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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1248
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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641.  死亡時刻<OV> 《ネタバレ》 
題名は「死亡時刻」だが、DVDの中身は「死角関係」との2本立てになっている。監督の公式サイトでは「密室シリーズ」と称しており、前者は2006年、後者は2005年の制作で、外部情報によると前者は2009年に渋谷・ユーロスペースのミディアムショートフィルムフェスティバル「真夏の夜の万華鏡」で公開されたとのことである。  それでまず「死亡時刻」に関しては、主演の粟田麗さんがとにかく可愛らしい。彼女のファンが全国にどの程度いるかわからないが、見て損はないと一応お知らせしておきたい(こんな所に書いても誰にも届かないだろうが)。内容の方は殺人をテーマにしたサスペンスのように想像するが、実際見てみるとそれだけでもない。短時間に各種要素を詰め込んで退屈せず、ラストもきれいに収拾されて一応しんみりさせる構成になっている。 また「死角関係」は女3人男1人の四角関係で、これもサスペンスフルな展開で先が読めないが、最後はちゃんと丸く収まりラストは爽快である。小粒でキュートだが心の広い主人公を主演女優(つぐみ)が好演していた。 両方とも小気味よさを優先した短編で深みはないが後味は悪くなく、また女優が好印象だったので少しいい点にしておく。  なおこの監督はもともと脚本家として関わった映画が多かったようで、監督としての代表作は上記2009年時点で「ホッタラケの島 遥と魔法の鏡」(2009)だと紹介されていたのは笑ってしまったが、それはそれで自分としても嫌いでないので結構である。
[DVD(邦画)] 6点(2014-01-13 18:27:49)
642.  nude 《ネタバレ》 
実在の人物とは関係なしに書く(といっても本人が出ているので困るが)。 まず事務所のマネージャー?は、人を扱う立場として非常に理性的に見える。本人の意向や思いを利用または誘導しながら営業が成り立つ方向へ持って行こうとするのは当然のことであり、これはAVでない俳優やタレントやアイドルなども含めて事情は同じだろう。リタイア可能であることも折に触れて示されているが、これに応じないのは本人側の原因も根深いはずである。現に主人公は自分を見せることにこだわりはあっても具体的な将来像は持っていなかったようで、これでも当初志望の範囲内だったのだろう。一方で、劇中に出ていた女性としての素直な心情を基準にすれば、AVと枕営業(実態は知らない)の差は表に出るか出ないかだけのことになり、その意味でもAVとそれ以外との間がそれほど隔絶したものとは思えない。   またある程度歳を取ると、たまたまなってしまったことを受け入れる、というのも職業生活(及び人生)の本質に関わることだろうという気がして来る。昔の貧しかった頃の人々であれば初めから職業に理想など持っておらず、その時点で食っていけると思った仕事を迷わず選び、結果的にそれを天職と思うようになる場合も多かったのではないか。劇中の出来事に即していえば、有名になるにはAVを経由する必要があるというのはこの事務所固有の事情だろうが、しかしAVを経由したからこそ今の自分がある、という思いも本人にはあるだろう。その上で、この主人公がいわば開き直ってこれからの人生を肯定していこうとするのなら、あとは他人がどうこう言うことでもなく、自分の思うように進めというしかない。   ところで主演女優は個人的趣味の範囲外なので、何の思い入れもなく冷やかに見られる。代わりに友人が可愛いのは好印象だが(少しやかましい)、劇中ではこの人がいくら親友だったとはいえ、何でここまで主人公の行く末にこだわって怒ったり泣いたりしているのかがわからなかった。しかし終盤で、主人公が真っ暗な海の前に取り残された場面では少し鳥肌が立った(ホラーかと思った)。故郷との絶縁によって失ったものの大きさを、この映画では元親友が一人で体現していたということかも知れない。
[DVD(邦画)] 6点(2014-01-09 21:24:11)
643.  高速ばぁば 《ネタバレ》 
「先生を流産させる会」の内藤瑛亮監督の映画ということで注目される(が、個人的には女優の未来穂香を見ようとしただけである)。 まず登場するアイドルグループはコンセプトが極めて適当で、持ち歌を聞いても脱力感を免れず(これのフルバージョンをぜひ見たい)、こんなののファンもバカばっかりだろうと思わせるものがある。メンバーそのものは劇中に出た通り少し性悪な普通の女子なわけだが、アイドルグループとしてのおバカな印象とのギャップがほのかに可笑しい。 またストーリーとしては、最初の事件が起こってこれは大騒ぎになるだろうと思うと場面が飛んで、また何事もなかったように芸能活動が続いているのがとぼけた感じだが、その後も事態が進展して登場人物が次々に破滅していき、これはさすがにただでは済まないだろうと思うような大事件が起きても、なお無反省に脱力系アイドルの営業を続けているのが非常に変である。画面上では公園のステージや事務所の外観が出るたびに、まだやるつもりなのかと呆れてしまう。まったく懲りない連中だと思うが、結果としては微妙にシュールでブラックな世界が表現されていたようで、これは意外に面白い(変な)ものを見せられた気がする。