41. 8 Mile
《ネタバレ》 良くあるサクセスストーリー物なのですが、単にスターダムをのし上がる話ではなく、あくまで冒頭で示される白人エミネムにとっての最大の敵、パパ・ドクをラップバトルで倒すまでに絞っている点が他の詰まらないアイドル映画と違う所ですね。またホワイトトラッシュらしい貧困生活や黒人が主流(なんですよね?映画の描写的に)のヒップホップカルチャーで疎外感を抱いている描写などから、真剣に劇中のエミネムを応援したくなりました。エンドクレジットの「Lose Yourself」の歌詞も相まって結構泣けました。あとエミネムは演技に関しては素人だろうにも関わらず、画面内で非常に様になっていて素晴らしかった。勿論、そう見えるように監督が腐心している箇所は所々にありましたが、それでもあの画面を支配する存在感はすごいと思いますね。只のアイドル映画だったら絶対浮きますもん。 [DVD(字幕)] 8点(2012-02-25 22:32:52) |
42. 40歳の童貞男
《ネタバレ》 映画に出てくる全てのキャラが光っている。これだけの上映時間内にコメディを入れつつも一人ひとりのキャラクターを立たせる手腕には驚きました。ただアラブ系の従業員との絡みやセフレが欲しい店長さんなんかは別にいらない気もしましたが……(しかし「ヤギとヤれ!」には大爆笑してしまった。アラブならではというか)。主人公が40歳でも童貞であることを安直にバカにしないで、彼が真に大人に成長する試練としてセックスを描いている辺りが、非常に丁寧な作品だと思いましたね。アメリカ特有の下品なギャグが苦手な人にはキツいでしょうが。 [DVD(字幕)] 8点(2012-01-22 14:40:32) |
43. ウォー・ダンス
《ネタバレ》 どんなに酷い状況でも音楽と踊りだけは人間から搾取できないという明確かつ強力なメッセージが心を打ちます。少年少女たちは体験談から考えるととても笑って演奏なんかできないんじゃないかと思えるのですが(自分を守った両親の生首を見せられた女の子の話が特に衝撃的だった)、彼らはダンスコンクール当日に精一杯笑って演奏する。しかも彼らは紛争の多い北部の出身というだけで白い眼で見られているにもかかわらずにです。やっぱり映画、踊り、音楽を含む芸術の力って素晴らしいものなんだなーとつくづく思えます。 [映画館(字幕)] 8点(2011-11-05 22:14:04) |
44. ファインディング・ニモ
《ネタバレ》 オヤジと子どもの成長を同時進行に描くという離れ業を見事に見せつけられた気がします。キャラクターの愛らしさはピクサーで一番好きですかねー。ドリーを見て最初は「なんだこのイカれた魚は」と思っていたのが、終盤には愛すべき登場人物となっている辺に脚本の妙を感じます。あと個人的にこの映画はピクサー映画の中でも小ネタに凝っていて好きですねー。ヒッチコックの「サイコ」「鳥」のオマージュや、スパイ映画さながらの水槽からの脱出劇、AA(アルコホーリクス・アノニマス)みたいな鮫達の会合なんかは腹抱えて笑いました。 [DVD(字幕)] 8点(2011-10-10 23:33:03) |
45. 愛しのローズマリー
《ネタバレ》 くだらないコメディかと思いきや、キチンと笑えて最後には感動させるところが、いつものファレリ兄弟。本作は美しさと醜さについてですね。ややローズマリーが痩せること、つまり自分の見た目を良くしようと全く思っていない点が気になりましたが、それに目をつぶれば上質なラブ・コメディだと思います。 [DVD(字幕)] 8点(2011-10-08 23:49:53) |
46. オールド・ボーイ(2003)
《ネタバレ》 それまでの暴力描写の衝撃などすっ飛んでしまうような、エヴァーグリーンの監禁の真意。もう人が考えられ得る中で最悪の状況の一つですよね、実は娘と愛し合っていたなんて。殆ど気が触れてしまった様な、チェ・ミンシクの怪物演技は言わずもがな。やや場面展開の仕方が変に凝っていて自分好みでなかったので点数を下げていますが、そんな一般的な好き嫌いを抜いたら間違いなく完璧だと思います。 [DVD(字幕)] 8点(2011-08-21 17:52:03)(良:1票) |
47. エレクション
《ネタバレ》 香港ノワールとしては最高水準の作品の一つだと思います。ホント短めの香港版ゴッドファーザーと言っていい位の貫録を感じてしまった。特に終盤でのノワールを最大限に活かした殺人シーンは特筆すべきものがあります。あの演出なんてどーやって思いつくんだろう。あと誰もが言うであろう、長回しの頭カチ割りシーン。子どもが見ている前で殺しを躊躇なく行うロク。その後の「帰るぞ」の一言が普段のキャラクターとのギャップもあり怖すぎる。やっぱり周りに善良だと思わせてる奴が一番危ないってことでしょうか。 [映画館(字幕)] 8点(2010-12-17 01:36:48) |
48. ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い
