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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1248
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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581.  GIRL ガール(2012) 《ネタバレ》 
映画の趣旨としては、要は女性としての特性を維持したまま堂々と生きていけばいい、ということかと思われる。 その具体的な中身が何かということについては、まず序盤で母から娘に受け継がれた認識自体を否定するつもりはなく、それが人生を活性化するのであれば自分の裁量の範囲でいくらでもやればいいだろうと思う。ただその際は、自己表現と同時に外部からの視点で自己検証しようとする気持ちだけは持ってもらいたいと切に願うばかりである。 また感性を売りにするのはわかるとしても、感性的に相手を取り込もうとする態度までが常に通用するとは限らない。広告代理店社員とデパート社員のエピソードでは、最後のトラブルの際に理性的な説得を試みたのがかろうじて成功し、その結果として感性面でも共感できた、というのが原作由来のオチだろうが、それがわかるようにできていたかどうか。 そもそもこの映画では女性向けに閉じられた世界を作っているようなので部外者が突っ込むのも野暮だろうが、実際のところ働く女性を現実的に励ますというよりも、観客をいい気分にさせる方が優先のように見えており、特に劇中の男連中がみなストーリーにとって都合のいい人ばかりなのはかなりファンタジックに感じられる。素直にいい話と思うのは一児の母くらいのもので、新任課長についても言いたいことは少し(かなり)ある。また原作との違いを並べ立てるのも野暮だろうが、新人社員の指導係に関してだけは、いい人そうに見えた山本さんがその後どうなったのか聞きたいところである。原作短編集ではこの話が一番笑って泣けるのだが。  そういうことで自分としては全面的に肯定するような内容では全くないが、しかし見た後の印象はそれほど悪くない。娯楽映画として単純に可笑しい場面も結構あり、また主要人物の4人以外にもいろんな女優が登場して映像的にも華やかさがある。さらにラストのナレーションで「おとぎ話は嘘じゃなくて心のギフト」とまで念を押されてしまうと、まああえて騙されるのも仕方ないかと苦笑する気分になるので、これはこれでうまく作ってあるのかも知れない。
[DVD(邦画)] 4点(2015-07-18 12:34:36)
582.  ギャルバサラ -戦国時代は圏外です- 《ネタバレ》 
一応説明しておくと、名古屋テレビの開局50周年記念映画とのことでSKE48のメンバーが合計14人も出演しており、またAKB48関係者も2人が出ている。監督は「マジすか学園」の人だそうだが、当然ながら自分はそういう番組を見たことはない。  内容に関しては、要は女子高生が携帯持って戦国時代へ行く話で(男子もいる)、圏外といいながらも結構多用している。歴史上の著名人と女子高生とのやり取りは少し笑えるが、このままもう少し見ていたいと思っているところで着信音が流れを中断するのはケータイ時代のリアリティということか。ほか「三方ヶ原」という地名に対するバカ男子の反応には失笑した。 また一応まともな映画らしくドラマ性も重視されているが、しかし重要な台詞が変に小難しいのは困ったことである。例えば「未来」というのはもともと現在を基準として未だ到来しない時点の集合だろうが、その基準点をずらして相対的な概念として捉えるまではいいとして、個人が実現すべき将来像という意味も持たせてわざとわかりにくくしているようなのが面倒くさい。また「天下を取る」の意味が「日本一」というならまだ自然としても、これが拡張可能なのは「立身出世」という程度までが限界で、それ以上に一般化しようとしても意味不明でしかなく、これで最後に関係者が納得していたことの方が変である。さらに終盤では説明台詞が続く上、全く別のこと(生命の連続性?)を語る人物も混じっていたりするので、もっとすっきりさせてくれと言いたくなる。 そのため、そういう面倒くさいことはいちいち考えずに、とりあえず劇中の誰々は可愛い、とか言っておしまいにするのが正しい鑑賞方法だろうという気がして来る。個人的感覚としては主人公も可愛いとは思ったが、普通に正統派美少女のため見たあと顔を忘れてしまった。かえって態度の悪い親友の方は、ふてくされた顔のようでもにっこり笑うとかわいいのが印象に残った。そのほかSKE48の主要人物2人(木崎・小木曽)はさすがに個性的で存在感があった。  ところで劇中の女性教員は「日本史の教師」とのことだったが、この年でまだ独身だったようで、それがかつての歴女の末路だとすれば寂しいものがある。もっと歴女が愛される世の中になった方がいいと思うが、とりあえず劇中の歴女は可愛いので、自分がもっと若かったら嫁さんにしたい。話も合うと思う。
