61. テルマエ・ロマエ
《ネタバレ》 まあ、ストーリー設定とキャスティングで最後まで楽しませてくれる映画でしたね。風呂文化の素晴らしさが伝わってきますし、古代ローマの歴史にも触れられるし、「濃い顔」日本人俳優の顔芸も笑えますし、娯楽映画としてよく出来ていると思いました。 気軽にお風呂が楽しめる日本に生まれてよかったなと思わせてくれる作品です。 [地上波(邦画)] 8点(2013-04-27 00:16:55) |
62. ツレがうつになりまして。
《ネタバレ》 なんというか、ありそうで中々なかった「うつ病対処入門」のような映画。ただ、暖かく見守るだけでなく、現実の厳しさも描いているところも良いと思います。暗く重くなりがちなテーマではありますが、「うつ病」は決して特殊な人だけがかかるわけではなく、誰もがかかる可能性のある「こころの風邪」のようなものだというメッセージがしっかり伝わってきました。 [DVD(邦画)] 8点(2013-04-11 00:34:19) |
63. 遺体 明日への十日間
《ネタバレ》 映画としての出来はともかく、これからも大地震などの自然災害から逃れることができない日本に暮らす方に、一人でも多く見てもらいたい作品です。 多少、ドラマ的な演出もあって綺麗に作られている部分もあるかと思われますが、大災害が起きるとこのような状況になるのだということが描かれています。 [映画館(邦画)] 8点(2013-04-04 00:17:14) |
64. 監督失格
《ネタバレ》 これまでほぼフィクションでしか描けなかった「愛と死」のリアルが奇跡的に映像化されている作品。人間は絶対1日でも長く生きる努力をしなければならないなと思わせる作品でした。 [DVD(邦画)] 8点(2013-02-02 09:52:59) |
65. 思秋期
《ネタバレ》 題材がイギリスの庶民の生活の実情を描いていて、主演がピーター・ミュランということでなんと言うか「マイ・ネーム・イズ・ジョー」のその後みたいな感じで観賞してました。 ケン・ローチが取り扱うイギリス社会の問題を、クリント・イーストウッドが撮ったらこうなるといったような作品というのが個人的な感想でした。日本も無縁ではない問題を取り扱ってるので非常に興味深かったです。 まあ、主人公達が日々感じている苛立ち、衝動的な怒りを理解できるか出来ないかでこの作品の評価はかなり違ってくるでしょうね。 [映画館(字幕)] 8点(2012-11-11 00:45:51) |
66. ポエトリー アグネスの詩
《ネタバレ》 目先の欲望に執着し、美を求める「詩」的な心を忘れかけている現代人への問題提起なのかもしれません。 イ・チャンドン監督がまたまた素晴らしい作品を作ってくれました。下世話とも言える通俗的な出来事を描きながらも、そこに哲学的でもある芸術性を巧みに融合させていて、静かな作風でありながら我々観客の心を鷲掴みにし激しくシェイクするような仕上がりになっています。殆どムダの無い場面場面の緻密な積み重ねも見事でした(特にバドミントンの場面の使い方が素晴らしかったですね。タイトルバックの背景の発想も凄いです)。 本当に、監督の次の作品が待ち遠しくなってしまいました。 [映画館(字幕)] 8点(2012-09-23 10:09:04) |
67. 汚れた心
《ネタバレ》 タイトルの「汚れた心」とは「純粋な心」のアンチテーゼでは無く、私利のために「汚れた心」を定義づけし「純粋な心」を利用して排除しようとする心のことである。 「勝ち組・負け組」の問題は前々から興味があったので、非常にこの映画の封切が楽しみだったのですが、やはり映像として見せられると非常に衝撃的な内容でした。 まあ、考えの違う同胞に対し「汚れた心」というレッテルを貼りテロを仕掛ける「勝ち組」に対し憤りは感じましたが、それ以上に「純粋な心」を持つものを己の利益のために利用する詐欺師まがいの輩に対し本当に激しい憤りを感じましたね。 この映画ではそのような輩の要素を奥田瑛二演じるワタナベに集約しているので、エンターテインメント的に分かり易くなっていますが、現実的にはもっとやりきれない状況だったんだろうなと想像できます。 「勝ち組」の思想が全体主義というよりかは、人間の心理の闇を巧みに利用したカルト宗教的な感じで非常に恐ろしかったですね。 キャストの殆どが日本人ではありますが、ブラジル映画で監督もブラジル人ということで非常に中立的で乾いた感じの演出が非常に効果的で良かったと思います。 [映画館(字幕)] 8点(2012-07-25 23:30:02) |
