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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1248
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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601.  ホットロード 《ネタバレ》 
原作者の年代が自分に近いので、このお話に理解を寄せる素地も絶対ないとはいえないはずだと思っていたが、しかしシリアスな少女マンガが原作となるとさすがに素直に共感できないのが少し悔しかったりする。今どき暴走族というのもどうかとは思うわけだが、そこは大して反感を覚えないようできている。 内容としては一応筋の通ったお話になっているが、やはり端折り気味だったり断片化しているところがある感じで、例えば親友の絵里は“主人公の親友になった人”というだけの扱いで存在感が半端である。しかし終盤で語られるナレーションでの総まとめを聞くと、親友を含めてこのストーリーで何が言いたかったのかは非常に明瞭になっており、原作段階でかなり良心的なものだったろうということは想像できる。 自分が見て印象に残ったのは、主人公よりもその母親がちょっと大変な感じの人物だったことである。他人に挑発されて初めて娘は自分のものと宣言したもののその時点ではまだ本能的な反応に過ぎず、終盤に至ってやっとそれなりの見解を示していたがまだ何となく他人事のようで、この先まだまだ母親としては心許ない気がする。しかしそれは再婚の夫が何とかサポートするのだろうし、みんな徐々に大人になっていくのだからまあ長い目で見ましょうということだろう。  ところで主演女優は、役者として中学生を演じているのはわかるが外見的には14~15歳には思われず、それなりの年齢の人間が他人の世話になっておいて礼のひとつも言えないように見えるのはつらいものがある。ほかの人物も、実年齢に近いのは自分の知る限り序盤の同級生(ユッコ)役くらいのもので、それ以外はほとんど設定年齢通りとは思われない。まあ映画とはそういうものだろうし、年齢が高いことでの安定感は確かにあるが、冒頭の「あの子たち」というのが誰のことかわからなくなっているのは困ったことである。 細かい描写で印象的だったのは、彼氏のいるGSに電話が来た場面で、この男が大事に思う相手ができた、ということをさりげなく映像に出していたことだった。また薬を口移しにする瞬間を風景映像に換えていたのは、今どきこんな奥ゆかしい表現が存在しうるとは思っていなかったので少し驚いた。主人公と彼氏は少しの間同居していたはずだが、その間に何もなかったということだろうから、この辺は古風な良心の現れと取れなくはない。
[DVD(邦画)] 5点(2015-05-06 01:28:35)
602.  はなればなれに(2012) 《ネタバレ》 
2012年の東京国際映画祭などに出品されたのは86分版であり、ほかに今年は100分版というのが劇場公開された(されている)とのことだが、自分が見たのはDVD収録の86分版だけである。映画のほかにノベライズ本があり、読むと少し細かい背景事情や登場人物の心理も記されているが、この映画ではなかったものとして扱うしかない。ちなみに同じ邦題のフランス映画は見たことがない。  そのような前提で思いついたことを適当に書くと、まず主演女優に関しては完全に騙されたという印象があった。この人が出るからには、ほんわかして心癒される笑顔が見られるはずだと思っていたらそれはラストの一瞬だけで、実際は仏頂面が大半だったのは全く意外だったが、まあ当方が勝手に思い込んでいただけのことで怒っても仕方ない。小型で軽快なウシ科動物(通俗表現でいうカモシカのような)を思わせるスタイルの良さだが、劇中ではその運動能力を使い余したような怠惰な雰囲気を出していた。 個別の場面としては、まずは海の見える屋上の絵画的な美しさが目立つ。また3人で腰かけていた火山島の岩場海岸は箱庭的な印象があり、個人的には「春の祭典」第1部背景画を思わせるものもあったが、あるいは皆で銭湯に出かけたようにも見えた(水鉄砲で襲撃されたのはそういう意味だろう)。ダンスやテニスの場面では、一人ひとりの即興的な動きが大きく発展しまた収束していく様子が、人間の理性で仕切れない世界の偶発性とか刹那性の表現に思えなくもなかった。 全体構成に関していえば、ばらばらだった3人がたまたま一定時間だけ居場所を共有し、またそれぞれの動きに返っていったということだろうが、それで以前と何がどう変わったのかはわからない。吸殻入れを常備することにしたとかいう変化はあったようだが、そもそも世界の出来事など全てが偶発的で因果関係を確定できるものでないとすれば、細かく詮索しても仕方ない気がする。 以上、特に映画愛好者でもない一般人の感想としてはこの程度である。正直よくわからない映画だった。  なお映画と関係ない話だが、ノベライズ本にある子どもの写真のエピソードは、人間という存在への根源的な敬意の念を呼び起こすものになっていて感動的だった。これを映像化しても意味不明になりそうな気はするが。
[DVD(邦画)] 5点(2015-05-06 01:28:29)
603.  おしん(2013) 《ネタバレ》 
