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Yuki2Invyさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1630
性別 男性
自己紹介 基本的に3~8点を付けます。それ以外は、個人的に特別な映画です。

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【製作年 : 1960年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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41.  太陽の下の18才 《ネタバレ》 
まあ言うて、中々おバカでごく中身の薄い映画なのは確かですよね。おバカを演じるキャラクターも次第に収束してはゆくものの、序盤は誰が誰だか分からない男どもが入れ替り立ち替り騒いでるだけ、という風で結構高度に訳ワカメです。女優も、意外にカトリーヌ・スパークが絶対的メインというコトでもなくて、代わりばんこに結構大勢(無秩序に)出てきます。その意味ではワリと期待したんですケド私、少なくとも今作のスパークちゃんには正直あまりハマりませんでしたね(やはり非常に華のある女優さんだとは思うのですが、そんなに登場シーンが多くもなくって…ですね)。  まあでも、南欧のバカンスのイイ~雰囲気とゆーのは大いに感じられてソレだけでもだいぶ心地好くはありました。日本人なんて夏休みとて長くて10日くらいで、移動も含めれば観光地に出向いて遊べるのは4,5日程度、となるとやっぱり精力的に予定を詰め込んでむしろ疲れちゃう…てな感じが多いのかなとも思うのですよ(私も確実にその部類ですし)。本来のバカンスってそーじゃなくて1日遊んだら2日ゴロゴロする、みたいな感じかと思っていて、そーいう手持ち無沙汰なノンビリ感(からの、ならナンパでもしてみっか!感)が濃厚に感じられたのがまた心地好かったかな、なんて。なんとも羨ましい社会的習俗ですよね。
[DVD(字幕)] 4点(2021-10-09 02:26:37)
42.  狂ったバカンス 《ネタバレ》 
カトリーヌ・スパークちゃんの出世作、というコトで、見た目的にも今作はサービス精神がごく旺盛とゆーか「挑発的」そのものですね。ド初っ端からダボダボセーター上一枚だけ(下は水着)に始まり、その次もタオル一枚巻いただけ風(下は水着)→ヘソ全開のノースリーブにギリギリローライズ→そして背中全開の着替えシーン→からの白水着全開、と正に小悪魔・罪つくりと言った風情極まりないですね(トニーノくんがコロッと参っちゃうのも分からんでもねーなと)。  しかし、その小悪魔ぶりが高じてくる後半は、トニーノくんも流石にだんだんイライラし始めて→からかい方もちょっとタチが悪くなってゆき→最終的には暴力沙汰にまでなる、そこら辺は少し(いくら自業自得とは言え)オッサン可哀そうだな、と思われる様な話ではあります(私も完全にトニーノくん側に感情移入する歳になったとゆーコトですね)。ただ、そんな中でもスパークちゃんの眼差しは(多分に小悪魔的で在りながら)どこか実に無垢で美しいモノで在り続けた、様にも見えるのですね(何故だか)。まあ、そーいう目付きを必要なだけつくり込める、とゆーコトまでを含めての「真の」小悪魔なのかも知れませんケドも。
[DVD(字幕)] 7点(2021-10-09 02:25:13)
43.  アパートの鍵貸します 《ネタバレ》 
