61. セント・オブ・ウーマン/夢の香り
◆話の中で、荒唐無稽すぎる箇所があって、ちょっと僕には合いませんでした。◆そもそもフランクの目を見えなくさせる意味がどこにあるのかよく分からない。フランクは女好きであるにもかかわらず、それがストーリーにあまり生かされていない。チャーリーが友達をとるか出世をとるかの狭間で揺れ動く様があまり見えない。校長はなぜ、明らかに異物の、しかも液体のはいっていることがわかる風船を自ら割ったのか?チャーリーはなぜ、突き通すことのできた嘘にもかかわらず、あんなにもあっさりと白状してしまうのか。◆それぞれの演技はさすがでしたが、あまりにもストーリーに粗があるので見終わったあとに釈然としないものが残りました。◆そして、最後のみんな一斉のスタンディングオベーションには、アメリカ映画の悪いところが凝縮されていて、ある意味勉強になったので、その点も考慮した上で5点を献上させていただきたい。 [DVD(字幕)] 5点(2005-12-19 21:21:58) |
62. マッドマックス2
僕の髪を切ってもらっている美容師さんが、「今でも見返すぐらいに好きな作品だ。」といっていたのでみました。うーん、みんなあっさり死にすぎ?犬を殺す必要ある?愛車に爆弾?みたいなかんじです。でも無駄に銃を乱射したり、ハイテクカーで敵を瞬殺したりと、いささか戦闘が激しくなりすぎた昨今の映画に比べればリアルでよかったと思います。スタントマンの行く末を心配してしまうような激しいシーンもあったりして、スカッとしたいときにはいいんでしょうね。たぶん、ストーリーを真剣に追ってしまった僕が悪いのであって、作品自体はいい仕上がりになってるのだと思います。でもやっぱりストーリー重視の僕は5点のボタンを押します。美容師さんごめんなさい m(__)m [DVD(字幕)] 5点(2005-11-11 21:58:23)(笑:1票) |
63. コクリコ坂から
《ネタバレ》 ◆宮崎駿の息子だというのはあまり関係なく、日常を描いた作品が好きなので見に行きました。結論から言うと、1.分かりにくくて2.退屈な作品でした。◆最初に良いところを言うと、カルチェラタン内部は非常に何があるのかワクワクして面白かったですし、坂道を自転車二人乗りで下るシークエンスは心くすぐられました。◆続いて悪いところを指摘します。まず、疑問なのですが、この作品の原作は有名で誰もが知っている内容なのでしょうか。そうであれば、本作が設定の説明を省略している理由も分かりますが、私は原作をまったく知らずに観たので、設定の説明が中々なされないことがかなり苦痛でした。例えば、舞台はどこか、海の家族構成はどうなっているのか、なぜ海は「メル」と呼ばれるのか、なぜ風間はダイブしたのか、なぜカルチェラタンは取り壊されるのか、最初の15分程で観客に分かる形で説明されるべきだと思いますがそういう配慮は無かったように感じました。◆また、日常を描く作品で純愛ものであれば、登場人物の性格や感情表現、あるいは日常の機微に特に力を入れて描くべきだと思いますが、主要な登場人物は無表情で典型的な動きを繰り返し、感情表現自体も、恥ずかしい時はほほを赤らめ、悲しいときは「うえーん」と大粒の涙を流すといった、既存のアニメの記号的表現に頼りきっていて、前半に登場人物の感情が抑制されて描かれていたのは単に監督の技術不足によるものではないかと感じてしまいました。加えて、登場人物が何を信条とし、何を行動原理として生きているのかも伝わってこず、「登場人物がその作品世界に生きている」ようには見えませんでした。◆さらに、本作では回想3回、無駄なカットが2回、シークエンスの終わりごとの暗転と、物語の起伏が無く、全体の尺よりも時間が長く感じてしまいました。◆日常生活を淡々と描くことと、観客に分かりやすく伝えたり面白がらせたりする努力を怠ることはまったく違うことだと思うのですが、これは吾朗監督の「味」といって良いのでしょうか。 [映画館(邦画)] 4点(2011-07-21 00:05:05)(良:3票) |