68. サラの鍵
《ネタバレ》 ドイツ占領下のフランスでフランス人もホロコーストの手助けをしていた事実を伝えるだけでなく、ホロコーストの傷跡が現在の世の中にどのように残っているのかについても描いていて非常に興味深かったです。 基本的に現代劇で、主人公が我々と同じ目線で事件を追っているのでとても身近な感じがして良かったです。 原作もぜひ読んでみたいと思わせる素晴らしい映画でした。 [映画館(字幕)] 8点(2012-01-15 00:12:11) |
69. 永遠の僕たち
《ネタバレ》 ガス・ヴァン・サント監督は「グッド・ウィル・ハンティング」といいこの作品といい透明感のある青春映画を撮らせると天下一品ですね。この作品もオープニングのあの映像にビートルズの「TWO OF US」を重ねてきた時点でよい作品であることを確信し、実際素晴らしい作品でした。 「死」という概念に憑かれた主人公が「死」を運命づけられた者と出会い変わっていく展開など全体的に「ハロルドとモード」のオマージュが散りばめられていて非常に興味深く観賞できました。 生きることができる、生きていけるということの素晴らしさを教えてくれる作品でしたね。 [映画館(字幕)] 8点(2012-01-10 20:38:40) |
70. 桜田門外ノ変
《ネタバレ》 ドラマ性を極力排した硬派な作りが、明確な悪と善が存在しない「桜田門外ノ変」という事件の難しさを描きだしています。 幕末の水戸藩の悲劇は、尊皇でありながら主君が徳川家というジレンマを抱えたことであることがこの作品の中でも垣間見えました。まあ、明治維新に水戸藩は上手く利用されてしまったともいえますね。 そして、日本の武士道が行き着く先を示してくれただけでなく、なぜ明治以後水戸藩の名前が出てくることが無かったのかを伝えてくれる、この作品の原作者である吉村昭の「天狗争乱」を是非映画化して欲しいですね。あまりにも悲惨なので地元は嫌がるかもしれませんが。 [DVD(邦画)] 8点(2011-12-29 16:03:21) |
71. 冷たい熱帯魚
《ネタバレ》 表現は非常にグロテスクですが、内容は非常に骨太で見応えのある作品です。特にでんでんが、軽妙な明るさの陰にどす黒い闇を抱える男を見事に演じています。コワモテの男よりもこういうオッサンの方が本当に怖いですからね。 そして、前代未聞の異常な事件をモチーフにしてはいますが、この作品で描かれているのは家族関係の問題、そしてでんでん演じる村田が決して突然変異で殺人鬼となったわけではなく、誰しもがそうなる可能性を持っているということですね。 現に、最初に人体の解体シーンを見たときの感じ方と、2回目、3回目のシーンを見たときの感じ方は全く違っているはずですから・・・・・。 しかし、元ネタの事件は酷い話ですね。背筋がゾッとしました。 [DVD(邦画)] 8点(2011-12-11 23:25:27)(良:1票) |
72. マネーボール
《ネタバレ》 こ の作品は野球ファン、特にメジャーリーグが好きな人はとても楽しく観ることのできる作品だと思います(何せ、最近のメジャーの事情が映像化されていて、実在の人物が実名で出てますから・・・)。それだけでなく、会社勤めの人間にとっては、人の使い方についてとても参考になる作品でもあります(ちょっとシビアすぎる面もありますが)。 野球界のみならず、あらゆる業界の中小企業が大手を相手に生き残っていくためにはどうすればいいかを教えてくれる作品でもありましたね。 で、単なるサクセスストーリーで終わらず、ノウハウを大手に使われて差をつけられてしまうという結果は現実の厳しさを教えてくれました。 野球の楽しさ・醍醐味を十分に伝えてくれる作品でした。 [映画館(字幕)] 8点(2011-11-19 22:01:44) |
73. 婚前特急
《ネタバレ》 タイトルはまるでルビッチ監督作品のようですが、内容もまるでかの時代のスクリューボール・コメディを彷彿とさせるとても楽しい作品でした。吉高由里子のコメディ女優としてのポテンシャルの高さに魅了されてしまいましたね。 とにかく、テンポの良さとセンスの良さが観ていて非常に心地よかったです。内容も、極端に色づけはしていますが実は非常に普遍的なものなので、共感できる部分が多かったです。 [DVD(邦画)] 8点(2011-10-30 22:58:32) |
74. その街のこども 劇場版