最後のソロデビューの曲は「夢見る少女日記」とのことで、これも聴きたかったが果たせずに終わったのは無念だった。   ところで出演者としては、アヤネ役の女優(未来穂香)はある程度キャリアもあり、この人が主役と思っていたら実際はそれほど出番がなく、かえって他の2人に焦点が当たる場面が多くバランスがいいと感じられる。特にナナミ役(北山詩織)はモデル出身らしく細身で美形だが、劇中人物としてもわりと良心的で実質的な主役のように思われる。一方で最も可愛くなくてアヤネに嫉妬していたという設定のマユコ役(後藤郁)も、現実にはアイドルグループ「アイドリング!!!」のメンバーとしてファンに愛されているらしい(よく知らないが)ので決して侮ってはならない。 [2014-05-13追記] 先日、マユコ役の後藤郁が6/7を最後に「アイドリング!!!」を卒業するとの発表があった。映画の価値には関係ないことだが、かおるんの新しい旅立ちを祝して+1としておく。
[DVD(邦画)] 6点(2014-01-09 21:24:08)
644.  ことりばこ<OV> 《ネタバレ》 
ネット発祥の著名な怪談を題材にした映画ということになっている。 冒頭に文章で延々と説明が入るので、元の話を下敷きにしているのはわかるが中身は別物になっている。元の話がかなりまともにできている(素人の創作とすれば秀逸)ので、その通りに映像化したものを見てみたいとは思うが、そのようにできない事情があるのかも知れない。 ホラー映画としてはどこかから既成のイメージを借りて来ただけのところもあるが、しかし見せ方や演技でけっこう雰囲気と迫力を出している。出演者も若年者らしく自然にふるまうべきところは自然に見せる一方、演技すべきところはそれなりに演技しているように見えており、主要キャストについての印象は悪くない。   物語に関して真面目に考えると、機能不全のおかげで(いわば代償として)生き延びたはずの主人公が、結局は逃れられずに終わったことで、やはり本当に怖いのは呪いよりも生きた人間だということが言いたかったのかと思われる。しかしそれが見る者の心情に訴えかけるかというとそうでもなく、やはりまず村人の演出に問題があって真面目に見る気がしなくなるのと、片思いの先輩がそれほど魅力的な人物でもないので、主人公の純な心情が素直に受け取れないというのが残念なところである。またその機能不全ということ自体も理屈先行という感じで、特にこの主人公をめぐるドラマがもう少しうまくできていればという気がした。 結果として、それなりに作ろうとしているようには見えたが惜しい映画だった。
[DVD(邦画)] 3点(2014-01-09 21:24:04)
645.  クネクネ<OV> 《ネタバレ》 
脚本・演出・編集といったことのうち何がどのように問題なのか的確な指摘はできないが、とにかく全般的に低調に見えている。素人がこういうのも何だが、素人が映画を作るとこんな感じになるかといったところである。 ストーリーも作り物感が強く、ラストの締め方も理屈はわかるが戦慄を覚えるようなものではない。また残念なのは元の話のうちどの要素を生かそうとしたのかがわからず、題名以外は全く違う話に見えることである。特に対象物を見てはならないというのは“正体を知ってしまえば正気ではいられない”という意味だったろうから、変に実体化して小理屈まで付けてしまっては底が浅いのが丸見えになった印象がある。 加えて主演女優がきれいに見えないのも味気なく感じられる原因だろう。すらりとして長身(172cm)なのがこの人の特徴だろうと思うが、このビデオではただ単にすらりとして長身、としか見えておらず、役柄のせいもあって義姉役(所里沙子)の方がまだしも普通に好印象である。どういう意図なり事情があってのキャスティングだったかわからないが、この主演女優を魅力的に見せることも一つの使命ではなかったのか。これでは「アイドルもの」として位置づけるにも躊躇する。 そういうことでほめる点がほとんどなく、そもそもどれだけ本気で作っていたかもわからないのだが、少なくとも外見的には特にふざけたところもなく、基本的には真っすぐに作ってあると見えたので、自分としては極力好意的に評価しておく。
[DVD(邦画)] 2点(2014-01-09 21:23:59)
646.  江ノ島プリズム 《ネタバレ》 
主要人物の3人はそれぞれいい雰囲気を出している。前半はずっとコミカルな展開が続き、とぼけた感じの主人公に友人2人が突っ込むのがユーモラスで、ギャグのセンスもいいので気持ちよく笑える。それから何といっても地縛霊の今日子ちゃんが清楚で可憐で真面目で超かわいいのが感動的で、他の3人には申し訳ないがこの映画のベストキャラに思われる。花火の場面でこの人が喜んでいたのは観客としても嬉しかった。ほかオカルト研顧問の教員(吉田羊)も、端正な顔立ちながらけっこう笑わせる。 また物語の内容としては、劇中では「デロリアン」という言葉も出ていたが、時かけファンの自分としては「時をかける少女」との類似性が強く感じられる。女1人男2人の組み合わせは基本的な共通点だが、特に無邪気な三角関係がやがて崩れる展開は2006年アニメ版を思わせるものがある。一方で劇中の「タイム・プリズナー」という言葉は、1983年版風にいえば「時の囚われ人」とかいう表現になっただろうが、あるいは同作に出る「時の亡者」そのままの意味かも知れない。   ところでこの映画で非常に残念だったのは、修太の行動が引き起こした現象が納得できなかったことである。これは1983年版の最後にある“記憶のない再会”を再現するための設定だろうが、旧作では理解可能な理由で人為的に記憶を消去していたのに対し、この映画では自然の摂理で起こることにしたのは若干の無理が感じられ、またその自然現象が駅の場面でタイミングよく、かつ時間差をつけて起こっていたのは都合良すぎである。 