《ネタバレ》 まず面白かったのは劇場内の雰囲気!シネコン等では公開されていない為、比較的コアな映画ファンが集まっていたのでしょうか、劇場内でギャグが出る度にゲラゲラ笑いながら観れるノリは非常に楽しかった。映画自体も物語のキモである、「花ムコはどこいった!?」を最後までギャグを入れつつも飽きさせずに見せてくれたので大満足です。他に詳しい点を書くと、映画の編集と演出の上手さが抜群でした。映画の初めに砂漠のど真ん中からのフィルの電話で、彼ら4人が揃っているのが映される。それで観客はこのシーンに至るまでに4人は合流できるのだな、と思っていると実はダグは黒人のダグだった(笑)という編集と演出は上手い。警察署で3人がスタンガンを食らわされるシーンでも、スローモーションの使い方分かってますね、滅茶苦茶笑ってしまいました。カジノでのご都合展開には少しオイオイとなりましたが、それに目をつぶれば上質な(但し下品な)コメディだったと思います。何よりバカ男4人の会話がいかにも本物っぽい!男同士ってホントにあれ位バカで下品な会話しちゃいます。 [映画館(字幕)] 8点(2010-07-11 23:11:27)(良:2票) |
49. プリンセスと魔法のキス
今までのディズニーとは一味違う現代的なプリンセスムービー。今度のプリンセスは受動的に王子に見初められ、最後には結ばれて終わったりしません。そもそもヒロインはプリンセスという身分に全く興味が無く、自分の夢を叶える為に一日中働いている女の子。そして王子は身分故に好き勝手に色々な女を抱きまくっている人間のクズ。この価値観が正反対の二人が、最後に"人生で最も必要な物は何か"という問いに同じ答えを導く展開には、恥ずかしながら涙してしまいました。 ジャズ好きな私としては、全編にわたりニューオリンズ発祥のジャズのスコアが使われていたのが嬉しかったです。 [映画館(字幕)] 8点(2010-04-01 19:10:47) |
50. ハート・ロッカー
明確な悪を描かず、エンターテイメント性の高い作品に仕上がっている所に、キャスリン・ビグロー監督の真摯な映画作りへの姿勢が表れていると感じました。元夫のジェームズ・キャメロン監督のアバターは、人間を単なる悪としてしか描いていなかった点から、アカデミー作品賞をハート・ロッカーに奪われてしまった事は必然であったと思います。 [映画館(字幕)] 8点(2010-03-30 22:31:46)(良:1票) |
51. ニンジャ・アサシン
《ネタバレ》 ジェームズ・マクティーグ、ウォシャウスキー兄弟というハリウッド界のオタク代表が作った、完全に趣味先行のアホアホ残虐アクション映画です。「今の世の中に忍者がいたら面白くね?」というアホ丸出しのアイデアから作られたのでしょう。全編に渡るヒドい展開(忍者の主人公が色々あって忍者の里を滅ぼすだけ)に爆笑してしまいました。 その他にも、「忍者は念じるだけで体が治せるんだぜ!」とか「忍者は目隠ししてても音で敵の攻撃を避けられるんだよ!」とか「ジジイの師匠キャラはマジ強いよな!」等の、どこのNINJA漫画だと突っ込みを入れたくなる展開が満載なので、B級映画が大好きな人は大満足出来ると思います。 [映画館(字幕)] 8点(2010-03-30 08:45:07)(良:1票) |
52. グエムル/漢江の怪物
ポン・ジュノ映画を観たのは初めてでしたが、この人が作る映画はすごいですね。粗筋だけに焦点を当てると、非常にオーソドックスで丁寧なモンスターパニック映画に仕上がっているのに、いきなりコメディ調やサスペンス調の画に変化する。でも映画自体は全く破綻していないし、寧ろ監督の個性として面白かったです。 最も印象的だったのはペ・ドゥナが橋に向かって河原を疾走するシーン。ただ走っているだけなのに、画が非常に美しいと思いました。こういうシーンをサッと撮れるポン・ジュノは凄いなと思ってしまいます。 [DVD(字幕)] 8点(2010-03-22 13:25:42) |
53. パッチギ!
このタイプ(所謂、ロミオとジュリエット系)の作品としては非常にオーソドックスです。それゆえに非常に理解し易い作品です。分かり合えない象徴としてアンソン達と東高校のチンピラ、分かり合える象徴として康介とキョンジャがいる。最も良かった点は、対立したグループを和解させるスイッチとして康介の唄うイムジン河を持ってこなかった事。彼が唄おうが何をしようが戦争は止まりません。人種問題は決して簡単に解決出来ないからです。でも分かり合える人がいる事も事実、戦争が無くなる事を望んでいる人がいる事も事実、互いを必要としている人がいる事も事実です。和解する事など不可能(それはどんなコミュニティーでも無理)だけれど、それでも互いに歩み寄る必要がある。それを井筒監督は分り易く描いてくれた。良作だと思います。 [地上波(邦画)] 8点(2010-01-27 11:13:23) |
54. 26世紀青年
「超くだらねー!」と思える作品なのですが、それを単に笑えない今の世の中があるのも事実。しかしバカの子どもはバカという話は余りにも横暴では?笑 [地上波(字幕)] 8点(2010-01-05 09:16:24) |
55. ホット・ファズ/俺たちスーパーポリスメン!