今作を改めて観ても思うのはその影響力、と言いますか。この作品におけるジャック・レモンの仕事とゆーのは(まあ別に「今作の」彼に限ったコトでもないのかとも思いますが)、実にそこら中でソレを彷彿とさせるモノに出会うなあ、というコトですね。よりフィジカルな喜劇であるチャップリンを別にすれば、「笑い」を志す者がシチュエーション・コメディとして今作以上に観ておくべき作品とゆーのも他にあんまし無いのではないでしょーか(まあこれはもはや、別にお笑いの分野のクリエーターに限るべきコトでもないのかも知れませんケド)。  限り無く「普遍的」な(=時代を超える)クオリティを備える作品だと感じますが、強いて言うなら登場する男どものクズさ加減とゆーのには少しばかり時代を感じる、というトコロですかね。シェルドレイクなんて、今どき例え民間企業でもちょっともう許されないレベルのモラルの無さに思われます。まあコレとて(特に日本では)ここ最近ようやく少し向上しつつある、という部分かとも、つまりごく最近はそう思われるよーになったということなのカモ、とは思いますケドね。
[DVD(字幕)] 9点(2021-10-06 18:05:47)
44.  ラ・ジュテ 《ネタバレ》 
実質的な構成成分は、その8割がたがSF短編小説の朗読だ、と言って好い作品かと。その意味では、決してSFとしての出来自体がソコまで優れているワケでもない、とゆーのには若干の残念さも感じられるかと(ややありがちな話ですしね)。ただ、やはりより重要なのは「フォトロマン」と呼ばれる手法を採用した映像(紙芝居)の方でしょうね。動画じゃなくて写真の連続、とゆーのは、一見は安上がりでしかも「簡単」な手法にも思えるケドも、コレを成立させるとゆーのは相当に高度な技量が必要でしょうね(構図その他のセンスに関して全く誤魔化しが効きませんからね)。その部分のクオリティとゆーのは結論的には評価するに十分なモノではなかったか、と思います。特に中盤の画面の美しさと、それら映像+朗読その他の「音」が醸すやや幻想的な雰囲気とゆーのは、個人的にはかなり心地好かったです。ソコに比しては終盤がやや駆け足かつ即物的な様にも思いましたが、映像の美しさとゆーの自体はここでも保たれていたかと思います。かなり気に入りました(立て続けに2回観てしまいましたね)。
[インターネット(字幕)] 7点(2021-09-30 01:15:11)
45.  哀愁の花びら 《ネタバレ》 
芸能界を生き抜こうとする3人の女性の成功と挫折を描く…のですが、特に終盤は見せ場の連続で、その意味ではゴージャスとゆーかダイジェスト的とゆーか。個人的には、ちょっと感情の流れや人間関係の移り変わりの描写が足りないとゆーか雑に感じられ、非常にエモーショナルなシーンが続くワリにあまりコッチには伝わってこないとゆーか、やや上滑りなよーにも思いました。主役3人以外にも登場人物が多すぎる、というコトでもないですかね?(題材の若干ながらのチープさを含めて)確かに映画よりはドラマ向き、という話なのかとも大いに感じます。いっちゃん主役のバーバラ・パーキンスがまるで存在感が無い(他の2人に食われてる)つーのも、確実なマイナス要素であります。
[DVD(字幕)] 5点(2021-09-08 14:44:09)
46.  ジョアンナ 《ネタバレ》 
ジョアンナちゃん自体はメッチャ可愛いすね。演じてるのはジュヌビエーブ・ウエイトという女優さんですが、ルックスに関しては率直に同時代の他の方々と比べても相当にハイレベルだと思いますし、ファッションも凝っていてカラフルで中々上等です。ただ、演技に関しては相当に微妙、とゆーか、あの声で成立する演技とゆーのがそもそも極度に限定されてきてしまう、という感じでしょーかね(損な、とゆーか、ピーキーな、という感じの声ですね)。もう一点、頻繁に登場するどーみてもカツラなあのクルクルモッフモフの髪型は一体どーいう意図なのでしょう?あーゆうのが実はスウィンギングなのでしょーか?知識無いので誰か教えてください(私にはむしろロココ調にも見えましたが)。  内容の方は、正直かなり薄っぺらいですね。