それからその“記憶のない再会”の場面も実はよくわからない。ここで修太が拾ったプリズムの三面は幼なじみの3人の本来の姿を象徴していたわけで、そのことを他の2人も修太自身も知らないというのが哀しいのだと思われる。それならそれでいいのだが、青春映画に求められるのはやはり恋愛感情に基づく切なさだろうし、少なくとも個人的には泣けない場面になっていたのが大変遺憾である。これは女子の立場でミチルに感情移入すると泣けるのだろうか。 ただそれとは別に、せっかく心の通じた今日子ちゃんが修太に忘れられてしまったことの方は確かに切なく感じられ、男子にとってはこっちが本筋かとも思われる。とにかく自分としてはこの今日子ちゃんがかわいそうで仕方ないのだった。
[DVD(邦画)] 7点(2013-12-22 17:45:44)(良:2票)
647.  風切羽~かざきりば~ 《ネタバレ》 
公式サイトに経過が書かれているが、もともと後半のロードムービー部分を先に制作し、後に前半部分を追加して長編にしたとのことである。撮影自体は2012年だが、序盤で出ていた震災関連のニュースは2011年のものであり(4/17日曜日、気仙沼の朝市)、自分としては現実世界のこの時期に、春の明るい陽射しと裏腹に感じていた内心の不安を呼び覚まされる気がしたが、これは意図されたものかどうかわからない。  映画のテーマは“親に愛されない子ども”ということらしいが、劇中の出来事自体は個人的知見から想像しうる範囲に収まっていて特に目新しいものはないように見える。しかし改めてこのように見せられるとやはり心穏やかではなく、劇中の少女が弛緩したような荒んだ感じを全身で出しているのも痛々しい(4月中旬にこの格好では寒いだろう)。まるで世の中にまともな大人がいないように見えるのは同じ大人としてつらいものがあるが、逆に少女の境遇が周囲をこういう連中ばかりにしていると解すべきか。 今回の件で、この少女としても何かふっ切れたものがあったようではあるが、しかし少年と違って閉じられた円環からは抜け出せず、元の場所に回帰しただけのようにも見えている。劇中で生じた現世的トラブルは残されたままであり、携帯を使う営業からも簡単に抜け出せるのか怪しい気がするが、まあ根本的な解決は劇中人物というよりも、現実世界での対策如何によるというのが映画の趣旨だろう。  ところで主演女優に関しては、舞台挨拶で「あたし走るのが本当に下手で…」と言っていたが本当に下手である。自分としてはこの人をよく知っているわけではないが、よく知っている人が持つイメージとはかけ離れた役をやっているのは間違いない。前髪を下ろしたことでも雰囲気がかなり違っているが、特にこの人の顔で特徴的な目が、いつもと同じはずだが全く違う目のように見えており、冒頭では視点の定まらないうつろな表情がいきなり印象的だった。公式サイトを見れば、オーディション時にこの人がとりわけ努力家だったことも記されている。 そういったことから私情にはなるが、評点はこの人のために若干加点しておく。
[DVD(邦画)] 7点(2013-12-22 17:45:39)(良:1票)
648.  人生、いろどり 《ネタバレ》 
マーケティングの観念もなくいきなり市場に持ち込むなどということをしていた時代から、農家の老婦人が端末を操作する現代までの数十年間を2時間に収めた形になっており、駆け足に見えるのは仕方ない。よく知られた「葉っぱビジネス」の話であるから新規事業の立ち上げに関わることも一応入っているが、それより現代農山村や高齢化をめぐる問題点を手際よくまとめた映画という感がある。  まず基幹農作物の低迷により、これまで家計を背負ってきた男衆が勢いを失う一方で、農村女性が力を発揮できる機会が増えたことが明瞭に示されている。特に劇中で印象的だったのは、主人公が働く理由は自分の人生を具体的に豊かにし、またその成果を愛する者と共有することだが、それが夫には理解できていないことだった。 また高齢者の生き方に関することが大きなテーマになっており、主人公の友人が途中で死去したのも悲しいというよりは、最後まで夢をもって前を向いて生きたのが幸せだったと取るべきなのだろう。最近は定年帰農という言葉もあり、自分などは農家出身の人々は死ぬまでやることがあって羨ましいと思っていたわけだが、むしろ農家かどうかを問わず人間は死ぬまで働き楽しむ機会が与えられていると解すれば、これは高齢化社会全般に通じるメッセージともなる。逆にその点で、農山村の生活にこそ人間本来の生き方があるといえるのかも知れない。 ところで劇中では仲卸のお嬢様がとにかく不快で、こんなのが嫁入りする話にするくらいなら、主人公のところの働き者の嫁さんに早く子どもを作らせろと思っていたのだが、最後はちゃんと腹が大きくなっていたようで喜ばしい。ただ主人公が樹を植える話に関しては、申し訳ないが一般論としては悲観的にならざるを得ない。次世代の者の進路を縛るわけにもいかず、また劇中の新ビジネスのようなものがよほどの所得を生まない限り、食っていけない場所に人は住まないということだが、まあそれを何とかするためにもこの映画が作られているわけである。   なおこの映画を見ていると、出演女優が何歳になっても年齢相応の役を務めているのに感服する。特に佐々木すみ江氏は相当の年齢だろうが、それでもできうる限り役者人生を続けていこうとされている姿は、この映画のテーマに照らしても鑑になるものと感じられる。
[映画館(邦画)] 6点(2013-12-22 17:45:36)
649.  トラベラーズ 次元警察 《ネタバレ》 