谷村しん役の濱田ここねさん(ここねちゃん)は本物を見たことがある。「映画館で待ってます!」と書かれた名刺をもらったが、その時はただの子どもにしか見えなかった。 もとのTVシリーズはほとんど見ていなかった(朝ドラなど大の男が見るものではない!…暇はあったのだが)ので比較はできないが、映画は冒頭からいきなりシビアな感じの映像で始まり、続く家の中でも囲炉裏の火しか明かりがないようなのが明治のリアルを感じさせて気が引き締まる。また素人なので技術的なことはわからないが、映像面や背景音楽(エンディングテーマを除く)なども好印象に思えるところが多く、予告編の軽薄な感じは本編にはなかったように思われる。特に終盤で、外で雲が切れたらしく室内が早春の陽光で満たされる場面は、わざとらしいともいえるが印象的だった。 ただし登場人物のうち、父親役が子ども思いなのか粗暴なだけなのかがよくわからず、存在意義まで疑わしいのは難点に思われた。また終盤で提示されたテーマらしきものも、今どきこんな話で大丈夫なのかとは思うが、まあこれはこれで仕方ないのだろう。   ところで自分としては最近、泣ける映画はとりあえず警戒して初見時には評価を保留する一方で、登場人物が好きになれる映画についてはいきなり全面支持したりする傾向があるが、この映画はその両方に該当するので困る。もとのTVシリーズが内外で支持されたのは、まずは主人公が懸命に生きる姿が感動を呼んだということだろうが、その面では恐らく、この映画もまた旧作の価値の核心部分を確実に受け継いでいるのだろうと思われる。ただの子どもにしか見えなかった子役が、全編にわたってこれほど健気で誠実で一生懸命な姿に見えているのは、やはり本人の才能なり頑張りもあってのことに違いなく、他のことはどうであれ、とりあえずこの子限定でも見てよかったと思える映画になっていた。ここねさん(ちゃん)は南国の生まれなのに、雪の中で本当にお疲れさまでした。大変でしたね。
[映画館(邦画)] 8点(2015-05-04 23:13:55)
604.  わが母の記 《ネタバレ》 
邦題は単に「記」だが、英題の方は「年代記」になっている。映画では期間が14年間とされており、その間に登場人物も年齢を重ねて変化していくのが目に見えているが、そのような長期にわたる時々のエピソードを淡々と記述していく形になっているのは年代記の名にふさわしい。しかし、当初は一見ばらばらのようだったものが次第に母子の関係に収斂していくのはこの映画独自の構成であり、これは素直に賞賛したい。自分としてはまだ味わい切れていないところがあるような気もするが、とりあえず現時点でも間違いなく良質の映画と感じられる。 また役者についてはそもそも名優揃いで自分などが特に褒めようとは思わないが、主人公の三女役に関しては、メイクや衣装のおかげもあるとのことながら中学生から二十代後半までをスムーズに演じているのはやはり少し驚く。  ところでこういう話を見て思うのは、劇中にも出ていた「東京物語」(1953)のように、同じ映画でも年代によって見えるものは違うのだろうということである。高齢者の世話が大変だという観点ももちろんあるだろうが、人生の半分を間違いなく過ぎたと思う自分としては、死と向き合う登場人物が直接自分のこととして感じられ、親が亡くなれば視界が開けた感じがすると言っていたのも他人事とは思えない。うちの身内は高齢でも頭はしっかりしている者が多いので自分もそうだろうと思ってはいるのだが、いずれその時が来れば、この映画のような穏やかな風景の中で死ねるだろうかと考えたりもする。  なお完全に余談だが、劇中のバス車掌役の女優(枝元深佳さん)は役所広司氏(179cm)と比べてずいぶん小柄なのが目立つと思ったら、“150cmなので役に限りはあるが女優として頑張っています”という趣旨の記事をネット上で発見した。最近知ったところでは志田未来も同じくらいのようである。
[DVD(邦画)] 7点(2015-05-04 21:52:31)
605.  ねらわれた学園(2012) 《ネタバレ》 
外部情報(監督インタビュー)によれば企画段階から「時をかける少女」(2006)を意識していたとのことだが、時かけ2006が原作を換骨奪胎しながらもそれ自体がきっちり“時をかける少女”になっていたのに対し、これのどこが“ねらわれた学園”なのか全くわからない。超能力なら何のアニメでも普通に出て来るだろうし、テーマにしても“コミュニケーション”なら別にこの題名である必要はないだろう。またそのテーマにしてもそれ自体が感動を呼ぶものになっているわけではない。ストーリーを一応なぞった上で勝手に別物をでっち上げた大林版(1981)の方がかえって偉大に思われる。  またその半端なテーマのほかに、疑似SF的要素とか思いつくまま雑多なものを詰め込んだようでわけがわからなくなっている。せめて少年少女のラブストーリーだけでもまともに作ってもらいたいものだが、その一番大事な部分についてもヒロインの行動様式が尋常でなく、好きだ好きだと怒鳴って暴れるのでは思いを受け止めるにも限度がある。とにかく伏線を回収したとか何とかいう前に、まずは全体のストーリー展開に必然性を持たせ、かつ観客が心情的にも納得できるものにしなければ、とてもまともなお話とは感じられない。映画として公開するからには普通人が評価できるものを作ろうという気になぜならないのかが全く理解不能である。  一方で映像効果についてはあまりに力が入りすぎて煩わしいが、まあこれはこれでこういう世界と割り切って浸ることはできなくもない。キャラクターに関しても、女子はみなエロカワイイのでアニメ標準からすればこれでいいのではなかろうか。ただし、個人的に好きになれる人物が誰ひとりいなかったのは残念なことである。
[DVD(邦画)] 2点(2015-05-04 21:04:57)
