681. エヴァの告白
エディット・ピアフを演じたときも良かったが、マリオン・コティヤールはこの映画でもすばらしい。原題のImmigrantとは移民とか移住者を指す言葉。新大陸に渡った女性の危うさとそれにつけ込む男の物語であり、愛と憎しみが交差し見応えのある映画となっている。 [映画館(字幕)] 7点(2014-05-18 07:03:23) |
682. 神経衰弱ぎりぎりの女たち
ドタバタに思える展開にも伏線が利いていて結構おもしろい。脚本賞をとるだけの作品だと思う。イヴァンやカルロスの男たちも出てくるが、映画は女たちのドラマ、いろんな女性がそれぞれ持ち味を出して活躍する。ところで初めの方でジョーン・クロフォードが出てくるのは「大砂塵」という映画。男と女の別れのシーン吹き替えが、イヴァンとぺパの別れと重なり効果的。 [映画館(字幕)] 7点(2014-05-18 06:04:46) |
683. 摩天楼(ニューヨーク)はバラ色に
ワーキング・ガールならぬワーキング・ボーイかと思いきや、それよりずっとおもしろい。配送係が重役に化けるなんて最高だが、よくよく考えてみるといいかげんな会社だ。そんな会社でビシッと決めていたはずの女性重役が単なる恋する女性に変身してしまうのがズッコケていて別の意味でまたおもしろい。 [DVD(字幕)] 7点(2014-05-17 21:18:15) |
684. シンプル・プラン
元々は警察に届けないでほとぼりがさめるのを待つだけの単純な計画だったのに、偶然が重なり思わぬ方向へと進んでいく。殺さなくてもよかった人間まで殺してしまうことになり、最愛の兄までも・・・。よくありがちなストーリーにもかかわらず、しっかりとした構成と巧みな心理劇で良質のものになっている。冒頭の真っ白な雪と真っ黒なカラスも印象的。 [DVD(字幕)] 7点(2014-05-05 21:55:44)(良:1票) |
685. タイピスト!
パソコンもワープロも存在しなかった1950年代、時代の先端を行く事務機械はタイプライター、そのキーをいかに早く打てるかが秘書としての能力を左右していた。映画はその早打ち大会であり、保険店の経営者と秘書とのラブロマンス。ストーリーはきわめてシンプルなのだが、お洒落でキュートな感覚がすばらしい。ヘップバーン似の主演のデボラ・フランソワはどじっぷりもかわいらしくチャーミング、軽快な音楽もまた良い。 [DVD(字幕)] 7点(2014-05-03 22:00:51) |
686. チャンス(1979)
庭師として真面目に語り、テレビで見たままをまねているだけなのに、周囲はそれを勝手に解釈し大物だと見間違えていく。彼はまったく自然体なのに、ものごとを超越しているように見られるのだ。これはブラックコメディなのか、哲学なのか聖書の教えなのか。 [DVD(字幕)] 7点(2014-04-27 06:57:30) |
687. スタンリーのお弁当箱
歌と踊りの長編大作のインド映画にあって異色作、箸を使わず手で食べる風習に戸惑いつつも、子供たちの笑顔がとても素敵な映画だ。スタンリーがどうしてお弁当を持ってこれなかったか終盤になってようやくわかるのだが・・・。ほのぼのとしていて暖かく良い映画だと思う。 [DVD(字幕)] 7点(2014-04-20 08:55:15)(良:2票) |
688. つむじ風
コンパクトにまとまったコメディですごくテンポが良い。見ていて爽快感がある。人騒がせなつむじ風が起こり、最後は丸く収まる、いかにもぴったりの題名だ。渥美清や伴淳三郎はコメディはお手のものとしても、伊藤雄之助や殿山泰司までもがしっかりとその一員になっている。ところで主演の陣太郎さんは本当に御曹司? 探偵? それとも・・・? [DVD(邦画)] 7点(2014-04-18 07:22:40) |
689. パリの恋人
フレッド・アステアがミュージカルやダンスの達人とはいえ、60近いおじいちゃんじゃねえと敬遠していた映画。だが、この映画で見る限り少しも衰えていない。オードリーとの歳のバランスに目をつぶれば、おもしろいなかなかの映画ではないか。パリの名所だって十分楽しめるし、オードリーのお洒落なスタイルだって申し分ない。やっぱりスタンリー・ドーネンらしい楽しさ溢れるミュージカルだ。 [DVD(字幕)] 7点(2014-04-13 07:18:30) |
690. ロミオとジュリエット(1936)
オリビア・ハッセーの「ロミオとジュリエット」が若々しくロマンティックな映画だったのに対し、こちらはノーマ・シアラーやレスリー・ハワードら当時の名優をそろえ本格的な映画になっている。それもそのはず、監督は「風と共に去りぬ」や「マイ・フェア・レディ」のジョージ・キューカー、もう少し製作年代が新しかったら、さぞ豪華絢爛の「ロミオとジュリエット」になったのではないかと思うほど。脇役もジョン・バリモアやエドナ・メイ・オリヴァーら充実していてコケティッシュなおもしろさも感じる。しかし前半の堂々たる展開に較べ終盤は急ぎすぎで物足りない。そしてまた最大の難は、名優たちがすべて中年で、若き青年と乙女に見えないこと、お芝居だからとがまんするしかない。 [DVD(字幕)] 7点(2014-04-11 06:20:41) |
691. グッモーエビアン!