劇中の「次元警察本部」の所在地は台北だったようで、4つのパラレルワールドにわたってストーリーが展開されるため設定の上ではスケールが大きいが、実際はどこに行っても台北にしか到着しなかったようなのはこの本部の管轄が台湾限定だったからか。その割に主な登場人物がことごとく日本人なのは変な世界だが、日台合作なのでまあいいことにしておく。出演者も多くはないが、4つのパラレルワールドそれぞれに対応する人物が存在する設定のため1人を最大4人まで増やすことができ、けっこう複雑な人間関係になっている。これは少し面白いかもしれない。  ところで長澤奈央・木下あゆ美の2人は以前の戦隊シリーズの人気ヒロインだが、3人目のゴスロリキャラも仮面ライダーのヒロインだったのは知らなかった。その他男連中も過去の東映特撮の出演者を充てており、またスーツアクターが顔出しで出ているのはマニア向けの趣向かも知れない。 上記2人がWヒロインで出ているからには、すらりとした脚で激しいアクションを展開するようなものが期待されているのだろうが、そのような期待にはそれなりに応えていると思われる(一部は代役らしいが)。また長澤奈央に関しては特に胸が強調されており、唐突なシャワーなどグラビア風の場面もあったりするが、ストーリー上でも2人が同列ではなくこの人の方がメインになっているのは少し意外だった。2人は基本的には相棒のはずなので軽妙なやり取りなどがもっとあると面白かったろうが(少しあるが)、ストーリーの都合上、そういう場面があまり作られていないのは残念だ。  当然ながら大感動作というほどのものではないが、事前予想をそれほど裏切らない内容にはなっており、東映特撮ファンであれば愛情をもって見られる映画になっているのではないかと思われる。ただし鼻血は汚いのでやめてもらいたかった。
[DVD(邦画)] 6点(2013-12-10 18:54:27)
650.  仮面ライダーフォーゼ THE MOVIE みんなで宇宙キターッ! 《ネタバレ》 
仮面ライダーというものを最後に見てから40年近くにもなる。2011年9月からのTV放送は見ていなかったので劇場版としてどうかという評価はできないが、とりあえず70年代と比べれば映像もアクションも派手で隔世の感があり、これでも比較的安上がりに撮ってはいるのだろうが、基礎的な技術が向上しているということを実感する。 また基本設定もかなり複雑らしく劇場版だけではほとんど理解できないが、ただし主人公が「ダチになる」ことを基本方針にしているのは大変よくわかった。口では言っていても無理と思えばサッと諦めるようなのは柔軟だが、気持ちが通じるとわかればまたいきなり本気になるらしく、その心意気は泣かせるものがある。これはなかなかいい奴だ。 この主人公が最後に「次は、おまえたち全員と友達だぜ!」と言っていたのはどういう年齢層に向けた発言なのかわからないが、自分にも言ってくれたと思えば微妙にうれしくなったりする。この男を含め全体としても陽性の雰囲気で、企画意図のとおり震災後の日本を元気にしようとする番組(映画)と感じられた。   ところでゲスト出演の女優にデカイエローの人が出ているのは劇場版としてのサービスだろうが、そのほか何気にハリケンブルーの人も最初から準レギュラーで出ていたらしい。ほか死んだ博士役の西田健氏は、自分の年代だと「帰ってきたウルトラマン」(1971-1972)の印象が強いわけだが(お元気そうで何より)、この映画としてはやはりハリケンジャーとの関係だろうか。 そのほか、40個のスイッチを同時に押すために友情出演が30人も出ており、これはTV番組の方に出ていた人々を揃えたとのことで壮観ともいえる。前作の劇場版でもこういう趣向があったようだが、どうやって(いつ)撮影したのか。
[DVD(邦画)] 6点(2013-11-18 19:54:36)
651.  わが母の記 《ネタバレ》 
邦題は単に「記」だが、英題の方は「年代記」になっている。映画では期間が14年間とされており、その間に登場人物も年齢を重ねて変化していくのが目に見えているが、そのような長期にわたる時々のエピソードを淡々と記述していく形になっているのは年代記の名にふさわしい。しかし、当初は一見ばらばらのようだったものが次第に母子の関係に収斂していくのはこの映画独自の構成であり、これは素直に賞賛したい。自分としてはまだ味わい切れていないところがあるような気もするが、とりあえず現時点でも間違いなく良質の映画と感じられる。 また役者についてはそもそも名優揃いで自分などが特に褒めようとは思わないが、主人公の三女役に関しては、メイクや衣装のおかげもあるとのことながら中学生から二十代後半までをスムーズに演じているのはやはり少し驚く。  ところでこういう話を見て思うのは、劇中にも出ていた「東京物語」(1953)のように、同じ映画でも年代によって見えるものは違うのだろうということである。高齢者の世話が大変だという観点ももちろんあるだろうが、人生の半分を間違いなく過ぎたと思う自分としては、死と向き合う登場人物が直接自分のこととして感じられ、親が亡くなれば視界が開けた感じがすると言っていたのも他人事とは思えない。うちの身内は高齢でも頭はしっかりしている者が多いので自分もそうだろうと思ってはいるのだが、いずれその時が来れば、この映画のような穏やかな風景の中で死ねるだろうかと考えたりもする。  なお完全に余談だが、劇中のバス車掌役の女優(枝元深佳さん)は役所広司氏(179cm)と比べてずいぶん小柄なのが目立つと思ったら、“150cmなので役に限りはあるが女優として頑張っています”という趣旨の記事をネット上で発見した。最近知ったところでは志田未来も同じくらいのようである。