606.  ライフ・イズ・デッド 《ネタバレ》 
原作との関係では良心的で良質な映画になっている。ストーリーは原作にかなり準拠した形だが、時間に余裕があったのか登場人物がかえって多くなっており、映画化に当たって内容が拡充された感じである。 劇中世界は原作のように緩い雰囲気ながらも人間関係はけっこう殺伐としている。主人公に対して好意的な人物に見えても、実は自分の思惑で動いているだけで「いい人」というのは誰もおらず、また多少納得していなくてもとりあえずカネだけはもらっておく(主人公の妹も)というような利己主義が基本の世界になっている。その中で恋人への献身は個人的利害を超えていたようだったが、これはたまたま結果的にそうなっただけで、愛が何者にも負けないなどということが示されたとは思われない。間違いないのは主人公一家の絆だけだったようだが(少し波乱もあったが)、これも含めて現実の人間社会の姿が淡々と、多少戯画的に描かれた映画というように感じられる。 ただしコメディというほど可笑しくもない。マンガの映画化ではあるが、冒頭の場面からしてシビアな状況だったのにコメディ風味を残しているのはかえって半端な印象もあり、やはり絵柄がものを言うマンガを実写化するのは難しいのだろうと思われる。 またホラー映画としての怖さもないので、せめてもう少し娯楽要素があった方がいいのではと思うわけだが、そこを補っているのが妹役の女優ということかも知れない。超絶美形というわけではなく、可愛く見える場面も可愛くなく見える場面もあるがいろんな表情が出ていて面白い。沖縄でCMに出ていた時に評判だったらしい変顔も披露してみせており、この人を見られたのは得した気分だった。
[DVD(邦画)] 5点(2015-04-25 19:59:20)
607.  四十九日のレシピ 《ネタバレ》 
主演女優はいつまでたってもきれいで可愛らしい。子役には申し訳ないが大人状態の方がずっと愛らしく見えており、劇中の人物像としても聡明で健気なのが愛おしく感じられる。また出番は多くないが、独身時代の義母(演・荻野友里)も何気にいい感じで泣かせる顔をしてみせている。それから何といっても泣かせるのがレシピのビジュアルで、素朴でユーモラスな図柄や文字は見ているだけで泣けて来る。   ところで、これを見てから原作を読んで確認したが、劇中で心を動かす要素の多くは当然ながら原作由来であり、一方で映画化の際の問題点が目につく。 まず映画では主人公の伯母が、これはもう早々に世を去ってもらうよう願うしかない、という類の人物に見えていたが、それが終盤で突然“ほんとはいい人”に大変身する展開には呆れ果ててしまった。原作ではそれほど変に思われないので、これは映画の方の演出や、細かな人物描写の省略が原因と想像する(入水を止めただけでは説得力なし)。加えてハワイアンも意味不明のため、この場面が続けば続くほど違和感が拡大して、映画全体の価値が低落していく結果になっていた。 また「テイクオフボード」の考え方自体は結構だが、こういうのはある程度の年月をかけて、現状の追認を含めて得心していく性質のものである。そのため映画のラストで、主人公がいきなり具体的な解決方法を導き出したように見えるのはかなり不自然だった。ストーリー中でもこれに向けた伏線を準備していたようだが、こういう安易な結末を導くためだったかと思うと落胆する。当事者の心情などお構いなく、手っ取り早く形だけ整えて決着を付けたようなのは反感さえ覚える。 そのほか現在の父親の人物造形に問題があり(結婚当時の方がまだ自然)、またローマ字の裏返しをこんな風に半端に扱うくらいなら全削除の方がまだましだ、といった不満が多数ある。いい原作を採用し、いい役者を揃えたようではあるが、いい映画とはいえない出来だったのは残念なことだった。   ちなみに原作は、感涙どころでない爆涙小説である。読む人の年代にもよるだろうが、自分としてはかなり手ひどくやられてしまった。
[DVD(邦画)] 4点(2015-04-10 21:53:14)
608.  心霊写真部 弐限目<OV> 《ネタバレ》 
とにかく主人公がかわいすぎる。しーちゃんかわいいかわいいかわいいかわいいで頭が一杯になって冷静に見ていられない。基本的には女優がかわいいわけだが、劇中人物としても、休日に同級生男子と池袋に出かけたのをデートだろうと先輩にからかわれて「違うのに!」と反論するのがかわいい。 またストーリーとしては前作と同様、心霊関係の世界でありがちな話を解説付きで取り上げているので堅実ともいえる。この弐限目では5話と6話が少しシビアな感じで、うち5話の竹中美歩役は熱演ごくろうさまだった。また6話の桂川ナオ役も、完璧美少女でもないが実年齢より大人びた感じで、役どころとの関係でもかなりいい雰囲気を出している。 このあとに予定されていた参限目と四限目は制作されず、結局この弐限目で中断した形になっているが、ここまでの範囲でいえば、かわいい主人公が出る一話完結の楽しいシリーズであり、毎度の心霊ネタやゲスト女優も見どころになっている。それだけならわざわざ映画にする意味がないということになるだろうが、個人的にはこれで満足である。  なお現在、幻の参限目と四限目で想定していた内容を含む新作がすでに完成しており、まもなく公開されるとのことで期待したいところだが、主演女優が別人なのはやはり残念なことである。結構な年数が経っているため高校生役はさすがに無理なのはわかるが、しーちゃんが出なければ個人的には価値が半減するわけで、この面でも旧作に負けないものになっていればいいがと思っている。