特にお話は終始散々に漂流した挙句、全然意図してなかったゴールに辿り着いてる、という様にも見えます。だとすると、それこそスウィンギングな60'sのカウンターカルチャー的価値観を描くことの方がより重要なテーマだとも思うのですが、正直ソコもイマイチ伝わってこないのですよね。その点のキモはおそらくジョアンナの奔放さ、つまりはフリーセックスな恋愛遍歴の描写にあるのだろうと思うのですが、当時の人々にとってはだいぶ衝撃的であったとしても、現代の私が観た限りではそーでもない(=キョウビもはやフツーな風に見える)というコトかとも思われます。ちょっとトゲが抜け落ちてしまった映画、なのかも知れないと思いました。
[DVD(字幕)] 5点(2021-07-29 01:23:10)
47.  恐怖の足跡 《ネタバレ》 
終始かな~り地味で、現代に至ってはあんましホラーという感じの質感とも言えないと思う。強いてゆーなら雰囲気系、てなもんで。その雰囲気に関しては、特に白塗り亡者のシーンについては音楽がそれっぽいのもあって中々不気味で、こーいう安上がりな演出が活きるのはモノクロならでは(かつ率直にだいぶその中でも画質が粗い方だし)とも言えるのではないだろうか。なのでコレをリメイクするとゆーのは現代でも多分一筋縄ではいかないだろう(ひとつソレをフツーにやって失敗してるリメイクもありましたケド)。  あとは、ラストのアイデアにどの程度ビックリするか、に今作の評価は掛かってくると言えるだろう。まあ使い古されたヤツだし、類似作品もあることだし、なんとなく終盤は主人公が答えを自白してるよーな気もするし、ソコまでソコには期待しない方が好い、という気もする。眠れない夜にでも、寝物語として観る、という程度の使い方が個人的にはオススメ。
[DVD(字幕)] 4点(2021-07-28 21:10:00)
48.  ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド ゾンビの誕生 《ネタバレ》 
コレも随分久しぶりに観ましたが、やっぱメッチャ面白いっすね。コレを超えているゾンビ映画とゆーのは、今なおそれホド数も無いかと思いますですね。  「何故そーなったか」という点に眼を瞑れば、とにかく革命的な状況設定が優秀すぎるワケですが、今作時点で設定は既に完成されていながらそのシンプルさゆえに隙も無く、序盤からの状況不明さから次第に恐るべき数々の事実が明らかになっていく展開だけで今観ても特大の衝撃があります(この単純で豊潤で贅沢な展開運びは正に発明者の特権でしょう)。そして、そんな狂気に満ちた状況の中で右往左往し、取り立てて有効な対抗手段も見い出せず、終いには仲違いをして破滅していく登場人物にも非常に冷徹なリアリティがあります。終盤畳み掛ける悍ましい描写の数々にも、演出手法自体は安上がりながら十分な凄みがあり、この点からも見応え抜群と言えるでしょう。いや~面白い!正に原点にして至高、という作品ですね。また、ここまで完成度の高い低予算映画というのも珍しいと思います。  映画だって重要な文化の一翼を担ってるのですから、その意味では今作と二作目『ゾンビ』は義務教育の必修にするべきだと考えてます(中学生のうちに必ず観るべき映画だとマジで思いますね)。本来的に9点で好いと感じますが、9点は『ゾンビ』に、こちらは8点にしておきます。
[DVD(字幕)] 8点(2021-07-27 23:52:04)
49.  地獄(1960) 《ネタバレ》 
