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S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2401
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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【製作年 : 1960年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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61.  地上最大の脱出作戦 《ネタバレ》 
ブレイク・エドワーズとヘンリー・マンシーニの黄金コンビで戦争映画を撮ったらこんな感じになりましたってところでしょうか、まあ予想通りのドタバタ・コメディですけどね。この映画の真の主役はキャッシュ大尉のディック・ショーンとオポ大尉のセルジオ・ファントーニであることは間違いなく、ジェームズ・コバーンはいわば狂言回しみたいな役柄です。ディック・ショーンはそのクドい演技が満腹感を誘いますけど観てるほうもだんだんマヒしてきて愉しくなってきますが、彼はこの後メル・ブルックスの『プロデューサーズ』で世紀の怪演を見せてくれる人です。セルジオ・ファントーニもハリウッド映画では良く見かけるステロタイプなイタリア軍将校ですけど、実はこの人は前年製作の『脱走特急』でもイタリア将校それも階級も同じ大尉役なんですね。当然ですが軍服は同じで違うところは眼帯をしていてシリアスなキャラだったってとこですかね。ギャグ自体は典型的なエドワーズ節ってところですが、米伊両軍の兵士が街中で大乱闘したり空包を撃ち合って戦争ごっこしたりするところなんかはかなり笑えます。劇中ずっと銀行に忍び込むためにトンネルを掘り続けるコンビもバカバカしくていいですねえ。 まあ誰もが感じることでしょうけど、邦題のセンスのなさはかなりのレベルです。この映画は制作・配給がユナイトなのでこれも名付け親はあの水野晴郎 なのかな。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-02-21 21:50:41)
62.  ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!
ブレイクし出したころのビートルズをフューチャーしたアイドル映画というか元祖MVとも言えるでしょう。当時のビートルズを象徴するアイコンであったマッシュルームカットも、今の眼で見れば良家の可愛らしいお坊ちゃんたちという感じで、なんでこれが大人の顰蹙を買ったのか理解できませんね。ストーリーは、いちおうロンドン(?)から列車に乗って地方の都市でTVの公開収録をしたビートルズが慌ただしくヘリコプターで去ってゆくというだけのことですが、これが商業映画で初監督のリチャード・レスターがお得意のレスター節全開で撮ってますから、それはもうクセが強いことと言ったら…笑えない・意味不明な英国ギャグには辟易させられます。この人、産まれも育ちもアメリカ人なのに生粋の英国人みたいなセンスなのが不思議です。ビートルズも、後に俳優としても活躍するリンゴ以外は演技がド下手ですが、若々しい彼らの映像が観れるというのは感涙です。彼らも映画初出演ですから、まあ仕方ないですかね。四人そろっての劇映画出演は『HELP!四人はアイドル』と本作しかないので貴重ではあります。 演技じゃないのはビートルズの演奏に興奮する少女たちの熱狂ぶりで、観ててちょっと引いてしまいます。でも彼女たちも生きていれば今じゃみんな80前後のおばあちゃん、人間って儚い存在なんですねえ…
[ビデオ(字幕)] 5点(2021-01-28 23:25:49)
63.  北極の基地/潜航大作戦 《ネタバレ》 
冒険小説の大家アリステア・マクリーンの原作を名匠ジョン・スタージェスが監督して映画化したのに、これが意外にも面白くないんだなあ。ソ連の衛星が北極に投下した何かを米英ソが争奪戦を展開するというのがストーリーラインです。英国人の謎の男を便乗させて作戦の概要を知らずに北極に向かう米海軍原潜、艦長はロック・ハドソン。この謎の男、実は秘密工作員をパトリック・マクグーハンが演じますが、あの『プリズナーNo.6』の人ですから正体不明の怪しさは半端ないです。でもこの映画、北極に到着するまでがとにかく長い、長すぎる。その間米海軍協力の実物を使ったりしての原潜内でストーリーが進行するのですが、艦内での作業や運航手順を丁寧に見せるところは好感が持てました。