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すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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41.  放送 《ネタバレ》 
テオ・アンゲロプロスの数々の傑作の中で、「放送(Εκπομπή)」は最も活き活きとした、短くも中身の濃い映画である。 たった20分でアンゲロプロス特有のロングショットとクローズアップ、そしてオープニングからブッ飛ばすように流れる軽快な音楽のハーモニーがとても心地良い一篇である。 ラジオ局の人々のやり取りや街頭インタビューを通して当時のメディアのやり方、メディアが作る虚像を暴こうとする試みが面白い。 途中である男がスーツを着て街中の広い道をポツリポツリと歩いていく場面、浜辺のカップルが車の中に入っていく様子をロングショットで収めた場面に、既にアンゲロプロスが居るのだ。道を歩いていく本人には目的地が見えているが、それを見守る我々が感じる言い知れぬ不安。彼は無事に目的地にまで辿り付けるのか、付けないのか。そういう見る者の心をかきむしり、ワクワクさせる映像がこの映画には既に存在しているのだ。 クローズアップでたまに映るギリシャ美人が可愛い。 アンゲロプロス本人は「初期の作品は失敗作」と語るが、「失敗」は成功の元、むしろその「失敗」と言われる逸品に刻まれた面白さを発見するのがファンの役目ではないだろうか。
[DVD(字幕)] 9点(2014-08-15 11:03:19)
42.  ハスラー 《ネタバレ》 
ロバート・ロッセンは数々のフィルム・ノワールの脚本を手掛け、自身も「ボディ・アンド・ソウル」という傑作を残している。 この映画も最初見たときはもう一押欲しいと思っていたが、再見して印象が変わった作品の一つだ。 ビリヤードに命を賭ける玉突き師(ハスラー)の生き様を描いた作品。 ビリヤードでのギャンブル生活に生き甲斐を感じる主人公は、ポーカーよりも競馬よりもビリヤード。 己の腕で玉を弾く快感に深酔していたと言って良い。 相手がマフィアだろうとゴロツキのたむろする酒場だろうと、女だろうと実力で何とかなると思い込んでいた。 実力は折り紙付きだが、思い上がるその性格は彼を孤独にしていた。 それが「痛い目」に何度も遭い、彼女の健診、或る賭博師との出会い、数々の試練を乗り越えて徐々に成長していく。 人間として成長していく彼だが、所詮ギャンブルは命を賭けた大博打。 一回でも手元が狂えば、身内すらも狂わせていく。 主人公は賭け事よりも大切な物を失ってしまう。 深い絶望、乗り越えた「試練」、吹っ切れた男にもう迷いはない・・・男は玉を弾く、弾く、弾く・・・。 ポール・ニューマンの挫折と成長を交えた人間像が良かった。 序盤は延々と玉突きの場面で、しかも飛ばし飛ばしと欲求不満になりそうなシーンが続いて少々退屈だが、徐々にエンジンが温めていく展開は良く出来ていたと思う。時折見せる華麗なショットも手伝って。 だけど、もっとポール・ニューマンたちのショットを、猛烈な特訓の成果をもっと映像で見たいなと思った。 シドニー・キャロルの脚本はフィルダー・クック監督の「テキサスの五人の仲間」で堪能した。 アレが面白かったからこそ「ハスラー」を見ようと思ったし、「ハスラー」から見ていたら恐らく「テキサスの五人の仲間」は見ていなかったと思う。 だが、この映画が本当に面白いのは「何度折られようとも挑み続ける不屈の精神」なのかも知れない。 挫折に次ぐ挫折で絶望の淵、諦めかけていたところに最愛の女性や師匠と呼べる男の支えもあって徐々に闘志を取り戻していく。 彼の“指”がそれを強く物語る。あの1本1本に彼の魂が宿っていくというか・・・。 束の間のピクニックのシーンは心打たれる名場面の一つです。
[DVD(字幕)] 9点(2014-08-01 23:21:16)
43.  絞死刑 《ネタバレ》 