う~ん…とりあえず後半の「死後の地獄」はシンプルに、コッチが期待したグロ度・衝撃度というのに達していない描写のクオリティであまり観る価値が無かった、という感じ(時代が時代だけに過度に期待する方が馬鹿なのかも知れんケド)。  とすると問題は前半の「生前の地獄」の方ですかねえ。う~ん…コッチも私には、どー贔屓目に観てもブラック・コメディにしか見えませんでしたですよ。いくら何でも展開運びが雑というかテキトーとゆーか突拍子も無いとゆーか、リアリティの欠片も無いのですよね(そもそもあんなショボい交通事故で幸子が死んだ!あたりからだいぶ首を捻ってましたすよ)。こーまで真実味の無いものから恐怖や凄みを感じ取るというのはチョイ難しい、という気がします。結論的には、前半も後半も結局「地獄」というホドのモノは描けていない、というコトだと感じますですね。
[インターネット(邦画)] 4点(2021-07-27 20:53:19)
50.  007/カジノ・ロワイヤル(1967) 《ネタバレ》 
まあでも、昔の007って今時点に比べたら格段に軽~いノリで(少なくともロジャー・ムーア時代くらいまでは)、ソコと今作との「落差」とゆーのは、確実に今我々が007シリーズに抱くモノと今作とのソレよりは小さかったと思うのですよね。だからあくまで今作は豪華キャストのお祭り騒ぎとして(目くじら立てずに)軽~く観るのが正しいのだと思います。少なくとも、こんなカルト的にイカレポンチな作品だと思って「構えて」観るのは、当初の意図からは外れていると思うのです。  とは言え、特に終盤は本当に本当にやりたい放題で、軽く観たとゆーても流石にどーかと怒りを覚える人が(少なからず)居るとゆーのも重々承知です。ただやはり好いと思われる点、極上にシブいデヴィッド・二―ヴンや、底抜けに滑稽なウディ・アレン、そしてゴージャスな美女の大盤振る舞い、と、見所は決して少なくありません。暇潰しor話題づくりには完全に十二分かと(ただ一点だけ、女性陣は確かに美人揃いなのですが、ちょっと似たよーな見映えの人ばかり…とゆーのは少しだけ残念にも思いますケド)。
[DVD(字幕)] 5点(2021-06-29 20:39:13)
51.  サムライ(1967) 《ネタバレ》 
ノワールとしても、お話自体は非常にシンプル、かつ派手な展開も無く率直にかなり地味ですし、件のラストについても雰囲気自体は十分に好く醸されていますが、何故そーしなければならなかったのか、と言われれば若干疑問は残る、とも言えます。その意味では、お話自体の方よりは別のトコロに観るべきモノが在る映画だと思いますね。  それは言わずもがな、主演のドロンに決まっているのです。美しいですね。無機質な美しさと、冷たさ。血が通っているとは到底思われないほどに温かさ・生活感が排除されたその様はまるでターミネーターの様ですが(T-1000の方)その顔面が更に芸術品の様に美しいと。ハードボイルド極まりなくも前述どおり地味、というお話の内容も、ドロンの醸し出す雰囲気には好くマッチしていた、とも思います。もう一つ、ドロンの部屋がこれまた素晴らしかったですね。これも生活感無く、またあの壁の塗り方はなんなのでしょうか。あんな陰鬱な部屋に住んでいたら、常人ならすぐ精神を病んでしまいそうだ、とでも言いますか。  そしてドロン両手に華な女優2人の美しさも出色でした(これだからフランス映画は止められない)。ここまで主演陣の見映えが美しいと、全体の雰囲気も勝手に文芸的なまでに成ってゆくかの様な。たびたび観返している作品ですが、この雰囲気は個人的にはとても好みですね。
[インターネット(字幕)] 7点(2021-05-29 13:23:11)(良:1票)
52.  2000人の狂人 《ネタバレ》 