64. あしたのジョー(2010)
《ネタバレ》 ◆映画鑑賞後帰宅途中に、気づけば「ふざけんな」という言葉を連呼しており、あまりの怒りに歩きながら逆に笑ってしまった。現在もこみ上げる怒りを抑えることができません。◆まず良いところを先に指摘すると、力石と丹下、ついでに西とチンピラ役の阿部良平の演技はとても良かったと思う。◆次に悪いところを指摘する。まず、脚本。本作では、力石とジョーの死闘に焦点を絞っているが、原作とは違い、さらにそれに加えて葉子がドヤ街で育っており、いじめられたという設定が存在している。力石はそのことを暴露しようとした記者に暴行を加え、少年院に入れられたらしい。また、葉子はドヤ街でいじめられた経験からドヤ街を再開発しようとする。ここで、力石対ジョーのライバル同士の戦いという構図に、再開発組VSドヤ街組という図式が乗っかってくる。原作を知っている者にとって、この追加された構図は完全にノイズでしかないが、わざわざ映画化したのだからそういう変更はあっていい。◆しかし、それについて本作は何も掘り下げていない。ドヤ街といってもあくまで本作では背景として以上の意味をもたず、「ドヤ街に住む人」として掘り下げているわけではない。ドヤが再開発されることによってどのような被害が生じるのか、ドヤの人がジョーに何を託すのか、そんなところは一切描かれない。それだけならまだ、蛇足だと思うだけだが、さらに本作ではそこに無理やり落ちをつける。葉子が、力石VSジョーの試合を見て「逃げちゃいけないと思ったから再開発をやめる」と結論付けるのである(ていうか葉子は力石とジョーの試合を見ていられなくて席を立っている=逃げているんですけどね。)。◆「力石とジョーは戦うのは嫌だったが、それでも逃げずに戦った」ゆえに二人の試合は見るものを感動させ、ドヤ街を救ったというのが本作の二人の死闘の意味づけだそうである。これを受け入れて涙を流すか、監督をぶん殴りたくなるかで評価は分かれると思いますが、前者のタイプの人であれば問題なく楽しめるんではないでしょうか。◆次に演出。とてもテレビ的である。分かりやすい感動の音楽、勝利の音楽、悲しい音楽に加えて説明的なクドイせりふ、登場人物のこれ見よがしの涙。漫画でもここまで説明的に描いていないと思う程のくどさです。◆役者陣の演技は良かっただけに、監督および脚本、演出の功罪は大きいと思います。 [映画館(邦画)] 4点(2011-02-14 01:06:25) |
65. 蟲師
◆新しい映画だと思う。この映画はストーリーを追う映画ではなく、その背景や景色を見る映画なのだ。内容に意味が無かったり、脈絡が無かったりしても、そのことさえ意識してみることができれば決して悪い作品ではない。その意味では、この作品は一回目でストーリーを追い、二回目に景色を見る、という二段構えで見る映画なのかもしれない。◆しかし、そのことを理解したうえでも、やはりこの作品はお勧めできない。映画は自分の伝えたいことを伝えるものではあるが、同時に受け手を楽しませるエンターテイメントの要素も兼ね備えてなければならない。長い上映時間と無駄なカット、意味のわからない脚本や用語は明らかに客を飽きさせる。たとえ背景を見せたい映画だとしても、観客の興味を失わせてしまうことは映画を媒介手段としている限りは許されない。◆これほど時間が長く感じた映画は無い。まず、無駄なカットを編集することから始めてもらいたい。4点を献上させていただく。 [試写会(邦画)] 4点(2007-01-30 04:03:58) |
66. 少林少女