北極に着くまでに魚雷発射管への破壊工作であわや沈没の危機に陥りますが、下手人として怪しまれるのはマクグーハンとやはり途中から便乗してきた亡命ソ連人であるアーネスト・ボーグナインと海兵隊大尉、いちおうサスペンス・スリラー的な要素も盛り込まれています。でも北極にたどり着いてからの展開には、正直言って?が十個ぐらいついてしまいます。未だに理解不能なのは“なんでマクグーハンがあの人を射殺したのか?”ということなんです。これは脚本家の腕がイマイチなのか私の頭が悪いのか、どっちなんでしょうかね。 そう言えば、この映画には全編で女性が一人も登場しませんでした、エキストラ的なのも含めてです。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2020-11-25 21:50:41)
64.  宇宙大征服 《ネタバレ》 
本作は巨匠ロバート・アルトマンの商業映画の実質初監督作となりますが、あのアルトマンの処女作がハードSFだったとは驚きです。 60年代米ソの宇宙開発競争がたけなわの時分、人類初の有人月面着陸がソ連に先越されそうな情勢になってきました。アメリカはアポロ計画が始まったばかりで月・地球を往復できる機材が完成にはほど遠い状態。そこでアメリカはトンデモない計画でソ連を出し抜こうとします。それはジェミニ計画の有人カプセルで月面に着陸し、直前に送り込んだシェルターにアポロ計画が進行して迎えに行けるまで宇宙飛行士を籠らせるという特攻隊みたいな無茶なプランです。実際にはその機材が完成するまで半年なのか一年以上かかるのかは未知数で、それまで定期的に酸素や食料といったサバイバルの必須物資をロケットで送り込んでシェルター内の飛行士に耐えてもらうという寸法。そして反軍風潮が強い世情を考慮して、一人しか乗れないカプセルには訓練された軍人ではなく民間人を乗せるとなり、選ばれたのが退役軍人で今は民間人のチームの一員ジェームズ・カーンでした。 実はこのトンデモ計画はアポロ計画が躓いたときのいわば“プランB”の一つとして検討されたものだそうで、もちろん具体化しませんでした。“もしこのプランが実行されたら…”というifを映像化したわけで、これはなかなかユニークな視点のSFだと思います。前半は選ばれたジェームズ・カーンの訓練が主体、本来予定されていたロバート・デュバルがサポに回されてカーンを徹底的に虐めます。なんで民間人にこだわるのかのロジックはイマイチ理解不明でしたがね。打ち上げなどは実際のジェミニ計画の映像が使われ、宇宙空間ではカプセル内のカーンの視点だけで表現、低予算ながらいろいろ工夫がされています。音楽担当がレナード・ローゼンマンで、妙にどっかで聞いたことある劇伴だと思ったら、この人『コンバット』の音楽担当でアルトマンもこの映画を撮るまで『コンバット』のディレクターをしていたという繋がりがあったわけです。 実は打ち上げの六時間前にソ連が月着陸船を打ちあげてており、アメリカが先を越されてしまった可能性が出てきて、そのプレッシャーが月面着陸でのカーンの判断ミスを誘います。そこに至るまでもトラブル続きで、シェルターを見つけられないカーンの酸素残量が尽きようとするし地球との通信も途切れてしまいます。そして月面を彷徨う彼が見つけたものとは… ラストも感動的に持ってゆくのを避けた、いかにもアルトマンらしい幕の閉め方でした。緊迫感に満ちたハードなストーリーテリングで初監督作としては上出来だと思いますけど、例によってアルトマンは本作をなかったことにして欲しかったみたいです。実は編集段階でアルトマンはワーナーから出禁状態にされ、ラストはアルトマンを排除して撮り直されたものなんだそうです。オリジナルは、もっと悲劇的なんだそうです。町山智浩氏いわく“巨匠の黒歴史シリーズ”の一編でした。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-11-01 21:41:41)
65.  あの胸にもういちど
「世界でいちばん有名なライダースーツの女」といえば、50年以上たっても本作のマリアンヌ・フェイスフルの王座は揺るぎません。いまやすっかりおばあちゃんになってしまいましたが、あの頃の衝撃的なおっぱいとお尻にどうしても眼がいってしまいがち、でもルックスは決して美人とはいえなくどちらかというとタヌキ顔で、よく見ると若いころのうつみ宮土理に似てる気がします。まあほとんどストーリーが無いも同然のこの映画ですから、ひたすらマリアンヌのライダースーツ姿とバイクの疾走を愛でるのが正解です。 監督したのは名カメラマンであるジャック・カーディフで、今となってはダサいかもしれないが当時としては先進的なサイケな映像が斬新です。彼やソウル・バスみたいな撮影や美術畑の人が撮る映画には突拍子もないものが多い気がしますが、カーディフの監督としてのピークはやはり本作だったと思います。