「血の三部作」の中で今作のみは、ワリとお話のアイデア自体の出来も好いし、バカにハイテンションなコミカル風味の演出方針も(どーしてこーいう感じで撮ってるのかイマイチ意図は定かではないケド)軽~いノリで楽しく観れるし、よく考えりゃ高度に狂ってて(ある意味)怖いし、面白み・ユニークな雰囲気とゆーものはかなり出せていると言えるのではないか。観る価値的には三部作随一と言ってもよいかと(後代に全く同じ内容でリメイクされただけはある)。とは言え、コミカル風なだけで別に笑えるシーンがあるワケでもないし、だから4人をそれぞれ嬲り殺すショックシーン以外の部分の展開運びは正直どーでもよいレベルで、かつそのショックシーン自体も(年代的なコトもあって)チープ全開ではあるので、諸々含めて個々の要素に今なお観る価値が大いにあるか、と言われると少し微妙かも知れない(そこは多分、人に依る)。  あくまで個人的には、前述どおりのハイレベルなイカレ具合の面を重視して、暇なら観とけば?くらいのスタンスが丁度好いかと思っている。個々のシーンで個人的に気に入ってるのは「樽回し」。
[DVD(字幕)] 5点(2021-04-29 20:48:03)
53.  血の祝祭日 《ネタバレ》 
スプラッタの歴史上の記念碑的作品とは言え、正直イマサラ観たトコロで何も面白いコトは無いですね。そもそも、ただスプラッタ(=血糊デロデロ+ズルッと生肉)なだけで決してホラー・スリラーにはなってないという超・限定的なジャンル映画ですし、諸々のクオリティも相当に酷い。稚拙な演技、ダサい台詞回し、素人感丸出しのカメラワーク…ツッコミながら観るにしてもチョイとキツイ代物すね。ショックシーン(これも今どき全然ショックでもねーレベルだけど)だけ矢鱈と画質が鮮明なのは、カネの掛け所の適切さを褒めてやってもよいですが。  まあでも、人類のお初でコレをやったろうと思い立って、色々と自分の能力に不足があるのは明らかなのに己を信じて最後までやり通した、という部分にこそ、いちおう歴史に残るだけの価値とゆーものがあったのかも知れない、とも思いますかね。ソコに免じて、1点プラスしておきます。
[DVD(字幕)] 4点(2021-04-29 20:48:02)
54.  回転 《ネタバレ》 
大昔に観たときは、率直によー分からん映画だと思ったのですね。それは、この映画を単純に幽霊映画・ホラーだと思って観ていたからだった、と思うのですが、今回、原作を読む機会があったのでそれを機に観直してみました。  そもそも原作と言うのは、幽霊がメインの要素である以上は間違いなく怪談の類いなのですが、その中でより注力して描写されるのは主人公の心理的葛藤、すなわち、思わせぶりな態度を取り続ける子供たちが実際に「黒なのか白なのか」という部分の疑心暗鬼、或いはグロース夫人との関係性(協調または敵対)の部分に生まれる緊迫感であり、そういった主人公の不安・不穏な感情を描くものとしては確実に(心理的)サスペンスという方が適切なのです。その観点からすると、非常に控えめな幽霊自体の描写、端的なデボラ・カーのヒステリックな感情表現、豪奢ながら寂寥とした屋敷や物悲しいオルゴールの音色が形づくる全体の陰鬱な雰囲気、結局白黒がハッキリしない不可解な結末、といった部分の仕上げ方・出来映えを勘案しても、確かにこれは比較的優れている・的確な方の文芸映画だと言えるのではないかと感じるのですね。  ただ、よく言われることですが「小説(原作)か映画か」という観点で言うと、今作は原作と比較すると実は色々随分と簡略化されている、という部分に若干の残念さを覚えるのも事実です。子供たちに対する主人公の猜疑心というものは、原作では非常に地味な描写の繰り返しによって(最初から最後まで一貫して不穏な空気に包まれつつも)極めて緩慢に形成されてゆくのであり、それが彼女の最終的な狂乱状態に説得力を与えるとともに、その長きにわたる「不穏さ」を味わう、という意味でのサスペンスの醍醐味を同時に生み出しています。が、映画の方は率直にそれが全体的に結構にアッサリしたものに変わっちゃってて、小説を存分に楽しんだ身からすると少しばかり物足りない、という感じなのですよ。  その意味で言うと、映画では特にグロース夫人との関係が非常に軽い描き方になってしまっているのがだいぶ気になります。