[DVD(邦画)] 4点(2015-07-18 12:34:32)
583.  死亡時刻<OV> 《ネタバレ》 
題名は「死亡時刻」だが、DVDの中身は「死角関係」との2本立てになっている。監督の公式サイトでは「密室シリーズ」と称しており、前者は2006年、後者は2005年の制作で、外部情報によると前者は2009年に渋谷・ユーロスペースのミディアムショートフィルムフェスティバル「真夏の夜の万華鏡」で公開されたとのことである。  それでまず「死亡時刻」に関しては、主演の粟田麗さんがとにかく可愛らしい。彼女のファンが全国にどの程度いるかわからないが、見て損はないと一応お知らせしておきたい(こんな所に書いても誰にも届かないだろうが)。内容の方は殺人をテーマにしたサスペンスのように想像するが、実際見てみるとそれだけでもない。短時間に各種要素を詰め込んで退屈せず、ラストもきれいに収拾されて一応しんみりさせる構成になっている。 また「死角関係」は女3人男1人の四角関係で、これもサスペンスフルな展開で先が読めないが、最後はちゃんと丸く収まりラストは爽快である。小粒でキュートだが心の広い主人公を主演女優(つぐみ)が好演していた。 両方とも小気味よさを優先した短編で深みはないが後味は悪くなく、また女優が好印象だったので少しいい点にしておく。  なおこの監督はもともと脚本家として関わった映画が多かったようで、監督としての代表作は上記2009年時点で「ホッタラケの島 遥と魔法の鏡」(2009)だと紹介されていたのは笑ってしまったが、それはそれで自分としても嫌いでないので結構である。
[DVD(邦画)] 6点(2015-07-18 12:32:03)
584.  トワイライト ささらさや 《ネタバレ》 
何がどう面白くなかったか考えるのも面倒だが、とりあえず全てが表面的で笑えもせず泣けもしない。ご近所のご婦人連中は薄っぺらで宿屋の息子も秩父鉄道の駅員もバカのため、舞台になっている町の暖かみというようなところに全くつながらない。また子どもの祖父の人物像に納得がいかず(この人は本当はいい人だったんですかそうですかふーん)、主人公が言っていた“子を持って初めてわかる親心”というような共通テーマもわかってやろうという気にならない。個人的には非常に残念な映画だった。  なお見ていて気づいたが、病院で子どもを抱いていた看護師役の女優は、子どもの祖母に当たる人物と二役ではないか? これも心霊現象の一種ということなら、ここにたまたま三世代の全員が集まって、主人公の夫は父親に続いて母親にも抱いてもらい、また祖母も祖父に続いて孫を抱くことができたことになる。この孫を祖母から母親の手に返す形になっていたのは祖父の過ちを正す意味になるだろうが、そういう小細工だったとしても、誰も気づかなければ無意味に終わる。
[DVD(邦画)] 3点(2015-07-15 22:07:28)
585.  グレイトフルデッド 《ネタバレ》 
姉の高校時代と現在にギャップがありすぎて一瞬唖然とする。また屋敷の場所が世田谷区豪徳寺と書いてあったのに現地が甲州恵林寺付近なのも飛びすぎている。 それはまあいいとして、内容的にはどこに共感すればいいのかわからない。前半は主人公の生い立ちを見ているので態度保留のままとしても、後半の惨劇以降はさすがに老人の復讐を期待することになるが、しかし肝心の対決の結末がすっきりせず、主人公が勝手に充足して最後は逃げを打ったようなのは気に入らない。また序盤で思い切り殴られた子役が迫真の演技で、途中で出た偽善者の救いの手も叩き潰したからには暴力路線で全編統一かと思っていたらそうでもなく、最終的には怪しげな宗教が最強だったというのは誠に心外である。ラストで意味不明な外国人が「可哀想な人」というのも上から目線で苛立たしいが、もしかして制作側としては観客にも同じように感じてもらいたかったのか??? それにしては全体に信用できない雰囲気が満ちており、最後まで疑心が解けないまま終わる胡散臭い映画だった。  なおどうでもいいことだが、盗人の手を砕く罰というのは現代ではちょっと考えられないが、近隣国(半島でなく大陸の方)で街の庶民が実際にやっている動画を見たことがあるので、そういう場所ではまだ生きている風習らしい。
[DVD(邦画)] 2点(2015-07-15 22:07:19)
586.  悪の教典 《ネタバレ》 