なんせこの次の監督作が『悪魔の植物人間』ですからねえ、演出手腕は持っているのに何を考えていたのやら… アラン・ドロンはたしかに贅沢な使い方だとしか言いようがないですが、彼の英語のセリフはどうも吹き替えみたいです。でもこのキザでニヒルでツンデレな大学教授は、よくぞドロン様を引っ張り出してくれましたと賞賛したくなるナイスなキャスティングです。あの唐突な幕の閉め方は、やはり『バニシング・ポイント』などのニューシネマに影響を与えたんじゃないかな。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-10-25 22:42:13)
66.  眠狂四郎 悪女狩り 《ネタバレ》 
ついに狂四郎シリーズも最終回、死期が迫った雷蔵本人は自覚していたかもしれないが、大映はまさか本作でシリーズが終わるとは予想してなかったんじゃないかな。もちろん大団円として撮ってるわけじゃなく、今まで通りの通常運転のストーリー展開。でも雷蔵は体調はかなり悪く、立ち回りなんかはスタンド・インを使う場面もあったそうです。そういえばストーリー自体もかなり暗い滅びの物語に徹していました。奇しくも雷蔵最後のセリフが「貴様を救う神があるか、俺も確かめに行きたいものだ」というところが、結果的には意味深ですね。 大奥内での身ごもった側室と大奥総取締役との将軍後継者を巡っての争いがストーリーの基本。そこに邪魔な幕閣を消すために総取締役が操るニセ狂四郎や隠れキリシタンが絡むという大風呂敷を広げた脚本ですが、ニセ狂四郎が正体がバレた後でも本物を狙って襲う動機がイマイチ不明だし、将軍の跡継ぎ問題はけっきょくどうなっちゃったの?etc.けっこう粗が目立つ脚本なんですよね。今回のハニートラップはシリーズ中で随一のシュールな仕掛け、自分はてっきりこれは狂四郎の見ている夢なんだろうと観ているときは思いました。 こうして、私の“眠狂四郎マラソン”が一年かけて無事終了いたしましたが、全作を観てこのシリーズの感想は以下の通りです。●自分にとってシリーズ最大の謎は、若山富三郎が演じた陳孫です。初期の二作に狂四郎の好敵手として登場していずれの対決も決着つかず、シリーズを盛り上げるキャラになるかと思いきやその後はまったく登場せずで終わり。スタッフとしてはそろそろ再登場させようかと思っていたら、雷蔵の突然の死で機会を失したという感じだったのかも。●けっきょく、円月殺法って何だったんでしょうか?ただ剣を一回りさせて頂点で光を反射して眼潰しして斬りかかるって感じしかないです。殺陣が得意じゃなかった雷蔵なので迫力を出し切れなかったのかもしれません。●とはいえ約五年も続いたこのシリーズ、雷蔵=狂四郎がその後の時代劇に多大な影響を与えていることは疑いありません。徹底的に虚無的なそれまでの時代劇になかったスタイルは、70年代には木枯し紋次郎で華を咲かせたと私は思います。でも座頭市&眠狂四郎はやっぱ観たかったなあ…
[CS・衛星(邦画)] 6点(2020-10-01 23:06:24)(良:1票)
67.  シシリアン(1969) 《ネタバレ》 
マフィアが欧州でも隠然たる勢力を保っていた60年代の映画ですから、“マフィア”や“コーザノストラ”という語句は劇中ではいっさい使われていません。ジャン・ギャバンがボスの組織はどう見てもその出身地や構成などからマフィアなのですが、せいぜい“シチリア人”と呼ばれる程度です。この組織の表の顔はゲーム機器を扱う会社ですが、「裏の稼業では人殺しは絶対しない」なんて綺麗ごとが過ぎる設定で、これもマフィア業界への忖度なんでしょうかね。ジャン・ギャバンがまた沈着冷静で友誼に厚い貫禄というものを擬人化したようなキャラで、『ゴッドファーザー』のヴィト・コルレオーネなんか目じゃないって感じです。こういう警察も全くマークしていないような組織が旅客機をハイジャックして宝石強奪する展開は、ある意味で逆転の発想ですけど突拍子すぎます。60年代にアラン・ドロンがジャン・ギャバンと共演した作品はドロンがチンピラ感あふれる小者キャラという共通点がある気がしますが、刑務所でドロンが入手した宝石展のセキュリティ設計図はけっきょく使われず、女に手を出して墓穴を掘る軽率な行動を繰り返し、けっきょくこのパターン通りでした。 よく言えば淡々とした、普通に観れば締まりのないストーリーテリングに華を添える(?)のがエンニオ・モリコーネの脱力系な音楽です。この人はマエストロとなって惜しまれながら世を去りましたが、若いころは“音符のチンドン屋”“来る仕事はすべて引き受ける”などと陰口を叩かれていたそうで、その悪い面がでた結果がこれなんでしょうね。でもあの“ポヨ~ン♪”は、意外とフランス人の哀愁を誘う音だったりして(そんなわけ、ないか)。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-09-13 21:01:41)