《ネタバレ》 ◆大筋の整合性が整っていなくとも、ディティールがしっかりしていれば鑑賞に堪えうるものにはなると思うのですが、鑑賞中細かな点がいちいち引っかかり、考えるのを途中で諦めた程沢山の穴がありました。なぜ、初めてラクロスに触れた柴崎は、ゴールの反対方向にシュートをするのか。一瞬で遠くに消えるラクロスのボールを見て、なぜまわりのメンバーは平然としていられるのか。というかそもそも小林拳とラクロスは親和性があるものなのか。ラクロスの専門家が見たらどのように感じるのか。なぜ初心者の集まりが、他チームと最初から互角の勝負ができるのか。なぜ富野由悠季がいるのか・・・etc◆この作品の良い所は、ラクロスのメンバーが意外と豪華な所です。山崎真美は落ち着いた語り口で、キャラがしっかり作れていたし、何より満島ひかりをメンバーの中に見つけたときが、作品鑑賞中の最も感動したシーンでした。それからは満島ひかりをメンバーの中から見つける作業に没頭できたので前半の不快指数はそれほど高くなかったように思います。◆後半になってからはラクロスシーンは無くなり、ひたすら格闘シーンになりました。格闘シーンは本広演出の「外し」が随所に見られましたが、「外し」を通り越してカンフー映画全般に対する「嘲笑」・「侮蔑」に近い印象を受けました。その後、エヴァ風内面演出が終わり、敵味方共に子役にすり変わったシーンでは、子役が2パターンぐらいに見えたのは僕の目の錯覚でしょうか。◆エンドロールが始まると、またラクロスのシーンが始まります。99-0という一方的過ぎる試合展開の最後に止めを刺して相手のラクロス人生を終わらせるかのようなシーン、即ちラクロスのボールを三人ぐらいで順繰りに殴ると、ラクロスのボールが炎をまとって龍に変化し、相手のゴールをキーパーもろとも焼き尽くそうとする殺人未遂のシーンは、、本作品中屈指の出来だったと思うのですが、なぜエンドロールのバックでそれを見せるのかは分かりかねます。◆本広監督は風呂敷を広げることはでき、中々期待させる点は素晴らしいと思うので、今度は風呂敷をたたまなくてもいいので、元のあった位置に戻すとかせめて人が踏みそうな所には置かないとかその程度の気をつけ方はしてもらいたいです。もう、映画版サイレン以来のやるせなさです。 [DVD(邦画)] 3点(2010-09-22 22:40:49)(良:1票) |
67. サイレン FORBIDDEN SIREN
◆監督がなぜSIRENという題材をベースにしてこのような作品を作ったのか、私には理解することができません。SIRENファンにとって、もっとも押さえておいてほしかったのは、逃亡です。最初にあまり意味のない、ただ観客を驚かせるだけの演出を繰り返すよりも、中盤の敵からの逃亡のシーンをもっと描いてほしかった。SIRENの画期的な点は、無力な人間が、頭をフル回転させて、使えるものをすべて使って、敵を陽動し、時には叫びたくなるような衝動を抑えて息を潜める、といった胃が締め付けられるような緊張感・恐怖を演出したところにあります。そのようなSIRENの本質を、本作品はほとんど表現していなかった。◆もちろん、オリジナルとはまったく路線を変えるという趣旨ならば、それも理解できる。しかし、本作品は携帯電話を使って陽動を行うシーンのところで、中途半端にその恐怖を表現している。ということは、監督も少しはSIRENを意識していたことになり、それがくやしい。気づいていたならば、もっとそこをつきつめて表現できる余地があったわけだ。◆また、ミーハーかもしれないが、SDKを何らかの形で登場させてほしかった。SDKを出せば、それだけで観客の評価を1点は上げることができたはずだ。◆どんなに秀逸なオチであったとしても、どんなに奇妙な音響やカメラワークが斬新だったとしても、SIRENという作品をベースに行うのであれば、もっと逃亡の恐怖を突き詰めてほしかった。◆今までで最低の3点を献上させていただきたい。 [DVD(字幕)] 3点(2007-04-15 00:14:56)(良:1票) |