ジェスルの幽霊がフローラにもグロース夫人にも見えなくて、結果フローラとの関係性が瓦解する場面というのは、同時に唯一の味方であったグロース夫人との協調関係が反転するという点で小説ではココイチ衝撃的な場面だったと言えるのですが、映画ではそれが残念ながらそーいうものにはなっていないのです。そういった部分も含めて(前述どおりかなり上質な映画化だとは言え)やや原作の持つ「ウリ」というものが分かり難くなっている映画、だとも言えるかと思うのですね。  とは言え、全体としてはまま悪くない出来だと思います。私の本当のオススメは小説の方ですが、こちらも決して観て損も無いかと。暇なら是非。
[DVD(字幕)] 7点(2021-04-29 09:49:38)(良:2票)
55.  血ぬられた墓標 《ネタバレ》 
お話は率直にさほど面白くはないかと。ただ、見所が無いというワケではありません。冒頭のトゲトゲマスクのシーンなんか結構に陰惨な迫力がありますし、途中のグロシーンやラストの「皺」の特撮等は、中々頑張って工夫してるな、という感じで観ることが出来ます。  なにより、主演のバーバラ・スティールの美貌ですよね。ヒロイン兼ラスボスという美味しい役のひとり占めですが、どちらの演技も(やや大仰ですが)そこそこ上々で、今作は彼女の映画だと言ってもよいでしょう。ホラーの歴史に残る作品でもあり、観る価値はあるかと。
[インターネット(字幕)] 5点(2021-04-19 16:10:40)
56.  異邦人 《ネタバレ》 
諸々ひっくるめて原作(の雰囲気)にかなり忠実というか、それはつまりどちらかと言えば(ややもすると)少し工夫を欠く、というコトにも思われる。何故そう思うか、と言えば、そーしちゃったら中々に勝目の無い戦いに陥る、とも思われるからだ、とでも言いますか。  小説も実に淡々としているのは映画とも同様なのだが、あっちはムルソーの一人称で書かれているため、ごく一部の箇所においては彼の心情の極めて重要な部分が直接的に表れてくるのだ。それがこのお話を理解するための非常に重要な取っ掛かりでもある。しかし、実際のそれは彼が心で独り言ちているものであるから、小説に忠実に撮ってしまったこの映画ではそれが抜け落ちてしまっているのも必然なのであって、結局コレ、小説読んでない人には多分「分からない」と思う。件の太陽の描写、ラストの監獄での神父との対話、等々、ソコも確かに重要だとは思うのだけど、でもソコ「だけ」でもない、とも思うのだよね。「太陽のせい」というのは、別にホントに「太陽」の所為であったワケではないのだからさ。  結局のトコロ、オーソドックスに映画化するには向かないタイプの小説、つーことかと思います(そもそも)。マストロヤンニ自体の出来は決して悪くないし、地味にアンナ・カリーナが出ててお得感もあったりするのだケド。
[映画館(字幕)] 5点(2021-04-03 19:19:22)
57.  仮面/ペルソナ 《ネタバレ》 
それでも終盤の前までは、それなりに理解はできた様な、というか。人間関係は多かれ少なかれ「与えること」と「与えられること」の相互作用である。言い換えれば、自己を「曝け出すこと」と他者を「受け容れること」のやり取り、とでも言うか。仮面を被り、黙して語らないのは、そのどちらをも(特に「曝け出すこと」を)拒絶するという行為に他ならない。と言うかソレは、他者が自分に「与える」のは勝手だが、それを受容もしないし、そして自らが「与える」ことは決してない、という態度でもって、あくまで他者に対して自分を優位に保ち続けよう、という行為の様にも思える。  そんなエリザベートを病身と看做す故に、むしろ明け透けに自分を曝け出してゆくアルマもまた、実は逆に「与える」ことで自分が優位に立っている気になっていた、様にも見える。