68.  眠狂四郎 人肌蜘蛛 《ネタバレ》 
雷蔵も大映も予期していなかったでしょうが、『眠狂四郎』シリーズも終盤ラス前になってきました。冒頭からエログロな雰囲気が濃厚、今回の狂四郎の敵はまたもや将軍家斉の不肖の庶子である紫姫(例の菊姫ではない)と家武の兄妹です。紫は「血の伯爵夫人」エリザベート・バートリーの江戸時代版という設定、屋敷に若い男女を監禁してなぶり殺しにするサイコキラーで、妙に現代的な髪形の緑魔子がキャラにドはまりで今まで観てきたシリーズ中でいちばん妖艶でした。兄の川津祐介とは近親相姦の関係であることも匂わせており、要はドロドロというわけです。本作では狂四郎の個人情報も織り込まれており、舞台とされる甲州には母親の墓参りで立ち寄るという設定で、つまり狂四郎は甲斐の生まれだったというわけです。家武誅殺を狙う幕閣が接触してくるところやお馴染みの狂四郎へのハニートラップ攻撃はシリーズでの定番ですが、今までのとはちょっと違う風味で面白かったかなと思います。狂四郎が毒矢にあてられるシーンもあり、幕閣・渡辺文雄に解毒してもらわなければ死んでしまうというシリーズ最大のピンチもありました。まあ女にもめっぽう強い狂四郎も健在で、狂四郎に執心の紫姫までちゃんと肉欲を満足させてやり、「女は抱くもの」がモットーの狂四郎本領発揮でした。 それまでのシリーズで垣間見えた狂四郎の人間的な一面はほとんどなく、死屍累々となった現場を立ち去ってゆく狂四郎の姿は最高にニヒルで痺れます。ラスト、呪いの言葉を吐きながら燃え盛る屋敷に飛び込んで果てる紫姫は、『海底軍艦』のムウ帝国女王の最期が思い出されてしまいました。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2020-09-01 23:12:42)(良:1票)
69.  「女の小箱」より 夫が見た 《ネタバレ》 
私が今まで観た若尾文子主演の映画で、もっとも彼女がエロかったのが本作です、いや若尾文子フィルモグラフィ中でもオール・タイム・ベストかもしれません。なにしろタイトル・バックが若尾様の入浴シーンで、微妙なところはボディダブルであるのは判ってますけど、すりガラス越しにほとんど見えてると言っても良い裸体には製作時代を考えると驚くほど大胆です。もう全編にわたって人妻フェロモンを出しまくり、田宮二郎と初めてベッドを共にした後の彼女のセリフにはもう頭がクラクラしました。その若尾様に負けず劣らずなのが岸田今日子でして、上手い女優さんだとは認識しておりましたがここまで色っぽかったとは自分の不明を恥じるばかりです。 田宮二郎の演じるキャラは明らかにあの横井英樹がモデルなのは明白ですが、実物と違って実に魅力的なキャラになっています。“目的のためなら手段を選ばず”という男なのに、あまりにキザなので凄みが薄れてしまった感じもありましたが、まるで初心な少年みたいに若尾様にのめりこんでゆく心情にはマッチしていたと思います。お話し自体はけっこうご都合主義が濃厚な感じで「世間はそんなに狭いんかよ!」と甘く突っ込みを入れておきますが、夫の川崎敬三や若尾様の兄役などが開陳する価値観があまりに古くて嫌悪すら催すところがやはり時代を感じてしまいます。まあ昭和30年代の日本人のレベルなんてこの程度だったというのが現実なんでしょうけど、増村保造はそれを決して肯定せずに新しい時代の男女スタイルを若尾・田宮の両者に投影しているのかもしれません。 血まみれで死にゆく田宮二郎に口づけをする若尾文子、凄みがあるラスト・カットでした。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2020-08-30 23:43:44)
70.  サムライ(1967) 《ネタバレ》 
いやはや、全盛期のアラン・ドロンをひたすら愛でる映画です。製作当時、彼が間違いなく世界で一番トレンチ・コートが似合う人類の男だったのは疑いありません。説明を極限までオミットしたストーリーテリングには戸惑いすら覚えます。それにしてもこの映画のドロンのセリフの少なさはちょっと他に類を見ないんじゃないかな。それも2センテンス以上の喋りがほとんどなかったんじゃないか(ひょっとして皆無?)と思えるぐらいです。そんなドロンを執念で追い詰めてゆく警部のフランソワ・ペリエが、またカッコよいんです。自らは署に陣取って部下を駆使してパリ中を移動しまくるドロンを追っかけるわけですが、作戦自体は空振りでけっきょく見失ってしまう。でもドロンは暗殺現場であるクラブに何度も現れるので結局それが自滅につながってしまう。よく考えたら対象とは縁も所縁もない殺し屋で入念にアリバイ工作もしているのにすぐ第一容疑者としてマークされてしまうのは脚本上の疑問点で、こんなに早く警察に眼をつけられてしまうのでは依頼主から消されかけるのはムリもないかもしれません。まあ私たち日本人には殺し屋=ゴルゴ13というイメージが強いのですが、こういう展開の方がリアルなのかもしれません。突っ込んでおきたいところもありまして、“サムライ”という題名だけは、ちょっと違和感を感じます。西洋人の武士道に対する憧憬みたいなものは理解できますけど、この映画のどこにもそういう要素はなかった気がしますけど…