[DVD(邦画)] 6点(2015-03-31 00:23:57)
609.  心霊写真部 壱限目<OV> 《ネタバレ》 
別のDVDでたまたまこれの予告編を見たところ、主人公があまりに可愛いので本編も見ないわけにはいかなくなった。こんなに可愛いのは反則というしかなく、ニコ生ホラー投票1位とかいうのもほとんどこの人のおかげだろうという気がする。高校入学直後という劇中の設定年齢と、女優の実年齢には実はかなりの差があるが、とにかく可愛いので無問題である。ちなみにこの女優が本当に高校生の年齢だった頃の姿は「幸福のスイッチ」(2006)で見られる。  それで内容としては、ホラーとして見ればそれほどユニークでもなく、アイデア自体はどこかで見たような話も多いが、しかし現実に心霊関係で語られがちな事象を取り上げているのでわざとらしいところはあまりない。特に第1話など、一つのエピソードに複数の原因が関連づけられているのはストーリーとして整理されていない印象もあるが、実際にこういう場所では類が友を呼んで様々なモノが共鳴するといったような、いわば常識を踏まえたものとして見ればかえって真実味が感じられる。ホラーというより心霊現象好きとか、実話系怪談のファンが好む内容かも知れない。 また主人公の圧倒的な可愛さもあってエンターテインメントとしても悪くない。主人公がおののく顔がたまらなく可愛らしいが、ほかにもこの壱限目ではカラオケとかプリクラといったものが出るので女子中高生が多く賑やかで、うち特に第3話の瑞希役は熱演ごくろうさまだった。またどうでもいいことだが、第1話の題名で肝試しをひらがなで「きもだめし」と書いていたのが低年齢向けのようで微笑ましく、全般的に結構いい印象を残すお話だった。  なお、こんなC級ホラーでも書こうとしたらあらかじめちゃんと作品登録されていたのはありがたいことだった。常に周囲の皆様への感謝を忘れずに生きていかなければならないという教訓である。
[DVD(邦画)] 6点(2015-03-31 00:23:46)
610.  地球防衛ガールズ P9 《ネタバレ》 
旧作の「地球防衛少女イコちゃん」より隊員数が増えていて豪華だが、人数が多いため全員の顔を憶えられないのは現代アイドルの実態そのままである。昭和的な清楚さといったことは全く重視されておらず、年齢差も大きいため「少女」というより「ガールズ」というしかない雰囲気になっていた。 そのせいもあって、旧作における美少女の“お願いパワー”などという発想も通用しそうにない。そのため劇中では昔の隊員を引っ張り出してきて“みんなで祈れば願いはかなう”というような昭和的な知恵を授けていたようだが、最後には敵が滅びるわけでもなく潜伏しただけであり、その効果のほどは不明だったというしかない。 今作で最大の危機をもたらしたのは内部崩壊を狙った工作であり、これは昭和特撮の古典的な戦争観からの脱却のように見える。また侵略者だか何だかよくわからない連中が市中に出没するようになっており、もはや単純な敵味方の観念が通用しない時代の反映のようでもある。しかし抑止力としての武装が重要性を失っていないのも国際社会の実態であり、劇中でも実力を保持したまま戦わないで済む防衛軍が復活していたのは幸いだった。  ところで今作で北朝子を名乗っていた人物は、最後に月に帰るのかと思ったら災害に苦しむ人々のもとへ赴くとのことだった。この映画の撮影は2011年の夏だろうと思うが、劇中発言にあった内部崩壊も“宇宙人”も当時の時事ネタと考えれば、この人物が人間(日本)など見放したように言っていたその感覚を同時期の自分もまた共有していたことを思い出す。そうしてみるとこの人物の最後の言葉には、意外に真面目に震災後の日本を元気にしようという意図が込められていたのかも知れない。 以上のように、さまざまな面で21世紀進化型ver.にふさわしい映画になっているといえなくもない。実際どこまで真面目に考えて作ったのかは不明だが、一定の解釈のようなものが可能であるからには、必ずしも純粋なバカ映画として制作されたわけでもないようである。  なお劇中で特に印象的だったのは「ハセトンって何?」であり、ここで壁のサインに通電しているからには広告の意志があるはずなのに意味不明、という不条理さがこの場の異界感を際立たせていた。また「バナナはお菓子じゃないのよ」という台詞には、大昔に忘れ去ったはずのものを突然指摘されて虚を衝かれたような心理的衝撃があった。
[DVD(邦画)] 5点(2015-03-28 21:18:12)
611.  とある飛空士への追憶 《ネタバレ》 
全体として何が表現したいかは理解可能であり、雰囲気も大体伝わるので悪い話ではないとは思うが、残念ながら見る方の気持ちがついて行かない。特に初見時に問題と思ったのは、当初は控え目に見えたヒロインが途中で豹変してツンデレ化することであり、これはいかにも美少女アニメ的な悪ふざけとしか思われない。またクライマックスもほとんど気分が高揚せず不完全燃焼に終わった感があり、ここに至るまでの盛り上げに何らかの問題があったのだろうという気がした。 その後に一応原作を読むと、基本的な構造を損なわずに短縮しているのはわかったが、やはり細かい人物描写や台詞に出ない言葉を省略したことに無理があったと思われる。特にヒロインの人物像に関しては、原作の少し複雑な設定は完全放棄して単純化し、例えば当初のおとなしい人物のまま次第に思いを募らせていき、ラストに至って初めて感情を爆発させるとかの方が、短い映画の枠内に素直に収まった気がする。 