなんかラストに向かうまでがだらけてしまうというか。結構サスペンタフルなことが起きているはずなのだが、展開にあまり起伏を感じられず、乗りこめなかった。残念。
[DVD(字幕)] 4点(2012-03-12 00:11:17)
48.  ブラディ・サンデー 《ネタバレ》 
■淡々と、しかしきちんと事件までに道のりをデモ隊・軍両方の立場から描いていく。偶然が絡み合い、悲劇が起こる。手ぶれカメラが臨場感を高め、実際に虐殺の現場にいるような感覚を引き起こす。  ■ただ、後日談で軍のことしか書いていなかったが、IRA側があの後どういう行動に出たのかはテロップでいいから流してほしかったなぁ。公平を期すという意味でも。  ■あと、この映画で流された「真実」が、どういう人の情報に基づいて作られているのかも気になった。おそらく(本篇にあった通りで)イギリス軍の公式発表とは異なるものなのだろうが、これが歴史家の定説ならいいけど、実際のところ何が起きたのかがわからない状況だったらこれを安易に信ずるのは、イギリス軍の発表を安易に信ずるのと同様に危ないのかもなぁ、と思ったり。
[DVD(字幕)] 5点(2012-03-12 00:10:57)
49.  幻影師アイゼンハイム 《ネタバレ》 
■ラストが近付くにつれて予感はされたが、最後の落ちは思ったよりもうまくかかってしまった。 落ちを知ってから考えると、「こんなにうまくいくか!?」だが、ある意味「これもあり」な気もする。マジシャンってそういう綱渡りを成功させるものでもあるし。  ■映像と音楽の雰囲気は良かったので、わりと見ていて気分はよかった。  ■マジックのシーンがもろCGなのはどうかと思うけど。もう少し古典的なマジックに出来なかったのかなぁ。  ■この展開だとさすがに皇太子がかわいそう。まあもとからソフィーは嫌がってたようだというのがせめてもの救いか。  ■警部の心理がよくわからない。ここはもっと描くべきだと思う。相当キーパーソンなんだし。  ■別にこの映画はアイゼンハイムの行動を善として描いているのかはきわどい気がする。一歩引いて見ると結構この映画は面白いような。
[DVD(字幕)] 7点(2012-03-11 13:37:18)(良:1票)
50.  キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン 《ネタバレ》 
スピルバーグ監督ということもあり、エンタメとして見ればすっきり楽しめる。ただそれ以上の深みという点で言うとそこまでは押しこめないかなー、という印象だった。  ■「実話」ということで、明らかにとんでもない展開(どこまで実話なんだろうか?)の正当化になっているのは、まあエンタメだし見逃してもいいんじゃないかな。医者になり済ますのとかはさすがにやり過ぎ感あるが。でも司法試験受かるだけの実力もあるし、陰でビデオ見ながら相当勉強しているシーンもあるから、結構努力したのかも。  ■家族とかドラマ的な側面は、やっぱりトム・ハンクスやクリストファー・ウォーケンの演技の「深み」と比べると、このころのディカプリオはまだ甘いマスクで持っていくだけで、厳しいけど「心の深み」みたいな部分はあまりうまく描かれてない(演じきれてない)印象。脚本としても逃げ回ったり好き勝手やったりするシーンが多くて、家族の差し込み方としては弱い。父親の死を聞いた後で悲しんでいるようにして飛行機から逃げるのは、目的があれであっても「父親の死を悲しんでるふりをして逃げるのに利用した」と見られても仕方がない感じだし。  ■結局、一人の人間の波乱万丈さを140分で描こうとしたので、ここのエピソードが詰め込まれすぎて単発で終わってしまった印象なのかなー、一つ一つはすごく面白いのに。とはいえ楽しめたからこの点数
[DVD(字幕)] 7点(2012-03-10 00:31:35)
51.  シークレット・サンシャイン 《ネタバレ》 