「絞死刑」・・・タイトルを聞いただけで?と思った。どうやら“くびりころす”国(ひとびと) を描いた作品らしい。 実際に起きた「小松川高校事件」をモデルにした映画。  冒頭はドキュメンタリー風のタッチで、一人の人間が死刑執行される瞬間を描いていく。この頃から死刑制度が必要なのか不必要なのかが問われていたのか。 死刑を執行する人間は、これから罪を犯した“ケジメ”として殺される人間を見届けなければならない。首に喰い込んだ麻縄の跡も・・・。 人間が完全に死ぬまでをストップウォッチで計ったり、必死に諭して、飯まで食わせるんだぜ?酷い話だ。  大昔は磔とか、首を斬られた罪人をそのまま晒し者にして民衆の前で見せたそうだが、今の世の中そんな事はしない。殺される人間にも“人権”て奴が発生するからだろうか。  ところが、そこから事態は急変する。 一度しくじった刑を“殺り直す”って発想がまず思い付かねえよ。 記憶を失えば絞首刑(縊り殺す)が出来ない。 それでこれから殺そうとする人間の記憶を取り戻させようとする様子が何処かユーモラス・・・けど、ゾッとする。 法を破り人殺しもいとわぬ者、法を守って人を殺そうとする者・・・一体どっちが正しいんだろうね。劇中の人間のように、本当に笑いながら人を殺す相談をする奴もいるだろうよ。 つうか教育部長がウザイ。 人一人殺すのに愛情だの何だのと歪んでいるとしか思えない。  もし殺される奴が日本人の“K”で、殺す側が朝鮮の“R”の人々だったら・・・差別とかそういうものが立場によってがらりとひっくり返されたら・・・そう思うと怖くてしょうがない。ステレオタイプな差別描写が、より一層そういう事を考えさせる。  更に日本の男尊女卑の問題や宗教問題にまで踏み込んでしまう大島渚の大胆さ。 映画というジャンルで戦い続けた男のメッセージが刻まれた作品の一だった。  ラストシーンで検事以外の人間が見た“女”の姿。“R”は“R”である事を受け入れる・・・。  後味は悪いが、「儀式」と共に一度は見ておきたい作品だ。 この映画が嘲笑うものは、死刑制度、そして人間そのものに対する矛盾なんだろうね。多分。  俺は「少年」や「戦場のメリークリスマス」の方が好きだが、この映画は大島渚にしか撮れない最高傑作だ。
[DVD(邦画)] 9点(2014-06-24 18:06:50)
44.  砂漠のシモン 《ネタバレ》 
45分の高密度で撮られた一篇。 この話の流れそのものはかなり解り易い。高い塔の上に引きこもっているオッサンをただ引き摺り下ろすだけでいいのだから。 聖歌を歌いながら広い荒原を歩いてくる人々。冒頭はシモンを頼ってやって来る人々が彼を地面に降ろす。 求道者として人々の願いに応えるシモン。普段はずっと塔の上で日向ぼっこだ。食料は紐のついたズタ袋によって塔の上に運ばれる。実際のシモンは大も小も垂れ流しでもの凄い臭かったとか。流石のブニュエルもその“匂い”が伝わってきそうなほど汚い身なりにはしなかったようだ。服の下の脚はボロボロだけどね。 身体が欠損した人間は「忘れられた人々」等にも登場。両の手を求める人間は思い出したかのように手が戻り、ある者は泡を吹いてシモンの下を流れていく。 それにしてもドラムでドンドコやるのが好きだねーブニュエルは。  15分を過ぎた辺りから引きこもりvs悪魔による闘いが始まる。ここから時代設定とか色んなものがブッ壊れ始める。いや、彼にとって本当の“現実”は何なのか解らなくなり始めると言うべきか。 地上を通る人々の姿。鶏を追う老婆、シモンのために働く女と戯れる自分の幻、そして子供のようにはしゃぐシルヴィア・ピナル! 酷い歌詞を歌いながら輪っかを高々と掲げてリム回し(輪回し)を始め、漆黒のセーラー服?で迫り来る。 「ビリディアナ」ですらピナルは谷間だけ見せたが、今回は豊満なおっぱいとガーターベルトと太ももとパンティを惜しげもなく見せる。シモンを誘惑するために。 ヤギのおっぱいもビンビンですね。 おっぱいを見せたかと思うと瞬時にシモンの横に移動、長い舌を出し、スプーン?でブスブスッと刺す。 また次の瞬間にはさっきのピナルの帽子を被った全裸の婆さんが。誰得だよっ!! ウサギに食べ物を分け与えるのは、掌にとまった虫を潰さずに解き放つのは求道者としての自分を保つため。 シモンに従う女もまた謎が多い。さらっと蟻の巣を埋めるとか鬼かwww ゼウスが羊を抱えるのは蹴り飛ばすため、羊の毛で鞄を作るため、石を詰めて投擲するため、カエルは爆発するため。 今度は橋が倒れ、地面を走る棺桶から片乳出したサタンとして再びシモンの真横に現れる。そしてシモンにトドメをさすように飛来する翼が発する音・・・。 ラスト5分の踊り狂う人々の姿。果たしてどちらが本当の「シモン」なのだろうかアッー!(最後の絶叫)