また終盤で、主人公が愛機の心を思いやる(または、自分の思いを愛機に仮託する)箇所が省略されていたのは残念だった。アニメで表現するのは難しいだろうが、これがあってこそ主人公が最後にわざわざ飛んで来て「踊ってる」理由も明らかになるというものである。ついでに軍艦の機銃員が思わず撃墜したくなりそうな危ない動きも避けてもらいたかった。  ところで声の出演に関しては、特に最初の方で主人公の声が生硬に思われるところがあったが、後半はまあ慣れた。ヒロイン役に関しても、そもそも人格設定に一貫性のないキャラクターの役をそれなりにこなしていた印象がある。 そのほか、ヒロインの姿は原作の挿絵よりは抵抗感がないので結構である。また海空の映像もそれなりに印象的だが、まあこれがなければこの原作を映画化する意味そのものがなかっただろうとは思う。全体として佳作ともいえないが駄作という感じのものでもなく、暖かい目で見ればそれなりの感慨を残す映画ではあったので、原作に免じてここは少し甘い点を付けておく。
[DVD(邦画)] 6点(2015-02-16 23:23:15)
612.  ゆめのかよいじ 《ネタバレ》 
盛り込み過ぎてそれぞれが半端になった感じの映画である。“忘れてほしくない”“残されるのはもういや”という思いはわかる(台詞に出ているため)が、心情的に迫って来るものがあまりない。またその“忘れてほしくない”と連動する形で、街の古いものが失われていくのを悲しむ思いが込められていたようにも見えたが、それと地震の関係もよくわからない。街全体が壊滅したならともかく、単に校舎が失われるだけなら火災で十分だったと思われる。 またご当地映画であること自体は構わないが、実在の街に人魂だの座敷童子だのが普通に存在しているのは遠野物語になったようでやり過ぎである。それより自分としては、地震当時(2004?)にはまだ「栃尾市」であったはずのものがその後の合併で自治体としては消滅してしまい、劇中でも「栃尾」だけで「市」の言葉が出て来ないということの方に微妙に悲哀を感じる。   ところでこの映画の撮影は2010年とのことで、東日本大震災(2011)の影響もあって公開は2013年まで延びたということらしい。主演の石橋杏奈は撮影時点で18歳くらいだったようだが、高校生にしては大人っぽく色気あり過ぎなのが目についてしまって仕方ない。特に個人的には、それまで微笑んでいたのが突然不安な表情に変わる不安定さが愛しく感じられる。またラストの「お構いなく」の場面では、大好きなのに近づかせてくれなかった相手との距離感が確実に縮まっていて、次のステージが見えて来たのが観客としても嬉しいわけだが、そういう印象を持たせる上でもこの人の持つ雰囲気が非常に効果的だった。 一方で相手役の竹富聖花という人は申し分ない美少女ではあるが、この時まだ15歳で事務所のオーディションに受かったのと同年ということらしく、演技の面で心許ないのは突っ込まないようにしなければならない(少し呆れたが)。ほか主人公の友人役の日置かや(当時・浅野かや)もいい感じだった。 ちなみに同級生のカメラ小僧役で出ていた男は、「制服サバイガールⅡ」(2008)への出演によって強い(最悪の)印象を残しているが、この映画はその2年後の状態であり、まあそれほどの違和感もなく役をこなしていた。この映画では微妙にトボけた感じのある役だが、さらにこの2年後の「仮面ライダーウィザード」(2012)では、文句のつけようのない格好いい主人公を演じていたに違いないと想像する(見てないので不明)。
[DVD(邦画)] 5点(2015-02-16 23:23:06)
613.  コネコノキモチ 《ネタバレ》 
ネコの出番は意外に少ないが、映像面での美しさは全編にわたり徹底されていたようで、また音楽の使い方もオーソドックスで心地いい。監督はPV制作で有名な人とのことで、その面の特徴も出ていたものと思われる。 主演はアイドルグループ「アイドリング!!!」3号の人(ただし2014.2月卒業)であり、この人のPV的な意味があったような感じもある。別映画で主演していたのを見たときは、役どころのせいもあって茫洋とした感じでどこをほめればいいのかわからなかったが、この映画では喜怒哀楽も出ており、ちゃんと普通の人間だったことがわかって好印象だった。この人の歌う「空の木」が映画のテーマ曲であり、劇中でも墨田区が舞台だったことから、東京スカイツリーのプロモーションを兼ねたような印象もある。   それでストーリーとしては、父親/夫の死による心の欠落を埋められずに2年が経過した家で、ネコの登場により娘と母の心境変化が促され、やがて家族の再生に至るという話である。そのようにまとめてしまうと非常にありきたりな感じだが、実際見れば相応の感動がある。娘と母それぞれの年代に応じた気づきや悟りが描かれているが、特に母親が“生きている今が大事”と思い至る場面は印象的だった。言葉のほかに状況や映像で語られている内容も多いので、一つひとつの場面を大事に見なければという気にはさせられる。 ただし中盤以降では、なぜか意味不明な登場人物が乱立している印象もあった。しかしこれは一見意味がないようでも、世間ではどこで何がどう関係して来るかわからないので、一瞬のつながりでもとりあえず大事にしておこうという意味に取ればいいのかも知れない。   そのほか友情出演のアイドリング!!! 6号(外岡えりか)が、終盤でネコ役になって登場していたのは斬新な試みかも知れない。演じるヒトとネコの年齢がイメージ的に一致せず、とても同一人とは思われないのだが、まあ微笑ましい趣向とはいえる。この擬人化ネコがラストで再登場するのも失笑というかユーモラスだが、ただしいくらアイドルでも本物の子ネコには絶対かなわないだろうと一応書いておく。