重く、救いのない内容。救いを与えるべきものがその救いの道を紡ぎ取ってしまっているという何とも皮肉な展開。  前半の誘拐事件はあっさりと終結、悲しさを決して表に見せないが、しかしもっとも苦しんでいるシネの救いを求め宗教に進むところから中盤が始まる。神の救いを感じ、安らかになる。だが、犯人と面会し、すでに神に許されて心が安らかだと言われ、神に裏切られた境地に陥る。ここから、神への復讐の後半へと突き進む。不貞、自傷行為、投石。教会で机をたたくシーンは別の意味での「悟り」さえ感じる。  救いを与えるもの(神)は結局すべてのものに赦しを与えてしまうがゆえに、自分のために特別な施しをしてくれるわけではない。救いというのは与えられるものではなく自力で見つけ出すものだ。「赦しを与える」こと自体が、すでに人を貶めて自分を救済しようという発想の表れなのであろう。  展開については、全体として中だるみしている感が強かった。そこに減点したが、難しいテーマによく取り組んでいたと思う
[DVD(字幕)] 6点(2012-03-10 00:30:34)(良:1票)
52.  時をかける少女(2006) 《ネタバレ》 
■甘酸っぱくほんわりした良作。誰もが憧れるタイムリープを使える少女を軸にした青春ラブストーリーな感じ。純情そうでいて十代も相当屈折してるものだよ、告白を取り消すあたりとか。経験はないけどわかる気はした。  ■タイムトラベルものとしては「バタフライエフェクト」に近い感じ。決して単純にハッピーとはいかず、回避した分だけ誰かが被害に会うというあたりとか。あと、タイムリープするたびに少女が体を痛めつけるところも、タイムリープを安易なものにしていなくていい。  ■中盤がややだれ気味なのとあんまりうまくまとまっていないのとがあるのだが、「お前タイムリープしてるだろ」からラストへの展開はおおと思わされた。でもあの絵にそこまで価値あったのかなぁ。。。  ■ラストの「未来で待ってる」は、普通に「時間がたてば若いチアキと年を重ねたマコトとで出会える」という意味じゃないのかな。だから正確には待つのはマコトだけだけど、代わりにチアキは年を重ねたマコトでもなお好きだ、そういうことじゃないのかな。
[地上波(邦画)] 9点(2012-03-10 00:25:53)(笑:1票)
53.  ノー・マンズ・ランド(2001) 《ネタバレ》 
こういう戦争映画は今までなかった。徹底して(直接描写せずとも)残酷な戦闘シーンを描くか、あるいは徹底してコメディ化して皮肉るか、が戦争映画のセオリーだった。 だがこれは違う。ある意味で戦場の凡庸な日常と凡庸な生が描かれている。戦闘シーンと言えそうなのはオープニングだけ。あとは3人の兵士を取り囲んで時が過ぎていく。だがそこで描かれたものは重い。敵対しあう必要のない者同士で敵対しあい、最後には死んでいく。そして結局無力な国連軍と、結局金のためにひっかきまわすマスコミと。最後に一人地雷を背に残された男はいったい何を思っているのだろうか。あまりにも不条理にすべてから見捨てられた男、だがこれこそが戦争なのだろう。
[DVD(字幕)] 8点(2012-03-10 00:23:02)(良:1票)
54.  鬼が来た! 《ネタバレ》 
難しい作品。とりあえず単純な「日本人として恥ずかしい」型の感想は論外ではあるが、評価はさまざまな情報を加味しないと行けなくて難しい。  ■とりあえず単純な反日映画ではないだろう。確かに全体としてのバイアス(特に「中国人の善良性」についてはなかなか怪しい)はあるが、それはそもそもあの国で戦争映画を作ろうと思ったら中国政府に肩入れするようにしか出来ない状況にある(本作でさえ「日本人に優しすぎる」と上映禁止らしいし)ことを加味すれば、まあ仕方がない側面は多分にあると思う。  ■他国の人が見てどう思うかだが、戦争映画でそんなに「何人か」って見てて気にするのかはわからないところ。似たような映画だと例えば「コーカサスの虜」を見てロシアが嫌いになるかとか、そういう感じの問題じゃないのかな。  ■ちなみに敵前逃亡ってどこの国の軍でも厳しく罰しているものだから、あれは日本だけではないと思う。  ■個人的には、マーのラスト直前での行動があまりに突発的なので、そこをもう少し自然な感じでつなぎ合わせた方がいいと思った。あれだと本当にただ気がふれただけだし。  ■あと、あまり注目されていない気がするが、トンの処刑は意外と重要だと思う。マーは曲がりなりにも殺人者なわけで殺されてしかるべきともいえるのに、その処刑には自らの手を汚したがらない。