[DVD(字幕)] 9点(2014-06-01 18:00:09)
45.  弥太郎笠(1960) 《ネタバレ》 
1952年の「弥太郎笠 前後篇」の3時間を90分にまとめあげてしまうマキノ雅弘の妙技。 これぞ股旅時代劇「弥太郎笠」の決定版。   いや、淀川長治さんが絶賛していた稲垣浩の「弥太郎笠(彌太郎笠)」がいつ発掘される解らない。 なので、現時点での決定版という事で。  この「弥太郎笠」こそマキノ映画の文字通り“祭り”のエネルギーが脈打つ代名詞的な存在だろう。  本当は旗本の御曹司である弥太郎は、武士社会に嫌気がさして股旅の渡世人としての人生を選ぶ。 序盤からテンポ良く惹き込まれるのはいつもの事だが、幻想的な祭りの場面の踊りは御曹司(エリート)としての踊り、歌、剣の腕前を隠し、武士ではなく一人の人間としてお雪と交流する。   かつて世話になった恩人のため、惚れた女のためにヤクザ一家との死闘を選ぶ弥太郎。   全身からエネルギーがほとばしる中村錦之助のパワー、 少しふっくらした感じだが町のおっとりした可愛らしさが美しい丘さとみ、 これを中心としたマキノ流アンサンブルが繰り返され心地良い。  日本の時代劇の面白いところは、殺陣が無くても話の面白さで見入ってしまうところだ。    いや、殺陣もあるからこそ更に面白い。  1957年の「浪人街」じゃ本当に火花散らす鍔迫り合いがあったし、本作も負けてねえぜ。  「血煙(決闘)高田馬場」も、 「次郎長三国志」も何処か狂気地味たフルスピードの斬り合いが強烈だった。 この映画も凄い凄い。  お腹一杯になる傑作です。
[DVD(邦画)] 9点(2014-05-31 11:52:38)
46.  不良少年(1961) 《ネタバレ》 
戦後の動静を一人の少年から見つめた、青春映画の珠玉の一篇。  海外でも寺山修司と共同監督した「初恋・地獄篇」で知られる羽仁進。   出演者は全員素人で、ドキュメンタリーの形を成したフィクション。 フィクションとはいえ、一人の少年が“不良”として少年院に入れられ出所するまでの時間は今この場で起きているようなリアリティに溢れる。  リアリティがあるが、少年への感情の移入は無い。 あくまでドキュメンタリーとして淡々に少年を追うのだ。 けれども、時間が経るにつれて優しく精気を取り戻していく少年の顔。恐喝や“可愛がり”、人々との触れ合いをを通じて変わる者、変わらずに再び犯罪の世界の行ってしまうもの。 少年院は彼らの通過点でしかない。  この物語は、そんな通過点で心が変化していく人間を丁寧に描いた作品のようだ。
[映画館(邦画)] 9点(2014-05-26 20:05:22)
47.  彼女と彼(1963) 《ネタバレ》 
まず、左幸子が若くて可愛い。初々しい彼女と、ヒゲ面の野性的な伊古奈との対比が効いている。左幸子はとにかく誰にでも優しい、伊古奈もまた粗野ではあるが本当は優しさに溢れた人間だ。東京オリンピックを前にした年、百合丘を舞台に穏やかな昭和ノスタルジーに浸れる作品。
[映画館(邦画)] 9点(2014-05-26 19:53:12)
48.  非情都市 《ネタバレ》 
鈴木英夫は堅物作品ばかりで敬遠していたが、この作品はすんなり楽しめた。 スクープを血眼になってまで追い求める新聞記者への皮肉がたっぷり効いた傑作。「危険な英雄」がよりパワーアップしたような内容で、狙撃されるはボコボコにされるは、何がそんなに好きで危ない橋を渡れるんだという馬鹿ブンヤを描き抜く。何もかも犠牲に出来る狂ったブンヤたちの姿をひたすら追い求めた怪作。 それにしても司葉子は魅力的だ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-26 17:22:28)
49.  旗本退屈男 謎の珊瑚屋敷 《ネタバレ》 