[DVD(邦画)] 7点(2015-02-04 22:50:39)
614.  飛べ!ダコタ 《ネタバレ》 
まず終盤の村長の言葉は、印象的ではあるが微妙である。軍部の起こした戦争だった(国民は無責任)というのは現在も国民的常識であるから、ここであえて国民側の責任を指摘してみせた度胸は買う。しかし続いての“次の戦争を止める”との発言を聞けば、結局“誰か(要は国)が戦争を起こそうとしているので国民は止めなければ”といった昔ながらの脅威論のようで鼻白む。 当時はともかく、現実に有権者の投票行動が国の方向性を左右している(実際にした)現代においてこそ、民主主義の制度を通じた国民の主体性と責任感の発揮が求められており、その中で、今後の戦争の抑止に向けた現実的な努力も期待されることになる。そういった意図なら賞賛するが、そうでなければせっかくの感動作に古風な政治的メッセージなど込めるのは歓迎できない。むしろ劇中の経過を素直に受けた形で、広い民間交流が世界平和の礎を築くのだ、という素朴な文脈で語ってもらいたかったというのが率直な感想である。   ところで、劇中で変な親爺が日露戦争時の歌(「広瀬中佐」)を歌った後で「昔の同盟国」と言っていたのは、近視眼的な敵味方の区別をあざやかに無化してみせていて説得力があった。これはどちらかというと建前論の部類だろうが、その後の母子の情愛や歌の場面を見ていると、いわゆる諸国民の融和というような内容が、庶民(イギリス側を含む)の自然な感情に根差した形で表現されていて心に染みるものがある。 また登場人物では、その辺のオカアサンのように出ていた2人がユーモラスで、結構ブラックな軽口をたたいておいて結局笑いに巻き込んでしまうのが可笑しく、これはある種庶民のたくましさの表現だろうかという気がした。方言のため何を言っているかわからない場面とか、背中の叩き方など見てもこれは本当に地元の人かと思ってしまうが、こうした住民の姿が役者の力で映像化されているのは嬉しくなる。 そのほか、冬の日本海の風景は寒々としているが美しい。全国的観点からは“裏日本”などただ陰鬱なばかりと思われているかも知れないが、そこにはちゃんと四季もあり、ちゃんと人間が住んでいて喜怒哀楽も人の情もある。自分は佐渡と直接の関係はないが、同じく日本海沿岸の四季と人を知る者として、佐渡の皆さんの幅広い協賛と参加で作り上げたこの映画を(前記の苦情を除き)ほぼ全面的に支持したい。これは見てよかった。
[DVD(邦画)] 8点(2015-01-24 17:47:36)(良:1票)
615.  POV〜呪われたフィルム〜 《ネタバレ》 
グロ映像などはなく雰囲気で感じさせるのは基本的に好印象である。主要人物2人が本人役で出ており、そのためフェイクにしてもあまり無理がないというか、初めから作り物と割り切って見ていられるところがある。序盤の携帯番組がとぼけた感じで楽しい。 ただストーリーとしては平凡なものであり、「リング」以来のメディアを通じた怪異の拡散といったところは冒頭から想像がつくわけだが、それが観客側まではみ出して来ると匂わせておきながら、実際は特に脅威を感じさせることもなく終わっていたのは拍子抜けである。ほかに若干の捻りはあるものの個別アイデアのレベルであり、映画全体の価値を高めるほどのものでもないと思われる。   ところで、突然の大音響で驚かすのは真面目なホラーファンなら嫌うのだろうが、この映画に関しては狙って多用しているらしい。皆が怯え切っているところで携帯のブザー音が鳴ったのは大笑いしたが、その後に正体不明の衝撃音が鳴り渡る中、浮足立った連中が一斉に走り出してわけがわからなくなる場面の臨場感は結構楽しめる。 またその場にいても立ってもいられない感覚の表現が巧みであり、特に前半では、画面に顔が映る直前に逃げ出す人々や再生を止めようとする人が交錯してカメラが倒れた場面が秀逸だった。後半では、一か所だけ明かりがついた場所から何かが近づいて来るのを実況中継で見ながら誰も動けないでいるのが印象的だったが、ただしこの場面では、一番怖がりなはずの人物が最前線の位置を動かずにいたのが不自然で残念である。   そのほか登場人物に関して、主要人物2人のうち志田未来は相方の川口春奈(166cm)と比べると小柄なのが目立ち、怖がっているところなど見ても非常に可愛らしい。この人が毅然とした発言でプロ意識を示したり、後輩思いなところを見せたりしていたのは、本人役でやっているため女優としてのイメージアップを促している感じもある。また個人的には、AD役の人(嶋﨑亜美)の微妙な顔つきも印象に残った(このADは何でわざわざ現場に来たのか?)。   以上、世間の評判はどうかわからないが、自分にとってはいろいろと面白い映画だったので、出演者への加算を含めて少しいい点を付けておく。
[DVD(邦画)] 6点(2015-01-03 21:54:32)(良:1票)
616.  風切羽~かざきりば~ 《ネタバレ》 