何を面白がればいいのかわからない。同じく非情な教員の出る「告白」(2010)を同時期に見たので違いが際立って見える。 内容としては前半はひたすら地味で何かが起こるのを待つだけ、後半はひたすら大殺戮が続いて終わるのを待つだけの映画である。個人的感覚でいえば、自分が死んでもらいたいタイプの人間は別として、特に恨みのない連中が死ぬのを見るのが面白いとは思わない。また殺される者の心情を描写することで何らかのドラマが生じるなら共感の余地があるが、この映画は大殺戮を見せること自体が主目的のようで、これに共感できない限り無味乾燥な作り物の殺害映像を延々と見続けることになる。 これで商売になるというなら別に結構だが、個人的には面白くないので点数は2点としておく。 ちなみにこれを見てから原作まで読む気にはならない。これより少しは文学的なのだろうが。
[DVD(邦画)] 2点(2015-06-30 23:49:07)
587.  赤々煉恋 《ネタバレ》 
原作由来のダークファンタジーを基本にして、若年者向けメッセージとエンタメ要素を加えた形になっている。主人公が死に至った経過も加えてあるが、当初の楽しかった学校生活や本人の愛すべきキャラクターと、その後の行動との間にギャップがあり過ぎて説得力がないのは残念である。 一方で映画の宣伝文句を見ると「自殺というテーマに挑んだ意欲作」とされているが、そういう前提でいえばストレート過ぎる内容である。現実の遺族が見れば心に刺さる場面もあるだろうが、しかし現に苦しんでいる人間にわざわざ“悲しいだろう?”と語りかけてさらに泣かせるような感覚であり、それ自体はあまり有益とは思われない。またこの映画では些細な動機で死んだ主人公と、その後も苦しみ続ける遺族とを直接対比させた結果として、死なれた側の立場だけが強調されて死んだ者は加害者扱いになっている。しかし現実の人間が死ぬ理由としては、本当は生きていたいのに、生きているのが死ぬほど苦痛だから死ぬ、ということもあるはずで、そういう観点が欠けたように見えるのは感心できない。 ただ、もしかするとそう感じるのは大人が見たからであって、初めから若年者向けに見せる前提なら案外この程度でいいのかも知れない。真剣に作っているはずの映画にマンガじみたCGアニメを出しているのも、子ども向けにやったことと思えば理解できなくはない。 そのほか、自殺者の霊は死後も苦しむといった検証しようもないことを材料にしては実社会に向けたメッセージになりえないと思うわけだが、ラストの締め方はよかったと思われる(少しほっとする)。こういう境遇の者が周囲にいなかった理由もこれである程度は説明できる。  なお主演女優は初めて見たが、カワイイかどうかは別としてなかなかいい感じの女優のようで、映画の内容にそれほど感心できなくてもあまり悪く言えないのはこの人のせいも大きい気がする。また主人公の友人のミドリについては、昔はあんなに可愛かったのにその後はこうなったかと残念に見えるところもあったが、ただしこの女優本人(吉田羊)は実年齢より10歳近く(正確には8歳?)若い役を演じる形になっており、何でも対応可能な女優さんというところか。
[DVD(邦画)] 6点(2015-06-29 19:30:45)
588.  都市霊伝説 幽子 《ネタバレ》 
学園ホラーのような感じで特に凝ったところもないようだが、映像・音響面の印象が良好で雰囲気としては悪くない。 ストーリーとしては何がどうなっていたのかよくわからないところもあるが、最後に主人公が題名の人物(本名は夕子)を受け入れてやろうとした行動は少し意外だった。この決着のつけ方が当初の事件の背景を暗示していたようでもあり、また終盤からエンディングにかけての意味不明な映像は、主人公が夕子を抱いたまま火葬炉に入ったと取れなくもない。ほかに各種の疑問点が残るが(成人の役者と子役の人数が一致しない、一人だけ同意書に署名していないなど)、意図的なものかどうか不明のためあまり突っ込んで考えないことにする。  ところで自分がこの映画を見た動機は女優のキャスト順で1番目の人を見るためだったが、前年の別のホラー映画であまりにかわいすぎる演出だったのに比べると今回はそれほどでもなく、普通にすごくかわいいという程度である。この人を含めて、この映画では若手女子が6人も揃っている点が大きな見どころになりそうなものだったが、実際問題としてはやかましい連中という印象の方が強かった。 そのほかDVD特典によれば、夕子の中の人も当時17歳程度の若年女子だったようである。劇中の目だけ見てもこれはやはり女の子だなとは思うわけだが、実際に素顔を見ると、この相手なら主人公の最後の行動もありえなくはないと思ってしまう。  なおどうでもいいことだが、劇中の児童がプールで死んだのを見ると否応なしに「告白」(2010)とか「麒麟の翼」(2011)を思い出させられる。この映画は殺された本人が復讐する話であるからごく自然な展開であり、また隠蔽した教員が最初に死んだのも真っ当な因果応報ということになるだろうが、それが前記映画のようなメッセージ性につながっているわけでもなく、単に思い出させられて終わりのようだった。
[DVD(邦画)] 5点(2015-06-29 19:30:36)
589.  がじまる食堂の恋 《ネタバレ》 