「謎の暗殺隊」と並んで旗本退屈男シリーズの最高作とされる作品。本作、ノリがまんまバタ臭いTV時代劇のソレ。この作品は職業監督に徹した印象。 主人公の旗本退屈男こと早乙女主水之介は、謎の心中事件の真相を探ろうと江戸の町をぶらりぶらり。 中川信夫にしては展開がややタルい。殺陣は盛り沢山で大立ち回りも迫力があるが、何のひねりもないチャンバラだ。でも、義侠心もここまで来ると清清しい。見た後に心地良い何かが残る映画です。
[ビデオ(邦画)] 9点(2014-05-26 16:25:39)
50.  キングコング対ゴジラ 《ネタバレ》 
個人的初期ゴジラシリーズ最高傑作。  あのキングコングとのドリームマッチが見られるだけでも最高の映画。  ゴジラとコングが取っ組み合って海に落ちていくシーンがあるだけでも満足。 どちらが勝つでもなく共倒れってところが良い。  ちなみに、二大怪獣のスーツアクターを務めた広瀬正一(キングコング)と中島春雄(ゴジラ)。黒澤明の「七人の侍」で野武士の一員として戦いに参加していたりする。どうでもいいけど、二人ともバリバリの武道の達人なのでキレも凄い。怪獣が一本背負いだのトンボ切りだのすんだぜ?二大怪獣と戦っていたのか七人の侍たちは・・・。
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-26 16:13:34)(良:1票)
51.  何がジェーンに起ったか? 《ネタバレ》 
ロバート・アルドリッチの“漢”を描いた最高傑作が「キッスで殺せ」や「特攻大作戦」「ロンゲスト・ヤード」辺りだとすれば、“女”を描いた最高傑作は「カリフォルニア・ドールズ」とこの「何がジェーンに起ったか?」。 これほど強烈かつ、狂気&ホラー地味たタッチで女を描いた映画は中々ない。 ベティ・デイヴィスにとっても「イヴの総て」「情熱の航路」に並ぶ、 ジョーン・クロフォードにとっても「ミルドレッド・ピアース」「ザ・ウィメン」「知られぬ人」に並ぶかそれ以上の傑作。 冒頭の可憐に踊るジェーン少女と、裏でジェーンを羨ましそうに見つめる妹のブランチ。 成長してジェーンの人気が無くなった変わりに、ブランチは女優として羽ばたこうとする。映画にも幾つか出演し、栄光を掴もうというところまでいく。 しかし“事件”は起きてしまう。 歳を取り、ジェーンとブランチは老後を二人っきりで暮らす毎日。二人の孤独を埋めるのは、雇われた家政婦とご近所に住む親娘だけ。 ジェーンは事故で足の動かなくなったブランチの世話、歳の違いではなくジェーンの方が介護で疲れている感じ。老いた顔に金髪は白髪みたいで余計に歳を取って見える。 ブランチは過去を捨てた、ジェーンは過去を捨てられず縛られている女。自分の若い頃の生き写しと言える気味の悪い人形を持ち続け可愛がるほどだ。 ジェーンは自分より動けないクセにまだ若々しい容姿を保つブランチに嫉妬していた。 ジェーンは次第にブランチに嫌がらせをするようになり、行動は徐々にエスカレート。 ブランチが悲鳴をあげるのを聴くと嬉しそう高笑いをするシーン、ブチ切れてブランチの腹を蹴りまくるシーンは戦慄する。 仕舞いには人気の絶頂だった少女の格好をして歌いだす始末。 それに対して髪をおろした様子がちょっと色っぽいクロフォード。 終盤の浜辺で太陽の日差しが照る中で笑うデイヴィスは本当に幼い少女みたいで一瞬ドキッとしてしまった。 どんどん壊れ幼児退行のようになっていくジェーン、そしてある“告白”をするブランチ。ブランチがその“告白”を今までしなかったのも、姉に苦労をかけてきた罪悪感というよりはメンツやプライドの問題だったのかも。 浜辺で人々に囲まれ、ステージに立っていたあの頃のように踊るジェーンの姿。何ともいえないラストだった。
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-21 18:34:22)
52.  プレイタイム(1967) 《ネタバレ》 
ジャック・タチ最高傑作。 物語は前半後半に別れ、ユロが面会相手と中々会えないすれ違い振りが面白い。後半のアメリカ人観光客との触れ合いもそうだが、この映画はとにかくビル、ビル、ビル。ビルの美術が凄い。画面の隅々まで描かれる近代的なパリの様相は、見れば見るほどその凄さに圧倒される。 幅広い視野でその隅々まで見回していくような感覚。まるで「ウォーリーを探せ」だ。映像の美しさが何とも言えない。 そんな空間で複数のギャグが折り重なる衝撃は笑うしかない。  2時間たっぷりと見せてくれるが、ラスト5分の加速していくクライマックスは凄い。  