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-08-25 22:36:24)
71.  五人の軍隊 《ネタバレ》 
日本が誇る昭和の国際ムーヴィー・スター(?)我らの丹波哲郎がマカロニ・メキシコ革命劇に颯爽と登場!と言っても役名はそのものズバリの“サムライ”でなんと劇中セリフは一言もなし、初登場のシーンではどう見ても中国の道士服にしか見えない格好で必殺の得意技はナイフ投げ!でも五人のおっさんたちの中では唯一のモテキャラで、振り落とされた列車に延々と走って追い付くなんて見せ場(?)もあっておいしいキャラではありました。製作年度なんかから見て五人の悪党などのプロットは『ワイルドバンチ』からインスパイアされてるのは明確、マカロニ資本なのになぜかハリウッド監督のドン・テイラーなので結構しっかりした撮り方です。砂金列車の強奪は、ピーター・グレイヴスの作戦を事前に最小限しか観客に見せないので緊迫感あふれる展開になっています。その細部にこだわる手口の見せ方は、バート・ランカスターの『大列車作戦』に通じるところがあります。よく考えると、メキシコ革命が題材のアクション映画では列車が登場する頻度が高い気がしますね。 ラストもちょっと意表を突く展開、なんとなく納得させられる幕の閉め方でした。この手のジャンルでは佳作と言えるんじゃないでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-08-19 20:52:10)(良:1票)
72.  眠狂四郎 女地獄 《ネタバレ》 
シリーズ10作目にして初のダブル敵役、竹光侍の伊藤雄之助はちょっと微妙だけど田村高廣は初めて円月殺法をかわす偉業を成し遂げて、つまり田村がここまでのところシリーズ最強の敵ということになります。しかも田村を仕留めたのは小沢栄太郎の放った銃弾、けっきょく狂四郎との雌雄は決せられなかった結末は憎いですね。もっともチャンバラよりも伊藤雄之助のとぼけた演技に雷蔵も田村もイイとこ持ってかれた感は強かったですけど。ストーリーはお家騒動で争う城代家老ふたりと、その騒動によくわからないうちに巻き込まれると言うか首を突っ込む狂四郎という展開。お約束の敵方からのハニートラップ攻勢は健在で、もちろん「女は抱くもの」がモットーの狂四郎ですから愉しんでからの返り討ち、それにしても女の肌に触れただけで男の有無が判ってしまう狂四郎、ここまで来るとほとんど超能力です(笑)。高田美和以外の女性キャラはやはり定石通りにみんな死んでしまうのですが、やはりこのお姫様は良く考えると怖い。虫も殺さぬお上品さですが、藩の乗っ取りを図る二家老の対立を煽り抗争させて自滅させる作戦だったとも取れます。もちろん脚本家にはそんな凝った意図は毛頭なかったかもしれませんけど。けっきょく狂四郎は悪家老も二剣客も討取らず斬ったのは雑魚ばかり、徹底的に傍観者だったという珍しい一編でした。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2020-08-01 19:45:03)(良:1票)
73.  華麗なる週末 《ネタバレ》 
タイトル・ロールで気づくのですが、すでにドル箱スターだったスティーヴ・マックイーンが主演なのに、この映画はインデペンデント映画なんです。なんでまたこんなマイナーな予算の映画に出演したかと言うと、クラシックカーを思う存分運転できることに魅入られたからで、いかにも熱狂的なカー・マニアだったマックイーンらしいエピソードです。劇中で使われる“ウィントン・フライヤー”という車は実在せず、1905年当時の自動車を模したレプリカが使われました。でもマックイーンはこの車にえらく惚れこみ、撮影終了後に買い取って彼の有名なモーター・コレクションに加えたそうです。 本作はマックイーンのファンであるならば絶対に観ておかなければいけません。おそらくこれがマックイーンの唯一のコメディ演技が観れる作品だと思いますが、彼のバラエティーに富んだ表情が観れてもう感涙ものです。原作がウィリアム・フォークナーですから南部情緒がたっぷり、でも柔らか目ですけど南部黒人の地位に対する批判も感じられます。