どうやら性別で観客を選ぶ映画のようである。内容としては登場人物の繊細な心理描写がなされているということらしく、日頃こういうものに親しんでいる人ならこれでいいのだろうが、自分が見る限りは面倒くさくてたまらない。嘘と秘密と不意打ちのせいですれ違うばかりで、「わかるかよ」と怒鳴って終わりにしたくなる。 また四角関係の中で恋愛関係に発展した2人以外は切り捨てられた感じになっていたが、うち男1人は自分で身を引いたのでいいとしても、謎の美女の方は完全に捨て石のようになってしまったのが哀れである(帰りの飛行機では泣きどおしで客室乗務員に呆れられただろう)。そもそもこの人は企業経営者の婚約者というにはあまりに女の子じみており、もしかすると同性の観客からは排除されることが期待されるタイプであって、最初から脱落するのが目に見えていたということか。どうも登場人物の取扱いが非情である。 そういうことで基本的には共感できない映画のはずだが、しかしラストシーンはなぜかそれなりに感動的で、そこからエンドロールにつながる流れもいい。最終的には何となく見てよかったという感慨を残したのは意外だったが、監督はもともと恋愛映画を得意とする人物とのことで、この辺はやはり上手いということなのかも知れない。  なお主演女優は、近年では「潔く柔く」(2013)で個性的な美女役だったのを見たことがあるが(過去にもっといろいろ出ていたが)、この映画ではいかにも不器用で健気で側にいてやりたいが少し面倒くさい人物像を好演していたように思われる。外見的には目が印象的なわけだが、また序盤で敬語を使うのが「かもめ食堂」(2005)の小林聡美のように聞こえたのは意識していたのかどうか。 そのほか今まさに時の人のような感じの名護市長が映っていたのは少し驚いたが、この映画自体は基地建設の是非について特に見解を示していなかったようである。当然だが。
[DVD(邦画)] 6点(2015-06-21 19:20:28)(良:1票)
590.  麒麟の翼~劇場版・新参者~ 《ネタバレ》 
予想よりもかなり軽い映画だった。最後に誰も幸せにならないのは原作者の他の著作にもあることだが、全体がお手軽なTVドラマにしか見えないために、例えば死んだ男の娘が最後に少し救われたような場面がないことがかえって理不尽に感じられる(あれだけ泣かせておいて放置か)。また死んだ男が日本橋まで歩いて行く動機が全く納得できないため、「メッセージを受け止めるのは生きてる者の義務」という台詞との関係が形だけのものにしか感じられず、中学教員がやらかしたこととの対比も明瞭になっていない。ただし、中学教員に対して言うべきことをはっきり言ってやったのは大変結構なことだった。  以上が映画を見た際の感想だが、その後に原作を読むとかなり忠実に映像化していたことがわかり、どうも原作自体がTVドラマ向きの軽い話だったということらしい。ただし映画では原作にあった最後の場面を省略して映画独自の盛り上げを優先したために、残った少年らがその後にどこに何をしに行ったか不明瞭になっているのは非常に問題である。この少年らの覚悟の程度(と中学教員のその後)をちゃんと示してもらわなければ、死んだ男が浮かばれないだろう。
[DVD(邦画)] 4点(2015-06-21 19:20:16)
591.  100,000年後の安全 《ネタバレ》 
淡々とした映画だが、映像的に美しいのでそれほど退屈しない。余計な人間が映っていないため世界の果てのような印象がある。背景音楽としてシベリウスのValse Triste(劇音楽"Kuolema"(死)の1曲)を流していたのはわざとらしくもあるが、使い方としては効果的だった。 現地は地質的に安定した場所とのことで、この映画でも技術的なことはあまり問題にされておらず、制作者も「地震や火山のない地域」であれば可と考えていたようである。代わりに後世に危険をどう伝えるかの方に重点が置かれた形になっており、この辺は日本人としてはずれを感じるところだが、ナレーションが未来の人間に語りかける形式のため、映像の印象と相まって10万年後の伝説を語るようなファンタジックな感覚がある。ナレーションに出る「君」は英雄志向の若者のようなイメージだが、最後は洞窟の怪物の返り討ちに遭って終わったらしい。 登場人物としては、一緒に出ていたスウェーデン人のオジサンとオバサンが微妙に慣れ合った感じで和む。一方でフィンランド政府の当局者?(肩書きがアドバイザー)は、映像的には黒で悪人イメージながら人物がいかにも頼りなく、これは本物かどうか疑わしいような気もする。  なお公式発表によれば、わが国でも先月下旬の閣議決定で最終処分の基本方針が改定され、これまでは外部の法人に任せていた候補地選定に「国が前面に立って」取り組むこととし、「国が科学的有望地を提示し、調査への協力を自治体に申し入れる」ことまでするらしい。同時に国民の理解を深めるためとして全国でシンポジウムなり説明会を始めているようで、そういう点で時宜にかなった映画とはいえる。