《ネタバレ》 やはり、主演が実際に神戸で震災を経験した2人ということで、まるでドキュメンタリーを見ているような感覚でしたね。大災害が被災者の心に刻みこんだ傷の深さをリアルに表現できていたと思います。最後のシーンもドラマ性を排除していて非常に良かったです。 ただ、建設会社でのシーンは余計だったような気がしましたね。15年経って人々の関心が薄れてきたことを示しているのかも知れませんが。正直、東日本大震災では日本の建物の耐震レベルの高さを示したわけで・・・・・ [DVD(邦画)] 8点(2011-10-18 23:40:01) |
75. ランナウェイズ
《ネタバレ》 70年代の洋楽全盛期、様々な「ビッグ・イン・ジャパン」なアーティストが出てきましたが、その代表的なバンドである「ランナウェイズ」の伝記映画ということで非常に興味深かったです。 ガールズバンドの栄光と挫折、人間関係の軋轢、音楽性と商売との矛盾だけでなく、当時の日本の洋楽人気も映し出されていて非常に面白かったです。 キャストも、実際のメンバーに似た雰囲気でリアルな感じでしたね。 [DVD(字幕)] 8点(2011-10-15 16:47:46) |
76. サラエボ,希望の街角
《ネタバレ》 ボスニア・ヘルツェゴビナの内戦が遺していった複雑な社会状況が映し出されていて非常に興味深い作品でした。また、宗教というものは世のあらゆる問題に対し明快に回答を示してくれるが故に心の安らぎを与えてくれると同時に異なる回答への強烈な拒絶反応も作り出してしまう恐ろしい側面も持っていることをこの作品は教えてくれます。 まあ、戦争の傷跡の深さを考えると、宗教の安らぎに逃避してしまうことを全面的に否定はできませんけれど・・・・。ただ、女性にとっては完全に男尊女卑な世界を拒絶するのはやむを得ないでしょうね。 [映画館(字幕)] 8点(2011-08-24 00:41:00) |
77. ブルーバレンタイン
《ネタバレ》 昔「男と女の間には深くて暗い川がある」という歌詞の歌がありましたが、まあ結婚に対する夢も希望も打ち砕くようなリアルなストーリーでしたね。なんと言うか、すれ違いが生じたとき、それをなりふり構わず修復しようとする男とある段階で一気に関係を終わりにしようとする女の姿が非常に痛々しかったですね・・・・・。 しかし、良く出来ている作品ではありました。最後の花火の映像は本当に哀しい美しさでした。 また、男が怒って結婚指輪を投げ捨てた後、我に返って必死に探す姿が印象的でした。 [映画館(字幕)] 8点(2011-08-12 00:21:29) |
78. ばかもの
《ネタバレ》 ちょっとビターな恋愛映画かと思ったら、途中から非常にヘヴィな展開が続き少々面喰いましたが、非常に見応えのある作品でした。絲山秋子作品ですから、ありきたりな話な訳ないんですけどね。 まあ、アルコール依存症は怖いですね。酒飲みながら観てたんですけど、1杯だけで止めましたw ラストシーンは非常にキレイで印象的でしたね。 [DVD(邦画)] 8点(2011-07-13 11:19:26) |
79. カラフル(2010)
《ネタバレ》 主人公と同世代の若者だけでなく、大人が見ても心が温まるファンタジー映画ですね。 中学3年生という、心身共に成長期を迎え、しかも義務教育最終年で進路を自分で決めなければならない難しい時代の感情の動きを見事に描ききっている作品でしたね。 大人の世界に足を踏み入れながらも、子供の純粋さを捨てきれず不安定な感情に翻弄されてしまう中学生たちの姿は恐らく誰もが共感できるものではないでしょうか(忘れてしまっている人もいるでしょうけど)。 何十もの異なる色を一つにしようとしてもそこには暗黒しか残りません・・・・ [DVD(邦画)] 8点(2011-07-05 23:14:12) |
80. 十三人の刺客(2010)
《ネタバレ》 美しい戦争、美しい殺し合いなんて存在しないんです・・・・ 延々と続く殺戮の映像が暴力の破壊性、虚しさを激しく伝えてくれます。また、忠義という「美徳」によって思考停止を余儀なくされ、視野狭窄に陥ることの恐ろしさを教えてくれる作品でもありました。 忠義に殉ずる事と、主君に無条件に従うことは同じように見えて全く違うものであって、主君たる座についたからその者を主君として仕えるというよりは、主君という座がありその座の存在に対し忠義を尽くすのが本当の姿なのではないでしょうか。 稲垣吾郎演じる殿様のような愚かなリーダーは、決してドラマの中だけに出てくる創作物ではないのだと思います。 [DVD(邦画)] 8点(2011-06-14 00:29:40) |