[DVD(邦画)] 7点(2013-11-11 19:39:47)
652.  車イスで僕は空を飛ぶ<TVM> 《ネタバレ》 
鑑賞の動機は看護師役の女優がどんな顔で出ているか見ることだったが、ちゃんとフルネームで役名が付いているにもかかわらず大した出番がないので騙された気分になり、非常に不満の残るドラマだった。   その他の部分については、まず実践者の著作をもとにしているだけあって全体としては真摯な内容と感じられる。原著作は明らかに自殺予防を目的としているのに対し、このドラマでは24時間TVというものの性質のためか、障害の克服ということと二股かけているようなのが微妙な違いになっている。また本来の中心テーマである“助けを求める(求められる)”と、ドラマのテーマである“とりあえず今日を明日につなぐ”というのが並列になっているように感じられ、視聴者にとっては焦点を絞りにくい気がするが、まああまり詰めて考える必要もなく、見た人それぞれが何かを感じ取れればいいということかも知れない。   ただ細かいことをいえば、この主人公はあくまでその辺にいる普通の兄ちゃんであり、適性はあるにしても特別の才能を持っていたわけではないのだろうから、終盤でいきなりカウンセリングというか荒療治のようなことを始めるのはやり過ぎと感じられる。それから、劇中に出ていた個々の話題が日常生活の維持に関わることか緊急避難的なものなのか、また本人に語りかけているのか一般論なのかがわかりにくい。例えば断崖の場面で出ていたオタクの話は、日常的な問題としてはけっこう当たっているように思えるが、緊急時に本人に言っても無意味なのでギャグ扱いになっているわけだろう。また誰かが自殺すると周囲の人間が苦しむのは一般論としてはその通りだろうが、劇中出ていたようにショック療法的に使うならどうかわからないにしても、死にたがっている人間に向かって日常的にプレッシャーをかけるために言うとすればまずい気がする。まあ本職の人はやり方がわかっているのだろうから別にいいのだが。   なお劇中で、「愛は勝つ」を歌いながら入水しようとする人物が出ていたのは皮肉に感じられるが、しかし例えば中島みゆきの「時代」を歌いながら死のうとする人間はいないわけで、これは「愛は勝つ」が万人を力づける歌のようでも実は底が浅いため、日常の用途には使えても肝心な時には役に立たないということだと思われる。
[DVD(邦画)] 4点(2013-11-11 19:39:42)
653.  おしん(2013) 《ネタバレ》 
谷村しん役の濱田ここねさん(ここねちゃん)は本物を見たことがある。「映画館で待ってます!」と書かれた名刺をもらったが、その時はただの子どもにしか見えなかった。 もとのTVシリーズはほとんど見ていなかった(朝ドラなど大の男が見るものではない!…暇はあったのだが)ので比較はできないが、映画は冒頭からいきなりシビアな感じの映像で始まり、続く家の中でも囲炉裏の火しか明かりがないようなのが明治のリアルを感じさせて気が引き締まる。また素人なので技術的なことはわからないが、映像面や背景音楽(エンディングテーマを除く)なども好印象に思えるところが多く、予告編の軽薄な感じは本編にはなかったように思われる。特に終盤で、外で雲が切れたらしく室内が早春の陽光で満たされる場面は、わざとらしいともいえるが印象的だった。 ただし登場人物のうち、父親役が子ども思いなのか粗暴なだけなのかがよくわからず、存在意義まで疑わしいのは難点に思われた。また終盤で提示されたテーマらしきものも、今どきこんな話で大丈夫なのかとは思うが、まあこれはこれで仕方ないのだろう。   ところで自分としては最近、泣ける映画はとりあえず警戒して初見時には評価を保留する一方で、登場人物が好きになれる映画についてはいきなり全面支持したりする傾向があるが、この映画はその両方に該当するので困る。もとのTVシリーズが内外で支持されたのは、まずは主人公が懸命に生きる姿が感動を呼んだということだろうが、その面では恐らく、この映画もまた旧作の価値の核心部分を確実に受け継いでいるのだろうと思われる。ただの子どもにしか見えなかった子役が、全編にわたってこれほど健気で誠実で一生懸命な姿に見えているのは、やはり本人の才能なり頑張りもあってのことに違いなく、他のことはどうであれ、とりあえずこの子限定でも見てよかったと思える映画になっていた。ここねさん(ちゃん)は南国の生まれなのに、雪の中で本当にお疲れさまでした。大変でしたね。
[映画館(邦画)] 8点(2013-10-13 09:27:16)
654.  メリーさんの電話 《ネタバレ》 
「ムラサキカガミ」(2010)に続く紗綾(さあや)の主演ホラー2作目で、今回はAKB48の菊地あやかとのダブル主演という名目だが、実質的には紗綾の行動が主軸である。登場人物が女子だけなのは1作目と同じで、今回は微妙に男子向けサービスと思われる場面もあったのは前回の反省かも知れないが苦笑した。 題名の都市伝説に関しては、本物は冒頭(と最後?)に出るだけで、ほとんどは映画独自の話に変えられている。ホラー要素にオリジナリティが感じられず、設定やストーリーも緩い感じなのは前回同様だが、肩透かしながらも微妙に怖い画面づくりがされており、意図的ミスリード?ともいえる箇所があったりするのは低予算なりの工夫とも思われる。登場人物が暗くて怖いところへ入る際、普通のホラーであれば怖がらせのために暗くしたままにするところ、あえて電気を点けていたのは一般常識に合わせた感じで好印象だった。それからクライマックスで、前回に続いてまた便所に逃げ込むのかと思わせておいてからの展開は意表をついていた(笑)。  