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-20 18:01:42)
53.  ビリディアナ 《ネタバレ》 
カトリックの最高峰ヴァチカンを「冒涜的だ!!!」とブチ切れさせた問題作。 ヴァチカンすら怒らせるブニュエルの変態振りに敬意すら覚える。  ヒロインは受難に次ぐ受難でどんどん堕落していく。 「誠意をもって接すれば、相手も必ず誠意をもって返してくれる」なんて幻想は微塵も無い。  ネグリジェ姿のビリディアナの艶かしさ。 「皆殺しの天使」や「砂漠のシモン」でも美しかったシルヴィア・ピナルが最高。 さらに亡き妻を偲ぶドン・ハイメがコルセットやハイヒールを付けている。シュールすぎる。どんだけだよ。ここまで来ると完全にイッてます。 無駄に美脚だし。 黒ストッキングを脱ぐビリディアナよりもキレイかも知れん。  ハイメがビリディアナを襲おうとする。 ウエディングドレス?に着替えさせ、接吻をし、胸のボタンを外して豊満なバストを視姦。 だが、もう一歩踏み出せないドン・ハイメ。夢心地でさまよう彼女の生脚を凝視しもしたが、中々彼女を本格的には襲わない。視姦だけで愉しんでいるのか、それとも亡き妻を偲びすぎて心も乙女になってしまったのか。 そんな現場を少女に見られた日にゃ・・・縄跳び少女は見た! それに対するビリディアナの最高に洒落た“ジョーク”で大爆笑。 変態武装で来るドン・ハイメ、しかし肝心のビリディアナは夢遊病&“灰”で返答(意訳:灰になって死ね)。 ドン・ハイメは絶望して、笑いながら遺書をしたため縄跳びでアボーン。 縄跳びは少女に与えていたもの。ハイメは縄跳びで飛ぶ少女を想い描きながら死んだのだろう。どんだけ脚フェチなんだよアンタ・・・。 あの終わり方は酷すぎる(褒めてる)。  そして欲望に任せて乱痴気騒ぎの「晩餐」をする乞食の姿の凄まじさ。 ソファ越しに交わろうとする様子も凄い。  「アンダルシアの犬」以来のシュールさ、そして「皆殺しの天使」で頂点を極めた意味不明さ加減が最悪に挑発的で最高に心地良い傑作。 中毒性がヤバイ。マジで危ない。
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-18 14:22:19)(良:1票)
54.  シベールの日曜日 《ネタバレ》 
「レオン」、「グロリア」のルーツである傑作。俺はこの作品が一番好きだな。この映画は、本当の「失う事の痛み」を知る人間にこそ見て貰いたい。 戦争の後遺症に苦しみ男、そんな男に出会ったあどけない少女との交流。戦争の痛々しさと残酷さが、二人の交流からも感じられる。 ラストの幕引きは余りにも悲しすぎる。泣いた。
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-18 11:49:16)
55.  火の馬 《ネタバレ》 
短編「ピロスマニのアラベスク」といった作品が強烈な印象を残すパラジャーノフだが、パラジャーノフの最高傑作を1つあげるとなるとやはりこの作品になるだろう。 「ざくろの色」に比べるとややインパクトに欠けるかも知れないが、この作品は二人の男女の悲しき運命の果てを強烈なビジュアルで綴る映画だ。 劇中で度々画面をよぎる火の馬は、流される血のように紅く燃えている。 冒頭の雪が降り積もった森で、少女のようにあどけない男の子の顔が映される。 その幼い子供の父親に、無残にも倒木が襲い掛かる。木が上から倒れてくるカットが強烈。 死者の魂を高らかに送り出す奏者たちの音楽。死者を奉る場で新たな死者が出てしまう悲劇。 ウクライナのカルパチア山地、二つの氏族は何世代にも渡り争いが耐えなかった。子供たちも今は良き友人であったり愛し合っているが、大人になればやがて殺しあうような日がくるかも知れないのだ。葬式での悲劇は、そうやって何度も繰り返されてきた悲劇の一つに過ぎない。 女の裸体を徹底的に見せない拘りも良い。裸で戯れる少年と少女。 シャツを着たら次の瞬間には青年に成長しているイワンコ。マリチカもまた、立派な大人の女性へと姿を変えていた。 雨の中濡れる二人。