[DVD(字幕)] 7点(2015-06-18 00:58:44)
592.  絶対領域 《ネタバレ》 
劇中のアイドルユニットは歌とダンスに素人感があって微笑ましい("A to Z"のところの振りがキュート)。歌自体もなかなか味があり、フルコーラスで聞いてしまうと忘れられなくなる。 この連中は外見的にも持ち歌を聞いても純真無垢な少女などとは全く思われず、業界自体のいかがわしいイメージもあって裏は当然いろいろあると思うのが普通である。ファンとしては裏の現実を冷たく意識しながら同時に表の虚像を熱烈に崇拝する必要があるわけで、そういういわばDoublethinkのようなものが求められるとすれば、アイドルを愛するというのも結構高度な精神的営みということになる。  しかし、そのことを劇中のキモオタ男がどう捉えていたかはよくわからない。あまりにバカで愚直なために、たまたま虚像の向こうの実在の人物に触れることができたようだが、終盤で紹介されていた手紙の内容を聞くと、どこまで現実を的確に捉えていたのか怪しいものがある。この男自体はバカなので最後まで手紙に書いた通りに信じていたかも知れないが、一方で元アイドルがこの内容に自分が近づけるよう元気づけられたということなら、結果的にはこれが真実になっていく希望もあると取るべきか。虚像を挟んだ両側が、互いに元気をもらえる関係がアイドルの理想ということなのかも知れない。 この男が最後にどうなったのかもよくわからなかったが、元アイドルが一歩を踏み出すための礎になったとすれば本望だろう。自分ならそれでもう思い残すことはなく、エンディングで再度出た歌を心に携えて冥土でも極楽浄土でも行ってやるという気分だった。母親はもう少し複雑だろうが。  なお主演女優はアイドル顔にはあまり見えないが、本人はアイドルではなく役者なのでこれで十分である。劇中では少しキュンとする表情とか、この顔で迫ってきたら思わず引くだろう、と思うようなところも出ていてよかった。 出演者インタビューによると本人は自称アイドルオタク(ドルオタ)とのことで、“世界中の人々がアイドルを好きになれば世界が平和になる”と言っていたのは非常に共感できる(そういうことを言う人を初めて見た)。ただし、それは作られた偶像のイメージに全員が乗ることで初めて個別の利害を超えた場を共有できるのであって、これは宗教対立を乗り越えるのと同じくらい難しいかも知れないと思ったりする。
[DVD(邦画)] 6点(2015-06-02 20:07:16)
593.  地球防衛未亡人 《ネタバレ》 
特に見たいとも思っていたわけでもないが、この監督の「地球防衛少女イコちゃん」(1987)に始まるシリーズの最新作として一応見なければならない気がして見た。前作「地球防衛ガールズP9」(2011)との連続性は特にないが背景音楽を流用しているところがあり、最後の荒川河川敷の場面で流れていたピアノ曲は同作関連曲「虹色のステージ」のアレンジである。 今回は冒頭がくどい映像とともになぜか「祝典行進曲」で始まったので失笑したが、以降もけっこう笑う場面が多い。主演女優が普通に演技しているだけで可笑しいので、これでこの女優が微妙に好きになってしまった。この主人公を未亡人という設定にするためだけに人が死んだのは気の毒なことで、このシリーズで死亡者が表に出たのは初めてと思われる。また新聞社の編集部員役で南郷勇一氏が出ていたがこれは毎度のことである。 自分としてはそれなりに面白かったが、評判があまりよくないようなので対抗して少しいい点を付けておく。  なお大した話ではないが、防衛軍のオペレータは「愛川ワコ」という名前で、これは旧作のイコちゃんの氏名が「カワイイコ」というネーミングだったのと同じ趣向かと思って少し考えた。しかしアイカワワコではどうも意味をなしておらず、これはいわゆる一杯喰わされたということか。この女優は他の比較的まともな(主観的判断)映画にも出ているのでこんなバカ映画に出てはもったいないが、主演女優と並べると十分に初々しいので、あるいはこの人が「地球防衛少女」「地球防衛ガールズ」の正当な継承者だったのかも知れない。
[DVD(邦画)] 6点(2015-06-02 20:07:13)
594.  都市霊伝説 クロイオンナ 《ネタバレ》 