ところで劇中では、誰でも知っている有名な交霊術の名前をわざわざ変えて使っていたが、これは撮影中に本当に交霊術をやってしまうのを避けるためだとすれば良心的な対応と考えられる。また凶兆におびえた友人が思わず不吉なことを口にするのを主人公が諌める場面があったが、こういう不用意な連中が人心を不安に陥れ、あるいは自ら墓穴を掘るようなことをやらかすのに対して警告を発しているようなのも理性的に見える。特に今回は、主人公が前回同様に怖がりな性格ながらもしっかりした人物だったことで、“正しく怖がるのを恥じることはない”という若年者への教育的配慮が感じられる映画になっていた。 ただその割に、登場人物が芝居がかった調子で延々と昔語りをする場面があったりするので、そういうことを現場で口に出すのは自ら災難を呼び寄せるようなものだからやめろと言いたくなるが、まあこの語り自体は前回に続いての定例行事と理解した方がいいのかも知れない。何にせよ前回同様の実直な印象で個人的には結構好きだ。前回と共通のエンディングテーマも悪くない。  ちなみに冒頭のタイトルが無粋な感じの明朝体になっているのは、自分としては1968年のTV番組「怪奇大作戦」の第4話「恐怖の電話」を連想させるものがあったが、意識してやっていたのかはわからない。
[DVD(邦画)] 5点(2013-09-17 19:58:39)
655.  ムラサキカガミ 《ネタバレ》 
主演の紗綾(さあや)という人は結構いろんな映画で目にするので(主にホラーだが)、この映画が初主演というのは少し意外だった。本業はグラビアアイドルだったはずだが、終盤でおののく表情など見てもちゃんと役者の顔で熱演しているように見える。 女子しか出ないホラーとのことだが実際かなり地味な感じで、高校のテニス部であるのに季節柄ということなのか露出も少なく、屋内の場面も含めて男子向けサービスがほとんど皆無である。興行的にこういう作りでよかったのか疑問だが、自分としてはかえって真面目な映画に見えて好印象だった。 劇中の出来事は題名の都市伝説の通りでは全くないが、もとのままでは映画にならないので鏡が出る他の都市伝説の要素を取り入れて勝手に作ったものと思われる。既存のホラー要素の組み合わせが基本のようで独自性はほとんど感じられず、また特に前半は単なるこけおどしが多いが、それは低予算なりに全体的な緊張感を持続させるためとも思われる。終盤に出た生ゴミ集積所などは結構生々しい感じだった。  ストーリーとしては、何が起こったのかはよくわからないが一応真面目に考えると、まず鏡の中の人物はそもそも主人公のように感受性(共感力)が強く、従って怖がりな女子だけをターゲットにしていたと思われる。面白半分で来る連中は、そういう人物を強制的に連れて来る役割を果たすだけで、ほかは役に立たないので殺されるということではないか。 ここにあえて教訓的なものを求めるとすれば、①そもそも余計なことはするな ②やるなら他人を巻き込むな、ということだろう。やるならあくまで自己責任でと言いたいところだが、それができないのが女子高生ということか。そのほか序盤で、わざわざこの場で口にする話かというようなことを喜々としてしゃべっていた怪談マニアの教員が、最後に巻き添えを食っていたのも自業自得であり、これはなかなか道徳的な映画のようである。 派手なところは全くないが、低予算ながらも極めて実直な印象のあるホラーだった。
[DVD(邦画)] 5点(2013-09-17 19:58:35)
656.  恋するナポリタン 〜世界で一番おいしい愛され方〜 《ネタバレ》 
よくある話とはいえ、こういう荒唐無稽な設定を普通に受け入れる現代人は思考が柔軟なものだと感心する。そもそも題名からしてチープで安易だが(「恋する…」「世界で一番…」の両方)、中身の恋愛ドラマの方も納得がいくものではなく、ヒロインを幸せにするために男2人を使い捨てにしておいて、“だって死んじゃったんだからしょうがないじゃん”的に決着をつけたようなのは男の立場として悲しい。一方ではヒロインが乗り換えた先の男が、口は達者だがどことなく胡散臭い顔で素直に祝福してやる気にならないのも問題である。  ところで、自分にとっては食い物など①嫌いなもの、②まずいもの、③その他の3種類しかないので、劇中の料理がどれだけ美味そうなのかも実のところわからない。しかしこの映画では、劇中の武と瑠璃に“作る人”と“食べる人”の立場をきっちり代表させることで、人間にとっての料理(食料ではなく)の意義を端的に表現しようとしていることくらいはわかる。瑠璃が料理を食べるときのデレっとした嬉しそうな表情は中学生時代も現在も共通であり、またこの顔を見ることが武にとっても何よりの喜びだったわけで、そこには料理が仲立ちになって“作る人”と“食べる人”の両方が幸せになる関係が成り立っていたが、これは現実に料理に携わる人々の理想とするところではないかと思われる。それで成人後の武はシェフになり、また瑠璃もグルメ情報誌の編集者になったということなら、この関係が互いの資質を高め合って自己実現にもつながっていたということだろう。 味オンチの自分はそういう幸せな関係から疎外されていて不幸だとは思うものの、世の中に幸せな人が多いのはいいことだし、この映画を見て触発される人が多ければわが国の食文化の向上にもつながるのでは、と他人事ながら思わなくもない。武(佑樹)が南紀白浜の海岸で即興的に作った料理をその辺の皆さんにふるまうのを見ていると、料理人というのはみんなに幸せをふりまく人、というように感じられて、自分には利害関係がないながらも変に感動的だった。  まあ世間的にはあまり評判がよくない映画のようだが、それも料理に関わる上記の関係と恋愛感情をあえて混同させないようにしたことで、恋愛ドラマとしては捉えにくくなった面もあってのことと考えられる。そのため自分としては、まずは料理映画という面から一定の評価をしておきたい。