しかし民謡がうるせえ。ポンとお腹に触る婆さんの心意気。 まるで狩人たちが女の命を狙うように迫るシーン 崖の上での悲劇。マリチカは断崖の子羊を救おうとして・・・。 揺れながら迫るカメラが、サスペンスを異常に盛り上げる。 木の間から女の表情を追うカメラがヤケにサスペンスフルだ。 終始異様なテンションが、亡き女性を忘れられない男の狂気を物語る。 新たな女性と首にかける梯子は、まるで首枷のよう。 女を忘れられない男は、いつも何処か余所余所しい。前の女に比べたら、他の女はみんな羊みたいなものか。そんなもん誰だって他の男に逃げたくもなるわ。 祈る新妻の姿は、裸で他の男を誘っている風にしか見えない。 窓から覗く子供たちの笑みが不気味に見える。 イワンコは、父親と同じ運命を歩んでしまう。 グルグルと人々の顔を映し狂騒を演出。葬式は盛大にかつ楽しく送られる。死体の前で次のカップルが愛し合い始めるんだもの。 葬式に始まり葬式に終わる。 さまよう魂は、真っ赤な木々の向こうで愛しき人と再会するのであった。
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-18 05:48:34)
56.  テオレマ
とにかくパゾリーニが苦手という方に「奇跡の丘」「カビリアの夜(フェデリコ・フェリーニ監督)」等と共にオススメしたい作品。
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-05 17:49:24)
57.  ガートルード
カール・テオドア・ドライヤーは、この作品で人間の精神世界を描こうとしたのかも知れない。かつてロベール・ブレッソンが「スリ」で精神的な世界を造り上げたように、ドライヤーは映像を二次元的な世界に閉じ込めてしまう。いや、三次元から二次元の空間に抜け出したといった方が正しいのだろうか。  「吸血鬼」は白黒画面で壁の白さを引き立たせるために、壁をピンク色にしたという。 ドライヤーが映画を撮る時は、壁や自然といった“空間”から構築していく。  この作品の壁の白さも、異常と言って良いほど白い。この世に存在しないんじゃないかというくらい。 土には土の色があるが、人間で言う“精気”がこの壁にはまるで無い。  壁の白さも不気味だが、劇中の登場人物たちも記号のような存在だ。 感情のかの字も感じられない空間、そして耐え難いほどの緊張で貫かれた画面。ドライヤー一つの境地。
[DVD(字幕)] 9点(2014-04-12 01:17:26)
58.  大列車作戦 《ネタバレ》 
バート・ランカスター&ジョン・フランケンハイマー最高の1本となる戦争アクション。 ナチスVSレジスタンスの壮絶な列車アクションがスリル満点で楽しい。連合軍の無理難題と亡きレジスタンスの亡霊たちをかかえるレジスタンス達、意地でも勝利の可能性を逃すまいとするナチス。 走行中の列車に飛び乗るシークエンスの見事なこと。ドラマも熱い。果たして戦争が無ければ例の大佐も、石炭で顔が真っ黒になるレジスタンスも平和でいられたのだろうか。戦争アクションの醍醐味、ここにあり。
[DVD(字幕)] 9点(2014-04-10 23:56:38)
59.  蜜の味 《ネタバレ》 
思いがけず妊娠した彼女。男はそれを知り一度は逃げ出す・・・だが、男は膨れたお腹を見て覚悟を決める。「ああ、俺なんかが父親になっちまっていいのかな」的な。 普通こういう映画は陰惨とするものだが、トニー・リチャードソンはとても暖かい映画にしてしまった。ありがとう。
[DVD(字幕)] 9点(2014-04-10 22:02:48)
60.  アデュー・フィリピーヌ 《ネタバレ》 
兵役につく運命が待ち受ける男。そんな男にとって、二人の魅惑的な女性は最高の「現実逃避」だった。繰り返される他愛ない日々は、劇中で永遠に続くかのように続く。だが、運命はやがて男に訪れる。男にとっての「最後の晩餐」・・・それほどの輝き、それほどに儚く過ぎ去る一瞬の青春。男を送り出す彼女たちも、何処か寂しそうな表情を見せる。
[DVD(字幕)] 9点(2014-04-10 21:53:35)
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