大泉洋によるコメディとばかり思っていたら、「家族って何?」の問いに始まるなかなかのドラマだった。冒頭のやかましい音楽に少々うんざりしたが、ラストのライブ音楽はこっちもうきうきした気分になった。同じ音楽でも映画を見る前と後では随分変わるもの、ロックも捨てたもんじゃないと改めて思った。アキって呼ぶから能年さんかと思ったらお母さんの方だった。(あまちゃんの見過ぎのせい) [DVD(邦画)] 7点(2014-03-23 06:38:30)(良:1票) |
692. 鉄くず拾いの物語
第63回ベルリン国際映画祭で審査員グランプリに輝いた映画。「ノー・マンズ・ランド」の監督ダニス・タノヴィッチがわずかな自己資金でたった9日間の撮影で作りあげた。当事者の夫婦を出演させ、実際に起きた物語をドキュメント風に綴ったもの。ロマ族一家の現実のきびしさを感じさせられる。 [映画館(字幕)] 7点(2014-03-20 14:15:16) |
693. マリー・アントアネットの生涯
映画だから脚色はあろうが、政略結婚から王妃、派手な宮廷生活、首飾り事件、フランス革命、断頭台と進む流れは結構史実に近いのではあるまいか。主役はノーマ・シアラー演じるアントワネットだけど、男優としては格好いいタイロン・パワーよりもルイ16世を演じたロバート・モーレイに愛着を感じる。ルイ16世は国王としての能力は欠けていたかもしれないが、穏和でやさしく愛情深い人だったのだろう。国王として生まれなかったらきっと良き家庭人であっただろうにとさえ思う。 [DVD(字幕)] 7点(2014-03-16 09:32:32) |
694. 少女は自転車にのって
どんなに映画通の人であっても、この映画以前にサウジアラビアの映画を見たことのある人はめったにはあるまい。イスラム教のきびしい掟があり、サウジアラビア国内では映画館の設置さえ禁じられているという。一夫多妻制度やヒジャブを巻いて肌をさらさないなど女性には特に厳しく、車の運転もかなわない。そういう厳しい情勢のなかで、サウジアラビア初の女性監督が国内で出演者を募集し、映画を製作したとなると驚嘆という言葉以外にはない。映画は決して反イスラムを掲げたものではなく、少女が自転車に乗るという優しく愛らしく描いている。サウジアラビアという国を理解する上でも必見。 [映画館(字幕)] 7点(2014-03-16 07:28:28) |
695. モンパルナスの灯
顔と首が異様に長いモディリアーニの肖像画は非常に印象的、良さはと聞かれても絵画にはさっぱりの私には答えようがない。美しい絵がいい絵と言われていた時代であればなおのこと理解されなかったのは仕方ない。酒と女に溺れ放蕩の生活を送っていたとばかり思っていたら、こんなに美しい女性がいたのだなあ。だが私が一番印象に残ったのはリノ・ヴァンチュラが演じる画商モレノ。いち早くモディリアーニの才能を見抜きながら、絵の価値が上がる彼の死を待ち望む、そしてそのラスト、あまりにも悲しく、あまりにもむごい。リノ・ヴァンチュラの真価を発揮した映画だと思う。 [DVD(字幕)] 7点(2014-03-15 22:24:59) |
696. パンと恋と夢
ヴィットリオ・デ・シーカは監督として有名だが、「武器よさらば」など俳優としても映画に出演していた。結構な男前である。このデ・シーカとジーナ・ロロブリジーダが共演するのだが、貧乏だけど明るく天真爛漫というマリアの役がいかにもぴったりしている。映画はほのぼのとして心地よいコメディだ。 [DVD(字幕)] 7点(2014-03-13 07:17:49) |
697. 鑑定士と顔のない依頼人
《ネタバレ》 ミステリー映画と知りつつも、「ニュー・シネマ・パラダイス」や「海の上のピアニスト」の雰囲気で見ていたものだから、まんまとだまされてしまった。隠し部屋の肖像画がすべてなくなっていたときは、主人公同様唖然としてしまった。依頼人がなぜ顔を出さないのかそっちにばかり気を取られていたからかもしれない。そういえば顔を出してからはちょっとばかり簡単にロマンスの方向へ行ってしまったような気もするし・・・。ジェフリー・ラッシュは何をやらせても上手い。 [映画館(字幕)] 7点(2014-03-11 16:03:54) |
698. 時雨の記
秋の美しい紅葉から冬そして春の桜と移りゆく情景がすばらしい。それに古都と寺院、藤原定家と時雨亭、日本の情緒もまた良い。そしてまた多江と壬生の恋も大人の愛を感じさせてくれる。この小説でしぐれ族ということばも流行したそうな。「堀川さんち、今日はお客さんですね」と景気のいい魚屋さんに思わず笑い。 [DVD(邦画)] 7点(2014-02-27 22:49:51) |
699. わが恋せし乙女(1946)
上映時間が短くしかもシンプルなストーリー、それでいてやはり木下恵介、情のこもった映画である。血の繋がらない兄妹、ゆくゆくは夫婦にという母や兄の願いむなしく「私好きな人がいるの」と捨て子の赤ん坊だった妹、よくある物語なのに感情表現が細やかで心打たれる。この映画の主題歌を歌っている栗本尊子、今も90才を超えて美声を持つ奇跡の歌い手である。 [DVD(邦画)] 7点(2014-02-26 17:44:26) |
700. ハンナ・アーレント
アドルフ・アイヒマンは冷酷な極悪人だったのか、それとも命令に忠実な小役人にすぎなかったのか。映画はアイヒマン裁判の実録フィルムを交えて、ハンナ・アーレントの論理を展開していく。大詰めのスピーチシーンは、誰しもがアイヒマンになりうることを指摘しているようにも思う。 [映画館(字幕)] 7点(2014-02-20 19:36:16) |