他方でトンはあの状況下ではどうしようもない展開をたどり、最後には処刑されるのだが、それは躊躇せず中国軍で処刑する。そして二人とも笑顔で死ぬ。。。  ■何人かの方が触れているように、本作では「権力」「上下構造」が虐殺・殺人を招くというのがメッセージに含まれているだろう。だがその上で言うと、それだけでは実際にはなかなか殺人というものは起きず(人間は罪を犯したくないもの)、引き金になるのは「透明性(誰が殺したかわからない、死んでも自分のせいではない)」である。その意味で、虐殺の引き金となる花屋の刺殺もマーの殺人も「顔の見える状態での殺人」であり、現実の戦場とは違うなぁと思ったり思わなかったり。
[DVD(字幕)] 10点(2012-03-10 00:21:43)
55.  エグザム 《ネタバレ》 
ワンシチュエーションものは「CUBE」「SAW」などに追従していろいろと出てきているが、本作はかなりレベルの高い部類の属すると思う。決してグロ描写等に訴えて逃げるのではなく、徹底して知能戦を繰り広げるのは好感。  ■最初の感じは「SAW」に近いのかと思わされたが、むしろ「CUBE」に近い印象(いる人間の本性が徐々に明らかになってくる感じなど)を受けた。仕掛け自体は引っかけクイズレベルだが、それを包み隠す雰囲気がうまく、きちんと引っかかってしまった。  ■個人的には、最初に動きだした男の読み「残りのものを失格にすればよい」だと思ったのだが、違ったのね。あのタイマーはきっと何か仕掛けられる(ドラマ「ライアーゲーム」の最初の一億円争奪戦で似たようなのがあったし)とは思ったけど。  ■ただ、最後の撃つ展開は無駄な気がした。あそこで一気に非現実的技術の印象を受けてしまったし。収束はもう少しうまくやれた感じ。その辺が少し心残り。
[DVD(字幕)] 7点(2012-03-10 00:21:11)(良:1票)
56.  ブラックブック 《ネタバレ》 
2006年度ベストだろうと勝手に予測してレンタル開始初日に借りてみてみたが、なるほど面白い。  ■通常の「ナチス=悪」「レジスタンス=正義」の単純な二項対立の構図を壊して、ナチスの側も意外と人間的に描いており、逆にレジスタンス側の分裂やゴタゴタも描いている。特にナチス撤退後の「売国奴探し」における、ナチス以上ともいえる徹底したリンチや吊るし上げは、よく描いたな、と思わせられる。  ■こういう映画を評するときに「ハラハラドキドキ」などとは使いたくない。そうした安っぽい表現で形容したくないような緊迫。適当なアクションやサスペンス映画とは違い、本当に命がけでギリギリの戦いであるから。戦争や時代背景も、そうした緊迫さと、全編通して流れている陰鬱さに拍車をかける。  ■この映画を見て思ったのは、やたらと生理的嫌悪感をもたらすシーンが多いことである。この監督の作品が初めてということもあるのかもしれないが、毛染めや嘔吐のシーン、トイレでの描写、ベッドシーンでもないのにやたらと裸になることの多さ、そして服を脱がせた女を散々殴りつけた挙句、動けないところに糞尿を大量にかけるという鬼畜としか思えない行動。そしてそれらがあまりにも直接的に描かれている。ただこうした描写も、ハリウッドが描いてこなかったものとして、一定の理解はできる。ただ個人的にはやりすぎの感が否めない  ■個人的にいちばん引っかかっているのは、功利主義的決断にまつわる問題である。つまり、今相手を殺さないかぎり捕虜は殺されるが、殺したならば報復として大量の市民が殺される。そしてどちらかを選択しなければならない。人数の問題ならば容易に決断できるだろうが、人間はなかなかそうはできない。 そしてこうした問題が実はこの映画でもう1回出てくる。それはナチス撤退後のオランダで、人々が売国奴を見せしめとして動物のごとく扱ったり、あるいは女性を丸坊主にしたり、というところである。こうした行動は確かにひどいものだが、そうした行動を取る事で人々の不満を解消し、全員の殺害を防ぐというメリットはある。つまり、一部を犠牲にすることで全体の犠牲を防ぐということである。このジレンマは容易には解消できない。
[DVD(字幕)] 8点(2012-03-10 00:19:04)
57.  疾走 《ネタバレ》 