公式サイトに経過が書かれているが、もともと後半のロードムービー部分を先に制作し、後に前半部分を追加して長編にしたとのことである。撮影自体は2012年だが、序盤で出ていた震災関連のニュースは2011年のものであり(4/17日曜日、気仙沼の朝市)、自分としては現実世界のこの時期に、春の明るい陽射しと裏腹に感じていた内心の不安を呼び覚まされる気がしたが、これは意図されたものかどうかわからない。  映画のテーマは“親に愛されない子ども”ということらしいが、劇中の出来事自体は個人的知見から想像しうる範囲に収まっていて特に目新しいものはないように見える。しかし改めてこのように見せられるとやはり心穏やかではなく、劇中の少女が弛緩したような荒んだ感じを全身で出しているのも痛々しい(4月中旬にこの格好では寒いだろう)。まるで世の中にまともな大人がいないように見えるのは同じ大人としてつらいものがあるが、逆に少女の境遇が周囲をこういう連中ばかりにしていると解すべきか。 今回の件で、この少女としても何かふっ切れたものがあったようではあるが、しかし少年と違って閉じられた円環からは抜け出せず、元の場所に回帰しただけのようにも見えている。劇中で生じた現世的トラブルは残されたままであり、携帯を使う営業からも簡単に抜け出せるのか怪しい気がするが、まあ根本的な解決は劇中人物というよりも、現実世界での対策如何によるというのが映画の趣旨だろう。  ところで主演女優に関しては、舞台挨拶で「あたし走るのが本当に下手で…」と言っていたが本当に下手である。自分としてはこの人をよく知っているわけではないが、よく知っている人が持つイメージとはかけ離れた役をやっているのは間違いない。前髪を下ろしたことでも雰囲気がかなり違っているが、特にこの人の顔で特徴的な目が、いつもと同じはずだが全く違う目のように見えており、冒頭では視点の定まらないうつろな表情がいきなり印象的だった。公式サイトを見れば、オーディション時にこの人がとりわけ努力家だったことも記されている。 そういったことから私情にはなるが、評点はこの人のために若干加点しておく。
[DVD(邦画)] 7点(2015-01-02 10:25:47)(良:1票)
617.  ひ・き・こ 降臨<OV> 《ネタバレ》 
監督(吉川久岳)、脚本(宮崎大祐)、製作(アムモ98)が前作「ひきこさんの惨劇」(2013)と同じだが、出来は一段違った印象がある。 普通一般のホラーを志向したようには全く見えず、社会の中の人間を主題にしているのは「口裂け女2」(2008)を思わせるものがあり、個人的にそれほど共感するわけでもないが言いたいことはだいたい伝わる。悪しきものがインターネット上で拡大する発想は基本的に同じだが、前作にはあった安手のホラー場面を思い切りよく放棄したことで、まともな映画としての印象が一気に増している。 ただ不満だったのは割と簡単に別映画のアイデアを流用したと思われる場面があること、及びラストの締め方である。ここでの主人公の表情はいいのだが、具体的にどのような脅威が本人に及ぶのかわからないので恐ろしくない。そもそも動画に撮られて晒されること自体が怖いのか、撮られる際に身体的な暴力を受けることの方が問題なのかが整理されていないように感じられ、まだ詰めが甘いところがあると思われた。  ところで前作に続き、劇中で実在の地名(千葉県K市)を特定しているのは目につく。以前、ここの近隣在住の人から“うちは臨海工業地域と都市部、農村部から限界集落までが一つの市に含まれている”と聞いたことがあるが、今回の舞台もそういう場所であり、普通の生活環境のようでもどことなく不穏で荒れた雰囲気と隣合わせのようなのは舞台設定として効果的だった。また劇中では先の震災が微妙に影を落としていたようで、「私の故郷を汚した政治家」への復讐が話として出ていながら実現しなかったのは残念だったかもしれない。 そのほか登場人物に関して、主人公は特別かわいく撮られているわけでもないが、ちゃんと健全な色気を見せている点で前作の制作姿勢とは著しい差がある。この主演女優は事態に翻弄される普通人の役柄を誠実に演じており、「風切羽~かざきりば~」(2013)に続いて脱・制服女子高生といった印象があった。他の2人もそれぞれ個性的かつ印象的な人物を演じており、ニコ役(小宮一葉)は全編にわたって凄味を出していたほか、紀里子役(サイボーグかおり)は役者本人がかなりユニークな人物らしく、ネット上でこのOVの魅力を極めてお堅い感じで語っていたのが可笑しい(真面目に読みました)。
[DVD(邦画)] 6点(2015-01-02 10:25:14)
618.  ひきこさんの惨劇<OV> 《ネタバレ》 
基本的には真面目に作ってある感じだが、何を売りにしようとしているかわからない。この都市伝説を題材にしたのが世界初というわけではなく、フェイクドキュメンタリー的な構成やPOV風の映像が珍しいわけでもない。劇中にネットワーカーの存在を組み入れる一方で、現実世界のネット上で映画と連動したフェイク情報を流すといったことも2013年時点では革新的とも思われない。 そういうわけで凡作としかいいようがないのだが、制作上の各種制約との関係ではパフォーマンスが結構いいのではと想像され、実際見てもそれほど悪い印象はない。逆に低予算C級ホラーを色気も何もなくひたすら真面目に作っていること自体が特徴というべきかも知れない。   ただし難があると思われたのは、誰が何のためにこの映像を撮っているか、という理由づけに関して多少綱渡り的なものが感じられたことである。また終盤では、たまたまこのタイミングで廃校に行った人間だけが殺されたように見えていたが、虐げられた連中の怨念が発端だったことはこの時点で関係なくなっていたようで、これは観客側からすると一貫性に欠ける気がした。そのほか具体的な日付(2012/3/11など)が特定されていたのは若干目につくが、これが劇中の出来事に関連付けられているように思われず、意図不明なまま終わってしまったのも不足な気がする。 一方で褒めるようなこともでないが特徴的だったのは、劇中で埼玉県内の実在の地名を出していたことである(実際は足立区や茨城県下妻市の映像も入っていたようだが)。マイナー感のある市名のため、これがリアルさの演出にも多少貢献していると思われたが、個人的にはこのM市を選んだ動機が何だったのか少し関心が持たれる。   なお主人公はアイドルという割には華がないが、役者がタレ目気味なこともあって嫌々やらされているような情けない雰囲気は出ていた。それにしてもこの監督(吉川久岳)は、主演女優をキレイに/かわいく撮ろうという気はないのであろうか。取材される側には普通にかわいい女子が出ていたが、その差がリアルということなのか。 一方で、AD(もっちー)役の人も本職の女優さんなのだろうが、劇中では顔もろくに見えないままAD役に徹しており、ほかではどういう役をやっているのかかえって気になる。