そして、それが錯覚であったことに気づいたアルマの怒りと、それを嘲笑うかのようなエリザベートの笑いこそが、2人がその「仮面」を外した真実の一瞬でもあった様に感じられる。エリザベートはアルマの「仮面」を剥がすために全てを仕組んでいた様に見えたが、結果として自らも仮面の下の真の感情を垣間見せているのだ。率直にシーンの構造がややこしいとゆーか、否、奥深いとゆーか。  終盤はかなり抽象的な展開に陥り、結局全体を通してナニが言いたかったのか、ということまでは正直言って掴み切れなかった。「仮面」を被ることがもたらす安易な安らぎ、逆にそれを脱ぎ捨てることの困難さ…アルマは最後にエリザベートを否定し、自分がそうなることを拒絶するが、それがこの『仮面』という映画の結論か、その意図するところの真のテーマは何処に在るか…いずれ再見しよう。
[インターネット(字幕)] 7点(2020-12-03 00:13:09)
58.  荒野の用心棒 《ネタバレ》 
これ色々と相当に展開が分かりにくいのよね(死体を墓場においた意図とか、女を逃がしたのがバレた理由とか、バクスター一味壊滅の経緯とか)。テンポがごく普通で割とテキパキ観れるのはレオーネ作品としては逆に異色。ただ決闘シーンはかなりジックリ撮っていてこっちはこっちで見応え抜群。アクションがまあまあ派手で好いのと、イーストウッドは今作時点で既にメチャ格好好くて、そこら辺が見所かと。
[DVD(字幕)] 6点(2020-11-13 00:45:11)
59.  火の馬 《ネタバレ》 
調べると、舞台は19世紀のウクライナということらしいが、それよりも幾分古い時代の、というか、貧しさと同時に原初の力強さを多分に残している様な人々の生活が描かれてゆく、という作品。映画ではあるが、その部分には非常に(劇映画の範疇を超えるような)リアリティを感じるというか、諸々つくりもの感があまり感じられないトコロがまず心に響いてくる。特に二度の葬礼と中盤の婚礼のシーンは衣装・美術も色鮮やかで美しいトコロに、まずは今作、非常に綿密に組み立てられた構図からなる静止画の美しさが絶品であり、そのクオリティは同時代のタルコフスキーに優るとも劣らないレベル(火や水を画づくりのモチーフに取り入れる所なんかも似てると言えるのかも)。  更に印象に残るのが、静止画の美しさを重々醸しつつも、同時にカメラを実に大胆に動かしまくる「動きながらの」画というものがこれまた更に美しく、躍動感を溢れさせ、また幻想的でもあり、率直に非常に見事だった。映す対象・映し方の技巧・シンプルなシナリオ・長すぎない尺、どれをとってもアート系としては非常にバランスが良い。後続作品のややスピリチュアルすぎる傾向に比べれば、ダントツで一番最初に観るべきパラジャーノフ作品と言えるのではないか。傑作。
[映画館(字幕)] 8点(2020-11-01 06:24:15)
60.  シェルブールの雨傘 《ネタバレ》 
ミシェル・ルグランの音楽があまりにも素晴らしい。であるからして「100%歌」というかなり攻めてる形式も、この作品に関しては成功だとしか言い様が無い。特に、ラストの感傷の素晴らしさたるや(個人的には映画でこんなに泣いたことは他に無いってレベルで号泣しましたですよ)。恋愛映画では圧倒的に一番好きですし、あと今作のドヌーブがワタシ的には「映画史上最高の美人」でありますね。  私はまた、純・恋愛映画とゆーのには構成要素は3つしかないと思っている。「愛し合う美女とイケメン」+「悲しい別れ」+「ムーディな名曲」ただこれだけだ、と(もちろん、ハッピーエンドな恋愛映画もあるだろ!というツッコミは百も承知ですが)。だから、特にルグランの力ゆえに、今作は恋愛映画の白眉のひとつたりえるのであろう、と。
[DVD(字幕)] 9点(2020-10-25 03:29:28)(良:1票)
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