■ズシリと心に来る重い内容。SABU監督の、これまでの軽いイメージを覆す作だと思う。  ■最初からこれでもかとばかりに「不条理」と「人間の負の面」が描かれていく。序盤、校則より好き嫌いを優先し、シュウジの選任に「嫌だから」反対票を投じるエリは、まさに「社会で生きていくため」に我々が普段封殺している「負の心」だろう。その意味で、エリは一見ひねくれているようだが、それは道徳とか社会通念とか規則とかを突き抜けているからであって、実はきわめて自分の心に正直なのだ。  ■街における差別、犯罪者の親類への差別。それは学校や親から「してはいけないこと」として習い、いつの間にかそう刷り込まれていくものだが、しかし本来的な心情としては「なんか嫌だ」「お前も殺人犯の仲間だ」という思いは消せない。それを露骨に表すのが、被差別地域に放火し、神父を興味本位で見に行くシュウイチだ。  ■やがてシュウジの家庭はバラバラになる。神父の弟に「お前は俺と一緒だ」と言われ、逃げ出すようにしてアカネのもとへ向かう。この「一緒だ」というのは、己の負の感情に耐えきれずに、それを外側(他の人)に発露させてしまうということを表しているのだろう。  ■追いつめられていたシュウジは、性行為や飲酒など、半ば自暴自棄に自らが悪に転落することでその抜け道を探そうとするが、結局殺人へと至る。そして東京で人を刺し、地元で来た警察にナイフを持って走っていき、撃たれて死ぬ。  ■ここがエリとの差異で、エリは自分の負の感情を自分の中に最後まで閉じ込め続ける。彼女は周りに何かをするでもなく、ただ自分のうちに閉じこもり、それを終わらせようとする。「殺して下さい」が「殺す/殺される」の非対称な関係にあるのに対し、シュウジに「一緒に生きる」が相互対象な関係にあるのも、自分の負の面を自分に押しとどめるか外に出すかの差だ。そしてそれは神父もまたそう。彼も自らの負の面を自らの中にとどめている。「神父/弟」「エリ/シュウジ」というセットがあると解釈すると、ここは見通しがよくなる。
[DVD(邦画)] 8点(2012-03-09 00:23:38)
58.  シティ・オブ・ゴッド 《ネタバレ》 
衝撃的な映画。ドキュメンタリータッチと斬新なカット、複数の人物を時間軸を前後させながら次々に描いていき重ね合わせる巧妙な脚本が光る。  ■ともかく片端から人が死んでいく。それもごく日常的に、というのにまず驚かされる。子供が「うざいから」といって人を殺していく光景は私たち日本人には信じられない。  ■だが他方、「店員さんが可愛くて銃を突き付けられなかった」と言ってしまう主人公、誘われるままに初体験に行ってしまう主人公、ある意味でこれが激しいこの街には生きていけないだろう私達を代弁しているんだろうなあ。この街では相当浮いた存在なんだろうな。しかしこれがラストで実話だとわかり二重の衝撃
[DVD(字幕)] 8点(2012-03-09 00:22:26)
59.  運命を分けたザイル 《ネタバレ》 
つい1週間前に冬山に登ってきて、今回は暖冬で暖かく、割合楽な行程だったけど、そういったことを少しでも知ってるとこれがいかに大変だか分かる。去年の八ヶ岳は寒かったけど、それもー25度とかだから、-60度ったらとんでもない寒さだと。指が動かないってのも、実際アイゼンがつけれなかったからよくわかる。
[DVD(吹替)] 8点(2012-03-09 00:21:44)
60.  月に囚われた男 《ネタバレ》 
アイデア勝負に成功しているSF映画。登場人物わずか一人(!)というコンパクトな出来。短編ながら印象的なシーンも多く、予想以上の面白さだった。  ■最初から使い捨てられている運命。ニセの記憶。自分があの状況に置かれたら一体どう思うだろうか・・・・・・人間が道具として使い捨てられていく場の恐怖を思い知らされた。  ■しかし、最後の救いのある株価云々以降の話は蛇足だなぁ、と思った。ああいうのはわざわざ言わずにハッピーエンドを想起させておくのが粋というものじゃないかなぁ。
[DVD(字幕)] 10点(2012-03-09 00:17:27)(良:1票)
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