[DVD(邦画)] 5点(2015-01-02 10:24:36)
619.  不安の種 《ネタバレ》 
原作は実話系怪談集をマンガ化したようなものだが、この映画では近年のホラーにあるように時系列を錯綜させながらも一つのストーリーにまとめた形になっている。そのため原作ではかろうじて“実際あるかも知れない話”だったものが“ホラー映画として作った話”になっており、その点で原作とは完全に別物である。また場所を限定しているために、全国どこにもある日常の中に不安が潜む形になっていないのも本来の趣旨とは異なっている。そもそも怪異の発生が役所の管轄区域できっちり限定されるというのも変な話だが、特に隣接市との合併は本当にバカのように見えた。  また一方で、全体を一つのストーリーにまとめた割には何が起こっていたのかよくわからない。感覚的にいえば、幼少時の事件のせいでヒロインが邪悪なものを背負ってしまい、接触する男を次々に破滅させていたが、それを自分の意志で免れた男と結ばれてやっと幸せを掴んだと思ったにもかかわらず、結局は他ならぬ自分の身内に破滅させられた、というような印象がある。しかし個別場面の論理的な積み上げからそういった結論が出るわけではなく、また正確なところがわかったからといって感動が増すとかいうこともなさそうな予感がある。ほか映像面も造形物も安っぽく、全体として取り柄のない映画という印象だった。 ちなみにゴミ捨て場の女は作家の岩井志麻子氏がカメオ出演しているのだが、こういう人物に演技させると映画としての質にかかわるのでやめた方がいい。本人はどう思ったか知らないが、見る人間にとっては何の益もないことであり、ホラーファンなら許容するだろうと思うのは間違いである。   なお原作はショートヘアのカワイイ系女子(原作者の好み?)が災難に遭うことが多いので心が痛むマンガだが、この映画のヒロインは全くタイプが異なっている。しかし女優本人は極めて好印象であり(少し惚れてしまった)、そういう理由で結局最後に少し加点してしまうというのも困ったものである。毎度のことだが。
[DVD(邦画)] 4点(2015-01-02 10:21:29)
620.  呪怨 -終わりの始まり- 《ネタバレ》 
[2014-11-30 DVD視聴に伴う改訂]  OV版1から劇場版2までの4作から各種素材を持ち寄ったように見えているが、基本的な筋立てとしてはOV版1の発端部分と劇場版2の受胎部分を直接つないだ形になっており、これを白塗り少年を軸にまとめたことで、けっこう筋の通ったストーリーができた感じである。 この映画でも時系列錯綜の特徴は継承しているが、呪いの原点に関して旧作になかった設定を追加しており、そのせいもあって初見時には時系列に関する個人的仮説が途中でひっくり返される感じもあった。また学校教員が関わるのはOV版1と共通だが、この人がただ巻き込まれるだけでなく、終盤で決然と現場に乗り込んで行ったのは少し感動的で、この辺は旧作の貧相で情けない主人公と一線を画している。今作は最後が涙で終わっていたのも好印象だった。 一方でホラーとしての怖さはほどほどで、旧作の形式を継承していることもあり、この辺で出るだろうと構えていられるのは観客に優しい面がある。しかし旧作だったらこうなるはずだと見せておいて、おっとそう来たか、と思わせる箇所もあったのは可笑しい。また特徴的と思われたのは音響面で、ピアノの場面に続いて何度も起こる楽音的な大音響や、人物の絶叫に続く電車の金属音は印象的だった。  ところで出演者に関して、まず主人公役の女優はこれまで特に注目していなかったが、この映画を見るとあまりにもキレイでカワイイので感動した。劇中ではこの人の脚がきれいなのをしつこく見せつけていたようで、そういったところにもこだわった映画かも知れない。 一方で女子高生の七海が他の3人に比べて特別扱いだったのはストーリー上の必然性がなく、これはキャスティング上の事情によるのかと思うが、こういう人は顔が汚れないで終わるのは不公平である。個人的には莉奈役の女優が好きで見たわけだが(意地悪な感じだが可愛い)、ほかの女子高生もそれぞれ個性的で、こういった多彩な女優を見られるのはこのシリーズのいいところなのかも知れないと改めて思った。またDVDの出演者インタビューを見たところ、佐伯伽椰子役の最所美咲という人が柔和な感じで心和むものがあった。これからもみんなに愛される女優であってほしいと他人事ながら願っている。 なおエンドロールで動物を虐待していない旨の表示が出るが、劇中の描写は人間を含めて悲惨であるから、よい子の皆さんは真似しないでいただきたい。
[映画館(邦画)] 6点(2014-11-30 22:25:48)(良:2票)
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