マックイーンの幼馴染で悪友が黒人なんですが、彼は悪さしても町のセレブたちにも堂々と態度を崩しません。その理由が彼は町の有力者の曽祖父が奴隷に産ませた子の子孫で一族の一員だという理屈なんですが、米国人以外にはちょっと笑えない話ですね。ちなみにこの役を演じたルパート・クロスはオスカー助演男優賞にノミネートされましたが、この賞にノミネートされた初の黒人俳優なんだそうです。 監督は名匠マーク・ライデルで、やはり彼の監督作には外れがないですね。このサイトでも全監督作が6点以上の評価ですから大したものです。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2020-07-24 22:49:18)(良:1票)
74.  眠狂四郎無頼控 魔性の肌 《ネタバレ》 
なぜかシリーズ中で唯一「無頼控」がくっついているタイトル、どうしてなんでしょうね?でも観てみればわざわざ「無頼控」となったのも納得できる気がする、狂四郎のニヒルぶりはシリーズ中で最高レベルでした。成田三樹夫が率いる黒指組、天草四郎一派の末裔なんてキャラ付けはどこかに吹っ飛んでもうキリスト教とは関係ない邪教の新興宗教集団でございます。宗教集団と言うよりも忍者集団と言った方が相応しいぐらいです。「狂四郎にも弱点はある!」と女には見境がないと正しく見抜いてシリーズ恒例のハニートラップ攻勢、でもこれもお約束ですべて狂四郎はお見通しで全部返り討ち。本作で凄いところは、善玉・悪玉・善玉と見せかけた悪玉、登場する女性キャラが全部死んじゃうという展開でしょう。これこそ「俺と関わった女はみんな死ぬか不幸になる」と嘯く狂四郎の決めセリフ通りでした。成田三樹夫も頑張ってるんだけど黒指組リーダーとしての行動が穴だらけで、前作の天知茂には到底及ばずという感じでした。あの穴蔵に狂四郎を閉じ込めて爆薬で吹っ飛ばそうとしたシークエンス、バカみたいに簡単に逃げられたのには「これはギャグか」と悶絶させられました。金子信雄が善玉っぽいキャラで登場してきたのには?でしたが、ラストのネタばらしにはちょっとびっくり、まさに「そんなのって、アリ?」の一言です。でもロードムービー仕立てであの手この手のエピソードがテンコ盛り、全盛期の鰐淵晴子の美も堪能できたし、やはりシリーズ中でいちばん愉しめたかな。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2020-07-03 21:34:25)(良:1票)
75.  結婚相談 《ネタバレ》 
「結婚相談所が実は売春組織だった!行き遅れた三十路女・鶴川島子の運命や如何に!」というのが私がその立場だったらこの映画につけるコピーですかね。当時の日活の看板清純派だった芦川いづみが驚天動地の汚れ役に挑戦というわけで、ポスターを見るとなんと成人映画指定になっています。もちろん芦川を含めて誰も脱いでませんし、せいぜい芦川が色っぽい表情を見せるぐらいで、当時の映倫の基準が良くわかりません。でもこの映画の芦川いづみは表情がエロいんです。なんというか、AKBの柏木由紀をすっきりさせたような雰囲気で、これは見入ってしまいます。でもついさっきまで清純派だったのにコールガールに身を落とす女を演じさせる、この日活のドラスティックな彼女に対する方針転換、三年後に藤竜也と結婚してフェードアウトしてしまったのも必然だったのかなと思います。 こんなドロドロしたお話しなのに、監督しているのがモダニスト・中平康なのでちょっと洒落た雰囲気させ感じさせてくれます。劇中で2~3か所、屋外でバーブ佐竹の『女心の唄』を大音量で流す宣伝カーみたいな車が、ストーリーと無関係に映されるのがなんかシュールでいかにも中平康らしい。ひょっとしたらこれって、『青春デンデケデケデケ』に出てくる南野陽子が乗った謎の『潮来笠』を流して町内を走り回る宣伝車の元ネタなんじゃないでしょうか。だとしたら、大林宣彦もかなりのシネフィルですね。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2020-06-30 18:42:53)
76.  泥棒野郎 《ネタバレ》 