[DVD(邦画)] 5点(2013-08-11 18:25:36)
657.  信さん 炭坑町のセレナーデ 《ネタバレ》 
劇中で信さんと主人公の母親の間に何が起こっていたのかは、見ればある程度はわかるが個人的に共感はしない。特に成人後の信さんが自分の母親に性愛感情を持っていたことに関して、主人公が何とも思わなかったのかどうかは疑問を感じる。また信さんの妹が不快感を示していたことについても、その背景事情や主人公への思いとの関係が不明瞭に感じられ、どうもこの辺の人間関係が納得できていない。  一方で個別の場面に関していえば、個人的に最大の見所だったのは(米とぎの場面ではなく)主人公と信さんの妹が岸壁にいる場面で、ここは何度見ても息を詰めて少女の表情に見入ってしまう。役者の年齢では4つも違うのに女の子の方がちゃんと大人びて見えるのが可笑しく、また最終的には少女の側から打ち切りをくらってしまったことで、見ている側としてもこのバカな少年に同化して一緒に悶える気分になる。そのほか親友との別れの場面では、まっすぐな気性だが素直になれない主人公に対し、親友の方がしたたか、かつ大らかなのが印象的だった。 こういうちょっといい場面はあるのだが、やはり自分としてはこれをストーリー全体の中でどのように位置づければいいのかがわからないのが残念だった。  なお原作を読むと、信さんの妹はちゃんと高校を卒業して就職したことになっているので安心するのだが、この映画では切ない感じにしようとしてわざと状況を苛酷にしているのが嫌いだ。そうしないと映画にならないということなのか。
[DVD(邦画)] 4点(2013-08-11 18:25:28)
658.  乙女のレシピ 《ネタバレ》 
まず苦情から書いておくと、序盤から笑えないギャグを連発していること、及び最後の締め方が不親切なことは一般客に悪い印象を与える恐れがある。ただ個人的には、そういう具合の悪いものを見なかったことにする能力を有しているので特に問題はない。 内容としては高校料理部の半日程度(5時間くらいとのこと)を切り取ったもので、高校時代の日常を楽しく描いている点では「けいおん!」を思わせるものがある。登場人物と同年代だけでなく、少し時間の経過した人々が暖かい気持ちで昔を振り返るための映画という意味もあるだろうが、しかしそうした日常の幸せは決して記憶の中だけにあるのではなく、今この瞬間にもあるかも知れないと気づくことで、全ての年代の人々に、日々の何でもない時間を大切にしようと感じさせる映画にもなっている。 また登場人物のうち3年生の2人は進学でこの土地を離れることにしていたようだが、それぞれの思いを果たしたあとでいずれ戻って来てほしい、というのは人口減少に直面した地方共通の願いだろう。そのために、若い人々に向けていま何をすべきなのか考えてみようというのも、この映画の大事なメッセージかも知れない。  ところでこの映画では、まずは画面に出る炊き込みごはんを食いたくなるのが顕著な特長点だが、そのほか“恋する乙女はクリエイティブになれる”というような感じのことも重要事項であるらしい。劇中で「恋する乙女」をやっているのは2人だが、どちらも見ていて気恥かしいので“微笑ましい”を通り越して大笑いしそうになり、劇場で我慢していると涙が出る。頭ポンポンのあたりも笑えるが、衆人環視の中なのに彼氏と2人だけの空間ができてしまっていた場面は激しく可笑しい。 出演者は役者として活躍中の皆さんであり、人によっては剣劇や漫才までこなしているが、普通の演技だけでなく、あえて素の状態でしゃべっているような場面もあるのが興味深い。また特に夏希役の女優は他の出演作を見てもコメディ専門などでは全くないわけだが、この映画ではとぼけた表情がとにかく可笑しくてかわいい。金澤さんをはじめ、出演者の皆さんにはぜひ今後も幅の広い活躍を期待したい。  そういうことで全体の雰囲気といいキャストといい、個人的には変に絶賛したい映画になってしまった。舞台挨拶で“自分でも大好きな映画になった”と語られていた監督と出演者の皆さんには、今後一層のご活躍とご多幸を祈念申し上げる。    [2016-11-04 DVD発売を記念して追記] こんなマイナー映画がDVD化されるとは思わなかった。ジャケットには優希美青さんの写真が大きく出ており、別にこの人が主役というわけではないが、劇中では見事な妹キャラになっていて和む。映画の撮影は2012年11月とのことなので、この人のデビュー後間もない時期での映画初出演ということになる。 DVDを見て久しぶりに幸せな気分になったので、この機会に補足として2点書いておく。 ○笑いの種類 序盤から笑えないギャグにかなり力が入っているので呆れるが、しかし世間的には、例えば鼻水が垂れているといった絵柄自体に直接反応して笑う人々(例えば高齢者)もいるわけで、この辺は対象層が自分とずれていると思って少し耐える必要がある。 そのほか劇中にはいろいろな種類の笑いが含まれており、例えば中盤のラブコメ展開でも金澤美穂さんの表情で直接笑わせる場面のほか、シチュエーションとの関係で笑いを誘うといったバリエーションも出している。また終盤では、顧問の教員(赤間麻里子さん)が地を出した感じで笑ったのにつられて、校長(徳井優氏)までもが役を離れて吹き出してしまった(ように見える)演出が個人的には非常に面白かった。結果としては笑いの面でもさまざまな観客を想定しながら充実させた映画に思われたが、これは監督がサービス精神旺盛な人物だからだろうと想像している。 ○物語の結末 肝心のコンテストの場面がない、というのは初見時には誰しも戸惑うところだろうが、要は予算の関係でできなかったのだろうと想像している(実態は知らない)。全体構成上は、自転車の場面がクライマックスで月見はその余韻だったと事後的に考えて納得するしかない。ただ、できればエンドロールの最後を、登場人物が賞状のようなものを持った記念写真で締めてもらえば一般客も納得しやすかったのではないかと思われる。 ちなみに今回のコンテストで何らかの成果を出せなければ、校長の意向と関係なしに入部者がいなくなるため自ずと廃部の見通しだったのであって、この物語世界でそういうことはありえない。この話の続きがあるとすればコンテストの結果がどうとかいうことではなく、劇中の4人(5人)がこれからどういう道を歩むのかがテーマになるはずだという気がする。