《ネタバレ》 エドガー・ライトという事で期待していたのですが、期待以上のものを観せてくれました。前作の「ショーン・オブ・ザ・デッド」では低予算過ぎた為か、どこか画面に迫力が感じられず、彼独特のカメラ割(細かいカットをガシャッ、ガシャッとするやつ)で無理やり補っていた感がありましたが、今回は予算が豊潤だったのかアクションシーンも迫力のある、良い出来だったと思います。 全体的に楽しかったですが、やっぱり最高だったのは終盤の巨大化(笑)したニコラスとおっさんの大格闘シーンでしょう!なんというか文章にするとすごくバカみたいですが、ここは本当に面白かった! ラストは「ああ、ダニー……、ってそれかい!」と見事にズッコケました。最初から最後まで本当に笑わせてくれて、しかも締めるべき所はしっかり締めて、これぞ"良いコメディ映画"ですよ。最高のバディ・ムービー。 [DVD(字幕)] 8点(2009-12-12 18:26:49) |
56. イングロリアス・バスターズ
《ネタバレ》 サスペンス、アクション、ゴア、そしてコメディ。これだけ多くの演出を、ピカイチで出来るのに、なんでラストであんなにメチャメチャにしちゃんでしょうね!あ、タランティーノだから仕方が無いか 笑。とまあ、冗談は置いとくとして。 タランティーノの映画としては非常に観易く、手堅い映画だったと思います。オープニングのドレフュス一家虐殺シーン、酒場でのサスペンス及び集団相撃ちシーン、足フェチ大佐のハマーシュマルクへの尋問シーン、などは真面目に観ても素晴らしい出来でした。只の会話や目の動きだけで、あれだけ緊張感を持続させられる監督ってそうは居ませんよ。前作のデス・プルーフでは個人的に「少しふざけ過ぎじゃない?」と思っていたのですが、やっぱりバカなだけでは無く、普通に映画作りの力量もある監督なんだと再確認しました。 そこにきて、あのラストは何なんだ!本当に心底史実とかどうでもいいんでしょうねぇ。映画ファンとしては流石に本作のラストには批判的になってしまいますけど、それでもタランティーノにはバスターズな映画作りを続けてほしいですね。だって面白いんだもん。 [映画館(字幕)] 8点(2009-11-25 00:39:39) |
57. 精神
月並みな言い方ですが、映画全体が優しさで満ちていました。想田監督のいう所謂、"カーテン"の向こう側をありのままに映しただけで価値があると思います。この映画を観た人によって、その感想は異なるかもしれませんが(そういう撮り方をしているので)、精神病にかかっている人の"そのまま"を観たという事には違いない。精神病患者を知るという意味で、この映画を観たことは無駄にはならないと思います。 ただ個人的にはいらないと感じたカットが多々あったのが惜しいです。(女子高生とか、女子高生とか、女子高生とか……) [映画館(邦画)] 8点(2009-09-23 23:36:06) |
58. ディア・ドクター
《ネタバレ》 監督の出演者の持ち味を最大限に生かす演出に終始唸らされました。伊野の持つ、おおらかさ、優しさ、そして少し似非な感じが釣瓶と絶妙に合っていたのは流石としか言いようがありません。他の作品だと只の大根役者に見えるのに、この映画では非常に演技派に見える。素晴らしいキャスティングだと思います。 映画全体の出来も良く出来ており、邦画界もまだまだ捨てた物では無い事を再確認させてくれました。ラストで伊野の持つ、誰よりも優しい想いが伝わってくる瞬間が心地良い。 [映画館(邦画)] 8点(2009-09-04 21:44:03) |
59. ボルト
《ネタバレ》 冒頭のカーチェイスシーンが非常に素晴らしかった。カメラがボルトの目線で高速道路を駆け抜けるので凄い迫力です。ここら辺はマトリックスの二作目を意識してそうですね。 ドラマとしてもしっかりした出来だったと思いますし、なによりボルト、ミトンズ、ライノ達の三匹がとっても可愛かったので映画としては大満足。ミトンズの事なかれ主義が特にツボでした。 しかし"鳥頭"のギャグだけは少しくどかったかな。 [映画館(吹替)] 8点(2009-08-05 09:27:57) |
60. アポカリプト
《ネタバレ》 久々に此処までものすごいアクションが連続する映画を観た気がします。話としては先が非常に読める展開なのですが、そのベタさを逆手に取った熱い展開が繰り広げられます。敵に狩られる側だった主人公が、自分のテリトリーに入ってから逆に敵を狩る側になるのはランボーみたく面白かったです。 本当にここまで出来の良いアクション映画は中々無いと思います。要所要所で入るサスペンスなシーンも非常にハラハラドキドキもので最初から最後までアドレナリン出っぱなしでした。 ただ最後の船が来て助かるという展開はなんだかなぁ。ご都合的過ぎる気がするし、あの話の流れに合ってない様な気がしますね。 [DVD(字幕)] 8点(2009-07-12 23:30:30) |