時々ウディ・アレンの初監督作として紹介されているのを見かける本作ですが、アレンの初監督作はあくまで"What's Up, Tiger Lily?"ですからね(きっぱり)。日本じゃ絶対に観ることのできない彼の黒歴史である"What's Up, Tiger Lily?"よりも、中編ながらもちゃんと劇映画として製作された本作は実質的には初監督作として認定してあげてもいい様な気もしますがね。 巷では初期アレン映画の最高作は『スリーパー』ということになっていますが、いや違う!私は『泥棒野郎』だと断言しちゃいます。驚くことに、アレンはこの第一作から早くもいわゆるモキュメンタリ―的なストーリーテリングで脚本を書いているんですね。この手法は後に『カメレオンマン』などにも使われているアレンの得意技ですが、60年代というとひょっとしてモキュメンタリーの始祖はアレンなのかもしれません。内容はスタンダップ・コメディアン時代からのナンセンス・ネタがてんこ盛り。傑作“メモを渡して銀行強盗”のネタはあまりにも有名ですけど、個人的には“何度も踏みつぶされるアレンの眼鏡”ネタもお好みです。音楽担当がマーヴィン・ハムリッシュだというところは、ノスタルジック・ジャズの名曲ばかり使う後のアレン映画とは違った雰囲気になっています。ヒロインもその後一度もアレン映画に出ていない無名女優ですが、いまいち掴みどころのないキャラですけどキュートで良かったです。思うにアレンのコメディはダイアン・キートンと組むようになってから変化したわけで、ナンセンス・ギャグがキレまくる『スリーパー』までの初期アレン・コメディは今となっては貴重なのかもしれません。
[ビデオ(字幕)] 7点(2020-06-24 20:34:08)
77.  眠狂四郎 無頼剣 《ネタバレ》 
シリーズ八作目にして最強の敵である愛染・天知茂が満を持して登場、今まで二作に顔を出している若山富三郎もいるけど、役者の格は別にしてもキャラ付けからして迫力が違います。旧新東宝の残党組としては丹波哲郎は別格として天知茂・菅原文太・吉田輝雄がいわば三羽烏でありますが、けっきょく映画界で大成したのは文太だけで天知が70年代にはTV界に活躍の舞台を移してしまったのは残念至極です。愛染は大塩平八郎の残党を率いて老中・水野忠邦をつけ狙うテロリスト集団の頭領、復讐のためなら江戸を焼き払うことも躊躇しない過激さは、当時の学生運動が投影されていることは間違いなしでしょう。肝心の水野へのテロは見抜かれていて失敗、自ら放った炎を遠景として狂四郎に討ち取られて屍をさらす愛染とその一味の姿は、その後の全共闘運動の末路を予言しているみたいです。 というわけで本作に関しては天知が主役で雷蔵ですら脇で盛り上げ役に回っているような感じすらします。本作の狂四郎は妙に品行方正で愛染の方がはるかにニヒルなのがヘンな感じです。撮影中に雷蔵は「これじゃ天知茂が目立ちすぎ、主役は俺だ!」と怒ってマジにスタッフと険悪になったそうですが、本来温和な雷蔵をここまで嫉妬させた天知茂という役者は、やはりただ者ではなかったんでしょうね。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2020-06-03 20:01:03)
78.  君も出世ができる 《ネタバレ》 
自分は戦後日本映画界の最高峰ミュージカルは『狸御殿』シリーズだと思っていましたが、どうしてどうして、この東宝が放ったカルト・ミュージカルもななかのいい勝負してます。 まず、アニメーションのタイトルデザインがソウル・バスが関わったかと思わせるほど洒落て秀逸。舞台となる東和観光のオフィスは確かにシャレまくったセットで、色彩と言いデザインといいカネかけたなというのが良くわかる豪華さ。フランキー堺や高島忠夫を始めとして芸達者な役者と中尾ミエと雪村いづみといった本職歌手の女優をそろえた豪華キャスト、皆さんほんとスキルが高いですね。中でもフランキー堺のダンスというか身のこなしの華麗さ、ほんと天才的としか言いようがないです。でも浜美枝みたいにそっちの方の芸が劣る女優は歌わせないというのは賢明な選択、そういや有島一郎もほとんど歌ってなかったですね。しかし本作の浜美枝はキュートさが爆発状態、ピンクで統一された彼女の部屋のオシャレさは現代でもなかなか観れないセンスです(愛犬のプードルまでピンクなのは笑ってしまいました)。 この映画はアメリカ帰りの雪村いづみが登場してからの展開が本番です。二言目には「アメリカでは」と社員に説教する“アメリカ出羽守”ぶりが笑えます。この「アメリカでは」はメインスコアにもなっていて、なんと40年近く経ってピチカート・ファイブが雪村いづみを使ってカヴァーしているんですよ。どうりでなんか聞いたことある曲だなと思ったわけです。こういうバタ臭いコメディになると東宝の独壇場なんですけど、アメリカ出羽守・雪村いづみと対峙する高島忠夫のテーマソングは「あこがれのタクラマカン」、でもなんでタクラマカン砂漠なのかは理解不能でした(笑)。そしてワン・シーンだけですが植木等がノン・クレジット登場でフランキー堺と絶妙な掛け合いを見せてくれます。この二人の共演はたぶんこれだけなんじゃないでしょうか、貴重です。 しかし何といっても「凄いもの見せられたな~」とため息が出るのは、やはりクライマックスのサラリーマン軍団のモブ・ダンスで、邦画でここまでのミュージカル・シーンがあったとは、これはぜひとも大スクリーンで観てみたいものです。これがヒットしなくてカルトになってしまうという現実、やっぱ日本じゃミュージカル映画は根付かないのかなあ…