[映画館(邦画)] 9点(2013-07-31 19:25:12)
659.  七つまでは神のうち 《ネタバレ》 
前後関係の不明なエピソードを連ねるのは「呪怨」形式であり、また途中で一気に謎を解消した上で衝撃のラストにつなぐのは「白い老女」と似た趣向と思われる。 これにより前半は先の見えない展開だが、中盤で全体の構図がわかってしまうとスリリングな感じは失われる。あとはどう終わるかだけの問題になるのだが、結果としてはとにかくラストが圧巻で、エンドロールの間くらいはボーッとしたままだった。ここではもう神の助けも否定されており、また相手がこの世のものでないとすれば人情も心変わりも期待できなさそうなのがやり切れない。この場面で見せる人間の生への執着は、裏返せば“生命の尊さ”と呼ばれるものを実体化して見せているのであり、映画の宣伝で「命の叫び」と書いているのはベタだが適切な要約に思われる。 そのほか映像的にも、寂寥感のある山中の風景が印象的な映画だった。  ところで現代ホラーによくあることだが、登場人物が当面なすべきことをしなかったり、明らかに余計なことを始めたりして自ら窮地に陥るのは苛立たしい。カウンセラーや窓に張りついていた連中も正体不明であり、どうもホラーという性質に甘えて適当に作っていると感じられる。 また標題の言葉に関して、昔は乳幼児死亡率が高かったため満5~6歳程度までなら諦めろというのが第一義だろうが、同時にこの年齢だと加害者としての責任も問えないように思われる。劇中の母親が「神にお返しする」ことに納得できず神を否定し復讐を実行してしまっていたのは、子に対する母の執着と、主人公の生への執着をあえて同列で衝突させて見せたのかも知れないが、しかし第三者的に見れば7歳の仇を17歳でとるのは理不尽というしかない。古来の伝承における含蓄もこれを支持しているように思えるが、それを題名にした映画の意図としてはどうなのか。まさかわが子に執着するあまり他を顧みない現代人の親心に迎合しているのではないだろうが、そういう結末になってしまっていたのは正直気に入らない。  なおキャストに関しては、ホラー女優役の女優(必ずしもホラー女優ではない)はもとから好きで見ていたわけだが、そのほか串刺され役の女優(藤本七海)も童顔ながらいい感じに見えている。この人が外見的に幼いため中学生程度にしか見えず、結果として前半の各場面が同時進行に思えなかったのは、わざと混乱を狙ってやっていたのかとも思う。
[DVD(邦画)] 6点(2013-07-28 18:47:34)(良:1票)
660.  口裂け女 リターンズ 《ネタバレ》 
自分の知る限り、口裂け女の起源を最も古い時代に置いた映画である。従来の常識からすれば発想にかなり飛躍があるが、それでも70年代の都市伝説との関連付けをちゃんとやっているのは真面目ともいえる。また公式HPでは主人公を“口裂けハンター”と称しているが、村祭に行ってトラブルが起きるというような展開にも「妖怪ハンター」シリーズのような雰囲気が感じられる。そのほか硫酸が出るのは「口裂け女2」(2008)へのオマージュかも知れない。 一方、民俗学専攻の主人公が終盤でまとめていた結論を聞くと、この映画はどうやら古代以来のわが国社会構造に根底から疑問を投げかけているらしいのだが、これがまた一体こんな話をどこから仕入れて来たかという感じでコメントする気にならない。またラストこそ泣ける映画風にまとめてあるものの、それに先立つ住民の描写を見ているとバカ映画のようにしか思えず、どこまで真面目に見ればいいのかわからないのは「制服サバイガールII」(2008)のようでもある。  ところで前置きが長くなったが本題に入ると、まず冒頭から若手女子4人が揃って出るだけで豪華キャストと思ってしまう自分はどれだけエロオヤジなのかと思うが、若ければ何でもいいというわけでは決してなく、よく見れば主人公以外もそれぞれ個性的な人物を揃えているので少しずつ見所はあると思える。公式HPにある“アイドルホラー”というジャンル設定は、何歳までがアイドルかという問題を別にすればまあ妥当だが、ちなみにホラーとしては全く怖くない。 また問題のレイコさまに関しては、口が大きいだけでなく歯並びまで悪いのは非常に不幸なことだが、支障があるのは顔だけで髪型や体型や服装はけっこう現代風なので、顔さえこうでなければ、というのは誰しも考えることと思われる。特に胸の谷間に関しては、主人公よりレイコさまが明らかに勝っていたことは指摘しておかなければならない。 そういった面から一定の評価をすべき映画だと感じられたので、必要以上に貶めることなく適正と思われる点を付けておく。
[DVD(邦画)] 3点(2013-07-28 18:47:25)(良:1票)
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