分類としてはホラーだろうが、怖い場面はごく限定的である。あとは意味ありげな構図の取り方とか小道具とか控え目な音楽で一貫した不安感を出しており、その雰囲気だけでも一定の評価をしたくなる映画である。誰かがジーッと見ているのを「ジーッ」という音で表現していたようなのは面白い(微妙なので勘違いかも知れない)。 劇中では心霊現象が外的に起こっているのか、あるいは登場人物の内的な現象なのか区別がつきにくくなっているが、また一方では心霊現象なのかどうかの境界上にあるようなエピソードも見られる。例えば風船割りの夢は病気の予知夢とも取れるが、あるいは尻が痛いという事実がまず先にあって、これを深層心理で合理化しようとした結果が夢になって出たとも取れる。また電池の入っていない目覚まし時計が鳴るのは明らかに異常だが、このとき従業員が「わけわかんね」現象に分類して日常の中に押し込めたように見えたのは非常によかった。自分のことで精一杯で、心霊現象のことなど考える余地が全くないというのは意外に強いのかも知れないと思わされる。 そのほか微妙なことだが、登場人物が車内で話しているすぐ外を自転車に乗った人間の姿が流れて行ったのは一瞬驚かされた。これは別に心霊現象ではないのだろうが、仮にそうだったとすれば、衣服の色が白いことが邪霊でないことを意味していたのかも知れない。  ところでストーリーとしては何がどうなっていたのか丁寧な説明はなかった感じだが、基本的には母親と子の関係が主な話題になっていたらしい。劇中では、関係が破綻したようでも母の愛は確かな事例、母親に拒否されて自棄的ながらも柔軟に生き延びようとしている事例とともに、母親に呪詛されているとしか思えない事例を並べていた。この3番目がどういう経過でこうなったのか不明だが、これはこれで歪んだ愛ということなのか、あるいは母親の自己愛の延長ということなのか。こういう問題の当事者になったことがないのでわからないが、とりあえず母の愛は強かったということだと思っておく。 なお主人公姉妹は二人とも美形だが、顔だけでなく体型的にもきれいな人を揃えたのが印象的である。姉役はともかく、妹役の女優はほとんど映画初出演(多分)ながらこんな役というのも大変なことだった。どうか今後とも頑張っていただきたい。
[DVD(邦画)] 6点(2015-06-02 20:07:10)
595.  武士の献立 《ネタバレ》 
笑いあり涙ありで特に深刻な破綻もなく、良質の娯楽映画と思われる。不満があったのは、いいタイミングで父親が倒れるなど若干の都合良さがあったことと、ラストに再度土下座が出なかったこと程度だった。そのほかエンディングの曲がどこか無関係なところから持って来たような感じだったが、これは聞かなかったことにすれば済むことである。  ところで、料理人が地場の食材を掘り起こして回るというのは当時からあったことなのか、あるいは現在の加賀料理の中に劇中の大名料理がどの程度受け継がれているかといったことはよくわからない。饗応料理の考証などは別にして、実際のところかなりの創作部分が含まれているのだろうが、ただし舟木家が実在の武家であることは間違いないらしい。 武士というからには武を尊ぶのは当然としても、一方では社会の秩序と安定を維持する責任を負った社会階層という面もある。特に江戸時代ともなれば一人ひとりが“公”の心を持ち、それぞれが己のなすべきことを考える、というのも武士の本質をなしていたのではないかと想像され、その手段は剣術ばかりでないはずだという考えも容易に導かれる。御家騒動の一方の首領が単なる悪役ではなく、やはり藩のあるべき姿を考えていたというのは出来過ぎな気もするが、それでこそ終盤に「武士」と「献立」をちゃんと結びつけた台詞が出て来たわけで、出来過ぎではあるが感動的な場面だった。 続いてラストも舟木家の安泰を見通す形で終わっており(最後の地蔵は子宝祈願と思われる)、大名家も一介の武家も、料理を通じて未来へのつながりを残す形になっていた。これも出来過ぎという気はするが、全体としてまとまりのいいお話になっていたのは間違いない。  なおキャストも豪華で申し分ないが、個人的好みとしてはやはり主演女優の存在が映画全体の価値を上げている。江戸の料理屋の娘ならもっと“おきゃん”(時代劇用語)な場面があってもよかっただろうが、今回は武家の妻らしく健気でしおらしい様子も出ていてよかった。こんな可愛い嫁さんに古狸はないだろう、と劇中の親爺と同じ気分になる。
[DVD(邦画)] 7点(2015-05-25 19:57:10)(良:1票)
596.  体脂肪計タニタの社員食堂 《ネタバレ》 
実在の社名を出して社屋も使っているが、見れば最初から最後まで作り話のコメディとわかるので誤解を生じる恐れはない。 内容としてはダイエットの基本知識を盛り込んだ上で笑って泣けるドラマをきっちり作った感じで、全体としてかなり満足度の高い映画になっている。映像に出る料理が具体的で種類が多いため料理映画としても一定の充実度があり、また登場人物も主要キャストが全員いい味を出していて、特にワンマン社長の怒鳴り声は嫌味がなくて格好いい。 ラストも基本的にみんなしあわせな感じで結構だが、しかし一人だけ悲運に泣く男が残されたようである。現実問題として異性に好かれたいというのは減量の最も強力な動機付けになるはずだが、この映画の立場としては一応“恋に肥満度は関係ない”と言ってみせたのだろうと思われる。  ところでお勉強の面から見ると、食べる順番が重要とかいう話は勤め先がやった健康食講座でも聞かされた覚えがある(忘れていた)が、2カ月後に壁があるなどという話を聞くと、なるほどダイエットの道が険しいということがわかる。