[CS・衛星(邦画)] 8点(2020-05-28 21:58:30)(良:1票)
79.  価値ある男 《ネタバレ》 
三船敏郎がメキシコ人農夫役で主演して当たり前だけど全編スペイン語で演技している(ネイティブ俳優に吹き替えされていますが)という珍品映画だと言えますが、これが良いドラマに仕上がっていてオスカーとゴールデングローブ賞の外国映画賞にノミネートされたというから凄いです。 三船敏郎の役どころはメキシコのド田舎の農夫、という風に見えますが実質家業は奥さんと子供がメインで、亭主は飲んだくれのバクチ依存症のダメ親父です。それがね~不思議なんですが三船がもうメキシコの田舎者にしか見えないんです、違和感が全然ないんです。これはマジで『黒い罠』のチャールトン・ヘストンなんか目じゃないです。この一家が住む村では年に一度のお祭りが盛大でみんなの楽しみ。その祭りでは司祭が “マヨルドーノ”というエグゼクティブプロデューサーみたいな男を一人任命します。マヨルドーノには祭りにかかる費用一切を自腹斬る責任を背負いますが、村人から“価値ある男”として尊敬される存在になれるのです。本邦で言えば神社のお祭りの氏子総代みたいなもんですかね。でも当たり前ですが財力がないといくら普段から信頼される人物でも務まりません。ダメ男で貧乏な三船には縁遠い話しののですが、なぜかマヨルドーノになることしか人生の意義を見出せないので、真面目に働くのではなく闘鶏などのバクチで一攫千金を狙って奮闘するのです。三船の演技はけっこうコミカルで、彼は考えてみれば器用な役者だったなと再認識させられました。このダメ男が大金を稼ぐのはバクチしかないと観てる方も判っているのでどっかで大勝するんだろうと思っていてもずっと負け続け、そしたら終盤で思いもよらないバクチじゃない幸運(?)で大金をゲットして宿願のマヨルドーノに指名されることができました。 三船の演技が冴えわたるのは祭りの当日のシークエンスで、晴れの舞台で行事の先頭に立っているのに村人たちはマヨルドーノを完全に無視。苦悩する三船ですが、友人から「この状況で自分を見つめ直せ」と忠告されても結局村人たちの真意というか自己の至らなさに思いが向くことはありませんでした。そして妻がとった思わぬ行動が、このダメ男の人生を変えることになるのです。 三船の女房も亭主に苦しめられててもやはり愛していて、子供には厳しいのに亭主を甘やかしてしまって結局ダメにする存在で、10歳ぐらいの息子だけが父親を冷めた眼で見ているところがリアルな家族関係でした。やはりこの作品が評価されたのは三船敏郎という国際スターをオファーできた監督の熱量によるところが、大きいでしょう。三船もその熱意に応えて、日本での配給権を貰う代わりに出演料はゼロ、つまり実質的にノー・ギャラだったということらしいです。でも日本ではほとんど上映されずカルト化してしまったのは、残念なことでした。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-05-07 23:06:21)
80.  眠狂四郎 多情剣 《ネタバレ》 
『女妖剣』に続いて、またもや将軍家の問題児・菊姫が登場でございます。今回は狂四郎への復讐に狂った完全なる主敵キャラとして再来です。そういや、あの越前屋徳右衛門=稲葉義男はどうしちゃったんでしょうかね、絶対シリーズでの狂四郎の宿敵的存在になると自分は踏んでいたんですがねえ。本作では音楽担当は何故か伊福部昭大先生なんですよ、緊迫したシーンの背景に低く流れる音色はまさしく東宝特撮、ていうか大先生これって使い回しじゃないでしょうか(笑)。監督はシリーズ初の井上昭です、ロング・ショットが効果的に使われていてこの人がこんなに映像派だったとは意外でした。ストーリーではけっこう登場人物は多いけど中谷一郎の正体を含めてすべてのキャラが一点に集中してゆく展開、狂四郎よ、お前の周りは敵ばかりかよ。今回のゲストスターはいちおう中谷一郎ということになるでしょうが、本家・円月殺法に自己流・円月殺法で挑むも秒殺されるというのはちょっと斬新でした。個人的にはシリーズ中でも脂がのった時期でもありけっこう愉しめたかなってのが感想です、脚本上の細かい繋がりはちょっと破綻気味でしたけどね。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2020-05-01 22:24:08)
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