重要ポイントとして「ダイエットの極意」というのが出ていたが、これはダイエット以外の人生全般にも言えることのような気がする。 また副社長が言っていたように、自分がやらなくても他の誰かがするはずだ(かつ自分より上手くやるだろう)と思うことは実際多々ある。しかし、たとえ結果的にでも自分が背負ってしまっているものがある限りは自分がやらなければならないのであって、そのことに副社長が気づくところは少し感動的だった。特に、みんなの思いというようなことを言われてしまうと個人的には弱い。  なお劇中の会社は別として、本物のこの会社に肥満の社員がいないのかどうかは気になる。肩身が狭いくらいならまだしも、“タニタにデ×な男は不要だ”と宣告されて処刑されるとかであれば社員としてはつらいものがあるだろう。
[DVD(邦画)] 7点(2015-05-25 19:55:38)
597.  クレヨンしんちゃん バカうまっ!B級グルメサバイバル!! 《ネタバレ》 
このアニメを見るのは初めてなので認識不足だが、とりあえずこの映画は大人の鑑賞に十分耐えるもののようである。もっともほかの大人の皆さんはお子さんと一緒にご覧になったのかも知れないが。 ストーリーとしては、いい加減な覚悟の防衛隊が解散の危機を結果的に乗り越えて、最後に使命を完遂するというのは一応感動的な構成である。各キャラクターはこれで平常通りかどうかわからないが、初見の立場としては犬が賢明で健気なのが印象的で、この犬がフラダンスで敵部隊を蹴散らした場面が個人的にはツボだった。ここは彼にとって面目躍如といったところだったのだろうと想像する。  ところで今回のテーマに関していえば、高級食材を庶民が食って美味とは限らないことを無遠慮に指摘していたのは笑える。食が芸術たりうるという主張自体は否定しないにしても、他の文化的な分野と違って食は生活に直結するところまで裾野が広いので、各家庭での日常的な創造性の発揮もまた食の豊かさを生むことになる。そのことが劇中でさりげなく指摘されていたのは少し感心した。また一日何も食わないとこれほど腹が減るのか、といったことも、食の基本的な重要性を伝える点で食育的な意味を持つといえなくはない。ただ単に笑わせればいいというのでもなく、ちゃんと題名に沿ったそれなりの内容を込めてあるのは真面目な映画に思われる。 そのほかオープニングのクレイアニメーション+KPPは中身を期待させる出来で結構よかった。それをいえばエンディングも悪くない。  なお一部で有名なようだが参考まで書いておくと、パープルのおねいさんが最終決戦に向けて人々に呼びかけている姿形は、ドラクロワの「民衆を導く自由の女神」から取ったと思われる。人物の前面に死屍累々なのも同じである。 もう一つ、イベント出店者のうち「お京」を名乗る人物がなぜか九州方言だったのは、「トラック野郎・御意見無用」(1975)のモナリザお京(渥美マリ主演の映画ではなく)を思わせるものがあったが、それは深読みし過ぎか。
[DVD(邦画)] 6点(2015-05-25 19:55:33)
598.  神聖ローマ、運命の日 オスマン帝国の進撃 《ネタバレ》 
映像的には現代風だが、特殊効果が安っぽくスケール感もあまりない。また人間ドラマ部分が見事に軽いので心に染みるものが全くなく、登場人物が泣いてもわめいても白々しいばかりである。 ただし実際に起こった事件が題材のため、歴史的背景に関心を持って見れば一応見られる内容になっている。ベネチアの修道士、オスマン帝国大宰相、神聖ローマ皇帝、ポーランド国王といった主要人物は実在の人物であり、映画の展開も実際の歴史からそれほど外れてはいないようである。ストーリー上もオスマン帝国側とキリスト教国側をほとんど対等に扱った感じで、トルコ側の登場人物もちゃんと人間味を出していたのは現代における最低限の良心的な作りといえなくもない。しかし一方でウィーンの皇帝を貶める形にしていたのは、ポーランド国王らを相対的に持ちあげるために叩きやすいところを狙ったような感じもある。  ところで劇中では宗教がらみのことが重要な話題になっていたようだが、何が言いたいのかはよくわからない。話を聞く限りトルコ側が寛容でキリスト教側が偏狭に感じられたが、イタリアとポーランドのカトリック教徒にとってはその方が心地よいということなのか。ドラマ部分では敵味方の区別なく理解しあえる雰囲気を出しておきながら、結局はキリスト教だけが絶対正しいと言い張るのもかえって人が悪い気がする。史実としてはこれがきっかけになってオスマン帝国の領土拡大が阻止されたということのようだが、それをもって結果的にキリスト教の優位が証明されたといわれても必ずしも納得できるわけではなく、それを最大の感動要素として押し売りされて素直に同調できる観客など世界にどれほどいるかという感じだった。葬式仏教徒がいうのも何だが。  なお余談として、途中でオスマン軍に合流したクリミア・タタールの首長役は日本人俳優(Hal Yamanouchi)で、これはクリミア・ハーンの系譜を遡るとモンゴルのチンギス・ハーンに至るという知識あっての配役と思われる。ただし本当にこういう東洋人顔だったかは不明である。
[DVD(字幕)] 4点(2015-05-23 20:44:35)
599.  ドラキュラZERO 《ネタバレ》 
15世紀の史実と小説「ドラキュラ」から少しずつ要素を取り入れて、あとは勝手にストーリーを作ったような形である。 ヴラド公の生地は実際にトランシルヴァニア(ルーマニア北部)であり、オスマン帝国に人質に取られたのも事実だが、同地の君主という設定にしたのは小説に合わせたものである。史実としては隣接のワラキア(ルーマニア南部)の君主であって、メフメト2世の大軍を迎え撃ったのもここである。このメフメト2世も歴史上の著名人のため、終盤の対決の場面ではどちらも死ぬはずはないと思っていたらメフメト2世がやられてしまったので驚いた。ここで死んだのだとすれば、これが史実からの最大の逸脱ということになる。またDraculaの意味について、映画の序盤でSon of the Dragon、終盤でSon of the Devilと言っていたのは、実際に両義性のある言葉だったのをストーリー展開に合わせて使い分けたもので、これは少し感心した。 そのほかラストで現代に飛んだ場面はロンドンだったようだが、これは小説の内容がロンドンにドラキュラが来るストーリーだったことによるもので、ここで女性の名前がミナだったのは小説の登場人物と同じである。 長くなったが考証的なコメントは以上である。  それでストーリーに関しては、一応まとまったお話ではあるがダイジェスト感が強く、意味不明な人物や事物が目につくほか特に序盤の展開が急で、あっという間に大軍が攻めて来るので呆れてしまう。ドラマ的にも薄味で、現実問題として息子を人質に出すのが当時としてそれほど過酷だったか疑問なため、悪魔と契約してまでの反抗に至る動機に全く共感できない。ラストは時代を超えて二人の魂が共鳴し合うといったところだろうが、それで特に心が動かされるようなものでもない。 結局は映画の中身自体より、この時代のこの地域の歴史を扱っていることが個人的に興味を引くというだけのものだった(デタラメだが)。ちなみに本物のワラキア公ヴラド3世は、敵兵だけでなく自国民も他国の一般民も必要があると思えば串刺しにする恐ろしい君主であり、庶民感覚で共感できる相手などではなかったろうと思われる。
[DVD(字幕)] 4点(2015-05-23 20:44:30)
600.  近キョリ恋愛(2014) 《ネタバレ》 
原作は読んでいないので映画限りの感想である。 まずオープニング部分の「本気にすんなよ」の辺は普通に可笑しい。これに続けて基本的にはラブコメだろうと思って見ていると実際はあまり笑えないわけだが、お約束の胸キュン場面がわざとらしくちりばめてあるのでまだしもおおらかな気分で見ていられる。 しかし後半に入ると変に真面目なラブストーリーになってしまい、前半では雰囲気で見過ごしにしていたものが常識人として許せなくなる。受験前という大事な時期に、これまでヒロインが頑なに守っていた精神的安定をぶち壊して大混乱に陥れ、将来の夢さえ奪う形で自分のものにしようというのでは人間としての最低条件を満たしていない。ストーリー的にはやむを得ずこうなった経過を作り込んだようではあるが、そもそも大人の男として、また教員として当然に予見すべきことをしないでこうなったのだから言い訳にはならないだろう。さらに最後まで結婚にこだわっていたのはもう頭が変としか思えないが、ただしこれは「耳をすませば」(1995)の聖司君と同じ心境と思えば納得もいく。まるで中学生の役を30前の役者が演じているような映画だったということである。  一方で個別の登場人物に関していえば、主役の男には当然ながら全く関心がない。それはいいとして、ヒロイン役は注目されている女優というのはわかるが、この映画ではあまりに無表情なのが不気味に見えて、キャスティングとして本当にこれでよかったのか怪しい。劇中人物としても、いちいち細かい仕草で心理を表現するのが煩わしく、また妙な理屈をこねてコミュニケーションを拒絶し自分を守ろうとする態度は病的で痛々しいとさえ感じられた。ヒロイン/主演女優の魅力の面でも評価できなかったことは、個人的にはこの映画の致命的欠陥である。 劇中の女子で最も好印象だったのは、キャーキャー騒いでいた3人組(邪悪な勢力でない方)だった。陽気で後腐れのない感じのこの連中なら、その後に歳を取ってから再会した時などに普通に懐かしがってくれそうな気がする。
[DVD(邦画)] 1点(2015-05-06 01:28:40)(良:1票)
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